JP2017118792A - 制御回路 - Google Patents

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裕通 田井
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Abstract

【課題】スイッチング素子の動作状態を監視し適切に動作させる制御回路を提供する。【解決手段】実施形態の制御回路は、主電圧を検出する第1検出部と、第1検出部から転送されたデータを記憶する第1データ記憶部と、第1データ記憶部から転送されたデータを記憶する第2データ記憶部と、第1データ記憶部および第2データ記憶部に記憶された第1時系列データで演算する第1演算部と、制御電圧を検出する第2検出部と、第2検出部から転送されたデータを記憶する第3データ記憶部と、第3データ記憶部から転送されたデータを記憶する4データ記憶部と、第3データ記憶部および第4データ記憶部に記憶された第2時系列データで演算する第2演算部と、ターンオン・ターンオフ信号、第1および第2演算部の演算結果にもとづいて、スイッチング素子の状態を判定し、駆動信号を生成する判定部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、制御回路に関する。
スイッチング素子を用いた電力変換装置では、スイッチング素子を適切に動作させる必要がある。たとえば、スイッチング素子を高速で動作させた場合には、スイッチング損失を低減させ電力変換効率の向上をはかることができる一方で、電磁ノイズの発生が過大となる。また、電力変換装置で負荷短絡等を生じた場合には、スイッチング素子に過大な電流が流れる場合や、過大な電圧が印加される場合があり、電力変換装置の故障の原因となる。
特開2008−86068号公報
実施形態の目的は、スイッチング素子の動作状態を監視し、スイッチング素子を適切に動作させる制御回路を提供することである。
実施形態に係る制御回路は、スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路である。制御回路は、前記スイッチング素子の主電圧を検出する第1検出部と、前記第1検出部に接続され、クロックのタイミングで前記第1検出部から転送された前記主電圧のデータを記憶する第1データ記憶部と、前記第1データ記憶部の出力に接続され、前記タイミングの次のタイミングで前記第1データ記憶部から転送された前記主電圧のデータを記憶する第2データ記憶部と、前記第1データ記憶部および前記第2データ記憶部に記憶された複数の前記主電圧のデータを含む第1時系列データのノイズ除去のための演算を行う第1演算部と、前記スイッチング素子の制御電圧を検出する第2検出部と、前記第2検出部に接続され、前記タイミングで前記第2検出部から転送された前記制御電圧のデータを記憶する第3データ記憶部と、前記第3データ記憶部の出力に接続され、前記次のタイミングで前記第3データ記憶部から転送された前記制御電圧のデータを記憶する第4データ記憶部と、前記第3データ記憶部および前記第4データ記憶部に記憶された複数の前記制御電圧のデータを含む第2時系列データのノイズ除去のための演算を行う第2演算部と、前記スイッチング素子に対するターンオンまたはターンオフのための指令を表す第1信号、前記第1演算部の演算結果および前記第2演算部の演算結果にもとづいて、前記スイッチング素子の状態を判定し、前記スイッチング素子を駆動する第2信号を生成する判定部と、を備える。
第1の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第1の実施形態のスイッチング素子制御回路を含む電力変換装置を例示するブロック図である。 図3(a)および図3(b)は、スイッチング素子制御回路の判定部の動作を説明するためのフローチャートの例である。 スイッチング制御素子回路の判定部に設定されたスイッチング素子の状態を示すテーブルの例である。 第2の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第2の実施形態のスイッチング素子制御回路の第1演算部の回帰分析部を例示するブロック図である。 第1演算部において取得した時系列データを回帰分析することによって、未来のデータを推定することを説明するグラフである。 第3の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第4の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第5の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第6の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第6の実施形態のスイッチング素子制御回路の受信部を例示するブロック図である。 第7の実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。 第7の実施形態のスイッチング素子制御回路の遅延時間調整部を例示するブロック図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図2は、本実施形態のスイッチング素子制御回路を含む電力変換装置を例示するブロック図である。
図3(a)および図3(b)は、スイッチング素子制御回路の判定部の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図4は、スイッチング素子制御回路の判定部に設定されたスイッチング素子の状態を示すテーブルの例である。
図1に示すように、本実施形態のスイッチング素子制御回路10は、主電圧検出部20と、主電圧データ記憶部26と、第1演算部28と、制御電圧検出部50と、制御電圧データ記憶部56と、第2演算部58と、判定部70と、を備える。スイッチング素子制御回路10は、判定部70とスイッチング素子14のゲート端子14cとの間に駆動部72を含む。駆動部72は、たとえば±15Vの電源で動作する電流バッファ73とスイッチング素子14の駆動電流を設定する抵抗器74とを含む。駆動部72は、判定部70の出力にしたがって、スイッチング素子14を適切に駆動する。スイッチング素子制御回路10は、受信部80を含む。受信部80は、スイッチング素子制御回路10の外部の、たとえば電力変換装置の内部に搭載されている制御部12と接続されている。受信部80は、制御部12からデータD1を受信して、ゲート信号G1を生成し判定部70に供給する。
スイッチング素子14は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。スイッチング素子14は、電圧制御型のスイッチング素子であればよく、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等であってもよい。以下では、スイッチング素子14は、IGBTであるとして説明する。スイッチング素子14には、逆並列にダイオード15が接続されている。すなわち、ダイオード15のアノード端子は、スイッチング素子14のエミッタ端子14bに接続され、カソード端子は、スイッチング素子14のコレクタ端子14aに接続されている。ダイオード15は、たとえばFRD(Fast Recovery Diode)であり、スイッチング素子14を用いたブリッジ回路等において、回生電流やフライホイール電流を流す。
主電圧検出部20は、分圧回路21と、電圧増幅回路22と、AD変換器23とを含む。分圧回路21は、両端がスイッチング素子14のコレクタ端子14aおよびエミッタ端子14bにそれぞれ接続されている。分圧回路21は、たとえば抵抗器およびコンデンサの並列回路を多段に直列接続した回路であり、並列回路間の直列接続ノードの1つから、分圧した電圧出力を取り出して、電圧増幅回路22に入力する。コレクタエミッタ間電圧の範囲は、スイッチング素子14がターンオフするときには、たとえば数100V〜数kVであり、ターンオンしたときには、数Vから10V程度である。
電圧増幅回路22は、分圧回路21とAD変換器23との間に接続されている。電圧増幅回路22は、分圧されたコレクタエミッタ間の電圧をAD変換器23の入力ダイナミックレンジに適合する振幅に調整してAD変換器23に入力する。
AD変換器23は、クロック発生部24に接続されている。AD変換器23は、クロック発生部24からクロックパルスを入力して、アナログデータを取り込む。AD変換器23は、次のクロックパルスが入力されるまでに取り込んだアナログデータをデジタルデータに変換し、このクロックパルスに同期して変換されたデジタルデータを出力する。つまり、AD変換器23は、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧を所定のクロック周期でサンプリングし、デジタルデータに変換して逐次出力する。AD変換器23の出力は、1つの主電圧データ記憶部26の入力に接続されるとともに、第1演算部の入力INn+1に入力されている。
主電圧データ記憶部26は、複数個設けられている。1つの主電圧データ記憶部26は、AD変換器23の出力に接続されている。この主電圧データ記憶部26の出力は、他の主電圧データ記憶部26の入力に接続されている。それぞれの主電圧データ記憶部26の出力は、第1演算部28の異なる入力にそれぞれ接続されている。つまり、複数の主電圧データ記憶部26は、縦続接続されている。主電圧データ記憶部26は、たとえばデュアルポートメモリである。
第1演算部28は、複数の入力INn+1,INn,…IN1を有し、少なくとも1つの出力OUTを有する。複数の入力INn+1,INn,…IN1のうち入力INn+1は、AD変換器23の出力に接続されている。複数の入力INn+1,INn、…IN1のうち入力INn〜IN1は、複数の主電圧データ記憶部26のそれぞれの出力に接続されている。入力INnは、他の主電圧データ記憶部26の出力が入力に接続されていない主電圧データ記憶部26の出力に接続されている。入力IN1は、他の主電圧データ記憶部26の入力に出力が接続されていない主電圧データ記憶部26の出力に接続されている。なお、nは、0より大きい整数である。
制御電圧検出部50は、分圧回路51と、電圧増幅回路52と、AD変換器53とを含む。制御電圧検出部50、制御電圧データ記憶部56、および第2演算部58の構成および動作等は、主電圧検出部20、主電圧データ記憶部26、および第1演算部28の構成および動作と同じであり、詳細な説明を適宜省略する。
分圧回路51は、両端がスイッチング素子14のゲート端子14cおよびエミッタ端子14bに接続されている。分圧回路51は、分圧回路21と同様の回路である。分圧回路51では、ゲートエミッタ間電圧が、コレクタエミッタ間電圧よりも低いため、抵抗器およびコンデンサの並列回路の直列数が少なく設定されている。ゲートエミッタ間電圧の範囲は、たとえば−15V程度〜+15V程度である。分圧回路21と同様に、分圧回路51は、並列回路間の接続ノードの1つから、分圧された電圧出力を取り出して、電圧増幅回路52に入力する。電圧増幅回路52およびAD変換器53は、電圧増幅回路22およびAD変換器23とそれぞれ同じものを用いることができる。制御電圧検出部50は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間電圧を検出して、クロック周期ごとのスイッチング素子14のゲートエミッタ間電圧を検出してデジタルデータを出力する。
制御電圧データ記憶部56は、複数個設けられている。1つの制御電圧データ記憶部56は、AD変換器53の出力に接続されている。この制御電圧データ記憶部56の出力は、他の制御電圧データ記憶部56の入力に接続されている。つまり、複数の制御電圧データ記憶部56は、縦続接続されている。すべての制御電圧データ記憶部56の出力は、第2演算部58の異なる入力にそれぞれ接続されている。制御電圧データ記憶部56は、たとえばデュアルポートメモリである。
