JP2017122406A - 軸流タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することで二次流れ損失を抑制し、タービン効率を向上させた軸流タービンを提供する。【解決手段】ロータ2とケーシング4A、4Bと複数の静翼6と複数の動翼8とを備える軸流タービン1のケーシング4A、4Bの内部には、複数の静翼6が配置されるノズル流路12であって、静翼6のチップ側縁が固定されるチップ側ノズル壁面12t、及び静翼6のハブ側縁が固定されるハブ側ノズル壁面12hで画定されるノズル流路12と、ロータ2と共に回転する複数の動翼8の各々が通過する動翼通過部14Aを有し、且つ、ノズル流路12を通過した流体が流れる排出流路14と、が形成されている。そして、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tおよびハブ側ノズル壁面12hの各々は、ロータ2の軸線方向において、動翼8側に向かって傾斜している。【選択図】図2

Description

本開示は、軸流タービンに関し、詳しくは、オブリークノズルを備える軸流タービンに関する。
蒸気タービンやガスタービン等の軸流タービンにおいて、動翼のチップ側に設けられるシュラウドの外周面とケーシングの内周面との隙間から漏れ出る流体の量(チップリーク量)を低減するために、ノズル流路が動翼側に向かってハブ側に傾斜した、いわゆるオブリークノズルが採用されることがある。例えば、特許文献1および特許文献2には、複数の動翼の各々のチップ部に連なる環状のシュラウド部材(特許文献1の図1(a)におけるチップシールフィン60と動翼20のチップ側縁との間の部材(符号なし)、および特許文献2の図1(b)におけるシュラウド7)を有する軸流タービンにおいて、ノズル流路が動翼側に向かってハブ側に傾斜したオブリークノズルを備えた軸流タービンが、本出願人によって開示されている。
図10は、シュラウドが設けられている動翼におけるチップリークの発生メカニズムを説明するための図である。
図10の(a)に示すように、オブリークノズル112Aを備える軸流タービン101では、動翼108の前縁108fにおける流体の圧力は、ノズル流路112がロータ102の軸線に対して平行に延伸する通常のノズル流路の場合の圧力(P1)に対して、ハブ側においてΔPだけ高くなり(P1+ΔP)、チップ側においてΔPだけ低くなる(P1−ΔP)。
また、図10の(a)および(b)に示すように、シュラウド108Aの外周面108Aaとケーシングの内周面114tとの間の隙間TC´を流れる流体の流れ(チップリークTR´)は、チップ側における動翼108の前縁108fにおける流体の圧力(P1−ΔP)と、動翼108の後縁108rにおける流体の圧力(P2)との圧力差(P1−ΔP−P2)によって支配される。そして、この圧力差が大きい程にチップリーク量も多くなる。
このため、上述したようなオブリークノズル112Aを採用し、チップ側における動翼108の前縁108f側と後縁108r側との圧力差をΔPだけ小さくすることで、チップリーク量を低減することが出来る。
なお、図10において、後述する本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおける構成に対応する構成については、その符番に100を加算した付番で表記している。
特開平9−242502号公報 特開平10−266808号公報
ところで、近年、小型の軸流タービン等において、ロータと動翼とを削り出し加工によって一体的に製作するブリスク翼が用いられることがある。このようなブリスク翼では、動翼やロータなどと共にシュラウドを削り出し加工によって一体的に製作することは困難である。また、ロータとは別体に製作された動翼をロータに植設するタイプの軸流タービンにおいても、軸流タービンの径方向寸法を小さくするために、動翼のチップ側にシュラウドを設けない場合がある。
このような、動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいては、上述したようなオブリークノズルを採用しても、チップリーク量の低減効果は望めない。このことについて、以下に説明する。
図11は、シュラウドが設けられていない動翼におけるチップリークの発生メカニズムを説明するための図である。なお、図11は、本発明にかかる背景技術を説明するために新規に作成した図面であって、従来技術を示した図面ではない。
図11の(a)および(b)に示すように、シュラウド108Aが設けられていない軸流タービン1では、そのチップリークTRは、動翼8の前縁8fから後縁8rに向かって流れるのではなく、動翼8の腹面8aから背面8bに向かって、動翼8のチップ側縁8tとケーシングの内周面(チップ側壁面14t)との間の隙間TCを流れる。この動翼8のチップ側縁8tとケーシングの内周面との間の隙間TCを流れる流体の流れ(チップリークTR)は、動翼8の腹面8a側における流体の圧力(P3)と背面8b側における流体の圧力(P4)との圧力差(P3−P4)によって支配され、この圧力差が大きい程にチップリーク量も多くなる。そして、この圧力差(P3−P4)は、動翼8の入口角αと出口角βの和である転向角γ(γ=α+β)が大きくなる程に大きくなる。
そして、動翼8のチップ側にシュラウド108Aが設けられていない軸流タービン1では、上述したオブリークノズルを採用し、チップ側における動翼8の前縁8f側と後縁8r側との圧力差をΔPだけ小さくしても、動翼8の腹面8a側と背面8b側との圧力差(P3−P4)は小さくならない。むしろ、チップ側において、静翼6の前縁6fにおける流体の圧力(P0)と動翼8の前縁8f(静翼6の後縁6r)における流体の圧力(P1−ΔP)との圧力差(P0+ΔP−P1)が大きくなる分だけ、動翼8の腹面8a側と背面8b側との圧力差(P3−P4)は大きくなってしまう。
