JP2017122825A - 光学シート、車両のウィンドウ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両への実装が容易であって、より鮮明な映像を表示することができる光学シートを提供する。
【解決手段】車両のウィンドウに貼り付けられ、映像源から投射された映像光の一部を視者側に反射させる光学シート20であって、第1傾斜面221a及び第2傾斜面221bを有する単位光学形状部221が複数配列された第1光学形状層22と、第1光学形状層22の単位光学形状部221が設けられた側に積層された第2光学形状層23と、第1傾斜面221a上の少なくとも一部に形成され、入射した光の一部を反射し、その他を透過させる反射層25と、前記第1光学形状層の前記単位光学形状部が設けられた側とは反対側の面に積層された粘着層26と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、映像源から投射された映像光を反射する光学シート及びこれを備えた車両のウィンドウに関する。
ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」ともいう)は、インストルメントパネル内に配置された映像源からフロントウィンドウに映像光を投射し、運転者に対して各種の映像を表示する車両(例えば、自動車)用の表示装置である。従来、自動車のフロントウィンドウには、一対のガラス板の間に飛散防止用の中間層を挟み込んだ合わせガラスが使用されている。この合わせガラスに、より鮮明な映像を表示するため、中間層の断面を楔形状とした合わせガラスが提案されている(特許文献1参照)。
特許第2815693号公報
HUDの映像を自動車のフロントウィンドウだけでなく、サイドウィンドウ、リアウィンドウ等の側面のウィンドウにも表示させることが考えられている。しかし、一般的な自動車の側面のウィンドウは、主に強化ガラスであるため、HUDの映像光を投射しても鮮明な映像を表示させることが難しい。また、フロントウィンドウにおいても、中間層の厚みが均等な一般的な合わせガラスに、より鮮明な映像を表示できるようにすることが望まれている。
本発明の課題は、車両への実装が容易であって、より鮮明な映像を表示することができる光学シート及び車両のウィンドウを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されない。
・第1の発明は、車両のウィンドウに貼り付けられ、映像源から投射された映像光の一部を視者側に反射させる光学シート(20、20A)であって、第1傾斜面(221a)及び第2傾斜面(221b)を有する単位光学形状部(221)が複数配列された第1光学形状層(22)と、前記第1光学形状層の前記単位光学形状部が設けられた側に積層された第2光学形状層(23)と、前記第1傾斜面上の少なくとも一部に形成され、入射した光の一部を反射し、その他を透過させる反射層(25)と、前記第1光学形状層の前記単位光学形状部が設けられた側とは反対側の面に積層された粘着層(26)と、を備える光学シートである。
・第2の発明は、第1の発明の光学シート(20、20A)であって、前記粘着層(26)の前記第1光学形状層(22)に積層された側とは反対側の面に積層された剥離紙(28)を備えることを特徴とする光学シートである。
・第3の発明は、第1又は第2の発明の光学シート(20、20A)であって、前記第1傾斜面(221a)において、前記反射層(25)及び前記反射層が形成されていない領域は、前記光学シートの厚み方向に垂直且つ前記単位光学形状部(221)の配列方向に垂直な方向に延在すると共に、前記単位光学形状部の配列方向に並んで設けられていることを特徴とする光学シートである。
・第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明に記載の光学シート(20、20A)であって、前記反射層(25)は、前記第1傾斜面(221a)上の一部に形成された金属層であることを特徴とする光学シートである。
・第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明の光学シート(20、20A)であって、前記第2光学形状層(23)の前記第1光学形状層(22)に積層された側とは反対側の面に積層された基材層(24)と、前記基材層の前記第2光学形状層に積層された側とは反対側の面に積層された保護層(27)と、を備えることを特徴とする光学シートである。
・第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の光学シート(20、20A)であって、前記第1傾斜面(221a)上に前記反射層(25)が形成された特定領域と、前記第1傾斜面上に前記反射層が形成されていない非特定領域とを含むことを特徴とする光学シートである。
