特許文献1のように、複数の吸着器の吸着コアに室外機からの伝熱媒体を循環させ、蒸発凝縮コアに冷却器からの伝熱媒体を循環させることにより、室外機による伝熱媒体の冷却能力が限られている場合において、冷却された伝熱媒体を有効に利用することができる。しかしながら、吸着コアへ供給される伝熱媒体の温度は、供給される順番によって異なり、下流側に配置された吸着器へ供給される伝熱媒体の温度は高くなるため、吸着材で冷媒を吸着できる量が減少してしまう。このため、吸着材を効率よく利用することが難しい。
本発明は、上記の事実を考慮して成されたものであり、伝熱媒体を冷却する能力が限られた中で、反応材と熱媒との間の結合量/脱離量を多くして、効率よく冷熱生成を行うことの可能なヒートポンプ、及び、冷熱生成方法を提供することを目的とする。
請求項1に係るヒートポンプは、中温熱源部及び高温熱源部と接続され、前記中温熱源部または前記高温熱源部との間で循環する流体が流通する反応熱交換流路と、前記反応熱交換流路により熱交換が行われ、前記中温熱源部との間で循環する中温流体との熱交換により熱媒と結合し、前記高温熱源部との間で循環する前記中温流体よりも高温の高温流体との熱交換により熱媒を脱離する反応材が収容された反応部と、前記反応部毎に設けられ、液相の前記熱媒を貯留する貯留部と、前記中温熱源部及び低温熱源部と接続され、前記中温熱源部または前記低温熱源部との間で循環する流体を流通させて前記貯留部において熱交換を行う貯留熱交換流路と、を各々有する3以上の反応器と、2つ以上の前記貯留部の前記貯留熱交換流路を前記中温熱源部に対して直列に接続して凝縮ループを構成し、該凝縮ループ内の各前記貯留部について、前記中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮モードと、を経るように前記中温流体の循環経路を切換える切換部と、を備えている。
請求項1に係るヒートポンプは、3以上の反応器を備えている。各反応器は、反応部と反応熱交換流路を有している。反応熱交換流路は、中温熱源部または高温熱源部と接続され、反応熱交換流路には、中温熱源部または高温熱源部と反応熱交換流路の間で循環する流体が流通する。反応部は反応熱交換流路により熱交換が行われ、反応材が収納されている。反応材は、中温流体との熱交換により熱媒と結合し、中温流体よりも高温の高温流体との熱交換により熱媒を脱離する。
また、各反応器は、貯留部と貯留熱交換流路を備えている。貯留部は反応部毎に設けられ、貯留部には液相の前記熱媒が貯留されている。貯留熱交換流路は、中温熱源部及び低温熱源部と接続され、中温熱源部または低温熱源部との間で循環する流体を流通させて貯留部において熱交換を行う。
そして、請求項1に係るヒートポンプでは、切換部によって、2つ以上の貯留部の貯留熱交換流路を中温熱源部に対して直列に接続して凝縮ループが構成される。そして、切換部によって、凝縮ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮結合モードと、を経るように中温流体の循環経路が切換えられる。
このように、凝縮ループを構成することにより、各反応器の貯留熱交換流路に供給される流体の温度は、凝縮ループ内における中温熱源部を基準とした位置で異なり、中温流体が供給される上流側が下流側よりも低温である。切換部は、凝縮ループ内の各貯留部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮モードと、を経るように中温流体の循環経路を切換える。第1凝縮モードは、凝縮ループ内において最も中温流体の温度が低温であり、第2凝縮モードは、凝縮ループ内において最も中温流体の温度が高温である。したがって、各貯留部は、凝縮ループ内において、温度差をもった中温流体が供給されるように切換えられるので、対応する反応部において、反応材と熱媒とを結合させる相対圧の帯域が広くなり、反応材と熱媒との結合量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
また、凝縮ループでは、中温熱源部へ出力される中温流体の温度が、単体の貯留部のみで熱交換を行って中温熱源部へ出力される中温流体よりも高くなる。したがって、中温熱源部で放熱される中温流体の熱量を多くすることができ、効率よく放熱を行うことができる。
請求項2に係るヒートポンプは、前記反応器を4つ以上備え、前記切換部は、2つ以上の前記貯留部の前記貯留熱交換流路を前記低温熱源部に対して直列に接続して冷熱生成ループを構成し、該冷熱生成ループ内の各前記貯留部について、前記低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように前記高温流体の循環経路を切換える。
請求項2に係るヒートポンプは、4つ以上の反応器を備えている。そして、切換部によって、2つ以上の貯留部の貯留熱交換流路を低温熱源部に対して直列に接続して冷熱生成ループが構成される。そして、切換部によって、冷熱生成ループ内の各貯留部について、低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように低温流体の循環経路が切換えられる。
このように、冷熱生成ループを構成することにより、各反応器の貯留熱交換流路に供給される流体の温度は、冷熱生成ループ内における低温熱源部を基準とした位置で異なり、低温流体が供給される上流側が下流側よりも高温である。切換部は、冷熱生成ループ内の各貯留部について、低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように低温流体の循環経路を切換える。第1冷熱生成モードは、冷熱生成ループ内において最も低温流体の温度が高温であり、第2冷熱生成モードは、冷熱生成ループ内において最も低温流体の温度が低温である。したがって、各貯留部は、冷熱生成ループ内において、温度差をもった低温流体が供給されるように切換えられるので、対応する反応部において、反応材から熱媒を脱離させる相対圧の帯域が広くなり、反応材からの熱媒の脱離量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
請求項3に係るヒートポンプは、前記切換部は、前記切換部は、前記低温熱源部からの低温流体が供給される前記貯留部に対応する前記反応部の前記反応熱交換流路を前記中温熱源部に対して直列に接続して結合ループを構成し、該結合ループ内の各前記反応部について、前記中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように前記中温流体の循環経路を切換えると共に、前記中温流体が供給される前記貯留部に対応する前記反応部の前記反応熱交換流路を前記高温熱源部に対して直列に接続して脱離ループを構成し、該脱離ループ内の各前記反応部について、前記高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように前記高温流体の循環経路を切換える。
請求項3に係るヒートポンプでは、切換部によって、低温流体が供給される貯留部に対応する反応部の反応熱交換流路を中温熱源部に対して直列に接続して結合ループが構成される。そして、切換部によって、結合ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように中温流体の循環経路が切換えられる。
このように、結合ループを構成することにより、各反応器の反応熱交換流路に供給される流体の温度は、結合ループ内における中温熱源部を基準とした位置で異なり、中温流体が供給される上流側が下流側よりも低温である。切換部は、結合ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように中温流体の循環経路を切換える。第1結合モードは、結合ループ内において最も中温流体の温度が低温であり、第2結合モードは、結合ループ内において最も中温流体の温度が高温である。したがって、各反応部は、結合ループ内において、温度差をもった中温流体が供給されるように切換えられるので、反応材と熱媒とを結合させる相対圧の帯域が広くなり、反応材と熱媒との結合量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
また、切換部によって、中温流体が供給される貯留部に対応する反応部の反応熱交換流路を高温熱源部に対して直列に接続して脱離ループが構成される。そして、切換部によって、脱離ループ内の各反応部について、高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように高温流体の循環経路が切換えられる。
このように、脱離ループを構成することにより、各反応器の反応熱交換流路に供給される流体の温度は、脱離ループ内における高温熱源部を基準とした位置で異なり、高温流体が供給される上流側が下流側よりも高温である。切換部は、脱離ループ内の各反応部について、高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように高温流体の循環経路を切換える。第1脱離モードは、脱離ループ内において最も高温流体の温度が高温であり、第2脱離モードは、脱離ループ内において最も高温流体の温度が低温である。したがって、各反応部は、脱離ループ内において、温度差をもった高温流体が供給されるように切換えられるので、反応材から熱媒を脱離させる相対圧の帯域が広くなり、反応材からの熱媒の脱離量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
