JP2017115611A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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雅司 桑田
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Abstract

【課題】EGRバルブの現在の開度の誤認識の防止と、EGRバルブの弁体や弁座の摩耗の抑制との両立を図る。【解決手段】吸気通路と排気通路とを連通させるEGR通路及びこのEGR通路を開閉するEGRバルブを備えた排気ガス再循環装置が付帯する内燃機関の制御装置であって、EGRバルブの弁体を駆動するステッピングモータのコイルに流れるパルス電流を観測し、EGRバルブの弁体がその可動範囲の限界位置に到達したときに生じる波形を検出することを通じて、EGRバルブがその限界位置に対応する所定開度となったことを感知する内燃機関の制御装置を構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置に関する。
EGR装置は、排気通路の所定箇所と吸気通路の所定箇所とをEGR通路により接続し、排気の一部を当該EGR通路を介して吸気通路に還流させて吸気に混交するものである。EGRにより、燃焼温度が低下し、NOxの排出量の削減を図ることができる。EGR通路上には、排気通路から吸気通路に還流させるEGRガスの量を調整するためのEGRバルブが設けられる。当該EGRバルブの開度を拡大すれば、吸気に混交するEGRガス量が増す。
EGRバルブの弁体は、ステッピングモータにより駆動される。ステッピングモータは、ステータコイルに制御信号として通電されるパルスの数に比例した角度だけ回動し、その回動角度に応じた量だけ弁体を変位させる。内燃機関の運転制御を司るECU(Electronic Control Unit)は、ステッピングモータのステータコイルにパルス電流を印加してEGRバルブを必要な開度に操作するとともに、入力した制御パルスの数を積算することでEGRバルブの開度即ち現在の弁体の位置を推定する。
ECUは、EGRバルブの弁体の位置を直接にはセンシングしない。ECUは、停止していた内燃機関を始動する際、ステッピングモータのステータコイルに所定数の制御パルスを入力し、EGRバルブの弁体を強制的に弁座に着座させる。このような初期化処理を完了した時点で、EGRバルブの開度が全閉であることが確定し、以降、ステータコイルに与えた制御パルスの数を計数してEGRバルブの現在の開度を知得する(以上、下記特許文献を参照)。
特開2002−044993号公報
内燃機関の始動時にEGRバルブの弁体がどの位置にあるかは定かではない。従って、上述の初期化処理において、EGRバルブを確実に全閉できるよう、ステッピングモータのステータコイルに与える制御パルスの数を多めに設定している。
しかしながら、初期化処理においてステータコイルに入力する制御パルスの数が多いことは、EGRバルブの弁体が既に弁座に着座しているにもかかわらずさらにステッピングモータを回動させて弁体を弁座に押圧することを意味する。これにより、EGRバルブの弁体や弁座の摩耗を招くことになる上、ステッピングモータが電気エネルギを無駄に消費してしまう。
一方で、初期化処理においてステータコイルに入力する制御パルスの数が少ないと、EGRバルブの弁体が弁座に着座するに至らず、その結果としてECUが認識しているEGRバルブの開度と実際のEGRバルブの開度とが乖離するおそれがある。EGRバルブの現在の開度の誤認識は、内燃機関のエミッションの悪化や、アイドル運転または低負荷運転における混合気の燃焼の不安定化を招く。
以上の問題に着目してなされた本発明は、EGRバルブの現在の開度の誤認識の防止と、EGRバルブの弁体や弁座の摩耗の抑制との両立を図ることを所期の目的とする。
本発明では、吸気通路と排気通路とを連通させるEGR通路及びこのEGR通路を開閉するEGRバルブを備えた排気ガス再循環装置が付帯する内燃機関の制御装置であって、EGRバルブの弁体を駆動するステッピングモータのコイルに流れるパルス電流を観測し、EGRバルブの弁体がその可動範囲の限界位置に到達したときに生じる波形を検出することを通じて、EGRバルブがその限界位置に対応する所定開度となったことを感知する内燃機関の制御装置を構成した。
このようなものであれば、EGRバルブの弁体が可動範囲の限界位置に到達したときにその事実を速やかに知得することができる。よって、初期化処理において、EGRバルブの弁体を可動範囲の限界位置まで適正に変位させるとともに、ステッピングモータが不必要に弁体を弁座に押圧する現象を回避することが可能となる。
本発明によれば、EGRバルブの現在の開度の誤認識の防止と、EGRバルブの弁体や弁座の摩耗の抑制との両立を図り得る。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 EGRバルブの弁体を駆動するステッピングモータを制御するための電気回路の基本構成を示す図。 EGRバルブの弁体を駆動するステッピングモータのコイルを流れるパルス電流の波形を例示する図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態の内燃機関は、ポート噴射式の4ストローク火花点火エンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備する。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
EGR装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33に接続している。
EGRバルブ23の弁体は、ステッピングモータ5により駆動される。図2に、ステッピングモータ5を制御するための電気回路の基本的な構造を示している。図示例は、ユニポーラ型のステッピングモータ5の制御回路であり、ステッピングモータ5が有する二つのステータコイル51の各々の中間点からタップが出ている、換言すればステータコイル51がバイファイラ巻線となっているものである。その上で、スイッチ(例えば、パワートランジスタやパワーMOSFETその他の半導体スイッチング素子)7を順次点弧/消弧することで、ステータコイル51の各相に順次パルス電流を通電し、ステッピングモータ5のロータ52を正方向または逆方向に回動させ、その駆動力を利用してEGRバルブ23の弁体を進退動作させる。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求されるエンジン負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1に連なる吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、EGRバルブ23の弁体を駆動するステッピングモータ5が備えるステータコイル51のうちの所定の一相を流れるパルス電流信号h等が入力される。パルス電流信号hは、ステータコイル51に通電するための電気回路上に配置したシャント抵抗または電流センサ等6を介して検出できる。
