JP2017122030A - 導電性酸化物焼結体、導電用部材、ガスセンサ素子、および、ガスセンサ - Google Patents

導電性酸化物焼結体、導電用部材、ガスセンサ素子、および、ガスセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】導電性酸化物焼結体において、高い導電率を達成しつつ、熱膨張係数を適切に制御可能にする。【解決手段】導電性酸化物焼結体は、組成式:REaCrbFecNidOx(但し、REは希土類元素を表し、a+b+c+d=1、1.3≦x≦1.7)で表されるペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相を含む。係数a,b,c,dは、0.459≦a≦0.524、0<b≦0.100、0.125≦c≦0.250、0.200≦d≦0.300、を満たす。【選択図】図5

Description

本発明は、導電性酸化物焼結体、それを用いた導電用部材、ガスセンサ素子、および、ガスセンサに関する。
電子部品としてのセラミックス製品は、セラミックス製の基材と、基材の上に設けられた電極とを備えており、電極は金属で形成されたものが一般的である。このような製品としては、例えば、Ni(ニッケル)電極、Pd(パラジウム)電極、又はPt(白金)電極を有する積層セラミックスコンデンサー、Ag(銀)電極、Cu(銅)電極、又はAg−Pd電極を有するLTCC部品(低温同時焼成セラミックス)、Pd電極を有するピエゾアクチュエータ、W(タングステン)電極を有する半導体パッケージ、並びに、Ir(イリジウム)電極、又はPt電極を有するスパークプラグなどがある。
但し、Ni、Cu、W等の金属をセラミックス基材と共に焼成する際には、用いる金属に応じた雰囲気制御が必要であるため、セラミックス基材の本来の性能を発揮し難くなり、また、製造コストが高くなるという問題がある。一方、Agは融点が低い(962℃)ため、低温で焼成する必要がある。その結果、セラミックス基材の材質が制限され、さらに、低温で焼成するためにセラミックス基材の特性が低下することがある。また、Pd、Ir、Ptといった貴金属材料は高価であるため、大面積を必要とする電極には適用し難い。
セラミックス製品の電極を金属から形成すると上述のような種々の問題が生じるため、電極を導電性の酸化物(セラミックス)で置き換える構成も考えられる。導電性を示す酸化物として、特許文献1には、温度の上昇とともに抵抗値が減少する負の抵抗温度特性を有するランタンコバルト系酸化物が開示されている。また、特許文献2には、高温ではB定数の絶対値が大きいという特性を有するランタンコバルト系酸化物が開示されている。しかしながら、特許文献1,2に記載された導電性酸化物は、室温で抵抗率が高く、導電性が不十分である。
上記のように、従来の酸化物は、金属に比べると導電率が極めて低く、かつB定数(温度係数)の絶対値が大きいため、金属と代替することは困難であった。なお、導電率が大きな酸化物として、ルテニウム系酸化物(RuO、SrRuO等)が知られているが、Ruが高価であるという問題がある。そこで、本願の出願人は、導電率が高く、かつB定数(温度係数)が小さく、導電性材料として適した酸化物焼結体を特許文献3で開示した。また、特許文献4〜6にも、各種のペロブスカイト型酸化物が開示されている。
特許第3286906号公報 特開2002−87882号公報 国際公開第2013/150779号公報 特開平02−269949号公報 特開平03−165253号公報 特開2002−084006号公報
導電性酸化物から成る部材をセラミックス基材上に設ける場合には、導電性酸化物の導電率が高いことに加えて、例えばセラミックス製品の反りやクラックを抑制するとの観点から、導電性酸化物焼結体と基材の熱膨張係数を近づけることが好ましい。例えば、セラミックス製品の基材として一般的に用いられるアルミナとジルコニア(YSZ)の熱膨張係数は、それぞれ約8×10−6−1と約10×10−6−1であるため、導電性酸化物焼結体の熱膨張係数も、できる限りこれらに近づけることが好ましい。そのため、高い導電率を達成しつつ、熱膨張係数を適切に制御可能な導電性酸化物焼結体が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、導電性酸化物焼結体が提供される。この導電性酸化物焼結体は、組成式:RECrFeNi(但し、REは希土類元素を表し、a+b+c+d=1、1.3≦x≦1.7)で表されるペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相を含み、前記a,b,c,dが、
0.459≦a≦0.524、
0<b≦0.100、
0.125≦c≦0.250、
0.200≦d≦0.300、
を満たす。
この導電性酸化物焼結体によれば、100S/cm以上の室温導電率を達成しつつ、熱膨張係数を11.6×10−6−1から12.4×10−6−1の範囲で制御可能になる。
