JP2017122265A - 三次元造形装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(三次元造形装置)
図1は実施の形態1の三次元造形装置の構成の説明図である。図1に示すように、三次元造形装置100は、金属の原料粉体1の薄層1a上の固化領域1eをレーザービームで加熱して溶融させ、溶融した固化領域1eを積層して三次元造形物2を造形する粉末床溶融結合方式のいわゆる3Dプリンタである。三次元造形装置100は、不活性ガス雰囲気や高真空雰囲気等の低酸素雰囲気を設定して粉末床溶融結合方式の造形を行うので、三次元造形物2の酸化が防止され、三次元造形物2の機械強度も向上する。
加熱手段の一例であるレーザー発振器30及び光学系31は、処理室4に設けられた透過部材3を透過したレーザービームにより薄層1aの固化領域1eを加熱して積層させる。レーザー発振器30で発生させたレーザービームLBは、ファイバケーブル32により光学系31に導かれ、光学系31から透過部材3を通じて造形ステージ5の薄層1aに到達する。レーザー発振器30は、最大出力が500W、波長が1070nmのYAGレーザー発振器である。光学系31は、反射ミラー、ガルバノミラー、fθレンズを含む。光学系31は、ガルバノミラーを作動させて、レーザービームLBのビームスポットを造形ステージ5の薄層1a上の任意の領域へ移動させて走査することができる。
処理室4は、造形テーブル11を収容して造形テーブル11の上方をドーム状に覆っている。造形テーブル11は、造形ステージ5に隣接して供給ステージ6を配置している。供給ステージ6は、サーボモーター6a、ボールねじ6b、及びリニアガイド6cから構成される昇降機構6mを有する。供給ステージ6は、造形ステージ5に供給する原料粉体を蓄積する。
供給機構7は、造形ステージ5に原料粉体1の薄層1aを形成する。供給機構7は、直動機構7bにより供給ローラ7aを駆動して、造形テーブル11の上面に沿って供給ステージ6から造形ステージ5へ向かって移動させる。これにより、供給ステージ6の原料粉体が造形ステージ5へ移動する。
図2はレーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。図2に示すように、制御部20とは異なるコンピュータ25は、レーザーパラメータ作成制御を実行して、レーザーパラメータを含む薄層1aの加熱条件を作成する(S10)。レーザーパラメータは、薄層1aの固化領域1eにおける各部のレーザーパワーを規定している。レーザーパラメータは、輪郭(垂直面)、内部、表面(水平面)ごとに個別に指定できる。また、レーザービームLBの走査経路、領域ごとの加熱順序も自由に設計可能である。
図3は三次元造形物の造形プロセス制御のフローチャートである。図3に示すように、三次元造形装置100は、三次元造形方法の一例である造形プロセス制御を実行して三次元造形装置100を制御することにより三次元造形物2を造形する(S20)。記録媒体22は、制御部20とは異なるコンピュータ25で生成された三次元造形物2の加工プログラムを記録されている。制御部20は、読取装置21を通じて記録媒体22から三次元造形物2の加工スケジュールをRAM26に読み込む。CPU27は、ROM28から読み込んだ制御プログラム、各種データ、及び三次元造形物2の加工スケジュールをRAM26に保持して三次元造形物2の造形プロセスを制御する。
図1に示すように、三次元造形物2において金属材料の所望の機能/特性を得るためには、原料粉体1の薄層1aの固化領域1eの各部に過不足の無いエネルギーを供給する必要がある。そのため、薄層1aの固化領域1eに照射するレーザービーム出力は厳密に管理しなければならない。
図4はレーザーパワー低下率算出制御のフローチャートである。図4に示すように、ユーザーは、レーザーパワー低下率算出制御を実行して、制御部20が増加処理(S24:図3)を行うために必要なレーザービーム出力の増加量を求める(S30)。レーザーパワー低下率算出制御では、制御部20が薄層1aの加熱領域に対する加熱条件ごとのレーザーパワー低下率を実験により求める(S30)。レーザーパワー低下率は、レーザービーム出力の単位時間、単位出力当たりの透過部材3の透過率の低下量を表す。
Ji=(Pi,a−Pi,b)/(P×t) ・・・(1)
図5はレーザービーム出力補正制御のフローチャートである。図5に示すように、制御部20は、レーザービーム出力補正制御であるレーザーパワー補正制御を実行して、レーザービーム出力の増加スケジュールを自ら生成する(S40)。制御部20は、透過部材3の透過率の予測結果に基づいて補正係数Kを求め、レーザーパラメータ作成制御(S10)で設定したレーザービーム出力指示値Pを、補正係数Kにより補正する。
P´=(1/K) × P ・・・(2)
Ki+1=Ki×(J1×t1,i)×(J2×t2,i)×・・×(Jn×tn,i)・・・(3)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
図6は実施例1における三次元造形物の説明図である。実施例1では、薄層内でのレーザービーム出力を一定に保って粉末床溶融結合方式を行い、図6に示すように、各辺の長さが20mmの立方体を25個配置した三次元造形物を造形した。実施例1の造形条件1は以下である。
造形点に供給すべきレーザービーム出力: 200W
スポット径 : 60μm
走査速度 : 500mm/sec
