JP2017122105A - ゴマ由来原料抽出物およびその利用物品 - Google Patents

ゴマ由来原料抽出物およびその利用物品 Download PDF

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Abstract

【課題】抽出溶媒由来の有機溶媒を含まないセサミノール配糖体を製造する方法の提供。【解決手段】ゴマ由来の原料と水とを混合してこれを耐圧容器に投入し、100〜155℃の温度範囲で5〜60分間保持することによる、セサミノール配糖体を高濃度で含有する水熱処理抽出物の製造方法。得られた水熱処理液を乾固した水熱処理抽出物。ゴマ由来原料からの抽出物であって、セサミノール配糖体を0.3〜1.0重量%含有し、抽出溶媒由来の有機溶媒を含くまないゴマ由来原料抽出物。前記セサミノール配糖体がセサミノールに3個以下の糖が結合したセサミノール配糖体であるゴマ由来原料抽出物。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴマ由来原料抽出物およびその利用物品に関するものであり、ゴマ由来原料抽出物は、セサミノール配糖体を含有することからセサミノール配糖体を有効成分として含有する食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料などの分野において好適に使用可能な天然原料として水溶性の天然系抗酸化剤として有用である。
ゴマの種子には、抗コレステロール、抗動脈硬化、抗酸化能などの生活習慣病予防の効果を有する水溶性の成分が含まれている。この成分は様々なものが知られており、特にセサミノールがよく知られている。セサミノールは、糖が結合した配糖体の形態でゴマ種子中に存在しており、この配糖体を効果的にゴマ種子から抽出する技術が開発されてきている。ゴマの種子に含有されているセサミノール配糖体は水あるいは低級アルコールに可溶な性質を有することを利用して、ゴマの種子類を水、エタノールあるいはその混合溶媒により抽出してこの抽出物からセサミノール配糖体を分離することが行われている。
例えば、脱脂ゴマ種子から、食品、医薬品、化粧品などの素材として有用なセサミノールトリグルコシドを、簡便に、高純度かつ高回収率で製造する方法として、ゴマ種子から水、エタノールまたはエタノール水から選ばれる溶媒を用いてセサミノールトリグルコシドを含む溶媒可溶成分を抽出し、得られた抽出液を活性炭と接触させて該溶媒可溶成分の一部を活性炭に吸着させ、次いで該吸着した成分からセサミノールトリグルコシドを採取することを特徴とするセサミノールトリグルコシドの製造方法(特許文献1)や、脱脂したゴマ科植物を水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒により抽出する工程、多孔性樹脂により水、アルコール、アセトンの順で溶出する工程、移動相として水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒を用いて吸着材で吸着処理する工程、溶出液を、移動相として水、水溶性溶媒またはこれらの混合溶媒を用いた液体クロマトグラフィーで単離する工程により特定の構造式で表されるセサミノール配糖体を製造する方法(特許文献2)などの吸着を利用した製造方法が提案されている。
しかしながら、クロマトグラフィーの技術によりセサミノール配糖体を分画処理すると高純度の物質が得られるがその工程は複雑であり技術を要するため大量生産には向いていない。
また、ゴマ種子から水あるいは含水アルコールによる抽出物を、糖加水分解酵素を利用してリグナン配糖体やセサミノール配糖体を製造することが行われている。例えば、脱脂されたゴマ種子から水、エタノールまたはエタノール水から選ばれる溶媒を用いてセサミノールトリグルコシドを含む溶媒可溶成分を抽出し、得られた抽出液を活性炭と接触させて該溶媒可溶成分の一部を活性炭に吸着させ、次いで該吸着した成分からセサミノールトリグルコシドを採取することを特徴とするセサミノールトリグルコシドの製造方法(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、これらの酵素を使用する製造方法は、β−グルコシダーゼなどの酵素素材が高価であり、さらにクロマトグラフィーで分画する技術が大量生産に向いていないなど実用化レベルの技術にはほど遠いものである。