・第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明の光学シート(20、20A)が視者側に積層された車両のウィンドウである。
本発明によれば、車両への実装が容易であって、より鮮明な映像を表示することができる光学シート及び車両のウィンドウを提供することができる。
第1実施形態の表示装置10を配置した自動車1の運転席周辺を示す図である。 第1実施形態の表示装置10を説明する図である。 第1実施形態の光学シート20を説明する図である。 実施形態の光学シート20の製造方法を説明する図である。 第2実施形態の表示装置10Aを配置した自動車1Aの運転席周辺を示す図である。 第1実施形態の表示装置10Aを説明する図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、本実施形態の各図においては、部材の断面を示すハッチングを適宜に省略する。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての例示であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の表示装置10を配置した自動車1の運転席周辺を示す図である。図1(a)は、自動車1の運転席からフロントウィンドウW1側(自動車1の進行方向)を見た状態を示す図である。図1(b)は、運転席から見たときの右サイドウィンドウW2を説明する図である。図2は、第1実施形態の表示装置10を説明する図である。
なお、以下に示す各図及び説明においては、理解を容易にするために、右サイドウィンドウW2の上下方向をZ方向とし、厚み方向をY方向とし、左右方向をX方向とする。ここで、上下方向(Z方向)のうち−Z側を下側とし、+Z側を上側とする。また、厚み方向(Y方向)のうち+Y側を背面側とし、−Y側を運転者側とする。また、左右方向(X方向)のうち−X側を左側とし、+X側を右側とする。
本実施形態の自動車(車両)1は、一般的な乗用車等である。自動車1は、図1に示すように、車内側から見て、フロントウィンドウW1の右側に運転席が設けられ、フロントウィンドウW1の下方側に内装パネル2が配置されている。内装パネル2は、フロントウィンドウW1の下方側に配置された化粧パネル(ダッシュボード)であり、右側に操縦桿となるハンドル3、速度計等の計器類4が配置されている。
フロントウィンドウW1の右側には、右サイドウィンドウW2及び右サイドミラーM1が配置されている。右サイドウィンドウW2は、自動車1の右側に設けられたドアD1の内部に昇降可能に支持されている。右サイドミラーM1は、ドアD1の外側であって、運転者に視認可能な位置に配置されている。また、フロントウィンドウW1の左側(助手席側)には、左サイドウィンドウW3及び左サイドミラーM2が配置されている。左サイドウィンドウW3は、自動車1の左側に設けられたドアD2の内部に昇降可能に支持されている。左サイドミラーM2は、ドアD2の外側であって、運転者に視認可能な位置に配置されている。
フロントウィンドウW1の上方側には、天井部5が設けられている。天井部5は、自動車1に設けられた前後の座席(不図示)の上方を覆う部材である。天井部5のフロントウィンドウW1側には、バックミラー6のほか、表示装置10を構成する映像源11(後述)が配置されている。
表示装置10は、走行している自動車1の右側前方又は右側後方に存在する歩行者、障害物、他の自動車等(以下、「対象物」ともいう)の接近を知らせる警告用のメッセージを、右サイドウィンドウW2に表示する装置、いわゆるヘッドアップディスプレイである。運転者は、右サイドウィンドウW2に表示されるメッセージを見ることにより、進行方向から視線を大きく反らすことなしに、進行方向の右側前方又は右側後方に存在する対象物の有無を把握することができる。なお、右サイドウィンドウW2に表示される映像(情報)は、本実施形態の例に限らず、他の映像(例えば、歩行者等の対象物を表すシンボルマーク等)であってもよいし、これらの映像とメッセージとの組み合わせであってもよい。
表示装置10は、映像源11と、光学シート20とを備えている。表示装置10は、映像源11から出射した映像光を、右サイドウィンドウW2を介して運転者側に投影する。具体的には、表示装置10は、映像源11から出射された映像光を右サイドウィンドウW2へ入射させ、光学シート20において、運転者の眼Eに向けて映像を反射させる。なお、本実施形態では、表示装置10を、自動車1の運転席に搭載されるHUDとして説明するが、これに限らず、鉄道車両、船舶、航空機等に搭載されるHUDであってもよい。
