まず、本発明に係る株主名簿管理人である金融機関にて行われる持ち込まれた配当金領収証と引き替えに配当金の支払い可否を判定する処理の概要について図1を用いて説明する。
図1の左に示すように、多くの配当金領収証には30桁の領収証番号が印刷されている。この領収証番号は、当該配当金領収証を取り扱う株主名簿管理人を示す証券代行機関コード、当該配当金領収証を発行した会社を示す会社コード、当該配当金領収証を識別する領収証識別情報及び当該配当金領収証と引き替えに支払う配当金額等の情報を含んでいる。
また、本実施例に係る配当金支払管理システムは、図1の右に示すように未払マスタデータ14a及び支払停止データ14bを有している。未払マスタデータ14aには、配当金の支払いが行われていない配当金領収証の領収証番号に関連付けて、該配当金領収証に対する企業から委託された指定金融機関が配当金の支払いを行う取扱期間の開始日及び最終日と、取扱期間終了後に株主名簿管理人である証券代行機関が支払いを行う支払最終日とを記憶している。また、支払停止データ14bは、配当金の払い出しを停止している会社の会社コードの情報が登録されている。
図1に示すフローチャートは、株主名簿管理人である証券代行機関の営業店に設置される営業店端末で、顧客から受け付けた配当金領収証、未払マスタデータ14a及び支払停止データ14bを用いて、受け付けた配当金領収証に対する配当金の支払いを行ってもよいか否かの判定処理の処理手順を示している。
まず、営業店端末は、受け付けた配当金領収証に印刷されている領収証番号をOCR等により読み取る。次に、配当金領収証から読み取った領収証番号に含まれる取扱証券代行機関コードに基づいて、自行で取り扱うことのできる配当金領収証であるか否かをチェックする。また、領収証番号に基づいて未払マスタデータ14aを検索して、対応するレコードが有るか否かにより受け付けた配当金領収証に対する配当金が未払いであるか否かをチェックする。領収証番号に対応するレコードが存在した場合には未払いであると判定するが、領収証番号に対応するレコードが存在しない場合には支払済みであり、支払い不可と判定する。
次に、領収証番号に含まれる会社コードに基づいて支払停止データ14bを検索して、配当金の支払いが停止中になっているか否かのチェックを行う。また、配当金領収証から読み取った領収証番号に対応するレコードが未払マスタデータ14aに存在した場合に、該領収証番号に対する取扱期間を未払マスタデータ14aから取得して、本日が該取扱期間内である場合には該配当金領収証に対する配当金の支払いは不可と判定する。
最後に、それまでのチェックで配当金の支払い不可と判定されなかった場合に、領収証番号に対する除斥期間と除斥期間後の支払可能期間の最終日を示す支払最終日を未払マスタデータ14aから取得して、本日が取扱期間を過ぎていて支払最終日以前である場合には該配当金領収証に対する配当金の支払いを可能と判定する。
このように、本実施例に係る配当金支払管理システムでは、配当金の支払いが行われていない配当金領収証の領収証番号に関連付けて自身では取り扱うことができない取扱期間及び自身で取り扱うことができる期間の情報を記憶する未払マスタデータ14aと、領収証番号に会社コードを含み、配当金領収証に対する配当金の支払いを停止している会社コードの一覧を記憶する支払停止データ14bとを有し、配当金領収証を受け付けたならば、受け付けた配当金領収証から領収証番号を読み取って、該領収証番号と、未払マスタデータ14aと、支払停止データ14bとに基づいて配当金領収証に対する配当金の支払いの可否を判定するようにしたので、株主名簿管理人である金融機関において、顧客から配当金領収証と引き替えに配当金の支払い依頼を受け付けた場合に効率よくかつ適切に配当金の支払い可否を判定することができる。
次に、本実施例に係る配当金支払管理システムのシステム構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、配当金支払管理システムは、データセンタにセンタサーバ10及びセンタ端末20が配設され、センタサーバ10は、LAN(Local Area Network)を通してセンタ端末20と接続され、イントラネットなどの通信網を通して複数の営業店に配設される営業店端末30に接続される。
また、センタサーバ10は、配当金領収証の発行や発行済みの配当金領収証に対する配当金の支払状況を管理する配当金管理共同システムと接続され、図1で示した未払マスタデータ14aに対応する情報を配当金管理共同システムから取得する。センタ端末20は、発行済みの配当金領収証に対する支払停止に係る情報の入力を受け付けてセンタサーバ10の支払停止データ14bに登録したり、センタサーバ10に登録されている各種情報を照会するための端末である。
