JP2017122265A - 三次元造形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】三次元造形物の造形過程の最後までレーザービームによる薄層の加熱状態が適切に保たれ易い三次元造形装置を提供する。【解決手段】造形ステージ5及び供給機構7は、原料粉体1の薄層1aを形成する。処理室4は、造形ステージ5を収容する。レーザー発振器30及び光学系31は、処理室4に設けられた透過部材3を透過したレーザービームにより薄層1aを加熱して積層させることにより三次元造形物2を造形する。制御部20は、レーザービームLBによる固化領域1eの加熱に伴う透過部材3の透過率の低下を補うように、三次元造形物2の造形に伴ってレーザー発振器30のレーザービーム出力の増加処理を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、容器内に形成された原料粉体の薄層を、透過部材を透過させたレーザービームにより加熱して積層する三次元造形装置に関する。
原料粉体の薄層を形成する薄層形成工程と、原料粉体の薄層をレーザービームにより加熱して積層させる加熱工程と、を繰り返して三次元造形物を形成する三次元造形装置、いわゆる3Dプリンタが開発されている。三次元造形装置において、減圧した容器内で加熱工程を行うことが好ましい場合、減圧した容器内で原料粉体の薄層を形成し、容器に設けた透過部材を透過したレーザービームによって容器内の薄層を加熱することが考えられる。
特許文献1には、減圧した容器内に配置した金属塊を、容器に設けた透過部材を透過させたレーザービームにより加熱して蒸発させる蒸着装置が示される。また、特許文献2には、レンズを透過させたレーザービームにより金属板の溶接や溶断を行うレーザー加工機が示される。
特開昭63−176462号公報 特開平2−121788号公報
透過部材を透過したレーザービームにより容器内の薄層を加熱する三次元造形装置では、加熱された薄層から蒸発した物質が透過部材の内面に付着してレーザービームの透過量を減少させることが判明した。
そこで、特許文献1を参考にして、容器内にレーザーパワーを検知するセンサを設け、検知結果をレーザービーム出力にフィードバックして薄層の加熱状態を一定に保つように、レーザービーム出力を増加させる制御が考えられた。しかし、容器内のセンサにも加熱された薄層から蒸発した物質が付着してセンサの感度が低下するため、三次元造形装置の造形過程の最後に近付くほどレーザービームによる薄層の加熱状態が過剰になる。
また、特許文献2を参考にして、三次元造形物の造形過程を通じて所定の関数に従ってレーザービーム出力を増加させ続ける制御が考えられた。しかし、単純なレーザー加工装置とは異なり、三次元造形装置では、三次元造形物の形状や薄層の加熱条件が異なると、三次元造形物の造形時の透過部材の透過率の変化状態が大きく異なる。このため、三次元造形物の造形過程の最後に近付くほどレーザービームによる薄層の加熱状態が不適切になり易い。
本発明は、三次元造形物の造形過程の最後までレーザービームによる薄層の加熱状態が適切に保たれ易い三次元造形装置を提供することを目的としている。
本発明の三次元造形装置は、原料粉体の薄層を形成する薄層形成部と、前記薄層形成部を収容する容器と、前記容器に設けられた透過部材と、前記透過部材を透過したレーザービームにより前記薄層の固化領域を加熱して積層させることにより三次元造形物を造形する加熱手段と、前記加熱手段による前記固化領域の加熱に伴う前記透過部材の透過率の低下を補うように前記三次元造形物の造形に伴って前記加熱手段のレーザービーム出力の増加処理を実行する制御部と、を備えるものである。
本発明によれば、制御部が、加熱手段による固化領域の加熱に伴う透過部材の透過率の低下を補うように、三次元造形物の造形に伴って加熱手段のレーザービーム出力の増加処理を実行する。このため、三次元造形物の造形過程の最後までレーザービームによる薄層の加熱状態が適切に保たれ易い。
実施の形態1の三次元造形装置の構成の説明図である。 レーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。 三次元造形物の造形プロセス制御のフローチャートである。 レーザーパワー低下率算出制御のフローチャートである。 レーザービーム出力補正制御のフローチャートである。 実施例1における三次元造形物の説明図である。 実施の形態2におけるレーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<実施の形態1>
(三次元造形装置)
図1は実施の形態1の三次元造形装置の構成の説明図である。図1に示すように、三次元造形装置100は、金属の原料粉体1の薄層1a上の固化領域1eをレーザービームで加熱して溶融させ、溶融した固化領域1eを積層して三次元造形物2を造形する粉末床溶融結合方式のいわゆる3Dプリンタである。三次元造形装置100は、不活性ガス雰囲気や高真空雰囲気等の低酸素雰囲気を設定して粉末床溶融結合方式の造形を行うので、三次元造形物2の酸化が防止され、三次元造形物2の機械強度も向上する。
容器の一例である処理室4は、薄層形成部の一例である造形ステージ5及び供給機構7を収容する。処理室4は、幅1500mm、奥行き1000mm、高さ900mmの容積を有してステンレスで形成され、外気から密閉可能である。処理室4には、真空計16が接続されている。真空計16は、処理室4内の真空度(圧力)を検知する。
減圧部の一例である排気機構13は、処理室4を減圧する。排気機構13は、処理室4内の空気を排気して処理室4内の酸素を減少させる。排気機構13は、ドライポンプとターボ分子ポンプを直列に接続して構成され、処理室4の到達真空度は1×10−4Paである。排気機構13は、処理室4との接続部に開口量を調整可能な開口調整弁を有する。
物質供給部の一例であるガス供給機構12は、排気機構13により減圧された処理室4に物質を供給して固化領域1eをレーザービームで加熱する際の雰囲気を形成する。ガス供給機構12は、マスフロメータ12aを通じて各種の反応ガスを一定流量で処理室4に供給可能である。ガス供給部12bは、窒素ガス、水素ガス、炭化水素ガス、アルゴンガス等を、任意の混合割合でマスフロメータ12aに供給可能である。