第2演算部58は、複数の入力INn+1,INn,…IN1を有し、少なくとも1つの出力OUTを有する。入力INn+1は、AD変換器53の出力に接続され、複数の入力INn,…IN1は、複数の制御電圧データ記憶部56のそれぞれの出力に接続されている。
制御電圧データ記憶部56の縦続個数は、主電圧データ記憶部26の縦続個数と同じであってもよく、異なっていてもよい。以下では、それぞれの縦続個数は同じであるとして説明する。
クロック発生部24は、一定のクロック周期でクロック信号を出力する。クロック信号は、主電圧検出部20のAD変換器23、主電圧データ記憶部26、および第1演算部28に同時に供給される。この例のように、制御電圧検出部50のAD変換器53、制御電圧データ記憶部56、および第2演算部28にクロック信号を供給するためにクロック発生部24とは別に、クロック発生部54を設けてもよい。クロック発生部24,54は、それぞれ異なるクロック周期、クロック幅等を有するようにしてもよく、同一のクロック周期、クロック幅等を有するようにしてもよい。1つのクロック発生部で両方の回路要素にクロック信号を分配するようにしてもよい。
AD変換器23は、クロック周期ごとにコレクタエミッタ間電圧に対応したデジタルデータを含むデータVCEを出力する。最初のクロックパルスが入力されたときに、AD変換器23は、アナログデータを読み込む。次のクロックパルスが入力されたときに、AD変換器23は、デジタルデータに変換されたデータVCE1を出力する。このデータVCE1は、第1演算部28の入力INn+1に入力されるとともに、隣接する主電圧データ記憶部26に入力される。このクロックパルスが入力されたときに、AD変換器23は、同時に新たなアナログ信号を読み込む。さらに次のクロックパルスの入力によって、AD変換器23は、読み込んだ新たなアナログデータをデジタルデータに変換し、データVCE2として、INn+1および隣接する主電圧データ記憶部26に入力する。この主電圧データ記憶部26は、1つ前のデータVCE1を、第1演算部の入力INnおよび隣接する主電圧データ記憶部26に転送する。このようにして、n+1個のデータVCEn+1,VCEn,…VCE1は、第1演算部28の入力INn+1,INn,…IN1にそれぞれ入力される。つまり、第1演算部28の入力INn+1,INn,…IN1には、デジタルデータを含むデータVCEn+1,VCEn,…VCE1がそれぞれ入力される。データVCEn+1,VCEn,…VCE1は、時系列で取得されたデータであり、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデジタルデータである。このようにして、AD変換器23によってサンプリングされたデータVCEは、クロックパルスに同期して主電圧データ記憶部26を左から右へシフトしながら格納される。第1演算部28の入力INn+1,INn,…IN1には、この順に時間的に新しいデータVCEn+1,VCEn,…VCE1がそれぞれ格納される。この時系列のデータは、n+1クロック周期の時系列データであり、データは、クロック周期ずつシフトされ、更新される。
AD変換器53は、サンプリング周期ごとにゲートエミッタ間電圧に対応したデジタル値を有するデータVGEを出力する。出力されたデータVGEは、データVCEの場合と同様に、制御電圧データ記憶部56を介して第2演算部58に転送される。第2演算部58の入力INn+1,INn,…IN1には、この順に時間的に新しいデータVGEn+1,VGEn,…VGE1が格納される。この時系列のデータは、n+1クロック周期の時系列データであり、データは、クロック周期ずつシフトされ、更新される。
判定部70には、スイッチング素子14に対するターンオン指令またはターンオフ指令を表すゲート信号G1が入力される。ターンオン指令とは、スイッチング素子14をターンオンさせ、オン状態を維持させる指令である。たとえば、ターンオン指令をG1=1に対応させることができる。ターンオフ指令とは、スイッチング素子14をターンオフさせ、オフ状態を維持させる指令である。たとえば、ターンオフ指令をG1=0に対応させることができる。ゲート信号G1は、電力変換装置の制御を司る制御部12からたとえば光ファイバを介して送信される駆動信号D1を受信する受信部80によって生成される。駆動信号D1は、0および1の数列からなるシリアルデータである。ゲート信号G1は、シリアルデータのヘッダ部に含まれる。受信部80では、ヘッダ部に含まれるゲート信号G1を抽出して、判定部70に供給する。判定部70は、第1演算部28の出力OUTおよび第2演算部58の出力OUTにそれぞれ接続されている。判定部70は、ゲート信号G1、第1演算部28および第2演算部58の演算結果にもとづいて、駆動部72を介してスイッチング素子14の駆動条件等を設定する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10は、たとえば電力変換装置の制御部12とともに用いられて、スイッチング素子14を適切に制御する。図2に示すように、電力変換装置1は、複数のスイッチング素子制御回路10を備える。電力変換装置1は、スイッチング素子SW1〜SW6と制御部12と平滑コンデンサ16とフィルタ18とを含む。2つのスイッチング素子は、直列に接続され、この直列接続体が3組並列に接続されている。電力変換装置1は、直列接続体の接続ノードからフィルタ18を介して各相の交流電圧を出力する。各スイッチング素子SW1〜SW6は、それぞれに対応するスイッチング素子制御回路10によって駆動される。この例の電力変換装置の場合には、6個のスイッチング素子制御回路10によって、6個のスイッチング素子SW1〜SW6がそれぞれその動作状態を監視され、駆動される。制御部12は、電力変換装置1の出力電圧、出力電流および位相を監視しながら、スイッチング素子制御回路10を介してスイッチング素子SW1〜SW6を、たとえばPWM制御する。PWM制御によって高周波スイッチングされた出力波形は、フィルタ18を介して出力される。フィルタ18は、たとえばローパスフィルタであり、たとえば商用周波数以外の高調波成分を除去する。
電力変換装置1は、たとえば直流電力を交流電力に変換するインバータ装置である。電力変換装置1は、直流電圧の高電圧側を入力する入力端子1aと直流電圧の低電圧側を入力する入力端子1bとを有している。電力変換装置1は、3相交流を出力する出力端子1c,1d,1eを有している。電力変換装置1は、整流装置3と負荷4との間に接続されている。整流装置3は、3相交流電源2に接続されており、交流電圧を整流する。整流装置3は、入力端子1a,1b間に出力が接続されている。整流装置3によって整流された電圧は、電力変換装置1の平滑コンデンサ16によって平滑されて直流電圧に変換される。3相交流電源2は、たとえば風力発電機等の交流電力を発電する発電機である。電力変換装置1は、整流装置3を介さずに、太陽電池パネル等から出力される直流電力を入力するようにしてもよい。負荷4は、出力端子1c,1d,1eに接続されている。負荷4は、たとえば誘導電動機等の交流負荷である。負荷4は、交流系統であってもよい。負荷4が交流系統の場合には、電力変換装置1は、系統連系インバータ装置である。
電力変換装置は、上述の場合に限られない。スイッチング素子の回路構成は、マルチレベル方式等に対応するインバータ回路であってもよく、単相交流の入出力に対応するものであってもよい。また、電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換するものに限らず、直流電力を異なる電圧または電流の直流電力に変換するDC−DCコンバータ等であってもよく、交電力流を直流電力に変換するアクティブ平滑フィルタ等であってもよい。あるいは、電力変換装置は、交流電力を異なる電圧または電流の交流電力に変換するマトリクスコンバータ等であってもよい。
次に、本実施形態のスイッチング素子制御回路10の動作について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、コレクタエミッタ間電圧に対応するデジタルデータを含むデータVCEおよびゲートエミッタ間電圧に対応するデジタルデータを含むデータVGEに対してノイズ除去処理が実行される。スイッチング素子制御回路10では、ノイズ除去されたデータVCE(av),VGE(av)とゲート信号G1にもとづいて、判定部70によってスイッチング素子14の状態を判定する。まず、ノイズ除去処理について説明する。なお、上述のように、データVCEおよびデータVGEの両方に対してノイズ除去処理を行ってもよく、ノイズ発生の状況に応じて、データVCEまたはデータVGEのうち一方に対してノイズ除去処理を行うようにしてもよい。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、第1演算部28および第2演算部58は、取得した電圧値に対応するデータVCE,VGEからノイズを除去するために、積算平均化処理を行う。第1演算部28には、n+1個のサンプリングされたデータVCEn+1,VCEn,…VCE1が格納されている。そして、これらのデータは、クロック周期ごとに、クロック周期分シフトされた時系列データに更新される。第1演算部28は、たとえば式(1)を用いて積算平均化処理を行う。
Figure 2017118792
同様に、第2演算部58では、n+1個のサンプリングされたデータVGEn+1,VGEn,…VGE1が格納されており、サンプリング周期ごとにクロック周期分シフトされた時系列データに更新される。第2演算部58は、たとえば式(2)を用いて積算平均化処理を行う。
Figure 2017118792
式(1)および式(2)によって積算平均化処理が行われたデータは、ノイズ成分が1/√(n+1)に低減される。
したがって、第1演算部28は、ノイズが低減されたデータVCE(av)を出力することができる。第2演算部58は、ノイズが低減されたデータVGE(av)を出力することができる。
次に、スイッチング素子14の状態の判定について説明する。本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、判定部70は、積算平均化処理されてノイズが低減されたデータVCE(av)およびVGE(av)が入力され、ゲート信号G1に応じてスイッチング素子14の状態を判定する。なお、フローチャートでは、VCE(av)およびVGE(av)をそれぞれ単にVCEおよびVGE等と表す。
図3(a)では、ゲート信号G1を1とすることによって、スイッチング素子14に対してターンオン指令が出された場合の動作を示している。図3(a)に示すように、スイッチング素子制御回路10では、ターンオン指令が出された場合には、スイッチング素子14は、4つの状態をとることができる。4つの状態とは、“VGE上昇待ち”、“VCE下降待ち”、“短絡状態”、および“オン状態”である。
ステップST1において、判定部70は、VGE(av)とVGE(ON)とを比較する。VGE(ON)は、スイッチング素子14がオンであり、所定のコレクタ電流を流すことができるゲートエミッタ間電圧であり、スイッチング素子14のしきい値電圧である。VGE(ON)は、あらかじめ設定されており、たとえば判定部70に格納されている。実際のゲートエミッタ間電圧にもとづくデータVCE(av)が設定値VGE(ON)よりも小さいときには、ゲートエミッタ間電圧は、スイッチング素子14をオンさせ、所定のコレクタ電流を流すことができるだけの電圧まで上昇していない。そのため、判定部70は、“VGE上昇待ち”として、VGE(av)がVGE(ON)まで上昇するまで待機する(ステップST2)。つまり、“VGE上昇待ち”とは、スイッチング素子14のゲートエミッタ間電圧が上昇過程にあることを示している。この状態においては、ゲートエミッタ間の寄生容量が充電されることによって、ゲートエミッタ間電圧が上昇している。
