JP2017122145A - 重合組成物ならびに重合体及び成形体の製造方法 - Google Patents

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愛璃奈 佐藤
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俊介 茶谷
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Abstract

【課題】
アクリル系ポリマー、特に(メタ)アクリル酸エステルの透明性と破断強度を両立しつつ、曲面における柔軟性を有する重合組成物を提供する
【解決手段】
(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン系ポリマー及び架橋剤を含む重合組成物であって、前記ウレタン系ポリマーがジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
前記架橋剤が、下記一般式(1)の構造の単量体である重合組成物であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリル系ポリマー、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルの透明性と破断強度を両立しつつ、曲面における柔軟性を有する重合体に関する。
アクリル系ポリマー、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルは、光線透過率が高く、耐候性、加工性に優れ、自動車のテールランプや水槽、導光板等様々な分野で用いられている。しかしながら、表面に傷がつきやすい、脆く割れやすい、耐溶剤性に劣る、可燃性であるために、使用範囲は限られてしまいこの欠点を改善した複合材料が注目されている。
ところで、アクリル系ポリマーの複合材料は、ポリマーブレンドにより物性を附加される方法が一般的である。例えば、アクリル系ポリマーにウレタン系ポリマーを複合フィルムとして、特許文献1が開示されている。この複合フィルムは、フィルムとして柔軟性及び耐水性を有しているが、フィルムとしての透明性や破断強度は十分でないという問題があった。
特許文献1には、2種以上の高分子が、共有結合で結ばれることなく互いに絡み合わせる方法(相互侵入高分子網目(IPN:Interpenetrating Polymer Network)により、アクリル系ポリマーとウレタン系ポリマーを複合している。この方法によれば、反応溶液にラジカル重合阻害剤を含むため、ラジカル重合開始剤の存在下であっても、(メタ)アクリルモノマー中で選択的にジオールとジイソシアネートを反応させるという利点がある。しかしながら、ラジカル重合阻害剤の存在下でも微量ながらに(メタ)アクリルモノマーが重合されることや、ウレタン系ポリマーを重合後、80℃で24時間という長時間の反応が必要であるため、生産性の面で課題があった。
この生産性の課題の解決のために、特許文献2には、IPN層を逐次合成と光重合を利用して得る方法が開示されている。しかしながらこの方法では、架橋ウレタン系ポリマーが(メタ)アクリルモノマー及び架橋剤の存在下で膨潤した状態となるため、シラップの粘度が著しく上昇してコーティングやキャスティングによる基材への塗布は極めて困難になるという問題が生じた。
特開2009−120663号公報 特開2003−96140号公報
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、アクリル系ポリマー、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルの透明性と破断強度を両立しつつ、曲面における柔軟性を有する成形体を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1] (メタ)アクリル酸エステル、ウレタン系ポリマー及び架橋剤を含む重合組成物であって、前記ウレタン系ポリマーがジオールとジイソシアネートとの反応物であり、前記架橋剤が、下記一般式(1)の構造の単量体である重合組成物。

・・・(1)
(R及びRはそれぞれ、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基を表し、Rは、直鎖状、分岐を有する鎖状又は環状構造のいずれかを有し、炭素、窒素、水素又は酸素原子で構成される構造を表す。)
[2] 前記(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、前記ウレタン系ポリマーが1〜30質量部、及び前記架橋剤が1〜20質量部である、[1]の重合組成物。
[3] 前記架橋剤が、ウレタン結合を有する化合物である[1]又は[2]の重合組成物。
[4] (メタ)アクリル酸エステル、ジオールとジイソシアネートを反応させてなるウレタン系ポリマー及び上記一般式(1)の構造の単量体である架橋剤とを含む重合組成物を、無溶剤で重合する重合体の製造方法。
[5] [4]の重合体の製造方法で得られる重合体を、成形して得られる成形体の製造方法。
本発明の重合組成物の製造方法によれば、アクリル系ポリマー、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルの透明性と破断強度を両立しつつ、曲面における柔軟性を有する成形体を提供することができる。
((メタ)アクリル酸エステル)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の重合組成物は、(メタ)アクリル酸エステルとウレタン系ポリマー及び架橋剤とを含有する。この(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体等のラジカル重合可能なビニル系モノマーが好ましい。
(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等がより好ましく使用される。
ラジカル重合可能なビニル系モノマーは、上記モノマーの中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸及びその誘導体を主とする原料をラジカル重合開始剤の存在下にその一部を重合してなるシラップを用いても良い。これらを用いる場合は、シラップの分子量を適宜重合粘度に応じて変更するのが良いが、透明性を維持した重合体を製造したい場合は、ラジカル重合可能なビニル系モノマーのみを用いることが好ましい。
(ウレタン系ポリマー)
ウレタン系ポリマーは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、一般的な触媒を用いることができる。一般的な触媒の具体例としては、ジブチル錫ジラウレートやスタナスオクトエート等の有機スズ触媒、鉛、水銀、ビスマス等の化合物が挙げられる。