(2)上記形態の導電性酸化物焼結体において、前記bは、0.025≦b≦0.100を満たすこととしてもよい。
この形態の導電性酸化物焼結体によれば、熱膨張係数を所望の範囲内に抑えることがより容易になる。
(3)上記形態の導電性酸化物焼結体において、前記希土類元素REは、Laであることとしてもよい。
この形態の導電性酸化物焼結体によれば、導電性酸化物焼結体の室温導電率をより高くすることができ、また、導電性酸化物焼結体のB定数の絶対値をより小さくできる。
(4)上記形態の導電性酸化物焼結体において、前記aが、0.473≦a≦0.512を満たすこととしてもよい。
この形態の導電性酸化物焼結体によれば、導電性酸化物焼結体の焼結性および導電性をより高めることができる。
(5)上記形態の導電性酸化物焼結体において、アルカリ土類金属元素を実質的に無含有としてもよい。
この形態の導電性酸化物焼結体によれば、室温から900℃近傍までの広い温度範囲において導電性酸化物焼結体の重量変化を抑え、高温環境下で使用する導電性材料として適した酸化物焼結体とすることができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、導電性酸化物焼結体、それを用いた各種の電極や、電気配線、導電用部材、ガスセンサ素子、ガスセンサ(具体的には、酸素センサ、NOxセンサなど)、熱電材料、ヒータ材料、及び、温度検知用素子、並びに、それらの製造方法等の形態で実現することができる。
一実施形態における導電性酸化物焼結体の製造方法を示すフローチャート。 ガスセンサ素子の一例を示す説明図。 ガスセンサの製造方法を示すフローチャート。 酸素センサの構造を示す断面図。 複数のサンプルの組成および特性を示す図。 代表的なサンプルのB定数および熱起電力を示す図。 代表的なサンプルのbの値と伝導率、あるいは熱膨張係数との関係を示すグラフ。 他の代表的なサンプルの焼成温度と比重の関係を示す図。
A.導電性酸化物焼結体の組成
本発明の一実施形態としての導電性酸化物焼結体は、以下の組成式である(1)式を満たすペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相を含む酸化物焼結体である。
RECrFeNi … (1)
ここで、REは希土類元素を表し、a+b+c+d=1、1.3≦x≦1.7である。また、係数a,b,c,dは以下の関係を満たす。
0.459≦a≦0.524 … (2a)
0<b≦0.100 … (2b)
0.125≦c≦0.250 … (2c)
0.200≦d≦0.300 … (2d)
希土類元素REとしては、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)などの各種の希土類元素のうちの一種以上を含むことが可能であり、La、Pr、Ndのうちの一種以上を含むことが好ましい。特に、希土類元素REとしてLaのみを含むようにすれば、室温導電率がより高い導電性酸化物焼結体を得ることができる点で好ましい。また、希土類元素REとしてLaのみを含む場合は、B定数の絶対値がより小さくなる点でも好ましい。
上記(2a)〜(2d)式の関係を満たすようにすれば、100S/cm以上の室温導電率を達成しつつ、熱膨張係数を11.6×10−6−1から12.4×10−6−1の範囲で制御可能になる。ここで、「室温導電率」とは25℃における導電率を意味する。希土類元素REの係数aが0.459未満である場合、または、0.524を超える場合には、100S/cm以上の室温伝導率を得られない場合がある。また、上記係数aが0.524を超える場合には、焼結性に劣る場合がある。Crの係数bが0である場合には、熱膨張係数が大きくなりすぎる場合がある。また、上記係数bが0.100を超える場合には、100S/cm以上の室温伝導率を得られない場合がある。Feの係数cが0.125未満である場合、または、0.250を超える場合には、100S/cm以上の室温伝導率を得られない場合がある。Niの係数dが0.200未満である場合、または、0.300を超える場合には、100S/cm以上の室温伝導率を得られない場合がある。
また、導電性酸化物の組成が上記(2a)〜(2d)式の関係を満たす場合には、基材として一般的に用いられるアルミナやジルコニア等の酸化物の焼成温度範囲において焼結させることが可能になる。具体的には、後述する焼結可能温度を、1525℃から1600℃で制御することができる。
さらに、導電性酸化物の組成が上記(2a)〜(2d)式の関係を満たす場合であって、希土類元素REがLaである場合には、118S/cm以上の室温導電率を達成しつつ、熱膨張係数を11.6×10−6−1から12.4×10−6−1の範囲で制御可能になる。なお、この場合には、後述する焼結可能温度を、1550℃から1600℃で制御することができる。
係数a,b,c,dが上記(2a)〜(2d)式の関係を満たす導電性酸化物焼結体において、係数aは、さらに以下の(3a)式を満たすことが好ましい。これにより、導電性酸化物焼結体の焼結性および導電性をより高めることができる。
0.473≦a≦0.512 … (3a)
