JP2019154789A - 気分障害測定装置および気分障害測定方法 - Google Patents

気分障害測定装置および気分障害測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019154789A
JP2019154789A JP2018045604A JP2018045604A JP2019154789A JP 2019154789 A JP2019154789 A JP 2019154789A JP 2018045604 A JP2018045604 A JP 2018045604A JP 2018045604 A JP2018045604 A JP 2018045604A JP 2019154789 A JP2019154789 A JP 2019154789A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency band
mood disorder
power value
total power
band
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018045604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7098974B2 (ja
Inventor
小林 洋平
Yohei Kobayashi
洋平 小林
ゆり 渡邉
Yuri Watanabe
ゆり 渡邉
美枝子 田中
Mieko Tanaka
美枝子 田中
佳世子 福原
Kayoko FUKUHARA
佳世子 福原
翼 古田
Tsubasa FURUTA
翼 古田
敏三 石川
Toshizo Ishikawa
敏三 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nipro Corp
Original Assignee
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nipro Corp filed Critical Nipro Corp
Priority to JP2018045604A priority Critical patent/JP7098974B2/ja
Priority to PCT/JP2019/009893 priority patent/WO2019176905A1/ja
Publication of JP2019154789A publication Critical patent/JP2019154789A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7098974B2 publication Critical patent/JP7098974B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B10/00Other methods or instruments for diagnosis, e.g. instruments for taking a cell sample, for biopsy, for vaccination diagnosis; Sex determination; Ovulation-period determination; Throat striking implements
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/24Detecting, measuring or recording bioelectric or biomagnetic signals of the body or parts thereof
    • A61B5/316Modalities, i.e. specific diagnostic methods
    • A61B5/369Electroencephalography [EEG]

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Psychology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Abstract

【課題】医療現場において気分障害を定量的かつ簡易に測定することが可能な気分障害測定装置および方法を提供する。【解決手段】気分障害測定装置は、被験者の頭部上に配置された複数の電位センサを用いて異なる複数の部位で測定された脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、取得された脳電位信号を周波数解析することにより、複数の部位のうち所定の一つの部位での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、複数の部位のうち他の所定の一つの部位での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する第1のパワー値算出手段と、第1の周波数帯域の総パワー値と第2の周波数帯域の総パワー値との差分の、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の総パワー値に対する比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出する第1の演算手段と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、頭部に設置した複数の電極により観測される脳電位の時系列データを解析することで被験者の気分障害の度合いを定量的に測定する装置および方法に関する。
気分障害とは、慢性疼痛などの疾病などが原因で、常に気分が落ち込んだり、あるいは常に高まったりすることで日常生活に様々な支障をきたしてしまう心の病気である。医療現場では、うつ病等の気分障害を診断する際に、問診による診断が主である。また、末梢性疼痛に関しては、慢性的に強い痛みが生じている場合、 2点識別覚の閾値の増加といった中枢神経系を含む機能異常が報告されている。また、外部からの侵害刺激に対する実験痛を定量的に評価する熱的方法(Hardyの輻射熱法)があり、痛みを定量化する方法として優れていると言われている(非特許文献1)。
しかし、心因性の疼痛に関しては患者の主観的評価に大きく依存し、その客観化と定量化は非常に難しいとされており、定量的な診断方法の手段がない。
そこで、大規模な装置を使用することなく、簡易的に診断を行うことができ、気分障害の度合いを定量的に評価できる手法が求められる。
脳が悲しみや恐怖といった精神的ストレスを受けると、情動の中枢である大脳辺縁系に大きな影響が及ぶが、一次的な情動反応は、主として、扁桃体部分で生成されると考えられる。例えば、非特許文献2には、ペットを亡くした20名の被験者に当該ペットに関連する言語的タスクを課してfMRIで活動部位を調査した結果、悲しみや忌避に対応して扁桃体を中心とした部分に優位な活性が観測されることが開示されている。この一次的な神経活動は、同じく大脳辺縁系の中にある視床下部の神経核に働きかけ、交換神経及び副交感神経からなる自律神経系を介して、二次的な生理反応(例えば血圧や、脈拍、瞳孔反応等)を惹き起こすことが知られている。また二次的な反応は前頭部にも及び、側坐核を中心とした「喜びの中枢」としての自己報酬系の活動を抑制することが知られている。更には、精神疾患により喜びの感情が低下した被験者では、側坐核の活動低下とともに、前帯状皮質の脳波(EEG)のδ成分が増加することが知られている(非特許文献3)。また、同一の電極について定義される脳波のβ波とθ波のパワーの比率を用いて、気分障害の度合いの指標としている技術もある(非特許文献4)。これは、閉眼時、気分障害によりβ波の総パワー値がθ波に比べ、増加することを特徴としている。
山本光璋 「痛みの測定」日本臨床麻酔学会誌 Vol.7 No.2, pp.146-156, Apr. 1987 Peter J. Freed, Ted K. Yanagihara, Joy Hirsch, and J. John Mann, "Neural mechanism of grief regulation", Biol. Psychiatry, vol.66, no.1, pp.33-40, July 2009. Jan Wacker, Daniel G. Dillon, Diego A. Pissagalli, "The role of the nucleus accumbens and rostral anterior cingulate cortex in anhedonia: Integration of resting EEG, fMRI, and Volumetric Techniques, Neuroimage, vol.46, no.1,pp.327-337, May 2009. Bachmann M1, Lass J, Suhhova A, Hinrikus H.,’ Spectral asymmetry and Higuchi's fractal dimension measures of depression electroencephalogram.’, Comput Math Methods Med. 2013;2013:251638. doi: 10.1155/2013/251638. Epub 2013 Oct 22.