ウレタン系ポリマーを重合する際に用いる場合の使用量は、特に限定するものではないが、ジオールを100質量部とした時、0.001〜1質量部の範囲が好ましい。
本発明に使用されるジオールは、直鎖のジオールでも分岐構造を含むジオールを用いても良い。直鎖のジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコール等の低分子量のジオール;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルジオール;上記ジオールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルジオールや、アクリルジオール、カーボネートジオール、エポキシジオール、カプロラクトンジオール等が挙げられる。これらの中では、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリテトラエチレンエーテルグリコール、ポリアルキレンカーボネートジオール等のポリエーテルジオール等が好ましく使用される。
アクリルジオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基含有不飽和モノマー又はこれらモノマーにε−カプロラクタム等のラクトン類を付加したラクトン変性不飽和モノマーと、スチレン、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル等の不飽和モノマーを重合反応させて得られるジオールが挙げられる。エポキシジオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
分岐構造を含むジオールの具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、2−ブチル2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
本発明においては、(メタ)アクリル酸エステルへの溶解性、イソシアネートとの反応性等を考慮して、ジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体等が挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの二量体や、ポリフェニルメタンジイソシアネートが用いられる。
これらのジイソシアネート類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合体が適用される(塗布等される)基材等の特性、(メタ)アクリル酸エステルへの溶解性、水酸基との反応性などの観点から、ジイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すれば良い。
本発明において、ウレタン系ポリマーを形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用量は、ジオール成分の使用量は、ジイソシアネート成分に対し、NCO/OH(当量比)0.5以上2.0未満が好ましく、0.8以上1.5未満がより好ましい。更に、1.2未満であれば、重合時の析出が起こりにくい点や、より高い透明性の点で更に好ましい。NCO/OH(当量比)が0.5未満では、重合体の強度が低下しやすい。
上記ウレタン系ポリマーに対し、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーやウレタン(メタ)アクリルモノマーを添加してもよい。前記水酸基含有(メタ)アクリルモノマーや前記ウレタン(メタ)アクリレートを添加することにより、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性が高まり、破断強度や破断伸度の向上を図ることもできる。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。また、市販の単官能ウレタン(メタ)アクリルモノマーを使用しても良い。
前記水酸基含有アクリルモノマー及び前記ウレタン(メタ)アクリルモノマーの使用量は、ウレタン系ポリマー100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.1〜25質量部であることがより好ましく、0.1〜20質量部であることが更に好ましい。
重合体には、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ジイソシアネートとジオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタン系ポリマーとアクリル系モノマーとをそれぞれ重合させる前に、添加してもよい。
(架橋剤)
本発明の架橋剤は、少なくとも2つの不飽和結合をもつウレタン(メタ)アクリルモノマーであって、下記一般式(1)の構造を有する化合物である。 。

・・・(1)
(R及びRはそれぞれ、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基を表し、Rは、直鎖状、分岐を有する鎖状又は環状構造のいずれかを有し、炭素、窒素、水素又は酸素原子で構成される構造を表す。)
ここで、前記ウレタン(メタ)アクリルモノマーにおける主鎖の脂肪族炭化水素の炭素数は、樹脂の粘度、樹脂の重合硬化収縮特性、重合後の歪みなどの特性を調整できる点で3〜20であることが好ましい。また、前記ウレタン(メタ)アクリルモノマーにおけるウレタン構造は、1個でもよく、複数個あっても良い。
前記架橋剤は、ウレタン系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、更に好ましくは2.5〜10質量部となるようにするのが良い。前記架橋剤が1質量部以下だとほとんど架橋の効果が得られずが著しく向上できず、30質量部以上だと、高粘度化により取扱性が低下する恐れがある。
前記ウレタン(メタ)アクリルモノマーは、市販のウレタン(メタ)アクリルモノマーを使用しても良く、イソシアネートあるいは水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを適当な溶媒等で反応させて使用しても良い。市販のウレタン(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、2官能のウレタンジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