請求項4に係るヒートポンプは、前記切換部は、各々の前記反応部について、前記第2結合モードよりも後に前記第1結合モードとなるように前記中温流体の循環経路を切換え、前記第2脱離モードよりも後に前記第1脱離モードとなるように前記高温流体の循環経路を切換える、ことを特徴とする。
請求項4に係るヒートポンプでは、結合ループにおいて、反応部は、最初に高温で熱媒との結合が行われ、最後に低温で熱媒との結合が行われる。反応材と熱媒との結合可能量は、結合の前半(高温での結合)よりも後半(低温での結合)に多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材へ結合させることができる。また、脱離ループにおいて、反応部は、最初に低温で熱媒の脱離が行われ、最後に高温で熱媒の脱離が行われる。反応材と熱媒との結合可能量は、脱離の前半(低温での脱離)よりも後半(高温での脱離)に少なくなる。これにより、多くの熱媒を反応材から脱離させることができる。
請求項5に係るヒートポンプは、前記切換部は、各々の前記貯留部について、対応する前記反応部が前記第1結合モードの時に前記第1冷熱生成モードとなり、前記第2結合モードの時に前記第2冷熱生成モードとなるように前記低温流体の循環経路を切換え、前記第1脱離モードの時に前記第1凝縮モードとなり、前記第2脱離モードの時に前記第2凝縮モードとなるように前記中温流体の循環経路を切換える、ことを特徴とする。
請求項5に係るヒートポンプでは、対応する反応部が第1結合モードの時に貯留部が第1冷熱生成モードとなり、対応する反応部が第2結合モードの時に貯留部が第2冷熱生成モードとなる。したがって、結合モードの前半(高温での結合)よりも後半(低温での結合)に相対圧が大きくなり、反応材と熱媒との結合量が多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材へ結合させることができる。
また、対応する反応部が第1脱離モードの時に貯留部が第1凝縮モードとなり、対応する反応部が第2脱離モードの時に貯留部が第2凝縮モードとなる。したがって、脱離モードの前半(低温での脱離)よりも後半(高温での脱離)に相対圧が小さくなり、反応材からの熱媒の脱離量が多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材から脱離させることができる。
請求項6に係るヒートポンプは、前記3以上の反応器の1の反応器の前記反応熱交換流路の流路入口と他の前記反応器の前記反応熱交換流路の流路出口とを接続する反応個別供給路、及び、前記貯留熱交換流路の流路入口と他の前記反応器の前記貯留熱交換流路の流路出口とを接続する貯留個別供給路、を含んで構成され、前記3以上の反応器を直列に接続する直列供給路、を有し、前記反応個別供給路の前記流路入口側には前記中温流体及び前記高温流体の入力口が形成され、前記反応個別供給路の前記流路出口側には前記中温流体及び前記高温流体の出力口が形成され、前記反応個別供給路の前記入力口と前記出力口の間には、前記反応個別供給路を開閉する開閉弁が形成され、前記貯留個別供給路の前記流路入口側には前記中温流体及び前記低温流体の入力口が形成され、前記貯留個別供給路の前記流路出口側には前記中温流体及び前記低温熱源部からの低温流体の出力口が形成され、前記貯留個別供給路の前記入力口と前記出力口の間には、前記貯留個別供給路を開閉する開閉弁が形成されている、ことを特徴とする
請求項6に係るヒートポンプによれば、反応個別供給路及び貯留個別供給路に形成された開閉弁の切り換えによって、複数の反応熱交換流路、複数の貯留熱交換流路の各々を、簡単に直列に接続して循環路を構成することができる。
請求項7に係る冷熱生成方法は、中温熱源部及び高温熱源部と接続され、前記中温熱源部または前記高温熱源部との間で循環する流体が流通する反応熱交換流路と、前記反応熱交換流路により熱交換が行われ、前記中温熱源部との間で循環する中温流体との熱交換により熱媒と結合し、前記高温熱源部との間で循環する前記中温流体よりも高温の高温流体との熱交換により熱媒を脱離する反応材が収容された反応部と、前記反応部毎に設けられ、液相の前記熱媒を貯留する貯留部と、前記中温熱源部及び低温熱源部と接続され、前記中温熱源部または前記低温熱源部との間で循環する流体を流通させて前記貯留部において熱交換を行う貯留熱交換流路と、を各々有する3以上の反応器の内の2つ以上の反応器の前記貯留部の前記貯留熱交換流路を前記中温熱源部に対して直列に接続して凝縮ループを構成し、該凝縮ループ内の各前記貯留部について、前記中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮モードと、を経るように前記中温流体の循環経路を切換える。
請求項7に係る冷熱生成方法は、3以上の反応器の各々が、反応部と反応熱交換流路を有している。反応熱交換流路は、中温熱源部または高温熱源部と接続され、反応熱交換流路には、中温熱源部または高温熱源部と反応熱交換流路の間で循環する流体が流通する。反応部は反応熱交換流路により熱交換が行われ、反応材が収納されている。反応材は、中温流体との熱交換により熱媒と結合し、中温流体よりも高温の高温流体との熱交換により熱媒を脱離する。
また、各反応器は、貯留部と貯留熱交換流路を備えている。貯留部は反応部毎に設けられ、貯留部には液相の前記熱媒が貯留されている。貯留熱交換流路は、中温熱源部及び低温熱源部と接続され、中温熱源部または低温熱源部との間で循環する流体を流通させて貯留部において熱交換を行う。
そして、請求項7に係る冷熱生成方法では、2つ以上の貯留部の貯留熱交換流路を中温熱源部に対して直列に接続して凝縮ループが構成される。そして、切換部によって、凝縮ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮結合モードと、を経るように中温流体の循環経路が切換えられる。
このように、凝縮ループを構成することにより、各反応器の貯留熱交換流路に供給される流体の温度は、凝縮ループ内における中温熱源部を基準とした位置で異なり、中温流体が供給される上流側が下流側よりも低温である。切換部は、凝縮ループ内の各貯留部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1凝縮モードと、最も下流に位置する第2凝縮モードと、を経るように中温流体の循環経路を切換える。第1凝縮モードは、凝縮ループ内において最も中温流体の温度が低温であり、第2凝縮モードは、凝縮ループ内において最も中温流体の温度が高温である。したがって、各貯留部は、凝縮ループ内において、温度差をもった中温流体が供給されるように切換えられるので、対応する反応部において、反応材と熱媒とを結合させる相対圧の帯域が広くなり、反応材と熱媒との結合量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
また、凝縮ループでは、中温熱源部へ出力される中温流体の温度が、単体の貯留部のみで熱交換を行って中温熱源部へ出力される中温流体よりも高くなる。したがって、中温熱源部で放熱される中温流体の熱量を多くすることができ、効率よく放熱を行うことができる。
請求項8に係る冷熱生成方法は、4以上の前記反応器の内の2つ以上の反応器の前記貯留部の前記貯留熱交換流路を前記低温熱源部に対して直列に接続して冷熱生成ループを構成し、該冷熱生成ループ内の各前記貯留部について、前記低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように前記高温流体の循環経路を切換える。
請求項8に係る冷熱生成方法では、4つ以上の反応器の内、2つ以上の貯留部の貯留熱交換流路を低温熱源部に対して直列に接続して冷熱生成ループが構成される。そして、切換部によって、冷熱生成ループ内の各貯留部について、低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように低温流体の循環経路が切換えられる。
このように、冷熱生成ループを構成することにより、各反応器の貯留熱交換流路に供給される流体の温度は、冷熱生成ループ内における低温熱源部を基準とした位置で異なり、低温流体が供給される上流側が下流側よりも高温である。切換部は、冷熱生成ループ内の各貯留部について、低温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1冷熱生成モードと、最も下流に位置する第2冷熱生成モードと、を経るように低温流体の循環経路を切換える。第1冷熱生成モードは、冷熱生成ループ内において最も低温流体の温度が高温であり、第2冷熱生成モードは、冷熱生成ループ内において最も低温流体の温度が低温である。したがって、各貯留部は、冷熱生成ループ内において、温度差をもった低温流体が供給されるように切換えられるので、対応する反応部において、反応材から熱媒を脱離させる相対圧の帯域が広くなり、反応材からの熱媒の脱離量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