気分障害における脳活動を捉えるためには、MRIやPETのような大規模な装置を必要とするが、医療現場においても患者にも経済的な負担が大きい。一方、脳電位(脳波)は大がかりな装置を必要としない。そこで、本発明は、医療現場において気分障害を定量的かつ簡易に測定することが可能な気分障害測定装置および方法を提供することを主目的とする。
上記の課題は以下の特徴を有する本発明によって解決される。すなわち、本発明の一態様としての気分障害測定装置は、被験者の頭部上に配置された複数の電位センサを用いて異なる複数の部位で測定された脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、前記複数の部位のうち所定の一つの部位での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、前記複数の部位のうち他の所定の一つの部位での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する第1のパワー値算出手段と、前記第1の周波数帯域の総パワー値と前記第2の周波数帯域の総パワー値との差分の、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域の総パワー値に対する比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出する第1の演算手段と、を備える。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、国際10−20法で規定される電極配置において、前記所定の一つの部位はP3であり、前記他の所定の一つの部位はO2であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記第1の周波数帯域はβ帯であり、前記第2の周波数帯域はδ帯および/またはθ帯であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記脳電位信号取得手段は、被験者の頭部上の互いに異なる3つの部位での脳電位信号を取得するよう構成されており、前記取得された各脳電位信号から脳深部の活動に起因する特定の周波数帯域の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて前記3つの部位で測定された脳電位信号の相関関係を示す相関値を算出し、算出された相関値に基づいて被験者の気分障害を判断するための指標を算出する第2の演算手段を備えることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、国際10−20法で規定される電極配置において、前記3つの部位は、P3、P4およびO2であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記特定の周波数帯域はβ帯域であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記脳電位信号取得手段は、被験者の前側頭部に配置された1つの電位センサを用いて該前側頭部での脳電位信号を取得し、前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、予め決められた第3の周波数帯域の総パワー値と、該第3の周波数帯域よりも高い第4の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する第2のパワー値算出手段と、前記第4の周波数帯域の総パワー値に対する前記第3の周波数帯域の総パワー値の比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出する第3の演算手段を備えることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、国際10−20法で規定される電極配置において、前記1つの電位センサが配置される部位はF7であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記第3の周波数帯域はδ帯であり、前記第4の周波数帯域はθ帯および/またはβ帯であることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定装置において、前記第1の演算手段で算出された前記指標、前記第2の演算手段で算出された前記指標および前記第3の演算手段で算出された前記指標に対して主成分分析を行って複数の主成分の主成分得点を算出する主成分得点算出手段と、算出した主成分の主成分得点に基づいて開眼時と閉眼時を分類する開眼閉眼分類手段と、を備えることが好ましい。
本発明の一態様としての気分障害測定方法は、被験者の頭部上に配置された複数の電位センサを用いて異なる複数の部位で測定された脳電位信号を取得するステップと、前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、前記複数の部位のうち所定の一つの部位での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、前記複数の部位のうち他の所定の一つの部位での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出するステップと、前記第1の周波数帯域の総パワー値と前記第2の周波数帯域の総パワー値との差分の、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域の総パワー値に対する比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出するステップと、を含む。
本発明によれば、2つの電位センサのうち一方から取得した脳電位信号の第1の周波数帯域の総パワー値と、他方の電位センサから取得した脳電位信号の、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域のパワー値との差分の、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の全パワー値に対する比率を気分障害を測定する際の指標としたことにより、簡単に医療現場において気分障害を簡易に測定することができ、しかも異なる皮質部位の活動の相互関係を反映して高い精度で気分障害を評価することが可能になる。