重合体は、ジオールとジイソシアネート及び架橋剤を(メタ)アクリル酸エステルに溶解させた後、ウレタン硬化触媒を添加することにより、ジオールとジイソシアネートとを反応させる。この際、(メタ)アクリル酸エステルとウレタンモノマーの不飽和結合の重合を避けるために、ラジカル重合開始剤は添加しない。こうすることで、ラジカル重合阻害剤を添加することなく、ウレタン系ポリマーを選択的に重合することができる。
前記ウレタン系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは2.5〜10質量部となるようにジオールとジイソシアネートとを反応させるのが良い。前記ウレタン系ポリマーが1質量部以下だと柔軟性が著しく向上できず、30質量部以上だと、重合体の透明性が低下する。
前記ウレタン系ポリマーを重合する温度は、ジオールやジイソシアネートの種類等によって適宜設定できるが、重合効率に優れることから、50〜100℃が好ましい。
(メタ)アクリル系エステルと架橋剤とは、前記ウレタン系ポリマーを重合後、重合開始剤を添加することにより重合される。この際、重合が直ちに進行するのを防ぐため、供給する際の反応溶液の温度は室温状態、あるいは10時間半減期温度より低い温度が好ましい。
重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、熱重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤は、効率的にラジカルが発生することから、10時間半減期温度が重合温度以下のものが好ましく、10時間半減期温度が50〜70℃のものがより好ましい。重合温度については、後述する。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ化合物;2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物等が挙げられる。
熱重合開始剤は、市販品から入手可能である。重合開始剤の市販品としては、例えば、V601(和光純薬工業(株)製、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)、V65(和光純薬工業(株)製、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、パーヘキシルPV(日本油脂(株)製、t−ブチルパーオキシピバレート)、パーブチルND−R(日本油脂(株)製、t−ヘキシルパーオキシピバレート)等が挙げられる。これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でもメタクリル系樹脂キャスト板に顔料を含有させて着色する際の発色性が良好であるためパーオキシエステル類がより好ましく、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート等が特に好ましい。
なお、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ系の重合開始剤を多量に用いると、重合速度を早くすることができるが、得られたメタクリル系樹脂キャスト板には多数の気泡が発生する、あるいはメタクリル系樹脂キャスト板を加熱成形する際に、その中に含まれる重合開始剤末端基の影響から発泡しやすくなる、等の問題が起きることがある。
本発明の重合体はキャスト重合により製造される。キャスト重合において用いられる鋳型としては、特に限定されないが、例えば強化ガラス、クロムメッキ板、ステンレス板等の一対の板状体と軟質塩化ビニル製ガスケットで構成した鋳型や、同一方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの相対する面とその両側辺部において両エンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成される鋳型が挙げられる。
ウレタン系ポリマーを含む(メタ)アクリル酸エステル及び架橋剤を鋳型に注入し、キャスト重合させる方法としては、特に制限はないが、例えば次のような方法が挙げられる。
ウレタン系ポリマーを含む(メタ)アクリル酸エステル及び架橋剤を70〜90℃の範囲内の雰囲気下で5分〜1時間重合し、重合率が80〜95質量%とした後、更に90〜140℃の範囲内の雰囲気下で3分〜2時間かけて重合硬化させて重合率を96質量%以上、好ましくは99質量%以上の重合体とする。
重合時の加熱方法としては、水浴加熱、温水噴霧加熱、蒸気加熱、温風加熱、電熱加熱、赤外線加熱、電磁誘導加熱等の公知の方法を用いることができる。
キャスト重合する際、重合体を鋳型から容易に剥離させるため、例えば剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムをガラス等の基材の上に貼ることが挙げられる。こうすることで、重合体を形成した際、容易に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して複合フィルムのみを得ることができる。なお、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムの替わりに、適当な基材を使用することもできる。
本発明に用いられる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン、2軸延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂等が使用される。
本発明の重合体の厚みは、特に限定があるわけではなく、目的等に応じて適宜選択することができ、0.5cm〜10cm程度であることが好ましく、1cm〜5cm程度であることがより好ましく、1cm〜3cm程度であることが更に好ましい。
本発明の重合体は、アクリル系ポリマー及びウレタン系ポリマーを含有する重合体であるので、高強度と高破断伸度を両立することができる。また、本発明の重合体は、前記ウレタン系ポリマーの他に不飽和結合を有するウレタン(メタ)アクリルモノマーを用いることにより、前記ウレタン系ポリマーとの相溶性が高まることで透明性を維持した重合体を製造できる。更に、不飽和結合を少なくとも2つ有するウレタン(メタ)アクリルモノマーを用いることで、(メタ)アクリル酸エステルと架橋する事ができ短時間で硬化が可能である。しかも、架橋剤にもウレタン構造を有しているため、曲面に対する柔軟性が著しく向上する。
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりがない限り、「部」は質量部を意味する。
<破断強度及び破断伸度の測定方法>
重合体の破断強度及び破断伸度の測定は、JIS K7162−1994(プラスチック−引張特性の試験方法)に準拠して行った。本実施例では、つかみ部分を除いた試験片(重合体)の長さが3cmとなるように調整した。