VGE(av)がVGE(ON)を超えたときには、次のステップに移行する。ステップST3において、判定部70は、VCE(av)とVCE(ON)とを比較する。VCE(ON)とは、スイッチング素子14がオンであり、所定のコレクタ電流のときのコレクタエミッタ間電圧、たとえばコレクタエミッタ間飽和電圧である。VCE(ON)は、あらかじめ設定され、たとえば判定部70に格納されている。VCE(av)がVCE(ON)よりも大きいときには、判定部70は、スイッチング素子14がオンではないものと判定し、次の判定ステップに移行する。
ゲートエミッタ間電圧が設定値VGE(ON)を超え、スイッチング素子14が設定値VCE(ON)に達していない場合には、判定部70は、スイッチング素子14が異常状態にあるか否かを判定する。ステップST4において、判定部70は、サンプリング時間tと最大オン時間tmasとを比較する。サンプリング時間tとは、そのデータVCE(av)を取得した時間であり、クロック周期を積算することによって求められる。最大オン時間tmasとは、スイッチング素子14がオンし得る最大のオン時間である。最大オン時間tmasは、あらかじめ設定されており、たとえば判定部70に格納されている。サンプリング時間tが最大オン時間tmasよりも短いときには、判定部70は、スイッチング素子14が“VCE下降待ち”であるとして、待機する。つまり、“VCE下降待ち”とは、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧が下降過程にあることを示す。VGEが設定値VGE(ON)を超え、VCEは、設定値VCE(ON)に達するまで、ほぼ一定の傾きで低下する。この状態においては、ゲートコレクタ間の寄生容量が充電される。このときには、スイッチング素子14がミラー効果を生じているので、ゲートエミッタ間電圧は、ほぼ一定の値で推移する。
サンプリング時間tが、最大オン時間tmasよりも長いと判断されたときには、次のステップに移行する。ステップST6では、判定部70は、“短絡状態”であると判定する。判定部70によって、“短絡状態”と判定された場合には、スイッチング素子14が異常な状態にあるものと判断して、判定部70は、即座にスイッチング素子14をスイッチオフとする信号を出力する。“短絡状態”とは、たとえばスイッチング素子制御回路10を搭載した電力変換装置1の負荷4が短絡故障等を生じ、スイッチング素子14に過大な電流が流れていることが推定される状態である。
ステップST3において、VCE(av)がVCE(ON)よりも小さいと判断されたときには、ステップST7において、判定部70は、スイッチング素子14が“オン状態”にあると判定する。
図3(b)では、ゲート信号G1を0とすることによって、スイッチング素子14に対してターンオフ指令が出された場合の動作を示している。図3(b)に示すように、スイッチング素子制御回路10では、ターンオフ指令が出された場合には、スイッチング素子14は、5つの状態をとることができる。5つの状態とは、“VGE下降待ち”、“VCE上昇待ち”、“VCE下降待ち”、“過電圧状態”および“オフ状態”である。
ステップST11において、判定部70は、VGE(av)とVGE(ON)とを比較する。VGE(av)がVGE(ON)よりも大きいときには、スイッチング素子14がオンしており、判定部70は、スイッチング素子14が“VGE下降待ち”と判定し(ステップST12)、VGE(av)がVGE(ON)よりも小さくなるまで待機する。“VGE下降待ち”とは、スイッチング素子14のゲートエミッタ間電圧が下降過程にあることを示す。
VGE(av)がVGE(ON)よりも小さくなったときには、次の判定ステップに移行する。ステップST13において、判定部70は、VCE(av)とVCCとを比較する。VCCとは、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間に印加される電源の電圧の値である。VCCの値は、あらかじめ設定されており、たとえば判定部70に格納されている。スイッチング素子14は、一般に誘導性負荷をスイッチングするので、スイッチング素子14がターンオフするときには、電源電圧VCCを超える電圧がスイッチング素子14のコレクタエミッタ間に印加される。VCE(av)がVCCよりも小さいときには、判定部70は、スイッチング素子14がオフしておらず、“VCE上昇待ち”として、VCE(av)がVCCを超えるまで待機する(ステップST14)。
ステップST13において、VCE(av)がVCCを超えたときには、次の判定ステップに移行する。ステップST15において、判定部70は、VGE(av)とVGE(OFF)とを比較する。VGE(OFF)とは、スイッチング素子14がオフするときのゲート電圧であり、たとえば0V等、VGE(ON)よりも十分に小さい任意の値を有する。VGE(OFF)は、あらかじめ設定されており、たとえば判定部70に格納されている。VGE(av)がVGE(OFF)よりも大きいときには、次の判定ステップに移行する。
ステップST16において、判定部70は、VCE(av)とVCEMAXとを比較する。VCEMAXは、電源電圧VCCよりも高い電圧であり、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間に印加することができる最大定格電圧よりも低い電圧である。たとえば、VCCMAXは、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間の最大定格電圧の0.8倍の電圧である。判定部70は、VGE(av)がVGE(OFF)よりも大きく、VCE(av)がVCEMAXを超えない間は、“VCE下降待ち”であるとして、待機する(ステップST17)。“VCE下降待ち”とは、VCEが下降過程にあることを示す。
ステップST18において、VCE(av)がVCEMAXよりも大きいときには、判定部70は、スイッチング素子14が“過電圧状態”(ステップST18)であるとして、次のステップに移行する。
ステップST18において、ゲート信号G1が1から0に遷移しているが、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間に印加する電圧をハイレベルに変更する。そして、ステップST15に戻って、“過電圧状態”が解消されるまで待機する。本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、スイッチング素子14が誘導性負荷を駆動するために、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間には、寄生容量と共振等を生じてリンギング状の高い電圧が発生することがある。リンギング波形は、高い周波数成分を有するので、放射ノイズ等の原因となることがある。そこで、スイッチング素子制御回路10では、スイッチング素子14の駆動条件を変更することによって、リンギング波形を抑制し、ノイズ発生を低減させることができる。また、“過電圧状態”では、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間に高い電圧が印加され、定格電圧を超過するおそれもあるところ、スイッチング素子14の駆動条件を変更することによって、過大な電圧発生を抑えることができる。
ステップST15において、VGE(av)がVGE(OFF)よりも小さいときには、判定部70は、スイッチング素子14が“オフ状態”にあると判定する。
図4に示すように、図3(a)および図3(b)に示した各状態を状態データXに対応させて、状態データXに応じてスイッチング素子14の9種類の状態を表すことができる。この例では、状態データXは、4ビットの2進数(X3,X2,X1,X0)で表すことができる。各状態データXに対してスイッチング素子14の駆動レベルが設定される。判定部70には、図4のテーブルがあらかじめ格納されている。判定部70は、G1が1か0かによって、ターンオン指令のフローチャート(図3(a))を用いるか、ターンオフ指令のフローチャート(図3(b))を用いるかを決定する。そして、判定部70は、第1演算部28および第2演算部58からそれぞれ出力されたVCE(av),VGE(av)の値を用いてスイッチング素子14の状態を判定する。判定部70は、判定された状態をテーブルから探して、発見した各状態に対するゲートエミッタ間電圧を出力するように駆動部72に駆動電圧指令を送信する。図3(a)および図3(b)のフローチャートにしたがう各状態と駆動電圧指令との対応を以下に示す。
ゲート信号G1がターンオン指令(G1=1)の場合には、4種類の状態は、状態データX=0,6〜8に対応する。ゲート信号G1がターンオフ指令(G1=0)の場合には、5種類の状態は、X=1〜5に対応する。これらの対応関係は、任意に設定することができる。
“VGE上昇待ち”の状態の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にハイレベルの電圧、すなわち+15Vの印加を継続して、スイッチング素子14がオンするまでその状態を維持する(状態データX=6=0110)。
“VCE下降待ち”の状態の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にハイレベルの電圧、すなわち+15Vの印加を継続して、スイッチング素子14がオンするまでその状態を維持する(状態データX=7=0111)。
“短絡状態”と判定された場合には、判定部70は、スイッチング素子14をオフさせるため、ゲートエミッタ間にローレベル、すなわち−15Vを印加してスイッチング動作を停止させる(状態データX=8=1000)。
“オン状態”の場合には、判定部70は、その状態を維持し、ゲート信号G1が1から0に変化するのを待つ(状態データX=0=0000)。
“VGE下降待ち”の場合には、判定部70は、ゲートエミッタ間にローレベルの電圧−15Vの印加を継続するよう動作する(状態データX=1=0001)。
“VCE上昇待ち”の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にローレベルの電圧−15Vの印加を継続する(状態データX=2=0010)。
“VCE下降待ち”の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にローレベルの電圧−15Vを印加する(状態データX=3=0011)。
“過電圧状態”の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にハイレベルの電圧+15Vを印加して、“VCE下降待ち”の状態に遷移するまで待機する(状態データX=4=0100)。スイッチング素子14の過電圧状態とは、寄生的なインダクタンス成分等により過渡的に生ずるものと考えられるため、正常な状態に復帰するまで駆動条件を変更して対処する。
“オフ状態”の場合には、判定部70は、スイッチング素子14のゲートエミッタ間にローレベルの電圧−15Vの印加を継続する(状態データX=5=0101)。