本発明の実施形態に係る気分障害測定装置の概略図である。 国際10−20法の電極配置を説明する図である。 第1実施形態の気分障害測定装置の処理部における処理ブロック(機能)を示す図である。 第1実施形態の気分障害測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態の気分障害測定装置の処理部における処理ブロック(機能)を示す図である。 第2実施形態の気分障害測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 第3実施形態の気分障害測定装置の処理部における処理ブロック(機能)を示す図である。 第3実施形態の気分障害測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 第4実施形態の気分障害測定装置の処理部における処理ブロック(機能)を示す図である。 第4実施形態の気分障害測定方法の処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の測定結果を示す図である。 実施例2の測定結果を示す図である。 実施例2において、NXPR値とRF7値を2次元プロットした図である。 実施例3における電位センサの配置を示した図である。 実施例3において脳電位の3重相関値を算出するための処理ブロックを示す図である。 実施例3において3重相関値Siを算出する処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3における3重相関表示部を示す図である。 (a)、(b)は、実施例3において、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上にプロットされた3重相関値分布の3次元表示を示す図である。 3重相関値分布の3次元表示を上からみた図であって、3つの信号が同符号をとる領域を白で表し、3つの信号のいずれか1つの符号が異なる領域を黒で表した図である。 実施例3において、3重相関値の標準偏差S値、SD値から作成したガウシアン分布を示す図である。 実施例3において、ガウシアン分布の等高線の高さの値とNXPR値とを2次元プロットした図である。 実施例4における主成分分析結果を示す図である。
以下、図面を参照し本発明の実施の形態の気分障害測定装置および方法について説明する。
第1実施形態の気分障害測定装置は、被験者が気分障害状態にあるか否かを判別する際に用いられる第1の気分障害指標を生成する。図1は、第1実施形態の気分障害測定装置の装置構成例を概念的に示す図である。気分障害測定装置は、被験者の頭部の異なる部位に対応して少なくとも2つの電位センサ102が取り付けられて脳内神経活動に基づく電位を測定する頭部装着部104と、各電位センサ102と信号ケーブル106で接続された増幅器・帯域フィルタ108と、増幅器・帯域フィルタ108と信号ケーブル110で接続された解析用コンピュータ112とを備える。また、気分障害測定装置は、基準電位測定用の基準電位センサ114をさらに有する。頭部装着部104は、図2に示す国際10−20法の電極配置に従い各電位センサ102が配置されるように、被験者の頭部に装着する。この場合、頭部装着部104は、それぞれ扁桃体に対応する中心部(C3)、頭頂部(P3)、中側頭部(T3)および後側頭部(T5)並びに後頭部(O2)のうちの2つの部位に電位センサ102がそれぞれ配置されるように被験者へ装着するのが好ましい。頭部装着部104は、国際10−20法に基づくヘルメット型電位センサを用いて、選択的に2つの電位センサ102を使用することができ、この場合も、C4、P3、T3、T5およびO2のうちのいずれか2つの電極配置に対応する電位センサ102を使用するのが好ましい。なお、被験者頭部の所定の部位に電位センサ102を配置できる限り、頭部装着部104の形態に制限はない。測定用の少なくとも2つの電位センサ102および基準電位センサ114は無線通信機能を有し、同様に無線通信機能を有する解析用コンピュータ112へ、測定用の各電位センサ102と基準電位センサ114から得られる脳電位信号の差分を2つの脳電位信号として、無線で送信するようにしてもよい。
解析用コンピュータ112は、各種電算処理や算出を行うものであり、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)を含む処理部と、算出結果などを表示する表示部(ディスプレイ、プリンタなど)と、各種データやプログラムを格納する記憶部と、有線および/または無線通信を行う通信部とを有する。なお、解析用コンピュータ112は、増幅器・帯域フィルタの機能を有してもよく、この場合、増幅器・帯域フィルタ108は省略され得る。このような帯域フィルタの機能や請求項に記載した各種手段などは、解析用コンピュータ112において処理部のCPUが所定のプログラムを実行することによって実現することができる。解析用コンピュータ112はPC(Personal Computer)のような汎用コンピュータであってもよいし、専用コンピュータであってもよい。処理部は、CPUに代えてまたは加えて、特定用途向けの集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の少なくとも1つを含んでいてもよい。
第1実施形態の気分障害測定装置は、例えば処理部のCPUが所定のプログラムを実行することによって得えられる機能部として、図3に示すように、脳電位信号取得手段としての脳電位信号取得部116と、第1のパワー値算出手段としての第1のパワー値算出部118と、第1の演算手段としての第1の演算部120とを有する。
第1実施形態の気分障害測定装置による気分障害測定方法の処理を図4のフローチャートに示すように、脳電位信号取得部116は、被験者の頭部の所定部位(例えばP3およびO2の電極位置)に配置された2つの電位センサ102から脳内神経活動に基づく脳電位信号を一定のサンプリング間隔で取得する(S101)。この後、第1のパワー値算出部118は、取得された脳電位信号を周波数解析することにより、上記2つの部位のうち一方の部位(例えばP3)での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、他方の部位(例えばO2)での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する(S102)。好ましくは、第1の周波数帯域はβ帯域であり、第2の周波数帯域はδ帯またはδ〜θ帯である。
そして、第1の演算部120は、下記式(1)に示すように第1の周波数帯域(例えばβ帯域)の総パワー値Pi(β)と第2の周波数帯域(例えばθ帯域)の総パワー値Pj(θ)との差分の、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の全パワー値に対する比率(NXPR:Normalized Cross Power Ratio)を算出する(S103)。第1実施形態では、このNXPR値を第1の気分障害指標として用いることにより、気分障害の判定を行う(S104)。
Figure 2019154789
特に扁桃体付近および/または後頭部に配置された2つの電位センサ102のうち一方から取得した脳電位信号の第1の周波数帯域の総パワー値と、他方の電位センサから取得した脳電位信号の第2の周波数帯域のパワー値との差分の、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の全パワー値に対する比率(NXPR値)は、気分に何らかの不安や不快感など、気分障害があるときには、周波数帯域の高い第1の周波数帯域の総パワー値に比べて周波数帯域の低い第2の周波数帯域の総パワー値が増えることで負の値を取る傾向がある。上述した非特許文献4に記載されている方法では、同一の電位センサから測定されるβ波とθ波のパワー値の差を正規化し表示しているのに対し、本実施形態では、相互に異なる2つの電位センサ102からの脳電位信号を用い、脳電位信号別に異なる周波数帯(例えばβ波とθ波)のパワー値の差を正規化している。これにより、異なる皮質部位の活動の相互関係を反映した評価が可能になる。
第2実施形態の気分障害測定装置は、第1実施形態の気分障害装置に第2の演算手段を付加したものであり、装置のハードウェア構成は、3つの電位センサを要すること以外は第1実施形態とほぼ同じであり、例えば処理部のCPUが所定のプログラムを実行することにより得られる機能部として、図5に示すように第2の演算手段として第2の演算部122を有する点で異なる。