さらに、ゴマ種子からの有効成分の抽出処理には亜臨界または超臨界の水が用いられることが知られている。例えば、代表的な生活習慣病である高血圧症の原因であるアンジオテンシン変換酵素の阻害活性を有するゴマ趣旨由来の蛋白質の分解物がありこの蛋白質分解物を安全に量産できる製造方法として、ゴマ種子由来の蛋白質と水とを混合し、10〜90分間で到達温度が160〜280℃の亜臨界状態として加水分解した後、液体部を分離し、分離した液体部を乾燥する血圧降下剤の製造方法(特許文献4)や、リグナン化合物であるセサミンなどのラジカルに対する抗酸化性を増強するためにリグナン化合物を超臨界状態の水と反応させることにより、リグナン化合物中のメチレンジオキシフェニル基をカテコール基に変換して、顕著な抗酸化活性を付与することが提案された(特許文献5)。
このように、ゴマ種子由来の蛋白質と水とを混合し、亜臨界あるいは超臨界状態として加水分解する技術では、高温領域での処理により有効成分であるセサミノール配糖体が分解して減少することと、共存する他のポリフェノール成分などの有効成分も分解してしまうおそれが高く、さらに、エネルギーコストが高いなどの問題を有している。
特開平10−287695号公報 特開2002−322191号公報 特開平8−228793号公報 特開2011−84533号公報 特開2001−139579号公報
本発明は、従来の技術が有している諸問題を解決したセサミノール配糖体を高濃度で含有するゴマ由来原料抽出物を提供することを目的とする。また、本発明は、簡便でエネルギー効率がよく、大量生産に適したセサミノール配糖体を含有する素材を提供することを目的とする。
上述の従来技術に鑑みて本発明者らは、簡便で実用的なセサミノール配糖体の製造方法を鋭意研究開発に努力する中でゴマ由来原料と水の混合物を、100〜155℃の温度範囲に短時間保持することにより得た水熱処理抽出物にはセサミノール配糖体を高濃度で含有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、従来の技術が有していた諸問題を解決するものであり、ゴマの種子に含まれる、抗コレステロール、抗動脈硬化、抗酸化能などの生活習慣病予防の効果を有する水溶性の成分であって、特に、ゴマ種子の中でセサミノールに糖が結合したセサミノール配糖体を効率よくゴマ種子から抽出する水熱処理技術を提供するものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)ないし(4)のセサミノール配糖体を含有するゴマ由来原料抽出物を提供する。
(1)ゴマ由来原料からの抽出物であって、セサミノール配糖体を0.3〜1.0重量%含有し、抽出溶媒由来の有機溶媒を含まないことを特徴とするゴマ由来原料抽出物。
(2)前記ゴマ由来原料が、ゴマ種子、ゴマ種子の圧搾滓、ゴマ種子焙煎物、ゴマ種子焙煎物の圧搾滓、ゴマ種子の圧搾滓の脱脂滓、およびゴマ種子焙煎物の圧搾滓の脱脂滓から選ばれる1種以上である上記(1)のゴマ由来原料抽出物。
(3)前記セサミノール配糖体が、セサミノールに3個以下の糖が結合したセサミノール配糖体である上記(1)または(2)に記載のゴマ由来原料抽出物。
(4)前記ゴマ由来原料からの抽出物は、前記ゴマ由来原料と水とを混合した含水率が75〜90重量%である混合物の水抽出物である上記(1)から(3)のいずれかに記載のゴマ由来原料抽出物。
また、本発明は、以下の(5)の用途を提供する。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のゴマ由来抽出物を含有する食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、ゴマ由来の原料と水とを混合してこれを耐圧容器に投入し、100〜155℃の温度範囲で5〜60分間保持することにより、簡便かつ効率よくセサミノール配糖体を高濃度で含有する水熱処理抽出物を製造することができ、さらに実用性、大量生産性にも優れた効果を奏する。
なお、ゴマ由来の原料と水とをあらかじめ混合しスラリー状態にすることによって該混合物の移送をスムーズにし、耐圧容器内への投入および投入後の水熱処理の効率を上げることができる。さらに、スラリー状態で所定時間保持することによってもゴマ由来の原料への水の浸透が進み、水熱処理の効率を上げることが可能となる。
溶媒として用いる水の臨界点に近い温度、圧力のような、高温高圧を必要としないで、また、酵素などの高価な薬剤を使用する必要がなく、また反応温度が酵素の至適温度に制限されることがないために、簡便な水熱反応により経済的にゴマ原料からセサミノール配糖体を収率良く抽出することができる。
ゴマの種子に含まれる、抗コレステロール、抗動脈硬化、抗酸化能などの生活習慣病予防の効果を有する水溶性の成分であって、特に、ゴマ種子の中でセサミノールに糖が結合したセサミノール配糖体を効率よくゴマ種子から抽出する水熱処理技術を提供することができる。