すなわち、図11の(b)に示すように、チップ側における上述した圧力差(P0+ΔP−P1)が大きくなると、ノズル流路12から動翼8に向かって流れる流体の流れ方向(f)が、オブリークノズル12Aを採用しない場合の流路方向(f´)に対して、より周方向に向かうように(軸線方向とのなす角度がより大きくなるように)変化する。このため、動翼8の形状も、この流路方向fに合わせて、入口角αがより大きくなるような形状とする必要がある。そして、入口角αを大きくするとその分だけ転向角γが大きくなり、上述したように、動翼8の腹面8a側と背面8b側との圧力差(P3−P4)も大きくなる。これにより、チップリーク量も多くなってしまう。
このような理由から、シュラウドが設けられていない軸流タービンでは、これまでオブリークノズルは採用されていなかった。
このような背景技術の下、本発明者が鋭意検討した結果、動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することにより、隣接する動翼間を流れる流体のハブ側における反動度を高めることで、隣接する動翼間を流れる流体における二次流れ損失を抑制出来ることを、本発明者は見出した。そして、本発明者は、この二次流れ損失を抑制する効果が、シュラウドが設けられていない軸流タービンにおいてオブリークノズルを採用した場合に生じ得る、上述したチップリークによるチップリーク損失の増加を十分に補うことが出来る程度の効果であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上述したような背景技術の下において発明されたものであって、その目的とするところは、動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することで二次流れ損失を抑制し、タービン効率を向上させた軸流タービンを提供することにある。
(1)本発明の一実施形態にかかる軸流タービンは、
軸線周りに回転するロータと、
前記ロータを回転可能に収容するケーシングと、
前記ケーシングに対して固定され、且つ、前記ロータの周方向における少なくとも一部の区間にわたって前記周方向に配列された複数の静翼と、
前記ロータに対して固定され、且つ、前記ロータの周方向における全周にわたって前記周方向に配列された複数の動翼であって、前記動翼のチップ側縁において、前記複数の動翼の各々に連なる環状部材が設けられていない複数の動翼と、を備え、
前記ケーシングの内部には、
前記複数の静翼が配置されるノズル流路であって、前記静翼のチップ側縁が固定されるチップ側ノズル壁面、及び前記静翼のハブ側縁が固定されるハブ側ノズル壁面で画定されるノズル流路と、
前記ロータと共に回転する前記複数の動翼の各々が通過する動翼通過部を有し、且つ、前記ノズル流路を通過した流体が流れる排出流路と、が形成されており、
前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面および前記ハブ側ノズル壁面の各々は、前記ロータの軸線方向において、前記動翼側に向かって傾斜している。
上記(1)に記載の実施形態にかかる軸流タービンは、動翼のチップ側縁において、複数の動翼の各々に連なる環状部材(シュラウド)が設けられていない軸流タービンである。そして、このようなシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、ノズル流路を画定するチップ側ノズル壁面およびハブ側ノズル壁面の各々が、ロータの軸線方向において、動翼側に向かって傾斜するように構成された、いわゆるオブリークノズルを採用している。
このようなオブリークノズルを採用することで、隣接する動翼間を流れる流体のハブ側における反動度を高めることで、隣接する動翼間を流れる流体における二次流れ損失を抑制することが出来る。これにより、動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、タービン効率を向上させることが出来る。
二次流れ損失は、以下の2つのメカニズムにより抑制される。
第1に、オブリークノズルを採用することで、ハブ側において、動翼の前縁における流体の圧力が上昇し、ノズル流路から動翼に向かって流れる流体の流れ方向がロータの軸線方向に向かうように(軸線方向とのなす角度がより小さくなるように)変化する。これにより、動翼の形状をより転向角の小さい形状にすることが可能となる。二次流れ損失は動翼の転向角が大きい程に大きくなる。したがって、オブリークノズルを採用し、動翼の形状をより転向角の小さい形状とすることで、二次流れ損失を抑制することが可能となる。
第2に、オブリークノズルを採用することで、ハブ側において、動翼の前縁における流体の圧力が上昇し、動翼の後縁側と前縁側との圧力差を小さくすることが出来る。すなわち、衝動タービンにおいて、動翼の前縁側の圧力と後縁側の圧力とは、ほぼ等しいか、後者の方が若干大きい。このため、この動翼の後縁側と前縁側との圧力差が大きくなる程、後縁側から前縁側に向かって逆流が生じ易くなり、二次流れ損失が増大する。したがって、オブリークノズルを採用し、動翼の後縁側と前縁側との圧力差を小さくすることで、後縁側から前縁側に向かう逆流が生じ難くなり、二次流れ損失を抑制することが可能となる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の軸流タービンにおいて、上記動翼は、動翼の翼高を、ロータの軸線方向における動翼の長さで除して求められる縦横比(アスペクト比)が1以下である。
