JP2017119109A - ストレス判定装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被験者への負担をより低減させつつ、ストレスを定量的に判定することが可能なストレス判定装置を提供する。
【解決手段】本発明は、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて該被験者の脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、上記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて上記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出し、該相関値に基づいて上記被験者のストレス状態を判定する演算手段と、を備えるストレス判定装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ストレス判定装置及び方法に関し、特に脳電位に基づいてストレス状態を判定するストレス判定装置及び方法に関する。
従来、労務管理等の現場で従業員の精神的ストレスを推定する方法としては、問診票によりチェックする方法が主に用いられてきた。しかしながら、問診票によるチェックは主観的要素が強いため、被験者の打算によりストレス被害を装う場合やストレス被害を隠蔽する場合には、誤った判断がなされるという問題があり、より客観的な評価方法や判定方法の開発が望まれている。
脳が悲しみや恐怖といった精神的ストレスを受けると、情動の中枢である大脳辺縁系に大きな影響が及ぶが、一次的な情動反応は、主として、扁桃体部分で生成されると考えられる。例えば、非特許文献1には、ペットを亡くした20名の被験者に当該ペットに関連する言語的タスクを課してfMRIで活動部位を調査した結果、悲しみや忌避に対応して扁桃体を中心とした部分に優位な活性が観測されることが開示されている。この一次的な神経活動は、同じく大脳辺縁系の中にある視床下部の神経核に働きかけ、交換神経及び副交感神経からなる自律神経系を介して、二次的な生理反応(例えば血圧や、脈拍、瞳孔反応等)を惹き起こすことが知られている。また二次的な反応は前頭部にもおよび、側坐核を中心とした「喜びの中枢」としての自己報酬系の活動を抑制することが知られている。更には、精神疾患により喜びの感情が低下した被験者では、側坐核の活動低下とともに、前帯状皮質の脳波(EEG)のδ成分が増加することが知られている(非特許文献2)。
このような、ストレスに関係した脳内活動の生理学的な変化をPETやfMRI法で観測すれば、ストレスの客観的評価がより正確に行えるものと期待される。しかし同位元素を使ったPETでは、装置が大がかりなことのみならず、測定に放射線被曝を伴うため、繰り返しの測定が必要なストレス検査には不向きである。また、fMRI法では、強磁場および高周波電磁界に被験者をさらすため、ペースメーカや、金属製補綴材等を体内に有する被験者には使用できないのみならず、強磁場発生のための大がかりな装置が必要であり、使用環境が大幅に限定される。これらの測定法の代わりに用いることができるMEG(Magneto-encephalogram)法においても、強固な磁気シールドが必要であるのみならず、超電導を実現するための冷却装置を必要とするなど、大規模かつ高価な測定装置が必要である。
これに対して、頭皮上から観測される脳電位(脳波)による脳内活動の生理学的な変化の測定は、大がかりな装置を必要としないため、広く臨床現場で使用されてきた。
頭皮上の電位分布を多数の電極によって観測する一般的な臨床現場では、国際10-20法における19個の電極を用いて観測される脳電位を、ペンレコーダあるいはコンピュータ内のメモリに記録することが行われてきた。例えば、頭皮上で観測される脳電位を脳内部に仮定した等価ダイポール電源によって生成されるものと仮定し、頭皮上の脳電位分布から、等価ダイポール電源の位置、方向、電流値を逆推定する「ダイポール推定法」によって等価表現する方式が開発されてきた(非特許文献3)。しかしながら、この方法においては、頭皮上の電位分布から脳内部のダイポールを逆推定するため、多次元空間内での探索作業を伴う大規模な演算を必要とするのみならず、安定な解を得るために多数の電極数を必要としていた。
他方、頭皮上に配置した10個の電極から観測される脳電位を用いて、被験者の感性状態を推定する方法も行われてきた(非特許文献4、5)。具体的には、各2電極間で観測される電位間の相関を102=45個の相互相関関数で評価し、更にこれを脳電位のθ、α、βのそれぞれの帯域ごとに評価し、合計45×3=135個のパラメータで表現する方式が用いられてきた。しかしながら、この方法においても、最低10個の電極を必要とするため、計測中に電極の接触を安定に保つことが困難であった。
Peter J. Freed, Ted K.Yanagihara, Joy Hirsch, and J. John Mann, "Neural mechanism of grief regulation", Biol. Psychiatry, vol.66, no.1, pp.33-40, July 2009. Jan Wacker, Daniel G. Dillon, Diego A. Pissagalli, "The role of the nucleus accumbens and rostral anterior cingulate cortex in anhedonia: Integration of resting EEG, fMRI, and Volumetric Techniques, Neuroimage, vol.46, no.1, pp.327-337, May 2009. J. Hara, W. R. Shankle and T. Musha, Cortical Atrophy in Alzheimer's Disease Unmasks Electrically Silent Sulci and Lowers EEG Dipolarity, IEEE Trans. Biomed. Eng., vol.46, no.8, 905-910, 1999. 武者利光「「こころ」を測る」日経サイエンス 4月号 20-29(1996) T. Musha, Y. Terasaki, H. A. Haque, and G. A. Ivamitsky, "Feature extraction from EEGs associated with emotions," Artif. Life Robot., 1(1): 15-19, 1997.