請求項9に係る冷熱生成方法は、前記低温流体が供給される前記貯留部に対応する前記反応部の前記反応熱交換流路を前記中温熱源部に対して直列に接続して結合ループを構成し、該結合ループ内の各前記反応部について、前記中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように前記中温流体の循環経路を切換えると共に、前記中温流体が供給される前記貯留部に対応する前記反応部の前記反応熱交換流路を前記高温熱源部に対して直列に接続して脱離ループを構成し、該脱離ループ内の各前記反応部について、前記高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように前記高温流体の循環経路を切換える。
請求項9に係る冷熱生成方法では、低温流体が供給される貯留部に対応する反応部の反応熱交換流路を中温熱源部に対して直列に接続して結合ループが構成される。そして、切換部によって、結合ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように中温流体の循環経路が切換えられる。
このように、結合ループを構成することにより、各反応器の反応熱交換流路に供給される流体の温度は、結合ループ内における中温熱源部を基準とした位置で異なり、中温流体が供給される上流側が下流側よりも低温である。切換部は、結合ループ内の各反応部について、中温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1結合モードと、最も下流に位置する第2結合モードと、を経るように中温流体の循環経路を切換える。第1結合モードは、結合ループ内において最も中温流体の温度が低温であり、第2結合モードは、結合ループ内において最も中温流体の温度が高温である。したがって、各反応部は、結合ループ内において、温度差をもった中温流体が供給されるように切換えられるので、反応材と熱媒とを結合させる相対圧の帯域が広くなり、反応材と熱媒との結合量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
また、切換部によって、中温流体が供給される貯留部に対応する反応部の反応熱交換流路を高温熱源部に対して直列に接続して脱離ループが構成される。そして、切換部によって、脱離ループ内の各反応部について、高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように高温流体の循環経路が切換えられる。
このように、脱離ループを構成することにより、各反応器の反応熱交換流路に供給される流体の温度は、脱離ループ内における高温熱源部を基準とした位置で異なり、高温流体が供給される上流側が下流側よりも高温である。切換部は、脱離ループ内の各反応部について、高温熱源部を基準に、最も上流に位置する第1脱離モードと、最も下流に位置する第2脱離モードと、を経るように高温流体の循環経路を切換える。第1脱離モードは、脱離ループ内において最も高温流体の温度が高温であり、第2脱離モードは、脱離ループ内において最も高温流体の温度が低温である。したがって、各反応部は、脱離ループ内において、温度差をもった高温流体が供給されるように切換えられるので、反応材から熱媒を脱離させる相対圧の帯域が広くなり、反応材からの熱媒の脱離量を多くして反応材を効率よく利用することができる。
請求項10に係る冷熱生成方法は、各々の前記反応部について、前記第2結合モードよりも後に前記第1結合モードとなるように前記中温流体の循環経路を切換え、前記第2脱離モードよりも後に前記第1脱離モードとなるように前記高温流体の循環経路を切換える、ことを特徴とする。
請求項10に係る冷熱生成方法では、結合ループにおいて、反応部は、最初に高温で熱媒との結合が行われ、最後に低温で熱媒との結合が行われる。反応材と熱媒との結合可能量は、結合の前半(高温での結合)よりも後半(低温での結合)に多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材へ結合させることができる。また、脱離ループにおいて、反応部は、最初に低温で熱媒の脱離が行われ、最後に高温で熱媒の脱離が行われる。反応材と熱媒との結合可能量は、脱離の前半(低温での脱離)よりも後半(高温での脱離)に少なくなる。これにより、多くの熱媒を反応材から脱離させることができる。
請求項11に係る冷熱生成方法は、各々の前記貯留部について、対応する前記反応部が前記第2結合モードの時に前記第1冷熱生成モードとなり、前記第1結合モードの時に前記第2冷熱生成モードとなるように前記低温流体の循環経路を切換え、前記第1脱離モードの時に前記第1凝縮モードとなるように前記中温流体の循環経路を切換え、前記第2脱離モードの時に前記第2凝縮モードとなるように前記中温流体の循環経路を切換える、ことを特徴とする。
請求項11に係る冷熱生成方法では、対応する反応部が第1結合モードの時に貯留部が第1冷熱生成モードとなり、対応する反応部が第2結合モードの時に貯留部が第2冷熱生成モードとなる。したがって、結合モードの前半(高温での結合)よりも後半(低温での結合)に相対圧が大きくなり、反応材と熱媒との結合量が多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材へ結合させることができる。
また、対応する反応部が第1脱離モードの時に貯留部が第1凝縮モードとなり、対応する反応部が第2脱離モードの時に貯留部が第2凝縮モードとなる。したがって、脱離モードの前半(低温での脱離)よりも後半(高温での脱離)に相対圧が小さくなり、反応材からの熱媒の脱離量が多くなる。これにより、多くの熱媒を反応材から脱離させることができる。
本発明は上記構成としたので、熱媒体の冷却能力が限られた中で、反応材と熱媒との間の結合量/脱離量を多くして、効率よく冷熱生成を行うことが可能である。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両搭載用ヒートポンプ(以下「ヒートポンプ10」と称する)の概略構成図が示されている。ヒートポンプ10は、車両に搭載されており、車両のエンジン部12、ラジエータ14、及び、エアーコンディショナー用の室内熱交換器16と接続されている。
エンジン部12は、エンジンからのエンジン冷却水の循環路に設けられた部分であり、温度80℃〜130℃程度の、後述する吸着材の脱離温度(再生温度)よりも高温の高温伝熱媒体をヒートポンプ10へ供給する。ラジエータ14は、外気との熱交換による冷却後の温度20℃〜35℃の、後述する吸着材の脱離温度よりも低温の中温伝熱媒体をヒートポンプ10へ供給する。室内熱交換器16は、ヒートポンプ10で生成された冷熱を車室内に供給し、熱交換の行われた低温伝熱媒体(10℃〜20℃程度)をヒートポンプ10へ戻す。
ヒートポンプ10は、反応器として、4個の吸着器20A、20B、20C、20Dを備えている。吸着器20A〜20Dは、同一構成であり、以下、これらをまとめて吸着器20と称し、各部の符号の末尾にA〜Dを付してこれらを区別する。吸着器20は、反応部としての吸着部22と、貯留部23とを有している。吸着部22には、吸着材が配置されている。吸着材は、熱媒としての水を吸着/脱離するものであり、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト等を用いることができる。吸着材は、後述する結合モードとしての吸着モード時には、貯留部23からの熱媒を吸着し、脱離モードとしての再生モード時には吸着した熱媒を脱離(脱着)する。図2には、本実施形態で用いる吸着材の吸着特性を示すグラフが示されている。吸着材としては、狭い相対圧の範囲内で吸着量の変化が大きくなる吸着特性を有するものを用いることが好ましい。
吸着部22には、反応熱交換流路24が設けられている。反応熱交換流路24は、吸着部22と隔離されつつ熱交換を行うことが可能に設けられており、流体が内部を流通する流路とされている。反応熱交換流路24は、流体が流入する流路入口25と、熱交換後の流体が流出する流路出口26を有している。流路入口25は、切換弁であるバルブ50を介してエンジン部12、ラジエータ14と接続され、流路出口26は、切換弁であるバルブ52を介してエンジン部12、ラジエータ14と接続されている。バルブ50、52は、三方バルブとされており、制御部40と接続されている(図3参照)。制御部40は、予め記録されたプログラムに基づいてバルブ50、52を切換えることで、ヒートポンプ10を作動させる。なお、バルブ50、52は、後述の制御部40によってラジエータ14と連通するかエンジン部12と連通するかが制御される。
貯留部23には、熱媒としての液相の水が貯留されている。貯留部23は、吸着部22よりも下方に設けられ、吸着部22と常時連通されている。吸着モード時には、貯留部23から水が蒸発して吸着部22の吸着材に吸着される。脱離モード時には吸着部22の吸着材から脱離されて凝縮した水を貯留する。なお、貯留部23内は、減圧または真空状態とされている。貯留部23は、ヒートポンプにおいて、所謂、蒸発器と凝縮器の機能を兼ねている。