営業店端末30には、営業店に持ち込まれた配当金領収証の画像を取得するためのスキャナ33が接続されている。営業店端末30は、スキャナ33で取得した配当金領収証の画像を取得して、取得した画像に基づいて配当金領収証に印刷される領収証番号を読み取る。また、営業店端末30は、配当金領収証から読み取った領収証番号を含む未払マスタ検索要求をセンタサーバ10に送信する。センタサーバ10は、未払マスタ検索要求を受け付けると、未払マスタ検索要求に含まれる領収証番号で未払マスタデータ14aを検索して、検索結果を営業店端末30に返信する。営業店端末30は、センタサーバ10からの未払マスタ検索要求に対する検索結果を受け付けると、受け付けた検索結果に応じて配当金領収証に対する配当金の支払いの可否を判定する。詳細な判定処理の内容は後述する。
また、営業店端末30は、配当金領収証から読み取った領収証番号から特定される会社コードを含む支払停止データ検索要求をセンタサーバ10に送信する。センタサーバ10は、支払停止データ検索要求を受け付けると、支払停止データ検索要求に含まれる会社コードで支払停止データ14bを検索して、検索結果を営業店端末30に返信する。営業店端末30は、センタサーバ10からの支払停止データ検索要求に対する検索結果を受け付けると、受け付けた検索結果に応じて配当金領収証に対する配当金の支払いの可否を判定する。詳細な判定処理の内容は後述する。
次に、本実施例に係る配当金領収証の表面の印刷内容について図3を用いて説明する。図3に示すのは、本システムで取り扱われる代表的な配当金領収証の印刷イメージの例である。多くの配当金領収証は、概ね図3に示す配当金領収証に類似しているが、印刷形式が詳細に決められているものではないので、同じ要素であっても位置、サイズ、色などが企業ごと若しくは決算期ごとに違っている。
配当金領収証の最上部には、当該配当金領収証に対する決算期や、配当金の種類(期末配当金、中間配当金等)が印刷される。また、最上部右には、当該配当金領収証に対する株の株式コードが印刷される。また、点線の矩形で囲った部分が領収証番号であり概ね図3に示すような位置に印刷される。図3に示す配当金領収証の領収証番号は30桁であるが、旧システムでは28桁であった。ただし、2桁増えているものの、旧システムで使用していた28桁の領収証番号は30桁の領収証番号に変換可能である。
領収証番号の下には、株主の識別情報を示す加入者口座番号が配置される。また、加入者口座番号の下には、該加入者口座番号に対応する株主の氏名及び住所が印刷される。また、領収証番号の右には、該配当金領収証と引き替えに支払われる支払金額が印刷される。また、該支払金額の下には、当該配当金領収証を発行した企業が委託した指定金融機関で配当金の払渡しが行われる取扱期間が印刷される。
また、支払金額の右には、該支払金額算出の根拠となる、株主が保有する株式数、1株当たりの配当金、所得税率及び住民税率とが印刷される。また、配当金領収証の右下の領域は、領収証としての領域であり、領収日の記入欄や株主の受領印等を押す欄が設けられている。株主は、配当金を受け取る際には該受領印の領域に押印した上で所定の金融機関に提示することにより配当金の支払いを受けることができる。また、受領印の欄の右側には指定金融機関を示すロゴなどの情報が印刷される。
本実施例では、配当金領収証の表面の画像を取得して、取得した画像から領収証番号をOCRなどによって読み取る。それ以外の支払金額、取扱期間、株式コード及び加入者口座番号などの情報は画像からは取得しない。
次に、図2に示した営業店端末30の本実施例に係る機能的な内部構成を説明する。図4は、営業店端末30の本実施例に係る機能的な内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、営業店端末30には、入力画面や処理結果を表示する液晶ディスプレイ等の表示部31、キーボード及びマウスなどの操作部32、配当金領収証の画像を取得するスキャナ33及び処理結果等を出力するプリンタ34が接続されている。また、営業店端末30は、通信部35、記憶部36及び制御部37を有している、通信部35はセンタサーバ10とデータ通信を行うためのインタフェース部である。
記憶部36は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、チェック結果データ36a及び領収証画像データ36bを有する。チェック結果データ36aは、受け付けた配当金領収証ごとに配当金の支払い可否を判定した結果であり、顧客ごとに持ち込まれた配当金領収証に係る一連の判定処理が終了したならば、センタサーバ10に送信されて初期化される。領収証画像データ36bは、スキャナ33で取得した配当金領収証の画像を蓄積したデータである。該画像は、所定のタイミング(例えば、当日最初のシステム立上時等)に削除される。