このように精神的なストレス状態を判定(評価)する装置としては、比較的簡易に構成可能な脳電位に基づいてストレス状態を判定する装置が好ましいが、上記のアプローチは、いずれも頭皮上に多数の電極を必要とするものであり、被験者への大きい負担となっていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、被験者への負担をより低減させつつ、ストレスを定量的に判定することが可能なストレス判定装置を提供することを主目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様としてのストレス判定装置は、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて該被験者の脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、上記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて上記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出し、該相関値に基づいて上記被験者のストレス状態を判定する演算手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明において好ましくは、上記演算手段は、上記取り付けられたセンサA、B及びCごとに抽出された時系列データをVA(t)、VB(t)及びVC(t)とした場合、所定時間内に抽出されたVA(t)それぞれに対して、該時系列データが抽出されたサンプリング周期の所定値以下の整数倍に等しい時間である任意の時間τ1及びτ2だけ異なる時間に抽出されたVB(t−τ1)及びVC(t−τ2)を、上記所定時間内の時刻TにおけるVA(T)とVB(T−τ1)とVC(T−τ2)とが同符号になる場合のτ1及びτ2の組み合わせのみ掛け合わせ、得られたそれぞれの値を加算した値を用いて相関値を算出する。
また、本発明において好ましくは、上記演算手段は、算出される上記相関値の時間的なばらつきに基づいて指標値を算出し、上記相関値及び上記指標値の少なくとも一方に基づいてストレス状態を判定する。
また、本発明において好ましくは、上記演算手段は、上記時間τ1及びτ2を軸とする座標における相関値が算出された領域の間の距離の上記τ1軸方向及び上記τ2軸方向それぞれの標準偏差に基づいて指標値を算出し、上記相関値及び上記指標値の少なくとも一方に基づいてストレス状態を判定する。
また、本発明において好ましくは、上記ストレス判定装置は、上記被験者の脈拍信号を取得する脈拍信号取得手段を更に備え、上記演算手段は、上記脈拍信号から生成される脈拍間隔データに対してフーリエ変換を行うことで周波数スペクトルを算出し、該周波数スペクトルにおける第1の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値の、該第1の周波数帯域より高い周波数帯域であって該第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値に対する比率を算出し、該比率及び上記指標値に基づいてストレス状態を判定する。
また、本発明において好ましくは、上記ストレス判定装置は、上記被験者の脈拍信号を取得する脈拍信号取得手段を更に備え、上記演算手段は、上記脈拍信号に基づいて生成される脈拍間隔データから脈拍間隔値ごとの出現頻度を示す脈拍ヒストグラムを生成し、該脈拍ヒストグラムにおいて、脈拍間隔が大きい方から順に抽出された所定量のデータの分散の合計値の、脈拍間隔が小さい方から順に抽出された該所定量のデータの分散の合計値に対する比率を算出し、該比率及び上記指標値に基づいてストレス状態を判定する。
また、本発明において好ましくは、上記脳電位信号取得手段は、上記被験者の側頭部又は後頭部の表面の3つの異なる位置に更に取り付けられたセンサを用いて上記被験者の脳電位信号を更に取得し、上記演算手段は、上記更に取得された脳電位信号のそれぞれから扁桃体の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データに対して主成分分析を行うことにより第1主成分寄与率を算出し、該第1主成分寄与率及び上記指標値に基づいてストレス状態を判定する。
また、上記の目的を達成するために、本発明の一態様としてのプログラムは、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて取得される該被験者の脳電位信号によりストレスを判定するためのプログラムであって、コンピュータに、上記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出するステップと、上記それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて上記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出するステップと上記相関値に基づいて上記被験者のストレス状態を判定するステップと、を実行させることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明の一態様としての方法は、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて取得される該被験者の脳電位信号によりストレスを判定するための方法であって、上記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出するステップと、上記それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて上記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出するステップと上記相関値に基づいて上記被験者のストレス状態を判定するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、被験者への負担をより低減させつつ、ストレスを定量的に判定することができる。
本発明の実施形態によるストレス判定装置の概略構成図である。 中心部にダイポール電流源を持つ均一球モデル表面の電位を示す図である。 中心部にダイポール電流源を持つ均一球モデル表面の電位を示す図である。 中心部にダイポール電流源を持つ均一球モデル表面の電位を示す図である。 中心部にダイポール電流源を持つ均一球モデル表面の電位を示す図である。 遅延パラメータ空間上のプロットを示す図である。 中心部にダイポール電流源を持つ均一球モデル表面における各電極A、B、Cの電位の時間発展を示す図である。 本発明の実施形態による脳電位センサの電極の取り付け位置を示す図である。 本発明の実施形態によるストレス判定装置の機能ブロック図である。 本発明の実施形態による電子装置が3重相関値Sを算出する情報処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による電子装置により作成された、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上における被験者Aの3重相関値分布の疑似3次元表示を示す図である。 本発明の実施形態による電子装置により作成された、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上における被験者Bの3重相関値分布の疑似3次元表示を示す図である。 図11の3次元表示の図を上から見た図であって、3つの信号が同符号をとる領域を白で表し、3つの信号のいずれか1つの符号が異なる領域を黒で表した図である。 図12の3次元表示の図を上から見た図であって、3つの信号が同符号をとる領域を白で表し、3つの信号のいずれか1つの符号が異なる領域を黒で表した図である。 図13、図14より指標SDを算出するときの白の四角形の領域間の縦横方向の各距離dxi(i=1、2、…、m)、dyj(j=1、2、…、n)を説明する図である。 