貯留部23には、貯留熱交換流路27が設けられている。貯留熱交換流路27は、貯留部23と隔離されつつ熱交換を行うことが可能に設けられており、伝熱媒体としての水が内部を流通する流路とされている。貯留熱交換流路27は、中温伝熱媒体及び低温伝熱媒体が流入する流入口部64と、熱交換後の水が流出する流出口部66を有している。流入口部64、流出口部66は、各々、貯留個別供給路61により、他の貯留部23の貯留熱交換流路27の流入口部28、流出口部29と接続されている。具体的には、流出口部66Aは貯留個別供給路61Aを介して貯留熱交換流路27Bの流入口部64Bと接続され、貯留熱交換流路27Bの流出口部66Bは貯留個別供給路61Bを介して貯留熱交換流路27Cの流入口部64Cと接続され、貯留熱交換流路27Cの流出口部66Cは貯留個別供給路61Cを介して貯留熱交換流路27Dの流入口部64Dと接続され、貯留熱交換流路27Dの流出口部66Dは貯留個別供給路61Dを介して貯留熱交換流路64Aの流入口部64Aと接続されている。これにより、4個の貯留部23A〜23Dの貯留熱交換流路27A〜27Dが直列に接続された循環路の直接供給路68が構成されている。
貯留個別供給路61の各々の中央部には、貯留個別供給路61を開閉可能な開閉弁70(開閉弁70A〜70D)が設けられている。貯留個別供給路61の開閉弁70よりも流入口部64側には、ラジエータ14の出口側と接続された中温流入ポート72(中温流入ポート72A〜72D)、及び、室内熱交換器16の出口側と接続された低温流入ポート74(低温流入ポート74A〜74D)が設けられている。また、貯留個別供給路61の開閉弁70よりも流出口部66側には、ラジエータ14の入口側と接続された中温流出ポート76(中温流出ポート76A〜76D)、及び、室内熱交換器16の入口側と接続された低温流出ポート78(低温流出ポート78A〜78D)が設けられている。中温流入ポート72からはラジエータ14からの中温伝熱媒体が流入し、低温流入ポート74からは室内熱交換器16からの低温伝熱媒体が流入する。また、中温流出ポート76からは貯留部23を経た中温伝熱媒体がラジエータ14へ流出し、低温流出ポート78からは貯留部23を経た低温伝熱媒体が室内熱交換器16へ流出する。
中温流入ポート72には開閉弁71が設けられ、低温流出ポート74には開閉弁73が設けられ、中温流出ポート76には開閉弁75が設けられ、低温流入ポート78には開閉弁77が設けられている。開閉弁70、71、73、75、77は、電磁弁で構成され、各々図3に示されるように、制御部40に接続されている。開閉弁70、71、73、75、77は、後述の冷熱生成ループ46、凝縮ループ48が形成されるように、制御部40によって開閉が制御される。
次に、本実施形態のヒートポンプ10の運転について説明する。ヒートポンプ10の運転時には、4個の吸着器20の貯留部23には、各々異なる温度の流体が供給されて、高温冷熱生成HE、低温凝縮LC、高温凝縮HC、及び低温冷熱生成LE、となるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。高温冷熱生成HE及び低温冷熱生成LE、低温凝縮LC、及び高温凝縮HCでは、貯留部23は、貯留された水が蒸発して冷熱生成を行う冷熱生成モードとなる。低温凝縮LC、及び高温凝縮HCでは、貯留部23は、吸着材から脱離された水が凝縮される凝縮モードとなる。
一方、吸着器20の吸着部22のうちの2個の吸着部22には、ラジエータ14からの中温流体が供給される。中温流体が供給された吸着部22では、貯留部23から蒸発した水が吸着材で吸着される(吸着モード)。他の2個の吸着部22には、エンジン部12からの高温流体が供給される。高温流体が供給された吸着部22では、吸着材に吸着された水が脱離される(脱離モード)。
吸着器20の貯留部23が吸着部22が高温冷熱生成HE及び低温冷熱生成LEの時に、吸着部22は吸着モードとなる。また、吸着器20の貯留部23が低温凝縮LC及び高温凝縮HCの時に、吸着部22は脱離モードとなる。
高温冷熱生成HEでは、流出口部66から貯留部23へ室内熱交換器16から低温流体(温度T1−1)が供給される。このとき、吸着部22(反応熱交換流路24)へは、温度T2−1の中温流体が供給される。貯留部23に貯留された水は蒸発して吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。吸着モードの吸着部22(温度T2−1)と貯留部23(温度T1−1)の相対圧をφ1とすると、吸着部22での水の吸着は、図5に示されるグラフの、相対圧φ1まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q1となる。
低温冷熱生成LEでは、流出口部66から貯留部23(貯留熱交換流路27)へ、高温冷熱生成HEの貯留部23を経た低温流体が供給される。高温冷熱生成HEの貯留部23を経た低温流体の温度T1−2は、温度T1−1よりも低い。このとき、吸着モードの吸着部22へは、温度T2−1の中温流体が供給される。貯留部23に貯留された水は蒸発して吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。吸着モードの吸着部22(温度T2−1)と貯留部23(温度T1−2)の相対圧をφ2とすると、吸着部22での水の吸着は、図5に示されるグラフの、相対圧φ2まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q2となる。なお、相対圧φ2は、相対圧φ1よりも小さい。
低温凝縮LCでは、流入口部64から貯留部23へ、ラジエータ14から中温流体(温度T2−1)が供給される。脱離モードの吸着部22へは、温度T3−1の高温流体が供給される。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて液相になり、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。脱離モードの吸着部22(温度T3−1)と貯留部23(温度T2−1)の相対圧をφ3とすると、吸着部22での水の吸着は、図6に示されるグラフの、相対圧φ3まで行うことができる。なお、相対圧φ3は、相対圧φ1よりも小さい。
高温凝縮HCでは、入口部64から貯留部23へ、低温凝縮LCの貯留部23を経た中温流体が(温度T2−2)が供給される。脱離モードの吸着部22へは、高温流体(温度T3−2)が供給される。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。脱離モードの吸着部22(温度T3−2)と貯留部23(温度T2−2)の相対圧をφ4とすると、吸着部22での水の吸着は、図16に示されるグラフの、相対圧φ4まで行うことができる。なお、相対圧φ4は、相対圧φ3よりも大きく、相対圧φ1よりも小さい。
低温冷熱生成LEの貯留部23と高温冷熱生成HEの貯留部23は、これらの貯留熱交換流路27同士を連結する貯留個別供給路61の開閉弁70が開放されて、低温冷熱生成LEの流出口部66が高温冷熱生成HEの流入口部64と連通されることにより、貯留熱交換流路27同士が連通される。これにより、室内熱交換器16→低温冷熱生成LEの貯留部23→高温冷熱生成HEの貯留部23→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46が形成される(図4参照)。低温冷熱生成LEの貯留部23と高温冷熱生成HEの貯留部23は、冷熱生成モードとなる。高温冷熱生成HEの貯留部23は、冷熱生成ループ46において、室内熱交換器16を基準として、低温流体の入力の最も上流である上流位置SS1に配置される。低温冷熱生成LEの貯留部23は、冷熱生成ループ46において、室内熱交換器16を基準として、低温流体の入力の最も下流である下流位置SS2に配置されている。
低温凝縮LCの貯留部23と高温凝縮HCの貯留部23は、これらの貯留熱交換流路27同士を連結する貯留個別供給路61の開閉弁70が開放されて、低温凝縮LCの流出口部66が高温凝縮HCの流入口部64と連通されることにより、貯留熱交換流路27同士が連通される。これにより、ラジエータ14→低温凝縮LCの貯留部23→高温凝縮HCの貯留部23→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48が形成される(図4参照)。低温凝縮LCの貯留部23と高温凝縮HCの貯留部23は、凝縮モードとなる。低温凝縮LCの貯留部23は、凝縮ループ48において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も上流である上流位置CS1に配置される。高温凝縮HCの貯留部23は、凝縮ループ48において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も下流である下流位置CS2に配置されている。
そして、貯留部23A〜23Dは、低温冷熱生成LE、高温冷熱生成HE、高温凝縮HC、及び低温凝縮LC、が、この順番で切り換えられる。具体的には、冷熱生成ループ46の下流位置BS2→冷熱生成ループ46の上流位置BS1→凝縮ループ48流路の下流位置CS2→凝縮ループ48の上流位置CS1の順番で切り換えられる。
吸着部22で水を吸着することができる量は、図5に示されるように、高温冷熱生成HEに対応する吸着部22においてΔq2となり、低温冷熱生成LEに対応する吸着部22においてΔq2+Δq1となる。また、吸着部22から脱離される水の量は、図6に示されるように、低温凝縮LCにおいてΔq3となり、高温凝縮HCにおいてΔq3+Δq4となる。
4個の吸着部22及び貯留部23における運転パターンの組み合わせでは、それぞれ、図7に示されるように、第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3→第4パターンP4→第1パターンP1の順で繰り返されるように、運転が切り換えられる。