制御部37は、営業店端末30の全体を制御する制御部であり、領収証チェック処理部37a、チェック結果印刷部37b、集計処理部37c及び照会処理部37dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれに対応するプロセスを実行させることになる。
領収証チェック処理部37aは、受け付けた配当金領収証に対して配当金の支払いの可否を判定して、その判定結果をチェック結果データ36aに登録する。領収証チェック処理部37aは、複数の配当金領収証を受け付けた場合には、受け付けた全ての配当金領収証の画像を取得して、取得したそれぞれの配当金領収証の画像に基づいて配当金の支払いの可否を判定して、その判定結果をチェック結果データ36aに登録する。詳しい処理内容については後述する。
チェック結果印刷部37bは、領収証チェック処理部37aによる受け付けた配当金領収証に対して配当金の支払いの可否の判定結果であるチェック結果データ36aの内容をプリンタ34に出力する。また、チェック結果印刷部37bは、チェック結果データ36aの内容をプリンタ34に出力したならば、チェック結果データ36aを初期化する。詳細な出力内容については後述する。
集計処理部37cは、操作部32などからの集計指示操作を受け付けたならば、受け付けた集計指示操作に応じた集計結果取得要求をセンタサーバ10に送信して、その応答で受け付けた集計結果を表示部31又はプリンタ34に出力する。
照会処理部37dは、操作部32などからの配当金領収証に対する配当金の支払いの可否の判定処理結果等に係る照会指示操作を受け付けたならば、受け付けた照会指示操作に応じた照会要求をセンタサーバ10に送信して、その応答で受け付けた照会結果を表示部31又はプリンタ34に出力する。
次に、図4に示した営業店端末30の本実施例に係るデータ構成について図5を用いて説明する。
チェック結果データ36aは、受け付けた配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定処理を行った日付及び時刻と、操作を行った担当者の操作者IDと、店番号と、受け付けた配当金領収証による配当金の支払い依頼に対する処理日ごとの通番である案件番号と、顧客から受け付けた配当金領収証の枚数と、その内配当金の支払いが可能と判定された配当金領収証の枚数と、配当金の支払いが可能と判定された配当金領収証に対応する配当金の合計額と、受け付けた配当金領収証ごとの判定に係る情報とを含む。受け付けた配当金領収証ごとの判定に係る情報には、同じ受付番号内で配当金領収証ごとにユニークに採番される処理通番と、配当金領収証から読み取った領収証番号に対応する領収証番号データと、配当金の支払い可否の判定結果と、該配当金の支払いが可能と判定された場合の本人確認の要否の情報とを含む。また、領収証番号データは、株主名簿管理人を示す証券代行機関コードと、配当金領収証を発行した企業の会社コードと、配当金領収証を識別する領収証識別情報と、配当金額と、チェックデジットとを含む。証券代行機関コードは、コード化されたデータであって、「0」が自行であることを示し、「1」が自行でも取扱可能な証券代行機関Aで、「2」が自行でも取扱可能な証券代行機関Bで、「3」が自行では取扱不可な証券代行機関Cであることを示している。
図5のチェック結果データ36aの例は、受け付けた配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定処理を行った日付が「2013/6/10」、時刻が「12:30:45」で、操作者IDが「01015」で、店番号が「005」で、案件番号が「0025」で、配当金領収証の受付枚数が「6」枚で、内支払いが可能と判定された配当金領収証の枚数が「4」枚で、その4枚の配当金領収証に対応する配当金の合計額が「5,200」円であることを示している。また、案件番号が「0025」における、処理通番が「0001」の配当金領収証に対する証券代行機関コードが「1」で自行でも取扱可能な証券代行機関Aで、会社コードが「2345」で、領収証識別情報が「67890…」で、配当金額が「2,724」円で、チェックデジットが「0」で、配当金の支払い可否の判定結果が「支払可」で、本人確認が「不要」であることを示している。