このようにして、判定部70は、ゲート信号G1、VCE(av)およびVGE(av)の条件からスイッチング素子14の状態を判定して、その状態に応じた駆動電圧を出力するように駆動部72に駆動電圧指令を送信する。駆動部72は、状態データXに対応した駆動電圧VGの指令に応じて適切な駆動電圧をスイッチング素子14のゲートエミッタ間に印加する。この例では、スイッチング素子14の状態をターンオン指令時に4種類、ターンオフ指令時に5種類の合計9種類の状態を定義したが、これら9種類の状態にさらに他の状態を定義し、より詳細な状態判定を行うこともできる。また、9種類の状態から一部を削除して、簡易的な状態判定を行うようにしてもよい。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10の作用および効果について説明する。
風力発電機やいわゆるメガソーラ等を入力電源とする大容量整流装置およびインバータ装置等の電力変換装置においては、高電圧、大電流をスイッチング素子によって数kHz〜数10kHzで動作させて電力変換を行う。このような電力スイッチング回路においては、スイッチング素子のスイッチング速度、素子に流れる電流あるいは両端に印加される電圧等が、電力変換装置の効率に大きく影響をおよぼす。電力変換装置の効率を向上させるには、スイッチング素子のスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減させる必要がある。一方で、スイッチング素子のスイッチング速度を速く設定した場合には、電力変換装置から発生する放射ノイズや伝導ノイズが増大し、あるいはスイッチング素子の両端に過大な電圧が発生してスイッチング素子を破損するおそれが高くなる。このように、スイッチング素子の動作にはトレードオフがあるので、スイッチング素子の動作は、最適化されることが必要である。
また、高電圧を扱う電力変換装置の場合には、負荷短絡等の異常を生じたときに、短絡状態と協調して動作するヒューズ等の保護回路を構成することが困難な場合があり、異常時の電力変換装置の確実な保護を実現することが必要である。
スイッチング素子の動作を最適化するためには、スイッチング素子の動作状態を把握することが必要であるが、高速で動作するスイッチング素子の動作状態を監視することは、一般に困難である。スイッチング素子の動作状態を知るために、激しいノイズ環境から各部の電圧値等を正確に取得する必要があるからである。たとえば、このようなスイッチングノイズを除去するために、スイッチング素子の端子間等に過度なローパスフィルタを追加した場合には、制御系の応答遅れ等を生じ、スイッチング素子の動作の最適化をすることが困難であったり、制御系自体が不安定になる等の問題を生じる。
スイッチング素子の電圧等を直接検出することなく、スイッチング素子の動作状態を最適化しようとする技術がいくつか知られている。たとえば、スイッチング素子のコレクタゲート間の電圧変化率にもとづいてゲートへの充放電電流を調整することによって、スイッチング素子の動作状態を最適化する手法が提案されている。しかしながら、コレクタゲート間の電圧変化率を取得する回路は、微分回路である。微分回路を、激しいスイッチングノイズ環境下において、安定に動作させることは、ノイズを助長することになり実現が困難である。また、微分回路を制御系の中に入れて動作させることは、制御系の安定動作の観点から詳細な検討が必要になる。さらに、このような技術を用いてスイッチング素子の動作状態を最適化したとしても、電力変換装置の負荷短絡等の異常状態の検出および保護は困難である。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10は、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧を検出する主電圧検出部20と、主電圧検出部20で検出したコレクタエミッタ電圧に対応するデータをクロック信号に応じてサンプリングして時系列のデータを記憶する複数の主電圧データ記憶部26を備えている。そして、スイッチング素子制御回路10は、主電圧データ記憶部26に格納された時系列のデータを用いて演算処理を行う第1演算部28を備えている。第1演算部28では、取得された時系列のデータにもとづいて積算平均化処理が実行される。
また、スイッチング素子制御回路10は、制御電圧検出部50と、複数の制御電圧データ記憶部56と、第2演算部58と、を備えている。複数の制御電圧データ記憶部56には制御電圧検出部50で検出したゲートエミッタ電圧に対応する時系列のデータが記憶される。第2演算部58では、取得された時系列のデータにもとづいて積算平均化処理を行う。
積算平均化処理では、データ数の平方根の逆数に比例してノイズを低減させることができる。データ数は、主電圧データ記憶部26および制御電圧データ記憶部56の縦続数を増加させることによって容易に増やすことができる。
このように、スイッチング素子制御回路10では、ローパスフィルタ等の時間遅れ要素を用いず、サンプリング取得された時系列のデジタルデータを積算平均化処理することによって行うので、応答遅れの小さいノイズ除去を行うことができる。そして、判定部70では、ノイズ除去されたコレクタエミッタ間電圧およびゲートエミッタ間電圧の適切なデータを用いることができるので、ノイズ電圧によって誤判定を生ずることが少なく、スイッチング素子14の状態を正確に行うことができる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、スイッチング素子14の各端子間電圧にもとづくデータを入力する判定部70を備えている。判定部70では、コレクタエミッタ間電圧およびゲートエミッタ間電圧をそれぞれ所定のしきい値と比較し、比較した結果に応じてスイッチング素子14の状態を判定する。そして、判定部70は、判定された状態にもとづいてスイッチング素子14に適切な駆動条件を与える。したがって、本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、判定部の判定結果にしたがって最適化された条件でスイッチング素子14を駆動することができる。
所定のしきい値には、複数の値を設定することができる。複数のしきい値として、スイッチング素子14のオン電圧VCE(ON)および最大オン時間tmasを含めることができる。これによって、スイッチング素子14が、オン電圧VCE(ON)より大きい電圧、かつ最大オン時間tmasよりも長い時間導通状態であることを検出することができる。この状態を“短絡状態”と定義し、“短絡状態”のときにゲート信号G1を0とし、ゲートブロック状態とすることによって、電力変換装置の動作を強制的に停止させることができる。したがって、本実施形態のスイッチング素子制御回路10では、負荷短絡時等の過大電流に対して、スイッチング素子14を保護し、ひいては電力変換装置の保護をはかることができる。かかる状態を検出したときには、即座にスイッチング素子14を遮断するようにすることができるので、安全にスイッチング素子14、電力変換装置を保護することができる。
複数のしきい値として、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間最大電圧VCEMAXを含めることができる。スイッチング素子14のターンオフにおいて、VCEMAXを超える電圧印加の状態が検出されたときには、ゲートエミッタ間にスイッチング素子14をオンさせる電圧を印加する“過電圧状態”を設定することができる。このような“過電圧状態”を設定することによって、高電圧のリンギング波形の発生を抑制し、スイッチング素子14に対する過電圧印加を防止することができる。
(第2の実施形態)
図5は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図6は、本実施形態のスイッチング素子制御回路の第1演算部の回帰分析部を例示するブロック図である。
図7は、第1演算部において取得した時系列データを回帰分析することによって、将来のデータを推定することを説明するグラフである。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10aは、第1の実施形態のスイッチング素子制御回路10とは、第1演算部28においてノイズ除去処理とは別の演算処理を行う。第1の実施形態のスイッチング素子制御回路10と共通の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。本実施形態のスイッチング素子制御回路10aでは、積算平均化処理によって検出することが困難な急峻なピーク電圧等を検出するために、時系列のデータにもとづいて、現在のデータの推定値およびデータの傾きを求める。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10aは、主電圧検出部20と、主電圧データ記憶部26と、第1演算部28と、制御電圧検出部50と、制御電圧データ記憶部56と、第2演算部58と、判定部70と、を備える。第1演算部28は、回帰分析部29を含む。
第1演算部28および第2演算部58は、第1の実施形態のスイッチング素子制御回路10と同様に取得した時系列のデータを用いて積算平均化処理を行い、ノイズを除去するとともに、時系列のデータを用いて回帰分析を行う。
以下では、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデジタルデータを含むデータVCEに関して説明する。以下では、簡単のために、主電圧データ記憶部26の個数nを4とし、これにAD変換器23の出力を加えた5個のデータVCE1〜VCE5から、データVCEの将来の値を推定する場合について説明する。クロック周期、すなわちサンプリング周期は一定であるとする。
上述の場合において、Savitky-Golay法(Peter A. Gorry, "General Least-Squares smoothing and Differentiation by the Convolution (Savitzky-Golay) Method", Anal. Chem. 1990, 62, pp 570-573を参照。)を用い、5個のデータVCE1〜VCE5から将来の値を推定する最小二乗誤差推定値VCEは、二次関数へのあてはめを適用することによって、以下の式(3)で与えられる。
Figure 2017118792
最小二乗誤差推定値VCEの微係数を表す一階導関数VCE’は、以下の式(4)で与えられる。
Figure 2017118792
上記の式(3)および式(4)で表された演算を実行するために、スイッチング素子制御回路10aの第1演算部28は、回帰分析のための演算を行う回帰分析部29を含む。図6に示すように、回帰分析部29は、2つの演算部30,35を有する。演算部30は、最小二乗誤差推定値VCEを計算する回路であり、演算部35は、一階導関数VCE’を計算するための回路である。回帰分析部29は、5個の入力を有し、2個の出力を有している。5個の入力には、順に新しいサンプリングデータが入力されている。つまり、もっとも左の入力にはVCE5、隣接する入力にはVCE4、さらに隣接する入力にはVCE3、VCE2、VCE1が入力されている。もっとも新しいデータVCE5は、AD変換器23から入力される。VCE4は、VCE5の1つ前のクロックでサンプリングされたデータであり、主電圧データ記憶部26bから入力される。VCE3は、VCE4の1つ前のクロックでサンプリングされたデータであり、主電圧データ記憶部26cから入力される。VCE2は、VCE3の1つ前のクロックでサンプリングされたデータであり、主電圧データ記憶部26dから入力される。VCE1は、VCE2の1つ前のクロックでサンプリングされたデータであり、主電圧データ記憶部26eから入力される。主電圧データ記憶部26b〜26eは、この順に入力から出力に向かって縦続接続されている。