三次元造形装置100は、処理室4に取り付けられた透過部材3を透過させて処理室4の外部からレーザービームLBを処理室4内へ入射させて、低酸素雰囲気の処理室4内で三次元造形物2の造形を行う。処理室4は、造形テーブル11から垂直方向に565mm離れた位置に、直径294mm、厚み20mmの円板形状の透過部材3を設置している。透過部材3の材質は、合成石英の板の両面に反射防止膜をコーティングしたもので、レーザー発振器30のレーザービームに対する初期の透過率が99%以上である。
(レーザー発振器)
加熱手段の一例であるレーザー発振器30及び光学系31は、処理室4に設けられた透過部材3を透過したレーザービームにより薄層1aの固化領域1eを加熱して積層させる。レーザー発振器30で発生させたレーザービームLBは、ファイバケーブル32により光学系31に導かれ、光学系31から透過部材3を通じて造形ステージ5の薄層1aに到達する。レーザー発振器30は、最大出力が500W、波長が1070nmのYAGレーザー発振器である。光学系31は、反射ミラー、ガルバノミラー、fθレンズを含む。光学系31は、ガルバノミラーを作動させて、レーザービームLBのビームスポットを造形ステージ5の薄層1a上の任意の領域へ移動させて走査することができる。
(造形ステージ)
処理室4は、造形テーブル11を収容して造形テーブル11の上方をドーム状に覆っている。造形テーブル11は、造形ステージ5に隣接して供給ステージ6を配置している。供給ステージ6は、サーボモーター6a、ボールねじ6b、及びリニアガイド6cから構成される昇降機構6mを有する。供給ステージ6は、造形ステージ5に供給する原料粉体を蓄積する。
造形ステージ5は、サーボモーター5a、ボールねじ5b、及びリニアガイド5cから構成される昇降機構5mを有する。造形ステージ5は、原料粉体の所定領域をレーザービームLBにより溶融し積層して三次元造形物2を形成する場所である。造形ステージ5は、補助加熱手段の一例であるヒーターユニット9を設置されている。ヒーターユニット9は、三次元造形物2の造形時に、レーザー発振器30のレーザービーム出力により加熱される薄層1aを補助加熱する。
(供給機構)
供給機構7は、造形ステージ5に原料粉体1の薄層1aを形成する。供給機構7は、直動機構7bにより供給ローラ7aを駆動して、造形テーブル11の上面に沿って供給ステージ6から造形ステージ5へ向かって移動させる。これにより、供給ステージ6の原料粉体が造形ステージ5へ移動する。
供給ローラ7aは、供給ローラ7aを駆動造形テーブル11に対してカウンタ方向に回転させて、造形ステージ5の上面で原料粉体をすり切りつつ移動する。これにより、造形ステージ5に原料粉体の薄層が形成される。
(レーザーパラメータ作成制御)
図2はレーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。図2に示すように、制御部20とは異なるコンピュータ25は、レーザーパラメータ作成制御を実行して、レーザーパラメータを含む薄層1aの加熱条件を作成する(S10)。レーザーパラメータは、薄層1aの固化領域1eにおける各部のレーザーパワーを規定している。レーザーパラメータは、輪郭(垂直面)、内部、表面(水平面)ごとに個別に指定できる。また、レーザービームLBの走査経路、領域ごとの加熱順序も自由に設計可能である。
制御部20は、目的とする三次元造形物の設計データ(CADデータ)に基づいて三次元造形物の3Dモデルを作成する(S11)。制御部20は、三次元造形物の3Dモデルに自立性が無い場合、加工中の自立性を付与するためのサポート部材を追加して3Dモデルを修正する(S12)。制御部20は、スライサーソフトウェアにより三次元造形物の3Dモデルを薄層の厚みでスライスして、薄層1aの一層分の固化領域1eを求める(S13)。制御部20は、固化領域1eの部分ごとに必要な加熱量を演算して、レーザーパラメータを設定し、レーザーパラメータを含む加熱条件を作成して、制御部20のRAM26に保存する(S14)。加熱条件であるレーザーパラメータは、レーザービーム出力、ビームスポット径、走査速度等をレーザービームの走査経路に沿って規定している。
加熱条件は、原料粉体1の種類と、レーザービーム出力と、レーザービームのビームスポット径と、レーザービームの走査速度と、処理室4内の雰囲気の種類及び圧力(真空度)と、ヒーターユニット9による薄層1aの補助加熱条件を含む。上述したレーザーパラメータ、造形材料、造形点温度等も含む。
(造形プロセス制御)
図3は三次元造形物の造形プロセス制御のフローチャートである。図3に示すように、三次元造形装置100は、三次元造形方法の一例である造形プロセス制御を実行して三次元造形装置100を制御することにより三次元造形物2を造形する(S20)。記録媒体22は、制御部20とは異なるコンピュータ25で生成された三次元造形物2の加工プログラムを記録されている。制御部20は、読取装置21を通じて記録媒体22から三次元造形物2の加工スケジュールをRAM26に読み込む。CPU27は、ROM28から読み込んだ制御プログラム、各種データ、及び三次元造形物2の加工スケジュールをRAM26に保持して三次元造形物2の造形プロセスを制御する。
材料供給工程では、供給ステージ6を下降させた状態で、ユーザーが供給ステージ6の上部に原料粉体を供給することにより、供給ステージ6に材料となる原料粉体1を供給する(S21)。その後、ユーザーは、制御部20に対して、造形プロセス開始の指令操作を行う。環境調整工程では、制御部20は、排気機構13及びガス供給機構12により処理室4内の雰囲気を調整し、ヒーターユニット9により造形ステージ5の原料粉体を所望の温度に加熱する(S22)。制御部20は、処理室4を、排気機構13により真空度1×10−2Paまで排気して雰囲気中の酸素を減少させる。
その後、マスフロメータ12aを通じて炭化反応の反応ガスを処理室4内に導入して、処理室4内を、低酸素濃度かつ所定圧力の炭化反応ガス雰囲気に調整する。造形プロセスの実行中、ガス供給機構12によって処理室4に気体物質を供給しつつ、真空計16の出力に応じて排気機構13の開口調整弁を調整することで、処理室4内を所望の雰囲気と真空度とに維持する。