また、係数a,b,c,dが上記(2a)〜(2d)式の関係を満たす導電性酸化物焼結体において、係数bは、さらに以下の(3b)式の関係を満たすことが好ましい。これにより、熱膨張係数を所望の範囲内に抑えることがより容易になる。
0.025≦b≦0.100 … (3b)
O(酸素)の係数xに関しては、上記組成を有する酸化物焼結体がすべてペロブスカイト相からなる場合には、理論上はx=1.5となる。ただし、ペロブスカイト型酸化物に含まれる各金属元素の割合や、環境温度あるいは雰囲気に応じて、酸素原子の量が量論組成からずれることがある。そのため、(1)式では、典型的な例としてxの範囲を1.3≦x≦1.7と規定している。
なお、本発明の実施形態に係る導電性酸化物焼結体は、上記組成のペロブスカイト相を含んでいればよく、他の酸化物を含んでいても良い。例えば、導電性酸化物焼結体の粉末X線回折(XRD)測定により、RE・MO(但し、Mは、Cr、Fe、又は、Ni)の酸化物のピークが検出された場合には、その導電性酸化物焼結体がペロブスカイト相を含んでいるものと判定することができる。但し、導電性酸化物焼結体は、上記組成のペロブスカイト相を50質量%以上含むことが好ましい。また、導電性酸化物焼結体は、導電性に影響を与えない範囲で極微量のアルカリ土類金属元素を含有することが許容されるが、アルカリ土類金属元素を実質的に無含有とすることが好ましい。こうすれば、室温から900℃近傍までの広い範囲の温度に導電性酸化物焼結体が晒された場合にも、酸素の吸収や放出が生じ難くなるので、当該焼結体の重量変化が小さくなる。これにより、高温環境下で使用する導電性材料として適した酸化物焼結体が得られる。なお、本明細書において、「アルカリ土類金属元素を実質的に無含有」とは、ICP発光分光分析により構成元素の含有割合を評価した場合に、アルカリ土類金属元素の含有割合が0.3%以下であることを意味する。このICP発光分析は、JIS K0116に基づいて行ない、焼結体に対する前処理に関して硝酸溶解法を適用している。
B.導電性酸化物焼結体の製造方法
図1は、本発明の一実施形態としての導電性酸化物焼結体の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態では、導電性酸化物焼結体を固相反応法によって形成している。固相反応法とは、酸化物、炭酸塩、あるいは硝酸塩など、構成金属元素を含む化合物である原料粉末を、作製すべき酸化物の組成に応じて、上記原料粉末中の金属元素が所定の割合となるように秤量、混合した後、熱処理(焼成)を行って、所望の酸化物を合成する周知の方法である。
導電性酸化物焼結体を製造する際には、まず、原料粉末を秤量し、混合する(工程T110)。本実施形態では、原料粉末を秤量した後、湿式混合して乾燥することにより、原料粉末混合物を調整する。原料粉末としては、例えば、La(OH)、Cr、Fe及びNiOを用いることができる。これらの原料粉末としては、すべて純度99%以上のものを用いることが好ましい。なお、La原料としては、La(OH)の代わりにLaを利用することも可能であるが、La(OH)を用いることが好ましく、Laを用いないことが好ましい。この理由は、Laには吸水性があるので正確に調合することが困難であり、導電率の低下や再現性の低下を招く可能性があるためである。
その後、得られた原料粉末混合物を仮焼して、仮焼粉末を得る(工程T120)。仮焼は、例えば、大気雰囲気下、800〜1400℃で1〜5時間行なうことができる。
仮焼の後、仮焼粉末に適量の有機バインダを加えて造粒する(工程T130)。具体的には、工程T130では、例えば、仮焼粉末に適量の有機バインダを加え、これを分散溶媒(例えばエタノール)と共に樹脂ポットに投入し、ジルコニア玉石を用いて湿式混合粉砕してスラリーを得ればよい。そして、得られたスラリーを80℃で2時間ほど乾燥し、さらに、250μmメッシュの篩を通して造粒することで、造粒粉末が得られる。
その後、得られた造粒粉末を成形する(工程T140)。成形は、例えばプレス機(成形圧力;98MPa)を用いて行なうことができる。そして、得られた成形体を、仮焼温度よりも高い焼成温度で焼成して、導電性酸化物焼結体を得る(工程T150)。焼成は、例えば、大気雰囲気下、1300〜1700℃で1〜5時間行なうことができる。焼成の後には、必要に応じて導電性酸化物焼結体の平面を研磨してもよい。
本実施形態では、製造の過程において、原料粉末中の金属元素が失われることがほとんどないため、得られる導電性酸化物焼結体に含まれる各金属元素の比率は、工程T110において混合した原料粉末中の各金属元素の比率と実質的に一致する。