最小二乗推定値の計算のための演算部30は、5個の係数設定部30a〜30eと、5個の乗算器31a〜31eと、4個の加算器32a〜32dと、係数設定部33と、乗算器34と、を含んでいる。係数設定部30a〜30eは、式(1)の分子の各係数に対応した係数を有する。係数設定部30aには、式(1)の分子の第1項の係数69が格納されている。係数設定部30bには、式(1)の分子の第2項の係数2が格納されている。係数設定部30cには、式(1)の分子の第3項の係数−3が格納されている。係数設定部30dには、式(1)の分子の第4項の係数2が格納されている。係数設定部30eには、式(1)の分子の第5項の係数−1が格納されている。乗算器31aは、係数設定部30aに接続され、VCE5が入力されている。乗算器31bは、係数設定部30bに接続され、VCE4が入力されている。乗算器31cは、係数設定部30cに接続され、VCE3が入力されている。乗算器31dは、係数設定部30dに接続され、VCE2が入力されている。乗算器31eは、係数設定部30eに接続され、VCE1が入力されている。乗算器31a〜31eは、式(1)の分子の第1項〜第5項にそれぞれ対応する乗算を行って出力する。加算器32aは、乗算器31aおよび加算器32bに接続されている。加算器32bは、乗算器31bおよび加算器32cに接続されている。加算器32cは、乗算器31cおよび加算器32dに接続されている。加算器32dは、乗算器31dおよび乗算器31eに接続されている。加算器32a〜32dは、乗算器31a〜31eの出力を加算して、式(1)の分子の値を演算する。係数設定部33は、式(1)の分母の係数を設定する。係数設定部33には、1/70が格納されている。乗算器34は、加算器32aおよび係数設定部33に接続されている。乗算器34は、加算器32aが出力する式(1)の分子の値に、式(1)の分母の値を乗じて、最小二乗推定値VCEを出力する。
一階導関数の計算のための演算部35は、5個の係数設定部35a〜35eと、5個の乗算器36a〜36eと、4個の加算器37a〜37dと、係数設定部38と、乗算器39と、を含む。演算部35は、最小二乗推定値の計算のための演算部30と係数設定部に格納された係数が相違し、他は同じである。すなわち、係数設定部35a〜35eは、係数設定部30a〜30eに対応し、乗算器36a〜36eは、乗算器31a〜31eに対応する。また、加算器37a〜37dは、加算器32a〜32dに対応し、係数設定部38および乗算器39は、係数設定部33および乗算器34にそれぞれ対応する。演算部35は、加算器37aが出力する式(2)の分子の値に、式(2)の分母の値を乗じて、一階導関数VCE’を出力する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10aの動作について説明する。
図5および図6に示すように、AD変換器23によって取得された、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に関するデータVCE5〜VCE1は、クロック周期ごとに、AD変換器23から主電圧データ記憶部26b〜26eに転送される。転送されたデータVCE5〜VCE1は、それぞれ回帰分析部29に入力され、回帰分析部29は、式(3)および式(4)にそれぞれしたがう回帰分析のための演算を行う。
このようして求められた最小二乗推定値VCEおよび一階導関数VCE’は、推定誤差が最小二乗となる近似直線Ls=a+b・tのオフセットaおよび傾きbをそれぞれ表している。したがって、これらの値から、将来のVCEの値を予測することができる。図7に示すように、データVCE5〜VCE1は、時系列のデータとしてクロック周期ごとに取得される。図7においては、クロック周期Tck=ti+1−ti(i=1〜7)である。VCE5〜VCE1の5個の測定値から、VCE3の推定値VCEおよびVCEの傾きの推定値VCE’とを求める。この近似直線Lsを用いて、現在の最新のデータVCE5からさらに3クロック周期分将来の推定値VCE8を求めることができる(式(5))。
VCE8=VCE3+5×VCE’ (5)
3クロック周期分将来のデータVCEに限らず、任意のクロック周期分将来のデータを予測することが可能である。また、式(3)〜式(5)において、最小二乗推定のため線形近似を行ったが、近似のための関数の次数等も調整することが可能である。回帰分析の手法についてもSavitky-Golay法に限らず、周知の回帰分析法を用いてもよい。上述では、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデータVCEについて回帰分析を行ったが、同様にして、ゲートエミッタ間電圧に対応するデータVGEについて回帰分析を行い、将来データの推定をすることもできる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10aについて、作用および効果について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10aでは、第1演算部28において取得された複数のデータVCEから将来のデータを予測することができる。そのため、スイッチング素子14のターンオフの過程において、スイッチング素子14のコレクタエミッタ電圧が許容される最大値VCEMAX(図3(b))を超過する前に、判定部70は、超過することを予測することができる。そして、判定部70は、その予測にしたがって、ゲートエミッタ電圧をハイレベルである+15Vとする指令を駆動部72へ出力することができる。このようにして、スイッチング素子制御回路10aでは、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間に過大な電圧を印加することを防止し、スイッチング素子14をより安全に駆動することができる。
また、主電圧検出部20および制御電圧検出部50に用いられているAD変換器23、53は、アナログ信号からデジタル信号に変換して出力するまでにある程度の時間を要する。このような時間遅れを含む制御系によって制御を行うと、制御系の安定度に問題を生ずる場合や、スイッチング素子14等の保護に遅れを生ずるおそれがある。スイッチング素子がターンオフ時に発生させるコレクタエミッタ間の過電圧は、急峻な立上りを有するので、保護動作の遅れ時間を極力低減させることが好ましい。スイッチング素子制御回路10aでは、判定部70において変換時間を考慮した判定のタイミングを設定することができるので、制御系の安定度を向上させ、スイッチング素子14等を確実に保護することが可能になる。
(第3の実施形態)
図8は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図8に示すように、本実施形態のスイッチング素子制御回路10bは、最大電圧検出部41をさらに備える。最大電圧検出部41は、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデジタルデータVCEの最大電圧を検出する。最大電圧検出部41は、比較選択部42と、マルチプレクサ43と、インバータ44と、電圧データ記憶部45と、を含む。スイッチング素子制御回路10bは、送信部82をさらに備える。
比較選択部42は、第1演算部28の出力および電圧データ記憶部45の出力に接続されている。比較選択部42は、第1演算部28の出力の値および電圧データ記憶部45の出力の値にもとづいて、選択信号を出力する。
マルチプレクサ43は、第1演算部28の出力および電圧データ記憶部45の出力が接続されている。マルチプレクサ43の出力は、電圧データ記憶部45に接続されている。マルチプレクサ43は、比較選択部42が出力する選択信号にしたがって、第1演算部28の出力のデータまたは電圧データ記憶部45の出力のデータのうちいずれか一方を出力する。
インバータ44は、受信部80と電圧データ記憶部45との間に接続されている。インバータ44は、ゲート信号G1の反転信号を出力する。
電圧データ記憶部45は、マルチプレクサ43の出力に接続されている。電圧データ記憶部45の出力は、マルチプレクサ43および送信部82に接続されている。電圧データ記憶部45は、一旦記憶されたデータを消去するクリア信号を入力するCLR端子を有している。CLR端子は、この例ではローアクティブでインバータ44の出力に接続されている。電圧データ記憶部45は、たとえばデュアルポートメモリである。
送信部82は、電圧データ記憶部45の出力および判定部70の出力に接続されている。送信部82は、光ファイバ等を介して制御部12に接続されている。光ファイバを用いてデータを送信する場合には、送信部82には、電気信号を光信号に変換する光電変換のためのLED等およびその駆動回路等が含まれる。送信部82は、電圧データ記憶部45を用いて抽出されたVCEの最大値および判定部70において判定されたスイッチング素子14の状態を制御部12に送信データR1として送信する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10bの動作について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10bでは、ゲート信号G1が1のときには電圧データ記憶部45に記憶されたデータは、CLR端子に入力されるクリア信号によって消去される。ゲート信号G1が0のときには、電圧データ記憶部45には、クロック信号によってマルチプレクサ43から出力されるデータが格納される。つまり、電圧データ記憶部45は、ターンオン指令のとき(G1=1)には、データを保持せず、ターンオフ指令のとき(G1=0)にデータVCEを入力し、出力する。電圧データ記憶部45は、クロック周期ごとにマルチプレクサ43からの出力を入力し、マルチプレクサ43の一方の入力に現在のデータを入力する。マルチプレクサ43は、他方の入力に第1演算部28から次クロックに対応するデータが入力されている。電圧データ記憶部45の出力および第1演算部28に出力は、比較選択部42にも同時に入力されている。比較選択部42は、第1演算部28の出力の値および電圧データ記憶部45の出力の値のうち大きい値を選択する選択信号をマルチプレクサ43に入力する。マルチプレクサ43は、選択信号によって第1演算部28の出力および電圧データ記憶部45の出力いずれか大きい方を出力する。したがって、電圧データ記憶部45には、クロック周期ごとにより大きい値を有するデータVCEが格納されている。より大きいデータVCEが検出されるたびに、電圧データ記憶部45に格納されるデータは更新される。
スイッチング素子制御回路10bは、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧の最大値に対応するデータVCE(max)を検出して制御部12に送信する。そのため、制御部12は、電力変換装置1の入出力条件や周囲温度等の環境条件等によって変化するVCE(max)の値を取得することができる。送信部82は、たとえば検出されたVCE(max)の値を、スイッチング素子14のスイッチング周期ごとに制御部12へ送信することができる。制御部12への送信のタイミングは、たとえばスイッチング素子14のターン過程のいずれかのタイミングとすることができる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路の作用および効果について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10bは、ターンオフ指令時に、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデータVCEの最大値を検出する最大電圧検出部41を備えている。そのため、スイッチング素子制御回路10bは、コレクタエミッタ間に印加される最大電圧を検出することができる。スイッチング素子制御回路10bでは、検出された最大電圧VCE(max)を用いて、スイッチング素子のピーク電圧を監視することができる。また、スイッチング素子制御回路10bは、最大電圧検出部41の検出値を制御部12へ送信する送信部82をさらに備える。そのため、制御部12において、ターンオフサイクルごとに検出された最大電圧VCE(max)を監視し、VCE(max)にもとづいて故障診断等を行い、未然に電力変換装置の故障を防止することができる。図2に示したように、電力変換装置1では、多数のスイッチング素子がそれぞれスイッチング動作をしている。本実施形態のスイッチング素子制御回路10bでは、それぞれのスイッチング素子の動作状態を監視することができる。スイッチング素子のコレクタエミッタ間に発生する過大電圧は、基板上の配線の引き回し等により生ずる寄生インダクタンス等にも影響される。複数のスイッチング素子のコレクタエミッタ間電圧の発生状況を取得することによって、回路配置の修正等を行うことができ、電力変換装置の品質向上に役立てることができる。