セサミノール配糖体を含有するゴマ由来の物質であれば水熱処理原料として使用することができ、現在は、肥料や飼料に使用されているゴマ油の搾油滓などの廃物を有効利用することができる。
セサミノール配糖体を有効成分として含有する食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料などの分野において好適に使用可能な天然原料を安価に製造することができる。
水熱処理試験装置の概略を示す。 圧搾滓を二段水熱処理する工程のフローを示す。 150〜250℃で水熱処理した後の固体部の性状を示す。 水熱処理時間とセサミノール配糖体回収率の関係を示す。
ゴマは、漢方薬の分野においては滋養強壮薬として用いられ、疲労回復、肌や髪の美容、乳汁の出をよくし、若返り、便秘などに効用のあるすぐれた伝統食品とされてきた。ゴマ種子には、ゴマリグナンが含まれその主要構成成分はセサミン、セサモリン、セサモール、セサミノール、セサミノール配糖体からなり、なかでもセサミノール配糖体を比較的大量に含んでいるが、セサミノール配糖体などのゴマリグナンはゴマの小さな種子のわずか1%ほどにしか存在していない微量成分である。この配糖体が、体内に入ると腸内細菌の働きにより、セサミノールに変換されて腸管から吸収され、全身の細胞の酸化を抑える作用効果を有し、抗酸化作用や肝機能向上、ガン予防、老化防止、二日酔い予防など健康に良いと言われている。
例えば、細胞の老化やガン化の原因のひとつは過酸化脂質であり、過酸化脂質は、生体や食品中に含まれる脂質が酸化されることによって生じる。ウサギの赤血球膜などを用いた実験や人の培養細胞での過酸化障害に対するセサミノールの防御効果を調べる実験などによりセサミノールの抗酸化作用が確認され、抗老化、抗ガン作用が期待されている。また、セサミノールには、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールが体内に蓄積するのを防ぐ作用のあることが確認されている。従って、高脂血症治療薬並みの効果が期待できる。さらに、二日酔いの元凶であるアセトアルデヒドの分解速度を速めて、肝臓の負担を軽くする効果があるとされている。
このように人の健康増進に有用な成分として知られているセサミノール配糖体は、水溶性で他のゴマリグナンと違い水に溶ける。そのため水アルコール混合溶媒などの水性媒体による抽出が行われ、抽出物がそのままあるいは精製処理を施して利用される。セサミノール配糖体は、抗酸化性を持たないが抗酸化性を有するリグナン類に比較して熱に対する安定性が比較的高く、ゴマ脱脂滓中には0.2〜2重量%程度、ゴマ種子中には約0.1〜1重量%が含まれている。
本発明は、セサミノール配糖体を含有するゴマ由来の原料と水を混合してこれを耐圧容器に投入し、100〜155℃の温度範囲で5〜60分間保持することを特徴とするセサミノール配糖体を含有する水熱処理抽出物を製造する方法であり、セサミノール配糖体を効率よく経済的に抽出することができる。
[水熱処理試験装置]
以下の試験を行う装置としてOMラボテック社製MMJ−500型高圧マイクロリアクターを用いた。材質はSUS316、内容積は500ml(内径51mm×高さ260mm)であり、付帯設備として、撹拌翼2、ヒーター3、温度計4、撹拌翼駆動用モーター5、圧力計6が設置されている。装置の概要を図1に示す。
[セサミノール配糖体の水熱処理抽出量と全ポリフェノールの水熱処理抽出量との関係]
以下に行った各水熱処理においては、生成物のセサミノール配糖体自体の含有量を定量分析するか、あるいは全ポリフェノールの濃度を定量分析することによりセサミノール配糖体の含有量を推定した。水熱処理においては、水熱抽出水中のセサミノール配糖体の濃度が全ポリフェノールの濃度と同じ傾向を示すことが実験より確かめられている。また、抽出された全ポリフェノール中には10〜30重量%のセサミノール配糖体が含有されていることが、あらかじめ行った測定により判明している。
[抽出ゴマ原料]
セサミノールを抽出する原料としては、ゴマ由来のものであってセサミノール配糖体を含有するものであればいかなる原料をも利用できるが、特に、ゴマ由来原料として、ゴマ種子、ゴマ種子の圧搾滓、ゴマ種子焙煎物、ゴマ種子焙煎物の圧搾滓、ゴマ種子の圧搾滓の脱脂滓、ゴマ種子焙煎物の圧搾滓の脱脂滓から選ばれることが好ましい。なかでも、ゴマ由来原料としては、圧搾滓の脱脂滓から選ばれることが最も好ましい。これらの搾油後の滓類を用いることによって、水熱処理抽出物中に不用意に油分が混入することがなく水熱処理が効果的に進行する。最も典型的な原料としては、ゴマ油を採取した後の滓類であり、これらは0.2から2%のセサミノール配糖体を含有している。