領収証画像データ36bは、対応する配当金領収証の画像を取得した日付及び時刻と、対応する案件番号及び処理通番と、配当金領収証の画像データとをレコード項目とするデータである。図5に示す領収証画像データ36bの例は、日付「2013/6/10」の、時刻「10:30:10」に、案件番号「0001」、処理番号「0001」に対応する配当金領収証の画像データが登録されていることを示している。
次に、図2に示したセンタサーバ10の本実施例に係る機能的な内部構成を説明する。図6は、センタサーバ10の本実施例に係る機能的な内部構成を示すブロック図である。
図6に示すようにセンタサーバ10には、液晶ディスプレイ等の表示部11、キーボード及びマウス等の操作部12が接続されている。また、センタサーバ10は、通信部13、記憶部14及び制御部15を有している、通信部13はセンタ端末20及び営業店端末30とデータ通信を行うためのインタフェース部である。
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、未払マスタデータ14a、支払停止データ14b及びチェック結果データ14cを有する。未払マスタデータ14aは、図2で説明した様に配当金管理共同システムから取得したデータを記憶したものであり、配当金の支払いが行われていない配当金領収証の領収証番号に関連付けて、該配当金領収証に対する企業から委託された指定金融機関が配当金の支払いを行う取扱期間の開始日及び最終日と、取扱期間終了後に株主名簿管理人である証券代行機関が支払いを行うことのできる最終日を示す支払最終日とを記憶している。
支払停止データ14bは、センタ端末20により登録された配当金の支払いを停止している企業コードと該企業コードに関連付けて支払停止期間等の情報とを有するデータである。チェック結果データ14cは、営業店端末30から送信されたチェック結果データ36aを蓄積したデータである。
制御部15は、センタサーバ10の全体を制御する制御部であり、未払マスタ管理部15a、支払停止データ管理部15b及びチェック結果データ管理部15cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、それぞれに対応するプロセスを実行させることになる。
未払マスタ管理部15aは、配当金管理共同システムから未払マスタデータ14aに対応する情報を取得して未払マスタデータ14aの内容を更新する。また、支払マスタ管理部15aは、営業店端末30から領収証番号を含む未払マスタ検索要求を受け付けると、未払マスタ検索要求に含まれる領収証番号で未払マスタデータ14aを検索して、検索結果を営業店端末30に返信する。
支払停止データ管理部15bは、センタ端末20からの登録操作及び更新操作に基づいて支払停止データ14bの登録及び更新処理を行う。また、支払停止データ管理部15bは、営業店端末30から会社コードを含む支払停止データ検索要求を受け付けると、支払停止データ検索要求に含まれる会社コードで支払停止データ14bを検索して、検索結果を営業店端末30に返信する。
チェック結果データ管理部15cは、営業店端末30から送信されるチェック結果データ36aを受け付けて、チェック結果データ14cに登録する。また、チェック結果データ管理部15cは、営業店端末30からチェック結果データ14cに係る集計結果取得要求を受け付けた場合には、受け付けた集計結果取得要求に基づいてチェック結果データ14cの集計を行って、その集計結果を要求元の営業店端末30に返信する。また、チェック結果データ管理部15cは、営業店端末30からチェック結果データ14cに係る照会要求を受け付けた場合には、受け付けた照会要求に応じた照会結果を要求元の営業店端末30に返信する。
次に、図6に示したセンタサーバ10の本実施例に係るデータ構成について図7を用いて説明する。
未払マスタデータ14aは、配当金領収証の領収証番号に関係付けられた取扱期間と支払最終日をレコード保有項目とするデータである。配当金領収証の領収証番号には、株主名簿管理人を示す証券代行機関コードと、配当金領収証を発行した会社の会社コードと、配当金領収証を識別する領収証識別情報と、配当金額と、チェックデジット(CD)とを含む。証券代行機関コードは、コード化されたデータであって、図5に示したチェック結果データ36aの証券代行機関コードと同じコード体系である。また、取扱期間には、取扱期間の開始日と最終日とを含む。
図7の未払マスタデータ14aの例は、証券代行機関コードが「1」で自行でも取扱可能な証券代行機関Aで、会社コードが「2345」で、領収証識別情報が「67890…」で、配当金額が「2,724」円で、チェックデジット(CD)が「0」の領収証番号に対応付けて、取扱期間の開始日が「2013/6/1」で、最終日が「2013/7/31」で、支払最終日が「2016/7/31」であることを示すレコードが含まれていることを表している。