(第4の実施形態)
図9は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10cでは、スイッチング素子14のミラー容量を充放電しているときのゲートエミッタ間電圧であるミラー電圧データを取得することができる。図9に示すように、スイッチング素子制御回路10cは、ミラー電圧検出部61をさらに備える。ミラー電圧検出部61は、AND62と、電圧データ記憶部63とを含む。
AND62は、クロック発生部54および判定部70の出力Xnに接続されている。判定部70の出力Xnは、ミラー期間の間だけ1に設定され、それ以外の期間には0に設定される。すなわち、ターンオンの場合には(G1=1)、VGE(av)がVGE(ON)よりも大きく、VCE(av)がVCE(ON)よりも大きいときに1が設定され、それ以外のときに0が設定される。ターンオフの場合には(G1=0)、VCE(av)がVCE(ON)よりも小さく、VGE(av)がVGE(ON)よりも小さいときに1が設定され、それ以外のときに0が設定される。VCE(av)およびVGE(av)は、ノイズ低減処理がされたデータVCEおよびデータVGEである。VGE(ON)は、図3(a)および図3(b)で用いたゲートエミッタ間電圧のしきい値電圧であり、VCE(ON)は、図3(a)で用いたコレクタエミッタ間飽和電圧である。つまり、AND62は、G1=1かつVGE(av)≧VGEかつVCE(av)≧VCE(ON)の場合、および、G1=0かつVCE(av)≦VCE(ON)かつVGE(av)≦VGE(ON)の場合に、クロックパルスを電圧データ記憶部63に供給する。
電圧データ記憶部63は、第2演算部58の出力に接続されている。電圧データ記憶部63の出力は、送信部82に接続されている。電圧データ記憶部63は、たとえばデュアルポートメモリである。電圧データ記憶部63は、AND62が出力するクロック信号に応じて第2演算部58の出力のデータVGE(av)を送信部82に転送する。
上述では、ミラー効果時の検出のためのしきい値として、判定部70においてスイッチング素子14の状態判定のために用いるVGE(ON)およびVCE(ON)を用いたが、これとは別に異なる値のしきい値をどちらか一方または両方に用いるようにしてもよい。これらのしきい値は、適切な値を任意に設定することができる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10cの動作について説明する。
電圧データ記憶部63は、クロックパルスが入力されたときに、第1演算部58の出力からデータを読み込み、現在格納しているデータを送信部82に転送する。電圧データ記憶部63に入力されるクロックパルスは、スイッチング素子14の状態によって、クロック発生部54から入力される。クロックパルスは、AND62によって、G=1かつVGE(av)≧VGE(ON)かつVCE(av)≦VCE(ON)の場合に電圧データ記憶部63に入力される。また、G1=0かつVCE(av)≧VCE(ON)かつVGE(av)≦VGE(ON)の場合に、クロックパルスがAND62を介して電圧データ記憶部63に入力される。ゲートエミッタ間電圧がしきい値電圧以上であり、かつコレクタエミッタ間電圧が飽和電圧よりも大きい場合には、ゲートエミッタ間電圧は、ほぼ一定の値を示し、この期間がミラー容量を充電または放電する期間であると考えることができる。検出されたVGE(av)は、ミラー効果の終了時のクロックパルスに同期して送信部82に転送される。送信部82は、たとえば、VGE(av)の取得期間中の平均値を算出して、取得期間の終期に制御部12へデータを送信する。電圧データ記憶部63にレジスタを含むようにして、送信部82にデータを転送する前に、電圧データ記憶部63において、ミラー効果の期間のVGE(av)の平均値を算出し、算出された平均値を送信部82に転送するようにしてもよい。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10cの作用および効果について説明する。
スイッチング素子14のミラー容量を充電および放電しているときのゲートエミッタ間電圧は、ターンオン時およびターンオフ時のコレクタ電流にそれぞれ密接な関係にある。そこで、本実施形態のスイッチング素子制御回路10cでは、ミラー容量の充電時および放電時のVGEを検出する。本実施形態のスイッチング素子制御回路10cは、ミラー効果時電圧検出部61を備える。ミラー効果時電圧検出部61は、スイッチング素子14がターンオン指令時にVGE(av)≧VCE(ON)かつVCE(av)≦VCE(ON)を満たすときのVGEを取得することができる。また、ミラー効果時電圧検出部61は、ターンオフ指令時にVCE(av)≧VCE(ON)かつVGE(av)≦VGE(ON)を満たす状態のときのVGEを取得することができる。この条件を満たすときのゲートエミッタ間電圧は、ほぼ一定であり、コレクタエミッタ間電圧は、ほぼ一定の傾きで下降または上昇する。このときのVGE(av)の取得期間中の平均値は、ミラー容量の充電時および放電時のゲートエミッタ間電圧に対応する。本実施形態のスイッチング素子制御回路10は、送信部82を備えるので、上述で取得されたミラー効果時のゲートエミッタ間電圧に対応するデータを送信部82を介して制御部12へ送信することができる。制御部12では、ミラー効果時のデータを用いて、スイッチング素子14のターンオン時およびターンオフ時のコレクタ電流を推定することができる。また、送信部82は、ミラー効果時のゲートエミッタ間電圧の値に対応するデータとともに、ミラー効果時の期間のデータも制御部12へ送信することができる。制御部12では、たとえば、検出されたコレクタ電流のデータを収集して、特定の条件の場合の伝導ノイズや輻射ノイズとの相関関係を取得する等に利用することもできる。
(第5の実施形態)
図10は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図10に示すように、本実施形態のスイッチング素子制御回路10dは、電圧上昇率検出部83をさらに備える。電圧上昇率検出部83は、2つの比較部84,85と、2つのインバータ86,88と、AND87と、カウンタ89と、を含む。電圧上昇率検出部83は、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧に対応するデータVCEの時間に対する変化率を検出する。
比較部84,85は、それぞれ第1演算部28の出力が接続されている。比較部84,85には、それぞれ異なるVCEの設定値VCEa,VCEbがあらかじめ格納されている。設定値VCEaは、設定値VCEbよりも小さい値に設定されている。比較部84の出力は、3入力のAND87の1つの入力に接続され、比較部85の出力は、インバータ86を介してAND87の他の入力に接続されている。AND87の残りの入力にはクロック発生部24の出力が接続されている。
カウンタ89は、AND87の出力がクロック入力に接続されている。カウンタ89の出力は、送信部82に接続されている。カウンタ89は、格納しているデータを消去するクリア端子を有しており、クリア端子には、インバータ88を介して受信部80が接続されている。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10dの動作について説明する。
第1演算部28から出力されたデータVCEは、2つの比較部84,85でそれぞれの設定値VCEa,VCEbと比較される。データVCEがVCEaよりも小さいときには、AND87は、0(ローレベル)を出力する。データVCEがVCEaよりも大きく、VCEbよりも小さいときには、AND87は、1(ハイレベル)を出力する。データVCEがVCEbよりも大きいときには、AND87は、0を出力する。つまり、比較部84,85、インバータ86およびAND87は、2つのしきい値VCEa,VCEbを有するウインドウコンパレータである。AND87は、入力されるデータVCEがウインドウ(VCEa〜VCEb)の範囲内の場合には、1を出力し、ウインドウ範囲外の場合には、0を出力する。カウンタ89は、ゲート信号G1が1のときには、内部のデータは、クリアされており0である。ゲート信号G1が0のときには、カウンタ動作を行う。ゲート信号G1が0のときとは、スイッチング素子14がターンオフ過程であることを示している。AND87は、VCEがVCEaとVCEbとの間の値であるときに、クロック信号をカウンタ89に供給する。したがって、カウンタ89は、VCEがVCEaを超えた時からVCEbを超える直前までカウントアップ動作をする。カウントアップされた時間に関するデータが送信部82に送られる。カウンタ動作期間のコレクタエミッタ間電圧の差より、コレクタエミッタ間電圧の時間あたりの上昇率が検出される。データVCEには、第1演算部28によって平均化処理されたデータを用い、さらに回帰分析等により推定されたデータを用いてもよい。また、スイッチング素子14のゲートエミッタ間電圧に関するデータVGEについてもVCEの場合と同様に、電圧上昇率検出を行うことができる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10dの作用および効果について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10dは、電圧上昇率検出部83を備えているので、スイッチング素子14のターンオフ時のコレクタエミッタ間電圧の立上り時間を検出することができる。また、スイッチング素子制御回路10dは、送信部82をさらに備えているので、電圧上昇率検出部83によって検出されたデータを制御部12に送信して、制御部12は、送信されたデータにもとづいてスイッチング素子14のスイッチングのタイミング等を適切に設定することができる。
(第6の実施形態)
図11は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図12は、本実施形態のスイッチング素子制御回路の受信部を例示するブロック図である。
図11に示すように、本実施形態のスイッチング素子制御回路10eは、受信部90と、送信部92とをさらに備える。本実施形態のスイッチング素子制御回路10eの例では、電圧上昇率検出部83を有しており、第5の実施形態のスイッチング素子制御回路10dと、受信部90および送信部92を除いて同一である。同一な要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
スイッチング素子制御回路10eの受信部90は、光ファイバ等を介して制御部12に接続されている。受信部90の出力は、判定部70に接続されている。また、この例では、受信部90は、電圧上昇率検出部83の2つの比較部84,85に接続され、比較部84,85に2つのしきい値電圧VCEa,VCEbを供給する。受信部90は、制御部12からエンコードされたデータを受信し、そのデータをデコードして電圧上昇率検出部83に供給する。
