[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両搭載用ヒートポンプ(以下「ヒートポンプ10」と称する)の概略構成図が示されている。ヒートポンプ10は、車両に搭載されており、車両のエンジン部12、ラジエータ14、及び、エアーコンディショナー用の室内熱交換器16と接続されている。
エンジン部12は、エンジンからのエンジン冷却水の循環路に設けられた部分であり、温度80℃〜130℃程度の、後述する吸着材の脱離温度(再生温度)よりも高温の高温流体をヒートポンプ10へ供給する。ラジエータ14は、外気との熱交換による冷却後の温度20℃〜35℃の、後述する吸着材の脱離温度よりも低温の中温流体をヒートポンプ10へ供給する。室内熱交換器16は、ヒートポンプ10で生成された冷熱を車室内に供給し、熱交換の行われた低温流体(10℃〜20℃程度)をヒートポンプ10へ戻す。
ヒートポンプ10は、反応器として、4個の吸着器20A、20B、20C、20Dを備えている。吸着器20A〜20Dは、同一構成であり、以下、これらをまとめて吸着器20と称し、各部の符号の末尾にA〜Dを付してこれらを区別する。吸着器20は、反応部としての吸着部22と、貯留部23とを有している。吸着部22には、吸着材が配置されている。吸着材は、熱媒としての水を吸着/脱離するものであり、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト等を用いることができる。吸着材は、後述する結合モードとしての吸着モード時には、貯留部23からの熱媒を吸着し、脱離モードとしての再生モード時には吸着した熱媒を脱離(脱着)する。図2には、本実施形態で用いる吸着材の吸着特性を示すグラフが示されている。吸着材としては、狭い相対圧の範囲内で吸着量の変化が大きくなる吸着特性を有するものを用いることが好ましい。
吸着部22には、反応熱交換流路24が設けられている。反応熱交換流路24は、吸着部22と隔離されつつ熱交換を行うことが可能に設けられており、流体が内部を流通する流路とされている。反応熱交換流路24は、流体が流入する流路入口25と、熱交換後の流体が流出する流路出口26を有している。流路入口25、流路出口26は、各々、個別供給路21により、他の吸着部22の反応熱交換流路24の流路出口26、流路入口25と接続されている。具体的には、反応熱交換流路24Aの流路出口26Aは個別供給路21Aを介して反応熱交換流路24Bの流路入口25Bと接続され、反応熱交換流路24Bの流路出口26Bは個別供給路21Bを介して反応熱交換流路24Cの流路入口25Cと接続され、反応熱交換流路24Cの流路出口26Cは個別供給路21Cを介して反応熱交換流路24Dの流路入口25Dと接続され、反応熱交換流路24Dの流路出口26Dは個別供給路21Dを介して反応熱交換流路24Aの流路入口25Aと接続されている。これにより、4個の吸着部22A〜22Dの反応熱交換流路24A〜24Dが直列に接続された循環路である直列供給路18が構成されている。
個別供給路21の各々の中央部には、個別供給路21を開閉可能な開閉弁30(開閉弁30A〜30D)が設けられている。個別供給路21の開閉弁30よりも流路入口25側には、エンジン部12の出口側と接続された高温流入ポート32(高温流入ポート32A〜32D)、及び、ラジエータ14の出口側と接続された中温流入ポート34(中温流入ポート34A〜34D)が設けられている。また、個別供給路21の開閉弁30よりも流路出口26側には、エンジン部12の入口側と接続された高温流出ポート36(高温流出ポート36A〜36D)、及び、ラジエータ14の入口側と接続された中温流出ポート38(中温流出ポート38A〜38D)が設けられている。高温流入ポート32からはエンジン部12からの高温流体が流入し、中温流入ポート34からはラジエータ14からの中温流体が流入する。また、高温流出ポート36からは吸着部22を経た高温流体がエンジン部12へ流出し、中温流出ポート38からは吸着部22を経た中温流体がラジエータ14へ流出する。
高温流入ポート32には開閉弁31が設けられ、中温流入ポート34には開閉弁33が設けられ、高温流出ポート36には開閉弁35が設けられ、中温流出ポート38には開閉弁37が設けられている。
また、ラジエータ14の中温流出ポート38と連通された入力口部14Aの手前には、中温流出ポート38からの中温流体を分岐させてラジエータ14の出力口部14Bへ直接連通させたバイパス路17が設けられている。バイパス路17の一端は入力口部14Aと連通され、他端は出力口14Bと連通されている。入力口部14Aとバイパス路17の分岐部には、バルブ39が設けられている。バルブ39は、中温流出ポート38を入力口部14A又はバイパス路17のいずれかと連通させるように切り換える三方弁である。
開閉弁30、31、33、35、37、及びバルブ39は、電磁弁で構成され、各々図3に示されるように、切換部としての制御部40に接続されている。制御部40はCPU、メモリ、開閉弁や三方バルブを切り替えるドライバを含んで構成されている。制御部40は、予め記録されたプログラムに基づいて開閉弁や三方バルブを切り替えることで、ヒートポンプ10を作動させる。なお、開閉弁30、31、33、35、37は、後述の吸着ループ42、脱離ループ44(図4参照)が形成されるように、制御部40によって開閉が制御される。また、バルブ39は、後述する第1熱交換CG1、第2熱交換CG2の時以外には、ラジエータ14の入力口14A側が開放されるように制御部40によって制御される。
貯留部23には、熱媒としての液相の水が貯留されている。貯留部23は、吸着部22よりも下方に設けられ、吸着部22と常時連通されている。吸着モード時には、貯留部23から水が蒸発して吸着部22の吸着材に吸着される。脱離モード時には吸着部22の吸着材から脱離されて凝縮した水を貯留する。なお、貯留部23内は、減圧または真空状態とされている。貯留部23は、ヒートポンプにおいて、所謂、蒸発器と凝縮器の機能を兼ねている。
貯留部23には、貯留熱交換流路27が設けられている。貯留熱交換流路27は、貯留部23と隔離されつつ熱交換を行うことが可能に設けられており、伝熱媒体用の流体としての水が内部を流通する流路とされている。貯留熱交換流路27は、中温流体及び低温流体が流入する流入口部28と、熱交換後の水が流出する流出口部29を有している。流入口部28は、切換弁であるバルブ60を介して室内熱交換器16、ラジエータ14と接続され、流出口部29は、切換弁であるバルブ62を介して室内熱交換器16、ラジエータ14と接続されている。バルブ60、62は、三方バルブとされており、制御部40と接続され、制御部40によってラジエータ14と連通するか室内熱交換器16と連通するかが制御される。