第1パターンP1では、貯留部23Aが高温冷熱生成HE、貯留部23Bが低温冷熱生成LE、貯留部23Cが低温凝縮LC、貯留部23Dが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図8に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70A、71B、77B、70C、73D、75Dを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23A→貯留部23B→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−P1が形成される。この冷熱生成ループ46−P1では、室内熱交換器16から貯留部23Aへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Aから貯留部23Bへ貯留部23Aを経た温度T1−2の低温流体が供給され、貯留部23Bから室内熱交換器16へ貯留部23Bを経た温度T1−3の低温流体が戻される。
一方、バルブ50A、52A、50B、52Bは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、吸着部22A、22Bには、ラジエータ14から温度T2−1の中温御流体が供給される。吸着部22Aでは、相対圧φ1まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。吸着熱により温度が上昇した温度T2−2の中温流体がラジエータ14へ戻される。
また、ラジエータ14→貯留部23C→貯留部23D→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−P1が形成される。この凝縮ループ48−P1では、ラジエータ14から貯留部23Cへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Cから貯留部23Dへ貯留部23Cを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Dからラジエータ14へ貯留部23Dを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
第2パターンP2では、貯留部23Bが高温冷熱生成HE、貯留部23Cが低温冷熱生成LE、貯留部23Dが低温凝縮LC、貯留部23Aが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図9に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70B、71C、77C、70D、73A、75Aを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23B→貯留部23C→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−P2が形成される。この冷熱生成ループ46−P2では、室内熱交換器16から貯留部23Bへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Bから貯留部23Cへ貯留部23Bを経た温度T1−2の低温流体が供給され、貯留部23Cから室内熱交換器16へ貯留部23Cを経た温度T1−3の低温流体が戻される。
一方、バルブ50B、52B、50C、52Cは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、吸着部22B、22Cには、ラジエータ14から温度T2−1の中温御流体が供給される。吸着部22Bでは、相対圧φ1まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。吸着熱により温度が上昇した温度T2−2の中温流体がラジエータ14へ戻される。
また、ラジエータ14→貯留部23D→貯留部23A→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−P2が形成される。この凝縮ループ48−P2では、ラジエータ14から貯留部23Dへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Dから貯留部23Aへ貯留部23Dを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Aからラジエータ14へ貯留部23Aを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
第3パターンP3では、貯留部23Cが高温冷熱生成HE、貯留部23Dが低温冷熱生成LE、貯留部23Aが低温凝縮LC、貯留部23Bが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図10に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70C、71D、77D、70A、73B、75Bを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23B→貯留部23C→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−P3が形成される。この冷熱生成ループ46−P3では、室内熱交換器16から貯留部23Cへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Cから貯留部23Dへ貯留部23Cを経た温度T1−2の低温流体が供給され、貯留部23Dから室内熱交換器16へ貯留部23Dを経た温度T1−3の低温流体が戻される。
一方、バルブ50C、52C、50D、52Dは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、吸着部22C、22Dには、ラジエータ14から温度T2−1の中温御流体が供給される。吸着部22Cでは、相対圧φ1まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。吸着熱により温度が上昇した温度T2−2の中温流体がラジエータ14へ戻される。
また、ラジエータ14→貯留部23A→貯留部23B→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−P3が形成される。この凝縮ループ48−P3では、ラジエータ14から貯留部23Aへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Aから貯留部23Bへ貯留部23Aを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Bからラジエータ14へ貯留部23Bを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
第4パターンP4では、貯留部23Dが高温冷熱生成HE、貯留部23Aが低温冷熱生成LE、貯留部23Bが低温凝縮LC、貯留部23Cが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図11に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70D、71A、77A、70B、73C、75Cを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23C→貯留部23D→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−P4が形成される。この冷熱生成ループ46−P4では、室内熱交換器16から貯留部23Dへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Dから貯留部23Aへ貯留部23Dを経た温度T1−2の低温流体が供給され、貯留部23Aから室内熱交換器16へ貯留部23Aを経た温度T1−3の低温流体が戻される。
一方、バルブ50D、52D、50A、52Aは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、吸着部22D、22Aには、ラジエータ14から温度T2−1の中温御流体が供給される。吸着部22Dでは、相対圧φ1まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。吸着熱により温度が上昇した温度T2−2の中温流体がラジエータ14へ戻される。
また、ラジエータ14→貯留部23B→貯留部23C→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−P4が形成される。この凝縮ループ48−P4では、ラジエータ14から貯留部23Bへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Bから貯留部23Cへ貯留部23Cを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Cからラジエータ14へ貯留部23Cを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