第2実施形態の気分障害測定装置による気分障害測定方法の処理を図6のフローチャートに示すように、脳電位信号取得部116は、被験者の頭部上に所定部位に配置された3つの電位センサ102もしくはこれよりも多い電位センサのうち選択された3つの電位センサ102から脳内神経活動に基づく脳電位信号を一定のサンプリング間隔で取得する(S201)。好ましくは、3つの電位センサ102は国際10−20法で規定される電極配置において、P3,P4およびO2に配置されるものである。次いで第2の演算部122は、3つの電位が同符号の信号を選択する(S202)。電位の符号を判定する際の基準電位は、例えば皮質活動を直接反映しない耳朶が用いられうるが、増幅器の帯域フィルタで直流分は遮断されるので、実質的には、各々の電位センサごとの時間平均から見た正負の符号を判定することになる。なお当然のことながら、基準電位の取り方はこれらに限定されず、導電性ゴム電極も使用されうる。さらには、無線通信機能を有する測定用の3つの電位センサから得られる脳電位信号と、当該3つの電位センサの中央に配置される基準電位センサから得られる脳電位信号の差分を、3つの脳電位信号として無線で送信する構成とすることもできる。この場合は、前述のとおり、解析用コンピュータ112が帯域フィルタの機能を有する。
続いて第2の演算部122は、3重相関値を算出する(S203)。3重相関値は、3つの電位センサ102からのβ帯域、好ましくは20Hz〜40Hzの周波帯域の電位信号をそれぞれEVA(t)、EVB(t)、EVC(t)としたとき、1つの電極の電位信号に対し、τ1、τ2の時間ずれのある信号との積を使用する。以下に示す式(2)は3重相関値Stの1つの例示である。Tは3重相関値の演算対象時間であり、Δtは各電位信号のデータサンプリング周期であり、Nは規格化するための定数であって、例えば3つの信号の積の計算回数である。
Figure 2019154789
3重相関値を算出することにより脳の深部の状態を観測することで、気分障害を伴う脳内活性をより的確に捉え、被験者の気分状態を推定することができる。3重相関値を算出した後、解析用コンピュータで所定の演算を行うことにより3重相関値の標準偏差S値(3重相関値の空間軸方向のばらつき)および3重相関値の時間軸方向の間隔の標準偏差SD値(3重相関値の時間軸方向のばらつき)という指標を算出し、当該指標により気分障害の識別判定を行うこともできる(S204)。
第3実施形態の気分障害測定装置は、第1実施形態の気分障害装置または第2実施形態の気分障害装置に第3の演算手段を付加したものであり、装置のハードウェア構成は第1実施形態とほぼ同じであり、例えば処理部のCPUが所定のプログラムを実行することにより得られる機能部として、図7に示すように第2のパワー値算出手段としての第2のパワー値算出部124と、第3の演算手段として第3の演算部126とを有する点で異なる。
第3実施形態の気分障害測定装置による気分障害測定方法の処理を図8のフローチャートに示すように、脳電位信号取得部116は、被験者の頭部上に所定部位に配置された1つの電位センサ102から脳内神経活動に基づく脳電位信号を一定のサンプリング間隔で取得する(S301)。脳電位信号取得部116は、好ましくは、国際10−20法で規定される電極配置において、f7に配置された電位センサ102から脳電位信号を取得する。次いで第2のパワー値算出部124は、取得された脳電位信号を周波数解析することにより、予め決められた第3の周波数帯域の総パワー値PF7_lowと、該第3の周波数帯域よりも高い第4の周波数帯域の総パワー値PF7_highとをそれぞれ算出する(S302)。第3の周波数帯域は好ましくはδ帯、より好ましくは1.56Hz〜3.12Hzであり、第4の周波数帯域はθ帯および/またはβ帯、より好ましくは4.8Hz〜18.8Hzである。第3の周波数帯域の総パワー値PF7_lowと第4の周波数帯域の総パワー値PF7_highは下記式(3)、(4)をそれぞれ用いて求めることができる。
Figure 2019154789
ここで、kとl、mとnは,パワースペクトルの周波数ビンであり、k<l、m<nである。
そして、第3の演算部126は、例えば分解能1.56Hzで第4の周波数帯域の総パワー値PF7_highに対する第3の周波数帯域の総パワー値PF7_lowの比率(RF7)を算出する(S303)。RF7は、下記式(5)を用いて求めることができる。第3実施形態では、この比率を第3の気分障害指標として用いることにより、気分障害の判定を行う(S304)。
Figure 2019154789
ストレス等の不快な気分を感じたとき、特に前側部(国際10−20法の電極配置のF7)の比較的低い周波数帯域におけるパワー値が増える傾向がある。したがって、本実施形態のように、予め決められた第3の周波数帯域の総パワー値PF7_lowと、該第3の周波数帯域よりも高い第4の周波数帯域の総パワー値PF7_highとの比率(RF7)を気分障害指標とすることで、気分障害の判定を行うことができる。
第4実施形態は、上記に示した3の指標を用いて主成分分析を行い、第1主成分と第3主成分の主成分得点を用いて、閉眼時と開眼時とを分類するものである。具体的には、第4実施形態の気分障害測定装置は、第1〜第3実施形態の気分障害測定装置に主成分得点算出手段および開眼閉眼分類手段を付加したものであり、装置のハードウェア構成は第3実施形態とほぼ同じであり、例えば処理部のCPUが所定のプログラムを実行して得られる機能部として、図9に示すように主成分得点算出手段としての主成分得点算出部128と開眼閉眼分類手段としての開眼閉眼分類部130とを有する点で異なる。
主成分得点算出部128は、第1の演算部120により得られる指標(NXPR値)、第2の演算部122により得られる指標(3重相関値)および第3の演算部126により得られる指標(RF7)に対して主成分分析を行って複数の主成分の主成分得点を算出するよう構成されている。開眼閉眼分類部130は、算出した主成分の例えば第1主成分と第3主成分の主成分得点に基づいて開眼時と閉眼時を分類するよう構成されている。
本実施形態によれば、気分障害の測定に際し被験者に開眼か閉眼かを指示しなくても、図10に示すように、自動的に開眼か閉眼かが判定されるので、判定結果に基づき開眼時および閉眼時の気分障害評価をそれぞれ行うことが可能となる。
[実施例1]
実施例1では、第1実施形態の気分障害測定装置を用いて気分障害の定量的な評価を行った。被験者に視覚による気分障害を与えるため、被験者17名に対して、気分が悪くなりそうな動画を見せ、開眼時の脳波を測定した。具体的な手順は以下の通りである。
(1)各被験者の安静閉眼(180秒)の脳波を測定
(2)各被験者の安静開眼(120秒)の脳波を測定
(3)各被験者に嫌悪コンテンツ(蛇の動画)を120秒間見せ、脳波を測定
(4)各被験者に目をつぶらせ、脳波の波形チェック(30秒程度)
(5)各被験者に嫌悪コンテンツ(ごきぶりの動画)を200秒間見せ、脳波を測定
(6)各被験者に目をつぶらせ、脳波の波形チェック(30秒程度)
(7)各被験者の安静開眼(120秒)の脳波を測定
電位センサは国際10−20法電極配置に従うP3とO2にそれぞれ配置してこれらの2箇所の脳電位信号を取得し、P3の電位センサから取得した脳電位信号についてはβ帯域、O2の電位センサから取得した脳電位信号についてはθ帯域を用いて上記式(1)によりNXPR値を算出して気分障害指標とした。