導電性酸化物焼結体が、(1)式により規定する組成を満たすか否かは、当該導電性酸化物焼結体をICP分析することにより確認できる。分析の際には、試料を乳鉢等で粉状に粉砕し、50vol%の硝酸水溶液に溶解すればよい。試料中の測定対象となる元素が1000ppm以上の場合は、ICP−AES法(ICP発光分光分析法)を用い、1000ppmよりも少ない場合は、ICP−MS法(ICP質量分析法)を用いればよい。ICP−AES法には、iCAP6000(Thermo scientific社製)を使用することができ、ICP−MS法には、iCAPQ(Thermo scientific社製)を使用することができる。ICP−MS法による分析は、コリジョンモードにより行なえばよい。標準溶液を用いて検量線を作成し、分析値を補正することで、酸化物焼結体の組成比を求めることができる。
C.センサ素子
図2(A)は、本発明の実施形態としてのガスセンサ素子であって、既述した実施形態の導電性酸化物焼結体を用いたガスセンサ素子の一例を示す正面図であり、図2(B)はその断面図である。本実施形態のガスセンサ素子100は、酸素センサを構成する酸素センサ素子である。ガスセンサ素子100は、軸線方向である長手方向に延びるとともに、有底筒状をなすセラミック(固体電解質)製の基材110と、基材110の外表面に形成された貴金属の外部電極120と、基材110の内表面に形成された基準電極130(参照電極)とを有する。
基準電極130は、既述した実施形態の導電性酸化物焼結体で形成された導電体層である。本実施形態のガスセンサ素子100では、基準電極130は、基材110の内表面のほぼ全面にわたって形成されている。なお、基準電極130は、基材110の内表面上に、当該基準電極130(導電性酸化物焼結体)と基材110との反応を防止するための反応防止層(例えば、GdとCeとを含む酸化物から形成された層)を設けた上で、この反応防止層上に設けるようにしてもよい。一方、外部電極120は、排気ガス等の被測定ガスに接する一方、基準電極130は酸素濃度検出にあたって基準となる酸素濃度を含んだ参照ガス(例えば、大気)に接する。基準電極130の軸線方向の長さは、ガスセンサ素子100の設計にもよるが、1〜10cmの長さが典型的である。
基材110を構成する固体電解質は、例えば酸化イットリウム(Y)を添加した酸化ジルコニウム(ZrO)、すなわちイットリア安定化ジルコニア(YSZ)によって構成することができる。あるいは、酸化カルシウム(CaO)や酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)等から選択される酸化物を添加した安定化ジルコニア等の、他の固体電解質によってガスセンサ素子100を構成しても良い。ここで、安定化ジルコニアとは、完全安定化ジルコニアに限られず、部分安定化ジルコニアを含むものである。なお、ガスセンサ素子100(基材110)の軸線方向の中ほどには、径方向に突出した鍔部140が全周に渡って形成されている。
図3は、ガスセンサ素子100の製造方法を示すフローチャートである。ガスセンサ素子100を製造する際には、まず、基材110を成形する(工程T210)。具体的には、基材110の材料(例えばイットリア安定化ジルコニア粉末)をプレス成形し、図2に示す形状(筒状)となるように切削し、生加工体(未焼結成形体)を得る。
その後、生加工体の外表面に、PtやAuペーストを用いて、印刷またはディップ法により外部電極120を形成する(工程T220)。
その後、基準電極130を形成するために、生加工体の内表面に導電性酸化物の仮焼粉末ペーストを塗布する(工程T230)。具体的には、図1の工程T110,T120に従って作製された電極材料の仮焼粉末を、ターピネオールやブチルカルビトール等の溶媒に、エチルセルロース等のバインダとともに溶解してペーストを作成し、生加工体の内側に塗布する。
上記のように仮焼粉末ペーストを塗布した生加工体を乾燥させ、焼成することで、ガスセンサ素子100が完成する(工程T240)。工程T240の焼成は、大気雰囲気下、例えば1250〜1600℃で1〜5時間行なえばよい。なお、上述した図1および図3の製造方法における各種の製造条件は一例であり、製品の用途等に応じて適宜変更可能である。
D.ガスセンサ
図4は、本発明の実施形態としてのガスセンサの一例を示す断面図である。本実施形態のガスセンサ300は、例えば内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出するために用いる酸素センサである。ガスセンサ300は、軸線Oに沿って伸長する細長形状を有している。以下の説明では、図4の下方側を先端側と呼び、上方側を後端側と呼ぶ。また、軸線Oと垂直な方向であって、軸線Oから外部に向かう方向を「径方向」と呼ぶ。ガスセンサ300は、既述した実施形態のガスセンサ素子100と、主体金具20と、プロテクタ62と、外筒40と、保護外筒38と、ガスセンサ素子100の基準電極130から引き出されるリード線60と、を備えている。