次に、本実施形態のヒートポンプ10の運転について説明する。ヒートポンプ10の運転時には、4個の吸着器20の吸着部22には、各々異なる温度の流体が供給されて、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HD、となるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDは、各々本発明の第2結合モード、第1結合モード、第2脱離モード、及び第1脱離モードに対応している。高温吸着HA、低温吸着LAでは、吸着部22は、吸着材に水が吸着する吸着モードとなる。高温脱離HD、低温脱離LDでは、吸着部22は、吸着材から水が脱離される脱離モードとなる。
低温吸着LAでは、流路入口25から吸着部22へラジエータ14から中温流体が供給され、貯留部23へ室内熱交換器16から低温流体が供給される。ここで、図4に示されるように、ラジエータ14から出力される中温流体の温度をT2−1とし、室内熱交換器16から出力される低温流体の温度をT1−1とする。このとき、貯留部23に貯留された水が蒸発すると共に、蒸発した水は吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。貯留部23(貯留熱交換流路27)から出力されて室内熱交換器16へ戻る低温流体の温度をT1−2とする。温度T1−2は、温度T1−1よりも低温である。低温吸着LAの吸着部22(温度T2−1)と貯留部23(温度T1−1)の相対圧をφ1とすると、吸着部22での水の吸着は、図5に示されるグラフの、相対圧φ1まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q1となる。
高温吸着HAでは、流路入口25から吸着部22へ、低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体が供給され、貯留部23へ室内熱交換器16から低温流体が供給される。低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度は、低温吸着LAが行われている吸着部22における吸着熱により加熱されているので、ラジエータ14からの中温流体の温度T2−1よりも高くなっている。ここで、低温吸着LAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度をT2−2とし、高温吸着HAが行われている吸着部22を経た中温流体の温度をT2−3とする。このとき、貯留部23に貯留された水が蒸発すると共に、蒸発した水は吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。高温吸着HAの吸着部22(温度T2−2)と貯留部23(温度T1−1)の相対圧をφ2とすると、吸着部22での水の吸着は、図5に示されるグラフの、相対圧φ2まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q2となる。なお、相対圧φ2は、相対圧φ1よりも小さい。
高温脱離HDでは、流路入口25から吸着部22へエンジン部12から高温流体が供給され、貯留部23へラジエータ14から中温流体が供給される。ここで、エンジン部12から出力される高温流体の温度をT3−1とする。ラジエータ14からから出力される中温流体の温度は前述のようにT2−1である。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、中温流体の温度が上昇する。貯留部23から出力されてラジエータ14へ戻る中温流体の温度は、T2−1よりも高いT2−4となる。高温脱離HDの吸着部22(温度T3−1)と貯留部23(温度T2−1)の相対圧をφ3とすると、吸着部22での水の吸着可能量(吸着の限界量)はQ3となり、吸着部22に吸着されていた水が脱離される。なお、相対圧φ3は、相対圧φ2よりも小さい。
低温脱離LDでは、流路入口25から吸着部22へ、高温脱離HDが行われている吸着部22を経た高温流体が供給され、貯留部23へラジエータ14から中温流体が供給される。この高温流体の温度は、高温脱離HDが行われている吸着部22における吸着材の再生により吸熱されているので、エンジン部12からの高温流体の温度よりも低くなっている。この高温脱離HDが行われている吸着部22を経た高温流体の温度をT3−2とする。また、低温脱離LDが行われている吸着部22を経た高温流体の温度をT3−3とする。ラジエータ14からから出力される中温流体の温度は前述のようにT2−1である。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮され、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。貯留部23から出力されてラジエータ14へ戻る中温流体の温度は、T2−1よりも高いT2−4となる。低温脱離LDの吸着部22(温度T3−2)と貯留部23(温度T2−1)の相対圧をφ4とすると、吸着部22での水の吸着可能量はQ4となり、吸着部22に吸着されていた水が脱離される。なお、相対圧φ4は、相対圧φ3よりも大きく、相対圧φ1よりも小さい。
低温吸着LAの吸着部22と高温吸着HAの吸着部22は、これらの反応熱交換流路24同士を連結する個別供給路21の開閉弁30が開放されて、低温吸着LAの流路出口26が高温吸着HAの流路入口25と連通されることにより、互いの反応熱交換流路24同士が直列に連通される。これにより、ラジエータ14→低温吸着LAの吸着部22→高温吸着HAの吸着部22→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42が形成される(図4参照)。低温吸着LAの吸着部22と高温吸着HAの吸着部22は、吸着モードとなる。低温吸着LAの吸着部22は、吸着ループ42において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も上流である上流位置RS1に配置されている。高温吸着HAの吸着部22は、吸着ループ42において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も下流である下流位置RS2に配置されている。
高温脱離HDの吸着部22と低温脱離LDの吸着部22は、これらの反応熱交換流路24同士を連結する個別供給路21の開閉弁30が開放されて、高温吸着HDの流路出口26が低温吸着LDの流路入口25と連通されることにより、反応熱交換流路24同士が直列に連通される。これにより、エンジン部12→高温脱離HDの吸着部22→低温脱離LAの吸着部22→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44が形成される(図4参照)。高温脱離HDの吸着部22と低温脱離LDの吸着部22は、脱離モードとなる。高温脱離HDの吸着部22は、脱離ループ44において、エンジン部12を基準として、高温流体の入力の最も上流である上流位置ES1に配置される。低温脱離LDの吸着部22は、脱離ループ44において、エンジン部12を基準として、高温流体の入力の最も下流である下流位置ES2に配置されている。