支払停止データ14bは、会社コードに関連付けられた支払停止期間をレコード項目とするデータである。支払停止期間には支払停止の開始日と終了日とを含む。図7の支払停止データ14bの例は、会社コード「7890」に対する配当金の支払いが、開始日「2013/5/10」から支払停止期間になっていることを示すレコードが含まれていることを表している。
チェック結果データ14cは、図5に示した営業店端末30が有するチェック結果データ36aを1レコードとする複数レコードで構成されるデータである。図7に示したチェック結果データ14cの例は、図5に示した営業店端末30が有するチェック結果データ36aがチェック結果データ14cの1レコードとして登録されている状態を示した例である。
次に、図2に示した営業店端末30の本実施例に係る配当金領収証に対する配当金の支払い可否を判定する処理時に表示される画面の構成について図8を用いて説明する。
図8(a)は、配当金領収証をスキャナ33で読み込ませた時に表示部31に表示される画面の例である。図8(b)は、顧客から受け付けた全ての配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定終了後に表示される判定処理結果の確認用の画面の例である。顧客から複数の配当金領収証を受け付けた場合には、これを受け付けた金融機関は、全ての配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定を行って、図8(b)のような全ての配当金領収証に対する処理結果のサマリを表示部31に出力する。
図8(a)に示すように、配当金領収証をスキャナ33で読み込まれ時に画面の中央から左にかかる領域にスキャナ33で読み込まれた配当金領収証の画像が表示される画像表示領域を有する。画像表示領域の右には、顧客に対して採番された案件番号と、表示されている画像に対する配当金領収証の処理通番と、表示されている画像の配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定結果とが表示される。また、画像表示領域の下には、表示されている画像からOCRにより読み取った領収証番号が表示される。また、領収証番号は正しく読み取れなかった場合には、表示されているOCR結果を操作部32の操作によって補正することもできる。
また、図8(a)に示すように、画面下部には、「前」ボタン、「次」ボタン、「拡縮」ボタン、「回転」ボタン、「削除」ボタン、「戻る」ボタン、「確認」ボタン及び「スキャン」ボタンが配置される。「前」ボタン及び「次」ボタンは、画像表示領域に表示される配当金領収証の画像を切り替えるためのボタンである。「拡縮」ボタンは、画像表示領域に表示される配当金領収証の画像を拡大表示又は縮小表示を指定するためのボタンであって、該「拡縮」ボタンが押下されると全面フィット表示と2倍表示を交互に切り替える。「回転」ボタンは、画像表示領域に表示される配当金領収証の画像を回転して表示するためのボタンであって、該「回転」ボタンが押下されると画像が180度回転する。「削除」ボタンは、画像表示領域に表示される配当金領収証に表示されている配当金領収証の画像を無効とすることを指示するためのボタンである。「戻る」ボタンは、画像表示領域に直前に表示されていた配当金領収証の画像の表示に戻すことを指示するためのボタンである。「確認」ボタンは、画像表示領域に表示されている配当金領収証に対する判定結果を確認した旨の操作を受け付けるためのボタンであり、該「確認」ボタンの操作を受け付けると、画像表示領域には次の配当金領収証の画像が表示される。また、画像表示領域に表示されている画像が最後の配当金領収証に対する画像である場合には、該「確認」ボタンの操作を受け付けると図8(b)の画面に遷移する。「スキャン」ボタンは、スキャナ33にセットされた配当金領収証のスキャンの開始を指示するためのボタンである。