主体金具20は、ガスセンサ素子100を取り囲む金属(例えばステンレス鋼)製の部材であり、主体金具20の先端部からはガスセンサ素子100の先端部が突出している。主体金具20の内表面には、先端方向に向かって内径が縮径する段部20bが設けられている。また、主体金具20の中央付近には、六角レンチ等の取り付け工具を係合させるために、径方向外側に突出した多角形状の鍔部20cが設けられている。さらに、鍔部20cよりも先端側の外表面には、雄ねじ部20dが形成されている。主体金具20の雄ねじ部20dを、例えば内燃機関の排気管のネジ孔に取付けて、ガスセンサ素子100の先端を排気管内に配置することにより、被検出ガス(排気ガス)中の酸素濃度の検知が可能になる。鍔部20cの先端側の面と雄ねじ部20dの後端との間の段部には、さらに、ガスセンサ300を排気管に取付けた際のガス抜けを防止するガスケット29が嵌挿される。
プロテクタ62は、金属(例えばステンレス鋼)製の筒状の部材であり、主体金具20の先端部から突出するガスセンサ素子100の先端部を覆っている。プロテクタ62の後端部は、径方向外側に向かって屈曲されている。この後端部が、ガスセンサ素子100の鍔部140の先端側の面と、主体金具20の段部20bとに挟まれることによって、プロテクタ62が固定されている。主体金具20とガスセンサ素子100とを組み付ける際には、まず、主体金具20の後端側から、プロテクタ62を主体金具20内に挿入し、プロテクタ62の後端部を、主体金具20の段部20bに当接させる。そして、主体金具20の後端側から、ガスセンサ素子100をさらに挿入し、鍔部140の先端側の面をプロテクタ62の後端部に当接させる。ガスセンサ素子100の外表面に形成された外部電極120は、鍔部140においてプロテクタ62と接触し、プロテクタ62を介して主体金具20と導通する。なお、プロテクタ62には、排気ガスをプロテクタ62の内部に取り込むための複数の孔部が形成されている。この複数の孔部からプロテクタ62内に流入した排気ガスは、被検出ガスとして外部電極120に供給される。
ガスセンサ素子100の鍔部140の後端側と、主体金具20との間の空隙には、滑石粉末を含む粉体材料が圧縮充填された粉体充填部31が配置されており、ガスセンサ素子100と主体金具20の隙間がシールされている。そして、粉体充填部31の後端側には、筒状の絶縁部材(セラミックスリーブ)32が配置されている。
外筒40は、ステンレス鋼等の金属材料で形成された部材であり、ガスセンサ素子100の後端部を覆うように、主体金具20の後端部に接合されている。主体金具20の後端部の内表面と、外筒40の先端部の外表面との間には、ステンレス鋼等の金属材料で形成された金属リング33が配置されている。そして、外筒40の先端部が主体金具20の後端部にて加締められることにより、主体金具20と外筒40とが固定されている。この加締めを行なうことにより、鍔部20cの後端側に屈曲部20aが形成される。主体金具20の後端部に屈曲部20aを形成することにより、絶縁部材32が先端側に押し付けられて粉体充填部31を押し潰し、絶縁部材32および粉体充填部31が加締め固定されるとともに、ガスセンサ素子100と主体金具20の隙間がシールされる。
外筒40の内側には、略円筒形状で絶縁性のセパレータ34が配置されている。セパレータ34には、セパレータ34を軸線O方向に貫通し、リード線60が挿通される挿通孔35が形成されている。リード線60は、接続端子70と電気的に接続している。接続端子70は、センサ出力を外部に取り出すための部材であり、基準電極130と接触するように配置されている。外筒40の内側には、さらに、セパレータ34の後端に接して、略円柱状のグロメット36が配置されている。グロメット36には、軸線Oに沿って、リード線60が挿通される挿通孔が形成されている。グロメット36は、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム等のゴム材料によって形成することができる。
外筒40の側面のうち、グロメット36が配置される位置よりも先端側の位置には、複数の第1通気孔41が周方向に並んで開口している。そして、外筒40の後端部の径方向外側には、第1通気孔41を覆うように、環状の通気性のフィルタ37が被せられ、さらに、フィルタ37を径方向外側から金属製筒状の保護外筒38が囲んでいる。この保護外筒38は、例えばステンレス鋼によって形成することができる。保護外筒38の側面には、複数の第2通気孔39が周方向に並んで開口している。その結果、保護外筒38の第2通気孔39と、フィルタ37と、外筒40の第1通気孔41とを介して、外筒40内部、さらにはガスセンサ素子100の基準電極130へと、外気を導入可能になっている。なお、第2通気孔39の先端側と後端側で外筒40及び保護外筒38を加締めることで、外筒40と保護外筒38の間にフィルタ37を保持している。フィルタ37は、例えばフッ素系樹脂等の撥水性樹脂の多孔質構造体によって構成することができ、撥水性を有しているため外部の水を通さずにガスセンサ素子100の内部空間に基準ガス(大気)を導入可能となっている。
以上のように構成された実施形態の導電性酸化物焼結体によれば、100S/cm以上の室温導電率を達成しつつ、熱膨張係数を11.6×10−6−1から12.4×10−6−1の範囲で制御可能になる。すなわち、高い室温導電率を達成しつつ、ガスセンサ素子の基材として一般的に用いられるセラミックス(例えばYSZ)の熱膨張係数に近い熱膨張係数を示すように制御することができる。そのため、導電性酸化物焼結体と基材とを組み合わせたガスセンサ素子100において、反りやクラック等の発生を抑えることができる。このように、ガスセンサ素子100の反りやクラック等の発生を抑えることにより、ガスセンサ素子100を備えるガスセンサ300の検出精度を高め、耐久性を向上させることができる。