ECU0の出力インタフェースからは、イグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。開度操作信号lは、具体的には、ステッピングモータ5のステータコイル51の各相に所要のパルス電流を通電するべく電気回路上のスイッチ7を順次点弧/消弧させる制御信号である。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGR量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、mを出力インタフェースを介して印加する。
また、ECU0は、内燃機関の始動(冷間始動であることもあれば、アイドリングストップからの復帰であることもある)時において、電動機(スタータモータまたはISG(Integrated Starter Generator、図示せず)に制御信号oを入力し、当該電動機により内燃機関のクランクシャフトを回転駆動するクランキングを行う。クランキングは、初爆から連爆へと至り、クランクシャフトの回転速度即ちエンジン回転数が冷却水温等に応じて定まる判定値を超えたときに(完爆したものと見なして)終了する。
しかして、本実施形態では、車両に実装されたイグニッションスイッチまたはスタートスイッチがOFFからONに操作され、ECU0が起動して内燃機関を始動させる際に、EGRバルブ23の弁体をその可動範囲の限界位置、即ち弁体が弁座に着座してEGRバルブ23の開度が全閉となる位置まで変位させる初期化処理を実行する。
初期化処理において、EGRバルブ23の弁体が弁座に着座したことは、弁体を駆動するステッピングモータ5のステータコイル51を流れるパルス電流hの波形を観測することを通じて感知できる。図3に、ステータコイル51のうちの所定の一相を流れるパルス電流信号hの波形を例示している。図3中、上段はEGRバルブ23の弁体が弁座に突き当たっている状態で観測される波形であり、下段は弁体が未だ弁座に突き当たっていない状態で観測される波形である。図3の上段において一点鎖線で囲って指し示しているように、弁体が弁座に突き当たっている状態で観測されるパルス電流hには、そうでない状態で観測されるパルス電流hにはない特徴的な振動波形、つまり電流値の大きな増減が現れる。このような電流値の増減を検出したとき、EGRバルブ23の弁体が弁座に着座したことが分かる。
上記の特徴的な振動波形を検出するための具体的な手法は、複数考えられる。例えば、パルス電流信号hの直流(バイアス)成分を除去し、または、パルス電流信号hを上記の振動波形の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタで処理する。しかる後、その信号の瞬時値がある閾値を上回ったかどうか、またはある閾値を下回ったかどうかを判断する。その信号の瞬時値がある閾値を上回り、またはある閾値を下回った暁には、パルス電流信号hに特徴的な振動波形が出現した、つまりはEGRバルブ23の弁体が弁座に着座したと判定することができる。あるいは、直流成分を除去しまたはバンドパスフィルタ処理したパルス電流信号hを積分回路や周波数−電圧変換(F/V変換)回路等に入力した結果の出力を参照して、特徴的な振動波形が出現したか否かを判定することもできる。
初期化処理において、パルス電流信号hに上記の特徴的な振動波形が現れたことを検出したECU0は、ステッピングモータ5によるEGRバルブ23の弁体の駆動を停止し、それ以上弁体が弁座に押圧されないようにする。そして、そのときのEGRバルブ23の開度を全閉と認識し、以降、ステータコイル51に与えた制御パルスの数を計数してEGRバルブ23の現在の開度を知得する。
本実施形態では、吸気通路3と排気通路4とを連通させるEGR通路21及びこのEGR通路21を開閉するEGRバルブ23を備えた排気ガス再循環装置2が付帯する内燃機関の制御装置0であって、EGRバルブ23の弁体を駆動するステッピングモータ5のコイル51に流れるパルス電流hを観測し、EGRバルブ23の弁体がその可動範囲の限界位置に到達したときに生じる波形を検出することを通じて、EGRバルブ23がその限界位置に対応する所定開度となったことを感知する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、EGRバルブ23の弁体が可動範囲の限界位置に到達したときにその事実を速やかに知得することができる。そして、初期化処理において、EGRバルブ23の弁体を可動範囲の限界位置まで適正に変位させるとともに、ステッピングモータ5が不必要に弁体を弁座に押圧する現象を回避することが可能となる。従って、EGRバルブ23の現在の開度の誤認識を防止でき、またEGRバルブ23の弁体や弁座の摩耗を抑制できる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、内燃機関の始動の際の初期化処理において、EGRバルブ23の弁体を可動範囲の限界位置である全閉位置まで変位させることとしていたが、内燃機関の運転中、例えば気筒1に対する燃料噴射を一時的に中止する燃料カット中等に、EGRバルブ23の弁体を可動範囲の限界位置まで変位させる操作を行うこととしてもよい。その場合における可動範囲の限界位置は、EGRバルブ23の開度が0となる全閉位置ではなく、EGRバルブ23の開度を最大に拡大させる全開位置であることがある。
その他、各部の具体的構成や処理の内容等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に用いることができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
21…EGR通路
23…EGRバルブ
5…ステッピングモータ
51…ステータコイル
h…パルス電流信号

Claims (1)

  1. 吸気通路と排気通路とを連通させるEGR通路及びこのEGR通路を開閉するEGRバルブを備えた排気ガス再循環装置が付帯する内燃機関の制御装置であって、
    EGRバルブの弁体を駆動するステッピングモータのコイルに流れるパルス電流を観測し、EGRバルブの弁体がその可動範囲の限界位置に到達したときに生じる波形を検出することを通じて、EGRバルブがその限界位置に対応する所定開度となったことを感知する内燃機関の制御装置。
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