そして、吸着部22A〜22Dは、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDが、この順番で切り換えられ、繰り返される。具体的には、吸着ループ42の下流位置RS1→吸着ループ42の上流位置RS2→脱離ループ44の下流位置ES2→脱離ループ44の上流位置ES1の順番で切り換えられる。
吸着部22で水を吸着することができる量は、図5に示されるように、高温吸着HAにおいてΔq2となり、低温吸着LAにおいてΔq1となる。また、吸着部22から脱離される水の量は、図6に示されるように、低温脱離LDにおいてΔq3となり、高温脱離HDにおいてΔq4となる。
上記の吸着部22の移動の直前には、第1熱交換CG1、第2熱交換CG2が行われる。第1熱交換CG1は、低温吸着LAの吸着部22と高温吸着HAの吸着部22の間で、互いの反応熱交換流路24が連通されて熱交換が行われる。具体的には、バルブ39の切り換えによりバイパス路17が中温流出ポート38と連通される。これにより、ラジエータ14→低温吸着LAの吸着部22→高温吸着HAの吸着部22→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42からラジエータ14が外れ、高温吸着HAの吸着部22→バイパス路17→低温吸着LAの吸着部22→高温吸着HAの吸着部22の順で中温流体が循環する。
第2熱交換CG2は、低温吸着LAの吸着部22と高温脱離HDの吸着部22の間で、互いの反応熱交換流路24が連通されて熱交換が行われる。具体的には、開閉弁30はすべて閉鎖され、低温吸着LAの吸着部22からの中温流体を流出させる中温流出ポート38、高温脱離HDの吸着部22からの高温流体を流出させる高温流出ポート36が開放され、低温吸着LAの吸着部22への中温流体を流出させる中温流入ポート32、高温脱離HDの吸着部22への高温流体を流入させる高温流入ポート34が開放される。また、低温脱離LDの吸着部22へ高温流体を流入させる高温流入ポート32、及び、低温脱離LDの吸着部22から高温流体を流出させる高温流出ポート36が開放される。バルブ39は、バイパス路17が中温流出ポート38と連通されるように切り換えられる。そして、その他の開閉弁は、閉鎖される。これにより、低温吸着LA及び高温脱離HDの吸着部22→バイパス路17→低温吸着LA及び高温脱離HDの吸着部22の順に中温流体と高温流体が混合されて循環する。また、低温吸着LAの吸着部22には、流体の流入/流出はなく(流出入停止)、低温脱離LDの吸着部22では、エンジン部12との間で高温流体の循環が行われる(高温流体循環)。
4個の吸着器20における運転パターンの組み合わせでは、それぞれ、図7に示されるように、第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3→第4パターンP4→第1パターンP1の順で繰り返されるように、運転が切り換えられる。
第1パターンP1では、吸着部22Aが低温吸着LA、吸着部22Bが高温吸着HA、吸着部22Cが高温脱離HD、吸着部22Dが低温脱離LA、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図8に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30A、31B、37B、30C、33D、35Dを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、ラジエータ14→吸着部22A→吸着部22B→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−P1が形成される。この吸着ループ42−P1では、ラジエータ14から吸着部22Aへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Aから吸着部22Bへ吸着部22Aを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Bからラジエータ14へ吸着部22Bを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ1まで水の吸着が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。
なお、バルブ60A、62A、60B、62Bは、室内熱交換器16と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23A、23Bには、室内熱交換器16から温度T1−1の低温流体が供給される。そして、貯留部23A、23Bでは冷熱生成され、貯留部23A、23Bから温度T1−2の低温流体が室内熱交換器16に戻される。
また、エンジン部12→吸着部22C→吸着部22D→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−P1が形成される。この脱離ループ44−P1では、エンジン部12から吸着部22Cへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Cから吸着部22Dへ吸着部22Cを経た温度T3−2の高温流体が供給され、吸着部22Dからエンジン部12へ吸着部22Dを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
なお、バルブ60C、62C、60D、62Dは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23C、23Dには、ラジエータ14から温度T2−1の中温流体が供給される。そして、貯留部23C、23Dでは吸着材から脱離された水が凝縮され、貯留部23C、23Dから、凝縮熱により加熱された温度T2−4の中温流体がラジエータ14に戻される。
次に、吸着部22Aと吸着部22Bの間で、第1熱交換CG1が行われる。具体的には、バルブ39がバイパス路17側を開放するように切り換えられる。これにより、吸着部22Aと吸着部22Bの間で中温流体が循環する。
続いて、吸着部22Aと吸着部22Cの間で、第2熱交換CG2が行われる。具体的には、図9に示されるように、開放されていた開閉弁30A、30C、37B、31Bを閉鎖し、閉鎖されていた開閉弁37A、33B、31C、37Cを開放する。すなわち、開閉弁37A、33B、37C、31C、35D、33Dが開放され、その他の開放弁が閉鎖される。バルブ39はバイパス路17側の開放が維持される。これにより、吸着部22Aと吸着部22Cの間で流体が循環する。吸着部22Bへの流体の供給は停止状態となり、吸着部22Dには、エンジン部12からの高温流体が循環する。