第1の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における指標値SD/3重相関値Sの平均値と標準偏差を示す図である。 第1の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における3重相関値Sと指標値SDをプロットした2次元座標を示す図である。 本発明の第1の実施形態の他の実施例によるストレス判定装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態の他の実施例によるストレス判定装置の帽子装着型電極の外観概要図である。 図19に示すストレス判定装置の基準電位測定用の導電性ゴム電極概要図を示す図である。 本発明の第2の実施形態のストレス判定装置の機能ブロック図である。 本発明の第2の実施形態のストレス判定装置のデータ処理ブロック図である。 第2の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、低ストレス状態において脈拍信号から生成された脈拍間隔データを示す図である。 第2の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、高ストレス状態において脈拍信号から生成された脈拍間隔データを示す図である。 図23の脈拍間隔データに対して離散フーリエ変換を行うことにより生成された周波数スペクトルを示す図である。 図24の脈拍間隔データに対して離散フーリエ変換を行うことにより生成された周波数スペクトルを示す図である。 第2の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における第1のストレス指標値(SD/S)と第2のストレス指標値(LF/HF)をプロットした2次元座標を示す図である。 本発明の第3の実施形態のストレス判定装置のデータ処理ブロック図である。 第3のストレス指標値(PCAθ)と主観評価の相関関係を示す図である。 第3の実施形態のストレス判定装置を用いて得られた、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における第1のストレス指標値(SD/S)と第3のストレス指標値(PCAθ)をプロットした2次元座標を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるストレス判定装置について説明する。本発明の実施形態によるストレス判定装置100の技術的特徴の1つは、脳の深部の状態を観測することでストレスに伴う脳内活性をより的確に捉え、被験者のストレス状態の判定(評価)を行うことである。最初に測定原理について説明し、その後、ストレス判定装置100の装置構成及び情報処理について説明する。
[測定原理]
本実施形態における測定においては、脳深部に等価ダイポール電源を仮定している。ここで、このダイポール電位活動を解析するための電位分布測定を、頭皮上に配置した3つの異なる場所に配置された電極に限定して行う場合を考える。脳深部に電源がある場合には、これら3つの電極で観測される電位波形には強い位相関係が存在するという事実に基づいて、この位相関係を評価する。このようにして、脳深部に仮定した等価ダイポール電源の時間的な挙動を近似的に推定する。これは、地震波に例えれば、表層に震源を持つ地震波が観測地点ごとに大きく異なるのに比し、深部に震源を持つ地震波では、近い距離をおいて配置された地震計ではほぼ同じ振幅・位相のP波が観測されることと同等な現象である。
本実施形態における測定においては、脳深部の活動に基づいて表面に現れる電位波形は近い距離離れた表面においてはほぼ同位相であることから、3つの電位の符号が同一であるデータのみを加算する方式を定義する。すなわち同一符号のデータのみを演算の対象とすることで、相関を有するデータを抽出することができる。ただし、すべてのデータを演算の対象とすることもできる。
具体的な情報処理としては、まず3つの電位信号が入力されると、3つの電位が同符号の信号を選択する。1つの例では、電位の符号を判定する際の基準電位は皮質活動を直接反映しない耳朶が用いられる。他の例では、帯域フィルタやデジタルフィルタで直流分が遮断される場合、それぞれの電極ごとの時間平均から見た正負の符号により判定する。
続いて3重相関値を算出する。3重相関値は、3つの電極からの特定の周波帯域(例えばδ波帯域)の電位信号をそれぞれEVA(t)、EVB(t)、EVC(t)としたとき、1つの電極の電位信号に対し、τ1、τ2の時間ずれのある信号との積を使用する。以下に示す式1は3重相関値Stの1つの例示である。ここでTは3重相関値の演算対象時間であり、Δtは各電位信号のデータサンプリング周期であり、Nは規格化するための定数であって、例えば3つの信号の積の計算回数である。
ここで、上述の演算で得られる遅延パラメータ空間上の3重相関プロットが、脳深部の等価ダイポール電源の挙動とどのような関係にあるかを、均一媒質からなる球状モデルを用いて説明する。以下では、説明の便宜上、球モデル各部の呼称を地球になぞらえ、北極(NP)、南極(SP)、赤道等と記載する。
脳深部の活動は、等価的に、深部に微小電流源があるように脳の表面上で観測されることから、球の中心部に、南極から北極に向かう方向に微小電流源を仮定する。この電流源が球表面上につくる電位分布は、図2に示すように、北半球では+、南半球では−、赤道上ではゼロ電位となる。また、この電流源は、赤道上180度経度の異なる点P1、P2と、NP、SPを含む面内で、周期T秒で時計方向に回転する。回転角度90度ごとに各時点での球表面電位分布は、図3、図4、図5のように逐次変化する。この電位変化を球の表面上に、面P1、NP、P2、SPに平行な三角形の頂点に、3つの電極A、B、Cを配置する。各電極から測定された電位波形は、式1により相関値が計算され、計算結果が図6の遅延パラメータ空間上にプロットされる。
A、B、Cの各電極の電位の時間発展は図7のグラフのようになり、各電極は位相差1/3Tの関係で周期Tの正弦波で変化をする。電極Aを基準にみるとこれらの電極の符号が最も一致するτ1、τ2の値はそれぞれ1/3+kと2/3+k(kは整数)であり、結果として図6における縦横方向に黒丸のプロットで示されるような、周期Tでピークを持つ特性が得られる。またこれらのピークからいずれかの電極が半周期ずれるような位置は、1つの電極が必ず他の2つの電極と逆位相になるため電極の符号が一致することはない。そのため白丸のプロットで示されるような位置は値がプロットされない。
上述のように、脳深部の等価ダイポール電源の回転を2次元の遅延パラメータ空間上のプロットとして観測することができる。図7などは、単一の等価ダイポール電源が球状の脳深部で滑らかに回転した場合について記載する。しかしながら、ダイポールが複数ある場合や回転が滑らかでない場合には、図6上のプロットは、同符号条件を満たす個々のケースが複雑に分布し、遅延パラメータ空間上に細かい凹凸となって現れる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態のストレス判定装置100は、前頭部に配置した3つの電極により自己報酬系の抑制を表すδ波(例えば2〜4Hz)を取得し、3つの時系列データの相関関係から脳の深部の状態を定量的に観測するための値を算出する。ストレス判定装置100は、算出された値をストレス指標値として定め、これにより被験者のストレス状態を判定する。
<装置概要>
図1は、本発明の第1の実施形態のストレス判定装置100の概略構成図である。ストレス判定装置100は、脳電位センサ110と、電子装置120と、を含む。