上記(2)に記載の実施形態によれば、その動翼が、径方向に対して軸方向の方が大きい横長形状に形成される。このような横長形状を有する動翼は、軸方向に対して径方向の方が大きい縦長形状の動翼と比べて、隣接する動翼間を流れる流体における二次流れ損失の影響を相対的に大きく受ける。よって、このような横長形状の動翼を有する軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することで、二次流れ損失を抑制する効果が顕著に発揮される。このため、より効果的にタービン効率を向上させることが可能となる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の軸流タービンにおいて、上記ノズル流路のチップ側ノズル壁面と排出流路のチップ側壁面との接続箇所には、排出流路のチップ側壁面がノズル流路のチップ側ノズル壁面よりも径方向外側に位置するように段部が形成されている。そして、ロータの軸線と動翼の前縁におけるチップ側端との径方向距離R1からロータの軸線と段部の内側端との径方向距離R2を差し引いた距離をδr、ロータの軸線方向における段部の内側端から動翼の前縁までの距離をδa、ロータの軸線方向におけるノズル流路と軸線方向とのなす角度をθ、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービンは、δr/δaが0.5以上であって、且つ、θが0°より大きく10°未満の範囲にある。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の軸流タービンにおいて、上記ノズル流路のチップ側ノズル壁面と排出流路のチップ側壁面との接続箇所には、排出流路のチップ側壁面がノズル流路のチップ側ノズル壁面よりも径方向外側位置するように段部が形成されている。そして、ロータの軸線と動翼の前縁におけるチップ側端との径方向距離R1からロータの軸線と段部の内側端との径方向距離R2を差し引いた距離をδr、ロータの軸線方向における段部の内側端から動翼の前縁までの距離をδa、ロータの軸線方向におけるノズル流路と軸線方向とのなす角度をθ、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービンは、δr/δaが0.5未満であって、且つ、θが10°以上である。
上述したオブリークノズルを採用することによる二次流れ損失を抑制する効果は、ノズル流路の傾斜角である角度θを急角度にする程に効果が高まる。しかしながら、一方において、角度θが大きくなると、ノズル流路と排出流路とのチップ側における接続箇所において剥離が発生し、動翼のチップ側における流体の流れが悪化してタービン効率が低下する。したがって、タービン効率を向上させるためには、動翼のチップ側損失よりも二次流れ損失の抑制効果の方が上回るように、上記角度θを設定する必要がある。
本発明者が実験等により得た知見によれば、δr/δaが0.5以上の場合は、角度θを10°以上にすると、二次流れ損失の抑制効果よりも動翼のチップ側損失が大きくなるデメリットの方が大きくなり、タービン効率が低下する。このため、上記(3)に記載の実施形態では、角度θを0°より大きく10°未満の範囲にするとよい。
また、本発明者が実験等により得た知見によれば、δr/δaが0.5未満の場合は、角度θを10°以上にした場合であっても、二次流れ損失の抑制効果の方が動翼のチップ側損失が大きくなるデメリットを上回っている。このため、上記(4)に記載の実施形態では、角度θを10°以上にするとよい。なお、特に限定されるものではないが、角度θの上限を45°とすることで、隣接する動翼間を流れる流体が排出流路のハブ側壁面に衝突することによる衝突損失を抑制することが出来る。
なお、ノズル流路の傾斜角は、ハブ側とチップ側とで異なっていてもよい。この場合における上記角度θは、ロータの軸線方向におけるハブ側ノズル壁面と軸線方向とのなす角度をθ1、チップ側ノズル壁面と軸線方向とのなす角度をθ2と定義した場合に、θ=(θ1+θ2)/2として定義される。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れかに記載の軸流タービンにおいて、上記静翼は、周方向に隣接する一対の静翼のうちの一方の静翼の腹面と他方の静翼の背面との間の距離が最小となるスロート部が、一方の静翼の腹面において前縁と後縁との間に位置し、且つ、スロート部から一方の静翼の後縁に向かって、一方の静翼の腹面と他方の静翼の背面との間の距離が、スロート部から一方の静翼の後縁に向かうほどに大きくなるように構成される。
このような形状を有するノズルは、いわゆるCDノズルと呼ばれ、超音速の流体が流れるのに適したノズル構造となっている。後述するように、超音速の流体が流れるノズルにオブリークノズルを適用することで、動翼のチップ側におけるチップリーク量の増大を抑制することが出来る。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)の何れかに記載の軸流タービンにおいて、上記静翼は、周方向に隣接する一対の静翼のうちの一方の静翼の後縁と他方の静翼の背面との間に画定される出口部を通過する流体の速度と音速との比であるマッハ数が1より大きくなるように構成される。すなわち、超音速の流体が流れるノズルに構成されている。
上述した図11において説明したように、シュラウドが設けられていない軸流タービンにおいてオブリークノズルを採用すると、チップ側において動翼の前縁における流体の圧力が低下し、これにより、ノズル流路から動翼に向かって流れる流体の流れ方向が周方向に向かうように変化する(図11における符号f)。これにより、動翼の転向角を大きくする必要が生じ、動翼の腹面側と背面側との圧力差が大きくなることで、チップリーク量が多くなってしまう。
しかしながら、超音速の流体が流れるノズルでは、上記で説明したメカニズムの他に、以下のようなメカニズムが作用する。