第1パターンの終了時に、バルブ39は、入力口部14A側が開放するように切り換えられる。
第2パターンP2では、吸着部22Bが低温吸着LA、吸着部22Cが高温吸着HA、吸着部22Dが高温脱離HD、吸着部22Aが低温脱離LA、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図10に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30B、31C、37C、30D、33A、35Aを開放し、その他を閉鎖する。これにより、ラジエータ14→吸着部22B→吸着部22C→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−P2が形成される。この吸着ループ42−P2では、ラジエータ14から吸着部22Bへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Bから吸着部22Cへ吸着部22Bを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Cからラジエータ14へ吸着部22Cを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ1まで水の吸着が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。
なお、バルブ60B、62B、62C、62Cは、室内熱交換器16と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23B、23Cには、室内熱交換器16から温度T1−1の低温流体が供給される。そして、貯留部23B、23Cでは冷熱生成され、貯留部23B、23Cから温度T1−2の低温流体が室内熱交換器16に戻される。
また、エンジン部12→吸着部22D→吸着部22A→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−P2が形成される。この脱離ループ44−P2では、エンジン部12から吸着部22Dへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Dから吸着部22Aへ吸着部22Dを経た温度T3−2の高温流体が供給され、吸着部22Aからエンジン部12へ吸着部22Aを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
なお、バルブ60D、62D、60A、62Aは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23D、23Aには、ラジエータ14から温度T2−1の中温流体が供給される。そして、貯留部23D、23Aでは吸着材から脱離された水が凝縮され、貯留部23D、23Aから、凝縮熱により加熱された温度T2−2の中温流体がラジエータ14に戻される。
次に、吸着部22Bと吸着部22Cの間で、第1熱交換CG1が行われる。具体的には、バルブ39がバイパス路17側を開放するように切り換えられる。これにより、吸着部22Bと吸着部22Cの間で中温流体が循環する。
続いて、吸着部22Bと吸着部22Dの間で、第2熱交換CG2が行われる。具体的には、図11に示されるように、開放されていた開閉弁30B、30D、37C、31Cを閉鎖し、閉鎖されていた開閉弁37B、33C、31D、37Dを開放する。すなわち、開閉弁37B、33C、37D、31D、35A、33Aが開放され、その他の開放弁が閉鎖される。バルブ39はバイパス路17側の開放が維持される。これにより、吸着部22Bと吸着部22Dの間で流体が循環する。吸着部22Cへの流体の供給は停止状態となり、吸着部22Aには、エンジン部12からの高温流体が循環する。
第1パターンの終了時に、バルブ39は、入力口部14A側が開放するように切り換えられる。
第3パターンP3では、吸着部22Cが低温吸着LA、吸着部22Dが高温吸着HA、吸着部22Aが高温脱離HD、吸着部22Bが低温脱離LA、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図12に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30C、31D、37D、30A、33B、35Bを開放し、その他を閉鎖する。これにより、ラジエータ14→吸着部22C→吸着部22D→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−P3が形成される。この吸着ループ42−P3では、ラジエータ14から吸着部22Cへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Cから吸着部22Dへ吸着部22Cを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Dからラジエータ14へ吸着部22Dを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ1まで水の吸着が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。
なお、バルブ60C、62C、62D、62Dは、室内熱交換器16と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23C、23Dには、室内熱交換器16から温度T1−1の低温流体が供給される。そして、貯留部23C、23Dでは冷熱生成され、貯留部23C、23Dから温度T1−2の低温流体が室内熱交換器16に戻される。
また、エンジン部12→吸着部22A→吸着部22B→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−P3が形成される。この脱離ループ44−P3では、エンジン部12から吸着部22Aへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Aから吸着部22Bへ吸着部22Aを経た温度T3−2の高温流体が供給され、吸着部22Bからエンジン部12へ吸着部22Bを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
なお、バルブ60A、62A、60B、62Bは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23A、23Bには、ラジエータ14から温度T2−1の中温流体が供給される。そして、貯留部23A、23Bでは吸着材から脱離された水が凝縮され、貯留部23A、23Bから、凝縮熱により加熱された温度T2−4の中温流体がラジエータ14に戻される。
次に、吸着部22Cと吸着部22Dの間で、第1熱交換CG1が行われる。具体的には、バルブ39がバイパス路17側を開放するように切り換えられる。これにより、吸着部22Cと吸着部22Dの間で中温流体が循環する。