映像源11は、映像光を表示するディスプレイであり、例えば、透過型の液晶表示デバイス、反射型の液晶表示デバイス、有機EL等により構成される。映像源11には、映像光を右サイドウィンドウW2に向けて投射する複数のレンズ群から構成された投射光学系(不図示)が設けられている。第1実施形態の映像源11は、天井部5のフロントウィンドウW1側に配置されている。そのため、映像源11は、図2に示すように、光学シート20に対して下向きに映像光を投射する。なお、天井部5において、映像源11を配置する位置は、本実施形態の例に限らず、どの位置でもよい。例えば、天井部5の中央部付近でもよいし、天井部5の右サイドウィンドウW2側でもよい。
光学シート20は、光透過性を有するシート状の積層材であり、図1(b)に示すように、右サイドウィンドウW2の内側(室内側)の全面に貼り付けられている(斜線部)。後述するように、光学シート20の裏面側には粘着層26が形成されているため、施工者は、自動車1の右サイドウィンドウW2に光学シート20を容易に実装することができる。
光学シート20は、運転者の視界を妨げない観点から、右サイドウィンドウW2を通して運転席から見える進行方向右側の光(外界の光)の一部を、右サイドウィンドウW2の背面側から運転者側へ透過させて、その光と映像光とを重ねて見せる、いわゆるシースルー機能を備えている。光学シート20は、その全面に反射層25(後述)が形成されているが、本実施形態の反射層25は、反射率10%、透過率80%のハーフミラー状に形成されている。そのため、運転者は、進行方向右側の視界を妨げられることなしに、外界の光の一部と映像光とを重ね合わせて見ることができる。
次に、光学シート20の構成について説明する。
図3は、第1実施形態の光学シート20を説明する図であり、図2に示す光学シート20の断面をより詳細に示している。
図3に示すように、光学シート20は、第1基材部21、第1光学形状層22、第2光学形状層23及び第2基材部(基材層)24を備えている。また、光学シート20には、粘着層26及び保護層27が積層されている。
第1基材部21は、光学シート20の背面側(+Y側)に設けられたシート状の部材である。第1基材部21は、例えば、光透過性の高いPET等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等により形成される。第1基材部21の背面側(+Y側)の面は、右サイドウィンドウW2に粘着層26を介して接合されている。
粘着層26は、光学シート20の最も背面側(+Y側)に設けられた層である。粘着層26は、第1基材部21と右サイドウィンドウW2とを接合する粘着剤層である。粘着層は、第1基材部21と右サイドウィンドウW2との間を透過する映像光が屈折しないよう、これらの層と同等の屈折率を有する材料、例えば、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等により形成される。
第1光学形状層22は、第1基材部21の運転者側(−Y側)に設けられた層である。第1光学形状層22は、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等から形成されており、その屈折率は、上述の第1基材部21と同等の屈折率である。第1光学形状層22は、運転者側(−Y側)の面に、単位光学形状部221が複数設けられている。
この単位光学形状部221は、左右方向(X方向)に延在し、上下方向(Z方向)に沿って複数配列されている。また、単位光学形状部221は、運転者側(−Y側)に凸となるように、ZY平面と平行な断面における断面形状が略三角形状に形成されている。単位光学形状部221は、第1傾斜面221aと、この第1傾斜面221aと対向する第2傾斜面221bとから構成されている。
第1傾斜面221aは、映像源11(図1参照)から投射された映像光が直接に入射する面である。第1実施形態の光学シート20において、第1傾斜面221aは、映像源11から下向きに投射された映像光と対向するように、斜め上方向(+Z方向)に向くように形成されている。また、第1傾斜面221aの運転者側(−Y側)の面には、反射層25が部分的に設けられている。反射層25については、後述する。
第2傾斜面221bは、映像源11から投射された映像光が直接入射しない面である。
第2光学形状層23は、単位光学形状部221を覆うように、第1光学形状層22の運転者側(−Y側)に面に設けられた層である。第2光学形状層23は、第1光学形状層22の運転者側の面を平坦にするために設けられている。第2光学形状層23は、光透過性の高いウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等から形成されており、その屈折率は、上述の第1基材部21や第1光学形状層22と同等の屈折率である。
