JP2017115059A - 加水発熱剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱性及び温度保持性が良好な加水発熱剤を提供する。また、金属アルミニウムの使用量を低減することができ、水素発生量を低減することができるので、より安全性の高い加水発熱剤を提供できる。【解決手段】生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有する加水発熱剤。さらに、カルシウムアルミネート類を含有する加水発熱剤。【選択図】なし
Description
本発明は、食品等を加熱するために用いられる加水発熱剤に関する。
従来から、緊急時やアウトドアーの際に食品を加熱するために、水と反応させることによって発熱する加水発熱剤が知られている。加水発熱剤の主成分としては、酸化カルシウム、あるいは鉄やアルミニウムなどの金属粉末が用いられている。
加水発熱剤に使用される酸化カルシウムとしては、水と接触して速やかに反応することが求められ、高い水和活性を有しなければならないため、通常は軟焼生石灰が使用されている。しかしながら、軟焼生石灰を主成分とする加水発熱剤は、いったん発熱が始まると急速に反応が進み、発熱量の制御が難しいという課題がある。他方、硬焼生石灰は発熱量を制御し易いものの、初期の反応性が悪いことから加水発熱剤として一般には使用されていない。
一方、アルミニウムなど金属粉末を用いる加熱発熱剤は、水と反応した場合の理論発熱量が大きく発熱剤として優れているものの、水と反応して発熱する際に水素が発生するため、安全上の面でやや問題がある。また、酸化カルシウムに比べ非常に高価であることから、経済性の点でも課題が残る。
近年、酸化カルシウムとアルミニウム粉末を適量配合された発熱剤が開発されている(例えば、特許文献1)。さらに、発熱性を改善する目的で、酸化アルミニウとアルミニウムの粉末を主剤とするものに、塩化ナトリウムなどの金属塩を添加したものも提案されている(特許文献2)。
しかしながら、酸化カルシウムとアルミニウム粉末を配合した発熱剤は、通常、配合がアルミニウム粉末の方が多く、安全性、経済性の点で十分とは言えないのが現状であった。例えば、特許文献1における発熱剤は、その配合として発熱剤の総重量当たり粉体アルミニウムが70乃至85%である。
特許文献2において、配合が酸化カルシウム粉30〜95重量部、アルミニウム粉10〜50重量部、金属塩2〜12重量部である発熱剤が提案されている。しかしながら、本発明における金属塩はアルミニウムの反応を活性化することを目的としたものであり、酸化カルシウム、特に硬焼生石灰を主成分とする場合は、必ずしも有効とは言えない。実際に本特許において実施例として示されているアルカリ金属塩化物と炭酸塩の組合せを、硬焼生石灰を主成分とする加水発熱剤において実施したところ、初期の発熱性が悪く、十分な性能を得ることができなかった。
特許文献2において、配合が酸化カルシウム粉30〜95重量部、アルミニウム粉10〜50重量部、金属塩2〜12重量部である発熱剤が提案されている。しかしながら、本発明における金属塩はアルミニウムの反応を活性化することを目的としたものであり、酸化カルシウム、特に硬焼生石灰を主成分とする場合は、必ずしも有効とは言えない。実際に本特許において実施例として示されているアルカリ金属塩化物と炭酸塩の組合せを、硬焼生石灰を主成分とする加水発熱剤において実施したところ、初期の発熱性が悪く、十分な性能を得ることができなかった。
本発明者は、前記課題解決のため、生石灰組成物(特に硬焼生石灰)を主成分とし、アルミニウム粉を配合した加水発熱剤に関し鋭意検討した結果、助剤としてアルカリ金属アルミン酸塩を添加することによって、発熱性、及び温度保持性が良好な加水発熱剤が得られることを見出したものである。さらに、カルシウムアルミネート類、あるいはアルカリ金属塩化物を組み合わせた場合に、より優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は次の〔1〕〜〔5〕で表される加水発熱剤である。
〔1〕生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有する加水発熱剤。
〔2〕さらに、カルシウムアルミネート類を含有する〔1〕の加水発熱剤。
〔3〕さらに、アルカリ金属塩化物を含有する〔1〕又は〔2〕の加水発熱剤。
〔4〕前記生石灰組成物が、硬焼生石灰である〔1〕〜〔3〕いずれかの加水発熱剤。
〔5〕生石灰組成物が40〜85質量部、アルミニウム粉が15〜40質量部及びカルシウムアルミネート類が0〜30質量部を含有する主材と、当該主材100質量部に対して、アルカリ金属アルミン酸塩0.5〜20質量部及びアルカリ金属塩化物0〜5質量部を含有する〔1〕〜〔4〕いずれかの加水発熱剤。
即ち、本発明は次の〔1〕〜〔5〕で表される加水発熱剤である。
〔1〕生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有する加水発熱剤。
〔2〕さらに、カルシウムアルミネート類を含有する〔1〕の加水発熱剤。
〔3〕さらに、アルカリ金属塩化物を含有する〔1〕又は〔2〕の加水発熱剤。