測定結果を図11に示す。被験者17人に、蛇、ごきぶりが写っている動画を見せて、先に定義したNXPR値を算出した結果、安静開眼時には値が正を取るのに対し、蛇、ごきぶりの動画を見ているときには負の値をとった。下記表1では、気分障害は、NXPR値が正の値をとった場合に「気分障害無し」、負の値をとった場合に「気分障害有り」と評価した。また、今回のコンテンツにおいて、全評価数に対する、安静・開眼時の気分障害無し評価数および蛇、ごきぶり動画視覚時の気分障害有り評価数の合計の比率をNXPR値を指標とする気分障害測定の判別率として算出したところ、下記表1に示すように73%と高い判別率であった。このことにより、NXPR値が開眼時の気分障害の有効な指標であることが確認された。
(表1)
Figure 2019154789
[実施例2]
実施例2では、第3実施形態の気分障害測定装置を用いて気分障害の定量的な評価を行った。被験者に視覚による気分障害を与えるため、実施例1と同じ手順により被験者17名に対して、気分が悪くなりそうな動画を見せ、開眼時の脳波を測定した。電位センサは国際10−20法電極配置に従うF7に配置してこれから脳電位信号を取得し、F7の電位センサから取得した脳電位信号の分解能1.56Hzで1.56Hz〜3.12Hzの総パワー値と4.8Hz〜18.8Hzの総パワー値を上記式(3)、(4)を用いてそれぞれ算出し、1.56Hz〜3.12Hzの総パワー値を4.8Hz〜18.8Hzの総パワー値で割った値(RF7)を気分障害指標とした。
測定結果を図12に示す。実施例1と同様、被験者17名に、へび動画、ごきぶり動画を見せたところ、図12に示すように、蛇、ごきぶり動画ともに、安静開眼時に比べ、RF7指標値が大きくなることがわかった。したがって、RF7の値を気分障害指標として使用することができることが確認された。
次に、実施例1に示したNXPR値とRF7値の両者の値を図13に示すように2次元プロットし、気分障害の評価を行った。気分障害がある場合、NXPR値は負の値をとり、RF7値は正の値をとる傾向にあることから、NXPR値とRF7値の2次元分布において気分障害判定領域を第2象限とすることができる。今回のコンテンツにおいて、全評価数に対する、安静・開眼時の気分障害無し評価数および蛇、ごきぶり動画視覚時の気分障害有り評価数の合計の比率をNXPR値およびRF7値を指標とする気分障害測定の判別率として算出したところ、下記表2に示すように75%と高い判別率であった。このことにより、NXPR値およびRF7値が開眼時の気分障害の有効な指標であることが確認された。なお、図13中、楕円状の判定線で囲んだ領域に不快に感じる動画が集中していることがわかる。この判定線は、例えばデータ点の分布を近似する2次元正規分布関数に閾値操作を施して得ることができ、NXPR値とRF7値の2次元分布において第2象限を気分障害判定領域とするのに加えてあるいは代えて、このような判定線に基づく気分障害判定を行ってもよい。この判定線を用いた場合の判別率は86%となり、有効な指標になることが分かる。
(表2)
Figure 2019154789
[実施例3]
実施例3では、第2実施形態の気分障害測定装置を用いて気分障害の定量的な評価を行った。音響による気分障害を測定するため、被験者15名に対して、ストレス音楽とヒーリング音楽を閉眼状態で聞かせ、閉眼時の脳波を測定した。具体的な手順は以下の通りである。
(1)各被験者を1分間安静にさせる
(2)各被験者の安静開眼(120秒)の脳波を測定
(3)各被験者に閉眼状態でヒーリング音楽を300秒間聞かせ脳波を測定
(4)閉眼状態で各被験者の脳波の波形チェック(30秒程度)
(5)安静開眼状態で各被験者の脳波を測定(120秒)
(6)各被験者に閉眼状態でストレス音楽を300秒間聞かせ脳波を測定
電位センサは国際10−20法電極配置に従うP3、P4およびO2にそれぞれ配置してこれらの3箇所の脳電位信号の時系列データを取得し、それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて3つの部位で測定された脳電位信号の相関関係を示す相関値を算出した。相関値は次のように求めることができる。
図14に示すように、3つの電位センサEA(102)、EB(102)、EC(102)が三角形の各頂点部分に配置され、別途設置される基準電位センサ114と、各電位センサとの差として、電位信号VA(t)、VB(t)、VC(t)が計測される。なお前述の通り、P3、P4、O2の位置の3つの電位センサが使用されるのが好ましい。各脳電位信号は第2実施形態の気分障害測定装置の第2の演算部122によって処理される。図15は第2実施形態の気分障害装置のより詳細な処理ブロックを示す図であり、例えば3ch増幅器・帯域フィルタと解析用コンピュータによって実現される。図15に示すように、脳電位増幅器601によって増幅された信号はバンドパスフィルタ602によって、β波帯を主とする特定の周波数帯、例えば20Hz〜40Hzの脳電位波形が抽出される。これは、脳深部に仮定したダイポール電位活動を定量的に解析し、脳深部の活動を評価するために行われる。ただし、帯域フィルタはβ波を主とする特定の周波数を検出できるものであり、図15における周波数の値に限定されない。
次に、これら3つの信号による3重相関値の算出方法について示す。抽出された信号は3重相関値算出部603によって、図16のフローチャートに示すように処理される。図16は、i秒からi+1秒における3重相関値Si(i=1、2、…、T)を算出する処理のフローチャートを示す。なお、ここで実施される処理は、趣旨を逸脱しない範囲において変更することができる。
前述の通り3つの信号が入力されるとサンプリング周期でデータが抽出され(S701)、それぞれの電位センサの電位ごとに標準偏差(σA、σB、σC)で割って規格化される(S702)。この規格化処理は1秒ごとに行うのが好ましいが、これに限定されない。
Figure 2019154789
なおバンドパスフィルタによる周波数抽出処理は、規格化処理の前後いずれかに行われる。また規格化処理の前には、ノイズ処理を行うのが好ましい。ノイズ処理は、例えば、1)±100μV以上のセグメントを除く、2)フラットな電位(25msec以上一定の電位だった場合)を除く、3)±1μV以内の電位が1秒以上続く場合は除く、という処理から構成される。
ここで、上記、3つの信号は、電位センサEAに対し、電位センサEBはτ1、電位センサECはτ2の時間のずれがあるものとする。続いて、3つの信号の符号がすべて正(EVA(t)>0、EVB(t)>0、EVC(t)>0)または、すべて負(EVA(t)<0、EVB(t)<0、EVC(t)<0)の信号のみを計算対象とする処理をする(S703)。式(9)に示すように3重相関値は、時間ずれのある3つの電位信号の積を加算することで求められる(S704)。この処理は、tがt=i+1秒となるまでΔt秒ずつずらして行われる(S706、S707)。なお図16ではt=i秒からi+1秒における3重相関値Siを算出していることからも分かる通り、全データ(T秒)について一度に計算するのではなく、所定時間ごとに、本実施例においては1秒ごとに3重相関値Siを求めT個の3重相関値の平均値を最終的には3重相関値とし、時間ずれτ1、τ2も1秒の中でΔt秒ずつずらして3重相関値を算出する。例えば、電位データサンプリング周波数をfs(Hz)とすると、fs=200Hzの場合はΔt=1/fs=0.005秒ずつずらして、3つの電位信号の積を算出する。また、1秒ごとに3つの信号が正または負になった時の回数Nを求め(S705)、最後に割る(S708)。式(9)に1秒ごとの、3重相関値Siの計算式を示す。