ヒーター出力 : 200W
導入ガス圧力 : 1.0×10−1Pa
導入ガス種類 : アルゴンガス
原料粉体 : SUS630(粒径20μm以下)
走査方法 : オフセットハッチ方式
走査ピッチ : 50μm
図2に示すように、レーザーパラメータ作成制御を行って、三次元造形物2の積層される薄層1aごとにレーザーパラメータを設定した(S10)。三次元造形物2が比較的単純な形状であるため、サポートの必要はなかった(S12)。
図4に示すように、レーザーパワー低下率算出制御を行った(S30)。
J1=1.389×10−7 (sec−1)
図5に示すように、レーザービーム出力を補正するレーザーパワー補正処理を行った(S40)。1層目の薄層におけるレーザーパワー低下率算出の終了直後に行ったため、補正係数K1および必要なレーザービーム出力の指示値P1´は下記値となる。
K1 = P1,b/P =0.9360
P1´= P/K1 =213.68 W
K2 = K1×(1−t1,1/J1) =0.9359
P2´= P/K2 =213.69 W
図3に示すように、造形プロセス制御を実行した(S20)。
実施例1の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。その結果、レーザービーム出力の補正された指示値P400´=218.46Wでレーザービームを照射したところ、造形点に到達するレーザービーム出力が所望の200Wと同等であった。このことから、実施例1では、透過部材3の透過率が低下しても、透過率の低下量を正確に予測して積算することができ、これにより、造形点に到達するレーザービーム出力がほぼ一定となり、安定した三次元造形物の造形を行うことができることが判明した。
図6に示すように、実施例2の造形プロセス制御(S20)では、複数の加熱条件を織り交ぜてレーザービーム出力制御を行うことにより、実施例1と同一の三次元造形を造形した。
造形点に供給すべきレーザービーム出力 : 500W
スポット径 : 110μm
走査速度 : 700mm/sec
ヒーター出力 : 500W
導入ガス圧力 : 1.0×10−1Pa
導入ガス種類 : アルゴンガス
原料粉体 : SUS630(粒径20μm以下)
走査方法 : オフセットハッチ方式
走査ピッチ : 50μm
図4に示すように、レーザーパワー低下率算出制御を行った(S30)。その結果、造形条件2の単位時間当たりのレーザービーム出力の低下率J2は以下となった。
J2=1.80×10−7(sec−1)
K2 =K1×(1−t1,1/J1)×(1−t2,1/J2)
=0.9129
図3に示すように、実施例1と同様の手順で、造形条件1と造形条件2とを織り交ぜた造形プロセス制御を実行した(S20)。
三次元造形物の造形終了後、処理室4を大気圧雰囲気に戻し、実施例2の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。
比較例1では、造形条件1を用いた実施例1と同様の造形をレーザービーム出力の補正なしで行った。
三次元造形物の造形終了後、処理室4を大気圧雰囲気に戻し、比較例1の効果確認のために、パワーメータで造形点に到達するレーザービーム出力を測定した。
実施の形態1では、レーザー発振器30による加熱条件に応じて薄層1aの走査加熱の累積に伴ってレーザービーム出力を増加させる割合を変化させる。このため、レーザービームによる薄層1aの加熱条件が異なる場合でも、薄層1aの固化領域の加熱量の過不足が抑制される。
実施の形態1では、レーザービーム出力の増加処理に使用する増加スケジュールを制御部20が生成した。これに対して、実施の形態2では、図1に示すように、レーザービーム出力の増加処理に使用する増加スケジュールを制御部20とは異なるコンピュータ25が生成する。三次元造形装置100の構成及び三次元造形物2における造形制御は実施の形態1と同一であるため、重複する説明を省略する。
図7は実施の形態2におけるレーザーパラメータ作成制御のフローチャートである。図7に示すように、コンピュータ25は、レーザーパラメータ作成制御を実行して、レーザービーム出力の増加スケジュールを含めたレーザーパラメータを作成する(S50)。
実施の形態2では、制御部20とは異なるコンピュータ25によってレーザービーム出力の増加スケジュールを生成する。このため、三次元造形物2の加工プログラムを取得した後、制御部20においてレーザービーム出力の増加スケジュールを生成することなく、直ちに三次元造形物2の造形を開始できる。
本発明の三次元造形装置は、実施の形態1における具体的な各部構成、部品形態、及び実寸法には限定されない。実施の形態1、2の構成の一部又は全部を等価な部材に置き換えた別の実施の形態でも実施可能である。実施の形態1では、レーザービームにより薄層1aの固化領域1eを溶融させる実施の形態を説明した。しかし、薄層1aの固化領域1eを焼結させる実施の形態で本発明を実施してもよい。
av=5.85×10−2×P×(T)×(M/T)0.5
これにより、表1の数値に基づいて蒸発速度avを求めると以下のようになる。
t=(m/ρ)×cosφ/4π(h2+l2)0.5
これにより、表1の数値に基づいて透過部材3に付着する膜厚tを求めると以下のようになる。
12:物質供給部(ガス供給機構)、13:減圧部(排気機構)、15:試験領域、20:制御部、21:読取装置、22:記録媒体、30:加熱手段(レーザー発振器)、31:加熱手段(光学系)、32:加熱手段(ファイバーケーブル)、100:三次元造形装置