図12に示すように、受信部90は、2つのシリアルパラレル変換部100,102と、デコーダ部101と、10ビット8ビット変換部103と、マルチプレクサ104と、2つのレジスタ105,106と、PLL107とを含んでいる。シリアルパラレル変換部100,102には、それぞれ多重化処理されたシリアルデータの入力信号MUXIN1が入力される。一方のシリアルパラレル変換部100の出力は、デコーダ部101に接続されている。デコーダ部101は、ゲート信号G1を出力する。他方のシリアルパラレル変換部102は、10ビット8ビット変換部103を介してマルチプレクサ104に接続されている。マルチプレクサ104の2つの出力は、2つのレジスタ105,106にそれぞれ接続されている。レジスタ105は、しきい値VCEaを出力し、フリップフロップ106は、しきい値VCEbを出力する。PLL107は、入力信号MUXINからクロック信号RCLKを再生し、クロック信号RCLKを上述の各ブロックに分配する。
この例では、入力信号MUXINには、クロック信号RCLK、ゲート信号G1、およびコレクタエミッタ間電圧に対応するデータVCEに関する2つのしきい値VCEa,VCEbのデータが多重化されている。この入力信号MUXINは、制御部12から送信される。入力信号MUXINのシリアルデータは、ヘッダ部と本体部とを含んでいる。一方のシリアルパラレル変換部100は、送られてくるシリアルデータのうちヘッダ部を受信して、パラレル信号に変換する。ヘッダ部のビット長を、たとえば2ビットと短く設定することによって、ヘッダの受信およびデコードに必要な時間を短くすることができる。そのため、シリアルパラレル変換部100は、大きな遅延が許されないゲート信号G1を含むヘッダ部の処理に用いることができる。
他方のシリアルパラレル変換部102は、シリアルデータのうち本体部のデータの変換に用いられる。送信されるシリアルデータのビット長が長くなる場合に、データに0の連続や1の連続を含むと、クロック信号の再生が正常に行われないことが考えられる。そのため、送信データは、送信側において、あらかじめ8ビット10ビット変換がなされている。このような8ビット10ビット変換されたデータを元のデータに復元するためにシリアルパラレル変換部102の出力には、10ビット8ビット変換部103が接続されている。デコーダ部101は、受信したシリアルデータに含まれる識別ビットを抽出して、識別ビットに応じてそれぞれレジスタ105,106にデータを格納する。
入力信号MUXINのクロック信号RCLKは、PLL107によって再生され、信号受信用のクロック信号RCLKとして、受信部90内で用いられる。
この例では、スイッチング素子制御回路10eの送信部92は、第1演算部28の出力、第2演算部58の出力、および電圧上昇率検出部83の出力に接続されている。送信部92は、第1演算部28の出力から平均化処理されたコレクタエミッタ間電圧に対応するデータVCE(av)を入力する。送信部92は、第2演算部58の出力から平均化処理されたゲートエミッタ間電圧に対応するデータVGE(av)を入力する。送信部92は、電圧上昇率検出部83の出力からコレクタエミッタ間電圧の立上り時間のデータを入力する。送信部92は、これらのデータをエンコードして出力する。図示しないが、送信部92は、所定の符号化処理を行うエンコーダと、制御部12との接続線を駆動するドライバとを含んでいる。スイッチング素子制御回路10eと制御部12との接続が光ファイバの場合には、ドライバには、電気信号を光信号に変換するLED等の光電変換素子と光電変換素子用の駆動回路が含まれる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eの動作について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eでは、受信部90が制御部12からのシリアルデータを受信する。受信されたシリアルデータには、ゲート信号G1、しきい値VCEa,VCEb等が多重化されているので、受信部90は、これらをデコードする。デコードされたゲート信号G1は、判定部70に入力されて、スイッチング素子14の状態を判定し、スイッチング素子14をその状態にもとづいて適切に駆動するために用いられる。ゲート信号G1は、上述したようにシリアルデータのヘッダ部に含まれており、スイッチング素子14をほとんど遅れなく駆動する信号を生成することができる。シリアルデータの本体部からデコードされたしきい値VCEa,VCEbは、比較部47,48にそれぞれ入力される。デコードされたしきい値VCEa,VCEbは、それ以前に用いられていたしきい値を上書きする。つまり、スイッチング素子制御回路10eでは、あらかじめ設定されているしきい値をシリアルデータを受信してデコードすることによって新たなしきい値に更新することができる。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eでは、送信部92が第1演算部28の出力データVCE(av)、第2演算部58の出力データVGE(av)、および電圧上昇率検出部83の出力データを適宜制御部12に送信する。制御部12は、たとえば送信されてきたデータおよび負荷条件等にもとづいて、ゲート信号G1のタイミングを調整等を行うことができる。
なお、上述では、電圧上昇率検出部83の出力データ、およびしきい値データを送受信のデータに含ませる場合について説明したが、制御部12とのデータ交換は、これらに限らない。たとえば、入力信号MUXINに、スイッチング素子14の状態を判定するための各しきい値、VGE(ON)、VCE(ON)、tmas、VCC、VGE(OFF)およびVCEMAXのすべて、または一部を含ませるようにしてもよい(図3(a)、図3(b))。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eの作用および効果について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eでは、受信部90と、送信部92とを備えているので、制御部12との相互の通信を行うことができる。そのため、制御部12では、スイッチング素子14の状態を認識し、その状態に応じたデータを通信データに含ませることができる。送受信データには、スイッチング素子14の動作状態に応じたデータを含ませることができるので、スイッチング素子14のコレクタエミッタ間電圧やゲートエミッタ間電圧に応じた最適な駆動条件を設定し、スイッチング素子14を駆動することができる。
(第7の実施形態)
図13は、本実施形態に係るスイッチング素子制御回路を例示するブロック図である。
図14は、本実施形態のスイッチング素子制御回路の遅延時間調整部を例示するブロック図である。
図13に示すように、本実施形態のスイッチング素子制御回路10fは、遅延時間調整部120をさらに備える。遅延時間調整部120は、受信部90の出力に接続されており、ゲート信号G1が入力される。また、遅延時間調整部120は、受信部90からオン時間遅延データΔtonおよびオフ時間遅延データΔtoffが供給される。遅延時間調整部120の出力は、判定部70に接続されている。遅延時間調整部120は、調整されたゲート信号G(dly)1を判定部70に供給する。
図14に示すように、遅延時間調整部120は、2つのDフリップフロップ121,126と、3つのRSフリップフロップ123,129,132と、2つのダウンカウンタ125,131と、クロック発生部133と、インバータ127と、4つのAND122,124,128,130とを含む。
Dフリップフロップ121のD入力には、判定部70の出力が接続され、ゲート信号G1が入力される。AND122の2つの入力のそれぞれには、Dフリップフロップ121のD入力およびDフリップフロップ121の反転出力が接続されている。AND122の出力は、RSフリップフロップ123のS入力およびダウンカウンタ125のLD入力に接続されている。RSフリップフロップ123のR入力には、ダウンカウンタ125のキャリ出力CYが接続されている。AND124の2つの入力には、RSフリップフロップ123の出力およびクロック発生部133が接続されている。AND124の出力は、ダウンカウンタ125のリセット入力に接続されている。ダウンカウンタ125の入力には、受信部90からオン時間遅延データΔtonが入力される。ダウンカウンタ125のキャリ出力CYは、RSフリップフロップ132のS入力に接続されている。Dフリップフロップ121、RSフリップフロップ123、ダウンカウンタ125、およびAND122,124は、ゲート信号G1が1のとき、すなわちスイッチング素子14がターンオンサイクルのときの遅延時間を設定する。
Dフリップフロップ126のD入力には、判定部70の出力が接続され、ゲート信号G1が入力される。AND128の一方の入力にはインバータ127を介してDフリップフロップ126のD入力が接続され、および他方の入力にはDフリップフロップ126の出力が接続されている。AND128の出力は、RSフリップフロップ129のS入力およびダウンカウンタ131のLD入力に接続されている。RSフリップフロップ129のR入力には、ダウンカウンタ131のキャリ出力CYが接続されている。AND130の2つの入力には、RSフリップフロップ129の出力およびクロック発生部133が接続されている。ダウンカウンタ131の入力には、受信部90からオフ時間遅延データΔtoffが入力される。ダウンカウンタ131のキャリ出力CYは、RSフリップフロップ132のR入力に接続されている。Dフリップフロップ126、RSフリップフロップ129、ダウンカウンタ131、インバータ127、およびAND127,130は、ゲート信号G1が0のとき、すなわちスイッチング素子14がターンオフサイクルのときの遅延時間を設定する。
クロック発生部133の出力は、Dフリップフロップ121,126、RSフリップフロップ123,129,132に接続され、クロック信号が供給される。ダウンカウンタ125には、AND124を介してクロック信号が供給される。ダウンカウンタ131には、AND130を介してクロック信号が供給される。
遅延時間調整部120は、ゲート信号G1の立上りをDフリップフロップ121で検出して、フリップフロップ123をセットする。そのため、クロック信号は、AND124を介してダウンカウンタ125に供給される。ダウンカウンタ125は、入力されているオン遅延時間Δtonの値がゼロに等しくなるまでダウンカウントし、キャリ出力CYから1を出力する。キャリ出力CYによって、RSフリップフロップ132は、セットされる。このようにして、遅延時間調整部120では、ゲート信号G1の立上りからΔtonだけ遅延した信号が生成される。