薄層形成工程では、制御部20が供給機構7を制御して、造形ステージ5の上に原料粉体1の厚みΔZの薄層1aを形成する(S23)。制御部20は、最初に、造形ステージ5の原料粉体の上面が造形テーブル11の上面よりもΔZ1低くなるように造形ステージ5を下降させる(ΔZ1≧ΔZ)。続いて、供給ステージ6の原料粉体の上面が造形テーブル11の上面よりもΔZ2高くなるように、供給ステージ6を上昇させる(ΔZ2≧ΔZ)。
そして、制御部20は、通常はΔZ2≧ΔZ1として、供給ローラ7aを回収容器8まで移動させる。このとき、供給ローラ7aによりすり切られた余分な原料粉体は、回収容器8に回収して再利用される。その後、制御部20は、造形ステージ5を原料粉体1の薄層1aの厚みがΔZとなるまで上昇させる。続いて、制御部20は、供給ローラ7aを造形テーブル11に対してウイズ方向に回転させつつ供給ステージ6の原点位置に移動させる。原料粉体1の薄層1aに供給ローラ7aを押圧して圧縮することにより、薄層1aの原料粉体の密度を高める。
制御部20は、事前に設定してレジスタに保存されているレーザーパラメータを含む加熱条件データを呼び出して加熱積層工程を準備する(S24)。後述するように、出力増加工程である条件呼出工程では、制御部20が、レーザービーム出力の増加処理を実行して、レーザー発振器30のレーザービーム出力を増加させる(S24)。
制御部20は、レーザー発振器30のレーザービーム出力による加熱積層工程を開始する(S25)。積層工程である加熱積層工程(S25)では、制御部20がレーザー発振器30及び光学系31を制御して、固化領域1eを加熱して積層させる。加熱積層工程では、指定されたレーザービーム出力をレーザー発振器30から出力させて、造形テーブル11の原料粉体の薄層1aの固化領域1eを溶融又は焼結させる。
制御部20は、造形が完了するまで(S26のNo)、薄層形成工程(S23)、加熱条件データの呼び出し(S24)、及び加熱積層工程(S25)を繰り返して、造形テーブル11に目的とする三次元造形物を造形する。制御部20は、造形が完了すると(S26のYes)、造形品取出工程を実行する(S27)。造形品取出工程では、三次元造形物の冷却を待って処理室4内を大気圧に戻し、三次元造形物の取り出しを許可する。
(透過部材の透過率低下)
図1に示すように、三次元造形物2において金属材料の所望の機能/特性を得るためには、原料粉体1の薄層1aの固化領域1eの各部に過不足の無いエネルギーを供給する必要がある。そのため、薄層1aの固化領域1eに照射するレーザービーム出力は厳密に管理しなければならない。
しかし、原料粉体1を溶融して積層する際には、レーザービームの照射点から金属蒸気や金属蒸気が凝集した微細な粒子(以下、ヒュームと呼ぶ)が発生し、ヒュームが透過部材3に付着して透過部材3のレーザービーム透過率が次第に低下する。その結果、三次元造形物2の造形過程の最初と最後とでは同じレーザービーム出力をレーザー発振器30から出力しても、透過部材3を透過して薄層1aの固化領域1eに到達する加熱エネルギーが異なってくる。三次元造形物2の造形過程の後半では、透過部材3のレーザービーム透過率が低下して、薄層1aの固化領域1eに所望の加熱エネルギーを供給できなくなる。
そこで、レーザー発振器30のレーザービーム出力を出力時間の累積値に比例して増加させる増加制御が提案された。しかし、薄層1aの固化領域1eの加熱条件が少し違うだけで、ヒューム発生量が大きく異なるため、三次元造形物2の造形過程でレーザービーム出力を単純に増加させるだけでは正確な増加制御を行うことができない。そして、加熱条件の組み合わせは、三次元造形物ごと、更には同一の三次元造形物内においても変化する。その結果、造形された三次元造形物の部分ごとに加熱量の過不足が生じて、熱変形、溶融不良、強度不足等が発生する可能性がある。
そこで、実施の形態1では、レーザーパワー低下率算出制御(S30:図4)により設定されたレーザーパワー低下率を用いて、レーザーパラメータ作成制御(S10:図2)で設定したレーザービーム出力指示値Pを薄層1aごとに補正している。これにより、薄層1aごとに加熱条件が変化した場合でも、透過部材3のレーザービーム透過率の低下量を予測して、レーザービーム出力を適正に増加させることを可能にした。
(レーザーパワー低下率算出制御)
図4はレーザーパワー低下率算出制御のフローチャートである。図4に示すように、ユーザーは、レーザーパワー低下率算出制御を実行して、制御部20が増加処理(S24:図3)を行うために必要なレーザービーム出力の増加量を求める(S30)。レーザーパワー低下率算出制御では、制御部20が薄層1aの加熱領域に対する加熱条件ごとのレーザーパワー低下率を実験により求める(S30)。レーザーパワー低下率は、レーザービーム出力の単位時間、単位出力当たりの透過部材3の透過率の低下量を表す。
制御部20は、加熱積層工程(S25:図3)で使用される薄層1aの固化領域1eの加熱条件を呼び出す(S31)。造形前透過率測定では、ユーザーが大気圧雰囲気において造形ステージ5上にパワーメータ33を設置し、光学系31と透過部材3の透過率を測定する(S32)。
試験造形では、上述した環境調整工程(S22:図3)を行った後、加熱条件iにて一定時間tの試験造形を行う(S33)。時間tの間、レーザービーム出力、スポット径、走査速度、ヒーター出力、雰囲気の種類と圧力、造形点温度、原料粉体は変化させずに、加熱積層工程(S25:図3)を行う。
試験造形(S33)では、薄層形成工程として、供給機構7により三次元造形物2を造形する際と等しく原料粉体1の薄層1aを形成する。そして、積層工程として、レーザー発振器30及び光学系31により薄層1aの試験領域を加熱条件の1つの組み合わせで加熱して試験回数の積層を行う。
造形後透過率測定(S34)では、試験造形後、ユーザーが処理室4を大気圧雰囲気に戻し、大気圧雰囲気において造形ステージ5上にパワーメータ33を設置し、光学系31と透過部材3の透過率を測定する(S34)。すなわち、造形前透過率測定(S32)及び増加後透過率測定(S34)では、測定工程として、少なくとも固化領域1eの積層工程後に透過部材3の透過率を測定する。
低下率算出(S35)では、生成工程として、透過率の測定結果に基づいてレーザービーム出力の増加量を生成する。