[抽出溶媒]
抽出には、水または親水性の有機溶媒と水との混合物が抽出溶媒として用いられる。例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの炭素数2〜5の多価アルコールなどの親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを、食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料などの分野に応じて好適に選択して用いることができる。なお、食品分野においては、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用することができる。中でも低級アルコールの内、エタノールを好適に用いることができ、水100質量部に対して1〜90質量部(1〜90重量%)の割合で混合添加することが好ましい。
[水熱処理温度および時間]
ゴマ由来原料と抽出溶媒との混合物を耐圧容器に投入し、温度範囲を100〜155℃内で5〜60分、好ましくは10〜60分保持する。水熱処理温度は溶媒の沸点以上に保持する。一旦、水熱処理して成分を抽出したゴマ由来原料を、再度水と混合して、100〜155℃で5〜60分、好ましくは10〜60分保持して水熱処理抽出物を製造してもよい。さらに、この処理を複数工程連続して実施してもよい。複数工程実施することによって、ゴマ由来原料からセサミノール配糖体のほとんどを水熱処理抽出物として抽出することが可能となる。なかでも、前記、水熱処理抽出物の製造方法において、温度範囲を140〜150℃で30〜40分保持することが好ましい。この範囲において水熱処理することによって、水溶液部分に含まれる有効成分であるセサミノール配糖体の含有率が高くなる。
水熱処理温度と抽出液のセサミノール配糖体の濃度の関係を表1に示す。
水熱処理温度は140〜150℃の範囲が最も効率的に抽出が行うことができる。一方、温度が155℃より高くなるとセサミノール配糖体の熱による分解が顕著となるために抽出率が低下する。また、水熱処理温度が100℃よりも低いと抽出効率が低下するとともに抽出に長時間を要するため実用的ではない。
これまでに、ゴマ由来のタンパク質を160〜280℃の水系で加水分解する血圧降下剤の製造(特許文献4)や、リグナン化合物類を超臨界状態(374℃以上、221気圧以上)の水と反応させることによりメチルオキシフェニル基をカテコール基に変換するリグナン系抗酸化物の製造方法(特許文献5)が知られているが、セサミノール配糖体の抽出に100〜155℃の高温を用いた例は知られていない。
水熱処理時間は、セサミノール配糖体の溶媒中での濃度あるいは抽出効率などを考慮して決定されるが、短時間では十分な抽出率が得られない、また長時間の抽出を高温で行うと熱分解のおそれが有るため、低温では長時間、高温では短時間の熱水処理時間が好ましく、また抽出条件は原料との関係で適宜選択される。表2に水熱処理温度が140および150℃、含水率が85%での処理時間と抽出液のセサミノール配糖体の濃度を示す。
[ゴマ原料と水との配合割合(含水率)]
本発明の水熱処理抽出物の製造において、ゴマ由来原料と水を混合する際には、混合物の含水率が75〜90重量%であることが好ましい。含水率が75重畳%を下回るとゴマ由来原料が水熱処置の途中で不用意に焦げ付く恐れがある。また、含水率が90重量%を上回ると、水熱処理後に得られる水熱処理抽出物中に含まれる有効成分であるセサミノール配糖体の含有率が低下して、後段に続く濃縮工程を行う場合にはその効率が低下する恐れがある。
圧搾滓と水の混合割合と水熱処理液中の全ポリフェノール濃度の関係を表3に示す。本結果から、含水率が減少するほど水熱処理抽出物の濾液中に含まれる全ポリフェノール濃度が高くなる傾向が認められる。後の、濃縮、精製などの工程を考慮すると、濾液中の全ポリフェノール濃度は約2000ppm以上であることが好ましい。
[水熱処理抽出物]
本発明で得られる水熱抽出処理液を乾固した水熱処理抽出物にはセサミノール配糖体の濃度は水熱処理条件によるが0.3〜1.0重量%含有されている。得られたセサミノール配糖体を含む水熱処理抽出物は溶媒の濃縮操作によりさらに高濃度のものへと変換することができる。また、さらに精製工程を経て高純度とすることもできる。
本発明の水熱処理抽出物には糖が3個以下結合したセサミノール配糖体を主に含有する。このことは水熱処理抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって分析することで判明した。