続いて、吸着部22Cと吸着部22Aの間で、第2熱交換CG2が行われる。具体的には、図13に示されるように、開放されていた開閉弁30C、30A、37D、31Dを閉鎖し、閉鎖されていた開閉弁37C、33D、31A、37Aを開放する。すなわち、開閉弁37C、33D、37A、31A、35B、33Bが開放され、その他の開放弁が閉鎖される。バルブ39はバイパス路17側の開放が維持される。これにより、吸着部22Cと吸着部22Aの間で流体が循環する。吸着部22Dへの流体の供給は停止状態となり、吸着部22Bには、エンジン部12からの高温流体が循環する。
第1パターンの終了時に、バルブ39は、入力口部14A側が開放するように切り換えられる。
第4パターンP4では、吸着部22Dが低温吸着LA、吸着部22Aが高温吸着HA、吸着部22Bが高温脱離HD、吸着部22Cが低温脱離LA、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図14に示すように、開閉弁30(A〜D)、31(A〜D)、33(A〜D)、35(A〜D)、37(A〜D)の内、開閉弁30D、31A、37A、30B、33C、35Cを開放し、その他を閉鎖する。これにより、ラジエータ14→吸着部22D→吸着部22A→ラジエータ14の順に中温流体が循環する吸着ループ42−P4が形成される。この吸着ループ42−P4では、ラジエータ14から吸着部22Dへ温度T2−1の中温流体が供給され、吸着部22Dから吸着部22Aへ吸着部22Dを経た温度T2−2の中温流体が供給され、吸着部22Aからラジエータ14へ吸着部22Aを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ1まで水の吸着が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ2まで水の吸着が行われる。
なお、バルブ60D、62D、62A、62Aは、室内熱交換器16と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23D、23Aには、室内熱交換器16から温度T1−1の低温流体が供給される。そして、貯留部23D、23Aでは冷熱生成され、貯留部23C、23Dから温度T1−2の低温流体が室内熱交換器16に戻される。
また、エンジン部12→吸着部22B→吸着部22C→エンジン部12の順に高温流体が循環する脱離ループ44−P4が形成される。この脱離ループ44−P4では、エンジン部12から吸着部22Bへ温度T3−1の高温流体が供給され、吸着部22Bから吸着部22Cへ吸着部22Bを経た温度T3−2の高温流体が供給され、吸着部22Cからエンジン部12へ吸着部22Cを経た温度T3−3の高温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ3まで水の脱離が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ4まで水の脱離が行われる。
なお、バルブ60B、62B、60C、62Cは、ラジエータ14と連通されるように制御部40によって制御され、貯留部23B、23Cには、ラジエータ14から温度T1−1の中温流体が供給される。そして、貯留部23B、23Cでは吸着材から脱離された水が凝縮され、貯留部23B、23Cから、凝縮熱により加熱された温度T1−2の中温流体がラジエータ14に戻される。
次に、吸着部22Dと吸着部22Aの間で、第1熱交換CG1が行われる。具体的には、バルブ39がバイパス路17側を開放するように切り換えられる。これにより、吸着部22Dと吸着部22Aの間で中温流体が循環する。
続いて、吸着部22Dと吸着部22Bの間で、第2熱交換CG2が行われる。具体的には、図15に示されるように、開放されていた開閉弁30D、30B、37A、31Aを閉鎖し、閉鎖されていた開閉弁37D、33A、31B、37Bを開放する。すなわち、開閉弁37D、33A、37B、31B、35C、33Cが開放され、その他の開放弁が閉鎖される。バルブ39はバイパス路17側の開放が維持される。これにより、吸着部22Dと吸着部22Bの間で流体が循環する。吸着部22Aへの流体の供給は停止状態となり、吸着部22Cには、エンジン部12からの高温流体が循環する。
第1パターンの終了時に、バルブ39は、入力口部14A側が開放するように切り換えられる。
本実施形態のヒートポンプ10では、吸着ループ42を構成することにより、ラジエータ14から出力される中温流体の温度T2−1とラジエータ14に戻される中温流体T2−3の温度差は、単体の吸着部22のみで熱交換を行った流体をラジエータ14へ戻す場合と比較して、大きくなる。したがって、ラジエータ14で、より多くの熱を放出することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、吸着ループ42において、ラジエータ14と各吸着部22との位置(中温流体の通過順)によって、各吸着部22へ供給される中温流体の温度が異なる。脱離ループ44においても、エンジン部12と各吸着部22との位置によって、各吸着部22へ供給される高温流体の温度が異なる。そして、吸着ループ42及び脱離ループ44において、各吸着部22の位置は、制御部40での開閉弁の制御により順次切換えられる。したがって、吸着ループ、脱離ループにおいて吸着部を通過する流体の温度が同じ場合と比較して、吸着材が水を吸着する相対圧帯、及び、吸着材から水を脱離させて吸着材を再生する相対圧帯が広くなる。これにより、吸着材と水との結合/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、吸着部22A〜22Dは、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDが、この順番で切り換えられる。すなわち、吸着ループ42の中の下流位置RS2→吸着ループ42の中の上流位置RS1→脱離ループ44の下流位置ES2→脱離ループ44の中の上流位置ES1の順番で、切り換えられる。したがって、図5に示されるように、吸着モードの時には、吸着材による水の吸着可能量は、吸着モードの前半よりも後半に多くなる。これにより、吸着部22は、最初に高温で吸着反応が行われてΔq2の吸着量で水が吸着され、その後、低温で吸着反応が行われてΔq1の吸着量で水が吸着される。
また、図6に示されるように、脱離モードの時には、吸着材による水の吸着可能量は、脱離モードの前半よりも後半に少なくなる。これにより、吸着部22は、最初に低温で再生が行われてΔq3の水が脱離され、その後、高温で再生が行われてΔq4の水が脱離される。
このような順序で吸着部22のモードを切り換えることにより、吸着材による水の吸着、及び吸着材からの水の脱離を多段階で行い、吸着材と水との吸着/脱離の反応量を多くして効率よく吸着材を利用することができる。