ここで、造形前透過率測定(S32)におけるレーザービーム出力の指示値をPとし、測定値をPi,aとする。また、増加後透過率測定(S34)におけるレーザービーム出力の指示値を造形前透過率測定(S32)と同一のPとし、測定値をPi,bとする。このとき、低下率算出工程(S35)では、単位時間、単位レーザービーム出力当たりのレーザーパワー低下率Jを次式により算出する。
=(Pi,a−Pi,b)/(P×t) ・・・(1)
(レーザービーム出力補正制御)
図5はレーザービーム出力補正制御のフローチャートである。図5に示すように、制御部20は、レーザービーム出力補正制御であるレーザーパワー補正制御を実行して、レーザービーム出力の増加スケジュールを自ら生成する(S40)。制御部20は、透過部材3の透過率の予測結果に基づいて補正係数Kを求め、レーザーパラメータ作成制御(S10)で設定したレーザービーム出力指示値Pを、補正係数Kにより補正する。
レーザーパラメータ作成制御(S10)で設定した造形点に供給すべきレーザービーム出力指示値Pと、補正係数Kと、透過部材3の透過率の低下に伴うレーザービーム出力指示値Pの不足を補うために必要なレーザービーム出力指示値P´と、の関係は次式のようになる。
P´=(1/K) × P ・・・(2)
制御部20は、1層目の補正係数K1は、前回の三次元造形物の最終層の薄層の造形終了後の補正係数Kpを呼出して使用する(S41)。制御部20は、前回の造形後に透過部材3の交換/清掃を行った場合(S42のYes)、補正係数K1のリセットまたは修正を行う(S47)。制御部20は、前回の造形後に透過部材3の交換/清掃を行っていない場合(S42のNo)、レーザーパラメータをレジスタから呼出し、式(2)によりレーザービーム出力指示値P´の補正を行う(S43)。
制御部20は、推定工程として、固化領域1eの加熱条件に基づいて透過部材3の透過率の低下状態を予測する(S44)。制御部20は、レーザーパワー低下率測定で求めたi層目の造形において造形点に到達するレーザービーム出力の低下量を予測する(S44)。
制御部20は、生成工程として、推定した透過部材3の透過率の低下状態に基づいてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する(S43〜S46)。制御部20は、レーザービーム出力の低下量の予測結果に基づいて補正係数Kpを算出し、制御部20のRAM26(レジスタ)に上書きする(S45)。制御部20は、薄層の第1層目から最終層まで(S46のNo)、レーザービーム出力指示値P´の補正(S43)、出力低下量の予測(S44)、補正係数Kの更新(S45)を繰り返す。
制御部20は、i層目のレーザーパラメータから、各レーザービーム出力でのレーザー発振時間を求める。ここで、i層目における条件1〜nまでのレーザー発振時間をt1,i〜tn,iとし、i+1層目の補正係数をKi+1とすると、補正係数Ki+1は次式で表わされる。
i+1=K×(J×t1,i)×(J×t2,i)×・・×(J×tn,i)・・・(3)
これにより、薄層の1層毎に透過部材3への金属蒸気、ヒュームの付着によるレーザービーム出力の低下量を予測し、レーザービーム出力の低下分に応じてレーザービーム出力指示値P´を増加させる。これにより、薄層上の造形点に到達するレーザービーム出力をほぼ一定に保つことができる。
以上説明したように、制御部20は、レーザー発振器30のレーザービーム出力による固化領域1eの加熱に伴う透過部材3の透過率の低下を補うように、三次元造形物2の造形に伴ってレーザー発振器30のレーザービーム出力の増加処理を実行する。制御部の一例である制御部20は、三次元造形物2の設計データに基づいて生成したレーザー発振器30のレーザービーム出力の増加スケジュールに基づいて増加処理を実行する。そして、増加スケジュールは、三次元造形物2の設計データに基づいて生成した固化領域1eの加熱条件に基づいて三次元造形物2の造形開始以前に生成されている。
<実施例>
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
図6は実施例1における三次元造形物の説明図である。実施例1では、薄層内でのレーザービーム出力を一定に保って粉末床溶融結合方式を行い、図6に示すように、各辺の長さが20mmの立方体を25個配置した三次元造形物を造形した。実施例1の造形条件1は以下である。
[造形条件1]
造形点に供給すべきレーザービーム出力: 200W
スポット径 : 60μm
走査速度 : 500mm/sec
ヒーター出力 : 200W
導入ガス圧力 : 1.0×10−1Pa
導入ガス種類 : アルゴンガス
原料粉体 : SUS630(粒径20μm以下)
走査方法 : オフセットハッチ方式
走査ピッチ : 50μm
[レーザーパラメータ作成制御]
図2に示すように、レーザーパラメータ作成制御を行って、三次元造形物2の積層される薄層1aごとにレーザーパラメータを設定した(S10)。三次元造形物2が比較的単純な形状であるため、サポートの必要はなかった(S12)。
三次元造形物2のモデルをスライサーソフトウェアで積層ピッチ50μmの厚みでスライスした(S13)。スライスした薄層1a上に固化領域1eを設定してレーザーパラメータを計算した(S14)。
また、レーザーパラメータの1つである走査方法は、輪郭線を走査ピッチずつ内部にずらし走査させるオフセットハッチ方式とし、走査ピッチ50μmとした。これらのレーザーパラメータの設定を三次元造形物の全層にわたって行い、制御部20のレジスタに保存した。
[レーザーパワー低下率算出制御]
図4に示すように、レーザーパワー低下率算出制御を行った(S30)。
大気圧雰囲気においてパワーメータFL500a−LP1(オフィールジャパン製)を用いて光学系31および透過部材3の透過率を測定する造形前透過率測定を行った(S32)。測定の結果、レーザービーム出力指示値P1=200Wに対し、造形点に到達したレーザービーム出力はP1a=187.6Wであった。これは光学系31および透過部材3の透過率が積算されるためである。
造形前透過率測定後、アルゴンガスの雰囲気を設定して、造形条件1にて累積発振時間が14400secになるまで試験造形を行った(S33)。
実施例1では、試験造形(S33)における各薄層1aの試験領域15は、三次元造形物2の各薄層1aの固化領域1eと同一である。試験造形(S33)における積層の試験回数は、三次元造形物2における実際の積層回数よりも少ない。