Claims (17)
- 原料粉体の薄層を形成する薄層形成部と、
前記薄層形成部を収容する容器と、
前記容器に設けられた透過部材と、
前記透過部材を透過したレーザービームにより前記薄層の固化領域を加熱して積層させることにより三次元造形物を造形する加熱手段と、
前記加熱手段による前記固化領域の加熱に伴う前記透過部材の透過率の低下を補うように前記三次元造形物の造形に伴って前記加熱手段のレーザービーム出力の増加処理を実行する制御部と、を備えることを特徴とする三次元造形装置。 - 前記制御部は、前記三次元造形物の設計データに基づいて生成された前記加熱手段のレーザービーム出力の増加スケジュールに基づいて前記増加処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。
- 前記増加スケジュールは、前記三次元造形物の設計データに基づいて生成された前記固化領域の加熱条件に基づいて生成されていることを特徴とする請求項2に記載の三次元造形装置。
- 前記加熱条件は、前記原料粉体の種類とレーザービーム出力とレーザービームのビームスポット径とレーザービームの走査速度とを含むことを特徴とする請求項3に記載の三次元造形装置。
- 前記容器を減圧する減圧部と、
前記減圧部により減圧された前記容器に物質を供給して前記固化領域を加熱する際の雰囲気を形成する物質供給部と、を備え、
前記加熱条件は、前記雰囲気の種類と圧力とを含むことを特徴とする請求項4に記載の三次元造形装置。 - 前記加熱手段のレーザービーム出力により加熱される薄層を補助加熱する補助加熱手段を備え、
前記加熱条件は、前記補助加熱手段による前記薄層の補助加熱条件を含むことを特徴とする請求項5に記載の三次元造形装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形装置によって三次元造形物を造形する三次元造形方法であって、
前記制御部が、前記薄層形成部を制御して原料粉体の薄層を形成する薄層形成工程と、
前記制御部が、前記加熱手段を制御して前記固化領域を加熱して積層させる積層工程と、
前記制御部が、前記三次元造形物の造形過程に伴って前記増加処理を実行して前記加熱手段のレーザービーム出力を増加させる出力増加工程と、を有することを特徴とする三次元造形方法。 - 請求項7に記載の三次元造形方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項8に記載のプログラムを記録した記録媒体。
- 請求項2又は3に記載の三次元造形装置において前記制御部が使用する前記増加スケジュールを、前記制御部により生成する増加スケジュールの生成方法であって、
前記制御部が前記固化領域の加熱条件に基づいて前記透過部材の透過率の低下状態を推定する推定工程と、
前記制御部が前記推定工程で推定された前記透過部材の透過率の低下状態に基づいて前記増加スケジュールを生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加スケジュールの生成方法。 - 請求項2又は3に記載の三次元造形装置において前記制御部が使用する前記増加スケジュールを、前記制御部とは異なるコンピュータにより生成する増加スケジュールの生成方法であって、
前記コンピュータが前記三次元造形物の設計データから前記固化領域の加熱条件を決定する決定工程と、
前記コンピュータが前記決定工程で決定された加熱条件に基づいて前記透過部材の透過率の低下を推定する推定工程と、
前記コンピュータが前記推定工程で推定された前記透過部材の透過率の低下に基づいて前記増加スケジュールを生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加スケジュールの生成方法。 - 前記コンピュータは、前記三次元造形物の造形過程を通じた前記加熱手段の制御スケジュールの一部として前記増加スケジュールを生成することを特徴とする請求項11に記載の増加スケジュールの生成方法。
- 請求項11又は12に記載の増加スケジュールの生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項13に記載のプログラムを記録した記録媒体。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形装置において前記制御部が前記増加処理を行うための前記加熱手段のレーザービーム出力の増加量の生成方法であって、
前記薄層形成部により前記薄層を形成する薄層形成工程と、
前記加熱手段により前記薄層の試験領域を加熱条件の1つの組み合わせで加熱して試験回数の積層を行う積層工程と、
少なくとも前記積層工程後に前記透過部材の透過率を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて前記増加量を生成する生成工程と、を有することを特徴とする増加量の生成方法。 - 前記積層工程における前記試験領域は、前記三次元造形物における前記固化領域と同一であることを特徴とする請求項15に記載の増加量の生成方法。
- 前記積層工程における前記試験回数は、前記三次元造形物における積層回数よりも少ないことを特徴とする請求項16に記載の増加量の生成方法。
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