脳電位センサ110は、3つの電極111と、電極111で測定された脳電位信号(脳波データ)を電子装置120へ送信する通信部(図示せず)とを含む。電極111は、頭部に接触して取り付けられ、脳活動に基づく脳電位信号を測定する。脳電位センサ110は、基準電極(図示せず)を更に含む。基準電極は不感電極として使用され、例えば耳朶に取り付けられる電極である。通信部は、3つの電極111のそれぞれから取得された脳電位信号と、基準電極から得られた信号とを電子装置120へ送信し、電子装置120が3つの電極111のそれぞれと基準電極との差分を計算し、3つの脳電位信号の入力とする。或いは、通信部は、3つの電極111のそれぞれと基準電極との差分の信号3つを脳電位信号として電子装置120へ送信するように構成してもよい。なお、電極111は、被験者の脳電位を測定することが可能なあらゆるセンサとすることができる。
電極111は、被験者が頭部に脳電位センサ110を装着した場合に、図8に示すような国際10−20法の電極配置にFpz(Fp1、Fp2の中間点として定義)、Oz(O1、O2の中間点として定義)を加えた電極配置のうちのいずれかの位置に配置されるように脳電位センサ110に取り付けられる。
1つの例では、脳電位センサ110は、前頭葉深部のδ波を観測するための3電極を用いるため、被験者により装着された場合に、該被験者の前頭部又は側頭部に3つの電極111が配置されるように構成される。この場合、好ましくは、3つの電極111は国際10−20法におけるF7、F8、T3の部位に配置される。
好ましくは、脳電位センサ110は、図1に示すように、被験者が頭部に装着したときに前頭部に電極111が当接するように予め電極111が取り付けられたヘッドギア型の脳電位センサである。脳電位センサ110は、予め電極111が配置されたキャップやヘルメット型等であってもよい。1つの例では、脳電位センサ110は、図1に示すように、被験者が頭部に装着したときにF7、F8、T3の部位に電極111が当接するように予め電極111が取り付けられたヘッドギア型の脳電位センサである。ただし、脳電位センサ110は、3つ以上の電極110を有し、ストレス判定装置100は、選択的に3つの電極110から取得された脳電位信号を用いるように構成されてもよい。
通信部は無線通信を行い、電極111で取得された脳電位信号を電子装置120へ送信する。ただし、イーサネット(登録商標)ケーブル、USBケーブル等を用いた有線通信を行うこともできる。脳電位センサ110は複数の電極111を有し、そのうちの1つの電極111で測定された脳電位信号を、通信部が電子装置120へ送信するように構成することもできる。
電子装置120は処理部121、表示部122、入力部123、記憶部124、及び通信部125を備える。これらの各構成部はバス126によって接続されるが、それぞれが必要に応じて個別に接続される形態であってもかまわない。
電子装置120は、好ましくはスマートフォンであるが、一般的なコンピュータやタブレット型コンピュータなどとすることもできる。
処理部121は、電子装置120が備える各部を制御するプロセッサ(例えばCPU)を備えており、記憶部124(例えばメインメモリ)をワーク領域として各種処理を行う。表示部122は、処理部121の制御に従って、ユーザに対して画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイから構成される。
入力部123は、電子装置に対するユーザからの入力を受け付けるものであり、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、又はマウスである。記憶部124は、ハードディスク、メインメモリ、及びバッファメモリを含む。ハードディスクにはプログラムが記憶される。ただしハードディスクは、情報を格納できるものであればいかなる不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであってもよく、着脱可能なものであっても構わない。また例えば電子装置120がスマートフォンである場合はROM及びRAMを含む。記憶部124には、プログラムや当該プログラムの実行に伴って参照され得る各種のデータが記憶される。
通信部125は無線通信を行い、脳電位センサ110からの脳電位信号を受信し、記憶部124に格納する。ただし、イーサネット(登録商標)ケーブル、USBケーブル等を用いた有線通信を行うこともできる。
図9は本発明の第1の実施形態のストレス判定装置100の機能ブロック図である。ストレス判定装置100は、脳電位信号取得手段201と、演算手段202とを備える。
脳電位信号取得手段201は、被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられた電極111を用いて脳電位信号を取得する機能を有するものであり、脳電位センサ110は1つの例示である。脳電位信号取得手段201は、好ましくは、被験者の国際10−20法におけるF7、F8、T3の部位の頭部表面に取り付けられた3つの電極から脳電位信号を取得する機能を有する。
演算手段202は、それぞれの電極111において取得された3つの脳電位信号から脳深部の活動に起因する特定の周波数帯(好ましくはδ波帯域)の脳電位データをそれぞれ抽出し、抽出された3つの時系列データの位相関係に基づいてそれぞれの電極111において取得された脳電位信号の相関関係を示す相関値を算出し、該相関値に基づいて被験者のストレス状態を判定する。
演算手段202は、プログラムを電子装置120に実行させることで実現される。例えば電子装置120がスマートフォンである場合、プログラムである専用のアプリがダウンロードされて起動されると、演算手段202の機能が実現される。本実施形態では、演算手段202は、以下の情報処理を行うことにより、ストレス状態を判定する。
<情報処理>
頭部に取り付けられた3つの電極をEA、EB、ECとすると、演算手段202(電子装置120)は、各電極111から取得される脳電位信号と、基準電極との差として、電位信号VA(t)、VB(t)、VC(t)を取得する。続いて、演算手段202は、デジタルフィルタ等のバンドパスフィルタによりδ波帯域の周波数帯(2〜4Hz)を抽出する。演算手段202は、抽出された電位信号に対して、図10のフローチャートに示す情報処理を実行する。ただし、演算手段202は、δ波帯域以外の特定の周波数帯を抽出することもできる。
図10は、本実施形態による演算手段202が3重相関値Sを算出する情報処理を示すフローチャートである。図10は、i秒からi+1秒における3重相関値Si(i=1、2、…、T)を算出する処理のフローチャートを示す。なお本フローチャートは、趣旨を逸脱しない範囲において変更することができる。
ステップ1001において3つの信号が入力されると、ステップ1002において、それぞれの電極111の電位ごとに標準偏差(σA、σB、σC)で割って規格化(EVA(t) =VA(t)/σA、EVB(t) =VB(t)/σB、EVC(t) =VC(t)/σC)する。この規格化処理は1秒ごとに行うのが好ましいが、これに限定されない。また上記3つの信号は、電極EAに対し、電極EBはτ1、電極ECはτ2の時間のずれを有している。
なお前述の周波数抽出処理は、規格化処理後に行われてもよい。また規格化処理の前には、ノイズ処理を行うのが好ましい。ノイズ処理は、例えば、1)±100μV以上のセグメントを除く、2)フラットな電位(25msec以上一定の電位だった場合)を除く、3)±1μV以内の電位が1秒以上続く場合は除く、という処理から構成される。
続いてステップ1003において、3つの信号の符号がすべて正(EVA(t)>0、EVB(t-τ1)>0、EVC(t-τ2)>0)、又はすべて負(EVA(t)<0、EVB(t-τ1)<0、EVC(t-τ2)<0)の信号のみを計算対象とする処理をする。
ステップ1004において、時間ずれのある3つの電位信号の積を加算することで、3重相関値(3重相関値の1要素)を算出する。3重相関値の算出は、tがt=i+1秒となるまでΔt秒ずつずらして行う(S1006,S1007)。例えば、電位データサンプリング周波数をfs(Hz)とすると、fs=200Hzの場合はΔt=1/fs=0.005秒ずつずらして、3つの電位信号の積を算出する。本フローチャートにおいては3重相関値を算出するとともに3つの信号が正または負になった時の回数Nを求め(S1005)、最後に割る(S1008)。