試験造形後、大気圧の雰囲気に戻して造形後透過率測定を行った(S34)。測定の結果、造形点に到達するレーザービーム出力はP1b=187.2Wであった。よって式(1)より、造形条件1の単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J1は以下となる。
=1.389×10−7 (sec−1
[レーザーパワー補正処理]
図5に示すように、レーザービーム出力を補正するレーザーパワー補正処理を行った(S40)。1層目の薄層におけるレーザーパワー低下率算出の終了直後に行ったため、補正係数K1および必要なレーザービーム出力の指示値P1´は下記値となる。
= P1,b/P =0.9360
´= P/K =213.68 W
実施例1における1層目の累積発振時間はt1,1=399.6secであった。よって1層目の造形によりレーザー出力が低下した分を考慮すると、補正係数はK2に更新され、2層目のレーザービーム出力の指示値は下記のようになる。
= K×(1−t1,1/J) =0.9359
´= P/K =213.69 W
同様に補正係数の更新を繰り返すと、造形物の最終層ではK400=0.9155 、P400´=218.46 Wとなる。この各層ごとのレーザービーム出力指示値を制御部20内のRAM26(レジスタ)に保存した。
[造形プロセス制御]
図3に示すように、造形プロセス制御を実行した(S20)。
ユーザーは、材料供給工程では、供給ステージ6を下降させた状態で原料粉体を供給ステージ6に供給した(S21)。
制御部20は、環境調整工程では、処理室4内を排気機構13により排気した後に、ガス供給機構12により窒素ガスを導入することで処理室4内の圧力を1.0×10−1Paに制御した。また、造形ステージ5に設置された出力300Wのヒーターユニット9により、造形プレート10を250℃に加熱した(S22)。
制御部20は、薄層形成工程では、造形ステージ5の原料粉体上面を造形テーブル11に対しΔZ1=52μm低くし、供給ステージ6の粉末上面を造形テーブル11に対しΔZ2=55μm高くした。この状態で、ローラ7aを100mm/secの速度で供給ステージ6から造形ステージ5へ向かって移動させた。その後、原料粉体の高さがΔZ=50μmになるよう造形ステージ5を上昇させ、ローラ7aを周速100mm/secで回転させつつ、造形ステージ5上を移動させた。これにより、原料粉体の薄層をΔZ=50μmに圧縮し、50μmの厚みの薄層を形成することができた(S23)。
制御部20は、呼出工程では、パワーメータによるレーザービーム出力指示値を含む薄層1a毎の加熱条件を呼び出した(S24)。
制御部20は、加熱積層工程では、呼び出した加熱条件でレーザー発振器30を制御してレーザービームを発生させ、薄層を走査加熱して溶融し、積層した(S25)。
制御部20は、三次元造形物の造形終了まで(S26のNo)、薄層形成工程(S23)、呼出工程(S24)、加熱積層工程(S25)を繰り返して三次元造形物を造形した。
制御部20は、造形品取出工程では、三次元造形物の造形終了後、処理室4を大気圧雰囲気に戻した。
[効果確認]
実施例1の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。その結果、レーザービーム出力の補正された指示値P400´=218.46Wでレーザービームを照射したところ、造形点に到達するレーザービーム出力が所望の200Wと同等であった。このことから、実施例1では、透過部材3の透過率が低下しても、透過率の低下量を正確に予測して積算することができ、これにより、造形点に到達するレーザービーム出力がほぼ一定となり、安定した三次元造形物の造形を行うことができることが判明した。
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の造形プロセス制御(S20)では、複数の加熱条件を織り交ぜてレーザービーム出力制御を行うことにより、実施例1と同一の三次元造形を造形した。
図3の加熱積層工程において、三次元造形物の最外周から0.5mmの輪郭部は、実施例1と同じ造形条件1を採用した。レーザービーム出力を低くし、レーザーのスポット径を絞り、走査速度を遅くして造形することで、造形精度を良好にし、三次元造形物の表面性を改善した。輪郭部の内側は、造形時間短縮のため、以下の造形条件2を採用した。造形条件2では、造形条件1よりもレーザービーム出力を高くし、レーザーのスポット径を広げ、走査速度を速くした。
[造形条件2]
造形点に供給すべきレーザービーム出力 : 500W
スポット径 : 110μm
走査速度 : 700mm/sec
ヒーター出力 : 500W
導入ガス圧力 : 1.0×10−1Pa
導入ガス種類 : アルゴンガス
原料粉体 : SUS630(粒径20μm以下)
走査方法 : オフセットハッチ方式
走査ピッチ : 50μm
[レーザーパワー低下率算出制御]
図4に示すように、レーザーパワー低下率算出制御を行った(S30)。その結果、造形条件2の単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J2は以下となった。
J2=1.80×10−7(sec−1
実施例2における薄層1aの1層分の累積発振時間は造形条件1の部分がt1,1=39.0sec、造形条件2の部分がt2,1=128.8secである。また、初期の補正係数Kは、K=0.9130であった。よって、2層目の補正係数Kは、下記のようになる。
=K×(1−t1,1/J)×(1−t2,1/J
=0.9129
同様に、補正係数の更新を繰り返すと、造形物の最終層ではK400=0.9026となる。これにより、造形点に供給すべきレーザービーム出力を200Wとすると、必要なレーザービーム出力の指示値は221.59Wである。また、造形点に供給すべきレーザービーム出力を500Wとすると、必要なレーザービーム出力の指示値は553.97Wである。
[造形プロセス制御]
図3に示すように、実施例1と同様の手順で、造形条件1と造形条件2とを織り交ぜた造形プロセス制御を実行した(S20)。
[効果確認]
三次元造形物の造形終了後、処理室4を大気圧雰囲気に戻し、実施例2の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。