[二段処理による水熱処理の効率化]
水熱処理(一段目水熱処理)が終了した後、圧搾滓と抽出液を吸引濾過により分離して、分離後の圧搾滓に新たに同量の水を添加して水熱処理(二段目水熱処理)を行った。二段水熱処理のフロー図を図2に示す。各工程での濾液中に含まれる全ポリフェノールの量を測定し、各圧搾滓重量に対する全ポリフェノールの割合を回収率として表4に示した。
含水率が低いほど濾液中の全ポリフェノールの濃度は増加した。しかしながら、濾液に含まれる全ポリフェノールの合計量と使用した圧搾滓との関係では含水率が低いほど回収率は減少する。
[用途]
本発明により得たセサミノール配糖体を含有する水熱反応物は抗コレステロール、抗動脈硬化および抗酸化能から選ばれる1種以上の機能を有し、食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料などの分野において好適に使用可能な素材であり、何ら加工しないで、あるいは精製、濃縮することにより、食品、医薬品、医薬部外品、化粧料用に利用され、具体的には、抗コレステロール剤、抗動脈硬化剤、あるいは抗酸化剤として使用される。本発明で製造したセサミノール配糖体は、これらの用途に適用する際に要求される本来の特性や、他の、例えば、熱や光に対する安定性、味、匂いなどにおいても何ら問題はない。
本発明により製造したセサミノール配糖体が適用できる食品としては、特に限定されないが、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷などの冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳などの乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなどの油脂および油脂加工食品;ソース、たれなどの調味料;種々の形態の健康・栄養補助食品;その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられる。
また、本発明により製造したセサミノール配糖体は、経口摂取する、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬などの医薬品、医薬部外品など、口中清涼剤、口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などに添加して用いることができる。
さらに、直接皮膚につける、化粧水、乳液、各種化粧用クリーム、美容液、パック剤、洗浄料などのスキンケア化粧料、口紅、ファンデーションなどのメーキャップ化粧料などに添加して用いることができる。
セサミノール配糖体の摂取量としては、成人1日当たり0.01〜1000mg、好ましくは1〜500mgが適切な範囲である。セサミノール配糖体の1日当たりの摂取量が0.01mg未満の場合には効果に発揮させることができず、1000mgを越える場合には必要以上の量を摂取する恐れがある。
次に、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明が以下の実施例により限定されるものではない。
以下の実施例では、水熱処理抽出物中のセサミノールの配糖体の含有量を、HPLC分析によって求めた。
[HPLC分析条件]
カラム:Inertsil ODS−3
内径4.6mm×250,5μ(ジーエルサイエンス(株)製)
移動相:10%⇒90%メタノールaqの70分リニアグラジュエント
流 量:1ml/min
波 長:290nm
温 度:30℃
標準品:セサミンよりセサミノール配糖体量を算出
[水熱処理時間と温度による影響]
水熱試験装置として図1に示す高圧マイクロリアクターを使用し、配糖体を水熱処理により抽出するための原料である脱脂ゴマ種子として焙煎後ゴマ油を圧搾抽出した滓を使用した。
水熱処理には所定の試料と水を装置中に投入し,次いで撹拌と昇温を開始する。所定の温度に達した後、所定の時間水熱処理を行った。水熱処理した処理物を濾過した濾液を、フォーリンチオカルト法によって全ポリフェノール濃度を測定した。セサミノール配糖体、タンパク質、糖類などについても分析し本発明の水熱処理を評価した。
ゴマ圧搾滓40gと水228gを混合して含水率85%に調整した試料について,温度30℃から150℃、処理時間を5分間と60分間で水熱処理した。水熱処理後開口部45μのフィルターで濾過し、その濾液に含まれるセサミノール配糖体の濃度を表1に示した。表1に示されるように、いずれの処理時間にあっても処理温度が上昇するほど水熱処理液中のセサミノール配糖体が増加することが分かった。