ここで、単位光学形状部221の第1傾斜面221aが、第1基材部21に平行な面(XY平面)となす角度は、αである。また、第2傾斜面221bが第1基材部21に平行な面となす角度は、β(β>α)である。さらに、単位光学形状部221の配列ピッチは、Pであり、単位光学形状部221の高さは、hである。高さhは、光学シート20の厚み方向(Y方向)における単位光学形状部221の頂部tから単位光学形状部221間の谷底となる部位vまでの寸法に相当する。なお、配列ピッチPは、単位光学形状部221の配列方向(Z方向)における幅寸法と同等である。
第2基材部24は、光学シート20の運転者側(−Y側)に設けられたシート状の部材である。具体的には、第2基材部24は、第2光学形状層23の第1光学形状層22に積層された側とは反対側の面に積層されている。第2基材部24は、第1基材部21と同じく、光透過性の高いPET等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等により形成される。
保護層27は、光学シート20の最も運転者側(−Y側)に設けられた層である。具体的には、保護層27は、第2基材部24の第2光学形状層23に積層された側とは反対側に積層されている。保護層27は、光学シート20の運転者側(−Y側)の表面の傷つきを抑制するための層である。保護層27は、例えば、第2基材部24の第2光学形状層23に積層された側とは反対側の面に、ハードコード機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート等)を塗布することにより形成することができる。
以上の構成とすることによって、光学シート20の各層は、光の屈折率が同等となる。ここで、屈折率が同等とは、各層の屈折率が完全に一致する場合だけでなく、各層間において屈折が生じない程度に屈折率が近似している場合も含む。これにより、本実施形態の光学シート20は、この光学シート20内において、映像光、外界の光が屈折するのを抑制することができる。
反射層25は、単位光学形状部221の第1傾斜面221aの面上において、光反射性の高い金属、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル等により形成される金属層である。本実施形態において、反射層25は、アルミニウムを蒸着することにより形成されている。なお、これに限らず、反射層25は、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したり、金属薄膜を含有した塗料を塗布したりする等により形成されてもよい。
反射層25は、光を反射するために十分な厚さであれば、その材料等に応じて厚さを自由に設定することができる。また、反射層25は、映像光の一部を反射すると共に、光学シート20の背面側(+Y側)から入射する外界の光を透過するようなハーフミラー状にしてもよく、その反射率と透過率の割合は適宜に設定することができる。本実施形態の反射層25は、反射率10%、透過率80%のハーフミラー状に形成されている。
反射層25は、図3に示すように、第1傾斜面221a上において、映像源11から投射された映像光が進行する側(−Z側)の位置に設けられている。具体的には、反射層25は、第1傾斜面221aの頂部tから底部v側に向かって所定の幅で形成されており、第1傾斜面221aの底部v近傍には形成されていない。すなわち、反射層25は、第1傾斜面221aにおいて、映像源11から投射された映像光の反射に寄与する部分(特定領域)にのみ形成されており、隣接する単位光学形状部221の影となり映像光の反射に寄与しない部分(非特定領域)には形成されていない。
このような構成とすることによって、光学シート20は、映像光を第1傾斜面221aの反射層25により反射させて光学シート20から運転者側(−Y側)へ出光させるだけでなく、光学シート20の背面側(+Y側)から入射する外界の光を、第1傾斜面221aにおいて反射層25が形成されていない部分から運転者側へ透過させることができる。なお、光学シート20に入射する映像光L及び外界の光Gの光路については後に詳述する。
また、本実施形態の反射層25は、第1傾斜面221aの映像光の反射に寄与しない部分に設けられていないので、第1傾斜面221aの全面に反射層を形成した場合と比較しても、反射層25で反射する光量が低減することはない。