その結果、レーザービーム出力指示値P400´=221.59Wで照射したところ、造形点に到達するレーザービーム出力が所望の200Wと同等であった。また、レーザービーム出力の指示値P400´=553.97Wで照射し、造形点に到達するレーザービーム出力が所望の500Wと同等であった。
このことから、実施の形態1では、透過部材3の透過率の低下量を予測して積算することで、複数の造形条件を用いて粉末床溶融結合方式を行った場合でも造形点に到達するレーザービーム出力はほぼ一定に確保できることが分かった。
(比較例1)
比較例1では、造形条件1を用いた実施例1と同様の造形をレーザービーム出力の補正なしで行った。
比較例1では、初期の補正係数はK=0.9025であった。よって、式(2)により、レーザービーム出力指示値P´は、P´=221.60Wである。
図3に示すように、実施例1と同様の手順で、造形条件1の造形プロセス制御を実行した(S20)。
比較例1では、立体造形物の薄層の全層にわたってレーザービーム出力指示値P´を固定値として加熱積層工程(S25)を行った。
[効果確認]
三次元造形物の造形終了後、処理室4を大気圧雰囲気に戻し、比較例1の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。
その結果、レーザービーム出力指示値P´=221.60Wで照射したところ、造形点に到達するレーザービーム出力が195.6Wであった。このことからレーザービーム出力の補正を行わないと、透過部材3の透過率低下により造形点に所望のレーザービーム出力を供給できないことが分かった。
これにより、比較例1では、三次元造形物内で造形品質のムラが発生し、金属材料の所望の機能、特性を得られない可能性がある。これに対して、実施の形態1では、粉末床溶融結合方式の造形プロセスにおけるワークごと、さらには同一ワーク内で加熱条件が変化する場合でも、透過部材3を透過して薄層1aに到達するレーザーパワーの低下量をかなり正確に予測できる。そして、薄層1aに到達するレーザーパワーの低下量に応じてレーザー発振器30のレーザービーム出力パワーを増加することにより、薄層1aに所望のレーザーパワーを供給して、安定して高品質の三次元造形物を造形することができる。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1では、レーザー発振器30による加熱条件に応じて薄層1aの走査加熱の累積に伴ってレーザービーム出力を増加させる割合を変化させる。このため、レーザービームによる薄層1aの加熱条件が異なる場合でも、薄層1aの固化領域の加熱量の過不足が抑制される。
実施の形態1では、三次元造形物2の造形過程を通じて、レーザービームによる固化領域1eの加熱に伴う透過部材3の透過率の低下を補うように、レーザー発振器30のレーザービーム出力の増加処理を実行する。このため、固化領域1eの加熱条件に応じた過不足の少ないレーザー発振器30のレーザービーム出力の設定が可能である。
実施の形態1では、三次元造形物2の設計データから生成したレーザー発振器30のレーザービーム出力の増加スケジュールに基づいて増加処理を実行する。このため、三次元造形物2の造形過程でレーザービーム出力を計測する必要が無い。レーザービーム出力を計測し、計測結果をレーザー発振器30にフィードバックする構成や制御が不用である。累積的なレーザービーム出力の計側誤差や、一時的なレーザービーム出力の計側誤差によって、レーザービーム出力が不適切に制御される心配が無い。
実施の形態1では、増加スケジュールを、三次元造形物2の設計データから生成した固化領域1eの加熱条件に基づいて生成する。加熱条件は、原料粉体1の種類と、レーザービーム出力と、レーザービームのビームスポット径と、レーザービームの走査速度と、処理室4内の雰囲気の種類及び圧力と、ヒーターユニット9による薄層1aの補助加熱条件と、を含む。このため、固化領域1eごとのレーザー発振器30のレーザービーム出力の必要な増加量を正確に見積もることができる。加熱条件の違いによる透過部材3の透過率の低下状態を正確に見積もって、レーザー発振器30のレーザービーム出力の過不足の少ない増加量を求めることができる。
実施の形態1では、制御部20は、三次元造形装置100において使用するレーザービーム出力の増加スケジュールを自ら生成する。このため、三次元造形装置100の個体差を考慮した透過部材3の透過率の低下状態を見積もって、レーザー発振器30のレーザービーム出力の過不足の少ない増加量を求めることができる。
実施の形態1では、固化領域1eの加熱条件に基づいて透過部材3の透過率の低下状態を推定し、推定した透過部材3の透過率の低下状態に基づいてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する。このため、固化領域1eの加熱条件の差を考慮した透過部材3の透過率の低下状態を見積もって、レーザー発振器30のレーザービーム出力の過不足の少ない増加量を求めることができる。
実施例1では、試験造形による実験結果に基づいて増加処理を行うために必要なレーザービーム出力の増加量のデータを求める。このため、複数の加熱条件の組み合わせを目的とする三次元造形物2の各薄層レベルで一致させて透過部材3の透過率の低下状態を見積もって、レーザー発振器30のレーザービーム出力の過不足の少ない増加量を求めることができる。
実施例1では、供給機構7により三次元造形物2を造形する際と等しく原料粉体1の薄層1aを形成し、薄層1aの試験領域15を加熱条件の1つの組み合わせで加熱して試験回数の積層を行う。このため、三次元造形物2の各薄層1aの加熱条件とヒュームの発生状態とを、試験造形で正確に再現して、レーザービーム出力の増加スケジュールの精度を高めることができる。