さらに、実施形態の導電性酸化物焼結体によれば、後述する焼結可能温度を1525℃から1600℃で制御することができ、このような高い温度範囲で焼成することができる。したがって、ガスセンサ素子100の基材110を構成するYSZ等の安定化ジルコニアのように、比較的高い温度で焼成すべきセラミックスと組み合わせて用いる場合であっても、基材を構成するセラミックスと同時に焼成して、製造工程を簡素化することができる。また、このように基材を構成するセラミックスと導電性酸化物焼結体の焼成温度(後述する焼結可能温度)が近いことにより、両者を組み合わせて得られるガスセンサ素子100等のセラミックス製品において、導電性酸化物焼結体の剥がれやクラックの発生を抑え、導電性酸化物焼結体の基材への密着性を向上させることができる。
E.変形例
・変形例1
上記実施形態のガスセンサ素子100では、導電性酸化物焼結体によって基準電極130を構成したが、異なる構成としてもよい。例えば、基準電極130に代えて、あるいは、基準電極130に加えて、外部電極120を導電性酸化物焼結体によって構成してもよい。
・変形例2
上記実施形態では、ガスセンサ素子100は酸素濃度センサ用の素子としたが、他種のガスの濃度を測定するためのガスセンサ(例えばNOxセンサ)用の素子の電極において、実施形態と同様の導電性酸化物焼結体を適用してもよい。
・変形例3
本発明の実施形態に係る酸化物焼結体は、例えば、既述したガスセンサ用以外の各種の電極や、電気配線、導電用部材、熱電材料、ヒータ材料、及び、温度検知用素子に、金属の代替物として用いることができる。例えば、導電用部材は、セラミックス製の基材の表面に、導電性酸化物焼結体で形成された導電体層を有するものとして実現可能である。
図5および図6は、サンプルS1〜サンプルS20までの20種類の酸化物焼結体を作製し、各サンプルの組成およびその性能を調べた評価結果をまとめて示す説明図である。ここでは、サンプルS1〜S14は実施例であり、サンプルS15〜S20は比較例である。図5では、サンプルS1〜S20までの全てのサンプルについての、導電率、熱膨張係数、焼結可能温度を示している。また、図6では、図5に示したサンプルのうち代表的なサンプルS2,S3,S5,S15,S16についての、B定数および熱起電力を示している。各サンプルの製造方法は、以下の通りである。
各サンプルの酸化物焼結体は、図1で説明した製造方法に従ってそれぞれ作製し、最後に平面研磨を行って、3.0mm×3.0mm×15mmの直方体状のサンプルを得た。なお、工程T110では、図5に示す組成に従って各原料粉末を秤量・混合した。希土類元素REは、サンプルS1〜S13,S15〜S20ではLaとし、サンプルS14ではPrとした。
評価の際には、各サンプルの組成に関して複数の焼成温度を用いて焼成を行なって、得られた焼結体について後述する吸水率を調べることによって、焼結可能温度を求め、さらに比重を求めた。なお、図5および図6に示した評価結果のうち、焼結可能温度以外の項目は、上記のように求めた焼結可能温度で焼成したサンプルについての評価結果である。評価方法は、以下の通りである。
<導電率の測定>
各サンプルについて、直流4端子法により導電率を測定した。測定に用いる電極及び電極線にはPtを用いた。また導電率測定は、電圧・電流発生器(エーディーシー社製のモニタ6242型)を用いた。
<熱膨張係数の測定>
各サンプルについて、室温から1000℃に変化させた際の熱膨張係数(線膨張率α)の測定を行った。測定条件は、以下の通りである。
測定装置:リガク社製TMA8310
標準試料:Al
測定雰囲気:大気雰囲気
昇温速度:10.0℃/min
<焼結可能温度と比重の評価>
各サンプルの組成に関して複数の焼成温度を用いて焼成を行ない、JIS-R-1634に基づき焼結性(吸水率)を評価し、焼成可能温度を導出した。具体的には、まず、種々の焼成温度で焼成した後の各試料の乾燥重量W1、水中重量W2、飽水重量W3を測定し、これらの値と以下の(4)式および(5)式を用いて、吸水率と比重を算出した。そして、吸水率が0.10wt%以下となる最も低い焼成温度を、各サンプルの組成に関する焼結可能温度と定義した。ここで、(5)式中のρ1は、試験時の媒液(水)の密度である。なお、焼結体の焼結性が良いとは、焼結体の吸水性が低いことを指し、吸水性が低い焼結体ほど、一般に比重がより大きいということができる。
吸水率(%)=(W3−W1)/W1×100 … (4)
比重(g/cm)=W1/(W3−W2)×ρ1 … (5)
<B定数の測定>
B定数は、上記<導電率の測定>で説明した方法で測定した75℃と870℃の導電率から、下記(6)式に従って算出した。