Figure 2019154789
(i=1、2、…、T、τ1=Δt、2Δt、…、1(秒)、τ2=Δt、2Δt、…、1(秒))
このようにして、1秒ごとにSiを全データT秒まで計算する(S1、S2、・・・、ST)。T(秒)は好ましくは10(秒)である。ただしSiは1秒ごとに算出されることに限定されない。τ1及びτ2の取りうる値はサンプリング周期の整数倍に等しい1秒以下の時間であるが、これらの値の大きさの最大値は1秒に限定されない。またサンプリング周期は0.005秒に限定されない。なお3重相関値は、3つの信号の符号判定を行わずに、式9によって算出することもできる。
この結果は、図17に示すように、3重相関表示部604によって2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上にプロットすることで、2つの遅延パラメータ(τ1、τ2)が形成する特徴空間上にプロットされた3重相関値分布の疑似3次元表示をすることができる。図18は参考として、α波帯域の3重相関値分布の疑似3次元表示を示すものであるが、相関を有しないデータの影響を排除するため、予め定められたtの値、例えばt=i+1、においてEVA(t)、EVB(t−τ1)及びEVC(t−τ2)のすべてが同符号であったSi(τ1,τ2)のみをプロットしたものである。図18(a)は3重相関値の空間的、時間的乱れが小さいものであり、(b)は3重相関値の空間的、時間的乱れが比較的大きいものを例示したものである。
図19は、図18に例示したような3次元表示の図を上から見た図で、3つの波形が同符号をとる領域を白で表示し、3信号のどれか1つ符号が異なる領域を黒で表し、格子縞の乱れが生じていることが分かる。そこで、この乱れ(時間軸τ1、t2方向のばらつき)を定量化するために、以下のように標準偏差SDを定義する。
図19に示す白い四角形の領域は、隣接する白い四角形の領域と、縦横方向にそれぞれ間隔を有する。その間隔を図19に示すように、dxi(i=1,2、…、m)、dyj(j=1,2、…、n)とする。次いで式(10)、式(11)に示すように、m個のdxiの標準偏差Std_dxとn個のdyjの標準偏差Std_dyを算出し、式(12)に示すように2つの標準偏差の平均値を指標値SDとする。
Figure 2019154789
また、式9で算出された3重相関値の標準偏差(空間軸方向のばらつき)Sは次式(13)より求めることができる。
Figure 2019154789
そして、このようにして求めたS値、SD値からガウシアン分布を作成すると図20に示すようになる。図20に示すように、楕円の中心から距離が遠いところにヒーリング音楽が分布していることがわかる。
次に,上記ガウシアン分布により作成された等高線の高さの値とNXPR値を用いて評価を行うため、図21の散布図に示すようにストレス音楽、安静併願、ヒーリング音楽の3つの群をプロットした。
安静閉眼とヒーリング音楽を定常状態とし、ストレス音楽との線形判別分析を行うと、等高線からの値T値(標高値)とNXPR値において、式(14)の判別関数で73%の判別率で分類できる。そこで、これを気分障害指標として使用し、値が大きいほど気分障害の度合いが大きいということができる。
Figure 2019154789
下の表3に示すように、全評価数に対する、安静・閉眼とヒーリング音楽視聴時の気分障害無し評価数およびストレス音楽視聴時の気分障害有り評価数の合計の比率をNXPR値を指標とする気分障害測定の判別率として算出したところ、60%の判別率(閾値をNXPR=0とする)であったが、3重相関値に基づく指標を併用することで判別率が13%向上したことから、2つの指標を用いることで閉眼時の気分障害を測定する際の有効な気分障害指標になり得ることが分かる。
(表3)
Figure 2019154789
[実施例4]
実験で行った閉眼時と開眼時のすべてのコンテンツを用いて主成分分析を行い、第1主成分と第3主成分の主成分得点を2次元にプロットした結果、開眼時と閉眼時を分類することが可能となった。図22に示すように、線形判別分析等により得られる直線(境界)より上が開眼時コンテンツ、直線より下が閉眼時コンテンツである。このことより、開眼と閉眼を分離することが可能となり、それぞれの測定条件に特化した処理を行うことが可能になる。例えば、被検者が開眼状態であると判定された場合には、実施例1に記載したNXPR値に基づく評価が、また、閉眼と判定された場合には、実施例3に記載した3重相関値とNXPR値とを組み合わせた指標に基づく評価が有効な評価手段となり得る。
102 電位センサ
104 頭部装着部
108 増幅器・帯域フィルタ
112 解析用コンピュータ
114 基準電位センサ
116 脳電位信号取得部
118 第1のパワー値算出部
120 第1の演算部
122 第2の演算部
124 第2のパワー値算出部
126 第3の演算部
128 主成分得点算出部
130 開眼閉眼分類部

Claims (11)

  1. 被験者の頭部上に配置された複数の電位センサを用いて異なる複数の部位で測定された脳電位信号を取得する脳電位信号取得手段と、
    前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、前記複数の部位のうち所定の一つの部位での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、前記複数の部位のうち他の所定の一つの部位での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する第1のパワー値算出手段と、
    前記第1の周波数帯域の総パワー値と前記第2の周波数帯域の総パワー値との差分の、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域の総パワー値に対する比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出する第1の演算手段と、を備えることを特徴とする気分障害測定装置。
  2. 国際10−20法で規定される電極配置において、前記所定の一つの部位はP3であり、前記他の所定の一つの部位はO2であることを特徴とする、請求項1に記載の気分障害測定装置。
  3. 前記第1の周波数帯域はβ帯であり、前記第2の周波数帯域はδ帯および/またはθ帯であることを特徴とする、請求項1または2に記載の気分障害測定装置。
  4. 前記脳電位信号取得手段は、被験者の頭部上の互いに異なる3つの部位での脳電位信号を取得するよう構成されており、
    前記取得された各脳電位信号から脳深部の活動に起因する特定の周波数帯域の時系列データをそれぞれ抽出し、該それぞれ抽出された時系列データの位相関係に基づいて前記3つの部位で測定された脳電位信号の相関関係を示す相関値を算出し、算出された相関値に基づいて被験者の気分障害を判断するための指標を算出する第2の演算手段を備えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の気分障害測定装置。
  5. 国際10−20法で規定される電極配置において、前記3つの部位は、P3、P4およびO2であることを特徴とする、請求項4に記載の気分障害測定装置。