ステップ1003〜ステップ1007では、3つの信号の符号がすべて同符号である場合のtについて、以下に示す式2を計算することにより、3重相関値Siを算出する。
(i=1、2、…、T、τ1=Δt、2Δt、…、1(秒)、τ2=Δt、2Δt、…、1(秒))
このようにして、1秒ごとにSiを全データT秒まで算出する(S1、S2、・・・、ST)。T(秒)は好ましくは10(秒)である。上記のとおり、3重相関値は、全データ(T秒)について一度に算出されるのではなく、所定時間ごとに、例えば図10に示すように1秒ごとに算出される。最終的に算出される3重相関値Sは、T個の3重相関値Siの平均値である。
時間ずれτ1、τ2についても、Δt秒ずつずらして3重相関値Sを算出する。τ1及びτ2の取りうる値はΔtの整数倍に等しい1秒以下の時間であるが、これらの値の大きさの最大値は1秒に限定されない。なお3重相関値は、3つの信号の符号判定を行わずに、式2によって算出することもできる。
更に演算手段202は、遅延時間τ1、τ2をそれぞれ、Δt秒、2Δt秒、…、1秒ずつずらして算出された3重相関値Sを、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上にプロットする機能を有する。これにより、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上にプロットされた3重相関値分布の疑似3次元表示をすることができる。
図11は、一の被験者(被験者A)から取得される脳電位信号に基づく3重相関値分布の疑似3次元表示であるが、相関を有しないデータの影響を排除するため、予め定められたtの値、例えばt=i+1、においてEVA(t)、EVB(t−τ1)及びEVC(t−τ2)のすべてが同符号であったSi(τ1,τ2)のみをプロットしたものである。プロットするSiをこのように限定することにより、ノイズを除去し、より良い精度で3重相関値分布の疑似3次元表示を示すことができる。
図12は、図11と同様にして、他の一の被験者(被験者B)から取得される脳電位信号に基づく3重相関値分布の疑似3次元表示である。図11の特徴空間内の3重相関分布は滑らかであるのに対して、図12の特徴空間内の3重相関分布は細かいピークが複雑に分布する場合が多いことが確認できる。
更に演算手段202は、上記の3重相関値分布の疑似3次元表示を用いて、指標値SDを算出する機能を有する。図11及び図12で示したように、2つの遅延時間パラメータ空間内で、被験者Aのデータでは樹木状の分布が規則的に並ぶのに対し、被験者Bのデータでは樹木状の分布の不規則性が大きい。この差を定量的に表現するために、図13に示すように、樹木の列がτ1、τ2軸に平行となるように、座標軸を回転する。図13は、図11に示す3次元表示を上から見た図で、3つの波形が同符号をとる領域を白で表示し、3信号のどれか1つ符号が異なる領域を黒で表す。このような表示をすると、被験者Aの場合には規則的な格子縞となるのに対して、被験者Bの場合には、図14に示すように、格子縞が乱れることが確認できる。この乱れを定量化した指標が指標値SDである。
図13及び図14に示すように白い四角形の領域は、隣接する白い四角形の領域と、縦横方向にそれぞれ間隔を有する。その間隔を図15に示すように、dxi(i=1,2、…、m)、dyj(j=1,2、…、n)とする。このdxiとdyjがτ1方向とτ2方向において、それぞれ白い四角形の縦横が均等に並んでいるか、又は白い四角形が乱れて並んでいるかを判断することで乱れ具合を定量化することができる。
具体的には式3、式4に示すように、m個のdxiの標準偏差Std_dxとn個のdyjの標準偏差Std_dyを算出する。

指標値SDは、式5に示すように、2つの標準偏差の平均値である。
上述したように、演算手段202(ストレス判定装置100)は、3重相関値S及び指標値SDを用いて脳深部の状態をストレス指標値(第1のストレス指標値)として定量化して観測し、これにより被験者のストレス状態を判定する。ここで、3重相関値Sは、3つの脳電位信号の相関(位相関係)を示すものであり、一方、指標値SDは、乱れ具合、ばらつき具合を示すものである。
1つの例では、演算手段202は、指標値SDを3重相関値Sで割ることにより算出される値をストレス指標値として定め、ストレス指標値により被験者のストレス状態を判定する。この場合、演算手段202は、ストレス指標値SD/Sが大きいほど被験者のストレスが大きいと判断する。1つの例では、ストレス指標値SD/Sが9以上の場合、被験者は高ストレス状態であると判断する。
他の例では、演算手段202は、3重相関値Sをストレス指標値として定める。この場合、3重相関値Sが小さいほど被験者のストレスが大きいと判断する。同様にして、他の例では、演算手段202は、指標値SDをストレス指標値として定める。この場合、指標値SDが大きいほど被験者のストレスが大きいと判断する。
<実施例>
以下の実験結果により、第1の実施形態のストレス判定装置100を用いて、ストレス状態を判定できることを説明する。
本実験においては、被験者18名のそれぞれに対し、安静開眼(120s)、タスク(380s)の状態に順次なってもらい、それぞれの状態における脳電位信号を取得した。このとき被験者に対しては図2に示す21電極を頭皮上に設置し、21電極から脳電位信号を取得した。本実験において用いた電極は、ストレス判定装置100における電極111と同等のものである。
ここで、タスク(漢字)とは、被験者が監視者の前で難読な漢字を大声で読むことを強制された状態(高ストレス状態)であり、安静開眼とは、被験者が目を開けて安静にしている状態(低ストレス状態)である。
なお、取得された脳電位信号には(特に前頭部の電極から取得される脳電位信号には)瞬き等による脳波以外の過大生体ノイズが混入するため、脳電位信号の解析を行う前に、これらのノイズを除去し、更に2〜4Hzの周波数帯域(δ波帯域)を抽出した。
以下では、F7、F8、T3の部位に取り付けられた電極111から取得された脳電位信号の解析について、例えばストレス指標値の算出について、説明する。
図16は、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における指標値SD/3重相関値Sの平均値と標準偏差を示す図である。図に示すとおり、算出されるストレス指標値SD/Sが大きいほど被験者のストレスが大きい。1つの例では、被験者のストレス指標値SD/Sが9以上であるとき、被験者はストレスを感じていると判定することができる。
図17は、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における3重相関値Sと指標値SDをプロットした図であり、一方の軸(横軸)を3重相関値S、他方の軸(縦軸)を指標値SDとした2次元座標を示す。図に示すとおり、当該2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することにより、ストレス状態を判定することができる。
なお本実験では、F7、F8、T3の部位に取り付けられた電極111から取得された脳電位信号を用いた解析について説明した。これは、この場合が、ストレス状態と安静状態で最も大きな差が得られたためである。ただし、これらの3つの部位以外に取り付けられた電極111から取得された脳電位信号を用いた場合であっても、同様の結果を得られる場合がある。
<作用効果>
このような構成とすることにより、本実施形態では、前頭部又は側頭部に取り付けられた3つの電極111より取得される脳電位信号から3重相関値及び指標値を算出することにより、被験者のストレス状態を判定する。これにより、被験者はストレス状態を判定したい場合に、後頭部よりも電極が取り付けやすい前頭部又は側頭部に電極111を3つ取り付ければよいので、被験者への負担をより低減させることが可能となる。また、脳深部の状態に基づいた定量的なストレス判定を行うことが可能となる。
<他の実施例>
図18は、本発明の第1の実施形態の他の実施例によるストレス判定装置100の概略構成図である。ストレス判定装置100は、3つの電極111及び基準電極112を含む頭部装着部113と、3つの電極111と信号ケーブルで接続された3ch増幅器・帯域フィルタ130と、3ch増幅器・帯域フィルタ130と信号ケーブルで接続された電子装置120と、を有する。