ここで、効率よく映像光を反射して光学シート20から出光させる観点から、第1傾斜面221aの角度αは、25°≦α≦40°の範囲内に、第2傾斜面221bの角度βは、80°≦β≦90°の範囲内に、単位光学形状部221の高さhは、50μm≦h≦500μmの範囲内に形成することが望ましい。また、第1傾斜面221aに平行な面に対する反射層25の長さをw1としたときに、反射層25は、w1=P×sin(90°―2×α)/sin(90°+α)を満たすようにして形成されるのが望ましい。
次に、本実施形態の光学シート20に入射する映像光L及び外界の光Gの光路について説明する。
映像源11(図1参照)から単位光学形状部221に入射した映像光のうち、一部の映像光L1は、図3に示すように、第1傾斜面221aの反射層25において−Y側に反射して、運転者の眼Eに向けて出光する。また、他の映像光L2は、ハーフミラー状に形成された反射層25を透過した後、単位光学形状部221、第1基材部21等を透過して、右サイドウィンドウW2(図2参照)の背面側(+Y側)から外部に出光する。
一方、外界の光Gは、図3に示すように、右サイドウィンドウW2を透過した後、光学シート20の背面側(+Y側)から光学シート20内に入光する。光学シート20内に入光した外界の光Gのうち、一部の光G1は、第1傾斜面221aにおいて反射層25が形成されていない部分を透過して、運転者の眼Eに向けて出光する。
また、第1傾斜面221aの反射層25に入射した他の外界の光G2は、その一部が反射層25によって光学シート20の背面側へ反射する(不図示)。しかし、その他の外界の光G2は、ハーフミラー状に形成された反射層25を透過して、運転者の眼Eに向けて出光する。
次に、本実施形態の光学シート20の製造方法について説明する。
図4は、本実施形態の光学シート20の製造方法を説明する図である。図4の各分図は、光学シート20の製造過程を示している。
まず、図4(a)に示すように、単位光学形状部221に対応する凹凸形状が設けられた金型(不図示)を使用して、光学シート20を構成する第1光学形状層22を押出成形法、射出成形法等により形成する。第1基材部21は、形成された第1光学形状層22の背面側に貼り付けられる。
次に、図4(b)に示すように、単位光学形状部221の第1傾斜面221a上に、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着して反射層25を形成する。なお、反射層25は、光反射材料が含有された塗料を塗布することによって形成してもよい。
次に、図4(c)に示すように、第1光学形状層22の単位光学形状部221が形成された側の面に、第2光学形状層23を構成する樹脂を充填し、平坦面が形成された金型(不図示)によって押圧する。硬化後、金型から離型する等により、第2光学形状層23が形成される。
次に、図4(d)に示すように、この単位光学形状部221上に形成された第2光学形状層23の背面側に第2基材部24を貼り付ける。
次に、図4(e)に示すように、第2基材部24の第2光学形状層23に積層された側とは反対側の面に保護層27を形成する。
次に、図4(f)に示すように、第1基材部21の第1光学形状層22に積層された側とは反対側の面に粘着層26を形成する。
次に、図4(g)に示すように、粘着層26の第1基材部21に積層された側とは反対側の面に剥離紙28を貼り付ける。剥離紙28は、紙片等の基材(不図示)の片面に剥離層を形成したものである。この剥離層は、例えば、基材にシリコン樹脂を含む溶剤を塗布した後、硬化させることにより形成することができる。
これにより、剥離紙28、粘着層26、第1基材部21、第1光学形状層22、第2光学形状層23、第2基材部24及び保護層27が積層された積層体が完成する。最後に、この積層体を、実装する自動車1の右サイドウィンドウW2の形状に合わせて裁断することにより、光学シート20が完成する。
光学シート20は、剥離紙28が付いた状態で積層して保管することができる。光学シート20の施工者は、光学シート20から剥離紙28を剥がし、右サイドウィンドウW2の内側(室内側)の全面に貼り付けることにより、光学シート20を右サイドウィンドウW2に実装することができる。
以上説明したように、第1実施形態の表示装置10によれば、映像源11から投射されたHUDの映像光のうち、運転者の眼に届く光のほとんどは、光学シート20(単位光学形状部221)で反射した光となる。そのため、表示装置10は、右サイドウィンドウW2のように、合わせガラスではないガラス(例えば、強化ガラス)であっても、その表面に鮮明な映像を表示することができる。
また、第1実施形態の表示装置10によれば、施工者は、裁断された光学シート20から剥離紙28を剥がし、自動車1の右サイドウィンドウW2の内側(室内側)の全面に貼り付けることにより、右サイドウィンドウW2に光学シート20を容易に実装することができる。また、光学シート20の実装された右サイドウィンドウW2は、光学シート20の貼り付けられていない通常の右サイドウィンドウW2と同じ作業でドアD1(図1参照)の内部に取り付けることができる。そのため、自動車1の製造工場においては、製造工程を増やすことなしに、HUDに対応した自動車1を製造することができる。