B定数=ln(ρ1/ρ2)/(1/T1−1/T2) …(6)
ρ1=1/σ1
ρ2=1/σ2
ρ1:絶対温度T1(K)における抵抗率(Ωcm)
ρ2:絶対温度T2(K)における抵抗率(Ωcm)
σ1:絶対温度T1(K)における導電率(S/cm)
σ2:絶対温度T2(K)における導電率(S/cm)
T1=348.15(K)
T2=1143.15(K)
<熱起電力の測定>
熱起電力は、定常直流法により測定した。各サンプル(3.0mm×3.0mm×15mm)の長手方向両端よりもやや中央寄りで互いに所定距離だけ離れた2箇所にPt線を巻きつけ、導電率の電位差測定用電極として利用した。また、サンプルの両端にスパッタでAuを蒸着し、その両端にPt板またはPt網で形成された外側白金電極をそれぞれ設けた状態でサンプルの両端を石英管で挟み込んでサンプルを固定した。測定時には、2つの外側白金電極の間に定電流を印加するとともに、片側の石英管に高温の空気を送り込むことによって外側白金電極間に温度差を発生させた。さらに、外側白金電極にR熱電対(Pt−Pt13Rh)を取り付けて、温度差を読み取った。空気流量を変化させることによって温度差を段階的に生じさせ、電位差−温度差の相関関係を求め、最小二乗法により770℃における熱起電力を算出した。なお、測定にはオザワ科学株式会社製RZ2001kを用いた。また、測定は大気雰囲気下で行った。
図5および図6のサンプルS1〜S14は、いずれも既述した(1)、(2a)〜(2d)式で与えられる組成を満たしている。これらのサンプルS1〜S14は、室温導電率が十分に高く、熱膨張率および焼結可能温度についても十分良好な特性が得られた。なお、酸化物焼結体を導電体として用いる場合には、なるべく高い室温導電率を有することが好ましい。実施例のサンプルS1〜S14の室温導電率はすべて108S/cm以上であり、100S/cmを超える高い室温導電率を有している点で好ましい。一方、比較例のサンプルS16〜S18、S20は、室温導電率が100S/cm未満の低い値である。サンプルS15およびS19は、室温導電率は高いものの、焼結可能温度が低かった。
実施例のサンプルS1〜S14のうち、サンプルS2とS14とは係数a,b,c,dが共通しているが、希土類元素REがそれぞれLa,Prである点で互いに異なる。これらの2つのサンプルS2,S14のうち、希土類元素REがLaであるサンプルS2は、希土類元素REがPrであるサンプルS14よりも室温導電率が高い点で好ましい。
また、実施例のサンプルS1〜S14のうち、aの値が最も小さいa=0.459であるサンプルS10は、他の実施例のサンプルに比べて比較的焼結可能温度が低い結果となった。そのため、aを0.473以上とすることで(実施例のサンプルS1〜S14のうち、aの値が2番目に小さいa=0.473であるサンプルS11参照)、導電性酸化物焼結体の焼結性をより向上させることができるといえる。また、実施例のサンプルS1〜S14のうち、aの値が最も大きいa=0.524であるサンプルS13は、他の実施例のサンプルに比べて導電率が比較的低い結果となった。そのため、aを0.512以下とすることで(実施例のサンプルS1〜S14のうち、aの値が2番目に大きいa=0.512であるサンプルS12参照)、導電性酸化物焼結体の導電性をより高めることができるといえる。
図6に示した代表的な実施例のサンプルS2,S3,S5では、B定数の絶対値が110以下であって十分に小さく、温度が変化しても十分に高い導電率が得られることが確認された。実施例の他のサンプルについては図示を省略しているが、ほぼ同様の傾向を示すことが確認された。すなわち、実施例のサンプルS1〜S14は、導電体層として使用するのに適したB定数を有する。
また、図6に示した代表的な実施例のサンプルS2,S3,S5では、770℃における熱起電力の絶対値が15μV/K以下と十分に小さかった。そのため、このような導電性酸化物焼結体を用いたセンサにおいて、センサ素子の軸線方向の長さをより長くしても、高い精度を維持できることが確認された。実施例の他のサンプルについては図示を省略しているが、ほぼ同様の傾向を示すことが確認された。すなわち、実施例のサンプルS1〜S14は、導電体層として使用するのに適した熱起電力を示す。
図7(A)は、代表的なサンプル、具体的には、図5のサンプルのうち、d=0.275であるサンプルの測定結果に基づいて、組成式におけるCr原子の割合(bの値)と室温導電率との関係を示すグラフである。図7(B)は、同様に、d=0.275であるサンプルの測定結果に基づいて、組成式におけるCr原子の割合(bの値)と熱膨張係数との関係を示すグラフである。
図7(A)より、bの値が小さいほど(Crの含有量が少ないほど)室温導電率が高くなり、b≦0.100とすることで100S/cmを超える高い室温導電率が得られることが分かる。また、図7(B)から、bの値が0である(Crを含有しない)場合には、基材として一般的に用いられるアルミナや安定化ジルコニア等の酸化物に比べて高い熱膨張係数を示すが、bの値を正にする(Crを含有する)ことで、熱膨張係数を低下させて上記した酸化物の熱膨張係数に近づけることが可能であると分かる。そして、bの値を大きくするほど、熱膨張係数が小さくなることが分かる。以上より、既述した(2b)式を満たすことで、高い室温導電率を達成しつつ、導電性酸化物焼結体の基材として一般的に用いられるセラミックスの熱膨張係数に近い熱膨張係数を示すように制御可能であるといえる。