  6. 前記特定の周波数帯域はβ帯域であることを特徴とする、請求項4または5に記載の気分障害測定装置。
  7. 前記脳電位信号取得手段は、被験者の前側頭部に配置された1つの電位センサを用いて該前側頭部での脳電位信号を取得し、
    前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、予め決められた第3の周波数帯域の総パワー値と、該第3の周波数帯域よりも高い第4の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出する第2のパワー値算出手段と、
    前記第4の周波数帯域の総パワー値に対する前記第3の周波数帯域の総パワー値の比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出する第3の演算手段を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の気分障害測定装置。
  8. 国際10−20法で規定される電極配置において、前記1つの電位センサが配置される部位はF7であることを特徴とする、請求項7に記載の気分障害測定装置。
  9. 前記第3の周波数帯域はδ帯であり、前記第4の周波数帯域はθ帯および/またはβ帯であることを特徴とする、請求項8に記載の気分障害測定装置。
  10. 前記第1の演算手段で算出された前記指標、前記第2の演算手段で算出された前記指標および前記第3の演算手段で算出された前記指標に対して主成分分析を行って複数の主成分の主成分得点を算出する主成分得点算出手段と、
    算出した主成分の主成分得点に基づいて開眼時と閉眼時を分類する開眼閉眼分類手段と、を備えることを特徴とする、請求項4から6までのいずれかを引用する請求項7から9までのいずれか一項に記載の気分障害測定装置。
  11. 被験者の頭部上に配置された複数の電位センサを用いて異なる複数の部位で測定された脳電位信号を取得するステップと、
    前記取得された脳電位信号を周波数解析することにより、前記複数の部位のうち所定の一つの部位での予め決められた第1の周波数帯域の総パワー値と、前記複数の部位のうち他の所定の一つの部位での予め決められた、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域の総パワー値とをそれぞれ算出するステップと、
    前記第1の周波数帯域の総パワー値と前記第2の周波数帯域の総パワー値との差分の、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域の総パワー値に対する比率を被験者の気分障害を判断するための指標として算出するステップと、を含むことを特徴とする気分障害測定方法。
JP2018045604A 2018-03-13 2018-03-13 気分障害測定装置および気分障害測定方法 Active JP7098974B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018045604A JP7098974B2 (ja) 2018-03-13 2018-03-13 気分障害測定装置および気分障害測定方法
PCT/JP2019/009893 WO2019176905A1 (ja) 2018-03-13 2019-03-12 気分障害測定装置および気分障害測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018045604A JP7098974B2 (ja) 2018-03-13 2018-03-13 気分障害測定装置および気分障害測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019154789A true JP2019154789A (ja) 2019-09-19
JP7098974B2 JP7098974B2 (ja) 2022-07-12

Family

ID=67908320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018045604A Active JP7098974B2 (ja) 2018-03-13 2018-03-13 気分障害測定装置および気分障害測定方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7098974B2 (ja)
WO (1) WO2019176905A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112965060A (zh) * 2021-02-19 2021-06-15 加特兰微电子科技(上海)有限公司 生命特征参数的检测方法、装置和检测体征点的方法
WO2022172792A1 (ja) * 2021-02-12 2022-08-18 学校法人慶應義塾 症状判定装置及び症状判定プログラム
JP7444003B2 (ja) 2020-09-15 2024-03-06 ニプロ株式会社 気分障害測定装置および気分障害測定方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115644890A (zh) * 2022-11-15 2023-01-31 南京左右脑医疗科技集团有限公司 大脑状态识别方法、装置和存储介质

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090054801A1 (en) * 2007-08-23 2009-02-26 Tallinn University Of Technology Method and device for determining depressive disorders by measuring bioelectromagnetic signals of the brain
CN102715903A (zh) * 2012-07-09 2012-10-10 天津市人民医院 基于定量脑电图的脑电特征提取方法
CN102824171A (zh) * 2012-07-16 2012-12-19 天津大学 脑卒中后抑郁症psd患者脑电特征提取方法
JP2013215281A (ja) * 2012-04-05 2013-10-24 Sony Corp 脳波解析装置、脳波解析プログラム及び脳波解析方法
KR20150030498A (ko) * 2013-09-12 2015-03-20 세종대학교산학협력단 전두엽 뇌파를 이용한 우울증 심도 측정 방법
JP2015529491A (ja) * 2013-03-14 2015-10-08 ザ ニールセン カンパニー (ユーエス) エルエルシー 脳波データを収集し解析するためのシステムおよび方法
WO2016143759A1 (ja) * 2015-03-06 2016-09-15 株式会社 脳機能研究所 感情推定装置及び感情推定方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090054801A1 (en) * 2007-08-23 2009-02-26 Tallinn University Of Technology Method and device for determining depressive disorders by measuring bioelectromagnetic signals of the brain