第1実施形態の光学シート20において、反射層25は、反射率10%、透過率80%のハーフミラー状に形成されている。そのため、運転者は、右サイドウィンドウW2を閉めた状態においても、視界を妨げられることなしに、光学シート20越しに右サイドミラーM1を見ることができる。
第1実施形態の表示装置10において、映像源11は、天井部5に配置されている。そのため、表示装置10を自動車1に実装した場合、内装パネル2のスペースを有効に利用することができる。
第1実施形態の光学シート20は、右サイドウィンドウW2の内側の全面に貼り付けられている。そのため、右サイドウィンドウW2の昇降を繰り返した場合でも、光学シート20の端部が剥がれる等の不具合を生じにくい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の表示装置10Aについて説明する。
第2実施形態の説明及び参照する図面において、第1実施形態と同等の機能を果たす部材、装置等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図5は、第2実施形態の表示装置10Aを配置した自動車1Aの運転席周辺を示す図である。図6は、第2実施形態の表示装置10Aを説明する図である。なお、図6に示すフロントウィンドウW1は、実際には傾斜しているが、上下方向(Z方向)と平行に図示している。
第2実施形態の表示装置10Aは、図5に示すように、映像源11及び光学シート20Aの配置、構成等が第1実施形態と相違する。
第2実施形態の映像源11は、内装パネル2の上に配置されている。そのため、映像源11は、図6に示すように、光学シート20Aに対して上向きに映像光を投射する。
第2実施形態の光学シート20Aは、フロントウィンドウW1の内側(室内側)の面の右側(運転席前)に貼り付けられている。
第2実施形態の光学シート20Aは、図6に示すように、単位光学形状部221(第1光学形状層22)の配列方向(Z方向)における第1傾斜面221a及び第2傾斜面221bの向きが第1実施形態の光学シート20と相違する。すなわち、第2実施形態の光学シート20Aにおいて、第1傾斜面221aは、映像源11から上向きに投射された映像光と対向するように、斜め下方向(−Z方向)に向くように形成されている。光学シート20Aのその他の構成は、第1実施形態の光学シート20と同じである。
第2実施形態の表示装置10Aにおいても、第1実施形態の表示装置10と同様に、映像源11から投射されたHUDの映像光のうち、運転者の眼に届く光のほとんどは、光学シート20A(単位光学形状部221)で反射した光となる。そのため、表示装置10Aは、中間層の厚みが均等な一般的な合わせガラスにより構成されるフロントウィンドウW1に鮮明な映像を表示することができる。また、表示装置10Aは、一般的な合わせガラスにHUDの映像光を投射したときのように、光の屈折により映像光が二重に見えることがないため、運転者に対してより鮮明な映像を表示することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載した効果に限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態の構成は、適宜に組み合わせることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
本変形形態の説明において、「実施形態」とは、第1実施形態及び第2実施形態を含む。そのため、例えば、光学シート20は、光学シート20Aであってもよい。
(1)上述した実施形態の光学シート20は、助手席側の左サイドウィンドウW3に設けてもよいし、運転席側の右サイドウィンドウW2及び助手席側の左サイドウィンドウW3の両方に設けてもよい。また、光学シート20は、自動車1の側面側のウィンドウであれば、どのウィンドウに設けてもよい。例えば、光学シート20を、リアのサイドウィンドウに設けてもよい。このように、光学シート20に表示された映像を見るのは、運転者に限らず、助手席又は後部座席に座っている同乗者であってもよい。すなわち、本発明に係る表示装置の「視者」には、自動車1の運転者だけでなく、同乗者も含まれる。