〔4〕前記生石灰組成物が、硬焼生石灰である〔1〕〜〔3〕いずれかの加水発熱剤。
〔5〕生石灰組成物が40〜85質量部、アルミニウム粉が15〜40質量部及びカルシウムアルミネート類が0〜30質量部を含有する主材と、当該主材100質量部に対して、アルカリ金属アルミン酸塩0.5〜20質量部及びアルカリ金属塩化物0〜5質量部を含有する〔1〕〜〔4〕いずれかの加水発熱剤。
本発明によれば、発熱性及び温度保持性が良好な加水発熱剤が得られる。また、アルミニウム粉の使用量を低減することができ、水素発生量を低減することができるので、より安全性の高い加水発熱剤を得ることができる。
本発明における加水発熱剤は、生石灰組成物及びアルミニウムを含有する主材と、これに添加する助剤としてアルカリ金属アルミン酸塩を含有する。さらに主材としてカルシウムアルミネート類又は/及び助剤としてアルカリ金属塩化物を含有することが好ましい。
本発明における生石灰組成物は、酸化カルシウムを主成分とするものであればいずれのものでも使用できるが、発熱制御が容易であり、温度保持性がよいという観点から、特に硬焼生石灰が有効に使用される。ここで硬焼生石灰とは、一般の生石灰(軟焼)よりも活性度が低くなるよう焼成によって製造されたものである。この他、軟焼生石灰、市販の酸化カルシウム試薬も使用できる。また、硬焼生石灰と軟焼生石灰を併用することもできる。
生石灰組成物における酸化カルシウム(CaO)の含有量としては、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。粒度としては、700μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
本発明の加水発熱剤における生石灰組成物の含有量は、初期発熱性及び温度保持性の観点から他の構成成分とのバランスを考慮すると、主材100質量部中40〜85質量部が好ましい。より好ましくは、50〜80質量部であり、さらに好ましくは67〜75質量部である。
本発明におけるアルミニウム粉は、粉体であれば特に限定されない。特に、アトマイズ法により製造されたものが好ましい。粒度は、20μm以下が好ましい。
本発明の加水発熱剤におけるアルミニウム粉の含有量は、初期発熱性及び温度保持性の観点から主材100質量部中15〜40質量部が好ましい。また、水素発生量の低減、経済性の観点からも40質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、18〜35質量部であり、さらに好ましくは20〜33質量部である。
本発明の加水発熱剤におけるアルミニウム粉の含有量は、初期発熱性及び温度保持性の観点から主材100質量部中15〜40質量部が好ましい。また、水素発生量の低減、経済性の観点からも40質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、18〜35質量部であり、さらに好ましくは20〜33質量部である。
本発明で用いるアルカリ金属アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が挙げられる。いずれも、一般に使用されている試薬、工業製品を使用できる。特にアルミン酸ナトリウムが好ましい。
本発明の加水発熱剤におけるアルカリ金属アルミン酸塩の含有量は、初期発熱性ならびに発熱の主体である主材の含有量の観点から、主材100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。より好ましくは、0.8〜15質量部であり、さらに好ましくは1.0〜10質量部である。
本発明の加水発熱剤におけるアルカリ金属アルミン酸塩の含有量は、初期発熱性ならびに発熱の主体である主材の含有量の観点から、主材100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。より好ましくは、0.8〜15質量部であり、さらに好ましくは1.0〜10質量部である。
本発明で用いられるカルシウムアルミネート類は、含有化学成分がCaOとAl2O3からなる結晶質あるいは非晶質(ガラス質)の化合物である。CaOとAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3モル比)は0.8〜3.5のものが好ましい。具体的には、例えばCaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、3CaO・Al2O3等の化合物が挙げられるが、例示物に限定されるものではない。また、CaOとAl2O3に加えて他の化学成分が加わった化合物、固溶体又はこれらの混合物等であっても、本発明の効果を実質喪失させない限り許容される。具体的には、例えば4CaO・3Al2O3・SO3、11CaO・7Al2O3・CaF2等が挙げられるが、例示物に限定されるものではない。工業製品として製造されているアルミナセメントも使用できる。
また、使用するカルシウムアルミネート類の粉末度は特に制限されるものではないが、好ましくはブレーン値で4,000〜10,000cm2/gである。
本発明における加水発熱剤におけるカルシウムアルミネート類の含有量は、初期発熱性及び温度保持性の観点から他の構成成分とのバランスを考慮すると、主材100質量部中0〜30質量部である。より好ましくは、5〜25質量部であり、さらに好ましくは8〜13質量部である。