JP2013215281A (ja) * 2012-04-05 2013-10-24 Sony Corp 脳波解析装置、脳波解析プログラム及び脳波解析方法
CN102715903A (zh) * 2012-07-09 2012-10-10 天津市人民医院 基于定量脑电图的脑电特征提取方法
CN102824171A (zh) * 2012-07-16 2012-12-19 天津大学 脑卒中后抑郁症psd患者脑电特征提取方法
JP2015529491A (ja) * 2013-03-14 2015-10-08 ザ ニールセン カンパニー (ユーエス) エルエルシー 脳波データを収集し解析するためのシステムおよび方法
KR20150030498A (ko) * 2013-09-12 2015-03-20 세종대학교산학협력단 전두엽 뇌파를 이용한 우울증 심도 측정 방법
WO2016143759A1 (ja) * 2015-03-06 2016-09-15 株式会社 脳機能研究所 感情推定装置及び感情推定方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7444003B2 (ja) 2020-09-15 2024-03-06 ニプロ株式会社 気分障害測定装置および気分障害測定方法
WO2022172792A1 (ja) * 2021-02-12 2022-08-18 学校法人慶應義塾 症状判定装置及び症状判定プログラム
CN112965060A (zh) * 2021-02-19 2021-06-15 加特兰微电子科技(上海)有限公司 生命特征参数的检测方法、装置和检测体征点的方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019176905A1 (ja) 2019-09-19
JP7098974B2 (ja) 2022-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200170575A1 (en) Systems and methods to infer brain state during burst suppression
WO2019176905A1 (ja) 気分障害測定装置および気分障害測定方法
US10028694B2 (en) Non-invasive systems and methods to detect cortical spreading depression for the detection and assessment of brain injury and concussion
Henderson et al. Development and assessment of methods for detecting dementia using the human electroencephalogram
KR20190059376A (ko) 뇌파를 통한 뇌 인지기능 평가 플랫폼 및 방법
EP3659502A1 (en) Discernment of comfort/discomfort
KR101535352B1 (ko) 전두엽 뇌파를 이용한 우울증 심도 측정 방법
JP2018521830A (ja) 注意欠陥を監視し改善する方法およびシステム
Calhoun et al. Aberrant processing of deviant stimuli in schizophrenia revealed by fusion of fMRI and EEG data
Keshavarz et al. Detecting and predicting visually induced motion sickness with physiological measures in combination with machine learning techniques
JP7136264B2 (ja) ストレス判定装置、プログラム及び方法
EP3662826A1 (en) Application of real signal time variation wavelet analysis
van den Brink et al. Task-free spectral EEG dynamics track and predict patient recovery from severe acquired brain injury
KR20140041382A (ko) 생물체의 정신생리학적 상태에 관한 정보 획득방법
Dimitriadis Reconfiguration of αmplitude driven dominant coupling modes (DoCM) mediated by α-band in adolescents with schizophrenia spectrum disorders
JP4145344B1 (ja) 脳活動測定装置
Buján et al. Cortical auditory evoked potentials in mild cognitive impairment: Evidence from a temporal‐spatial principal component analysis
Candia-Rivera et al. Conscious processing of global and local auditory irregularities causes differentiated heartbeat-evoked responses
Jang et al. Machine learning-based classification using electroencephalographic multi-paradigms between drug-naïve patients with depression and healthy controls
US20220047204A1 (en) Methods, Computer-Readable Media and Devices for Producing an Index
Xu et al. Approximate entropy analysis of event-related potentials in patients with early vascular dementia
Portnova et al. New approaches to clinical electroencephalography analysis in typically developing children and children with autism
WO2018104751A1 (en) Method and system for determining the presence of an autism spectrum disorder
CN111050667A (zh) 认知功能判定方法
JP5118230B2 (ja) 脳活動測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7098974

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150