(2)上述した実施形態の光学シート20において、第1傾斜面221aに形成される反射層25は、完全反射(反射率100%)のミラー状に形成されていてもよい。その場合、第1傾斜面221aにおいて、反射層25の形成されない領域の幅を適宜に調整することにより、映像光を良好に反射させると共に、外光の光を良好に透過させることができる。また、実施形態のように、反射率10%、透過率80%のハーフミラー状に形成された反射層25の場合、反射層25を第1傾斜面221aの全面に形成してもよい。
(3)上述の実施形態において、第2傾斜面221bに光吸収層を設けてもよい。第2傾斜面221bに光吸収層を設けた場合、映像光の一部が反射層25を透過して第1光学形状層22内に入射したとしても、その映像光を光吸収層で吸収することができる。したがって、光吸収層を設けた光学シート20は、出光する映像にゴーストが生じることを抑制することができる。
(4)上述の実施形態において、第2傾斜面221bに微細な凹凸形状を形成してもよい。第1光学形状層22及び第2光学形状層23が同一の屈折率を有する材料により形成されていても、両者に微小な屈折率差が生じる場合がある。その場合、第2傾斜面221bを透過する光の一部が、その第2傾斜面221bで反射して、2重像(ゴースト)として運転者に視認されることがある。しかし、第2傾斜面221bに微細な凹凸形状を形成した場合、第2傾斜面221bに入射した光が拡散するため、2重像の発生を抑制することができる。
(5)上述の実施形態において、映像源11を、光学シート20を貼り付ける側のサイドウィンドウ(例えば、右サイドウィンドウW2)の縁部(窓枠)に配置してもよいし、サイドウィンドウに隣接するピラーに配置してもよい。また、映像源11をドア内部に配置し、映像光をサイドウィンドウ内部に導光させて光学シート20に投射させてもよい。
(6)上述の実施形態において、映像源11の投射角度を、表示する映像の大きさ、位置等に応じて自動的に変更するようにしてもよい。また、自動車1の室内に複数の映像源11を配置しておき、表示する映像の大きさ、位置等に応じて、映像光を投射する映像源11を切り替えるようにしてもよい。
10(10A) 表示装置
11 映像源
20(20A) 光学シート
22 第1光学形状層
23 第2光学形状層
25 反射層
221a 第1傾斜面
221b 第2傾斜面

Claims (7)

  1. 車両のウィンドウに貼り付けられ、映像源から投射された映像光の一部を視者側に反射させる光学シートであって、
    第1傾斜面及び第2傾斜面を有する単位光学形状部が複数配列された第1光学形状層と、
    前記第1光学形状層の前記単位光学形状部が設けられた側に積層された第2光学形状層と、
    前記第1傾斜面上の少なくとも一部に形成され、入射した光の一部を反射し、その他を透過させる反射層と、
    前記第1光学形状層の前記単位光学形状部が設けられた側とは反対側の面に積層された粘着層と、
    を備える光学シート。
  2. 請求項1に記載の光学シートであって、
    前記粘着層の前記第1光学形状層に積層された側とは反対側の面に積層された剥離紙を備えること、
    を特徴とする光学シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学シートであって、
    前記第1傾斜面において、前記反射層及び前記反射層が形成されていない領域は、前記光学シートの厚み方向に垂直且つ前記単位光学形状部の配列方向に垂直な方向に延在すると共に、前記単位光学形状部の配列方向に並んで設けられていること、
    を特徴とする光学シート。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学シートであって、
    前記反射層は、前記第1傾斜面上の一部に形成された金属層であること、
    を特徴とする光学シート。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学シートであって、
    前記第2光学形状層の前記第1光学形状層に積層された側とは反対側の面に積層された基材層と、
    前記基材層の前記第2光学形状層に積層された側とは反対側の面に積層された保護層と、
    を備えることを特徴とする光学シート。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光学シートであって、
    前記第1傾斜面上に前記反射層が形成された特定領域と、前記第1傾斜面上に前記反射層が形成されていない非特定領域とを含むこと、
    を特徴とする光学シート。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の光学シートが視者側に積層された車両のウィンドウ。
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