本実施形態のヒートポンプ10では、凝縮ループ48を構成することにより、ラジエータ14から出力される中温流体の温度T2−1とラジエータ14に戻される中温流体T2−3の温度差は、単体の貯留部23のみで熱交換を行った流体をラジエータ14へ戻す場合と比較して、大きくなる。したがって、ラジエータ14で、より多くの熱を放出することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、凝縮ループ48において、ラジエータ14と各貯留部23との位置(中温流体の通過順)によって、各貯留部23へ供給される中温流体の温度が異なる。冷熱生成ループ46においても、室内熱交換器16と各貯留部23との位置によって、各貯留部23へ供給される低温流体の温度が異なる。そして、凝縮ループ48及び冷熱生成ループ46において、各貯留部23の位置は、制御部40での開閉弁の制御により順次切換えられる。したがって、凝縮ループ、冷熱生成ループにおいて貯留部を通過する流体の温度が同じ場合と比較して、吸着材が水を吸着する相対圧帯、及び、吸着材から水を脱離させて吸着材を再生する相対圧帯が広くなる。これにより、吸着材と水との結合/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、貯留部23A〜23Dは、高温冷熱生成HE、高温凝縮HC、低温凝縮LC、及び低温冷熱生成LEが、この順番で切り換えられる。すなわち、冷熱生成ループ46の中の下流位置BS2→冷熱生成ループ46の中の上流位置BS1→凝縮ループ48の下流位置CS2→凝縮ループ48の中の上流位置CS1の順番で切り換えられる。したがって、図5に示されるように、対応する吸着部22では、吸着モードの時には、吸着材による水の吸着可能量は、吸着モードの前半よりも後半に多くなる。これにより、吸着部22は、最初に低温で吸着反応が行われてΔq2の吸着量で水が吸着され、その後、高温で吸着反応が行われてΔq1の吸着量で水が吸着される。
また、図6に示されるように、凝縮モードの時には、対応する吸着部22において、吸着材による水の吸着可能量は、脱離モードの前半よりも後半に少なくなる。これにより、吸着部22は、最初に低温で再生が行われてΔq3の水が脱離され、その後、高温で再生が行われてΔq4の水が脱離される。
このような順序で貯留部23のモードを切り換えることにより、吸着材による水の吸着、及び吸着材からの水の脱離を多段階で行い、吸着材と水との吸着/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、貯留個別供給路61A〜61Dに設けられた開閉弁70の切り換えによって、冷熱生成ループ46と凝縮ループ48を、簡単に構成することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図12に示されるように、本実施形態のヒートポンプ80は、吸着部22A〜22D同士の接続、及び、吸着部22A〜22Dとエンジン部12、ラジエータ14との接続、が第1実施形態と異なっている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
反応熱交換流路24の流路入口25、流路出口26は、各々、個別供給路21により、他の吸着部22の反応熱交換流路24の流路出口26、流路入口25と接続されている。具体的には、反応熱交換流路24Aの流路出口26Aは個別供給路21Aを介して反応熱交換流路24Bの流路入口25Bと接続され、反応熱交換流路24Bの流路出口26Bは個別供給路21Bを介して反応熱交換流路24Cの流路入口25Cと接続され、反応熱交換流路24Cの流路出口26Cは個別供給路21Cを介して反応熱交換流路24Dの流路入口25Dと接続され、反応熱交換流路24Dの流路出口26Dは個別供給路21Dを介して反応熱交換流路24Aの流路入口25Aと接続されている。これにより、4個の吸着部22A〜22Dの反応熱交換流路24A〜24Dが直列に接続された循環路である直列供給路18が構成されている。
個別供給路21の各々の中央部には、個別供給路21を開閉可能な開閉弁30(開閉弁30A〜30D)が設けられている。個別供給路21の開閉弁30よりも流路入口25側には、エンジン部12の出口側と接続された高温流入ポート32(高温流入ポート32A〜32D)、及び、ラジエータ14の出口側と接続された中温流入ポート34(中温流入ポート34A〜34D)が設けられている。また、個別供給路21の開閉弁30よりも流路出口26側には、エンジン部12の入口側と接続された高温流出ポート36(高温流出ポート36A〜36D)、及び、ラジエータ14の入口側と接続された中温流出ポート38(中温流出ポート38A〜38D)が設けられている。高温流入ポート32からはエンジン部12からの高温流体が流入し、中温流入ポート34からはラジエータ14からの中温流体が流入する。また、高温流出ポート36からは吸着部22を経た高温流体がエンジン部12へ流出し、中温流出ポート38からは吸着部22を経た中温流体がラジエータ14へ流出する。
高温流入ポート32には開閉弁31が設けられ、中温流入ポート34には開閉弁33が設けられ、高温流出ポート36には開閉弁35が設けられ、中温流出ポート38には開閉弁37が設けられている。開閉弁30、31、33、35、37は、電磁弁で構成され、各々図13に示されるように、切換部としての制御部40に接続されている。制御部40はCPU、メモリ、開閉弁や三方バルブを切り替えるドライバを含んで構成されている。制御部40は、予め記録されたプログラムに基づいて開閉弁や三方バルブを切り替えることで、ヒートポンプ10を作動させる。なお、開閉弁30、31、33、35、37は、後述の吸着ループ42、脱離ループ44(図14参照)が形成されるように、制御部40によって開閉が制御される。
次に、本実施形態のヒートポンプ80の運転について説明する。ヒートポンプ80の運転時には、4個の吸着器20の吸着部22には、各々異なる温度の流体が供給されて、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HD、となるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDは、各々本発明の第2結合モード、第1結合モード、第2脱離モード、及び第1脱離モードに対応している。高温吸着HA、低温吸着LAでは、吸着部22は、吸着材に水が吸着する吸着モードとなる。高温脱離HD、低温脱離LDでは、吸着部22は、吸着材から水が脱離される脱離モードとなる。
一方、貯留部23については、第1実施形態と同様に、4個の貯留部23には、各々異なる温度の流体が供給されて、高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LE、低温凝縮LC、及び高温凝縮HCとなるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。
なお、吸着器20の吸着部22が高温吸着HAの時に、貯留部23は低温冷熱生成LEとなり、吸着部22が低温吸着LAの時に、貯留部23は高温冷熱生成HLEとなり、吸着部22が高温脱離HDの時に、貯留部23は低温凝縮LCとなり、吸着部22が低温脱離LDの時に、貯留部23は高温凝縮HCとなる。
低温吸着LAでは、流路入口25から吸着部22へラジエータ14から中温流体が供給され、貯留部23へ室内熱交換器16から低温流体が供給される。ここで、図14に示されるように、ラジエータ14から出力される中温流体の温度をT2−1とし、室内熱交換器16から出力される低温流体の温度をT1−1とする。このとき、貯留部23に貯留された水が蒸発すると共に、蒸発した水は吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。貯留部23(貯留熱交換流路27)から出力される低温流体の温度T1−2は、温度T1−1よりも低温である。低温吸着LAの吸着部22(温度T2−1)と貯留部23(温度T1−1)の相対圧をφ5とすると、吸着部22での水の吸着は、図15に示されるグラフの、相対圧φ5まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q5となる。
高温吸着HAでは、流路入口25から吸着部22へ、低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体が供給され、貯留部23へ高温冷熱生成HEが行われている貯留部23を経た低温流体が供給される。低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度は、低温吸着LAが行われている吸着部22における吸着熱により加熱されているので、ラジエータ14からの中温流体の温度T2−1よりも高くなっている。ここで、低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度をT2−2とし、高温吸着HAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度をT2−3とする。このとき、貯留部23に貯留された水が蒸発すると共に、蒸発した水は吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。高温吸着HAの吸着部22(温度T2−2)と低温冷熱生成LEの貯留部23(温度T1−2)の相対圧をφ6とすると、吸着部22での水の吸着は、図15に示されるグラフの、相対圧φ6まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q6となる。なお、相対圧φ6は、相対圧φ5よりも小さい。