具体的には、超音速の流体がノズル流路を流れると、衝撃波の影響によって、流体の流れ方向がロータの軸線方向に向かうように(軸線方向とのなす角度がより小さくなるように)変化する。そして、この流れ方向の変化の大きさは、ノズル流路を通過する流体のマッハ数が大きくなる程に大きくなる。ノズル流路を通過する流体のマッハ数は、静翼の前縁における流体の圧力と、動翼の前縁(静翼の後縁)における流体の圧力との圧力差が大きくなるほどに大きくなる。すなわち、超音速の流体が流れるノズルでは、ノズル流路の傾斜角度を急角度にする程に、流体の流れ方向がロータの軸線方向に向かうように変化する。
このように、超音速の流体が流れるノズルでは、動翼の前縁における流体の圧力が低下し、ノズル流路から動翼に向かって流れる流体の流れ方向が周方向に向かうように変化する上述したメカニズムを打ち消すような別のメカニズムが作用する。このため、オブリークノズルを採用した場合であっても、超音速未満の速度の流体が流れる場合と比べて、チップリーク量の増大を抑制することが出来る。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)の何れかに記載の軸流タービンにおいて、上記ロータの軸線方向におけるノズル流路のハブ側ノズル壁面と軸線方向とのなす角度をθ1、ロータの軸線方向におけるノズル流路のチップ側ノズル壁面と軸線方向とのなす角度をθ2、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービンでは、θ1>θ2の関係が成立する。
上述したように、シュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することで、二次流れ損失を抑制することが出来る。しかしながら、一方において、動翼の転向角を大きくする必要があるため、チップリーク量が多くなるとともに、ノズル流路と排出流路とのチップ側における接続箇所において、流体の剥離に伴う動翼のチップ側損失が発生する。この内、二次流れ損失を抑制する効果は、ハブ側ノズル壁面の傾斜角の影響を相対的に強く受け、チップリーク量の増大や剥離に伴う動翼のチップ側損失は、チップ側ノズル壁面の傾斜角の影響を相対的に強く受ける。
したがって、上記(7)に記載の実施形態によれば、ハブ側ノズル壁面の傾斜角がチップ側ノズル壁面の傾斜角よりも大きく形成されるため、二次流れ損失を抑制しつつ、チップリーク量の増大や剥離に伴う動翼のチップ側損失を効果的に抑制することが出来るようになっている。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、動翼のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンにおいて、オブリークノズルを採用することで二次流れ損失を抑制し、タービン効率を向上させた軸流タービンを提供することが出来る。
本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおいて、ロータの軸線を含む断面(子午断面)の一部を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおいて、二次流れを抑制するメカニズムを説明するための説明図である。 本発明の一実施形態にかかる動翼の子午面形状を示した断面図である。 本発明の一実施形態にかかる静翼と動翼との接続箇所近傍の断面(子午断面)を拡大して示した断面図である。 ノズル流路の傾斜角とタービン効率との関係を示したグラフである。 (a)は本発明の一実施形態にかかる静翼を周方向に展開して示した図であり、(b)は比較形態にかかる静翼を周方向に展開して示した図である。 本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおいて、超音速流れにおけるチップリーク量の増大を抑制するメカニズムを説明するための説明図である。 本発明の一実施形態にかかるノズル流路の断面形状(子午断面形状)を示した断面図である。 本発明の一実施形態にかかるノズル流路の断面形状(子午断面形状)を示した断面図である。 シュラウドが設けられている動翼におけるチップリークの発生メカニズムを説明するための図である。 シュラウドが設けられていない動翼におけるチップリークの発生メカニズムを説明するための図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
また、以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおいて、ロータの軸線を含む断面(子午断面)の一部を示す断面図である。また図2は、本発明の一実施形態にかかる軸流タービンにおいて、二次流れを抑制するメカニズムを説明するための説明図である。図2の(a)は軸流タービンの要部断面図(子午断面図)であり、図2の(b)は、(a)の要部断面図に対応するハブ側の部分を周方向に展開して示した図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかる軸流タービン1は、軸線CL周りに回転するロータ2と、ロータ2を回転可能に収容するケーシング4と、ケーシング4に対して固定される複数の静翼6と、ロータ2に対して固定される複数の動翼8と、を備えている。
ロータ2は、軸線CL方向に沿って延在する棒状の本体部2Aと、本体部2Aの一部において全周にわたって径方向に拡大した拡径部2Bと、を有する。拡径部2Bは、本体部2Aと接続する基端部2Baと、基端部2Baの先端側に接続する先端部2Bbと、からなる。基端部2Baは、断面視において、軸線CLからの距離が離れるにつれて軸方向幅が小さくなるような台形状に形成される。先端部2Bbは、断面視において、長方形状に形成される。そして、先端部2Bbの外周面14hには、後述する動翼8が固定されている。