図8(b)の画面には、図8(a)の画面で確認された配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定結果のサマリとして、案件番号と、スキャナ33で画像をスキャンした配当金領収証の合計枚数と、画像をスキャンした配当金領収証のうち配当金の支払いが可能と判定した配当金領収証の枚数及びその合計金額と、指定金融機関で支払いが可能な取扱期間中である配当金領収証の枚数及びその合計金額と、取扱期間中以外の理由で配当金の支払いができないと判定された要確認である配当金領収証の枚数と、いずれかの配当金の支払いにあたり顧客の本人確認が必要であるか否かの判定結果とが表示される。ここで「期間中」に分類された配当金領収証については、自行が取扱期間に支払いを行う指定金融機関ではないかを個別に確認する必要がある。また、「要確認」に分類された配当金領収証については、原則に従って判定した結果が支払い不可であるので、企業等によって決められた例外の適用の要否等を人手により確認する必要がある。ただし、このように、「期間中」及び「要確認」に分類されるケースは非常に少ないことから、「支払可」が自動で判定されれば配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定にかかる効率化の効果は十分に大きい。
また、図8(b)に示すように、画面下部には、「戻る」ボタン及び「完了」ボタンが配置される。「戻る」ボタンは、図8(a)に示すような配当金領収証の読取画面に戻ることを指示するためのボタンである。また、「完了」ボタンは、図8(b)に表示された内容の確認を完了したことを入力するためのボタンである。
次に、図2に示した営業店端末30の本実施例に係る配当金領収証に対する配当金の支払い可否を判定する処理により出力される受付結果票の印刷内容について図9を用いて説明する。図9に示す受付結果票は、図8(b)に示したような配当金領収証読取結果確認画面で「完了」ボタンの操作が行われるとプリンタ34から出力される。
図9に示すように受付結果票の右上には、配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定処理の実施日付及び時刻と、該判定処理を行った営業店の店番号及び営業店名と、操作者の担当者ID及び担当者名とが出力される。また、その下には案件番号と、該案件番号に対応する判定結果のサマリが出力される集計領域が配置される。該集計領域には、図8(b)に示した判定結果に係る情報に加えて、要確認若しくは期間中と判定された配当金領収証に対して担当者が人手により配当金の支払い可否を再判定した結果、支払いが可能と判定された配当金領収証の合計金額を記入する欄と、システムにより支払い可能と判定された金額と担当者による再判定で支払い可能と判定された金額との合計である合計支払額を記入する欄とを備える。
操作者は、図9に示したような受付結果票が出力されたならば、要確認又は期間中となっている配当金領収証に対する配当金の支払い可否を再判定して、その判定結果が支払い可能と判定された場合には、集計領域に設けられた再判定で支払い可能と判定された金額を記入する欄に支払い可能と判定された配当金領収証の合計金額を手書きで記入し、合計支払額を計算して手書きで記入することになる。
また、集計領域の下には、配当金の支払い可否の判定結果を表示する結果表示領域が、読み込んだ配当金領収証ごとに設けられる。それぞれの結果表示領域には、配当金領収証から読み取った領収証番号に基づく配当金領収証の発行企業名、処理通番、領収証番号、スキャナ33で読み取った配当金領収証の領収証番号の部分を含む画像及び判定結果の情報を含む。
次に、図2に示した営業店端末30の本実施例に係る配当金領収証に対する配当金の支払い可否を判定する処理の処理手順について図10に示すフローチャートを用いて説明する。
領収証チェック処理部37aは、スキャナ33で読み取った配当金領収証の画像に基づいて、配当金領収証の領収証番号をOCRにより取得する(ステップS101)。取得した領収証番号が30桁であった場合(ステップS102;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、領収証番号30桁のフォーマットに応じたチェックデジットチェックを行う(ステップS103)。チェックデジットチェックにおいて問題がある場合(ステップS104;No)には、判定結果を「要確認」として(ステップS121)、処理を終了する。
チェックデジットチェックにおいて問題がない場合(ステップS104;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で取得した領収証番号に対する証券代行機関チェックを行う(ステップS105)。具体的には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で取得した領収証番号に含まれる証券代行機関コードを参照して、自行で取り扱う対象か否かの判定を行う。本実施例では、自行以外の証券代行機関に対応する配当金の支払い業務の委託を受けているような場合を想定しており、自行に対応する証券代行機関コードと、配当金の支払い業務の委託を受けている証券代行機関に対応する証券代行機関コードも取扱対象と判定する。ステップS105の証券代行期間チェックで取扱対象ではないと判定された場合(ステップS106;No)には、ステップS121に移行する。