(実施例1)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル酸エステルとして、メタクリル酸メチル(MMA)を29.6部、ジオールとして、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)を1.25部、ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.23部、架橋剤として、ジウレタンジメタクリレート(シグマアルドリッチ社製)2.96部を、攪拌しながら、ウレタン硬化触媒としてジラウリル酸ジブチルスズを0.018部投入し、60℃で2時間反応させて、ウレタン系ポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。次いで、このウレタン系ポリマー−アクリル系モノマー混合物を室温状態に戻した後、熱重合開始剤としてパーヘキシルPV(日本油脂(株)製、t−ブチルパーオキシピバレート)を0.029部添加した。その後、ウレタン系ポリマーを含む(メタ)アクリル酸エステル及び架橋剤を、軟質塩化ビニル製ガスケットで構成した鋳型(PETフィルムが貼られているガラス基板)に流し込み、80℃の温浴下で30分重合した後、更に120℃の乾燥機で30分かけて重合硬化させて重合体を得た。得られた重合体について、光学特性、破断強度及び破断伸度の評価を行った。その結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、ジオール及びジイソシアネートの使用量を表1に変更した以外は、実施例1と同様にして重合体を得た。得られた重合体について、光学特性、破断強度及び破断伸度の評価を行った。その結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、ジオール及びジイソシアネートの使用量を表1に変更した以外は、実施例1と同様にして重合体を得た。得られた重合体について、光学特性、破断強度及び破断伸度の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例1)
(メタ)アクリル酸エステル及び架橋剤を、表1に示す割合で、軟質塩化ビニル製ガスケットで構成した鋳型(PETフィルムが貼られているガラス基板)80℃の温浴下で30分重合した後、更に120℃の乾燥機で30分かけて重合硬化させて複合樹脂を得た。得られた重合体について、光学特性、破断強度及び破断伸度の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例2)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル酸エステルとして、メタクリル酸メチル(MMA)を29.6部、ジオールとして、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG、数平均分子量1000)を1.25部、ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート0.23部を、攪拌しながら、ウレタン硬化触媒としてジラウリル酸ジブチルスズを0.018部投入し、60℃で2時間反応させて、ウレタン系ポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。しかしながら、ウレタン系ポリマー−アクリル系モノマー混合物は非常に高粘度であり、物性の測定や、鋳型に流し込むことが不可能であった。
(比較例3)
メタクリル酸メチル(MMA)をシラップ(数平均分子量:16万、三菱レイヨン(株)社製 アクリシラップ)に変更した以外は、比較例2と同様にして重合体を得た。得られた重合体について、光学特性、破断強度及び破断伸度の評価を行った。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の実施例1の重合体は、ヘイズが6.0%で破断強度が1.3tf/cm(127MPa)、破断伸度が7.0mmであり、優れた特性を有する樹脂であることが分かった。一方実施例1よりジオール及びジイソシアネートの使用量が多い実施例2の重合体は、光学特性や破断強度は実施例1と比較して低下するが、破断伸度は優れた樹脂であることが分かった。更に実施例1よりジオール及びジイソシアネートの使用量が少ない実施例3の重合体は、破断強度や破断伸度は実施例1と比較して低下するが、光学特性に優れた樹脂であることが分かった。
一方、比較例1は、(メタ)アクリル酸エステルと架橋剤のみを重合した樹脂であり、破断伸度が劣ったものであることが分かった。
また、架橋剤を用いなかった比較例2では、アクリル系ポリマーとウレタン系ポリマーの重合体は、所定のキャスト重合時間内で硬化が進行しなかった。さらに、メタアクリル酸メチルのシラップを用いた比較例3では、ウレタン系ポリマーの重合の段階から白化し、キャスト重合に移行できなかった。
本発明はアクリル系ポリマー、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルの透明性と破断強度を両立しつつ、曲面における柔軟性を有する重合組成物を提供することができた。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸エステル、ウレタン系ポリマー及び架橋剤を含む重合組成物であって、
    前記ウレタン系ポリマーがジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
    前記架橋剤が、下記一般式(1)の構造の単量体である重合組成物。
    ・・・(1)
    (R及びRはそれぞれ、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基を表し、Rは、直鎖状、分岐を有する鎖状又は環状構造のいずれかを有し、炭素、窒素、水素又は酸素原子で構成される構造を表す。)
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、前記ウレタン系ポリマーが1〜30質量部、及び前記架橋剤が1〜20質量部である、請求項1記載の重合組成物。
  3. 前記架橋剤が、ウレタン結合を有する化合物である請求項1又は2に記載の重合組成物。
  4. (メタ)アクリル酸エステル、ジオールとジイソシアネートを反応させてなるウレタン系ポリマー及び上記一般式(1)の構造の単量体である架橋剤とを含む重合組成物を、無溶剤で重合する重合体の製造方法。
  5. 請求項4の重合体の製造方法で得られる重合体を、成形して得られる成形体の製造方法。
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