ケーシング4は、環状のスクロール流路15(入口車室)、及びこれに連通するノズル流路12が内部に形成される入口側ケーシング部材4Aと、ノズル流路12を通過した流体が流れる排出流路14が内部に形成される出口側ケーシング部材4と、が軸線CL方向に沿って互いに連結されることで構成されている。幾つかの実施形態では、上述した流体は、燃焼ガスまたは蒸気を含む。
ノズル流路12は、図2の(a)に示すように、径方向において、入口側ケーシング部材4Aの内壁であるチップ側ノズル壁面12t及びハブ側ノズル壁面12hによって画定されている。幾つかの実施形態では、ノズル流路12は、ロータ2の周方向における少なくとも一部の区間に形成される。
排出流路14は、図1及び図2の(a)に示すように、径方向において、出口側ケーシング部材4Bの内壁であるチップ側壁面14t及びロータ2の先端部2Bbの外周面14hによって画定されている動翼通過部14Aを有している。この動翼通過部14Aは、上述したロータ2の回転と共に回転する複数の動翼8の各々が通過する空間である。
また、入口側ケーシング部材4A、及び出口側ケーシング部材4Bの内部には、それぞれ軸受5A、5Bが収容されている。これら軸受5A、5Bによって、ケーシング4の内部において、ロータ2が回転可能に支持されている。
静翼6は、図2の(a)に示すように、そのチップ側縁6tがノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tに固定されるとともに、そのハブ側縁6hがノズル流路12のハブ側ノズル壁面12hに固定されている。また、複数の静翼6の各々は、ロータ2の周方向における少なくとも一部の区間、すなわち、周方向においてノズル流路12が形成されている範囲において、互いに間隔をあけて周方向に配列されている。
動翼8は、図2の(a)に示すように、そのハブ側縁8hが、上述したロータ2の先端部2Bbの外周面14hに固定されている。また、動翼8は、そのチップ側縁8tがチップ側壁面14tとの間で所定の隙間TCを存するように配置されている。また、複数の動翼8の各々は、ロータ2の先端部2Bbの外周面14hの周方向における全周にわたって、互いに間隔をあけて周方向に配列されている。そして、複数の動翼8の各々は、ロータ2と共に回転するように構成されている。
また、上述した軸流タービン1は、その動翼8のチップ側縁8tにおいて、複数の動翼8の各々に連なる環状部材を備えていない。すなわち、本発明の一実施形態にかかる軸流タービン1は、動翼8のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービンである。
そして、図2の(a)に示すように、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tおよびハブ側ノズル壁面12hの各々は、ロータ2の軸線CL方向において、動翼8側に向かってロータ2の軸線CLとの距離が短くなるように傾斜している。すなわち、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tおよびハブ側ノズル壁面12hの各々は、ロータ2の軸線CL方向において、動翼8側に向かって径方向外側から内側に向かって傾斜している。
このような実施形態にかかる軸流タービン1は、動翼8のチップ側縁8tにおいて、複数の動翼8の各々に連なる環状部材(シュラウド)が設けられていない軸流タービン1である。そして、このようなシュラウドが設けられていない軸流タービン1において、ノズル流路12を画定するチップ側ノズル壁面12tおよびハブ側ノズル壁面12hの各々が、ロータ2の軸線CL方向において、動翼8側に向かって傾斜するように構成された、いわゆるオブリークノズル12Aを採用している。
このようなオブリークノズル12Aを採用することで、隣接する動翼8間を流れる流体のハブ側における反動度を高めることで、隣接する動翼8間を流れる流体における二次流れ損失を抑制することが出来る。これにより、動翼8のチップ側にシュラウドが設けられていない軸流タービン1において、タービン効率を向上させることが出来る。
二次流れ損失は、以下の2つのメカニズムにより抑制される。
第1に、オブリークノズル12Aを採用することで、ハブ側において、動翼8の前縁8fにおける流体の圧力が上昇し、ノズル流路12から動翼8に向かって流れる流体の流れ方向がロータ2の軸線CL方向に向かうように(軸線CL方向とのなす角度がより小さくなるように)変化する。
すなわち、図2の(b)に示すように、ハブ側において、動翼8の前縁8fにおける流体の圧力が上昇すると、静翼6の前縁6fにおける流体の圧力(P0)と動翼の前縁8fにおける流体の圧力(P1+ΔP)との圧力差(P0−P1−ΔP)が小さくなり、ノズル流路12から流出する流体の流出速度が低下する(C´→C)。そして、動翼8の回転速度(V)が一定とすると、その相対的な流出方向は、上述したように、ロータ2の軸線CL方向に向かうように変化(W´→W)する。これにより、図2(b)において一点鎖線で示したように、動翼8の形状をより転向角の小さい形状にすることが可能となる。上述したように、二次流れ損失は動翼8の転向角が大きい程に大きくなる。したがって、オブリークノズル12Aを採用し、動翼8の形状をより転向角の小さい形状とすることで、二次流れ損失を抑制することが可能となる。
第2に、オブリークノズル12Aを採用することで、ハブ側において、動翼8の前縁8fにおける流体の圧力(P1+ΔP)が上昇し、動翼8の後縁側と前縁側との圧力差(P2−P1−ΔP)を小さくすることが出来る。すなわち、衝動タービンにおいて、動翼8の前縁側の圧力(P1)と後縁側の圧力(P2)とは、ほぼ等しいか、後者の方が若干大きい。このため、この動翼8の後縁側と前縁側との圧力差が大きくなる程、後縁側から前縁側に向かって逆流が生じ易くなり、二次流れ損失が増大する。したがって、オブリークノズル12Aを採用し、動翼8の後縁側と前縁側との圧力差(P2−P1−ΔP)を小さくすることで、後縁側から前縁側に向かう逆流が生じ難くなり、二次流れ損失を抑制することが可能となる。