基準電極112は、基準電位測定用の電極であり、不感電極として使用され、好ましくは耳朶接続用クリップ電極である。基準電極112は、3ch増幅器・帯域フィルタ130に接続される。
3つの電極111は、固定具114によって固定される。頭部装着部113は、3つの電極111を固定する固定具114を含む。頭部装着部113は、例えばヘルメットから切り出したブーメラン状プラスティック製の装着部であってもよいし、図1に示すようなヘッドギア形状の装着部であってもよい。頭部装着部113は、好ましくは、被験者が頭部装着部113を装着した場合に、3つの電極が国際10−20法におけるFp1、Fp2、F8の部位に当接するように電極が配置されている。電極111は、好ましくは生理食塩水を含んだ多孔質ファイバー電極であり、電極111上部は導線接続用金属円筒で構成される。
図19は、他の実施例によるストレス判定装置100の帽子装着型電極の外観概要図である。図20は、基準電位測定用の導電性ゴム電極の外観概要図である。頭部装着部113は、メッシュ状帽子に測定用の電極111が3つ取り付けられたものである。電極111はプリアンプ115と接続されたシールドケーブル116と接続され、好ましくは食塩水を含んだ多孔質導電性ゴムが使用される。
プリアンプ115は、3ch増幅器・帯域フィルタ130の増幅器の機能を有するものであり、帯域フィルタを経由して電子装置120に接続される。基準電極112は、プリアンプ115と電気的に接続された導電性ゴム電極117であり、これによって耳朶接続用クリップ電極は不要となる。ここで、導電性ゴム状の電位均一化と、プリアンプ115からのケーブル接続の際の接触抵抗の低減を図るため、円周状の導電性ゴム電極117と帽子の間には金属フィルム118が設置される。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態のストレス判定装置100は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様の構成を有し、被験者の脈拍を測定する脈拍センサを更に備えたものである。
生体がストレスを受けると、一次的には情動の発現を司る扁桃体の活動が活発になるが、その結果は、2次的な反応として、前頭深部に位置する側坐核を中心として自己報酬系への抑制がもたらされる。これと並行して、扁桃体の活動は、情動の発現機構の一つである視床下部に位置する自律神経系にも働きかけ、心拍数や血圧にも影響が及ぼされる。特に、心拍数については、ストレスの少ない生体については、呼吸や精神活動に伴い、通常数%の心拍ゆらぎが見られ、自律神経系が正常に働いていることの証とも考えられている。第2の実施形態のストレス判定装置100は、ストレス状態をより精度よく判定するために、脈拍データを更に用いてストレス状態を判定する。
第2の実施形態のストレス判定装置100においても、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様にして、3重相関値Sや指標値SDを用いる。本実施形態において、3重相関値Sの算出や指標値SDの算出など、脳深部の状態の観測に関しては第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態のストレス判定装置100は、脳電位センサ110と、電子装置120と、脈拍センサ(図示せず)を含む。脈拍センサは、被験者の脈拍データを取得することが可能なあらゆるセンサとすることができる。脈拍センサは、脈拍データを脈拍信号として電子装置120へ送信する通信部(図示せず)を含む。通信部は無線通信を行い、脈拍センサで取得された脈拍データを電子装置120へ送信する。ただし、イーサネット(登録商標)ケーブル、USBケーブル等を用いた有線通信を行うこともできる。
図21は本発明の第2の実施形態のストレス判定装置100の機能ブロック図である。ストレス判定装置100は、脳電位信号取得手段201と、演算手段202と、脈拍信号取得手段203とを備える。脳電位信号取得手段201及び演算手段202は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様の機能を有する。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
脈拍信号取得手段203は、被験者の脈拍信号(脈拍データ)を取得する機能を有するものであり、脈拍センサは1つの例示である。本実施形態では、演算手段202は、以下の情報処理を行うことにより、ストレス状態を判定する。
図22は、本発明の第2の実施形態のストレス判定装置100のデータ処理ブロック図である。図に示すように、演算手段202(ストレス判定装置100)は、脳電位データを取得し(S2201)、例えばSD/Sなどのストレス指標値(第1のストレス指標値)を算出する(S2202)。当該情報処理は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様である。上記処理とは別に、演算手段202は、脈拍データを取得し(S2211)、脈拍データに基づいてストレス指標値(第2のストレス指標値)を算出する(S2212)。演算手段202は、上記のとおり算出された2つの指標値を用いて、被験者のストレス状態を判定する(S2221)。
このとき、同じ時間に取得される脳電位データ及び脈拍データに基づいた2つの指標値により判定を行うため、演算手段202は、好ましくは、第1のストレス指標値にデータ遅延をつける(S2203)。これはストレス状態を判定するための脈拍データの取得は数分、例えば2〜3分、程度必要であることから、第2のストレス指標値の算出は、脳波から直接観測して算出される第1のストレス指標値の算出よりも時間を要するためである。ただし、データ遅延の処理は、ステップ2221のデータ演算と同時に実行してもよい。
次に、ステップ2212における第2のストレス指標値の算出処理について説明する。演算手段202は、脈拍信号から脈拍のRR間隔の時系列データである脈拍間隔データを生成する。
演算手段202は、脈拍間隔データに対して離散フーリエ変換を行うことで周波数スペクトルを算出する。演算手段202は、周波数スペクトルにおける低周波数成分である第1の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値の、第1の周波数帯域より高い周波数帯域であって第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値に対する比率を算出する。例えば、周波数スペクトルは、0〜1Hzの周波数帯域で算出し、第1の周波数帯域は0.05〜0.15Hz、第2の周波数帯域は0.15〜0.40Hzである。
演算手段202は、算出された比率を第2のストレス指標値として定め、第1のストレス指標値及び第2のストレス指標値に基づいてストレス状態を判定する。1つの例では、一方の軸(横軸)を第2のストレス指標値、他方の軸(縦軸)を第1のストレス指標値とした2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することによりストレス状態を判定することができる。
第2の実施形態の他の実施例においては、演算手段202は、脈拍間隔データから脈拍間隔値ごとの出現頻度を示す脈拍ヒストグラムを生成する。演算手段202は、脈拍ヒストグラムにおける、脈拍間隔が大きい方から順に抽出された所定量のデータの分散の合計値の、脈拍間隔が小さい方から順に抽出された所定量のデータの分散の合計値に対する比率を算出する。1つの例では、演算手段202は、脈拍ヒストグラムにおいて、脈拍間隔が大きい方から順に抽出された複数のデータであって該脈拍ヒストグラムを構成するデータのうちの7%に相当する量のデータの分散の合計値の、脈拍間隔が大きい方から順に抽出された当該7%に相当する量のデータの分散の合計値に対する比率を算出する。