また、本実施形態のヒートポンプ10では、個別供給路21A〜21Dに設けられた開閉弁30の切り換えによって、吸着ループ42と脱離ループ44を、簡単に構成することができる。
また、低温吸着LAの吸着部22は、吸着ループ42から脱離ループ44へ移動する前に、高温吸着HAの吸着部22と熱交換(第1熱交換CG1)が行われるので、吸着ループの最上流に配置された低温吸着LAの吸着部22の温度は上昇し、吸着ループ42の最下流に配置された吸着部22の温度は低下する。したがって、吸着部22同士での顕熱交換により、顕熱ロスを抑制することができる。
さらに、低温吸着LAの吸着部22は、第1熱交換CG1の後、吸着ループ42から脱離ループ44へ移動する前に、高温脱離HDの吸着部22との間で熱交換(第2熱交換CG2)が行われる。したがって、吸着ループの最上流に配置されて次に低温脱離LDとなる低温吸着LAの吸着部22の温度は上昇し、脱離ループ44の最上流に配置されて次に高温吸着HAとなる吸着部22の温度は低下する。したがって、吸着部22同士での顕熱交換により、顕熱ロスを抑制することができる。
なお、本実施形態では、蒸発器と凝縮器の機能を兼ね備えた貯留部23が各吸着部22毎に設けられた例について説明したが、貯留部23に代えて、蒸発器と凝縮器が別々に設けられていてもよい。この場合には、すべての吸着部に共通の蒸発器と凝縮器とすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図16に示されるように、本実施形態のヒートポンプ50は、貯留部23A〜23D同士の接続、及び、貯留部23A〜23Dと室内熱交換器16、ラジエータ14との接続、が第1実施形態と異なっている。また、流出口部29、流入口部28に代えて、出入口部64、66が形成されている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
出入口部66は、個別供給路61により、他の貯留部23の貯留熱交換流路27の出入口部64と接続されている。具体的には、貯留熱交換流路27Aの出入口部66Aは個別供給路61Aを介して貯留熱交換流路27Bの出入口部64Bと接続され、貯留熱交換流路27Bの出入口部66Bは個別供給路61Bを介して貯留熱交換流路27Cの出入口部64Cと接続され、貯留熱交換流路27Cの出入口部66Cは個別供給路61Cを介して貯留熱交換流路27Dの出入口部64Dと接続され、貯留熱交換流路27Dの出入口部66Dは個別供給路61Dを介して貯留熱交換流路27Aの出入口部64Aと接続されている。これにより、4個の貯留部23A〜23Dの貯留熱交換流路27A〜27Dが直列に接続された循環路の直列供給路68が構成されている。
個別供給路61の各々の中央部には、個別供給路61を開閉可能な開閉弁70(開閉弁70A〜70D)が設けられている。個別供給路61の開閉弁70よりも出入口部64側には、ラジエータ14と接続された中温流入ポート72(中温流入ポート72A〜72D)、及び、室内熱交換器16と接続された低温流出ポート74(低温流出ポート74A〜74D)が設けられている。また、個別供給路61の開閉弁70よりも出入口部66側には、ラジエータ14と接続された中温流出ポート76(中温流出ポート76A〜76D)、及び、室内熱交換器16と接続された低温流入ポート78(低温流入ポート78A〜78D)が設けられている。中温流入ポート72からはラジエータ14からの中温流体が流入し、低温流入ポート78からは室内熱交換器16からの低温流体が流入する。また、中温流出ポート76からは貯留部23を経た中温流体がラジエータ14へ流出し、低温流出ポート74からは貯留部23を経た低温流体が室内熱交換器16へ流出する。
中温流入ポート72には開閉弁71が設けられ、低温流出ポート74には開閉弁73が設けられ、中温流出ポート76には開閉弁75が設けられ、低温流入ポート78には開閉弁77が設けられている。開閉弁70、71、73、75、77は、電磁弁で構成され、各々図17に示されるように、制御部40に接続されている。開閉弁70、71、73、75、77は、後述の冷熱生成ループ46、凝縮ループ48が形成されるように、制御部40によって開閉が制御される。
次に、本実施形態のヒートポンプ50の運転について説明する。ヒートポンプ50の運転時には、第1実施形態と同様に、4個の吸着器20には、各々異なる温度の流体が供給されて、高温吸着HA、低温吸着LA、低温脱離LD、及び高温脱離HDとなるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。
一方、4個の貯留部23にも、各々異なる温度の流体が供給されて、高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LE、低温凝縮LC、及び高温凝縮HC、となるように制御部40により各開閉弁及びバルブの開閉が制御される。高温冷熱生成HE及び低温冷熱生成LE、低温凝縮LC、及び高温凝縮HCでは、貯留部23は、貯留された水が蒸発して冷熱生成を行う冷熱生成モードとなる。低温凝縮LC、及び高温凝縮HCでは、貯留部23は、吸着材から脱離された水が凝縮される凝縮モードとなる。
吸着器20の吸着部22が高温吸着HAの時に、貯留部23は高温冷熱生成HEとなり、吸着部22が低温吸着LAの時に、貯留部23は低温冷熱生成LEとなり、吸着部22が高温脱離HDの時に、貯留部23は低温凝縮LCとなり、吸着部22が低温脱離LDの時に、貯留部23は高温凝縮HCとなる。
高温冷熱生成HEでは、出入口部66Bから貯留部23へ室内熱交換器16から低温流体(温度T1−1)が供給される。このとき、高温吸着HAの吸着部22へは、温度T2−2の中温流体が供給される。貯留部23に貯留された水は蒸発して吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。高温吸着HAの吸着部22(温度T2−2)と貯留部23(温度T1−1)の相対圧をφ5とすると、吸着部22での水の吸着は、図19に示されるグラフの、相対圧φ5まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q5となる。
低温冷熱生成LEでは、出入口部66から貯留部23へ、高温冷熱生成HEの貯留部23を経た低温流体が供給される。高温冷熱生成HEの貯留部23を経た低温流体の温度T1−3は、温度T1−1よりも低い。このとき、低温吸着LAの吸着部22へは、温度T2−1の中温流体が供給される。貯留部23に貯留された水は蒸発して吸着部22の吸着材に吸収される。水が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、貯留部23では冷熱生成が行われる。低温吸着LAの吸着部22(温度T2−1)と貯留部23(温度T1−3)の相対圧をφ6とすると、吸着部22での水の吸着は、図19に示されるグラフの、相対圧φ6まで行うことができる。吸着材での吸着可能量は、Q6となる。なお、相対圧φ6は、相対圧φ5よりも小さい。
