JP2017115660A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気浄化用の触媒の過熱の抑制と内燃機関の出力性能の維持との両立を図る。【解決手段】車両に搭載された内燃機関の運転領域に基づいて内燃機関の排気通路から吸気通路に還流するEGRガス量を調整するものであって、車両の車速、または内燃機関と車軸との間に介在する変速機の変速比に応じてEGRガス量を補正する内燃機関の制御装置を構成した。【選択図】図2
Description
本発明は、排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯した車両用内燃機関を制御する制御装置に関する。
EGR装置は、排気通路の所定箇所と吸気通路の所定箇所とをEGR通路により接続し、排気の一部を当該EGR通路を介して吸気通路に還流させて吸気に混交するものである。EGRにより、気筒の燃焼室内における混合気の燃焼温度が低下し、NOxの排出量の削減を図ることができる。EGR通路上には、排気通路から吸気通路に還流させるEGRガスの量を調整するためのEGRバルブが設けられる。当該EGRバルブの開度を拡大すれば、吸気に混交するEGRガス量が増す。
内燃機関の排気通路に装着した排気浄化用の触媒には、高温の排気ガスが流入する。これにより、触媒の温度が過剰に上昇し、触媒の溶損を招くおそれがある。そこで、触媒の保護を図るべく、エンジン回転数及びエンジン負荷を基に触媒の現在の温度を推測し、その触媒温度が顕著に高い場合に、排気通路から吸気通路に還流させるEGRガスの量を増加させ、以て高温の燃焼ガスが多く触媒に流入することを抑制する制御を実施する(例えば、下記特許文献を参照)。
触媒の現在の温度は、車両の車速による影響を受ける。車速が速いほど、排気通路及び触媒に当たる走行風の流量が増して触媒が空冷されるからである。
にもかかわらず、従前のシステムでは、車速の影響を無視して触媒の温度を推測し、EGRガス量を決定していた。それ故、実際の触媒の温度はそれほど高くないにもかかわらず、触媒の温度を高めに見積もって還流させるEGRガス量を徒に増加させ、内燃機関の出力トルクを不必要に低下させてしまうことがあり得た。
以上の点に初めて着目してなされた本発明は、排気浄化用の触媒の過熱の抑制と内燃機関の出力性能の維持との両立を図ることを所期の目的としている。
本発明では、車両に搭載された内燃機関の運転領域に基づいて内燃機関の排気通路から吸気通路に還流するEGRガス量を調整するものであって、車両の車速、または内燃機関と車軸との間に介在する変速機の変速比に応じてEGRガス量を補正する内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、排気浄化用の触媒の過熱の抑制と内燃機関の出力性能の維持との両立を図ることができる。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態の内燃機関は、ポート噴射式の4ストローク火花点火エンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備する。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
EGR装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流であって触媒41よりも上流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33に接続している。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求されるエンジン負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1に連なる吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、シフトポジションセンサから出力されるシフトポジション信号h等が入力される。シフトポジション信号hは、内燃機関のクランクシャフトと車両の車軸(または、駆動輪)との間に介在する変速機(図示せず)の現在の段位、ひいては変速機の変速比(減速比)を示す。
ECU0の出力インタフェースからは、イグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGR量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
気筒1に充填される吸気中に占めるEGRガスの割合であるEGR率は、原則として、エンジン負荷が中程度の中負荷領域において最も高くなり、そこからエンジン負荷が減るほど低下し、またエンジン負荷が増すほど低下する。アイドル運転時やアイドル運転に近い低負荷の運転領域では、要求されるEGR率は0となり、EGRバルブ23を全閉する。他方、高回転高負荷の運転領域では、高温の燃焼ガスが多く触媒41に流入して触媒41が過剰に昇温し、触媒41の溶損を招くおそれがある。そこで、高回転高負荷の運転領域においてもEGRを実施することで、気筒1の燃焼室における燃焼温度を低下させ、触媒41の溶損を防止する。
ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域を示すパラメータ[エンジン回転数,エンジン負荷(または、サージタンク33内吸気圧、気筒1に充填される吸気(新気)量若しくは燃料噴射量)]と、要求EGR率との関係を規定したマップデータが格納されている。EGU0は、現在の内燃機関の運転領域を示すパラメータをキーとして当該マップを検索し、要求EGR率の基本値を知得する。
その上で、本実施形態のECU0は、現在の車両の車速に応じて、要求EGR率の基本値に補正を加える。車両に搭載された内燃機関の排気通路4及び触媒41は、車両の走行中に生じる走行風により空冷される。図2に示すように、その空冷の効果(破線で表す)は、車速が速いほど大きくなる。これに鑑みて、本実施形態のECU0は、図2に示しているように、他の条件が同等である場合、車速が速いほど要求EGR率(実線で表す)を低下させる。具体的には、車速が速いほど小さくなるような補正係数を上記の要求EGR率の基本値に乗じることで、要求EGR率を補正する。
ECU0のメモリには予め、現在の車速を示すパラメータ(具体的には、車速信号aを参照して知得される実測の車速、またはクランク角信号bを参照して知得されるエンジン回転数にシフトポジション信号hを参照して知得される変速機の変速比を乗じたもの)と、EGR率の補正係数との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在の車速を示すパラメータをキーとして当該マップを検索し、要求EGR率の基本値に乗じる補正係数を知得する。
しかる後、ECU0は、算定した要求EGR率を達成するべく、EGRバルブ23の開度を操作する。