演算手段202は、算出された比率を第2のストレス指標値として定め、第1のストレス指標値及び第2のストレス指標値に基づいてストレス状態を判定する。1つの例では、一方の軸(横軸)を第2のストレス指標値、他方の軸(縦軸)を第1のストレス指標値とした2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することによりストレス状態を判定することができる。
<実施例>
以下の実験結果により、第2の実施形態のストレス判定装置100を用いて、ストレス状態を判定できることを説明する。実験の条件は、第1の実施形態の場合と同様であるが、本実験においては、第1のストレス指標値算出のためにF7、F8、T3から脳電位信号を取得するとともに、第2のストレス指標値算出のために被験者18名それぞれから脈拍信号を取得した。図23は、低ストレス状態において脈拍信号から生成された脈拍間隔データを示し、図24は、高ストレス状態において脈拍信号から生成された脈拍間隔データを示す。
図25は、図23の脈拍間隔データに対して離散フーリエ変換を行うことにより生成された周波数スペクトルを示し、図26は、図24の脈拍間隔データに対して離散フーリエ変換を行うことにより生成された周波数スペクトルを示す。ここで、各被験者の低ストレス状態と高ストレス状態のそれぞれにおいて、低周波数帯域(0.05〜0.15Hz)のスペクトル強度の、高周波数帯域(0.15〜0.40Hz)のスペクトル強度に対する比率(LF/HF)を算出し、第2のストレス指標値とする。
図27は、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における第1のストレス指標値(SD/S)と第2のストレス指標値(LF/HF)をプロットした図であり、一方の軸(横軸)をLF/HF、他方の軸(縦軸)をSD/Sとした2次元座標を示す。図に示すとおり、当該2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することにより、ストレス状態を判定することができる。1つの例では、F1=3(LF/HF)+SD/S−12.5と定め、F1>0であれば高ストレス状態であると判定し、F1≦0であれば低ストレス状態と判定する。ただし、F1の示す式は一例であって、これに限定されない。
<作用効果>
このような構成とすることにより、本実施形態では、前頭部又は側頭部に取り付けられた3つの電極111より取得される脳電位信号から第1のストレス指標値を算出するとともに、脈拍センサから取得される脈拍信号から第2のストレス指標値を算出することにより、被験者のストレス状態を判定する。これにより、被験者はストレス状態を判定したい場合に、後頭部よりも電極が取り付けやすい前頭部又は側頭部に電極111を3つ取り付け、更に脈拍信号を測定すればよいため、被験者への負担をより低減させることが可能となる。また、脳深部の状態及び脈拍の状態に基づいた定量的なストレス判定を行うことが可能となる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態のストレス判定装置100は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様の構成を有するとともに、更に3つの電極111を用いて特定の周波数帯(好ましくはθ波帯域)の脳電位信号を取得する構成を有するものである。
生体がストレスを受けると、側頭葉内側の奥に存在する扁桃体の活動が活発になるが、その結果として、側頭葉近傍の脳波に影響が出現していると考えられ、すなわち側頭から後頭に跨る3電極(T3、C3、T5)間の波形のコヒーレンスは高くなっていることが予想される。コヒーレンスの度合いは、ここでは3電極の波形の主成分分析の第一主成分相対寄与度(PCA)により表すことができる。第3の実施形態のストレス判定装置100は、ストレス状態をより精度よく判定するために、PCAを更に用いてストレス状態を判定する。
第3の実施形態のストレス判定装置100においても、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様にして、3重相関値Sや指標値SDを用いる。本実施形態において、3重相関値Sの算出や指標値SDの算出など、脳深部の状態の観測に関しては第1の実施形態と同じであるため、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本発明の第3の実施形態のストレス判定装置100の機能ブロック図は第1の実施形態のストレス判定装置100と同様である。ストレス判定装置100は、脳電位信号取得手段201と、演算手段202とを備える。脳電位信号取得手段201及び演算手段202は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様の機能を有する。
本実施形態においては、脳電位信号取得手段201は、第1の実施形態における電極111の位置とは異なる、被験者の側頭部又は後頭部の表面に更に取り付けられた3つの電極111を用いて被験者の脳電位信号を更に取得する。3つの電極は、被験者の側頭部又は後頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたものである。脳電位信号取得手段201は、好ましくは、被験者の国際10−20法におけるT3、C3、T5の部位の頭部表面に取り付けられた3つの電極から脳電位信号を取得する機能を有する。本実施形態では、演算手段202は、以下の情報処理を行うことにより、ストレス状態を判定する。
図28は、本発明の第3の実施形態のストレス判定装置100のデータ処理ブロック図を示す。図に示すように、演算手段202(ストレス判定装置100)は、脳電位データを取得し(S3101)、取得された3つの脳電位信号から脳深部の活動に起因する特定の周波数帯(好ましくはδ波帯域)の脳電位データをそれぞれ抽出し(S3102)、例えばSD/Sなどの第1のストレス指標値を算出する(S3103)。当該情報処理は、第1の実施形態のストレス判定装置100と同様である。上記処理とは別に、演算手段202は、ステップ3101において脳電位データを取得する位置とは異なる被験者の頭部表面から脳電位データを取得し(S3111)、取得された3つの脳電位信号から扁桃体の活動に起因する特定の周波数帯(好ましくはθ波帯域、例えば5〜8Hz)の脳電位データをそれぞれ抽出し(S3112)、ストレス指標値(第3のストレス指標値)を算出する(S3113)。演算手段202は、上記のとおり算出された2つの指標値を用いて、被験者のストレス状態を判定する(S3121)。
次に、ステップ3113における第3のストレス指標値の算出処理について説明する。演算手段202は、ステップ3112においてそれぞれ抽出された扁桃体の活動に起因する特定の周波数帯(好ましくはθ波帯域)の3つの時系列データに対して主成分分析を行う。当該主成分分析においては、3つの脳電位データの値が変数である。演算手段202は、主成分分析を行うことにより、第1主成分寄与率(比率)を算出する。
演算手段202は、第1主成分寄与率を第3のストレス指標値として定め、第1のストレス指標値及び第3のストレス指標値に基づいてストレス状態を判定する。1つの例では、一方の軸(横軸)を第3のストレス指標値、他方の軸(縦軸)を第1のストレス指標値とした2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することによりストレス状態を判定することができる。
ここで第3の実施形態のストレス判定装置100の実施例を説明する前に、θ波帯域の脳電位に基づいて算出されたPCA(PCAθ)と主観評価の相関関係を示す実験について説明する。
図29は、恐怖画像、リラックス画像、喜び画像、及び悲しみ画像を被験者5名に見せたときのアンケートのうち、高ストレス状態と考えられる「イライラした」とその対極の「リラックスした」の項目の点数と、PCAとの相関係数の関係を示す図である。図から、「イライラした」とPCAは、5名中4名が正の相関、「リラックスした」とPCAは、5名全員が負の相関となっていることが分かる。またPCAは、高ストレス状態では高い数値に、低ストレス状態では低い数値になる傾向があることが分かる。