幾つかの実施形態では、図3の(a)に示したように、動翼8は、動翼8の翼高Hv1を、ロータ2の軸線CL方向における動翼8の長さLv1で除して求められる縦横比(アスペクト比=Hv1/Lv1)が1以下である。
このような実施形態によれば、その動翼8が、径方向に対して軸方向の方が大きい横長形状に形成される。このような横長形状を有する動翼8は、図3の(b)に示す軸方向に対して径方向の方が大きい縦長形状の動翼8と比べて、隣接する動翼8間を流れる流体における二次流れ損失の影響を相対的に大きく受ける。よって、このような横長形状の動翼8を有する軸流タービン1において、オブリークノズル12Aを採用することで、二次流れ損失を抑制する効果が顕著に発揮される。このため、より効果的にタービン効率を向上させることが可能となる。
幾つかの実施形態では、図4の(a)に示したように、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tと排出流路14のチップ側壁面14tとの接続箇所には、排出流路14のチップ側壁面14tがノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tよりも径方向外側に位置するように段部16が形成されている。そして、ロータ2の軸線CLと動翼8の前縁8fにおけるチップ側端8faとの径方向距離R1からロータ2の軸線CLと段部16の内側端16aとの径方向距離R2を差し引いた距離をδr、ロータ2の軸線CL方向における段部16の内側端16aから動翼8の前縁8fまでの距離をδa、ロータ2の軸線CL方向におけるノズル流路12と軸線CL方向とのなす角度をθ、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービン1は、δr/δaが0.5以上であって、且つ、θが0°より大きく10°未満の範囲にある。
幾つかの実施形態では、図4の(b)に示したように、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tと排出流路14のチップ側壁面14tとの接続箇所には、排出流路14のチップ側壁面14tがノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tよりも径方向外側位置するように段部16が形成されている。そして、ロータ2の軸線CLと動翼8の前縁8fにおけるチップ側縁8tとの径方向距離R1からロータ2の軸線CLと段部16の内側端16aとの径方向距離R2を差し引いた距離をδr、ロータ2の軸線CL方向における段部16の内側端16aから動翼8の前縁8fまでの距離をδa、ロータ2の軸線CL方向におけるノズル流路12と軸線CL方向とのなす角度をθ、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービン1は、δr/δaが0.5未満であって、且つ、θが10°以上である。
上述したオブリークノズル12Aを採用することによる二次流れ損失を抑制する効果は、ノズル流路12の傾斜角である角度θを急角度にする程に効果が高まる。しかしながら、一方において、角度θが大きくなると、ノズル流路12と排出流路14とのチップ側における接続箇所において剥離が発生し、動翼8のチップ側における流体の流れが悪化してタービン効率が低下する。したがって、タービン効率を向上させるためには、動翼8のチップ側損失よりも二次流れ損失の抑制効果の方が上回るように、上述した角度θを設定する必要がある。
本発明者が実験等により得た知見によれば、δr/δaが0.5以上の場合は、角度θを10°以上にすると、二次流れ損失の抑制効果よりも動翼のチップ側損失が大きくなるデメリットの方が大きくなり、タービン効率が低下する。このため、図4の(a)に示した実施形態では、角度θを0°より大きく10°未満の範囲にするとよい。
図5は、δr/δaが0.5未満からなるCDノズルのノズル流路12の傾斜角θとタービン効率との関係を示したグラフである。
本発明者が実験等により得た知見によれば、図5に示すように、δr/δaが0.5未満の場合は、角度θを10°以上にした場合であっても、二次流れ損失の抑制効果の方が動翼のチップ側損失が大きくなるデメリットを上回っている。このため、図4の(b)に示した実施形態では、角度θを10°以上にするとよい。
なお、特に限定されるものではないが、角度θの上限を45°(10°≦θ≦45°)とすることで、隣接する動翼8間を流れる流体が排出流路14のハブ側壁面(ロータ2の先端部2Bbの外周面14h)に衝突することによる衝突損失を抑制することが出来る。
また、図4の(a)及び(b)に示した実施形態では、θ1とθ2とはともに等しい角度に形成されている(θ1=θ2)。ただし、ノズル流路12の傾斜角は、ハブ側とチップ側とで異なっていてもよい。この場合における上記角度θは、ロータ2の軸線CL方向におけるハブ側ノズル壁面12hと軸線CL方向とのなす角度をθ1、チップ側ノズル壁面12tと軸線CL方向とのなす角度をθ2と定義した場合に、θ=(θ1+θ2)/2として定義される。
図6の(a)は、本発明の一実施形態にかかる静翼を周方向に展開して示した図である。図6の(b)は、比較形態にかかる静翼を周方向に展開して示した図である。
幾つかの実施形態では、図6の(a)に示したように、静翼6は、周方向に隣接する一対の静翼6A、6Bのうちの一方の静翼6Aの腹面6aと他方の静翼6Bの背面6bとの間の距離Aが最小となるスロート部Sが、一方の静翼6Aの腹面6aにおいて前縁6fと後縁6rとの間に位置し、且つ、スロート部Sから一方の静翼6Aの後縁6rに向かって、一方の静翼6Aの腹面6aと他方の静翼6Bの背面6bとの間の距離Aが、スロート部Sから一方の静翼6Aの後縁6rに向かうほどに大きくなるように構成される。