高温脱離HDでは、流路入口25から吸着部22へエンジン部12から高温流体が供給され、貯留部23へラジエータ14から中温流体が供給される。ここで、エンジン部12から出力される高温流体の温度をT3−1とする。ラジエータ14からから出力される中温流体の温度は前述のようにT2−1である。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、中温流体の温度が上昇する。貯留部23から出力される中温流体の温度は、T2−1よりも高いT2−2となる。高温脱離HDの吸着部22(温度T3−1)と貯留部23(温度T2−2)の相対圧をφ7とすると、吸着部22での水の吸着可能量(吸着の限界量)はQ7となり、吸着部22に吸着されていた水が脱離される。なお、相対圧φ7は、相対圧φ5よりも小さい。
低温脱離LDでは、流路入口25から吸着部22へ、高温脱離HDが行われている吸着部22を経た高温流体が供給され、貯留部23へ低温凝縮LCが行われている貯留部23を経た中温流体が供給される。この高温流体の温度は、高温脱離HDが行われている吸着部22における吸着材の再生により吸熱されているので、エンジン部12からの高温流体の温度よりも低くなっている。この高温脱離HDが行われている吸着部22を経た高温流体の温度をT3−4とする。また、低温脱離LDが行われている吸着部22を経た高温流体の温度をT3−3とする。低温凝縮LCが行われている貯留部23を経た中温流体中温流体の温度は前述のようにT2−2である。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮され、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。貯留部23から出力されてラジエータ14へ戻る中温流体の温度は、T2−2よりも高いT2−3となる。低温脱離LDの吸着部22(温度T3−3)と貯留部23(温度T2−2)の相対圧をφ8とすると、吸着部22での水の吸着可能量はQ8となり、吸着部22に吸着されていた水が脱離される。なお、相対圧φ8は、相対圧φ7よりも大きく、相対圧φ5よりも小さい。
低温吸着LAの吸着部22と高温吸着HAの吸着部22は、これらの反応熱交換流路24同士を連結する個別供給路21の開閉弁30が開放されて、低温吸着LAの流路出口26が高温吸着HAの流路入口25と連通されることにより、互いの反応熱交換流路24同士が直列に連通される。これにより、ラジエータ14→低温吸着LAの吸着部22→高温吸着HAの吸着部22→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42が形成される(図14参照)。低温吸着LAの吸着部22と高温吸着HAの吸着部22は、吸着モードとなる。低温吸着LAの吸着部22は、吸着ループ42において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も上流である上流位置RS1に配置されている。高温吸着HAの吸着部22は、吸着ループ42において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も下流である下流位置RS2に配置されている。
高温脱離HDの吸着部22と低温脱離LDの吸着部22は、これらの反応熱交換流路24同士を連結する個別供給路21の開閉弁30が開放されて、高温吸着HAの流路出口26が低温吸着LDの流路入口25と連通されることにより、反応熱交換流路24同士が直列に連通される。これにより、エンジン部12→高温脱離HDの吸着部22→低温脱離LDの吸着部22→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44が形成される(図14参照)。高温脱離HDの吸着部22と低温脱離LDの吸着部22は、脱離モードとなる。高温脱離HDの吸着部22は、脱離ループ44において、エンジン部12を基準として、高温流体の入力の最も上流である上流位置ES1に配置される。低温脱離LDの吸着部22は、脱離ループ44において、エンジン部12を基準として、高温流体の入力の最も下流である下流位置ES2に配置されている。
そして、吸着部22A〜22Dは、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDが、この順番で切り換えられ、繰り返される。具体的には、吸着ループ42の下流位置RS1→吸着ループ42の上流位置RS2→脱離ループ44の下流位置ES2→脱離ループ44の上流位置ES1の順番で切り換えられる。
吸着部22で水を吸着することができる量は、図15に示されるように、高温吸着HAにおいてΔq6となり、低温吸着LAにおいてΔq5となる。また、吸着部22から脱離される水の量は、図16に示されるように、低温脱離LDにおいてΔq8となり、高温脱離HDにおいてΔq7となる。
4個の吸着部22及び貯留部23における運転パターンの組み合わせでは、それぞれ、図17に示されるように、第1パターンPP1→第2パターンPP2→第3パターンPP3→第4パターンPP4→第1パターンPP1の順で繰り返されるように、運転が切り換えられる。なお、貯留部23の運転切り換えについては、第1実施形態の第1パターンP1〜第4パターンP4と同様である。以下、吸着部22の運転切り換えについて説明する。
第1パターンPP1では、吸着部22Aが低温吸着LA、吸着部22Bが高温吸着HA、吸着部22Cが高温脱離HD、吸着部22Dが低温脱離LD、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図18に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30A、31B、37B、30C、33D、35Dを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、ラジエータ14→吸着部22A→吸着部22B→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−PP1が形成される。この吸着ループ42−PP1では、ラジエータ14から吸着部22Aへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Aから吸着部22Bへ吸着部22Aを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Bからラジエータ14へ吸着部22Bを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
なお、対応する貯留部23A、23Bでは、第1実施形態と同様にして高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LEが行われる。
また、エンジン部12→吸着部22C→吸着部22D→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−PP1が形成される。この脱離ループ44−PP1では、エンジン部12から吸着部22Cへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Cから吸着部22Dへ吸着部22Cを経た温度T3−3の高温流体が供給され、吸着部22Dからエンジン部12へ吸着部22Dを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
なお、対応する貯留部23C、23Dでは、第1実施形態と同様にして低温凝縮LC、高温凝縮HCが行われる。
第2パターンPP2では、吸着部22Bが低温吸着LA、吸着部22Cが高温吸着HA、吸着部22Dが高温脱離HD、吸着部22Aが低温脱離LD、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図19に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30B、31C、37C、30D、33A、35Aを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、ラジエータ14→吸着部22B→吸着部22C→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−PP2が形成される。この吸着ループ42−PP2では、ラジエータ14から吸着部22Bへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Bから吸着部22Cへ吸着部22Bを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Cからラジエータ14へ吸着部22Cを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
なお、対応する貯留部23B、23Cでは、第1実施形態と同様にして高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LEが行われる。