<実施例>
以下の実験結果により、第3の実施形態のストレス判定装置100を用いて、ストレス状態を判定できることを説明する。実験の条件は、第1の実施形態の場合と同様であるが、本実験においては、第1のストレス指標値算出のためにF7、F8、T3の部位の頭部表面から脳電位信号を取得するとともに、第3のストレス指標値算出のためにT3、C3、T5の部位の頭部表面から脳電位信号を取得した。ここで、各被験者の低ストレス状態と高ストレス状態のそれぞれにおいて、扁桃体の活動に起因するθ波帯域(5〜8Hz)の3つの時系列データに対して主成分分析を行うことで第1主成分寄与率(比率)を算出し、第3のストレス指標値とする。
図30は、被験者18名の高ストレス状態と低ストレス状態における第1のストレス指標値(SD/S)と第3のストレス指標値(PCAθ)をプロットした図であり、一方の軸(横軸)をPCAθ、他方の軸(縦軸)をSD/Sとした2次元座標を示す。図に示すとおり、当該2次元座標において、被験者の高ストレス状態と低ストレス状態における領域を分離することにより、ストレス状態を判定することができる。1つの例では、F3=12.4*PCAθ+SD/S−20と定め、F3>0であれば高ストレス状態であると判定し、F3≦0であれば低ストレス状態と判定する。ただし、F3の示す式は一例であって、これに限定されない。
<作用効果>
このような構成とすることにより、本実施形態では、前頭部又は側頭部に取り付けられた3つの電極111より取得される脳電位信号から第1のストレス指標値を算出するとともに、側頭部又は後頭部に取り付けられた3つの電極111より取得される脳電位信号から第3のストレス指標値を算出することにより、被験者のストレス状態を判定する。これにより、被験者はストレス状態を判定したい場合に、電極111を6つ取り付ければよいため、被験者への負担をより低減させることが可能となる。また、脳深部の状態及び扁桃体の状態に基づいた定量的なストレス判定を行うことが可能となる。
以上に説明した処理又は動作において、矛盾が生じない限りにおいて、処理、動作及び組み合わせを自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例又は実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例又は実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
100 ストレス判定装置
110 脳電位センサ
111 電極
112 基準電極
113 頭部装着部
114 固定具
115 プリアンプ
116 シールドケーブル
117 導電性ゴム電極
118 金属フィルム
120 電子装置
121 処理部
122 表示部
123 入力部
124 記憶部
125 通信部
126 バス
130 3ch増幅器・帯域フィルタ
201 脳電位信号取得手段
202 演算手段
203 脈拍信号取得手段

Claims (8)

  1. 被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて該被験者の脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、
    前記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて前記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出し、該相関値に基づいて前記被験者のストレス状態を判定する演算手段と、
    を備えるストレス判定装置。
  2. 前記演算手段は、
    前記取り付けられたセンサA、B及びCごとに抽出された時系列データをVA(t)、VB(t)及びVC(t)とした場合、所定時間内に抽出されたVA(t)それぞれに対して、該時系列データが抽出されたサンプリング周期の所定値以下の整数倍に等しい時間である任意の時間τ1及びτ2だけ異なる時間に抽出されたVB(t−τ1)及びVC(t−τ2)を、前記所定時間内の時刻TにおけるVA(T)とVB(T−τ1)とVC(T−τ2)とが同符号になる場合のτ1及びτ2の組み合わせのみ掛け合わせ、得られたそれぞれの値を加算した値を用いて相関値を算出する、請求項1に記載のストレス判定装置。
  3. 前記演算手段は、
    算出される前記相関値の時間的なばらつきに基づいて指標値を算出し、
    前記相関値及び前記指標値の少なくとも一方に基づいてストレス状態を判定する、請求項2に記載のストレス判定装置。
  4. 前記演算手段は、
    前記時間τ1及びτ2を軸とする座標における相関値が算出された領域の間の距離の前記τ1軸方向及び前記τ2軸方向それぞれの標準偏差に基づいて指標値を算出し、
    前記相関値及び前記指標値の少なくとも一方に基づいてストレス状態を判定する、請求項2に記載のストレス判定装置。
  5. 前記ストレス判定装置は、
    前記被験者の脈拍信号を取得する脈拍信号取得手段を更に備え、
    前記演算手段は、
    前記脈拍信号から生成される脈拍間隔データに対してフーリエ変換を行うことで周波数スペクトルを算出し、該周波数スペクトルにおける第1の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値の、該第1の周波数帯域より高い周波数帯域であって該第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域内の各周波数のスペクトル強度の合計値に対する比率を算出し、該比率及び前記指標値に基づいてストレス状態を判定する、請求項3又は4に記載のストレス判定装置。
  6. 前記脳電位信号取得手段は、
    前記被験者の側頭部又は後頭部の表面の3つの異なる位置に更に取り付けられたセンサを用いて前記被験者の脳電位信号を更に取得し、
    前記演算手段は、
    前記更に取得された脳電位信号のそれぞれから扁桃体の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データに対して主成分分析を行うことにより第1主成分寄与率を算出し、該第1主成分寄与率及び前記指標値に基づいてストレス状態を判定する、請求項3又は4に記載のストレス判定装置。
  7. 被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて取得される該被験者の脳電位信号によりストレスを判定するためのプログラムであって、コンピュータに、
    前記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出するステップと、
    前記それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて前記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出するステップと
    前記相関値に基づいて前記被験者のストレス状態を判定するステップと、
    を実行させるプログラム。
  8. 被験者の前頭部又は側頭部の表面の3つの異なる位置に取り付けられたセンサを用いて取得される該被験者の脳電位信号によりストレスを判定するための方法であって、
    前記取得された脳電位信号のそれぞれから脳深部の活動に起因する特定の周波数帯の時系列データをそれぞれ抽出するステップと、
    前記それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて前記取得された脳電位信号のそれぞれの相関関係を示す相関値を算出するステップと
    前記相関値に基づいて前記被験者のストレス状態を判定するステップと、
    を含む方法。
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