図6の(a)に示した実施形態では、スロート部Sにおける一方の静翼6Aの腹面6aと他方の静翼6Bの背面6bとの間の距離A1は、出口部Oにおける一方の静翼6Aの腹面6aと他方の静翼6Bの背面6bとの間の距離A2に対して、A1<A2となっている。そして、スロート部Sから出口部Oに向かって、距離Aが徐々に大きくなるように構成されている。
このような形状を有するノズルは、いわゆるCDノズルと呼ばれ、超音速の流体が流れるのに適したノズル構造となっている。後述するように、超音速の流体が流れるノズルにオブリークノズル12Aを適用することで、動翼8のチップ側におけるチップリーク量の増大を抑制することが出来る。
一方、図6の(b)に示した比較形態は、超音速未満の流体が流れる通常のノズルである。この比較形態のノズルでは、一方の静翼6´Aの腹面6´aと他方の静翼6´Bの背面6´bとの間の距離が最小となるスロート部S´が、一方の静翼6´Aの腹面6´aの後縁6´rと他方の静翼6´Bの背面6´bとの間に形成されている。
幾つかの実施形態では、上述した実施形態にかかる軸流タービン1において、静翼6は、周方向に隣接する一対の静翼6A、6Bのうちの一方の静翼6Aの後縁6fと他方の静翼6Bの背面6bとの間に画定される出口部Oを通過する流体の速度と音速との比であるマッハ数が1より大きくなるように構成される。すなわち、超音速の流体が流れるノズルに構成されている。
上述した図11において説明したように、シュラウドが設けられていない軸流タービンにおいてオブリークノズル12Aを採用すると、チップ側において動翼8の前縁8fにおける流体の圧力が低下し、これにより、ノズル流路12から動翼8に向かって流れる流体の流れ方向が周方向に向かうように変化する(図11における符号f)。これにより、動翼8の転向角γを大きくする必要が生じ、動翼8の腹面側と背面側との圧力差(P3−P4)が大きくなることで、チップリーク量が多くなってしまう。
しかしながら、超音速の流体が流れるノズルでは、上記で説明したメカニズムの他に、以下のようなメカニズムが作用する。
具体的には、図7の(b)に示したように、チップ側において、超音速の流体がノズル流路12を流れると、衝撃波の影響によって、流体の流れ方向がロータの軸線CL方向に向かうように(軸線方向とのなす角度がより小さくなるように)変化する。そして、この流れ方向の変化の大きさは、ノズル流路12を通過する流体のマッハ数が大きくなる程に大きくなる。
図7の(b)において、矢印f0は、マッハ数が1未満の場合の流体の流れ方向を示し、矢印f1〜f4は、マッハ数が1以上の場合の流体の流れを示している。そして、f1<f2<f3<f4の順に、マッハ数が大きくなっている。
ノズル流路12を通過する流体のマッハ数は、静翼6の前縁6fにおける流体の圧力(P0)と、動翼8の前縁8f(静翼6の後縁6r)における流体の圧力(P1−ΔP)との圧力差(P0+ΔP−P1)が大きくなるほどに大きくなる。すなわち、超音速の流体が流れるノズルでは、そのチップ側において、ノズル流路12の傾斜角度θを急角度にする程に、流体の流れ方向がロータ2の軸線CL方向に向かうように変化する。
このように、超音速の流体が流れるノズル流路12では、動翼8の前縁8fにおける流体の圧力が低下し、ノズル流路12から動翼8に向かって流れる流体の流れ方向が周方向に向かうように変化する上述したメカニズム(図11におけるf→f´)を打ち消すような別のメカニズム(図7におけるf0→f1、f2、f3、f4)が作用する。このため、オブリークノズル12Aを採用した場合であっても、超音速未満の速度の流体が流れる場合と比べて、チップリーク量の増大を抑制することが出来る。
幾つかの実施形態では、図8および図9に示したように、ロータ2の軸線CL方向におけるノズル流路12のハブ側ノズル壁面12hと軸線CL方向とのなす角度をθ1、ロータ2の軸線CL方向におけるノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tと軸線CL方向とのなす角度をθ2、と定義する。この場合において、本実施形態にかかる軸流タービン1では、θ1>θ2の関係が成立する。
図8に示した実施形態では、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tは直線状に形成されている。一方、図9に示した実施形態では、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tは曲線部を有している。この図9に示した実施形態においては、ノズル流路12のチップ側ノズル壁面12tにおける静翼6の前縁6fとの接続箇所を起点部12a、静翼6の後縁6rとの接続箇所を終点部12bとした場合に、起点部12aと終点部12bとを結ぶ仮想線12tiと軸線CL方向とのなす角度をθ2としている。
上述したように、シュラウドが設けられていない軸流タービン1において、オブリークノズル12Aを採用することで、二次流れ損失を抑制することが出来る。しかしながら、一方において、動翼8の転向角γを大きくする必要があるため、チップリーク量が多くなるとともに、ノズル流路12と排出流路14とのチップ側における接続箇所において、流体の剥離に伴う動翼8のチップ側損失が発生する。この内、二次流れ損失を抑制する効果は、ハブ側ノズル壁面12hの傾斜角θ1の影響を相対的に強く受け、チップリーク量の増大や剥離に伴う動翼8のチップ側損失は、チップ側ノズル壁面12tの傾斜角θ2の影響を相対的に強く受ける。