遅延時間調整部120は、ゲート信号G1の立下りをDフリップフロップ126で検出し、フリップフロップ129をセットする。RSフリップフロップ129の出力は1となるので、AND130は、クロック信号をダウンカウンタ131に供給する。ダウンカウンタ131には、オフ時遅延時間Δtoffが設定されているので、クロック信号にしたがってΔtoffが0になるまでダウンカウントする。ダウンカウンタ131の出力が0になると、キャリ出力CYは1を出力するので、RSフリップフロップ129がリセットされるとともに、RSフリップフロップ132の出力が0になる。このようにして、遅延時間調整部120では、ゲート信号G1の立下りからΔtoffだけ遅延した信号が生成される。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10fの動作について説明する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10fでは、受信部90において、制御部から送信されたシリアルデータをデコードし、ゲート信号G1、オン時遅延時間Δtonおよびオフ時遅延時間Δtoffが抽出される。シリアルデータから抽出されたゲート信号G1、オン時遅延時間Δton、およびオフ時遅延時間Δtoffは、遅延時間調整部120に入力される。遅延時間調整部120において、ゲート信号G1は、立上りがΔtonだけ遅延し、立下りがΔtoffだけ遅延した波形に変換される。変換された信号波形は、調整されたゲート信号G(dly)1として、遅延時間調整部120から出力される。判定部70は、他の実施形態のスイッチング素子制御回路のゲート信号に代えて、調整されたゲート信号G(dly)1を用いて、スイッチング素子14を駆動し、スイッチング素子14の状態の判定を行う。なお、受信されるシリアルデータに含まれるオン時遅延時間Δtonおよびオフ時遅延時間Δtoffは、たとえば制御部12において設定される。たとえば制御部12は、他のスイッチング素子を制御している他のスイッチング素子制御回路を含めてオン時間およびオフ時間のデータを収集する。制御部12は、これらのデータからもっとも遅いオン時間およびオフ時間のデータを探して、オン時遅延時間Δtonおよびオフ時遅延時間Δtoffを決定する。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10fの作用および効果について説明する。
複数のスイッチング素子を並列に接続し、または直列に接続し、あるいは並列接続と直列接続とを混在させて用いる場合には、それぞれのスイッチング素子のスイッチングのタイミングをそろえて動作させる必要がある。複数のスイッチング素子を並列に接続することによって大電流をスイッチングする場合には、それぞれのスイッチング素子のスイッチング速度に相違があると、一部のスイッチング素子に大きな電流が集中して流れることが考えられる。具体的には、一部のスイッチング素子が速くターンオンした場合には、まだオンしていないスイッチング素子の電流を、ターンオンしたスイッチング素子が分担するので、速いスイッチング速度を有するスイッチング素子に過大な電流が流れる。一部のスイッチング素子が速くターンオフした場合には、まだオフしていないスイッチング素子に、すでにターンオフしたスイッチング素子の電流が流れるので、オフしていないスイッチング素子に電流集中する。
複数のスイッチング素子を直列に接続して、高耐圧化をする場合にも、それぞれのスイッチング素子のスイッチング速度に相違があると、一部のスイッチング素子に高い電圧が印加される。具体的には、一部のスイッチング素子が速くターンオンした場合には、まだオンしていないスイッチング素子の両端に過大な電圧が印加される。一部のスイッチング素子が速くターンオフした場合には、まだオフしていないスイッチング素子で分担する電圧が、すでにターンオフしたスイッチング素子の両端に印加される。
本実施形態のスイッチング素子制御回路10eでは、オン時遅延時間Δtonおよびオフ時遅延時間Δtoffが設定されており、オン時遅延時間Δtonおよびオフ時遅延時間Δtoffは、もっともスイッチング速度が遅いスイッチング素子にもとづいて決定される。そのため、複数のスイッチング素子は、もっとも遅いスイッチング速度を有するスイッチング素子に同期してスイッチング動作を行うことができる。したがって、一部のスイッチング素子に電流集中や過大電圧の印加を生ずることなく、複数のスイッチング素子を安全に用いることができる。
上述した各実施形態のスイッチング素子制御回路に関しては、他の実施形態のスイッチング素子制御回路と複合させることができる。たとえば、ミラー効果によってほぼ一定となったゲートエミッタ間電圧の値を検出し、そのときのコレクタ電流の値を推定することも合わせて行うことができる。
上述した各実施形態のスイッチング素子制御回路は、各構成要素を組み合わせることによって構成することができ、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)等を用いて、1つまたは数個程度の半導体素子によって構成することもできる。FPGA等のプログラマブルデバイスには、メモリブロックが設けられているので、上述した各しきい値(VGE(ON)、VCE(ON)、VCEa、VCEb等)や回帰分析のための係数等を、あらかじめ、または制御部12等から転送して格納することができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。たとえば、スイッチング素子制御回路および電力変換装置などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述したスイッチング素子制御回路および電力変換装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得るすべてのスイッチング素子制御回路および電力変換装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 電力変換装置、2 3相交流電源、3 整流装置、4 負荷、10,10a〜10f スイッチング素子制御回路、12 制御部、14 スイッチング素子、15 フライホイールダイオード、16 平滑コンデンサ、18 フィルタ、20 主電圧検出部、21 分圧回路、22 電圧増幅回路、23 AD変換器、24 クロック発生部、26 主電圧データ記憶部、28 第1演算部、29 回帰分析部、30 演算部、30a〜30e,33 係数設定部、31a〜31e,34 乗算器、32a〜32d 加算器、35 演算部、35a〜35e 係数設定部、36a〜36e,39 乗算器、37a〜37d 加算器、41 最大電圧検出部、42 比較選択部、43 マルチプレクサ、44 インバータ、45 電圧データ記憶部、50 制御電圧検出部、51 分圧回路、52 電圧増幅器、53 AD変換器、54 クロック発生部、56 制御電圧データ記憶部、58 第2演算部、61 ミラー効果時電圧検出部、62 AND、63 電圧データ記憶部、70 判定部、72 駆動部、73 電流バッファ、74 抵抗器、80 受信部、82 送信部、83 電圧上昇率検出部、84,85 比較部、86,88 インバータ、87 AND、89 カウンタ、90 受信部、92 送信部、100,102 シリアルパラレル変換部、101 デコーダ部、103 10ビット8ビット変換部、104 マルチプレクサ、105,106 レジスタ、107 PLL、120 遅延時間調整部、121,126 Dフリップフロップ、122,124,128,130 AND、123,129,132 RSフリップフロップ、125,131 ダウンカウンタ、127 インバータ、133 クロック発生部

Claims (13)

  1. スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路であって、
    前記スイッチング素子の主電圧を検出する第1検出部と、
    前記第1検出部に接続され、クロックのタイミングで前記第1検出部から転送された前記主電圧のデータを記憶する第1データ記憶部と、
    前記第1データ記憶部の出力に接続され、前記タイミングの次のタイミングで前記第1データ記憶部から転送された前記主電圧のデータを記憶する第2データ記憶部と、
    前記第1データ記憶部および前記第2データ記憶部に記憶された複数の前記主電圧のデータを含む第1時系列データのノイズ除去のための演算を行う第1演算部と、
    前記スイッチング素子の制御電圧を検出する第2検出部と、
    前記第2検出部に接続され、前記タイミングで前記第2検出部から転送された前記制御電圧のデータを記憶する第3データ記憶部と、
    前記第3データ記憶部の出力に接続され、前記次のタイミングで前記第3データ記憶部から転送された前記制御電圧のデータを記憶する第4データ記憶部と、
    前記第3データ記憶部および前記第4データ記憶部に記憶された複数の前記制御電圧のデータを含む第2時系列データのノイズ除去のための演算を行う第2演算部と、
    前記スイッチング素子に対するターンオンまたはターンオフのための指令を表す第1信号、前記第1演算部の演算結果および前記第2演算部の演算結果にもとづいて、前記スイッチング素子の状態を判定し、前記スイッチング素子を駆動する第2信号を生成する判定部と、
    を備えた制御回路。
  2. 前記第1演算部および前記第2演算部におけるノイズ除去のための演算は、積算平均化処理を含む請求項1記載の制御回路。
  3. 前記判定部は、複数のしきい値を有し、前記しきい値のそれぞれと前記第1演算部の演算結果および前記第2演算部の演算結果とを比較して、前記スイッチング素子の状態を判定する請求項1または2に記載の制御回路。
  4. 前記複数のしきい値は、前記スイッチング素子のターンオンを表し前記制御電圧に関する第1しきい値と、前記スイッチング素子のターンオンを表し前記主電圧に関する第2しきい値と、前記スイッチング素子のターンオフを表し前記主電圧に関する第3しきい値と、前記スイッチング素子のターンオフを表し前記制御電圧に関する第4しきい値とを含み、
    前記判定部は、前記第1信号がターンオンのための指令の場合には、前記第1しきい値と前記第2演算部の演算結果とを比較し、前記第2しきい値と前記第1演算部の演算結果とを比較して、前記スイッチング素子のオン状態を判定し、
    前記第1信号がターンオフのための指令の場合には、前記第1しきい値と前記第2演算部の演算結果とを比較し、前記第3しきい値と前記第1演算部の演算結果とを比較し、前記第4しきい値と前記第2演算部の演算結果とを比較して、前記スイッチング素子のオフ状態を判定する請求項3記載の制御回路。
  5. 前記判定部は、最大オン時間を表す第5しきい値を有し、前記第1信号がターンオンのための指令の場合に、前記第5しきい値を超えた時に前記第2しきい値と前記第1演算部の演算結果とを比較したときには、短絡状態を判定する請求項4記載の制御回路。
  6. 前記判定部は、前記主電圧に対する過電圧を表す第6しきい値を有し、前記第6しきい値と前記第1演算部の演算結果とを比較し、
    前記第2信号によって、前記第1演算部の演算結果が前記第6しきい値を超えたときには、前記スイッチング素子をターンオンさせる請求項4記載の制御回路。
  7. 前記第1演算部は、前記第1時系列データを用いて回帰分析演算を行う請求項1記載の制御回路。
  8. 前記第1信号を含むシリアルデータを外部から受信し、前記シリアルデータから前記第1信号を抽出する受信部をさらに備えた請求項1〜7のいずれか1つに記載の制御回路。
  9. 前記第1時系列データから最大値を検出する最大値検出部と、
    前記最大値を外部に送信する送信部と、
    をさらに備えた請求項8記載の制御回路。
  10. 前記第2時系列データから前記スイッチング素子のミラー容量を充電または放電する場合の前記制御電圧の値を検出する電圧検出部と、
    前記値を外部に送信する送信部と、
    をさらに備えた請求項8記載の制御回路。
  11. 前記第1時系列データおよび前記タイミングにもとづいて前記主電圧の時間変化値を検出する電圧変化検出部と、
    前記時間変化値を外部に送信する送信部と、
    をさらに備えた請求項8記載の制御回路。
  12. 前記送信部は、前記第1演算部および前記第2演算部の演算結果を含めて多重化して外部に送信する請求項9〜11のいずれか1つに記載の制御回路。
  13. 前記シリアルデータは、他のスイッチング素子のスイッチング速度に関する信号を含み、
    前記判定部は、前記スイッチング素子を、前記信号にもとづいて前記他のスイッチング素子に同期させてスイッチング動作させる請求項12記載の制御回路。
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