また、エンジン部12→吸着部22D→吸着部22A→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−PP2が形成される。この脱離ループ44−PP2では、エンジン部12から吸着部22Dへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Dから吸着部22Aへ吸着部22Dを経た温度T3−3の高温流体が供給され、吸着部22Aからエンジン部12へ吸着部22Aを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
なお、対応する貯留部23D、23Aでは、第1実施形態と同様にして低温凝縮LC、高温凝縮HCが行われる。
第3パターンPP3では、吸着部22Cが低温吸着LA、吸着部22Dが高温吸着HA、吸着部22Aが高温脱離HD、吸着部22Bが低温脱離LD、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図20に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30C、31D、37D、30A、33B、35Bを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、ラジエータ14→吸着部22C→吸着部22D→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−PP3が形成される。この吸着ループ42−PP3では、ラジエータ14から吸着部22Cへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Cから吸着部22Dへ吸着部22Cを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Dからラジエータ14へ吸着部22Dを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
なお、対応する貯留部23C、23Dでは、第1実施形態と同様にして高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LEが行われる。
また、エンジン部12→吸着部22A→吸着部22B→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−PP3が形成される。この脱離ループ44−PP3では、エンジン部12から吸着部22Aへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Aから吸着部22Bへ吸着部22Aを経た温度T3−3の高温流体が供給され、吸着部22Bからエンジン部12へ吸着部22Bを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
なお、対応する貯留部23A、23Bでは、第1実施形態と同様にして低温凝縮LC、高温凝縮HCが行われる。
第4パターンPP4では、吸着部22Dが低温吸着LA、吸着部22Aが高温吸着HA、吸着部22Bが高温脱離HD、吸着部22Cが低温脱離LD、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図21に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30D、31A、37A、30B、33C、35Cを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、ラジエータ14→吸着部22D→吸着部22A→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−PP4が形成される。この吸着ループ42−PP4では、ラジエータ14から吸着部22Dへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Dから吸着部22Aへ吸着部22Dを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Aからラジエータ14へ吸着部22Aを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
なお、対応する貯留部23D、23Aでは、第1実施形態と同様にして高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LEが行われる。
また、エンジン部12→吸着部22B→吸着部22C→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−PP4が形成される。この脱離ループ44−PP4では、エンジン部12から吸着部22Bへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Bから吸着部22Cへ吸着部22Bを経た温度T3−3の高温流体が供給され、吸着部22Cからエンジン部12へ吸着部22Cを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
なお、対応する貯留部23B、23Cでは、第1実施形態と同様にして低温凝縮LC、高温凝縮HCが行われる。
本実施形態のヒートポンプ80では、吸着ループ42を構成することにより、ラジエータ14から出力される中温流体の温度T2−1とラジエータ14に戻される中温流体T2−3の温度差は、単体の吸着部22のみで熱交換を行った流体をラジエータ14へ戻す場合と比較して、大きくなる。したがって、ラジエータ14で、より多くの熱を放出することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ80では、吸着ループ42において、ラジエータ14と各吸着部22との位置(中温流体の通過順)によって、各吸着部22へ供給される中温流体の温度が異なる。脱離ループ44においても、エンジン部12と各吸着部22との位置によって、各吸着部22へ供給される高温流体の温度が異なる。そして、吸着ループ42及び脱離ループ44において、各吸着部22の位置は、制御部40での開閉弁の制御により順次切換えられる。したがって、吸着ループ、脱離ループにおいて吸着部を通過する流体の温度が同じ場合と比較して、吸着材が水を吸着する相対圧帯、及び、吸着材から水を脱離させて吸着材を再生する相対圧帯が広くなる。これにより、吸着材と水との結合/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、吸着部22A〜22Dは、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDが、この順番で切り換えられる。すなわち、吸着ループ42の中の下流位置RS2→吸着ループ42の中の上流位置RS1→脱離ループ44の下流位置ES2→脱離ループ44の中の上流位置ES1の順番で、切り換えられる。したがって、図15に示されるように、吸着モードの時には、吸着材による水の吸着可能量は、吸着モードの前半よりも後半に多くなる。これにより、吸着部22は、最初に高温で吸着反応が行われてΔq6の吸着量で水が吸着され、その後、低温で吸着反応が行われてΔq5の吸着量で水が吸着される。
また、本実施形態では、図16に示されるように、脱離モードの時には、吸着材による水の吸着可能量は、脱離モードの前半よりも後半に少なくなる。これにより、吸着部22は、最初に低温で再生が行われてΔq8の水が脱離され、その後、高温で再生が行われてΔq7の水が脱離される。
このような順序で吸着部22のモードを切り換えることにより、吸着材による水の吸着、及び吸着材からの水の脱離を多段階で行い、吸着材と水との吸着/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
さらに、本実施形態では、吸着部22が低温吸着LA(ラジエータ14を基準にして、最も上流側)の時に、貯留部23が高温冷熱生成HE(室内熱交換器16を基準にして最も上流側)となるので、相対圧φ5を大きくすることができ、吸着部22に収納された吸着材での水の吸着量Q5を多くすることができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、個別供給路21A〜21Dに設けられた開閉弁30の切り換えによって、吸着ループ42と脱離ループ44を、簡単に構成することができる。
なお、上記の第1、第2実施形態では、反応材として熱媒を吸着する吸着材を用いた例について説明したが、本発明のヒートポンプ、冷熱生成方法においては、他の反応材を用いてもよい。例えば、化学反応により熱媒と結合すると共に、可逆反応で熱媒を脱離させる物質(例えば、熱媒として水を用いる場合、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び酸化バリウム(BaO)、熱媒としてアンモニアを用いる場合、塩化リチウム(LiCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ストロンチウム(SrCl2)、塩化バリウム(BaCl2)、塩化マンガン(MnCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、及び塩化ニッケル(NiCl2)など)を用いることもできる。また、熱媒として水素を用いると共に、水素吸蔵合金を反応材として用いることもできる。