低温凝縮LCでは、出入口部64から貯留部23へ、ラジエータ14から中温流体(温度T2−1)が供給される。高温脱離HDの吸着部22へは、温度T3−1の高温流体が供給される。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて液相になり、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。高温脱離HDにおける吸着部22(温度T3−1)と貯留部23(温度T2−1)の相対圧をφ7とすると、吸着部22での水の吸着は、図20に示されるグラフの、相対圧φ7まで行うことができる。なお、相対圧φ7は、相対圧φ6よりも小さい。
高温凝縮HCでは、入口部64から貯留部23へ、低温凝縮LCの貯留部23を経た中温流体が(温度T2−2)が供給される。低温脱離LDの吸着部22へは、高温脱離HDの吸着部22を経た高温流体(温度T3−2)が供給される。このとき、吸着部22では、吸着材に吸着されていた水が脱離されて吸着材が再生される。脱離された水は、貯留部23で凝縮されて、貯留部23に貯留される。貯留部23では、水が凝縮される際に凝縮熱が発生することから、温度が上昇する。低温脱離LDにおける吸着部22(温度T3−2)と貯留部23(温度T2−2)の相対圧をφ8とすると、吸着部22での水の吸着は、図20に示されるグラフの、相対圧φ8まで行うことができる。なお、相対圧φ8は、相対圧φ7よりも大きく、相対圧φ5よりも小さい。
低温冷熱生成LEの貯留部23と高温冷熱生成HEの貯留部23は、これらの貯留熱交換流路27同士を連結する個別供給路61の開閉弁70が開放されて、低温冷熱生成LEの出入口部66が高温冷熱生成HEの出入口部64と連通されることにより、貯留熱交換流路27同士が連通される。これにより、室内熱交換器16→低温冷熱生成LEの貯留部23→高温冷熱生成HEの貯留部23→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46が形成される(図18参照)。低温冷熱生成LEの貯留部23と高温冷熱生成HEの貯留部23は、冷熱生成モードとなる。高温冷熱生成HEの貯留部23は、冷熱生成ループ46において、室内熱交換器16を基準として、低温流体の入力の最も上流である上流位置SS1に配置される。低温冷熱生成LEの貯留部23は、冷熱生成ループ46において、室内熱交換器16を基準として、低温流体の入力の最も下流である下流位置SS2に配置されている。
低温凝縮LCの貯留部23と高温凝縮HCの貯留部23は、これらの貯留熱交換流路27同士を連結する個別供給路61の開閉弁70が開放されて、低温凝縮LCの出入口部66が高温凝縮HCの出入口部64と連通されることにより、貯留熱交換流路27同士が連通される。これにより、ラジエータ14→低温凝縮LCの貯留部23→高温凝縮HCの貯留部23→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48が形成される(図18参照)。低温凝縮LCの貯留部23と高温凝縮HCの貯留部23は、凝縮モードとなる。低温凝縮LCの貯留部23は、凝縮ループ48において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も上流である上流位置CS1に配置される。高温凝縮HCの貯留部23は、凝縮ループ48において、ラジエータ14を基準として、中温流体の入力の最も下流である下流位置CS2に配置されている。
そして、貯留部23A〜23Dは、高温冷熱生成HE、低温冷熱生成LE、高温凝縮HC、及び低温凝縮LCが、この順番で切り換えられる。具体的には、冷熱生成ループ46の上流位置SS1→冷熱生成ループ46の下流位置SS2→凝縮ループ48の上流位置CS1→凝縮ループ48留部の下流位置CS2の順番で切り換えられる。
吸着部22で水を吸着することができる量は、図19に示されるように、高温吸着HAにおいてΔq6となり、低温吸着LAにおいてΔq5となる。また、吸着部22から脱離される水の量は、図20に示されるように、低温脱離LDにおいてΔq8となり、高温脱離HDにおいてΔq7となる。
4個の吸着部22及び貯留部23における運転パターンの組み合わせでは、それぞれ、図21に示されるように、第1パターンPP1→第2パターンPP2→第3パターンPP3→第4パターンPP4→第1パターンPP1の順で繰り返されるように、運転が切り換えられる。なお、吸着部22の運転切り換えについては、第1実施形態の第1パターンP1〜第4パターンP4と同様である。以下、貯留部23の運転切り換えについて説明する。
第1パターンPP1では、貯留部23Aが低温冷熱生成LE、貯留部23Bが高温冷熱生成HE、貯留部23Cが低温凝縮LC、貯留部23Dが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図22に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70A、71B、77B、70C、73D、75Dを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23B→貯留部23A→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−PP1が形成される。この冷熱生成ループ46−PP1では、室内熱交換器16から貯留部23Bへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Bから貯留部23Aへ貯留部23Bを経た温度T1−3の低温流体が供給され、貯留部23Aから室内熱交換器16へ貯留部23Aを経た温度T1−4の低温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ5まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
また、ラジエータ14→貯留部23C→貯留部23D→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−PP1が形成される。この凝縮ループ48−PP1では、ラジエータ14から貯留部23Cへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Cから貯留部23Dへ貯留部23Cを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Dからラジエータ14へ貯留部23Dを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