さらに、図7(B)から、bの値を0.025以上とすることで、熱膨張係数を低下させて、基材として一般的に用いられるアルミナや安定化ジルコニア等の酸化物の熱膨張係数に近づける効果が高まることが分かる。そのため、既述した(3b)式を満たすことで、高い室温導電率を達成しつつ、導電性酸化物焼結体の基材として一般的に用いられるセラミックスの熱膨張係数に近い熱膨張係数を示すように制御できる効果をより高めることができる。
図8は、代表的なサンプルに関して、焼成温度と比重の関係を示すグラフである。図8に示す各サンプルは、組成式におけるCr原子の割合(bの値)がそれぞれ異なるため、bの値についても併せて示している。図8に示すように、いずれのサンプルにおいても、焼成温度を高くするほど比重は大きくなる(緻密性が高まる)。また、図8に示すように、bの値が大きいほどグラフは下側にシフトする傾向があるため、bの値が小さい(Cr原子の割合が少ない)ほど、より低い焼結温度で高い比重が実現できる(緻密性が高まる)といえる。なお、比重は高いほど良いが、5.0g/cm−3以上であることが好ましい。以上より、bの値を適切な範囲で制御することにより、導電性酸化物焼結体の焼成温度を調整できるため、基材として一般的に用いられるアルミナや安定化ジルコニア等の酸化物の焼成温度に適した導電性酸化物焼結体を選択することで、基材と同じ温度で焼成(同時に焼成)しても、導電性酸化物焼結体において十分に高い緻密性を実現することが可能になるといえる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
20…主体金具
20a…屈曲部
20b…段部
20c…鍔部
20d…部
29…ガスケット
31…粉体充填部
32…絶縁部材
33…金属リング
34…セパレータ
35…挿通孔
36…グロメット
37…フィルタ
38…保護外筒
39…第2通気孔
40…外筒
41…第1通気孔
60…リード線
62…プロテクタ
70…接続端子
100…ガスセンサ素子
110…基材
120…外部電極
130…基準電極
140…鍔部
300…ガスセンサ
O…軸線

Claims (11)

  1. 導電性酸化物焼結体において、
    組成式:RECrFeNi(但し、REは希土類元素を表し、a+b+c+d=1、1.3≦x≦1.7)で表されるペロブスカイト型酸化物結晶構造を有する結晶相を含み、前記a,b,c,dが、
    0.459≦a≦0.524、
    0<b≦0.100、
    0.125≦c≦0.250、
    0.200≦d≦0.300、
    を満たすことを特徴とする導電性酸化物焼結体。
  2. 請求項1に記載の導電性酸化物焼結体であって、
    前記bが、
    0.025≦b≦0.100
    を満たすことを特徴とする導電性酸化物焼結体。
  3. 請求項1または2に記載の導電性酸化物焼結体であって、
    前記希土類元素REは、Laであることを特徴とする導電性酸化物焼結体。
  4. 請求項3に記載の導電性酸化物焼結体であって、
    前記aが、
    0.473≦a≦0.512
    を満たすことを特徴とする導電性酸化物焼結体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の導電性酸化物焼結体であって、
    アルカリ土類金属元素を実質的に無含有とすることを特徴とする導電性酸化物焼結体。
  6. 導電用部材であって、
    セラミックス製の基材と、
    前記基材の表面に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性酸化物焼結体で形成された導電体層と、
    を備えることを特徴とする導電用部材。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性酸化物焼結体で形成された電極を備えることを特徴とするガスセンサ素子。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性酸化物焼結体で形成された電極を備えることを特徴とする酸素センサ素子。
  9. 請求項8に記載の酸素センサ素子であって、
    前記電極は、基準電極であることを特徴とする酸素センサ素子。
  10. 請求項7に記載のガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
  11. 請求項8または9に記載の酸素センサ素子を備えることを特徴とする酸素センサ。
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