したがって、図8および図9に示したように、ハブ側ノズル壁面12hの傾斜角θ1がチップ側ノズル壁面12tの傾斜角θ2よりも大きく形成されるため(θ1>θ2)、二次流れ損失を抑制しつつ、チップリーク量の増大や剥離に伴う動翼8のチップ側損失を効果的に抑制することが出来るようになっている。
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
1 軸流タービン
2 ロータ
2A 本体部
2B 拡径部
2Ba 基端部
2Bb 先端部
4 ケーシング
4A 入口側ケーシング部材
4B 出口側ケーシング部材
5A 軸受
6,6A,6B 静翼
6a 腹面
6b 背面
6f 前縁
6r 後縁
6h ハブ側縁
6t チップ側縁
8 動翼
8a 腹面
8b 背面
8f 前縁
8r 後縁
8h ハブ側縁
8t チップ側縁
12 ノズル流路
12A オブリークノズル
12h ハブ側ノズル壁面
12t チップ側ノズル壁面
14 排出流路
14A 動翼通過部
14h ロータの拡径部における先端部の外周面(ハブ側壁面)
14t ケーシングの内周面(チップ側壁面)
15 スクロール流路
16 段部
16a 内側端

Claims (7)

  1. 軸流タービンであって、
    軸線周りに回転するロータと、
    前記ロータを回転可能に収容するケーシングと、
    前記ケーシングに対して固定され、且つ、前記ロータの周方向における少なくとも一部の区間にわたって前記周方向に配列された複数の静翼と、
    前記ロータに対して固定され、且つ、前記ロータの周方向における全周にわたって前記周方向に配列された複数の動翼であって、前記動翼のチップ側縁において、前記複数の動翼の各々に連なる環状部材が設けられていない複数の動翼と、を備え、
    前記ケーシングの内部には、
    前記複数の静翼が配置されるノズル流路であって、前記静翼のチップ側縁が固定されるチップ側ノズル壁面、及び前記静翼のハブ側縁が固定されるハブ側ノズル壁面で画定されるノズル流路と、
    前記ロータと共に回転する前記複数の動翼の各々が通過する動翼通過部を有し、且つ、前記ノズル流路を通過した流体が流れる排出流路と、が形成されており、
    前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面および前記ハブ側ノズル壁面の各々は、前記ロータの軸線方向において、前記動翼側に向かって傾斜している
    軸流タービン。
  2. 前記動翼は、前記動翼の翼高を、前記ロータの前記軸線方向における前記動翼の長さで除して求められる縦横比が1以下である
    請求項1に記載の軸流タービン。
  3. 前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面と前記排出流路のチップ側壁面との接続箇所には、前記排出流路の前記チップ側壁面が前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面よりも径方向外側に位置するように段部が形成されており、
    前記ロータの前記軸線と前記動翼の前縁におけるチップ側端との径方向距離R1から前記ロータの前記軸線と前記段部の内側端との径方向距離R2を差し引いた距離をδr、
    前記ロータの前記軸線方向における前記段部の内側端から前記動翼の前縁までの距離をδa、
    前記ロータの前記軸線方向における前記ノズル流路と前記軸線方向とのなす角度をθ、と定義した場合に、
    δr/δaが0.5以上であって、且つ、θが0°より大きく10°未満の範囲にある
    請求項1または2に記載の軸流タービン。
  4. 前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面と前記排出流路のチップ側壁面との接続箇所には、前記排出流路の前記チップ側壁面が前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面よりも径方向外側位置するように段部が形成されており、
    前記ロータの前記軸線と前記動翼の前縁におけるチップ側端との径方向距離R1から前記ロータの前記軸線と前記段部の内側端との径方向距離R2を差し引いた距離をδr、
    前記ロータの前記軸線方向における前記段部の内側端から前記動翼の前縁までの距離をδa、
    前記ロータの前記軸線方向における前記ノズル流路と前記軸線方向とのなす角度をθ、と定義した場合に、
    δr/δaが0.5未満であって、且つ、θが10°以上である
    請求項1または2に記載の軸流タービン。
  5. 前記静翼は、前記周方向に隣接する一対の前記静翼のうちの一方の前記静翼の腹面と他方の前記静翼の背面との間の距離が最小となるスロート部が、前記一方の静翼の腹面において前縁と後縁との間に位置し、且つ、前記スロート部から前記一方の静翼の前記後縁に向かって、前記一方の静翼の腹面と前記他方の静翼の背面との間の距離が、前記スロート部から前記一方の静翼の前記後縁に向かうほどに大きくなるように構成される
    請求項1から4の何れか一項に記載の軸流タービン。
  6. 前記静翼は、前記周方向に隣接する一対の前記静翼のうちの一方の前記静翼の後縁と他方の前記静翼の背面との間に画定される出口部を通過する前記流体の速度と音速との比であるマッハ数が1より大きくなるように構成される
    請求項1から5の何れか一項に記載の軸流タービン。
  7. 前記ロータの前記軸線方向における前記ノズル流路の前記ハブ側壁ノズル面と前記軸線方向とのなす角度をθ1、
    前記ロータの前記軸線方向における前記ノズル流路の前記チップ側ノズル壁面と前記軸線方向とのなす角度をθ2、と定義した場合に、
    θ1>θ2の関係が成立する
    請求項1から6の何れか一項に記載の軸流タービン。
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