第2パターンPP2では、貯留部23Bが低温冷熱生成LE、貯留部23Cが高温冷熱生成HE、貯留部23Dが低温凝縮LC、貯留部23Aが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図23に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70B、71C、77C、70D、73A、75Aを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23C→貯留部23B→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ49−PP2が形成される。この冷熱生成ループ46−PP2では、室内熱交換器16から貯留部23Cへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Cから貯留部23Bへ貯留部23Cを経た温度T1−3の低温流体が供給され、貯留部23Bから室内熱交換器16へ貯留部23Bを経た温度T1−4の低温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
また、ラジエータ14→貯留部23D→貯留部23A→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−PP2が形成される。この凝縮ループ48−PP2では、ラジエータ14から貯留部23Dへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Dから貯留部23Aへ貯留部23Dを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Aからラジエータ14へ貯留部23Aを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
第3パターンPP3では、貯留部23Cが低温冷熱生成LE、貯留部24Dが高温冷熱生成HE、貯留部23Aが低温凝縮LC、貯留部23Bが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図20に示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70C、71D、77D、70A、73B、75Bを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23D→貯留部23C→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−PP3が形成される。この冷熱生成ループ46−PP3では、室内熱交換器16から貯留部23Dへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Dから貯留部23Cへ貯留部23Dを経た温度T1−3の低温流体が供給され、貯留部23Cから室内熱交換器16へ貯留部23Cを経た温度T1−4の低温流体が戻される。吸着部22Cでは、相対圧φ5まで間で水の吸着が行われ、吸着部22Dでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
また、ラジエータ14→貯留部23A→貯留部23B→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−PP3が形成される。この凝縮ループ48−PP3では、ラジエータ14から貯留部23Aへ温度T1−1の中温流体が供給され、貯留部23Aから貯留部23Bへ貯留部23Aを経た温度T1−2の中温流体が供給され、貯留部23Bからラジエータ14へ貯留部23Bを経た温度T1−3の中温流体が戻される。吸着部22Aでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Bでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
第4パターンPP4では、貯留部23Dが低温冷熱生成LE、貯留部23Aが高温冷熱生成HE、貯留部23Bが低温凝縮LC、貯留部23Cが高温凝縮HC、となるように、制御部40によって各開閉弁の開閉が制御される。具体的には、図25示すように、開閉弁70(A〜D)、71(A〜D)、73(A〜D)、75(A〜D)、77(A〜D)の内、開閉弁70D、71A、77A、70B、73C、75Cを開放し、その他を閉鎖する。
これにより、室内熱交換器16→貯留部23A→貯留部23D→室内熱交換器16の順に低温流体が循環する冷熱生成ループ46−PP4が形成される。この冷熱生成ループ46−PP4では、室内熱交換器16から貯留部23Aへ温度T1−1の低温流体が供給され、貯留部23Aから貯留部23Dへ貯留部23Aを経た温度T1−3の低温流体が供給され、貯留部23Dから室内熱交換器16へ貯留部23Dを経た温度T1−3の低温流体が戻される。吸着部22Dでは、相対圧φ5まで水の吸着が行われ、吸着部22Aでは、相対圧φ6まで水の吸着が行われる。
また、ラジエータ14→貯留部23B→貯留部23C→ラジエータ14の順に中温流体が循環する凝縮ループ48−PP4が形成される。この凝縮ループ48−PP4では、ラジエータ14から貯留部23Bへ温度T2−1の中温流体が供給され、貯留部23Bから貯留部23Cへ貯留部23Bを経た温度T2−2の中温流体が供給され、貯留部23Cからラジエータ14へ貯留部23Cを経た温度T2−3の中温流体が戻される。吸着部22Bでは、相対圧φ7まで水の脱離が行われ、吸着部22Cでは、相対圧φ8まで水の脱離が行われる。
本実施形態のヒートポンプ50では、凝縮ループ46を構成することにより、ラジエータ14から貯留部23へ出力される中温流体の温度T2−1と、貯留部23からラジエータ14に戻される中温流体T2−3の温度差は、単体の貯留部23のみで熱交換を行った流体をラジエータ14へ戻す場合と比較して、大きくなる。したがって、ラジエータ14で、より多くの熱を放出することができる。
なお、上記の第1、第2実施形態では、反応材として熱媒を吸着する吸着材を用いた例について説明したが、本発明のヒートポンプ、冷熱生成方法においては、他の反応材を用いてもよい。例えば、化学反応により熱媒と結合すると共に、可逆反応で熱媒を脱離させる物質(例えば、熱媒として水を用いる場合、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び酸化バリウム(BaO)、熱媒としてアンモニアを用いる場合、塩化リチウム(LiCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ストロンチウム(SrCl2)、塩化バリウム(BaCl2)、塩化マンガン(MnCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、及び塩化ニッケル(NiCl2)など)を用いることもできる。また、熱媒として水素を用いると共に、水素吸蔵合金を反応材として用いることもできる。