なお、要求EGR率を算定するに際して、吸気温及び/または冷却水温を加味してもよい。吸気温及び/または冷却水温が高いほど、排気温度が上昇し、触媒41の昇温が促進されると考えられる。このことから、他の条件が同等である場合、吸気温及び/または冷却水温が高いほど要求EGR率は高くなる傾向にある。
本実施形態では、車両に搭載された内燃機関の運転領域に基づいて内燃機関の排気通路4から吸気通路3に還流するEGRガス量を調整するものであって、車両の車速、または内燃機関と車軸との間に介在する変速機の変速比に応じてEGRガス量を補正する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、排気浄化用の触媒41の過熱の抑制と内燃機関の出力性能の維持との両立を図ることが可能となる。従来の制御では、車両の車速または変速機の変速段を考慮することなく、換言すれば走行風による触媒41の温度降下を考慮することなく、吸気のEGR率を決定していた。このため、高速走行中における触媒41の温度を実際の温度よりも高く見積っており、不必要にEGRガス量を増加させて内燃機関の出力トルクを低下させていた。本実施形態によれば、高速走行時の吸気のEGR率をより低減して内燃機関の出力性能ひいては車両の走行性能を向上させることができる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、シフトポジション信号hを参照して現在の変速機の段位ひいては変速比を知得していたが、自動変速機を搭載した車両においては、ECU0が当該変速機の変速比を制御しており、ECU0自身で認識している現在の変速比に基づいて要求EGR率即ちEGRガス量を調整することができる。
また、内燃機関の運転領域に基づいて排気浄化用の触媒41の温度を推測し、その触媒温度の多寡に応じて内燃機関の排気通路から吸気通路に還流するEGRガス量を調整することも考えられる。この場合において、ECU0は、内燃機関の運転領域[エンジン回転数,エンジン負荷(または、サージタンク33内吸気圧、気筒1に充填される吸気(新気)量若しくは燃料噴射量)]や吸気温、冷却水等に基づいて気筒1から排出される排気ガスの温度を逐次推定し、その推定した排気温度と触媒41の熱容量とから触媒41の温度変化量を逐次推算する。そして、その温度変化量を積算することにより、現在の触媒41の推定温度を得る。ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域を示すパラメータ等と排気ガスの推定温度との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在の内燃機関の運転領域を示すパラメータ等をキーとして当該マップを検索し、気筒1から排出される排気ガスの推定温度を知得する。
気筒1から排出される排気ガスの温度を推定するに際して、吸気温及び/または冷却水温を加味してもよい。他の条件が同等である場合、吸気温及び/または冷却水温が高いほど排気温度は高くなる傾向にある。
その上で、ECU0は、現在の車両の車速に応じて、上記の排気温度、触媒41の温度変化量または触媒41の推定温度を補正して、実際の触媒41の温度により近い推定温度を得る。ECU0は、車速が速いほど小さくなるような補正係数を上記の排気温度、触媒41の温度変化量または触媒41の推定温度の何れかに乗じることで、触媒41の推定温度を補正する。ECU0のメモリには予め、車速を示すパラメータ(実測の車速、またはエンジン回転数に変速機の変速比を乗じたもの)と補正係数との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在の車速を示すパラメータをキーとして当該マップを検索し、上記の排気温度、触媒41の温度変化量または触媒41の推定温度の何れかに乗じる補正係数を知得する。
しかして、ECU0は、補正後の触媒41の推定温度が所定の閾値以上に高い場合に、そうでない場合と比較して要求EGR率を増加させ、以て触媒41の溶損を防止する。
上述した要求EGR率の基本値、気筒1から排出される排気の推定温度、触媒41の温度変化量または触媒41の推定温度に乗じるべき補正係数を、現在の車両の車速ではなく、現在の変速機の変速段または変速比に応じて決定しても構わない。このときのECU0は、現在の変速機の段位が高い(ハイギアである)ほど、または現在の変速機の変速比が大きい(減速比が小さい)ほど、補正係数を小さくする。つまり、他の条件が同等である場合、現在の変速機の段位が高いほど、または現在の変速機の変速比が大きいほど要求EGR率を低下させ、EGRガス量を低減するのである。
その他、各部の具体的構成や処理の内容等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両に搭載される内燃機関の制御に用いることができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
3…吸気通路
4…排気通路
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
3…吸気通路
4…排気通路
Claims (1)
- 車両に搭載された内燃機関の運転領域に基づいて内燃機関の排気通路から吸気通路に還流するEGRガス量を調整するものであって、
車両の車速、または内燃機関と車軸との間に介在する変速機の変速比に応じてEGRガス量を補正する内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015251060A JP2017115660A (ja) | 2015-12-24 | 2015-12-24 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015251060A JP2017115660A (ja) | 2015-12-24 | 2015-12-24 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017115660A true JP2017115660A (ja) | 2017-06-29 |
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ID=59233671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015251060A Pending JP2017115660A (ja) | 2015-12-24 | 2015-12-24 | 内燃機関の制御装置 |
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JP (1) | JP2017115660A (ja) |
-
2015
- 2015-12-24 JP JP2015251060A patent/JP2017115660A/ja active Pending
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