ステップS105の証券代行期間チェックで自行で取り扱う対象と判定された場合(ステップS106;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、ステップ101で取得した領収証番号に対する未払マスタチェックを行う(ステップS107)。具体的には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で取得した領収証番号を含む未払マスタ検索要求をセンタサーバ10に送信する。センタサーバ10から未払マスタ検索要求に対する検索結果を受け付けて、受け付けた未払マスタ検索要求に対する検索結果として図7に示した未払マスタデータ14aに対応するレコードが存在しない旨の応答であった場合(ステップS108;No)には、ステップS121に移行する。
ステップS107で送信した未払マスタ検索要求に対する検索結果として検索された未払マスタデータ14aのレコードが返信されてきた場合(ステップS108;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で取得した領収証番号に対する支払停止チェックを行う(ステップS109)。具体的には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で取得した領収証番号から会社コードを特定し、特定した会社コードを含む支払停止データ検索要求をセンタサーバ10に送信する。センタサーバ10から支払停止データ検索要求に対する検索結果を受け付けて、検索結果として支払停止データ14bから検索されたレコードを受け付けて、受け付けたレコードに含まれる支払停止期間の情報に基づいて支払停止期間中であると判定された場合(ステップS110;Yes)には、ステップS121に移行する。
ステップS109で送信した支払停止データ検索要求に対する検索結果として未払マスタデータ14aに対応するレコードが存在しない旨を示す内容だった場合又は検索結果として支払停止データ14bから検索されたレコードを受け付けて、受け付けたレコードに含まれる支払停止期間の情報に基づいて支払停止期間中ではないと判定された場合(ステップS110;No)には、取扱期間であるか否かの判定処理を行う(ステップS111)。具体的には、ステップS107で未払マスタ検索要求に対する応答で取得した領収証番号に対する未払マスタデータ14aのレコードの情報に含まれる取扱期間の情報に基づいて、本日が指定金融機関による配当金の支払いが可能な取扱期間内であるか否かの判定を行う。ステップS111の取扱期間チェック処理において本日が取扱期間内であると判定された場合(ステップS112;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、判定結果を「期間内」として(ステップS120)、処理を終了する。
ステップS111の取扱期間チェック処理において本日が取扱期間内ではないと判定された場合(ステップS112;No)には、支払最終日に係るチェック処理を行う(ステップS113)。具体的には、本日が取扱期間を過ぎていて、ステップS107で未払マスタ検索要求に対する応答で取得した領収証番号に対する未払マスタデータ14aのレコードの情報に含まれる支払最終日以前である場合(ステップS114;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、判定結果を「支払可」として(ステップS115)、処理を終了する。また、本日が取扱期間に至っていないか、又は支払最終日を過ぎていている場合(ステップS114;No)には、ステップS121に移行する。
また、ステップS101で読み取った領収証番号が28桁であった場合(ステップS102;No、ステップS116;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、領収証番号28桁のフォーマットに応じたチェックデジットチェックを行う(ステップS117)。チェックデジットチェックにおいて問題がある場合(ステップS118;No)には、ステップS121に移行する。また、領収証番号28桁のフォーマットに応じたチェックデジットチェックにおいて問題がない場合(ステップS118;Yes)には、領収証チェック処理部37aは、ステップS101で読み取った領収証番号の28桁を30桁にフォーマット変換して(ステップS119)、ステップS107に移行する。また、ステップS101で読み取った領収証番号の28桁でもない場合(ステップS116;No)には、ステップS121に移行する。