実施例1では、造形前透過率測定と増加後透過率測定との両方を行って透過部材3の透過率を測定する。このため、造形前透過率測定を行わない場合よりも、透過部材3の透過率の変化を正確に見積もることができる。実施例1では、試験造形における各薄層1aの試験領域15は、三次元造形物2の各薄層1aの固化領域1eと同一である。このため、三次元造形物2の固化領域1eにおけるヒュームの発生状態を、試験領域15を用いた試験造形において高精度に再現できる。実施例1では、試験造形における積層の試験回数は、三次元造形物2における実際の積層回数よりも少ない。このため、試験造形に要する時間を削減できる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、レーザービーム出力の増加処理に使用する増加スケジュールを制御部20が生成した。これに対して、実施の形態2では、図1に示すように、レーザービーム出力の増加処理に使用する増加スケジュールを制御部20とは異なるコンピュータ25が生成する。三次元造形装置100の構成及び三次元造形物2における造形制御は実施の形態1と同一であるため、重複する説明を省略する。
(実施の形態2の制御)
図7は実施の形態2におけるレーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。図7に示すように、コンピュータ25は、レーザーパラメータ作成制御を実行して、レーザービーム出力の増加スケジュールを含めたレーザーパラメータを作成する(S50)。
コンピュータ25は、目的とする三次元造形物2の設計データ(CADデータ)から三次元造形物の3Dモデルを作成する(S51)。コンピュータ25は、三次元造形物の3Dモデルに自立性が無い場合、加工中の自立性を付与するためのサポート部材を追加して3Dモデルを修正する(S52)。
コンピュータ25は、決定工程として、三次元造形物2の設計データから固化領域1eの加熱条件を決定する(S53)。コンピュータ25は、スライサーソフトウェアにより三次元造形物の3Dモデルを薄層の厚みでスライスして、薄層1aの一層分の固化領域1eを求める。コンピュータ25は、固化領域1eの部分ごとに必要な加熱量を演算して、レーザーパラメータを設定し、レーザーパラメータを含む加熱条件を作成して、制御部20のRAM26に保存する(S53)。コンピュータ25は、推定工程として、固化領域1eの加熱条件に基づいて透過部材3の透過率の低下状態を推定する(S54)。
コンピュータ25は、生成工程として、推定した透過部材3の透過率の低下状態に基づいてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する。コンピュータ25は、三次元造形物2の造形過程を通じたレーザー発振器30の制御スケジュールの一部としてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する(S55)。
(実施の形態2の効果)
実施の形態2では、制御部20とは異なるコンピュータ25によってレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する。このため、三次元造形物2の加工プログラムを取得した後、制御部20においてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成することなく、直ちに三次元造形物2の造形を開始できる。
<その他の実施の形態>
本発明の三次元造形装置は、実施の形態1における具体的な各部構成、部品形態、及び実寸法には限定されない。実施の形態1、2の構成の一部又は全部を等価な部材に置き換えた別の実施の形態でも実施可能である。実施の形態1では、レーザービームにより薄層1aの固化領域1eを溶融させる実施の形態を説明した。しかし、薄層1aの固化領域1eを焼結させる実施の形態で本発明を実施してもよい。
実施の形態1では、レーザービーム出力、累積発振時間、スポット径、走査速度、ヒーター出力、雰囲気の種類及び圧力、造形材料の薄層形成条件を等しく再現してレーザーパワー低下率算出制御(S30)を実行した。実施の形態1では、試験造形を行って、加熱条件の1つの組み合わせにおける単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J1を求めた。そして、レーザーパワー低下率算出制御(S30)に基づいてレーザービーム出力補正(S40)を行った。
しかし、実施の形態1のような加熱条件の1つの組み合わせを設定した試験造形を最後まで行わなくても、試験造形の途中でレーザービームスポットの造形点温度を測定して、原料粉体1の蒸発速度aを見積もることができる。
例えば、加工点の温度が1800℃の鉄の場合と、加工点の温度が1000℃のアルミニウムの場合と、を検討すると、加熱条件の数値は次のようになる。
Figure 2017122265
一般に、真空中で物質が加熱されたとき、物質の表面の単位面積当たり蒸発する物質の質量は、Langmuirの式にあてはまり、蒸発速度aは、次式により求められる。
=5.85×10−2×P×(T)×(M/T)0.5
これにより、表1の数値に基づいて蒸発速度aを求めると以下のようになる。
Figure 2017122265
原料粉体1の蒸発速度aは、薄層1aの加熱ごとの透過部材3の透過率の低下量に対応しているため、このように演算された蒸発速度aに応じて単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J1を求めることが可能である。そして、単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J1に基づいて薄層1aの加熱ごとのレーザービーム出力の割り増し率を設定することが可能である。
なお、実施の形態1のような加熱条件の1つの組み合わせを設定した試験造形で加工点の温度を実測する代わりに、レーザービーム出力に基づく固化領域1eの加熱のコンピュータシミュレーションによって加工点の温度を求めてもよい。
また、蒸発速度aに基づいて透過部材3の透過率の低下量を求める際に、透過部材3に付着する物質の膜厚tを求めてもよい。原料粉体1の蒸発量をm[g]は、蒸発速度aに比例する。そして、空間に浮遊する蒸発源からの物質の蒸発角度分布は全方角に向かって均一である。このため、透過部材3に付着する物質の膜厚tは、例えば次式により求められる。
t=(m/ρ)×cosφ/4π(h+l0.5
これにより、表1の数値に基づいて透過部材3に付着する膜厚tを求めると以下のようになる。
Figure 2017122265
したがって、加工時間sと膜厚tとから単位時間当たりの膜厚(t/s)を求めて、単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J1を演算することができる。