試験の結果、セサミノール配糖体が抽出され、収率は34〜49%であることが分かった。
[含水率と水熱処理後の処理液中の全ポリフェノール濃度の関係]
ゴマ圧搾滓と水との混合割合(含水率)を75%から90%に変化させて、温度150℃、処理時間40分間の条件で水熱処理し、全ポリフェノール濃度を測定した。その結果を表3に示した。含水率が減少するほど、水熱処理した濾液中に含まれる全ポリフェノール濃度が高くなることが分かった。濾液中の全ポリフェノール濃度は、約2000ppm以上(セサミノール配糖体として200ppm以上)であることが好ましい。
[比較例1]
実施例1と同様にして水熱処理を行った。実験条件と実験結果を表5に示した。処理温度が150℃以上の条件では、セサミノール配糖体の分解が始まり、最終的には糖が外れてセサミノールとなる。そして、抽出液中のセサミノールはすぐに酸化分解され検出することはできない。なお、200℃および250℃で処理した後の圧搾滓の固体部からクロロホルム:メタノール=9:1の混合溶媒(4倍量)を用いて抽出を試みたが、セサミノール配糖体は、ほとんど検出できなかった。また、セサミノールは検出されたが、酸化分解が早いため、安定して分析できなかった。
水熱処理した後の固体部の状態について図3に示した。150〜160℃での温度条件では固体部は分解が進みペースト状となっていたが、200〜250℃の高温になると分解だけでなく重合反応が進んで黒いペースト状となっていた。
[二段処理による水熱処理]
一段目の水熱処理の後、吸引濾過により圧搾滓と濾液に分離し,続いてその圧搾滓に新たに水を添加した水熱処理(二段目の水熱処理)を行う二段処理を行った。フローを図2に、分析結果を表4に示す。一段目の条件は、圧搾滓の含水率を75、80、85、90%とし、処理温度を150℃、処理時間を40分間とし、二段目では一段目の濾液と同量の水を新たに加え、温度150℃、処理時間40分間とした。いずれの工程においても、含水率が低いほど濾液の全ポリフェノール濃度が増加した。しかし、圧搾滓の仕込み量に対する濾液に含まれる全ポリフェノールの含有量(回収率)は含水率が低いほど減少することが分かった。
セサミノール配糖体は、水熱処理により抽出できることを確認した。150℃または140℃で10〜60分間水熱抽出を行った。セサミノール配糖体を0.3%含有する圧搾滓を原料とし含水率を85%として水熱処理した。結果を図4に示す。高温で50分間以上の長時間水熱処理を行うとセサミノール配糖体の収率が低下し始める傾向を示した。これはセサミノール配糖体の熱分解が起こっているものと考えられる。濃縮乾固物中のセサミノール配糖体の回収率は図4に記載のごとく約30〜50%の範囲であった。
本発明は、ゴマの種子を水熱処理して得られる水熱処理抽出物およびその製造方法に関するものであり、水熱処理によりセサミノール配糖体を簡便に経済的に製造することができる。それによって、セサミノール配糖体を有効成分として含有する食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料などの分野において好適に使用可能な天然原料としてまた水溶性の天然系抗酸化剤を提供することができる。
1:試料
2:撹拌翼
3:ヒーター
4:温度計
5:撹拌翼駆動モーター
6:圧力計

Claims (5)

  1. ゴマ由来原料からの抽出物であって、セサミノール配糖体を0.3〜1.0重量%含有し、抽出溶媒由来の有機溶媒を含まないことを特徴とするゴマ由来原料抽出物。
  2. 前記ゴマ由来原料が、ゴマ種子、ゴマ種子の圧搾滓、ゴマ種子焙煎物、ゴマ種子焙煎物の圧搾滓、ゴマ種子の圧搾滓の脱脂滓、およびゴマ種子焙煎物の圧搾滓の脱脂滓から選ばれる1種以上である請求項1のゴマ由来原料抽出物。
  3. 前記セサミノール配糖体が、セサミノールに3個以下の糖が結合したセサミノール配糖体である請求項1または2に記載のゴマ由来原料抽出物。
  4. 前記ゴマ由来原料からの抽出物は、前記ゴマ由来原料と水とを混合した含水率が75〜90重量%である混合物の水抽出物である請求項1から3のいずれかに記載のゴマ由来原料抽出物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のゴマ由来原料抽出物を含有することを特徴とする食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料。
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