次に、図2に示した営業店端末30において出力される集計表の印刷内容について図11を用いて説明する。本実施例では、領収証番号から特定される証券代行機関コードが、「0」の自行と、「1」の証券代行機関Aと、「2」の証券代行機関Bとが自行で取扱可能である。このように複数の証券代行機関に対応する配当金の支払いを行っている場合には、配当金の支払処理に係る日次の締め処理の一環として支払った配当金に関して証券代行機関ごとの集計を行う必要がある。図11は、扱った配当金領収証の証券代行機関ごとの集計表の印刷例である。
図11に示すように、集計表の右上には集計を行った日付及び時刻と、集計対象となる営業店の営業店番号及び営業店名が出力される。また、集計表の最上位段には、証券代行機関ごとの、本システムで支払い可能と判定された配当金領収証の枚数と配当金の合計金額とが出力される。また、集計表の一番右には取り扱った全ての証券代行機関に対応する配当金領収証の合計枚数と配当金の合計金額が出力される。
また、本システムで支払い可能と判定されなかった配当金領収証のうち、行員による再判定で支払い可能と判定した配当金領収証の枚数と、配当金の合計金額とを証券代行機関ごとに手書きで記入するための欄と、自動判定分と再判定で支払可と判定した分の合計値を手書きで記入するための欄も併せて出力する。行員による再判定で支払い可能と判定された配当金領収証が有る場合には、証券代行機関ごとに支払い可能と判定された配当金領収証の枚数と配当金の合計金額とを再判定で支払い可能となった分の欄に手書きで記入し、自動判定分との合計値を合計の欄に手書きで記入できるようになっている。
上述してきたように、本実施例では、配当金の支払いが行われていない配当金領収証の領収証番号に関連付けて自身では取り扱うことができない取扱期間及び自身で取り扱うことができる期間の情報を記憶する未払マスタデータ14aと、領収証番号に会社コードを含み、配当金領収証に対する配当金の支払いを停止している会社コードの一覧を記憶する支払停止データ14bとを有し、配当金領収証を受け付けたならば、受け付けた配当金領収証から領収証番号を読み取って、該領収証番号と、未払マスタデータ14aと、支払停止データ14bとに基づいて配当金領収証に対する配当金の支払いの可否を判定するよう構成したので、株主名簿管理人である金融機関において、顧客から配当金領収証と引き替えに配当金の支払い依頼を受け付けた場合に効率よくかつ適切に配当金の支払い可否を判定することができる。
なお、上述の実施例では、未払マスタデータ14a及び支払停止データ14bは、センタサーバ10が管理し、営業店端末30は、必要に応じてセンタサーバ10から情報を取得するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、営業店端末30の立ち上げ時などの所定のタイミングで、未払マスタデータ14a及び支払停止データ14bをセンタサーバ10からダウンロードして営業店端末30内に記憶し、営業店端末30内に記憶した情報に基づいて処理を行うようにしてもよい。また、ダウンロードする際には毎回全レコードをダウンロードするのではなく差分のみをダウンロードして、ダウンロードした差分に基づいて営業店端末30内に記憶される内容を最新化するようにしてもよい。
また、上述の実施例では、配当金領収証に対する配当金の支払い可否の判定処理において、要確認若しくは期間内と判定された場合に、行員による再判定により支払い可能と判定した場合には、システムにその判定結果を反映しないものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、行員に再判定により支払い可能と判定した場合には、チェック結果データ14cの配当金領収証ごとの判定結果の情報に、行員による再判定の結果、支払い可能と判定した旨を反映することを可能として、図11で示した集計表の「再判定で支払可と判定分」の欄及び合計欄をシステムで自動で算出して出力するようにしてもよい。
また、上述の実施例では、システムで受領印が押下されていることのチェックは行っていないが、本発明はこれに限定しない。例えば、スキャナ33で取得した配当金領収証の画像に基づいて、受領印欄を特定し受領印欄に印影が有るか否かをシステムで判定し、印影がないと判定された場合には顧客に確認する旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
また、上述の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。