1:原料粉体、1a:薄層、1e:固化領域、2:三次元造形物、3:透過部材、4:容器(処理室)、5:薄層形成部(造形ステージ)、6:薄層形成部(供給ステージ)、7:薄層形成部(供給機構)、9:補助加熱手段(ヒーターユニット)、
12:物質供給部(ガス供給機構)、13:減圧部(排気機構)、15:試験領域、20:制御部、21:読取装置、22:記録媒体、30:加熱手段(レーザー発振器)、31:加熱手段(光学系)、32:加熱手段(ファイバーケーブル)、100:三次元造形装置

Claims (17)

  1. 原料粉体の薄層を形成する薄層形成部と、
    前記薄層形成部を収容する容器と、
    前記容器に設けられた透過部材と、
    前記透過部材を透過したレーザービームにより前記薄層の固化領域を加熱して積層させることにより三次元造形物を造形する加熱手段と、
    前記加熱手段による前記固化領域の加熱に伴う前記透過部材の透過率の低下を補うように前記三次元造形物の造形に伴って前記加熱手段のレーザービーム出力の増加処理を実行する制御部と、を備えることを特徴とする三次元造形装置。
  2. 前記制御部は、前記三次元造形物の設計データに基づいて生成された前記加熱手段のレーザービーム出力の増加スケジュールに基づいて前記増加処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。
  3. 前記増加スケジュールは、前記三次元造形物の設計データに基づいて生成された前記固化領域の加熱条件に基づいて生成されていることを特徴とする請求項2に記載の三次元造形装置。
  4. 前記加熱条件は、前記原料粉体の種類とレーザービーム出力とレーザービームのビームスポット径とレーザービームの走査速度とを含むことを特徴とする請求項3に記載の三次元造形装置。
  5. 前記容器を減圧する減圧部と、
    前記減圧部により減圧された前記容器に物質を供給して前記固化領域を加熱する際の雰囲気を形成する物質供給部と、を備え、
    前記加熱条件は、前記雰囲気の種類と圧力とを含むことを特徴とする請求項4に記載の三次元造形装置。
  6. 前記加熱手段のレーザービーム出力により加熱される薄層を補助加熱する補助加熱手段を備え、
    前記加熱条件は、前記補助加熱手段による前記薄層の補助加熱条件を含むことを特徴とする請求項5に記載の三次元造形装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形装置によって三次元造形物を造形する三次元造形方法であって、
    前記制御部が、前記薄層形成部を制御して原料粉体の薄層を形成する薄層形成工程と、
    前記制御部が、前記加熱手段を制御して前記固化領域を加熱して積層させる積層工程と、
    前記制御部が、前記三次元造形物の造形過程に伴って前記増加処理を実行して前記加熱手段のレーザービーム出力を増加させる出力増加工程と、を有することを特徴とする三次元造形方法。
  8. 請求項7に記載の三次元造形方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  9. 請求項8に記載のプログラムを記録した記録媒体。
  10. 請求項2又は3に記載の三次元造形装置において前記制御部が使用する前記増加スケジュールを、前記制御部により生成する増加スケジュールの生成方法であって、
    前記制御部が前記固化領域の加熱条件に基づいて前記透過部材の透過率の低下状態を推定する推定工程と、
    前記制御部が前記推定工程で推定された前記透過部材の透過率の低下状態に基づいて前記増加スケジュールを生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加スケジュールの生成方法。
  11. 請求項2又は3に記載の三次元造形装置において前記制御部が使用する前記増加スケジュールを、前記制御部とは異なるコンピュータにより生成する増加スケジュールの生成方法であって、
    前記コンピュータが前記三次元造形物の設計データから前記固化領域の加熱条件を決定する決定工程と、
    前記コンピュータが前記決定工程で決定された加熱条件に基づいて前記透過部材の透過率の低下を推定する推定工程と、
    前記コンピュータが前記推定工程で推定された前記透過部材の透過率の低下に基づいて前記増加スケジュールを生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加スケジュールの生成方法。
  12. 前記コンピュータは、前記三次元造形物の造形過程を通じた前記加熱手段の制御スケジュールの一部として前記増加スケジュールを生成することを特徴とする請求項11に記載の増加スケジュールの生成方法。
  13. 請求項11又は12に記載の増加スケジュールの生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  14. 請求項13に記載のプログラムを記録した記録媒体。
  15. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形装置において前記制御部が前記増加処理を行うための前記加熱手段のレーザービーム出力の増加量の生成方法であって、
    前記薄層形成部により前記薄層を形成する薄層形成工程と、
    前記加熱手段により前記薄層の試験領域を加熱条件の1つの組み合わせで加熱して試験回数の積層を行う積層工程と、
    少なくとも前記積層工程後に前記透過部材の透過率を測定する測定工程と、
    前記測定工程の測定結果に基づいて前記増加量を生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加量の生成方法。
  16. 前記積層工程における前記試験領域は、前記三次元造形物における前記固化領域と同一であることを特徴とする請求項15に記載の増加量の生成方法。
  17. 前記積層工程における前記試験回数は、前記三次元造形物における積層回数よりも少ないことを特徴とする請求項16に記載の増加量の生成方法。
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