本発明におけるアルカリ金属塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムなどが挙げられる。いずれも、一般に使用されている試薬、工業製品を使用できる。
アルカリ金属塩化物の含有量は、主材100質量部に対して、温度保持性の観点から、主材100質量部に対して0〜5質量部が好ましい。より好ましくは、0.8〜3質量部であり、さらに好ましくは1〜2質量部である。
アルカリ金属塩化物の含有量は、主材100質量部に対して、温度保持性の観点から、主材100質量部に対して0〜5質量部が好ましい。より好ましくは、0.8〜3質量部であり、さらに好ましくは1〜2質量部である。
本発明における加水発熱剤を構成する生石灰組成物、アルミニウム、アルカリ金属塩化物及びアルカリ金属アルミン酸塩、さらにカルシウムアルミネート類はいずれも粉体物であり、これらは混合され加水発熱剤が作製される。混合装置は粉体を均一に混合できる装置であれば特に限定されるものではなく、例えばヘンシェルミキサーを使用することができる。
本発明における加水発熱剤は、食品等の加熱用として使用される。加熱発熱剤は、水が浸透可能な不織布、和紙、合成紙等の袋体に充填され、さらに非透水性の袋に密封されて保管される。使用する際には、密封を解き、不織布等の袋体に所定量の水(加水発熱剤の2倍程度)を加えればよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は記載された実施例に限定されるものではない。
<実験例1>
生石灰、硅石粉末、アルミナ粉末、鉄原料粉末および石膏粉末を調合し、1400±30℃の温度で焼成して、CaO含有量88質量%の焼成物を得た。この焼成物を粉砕し、粒度を150μm以下に調整した硬焼生石灰組成物(組成物A)を得た。この生石灰組成物とアルミニウム粉末を混合し、加水発熱剤の主材を調製した。アルミニウム粉は、アトマイズ法により製造された、平均粒度6.3μmのもの(東洋アルミニウム社製)を使用した。
まず、生石灰組成物とアルミニウム粉の配合比率について検討を実施した。実験水準を表1に示す。
生石灰、硅石粉末、アルミナ粉末、鉄原料粉末および石膏粉末を調合し、1400±30℃の温度で焼成して、CaO含有量88質量%の焼成物を得た。この焼成物を粉砕し、粒度を150μm以下に調整した硬焼生石灰組成物(組成物A)を得た。この生石灰組成物とアルミニウム粉末を混合し、加水発熱剤の主材を調製した。アルミニウム粉は、アトマイズ法により製造された、平均粒度6.3μmのもの(東洋アルミニウム社製)を使用した。
まず、生石灰組成物とアルミニウム粉の配合比率について検討を実施した。実験水準を表1に示す。
(実験方法)
所定の配合にて混合し調製した加水発熱剤10gを断熱容器内に設置し、熱電対(Tタイプ)を取り付けた。加水発熱剤に注射器で20gの水を注水し、直ちに発泡スチロール製の蓋を断熱容器に被せ、ビニールテープで固定した。なお、反応により水素および水蒸気が発生するため、予め発泡スチロール製の蓋に直径5mm程度の穴を開けて使用した。
注水後の温度変化は、熱電対を用いて測定し、データロガーにて30秒間隔で記録した。記録したデータを解析し、最高温度、100℃到達時間、及び90℃以上を保持した時間の3項目を測定し、性能を評価した。
所定の配合にて混合し調製した加水発熱剤10gを断熱容器内に設置し、熱電対(Tタイプ)を取り付けた。加水発熱剤に注射器で20gの水を注水し、直ちに発泡スチロール製の蓋を断熱容器に被せ、ビニールテープで固定した。なお、反応により水素および水蒸気が発生するため、予め発泡スチロール製の蓋に直径5mm程度の穴を開けて使用した。
注水後の温度変化は、熱電対を用いて測定し、データロガーにて30秒間隔で記録した。記録したデータを解析し、最高温度、100℃到達時間、及び90℃以上を保持した時間の3項目を測定し、性能を評価した。
(実験結果)
実験結果を表1に示す。生石灰組成物とアルミニウム粉の配合比としては、生石灰組成物が多くアルミニウム粉が少ない配合(実験No.1、2)では、最高温度が100℃に到達しなかった。アルミニウム粉の配合比を増やすと90℃以上保持時間は長くなるが、アルミニウム粉を50質量部まで増やした配合(No.4)では100℃到達時間が遅くなった。
実験結果を表1に示す。生石灰組成物とアルミニウム粉の配合比としては、生石灰組成物が多くアルミニウム粉が少ない配合(実験No.1、2)では、最高温度が100℃に到達しなかった。アルミニウム粉の配合比を増やすと90℃以上保持時間は長くなるが、アルミニウム粉を50質量部まで増やした配合(No.4)では100℃到達時間が遅くなった。
<実験例2>
実験例1において100℃到達時間がもっとも短かった生石灰組成物67質量部とアルミニウム粉33質量部の配合比を主材の配合とし、この主材100質量部に対して、各種金属塩を助剤として2質量部添加し、実験に供する加水発熱剤とした。各種金属塩は試薬を用いた。実験水準及び実験結果を表2に示す。
実験例1において100℃到達時間がもっとも短かった生石灰組成物67質量部とアルミニウム粉33質量部の配合比を主材の配合とし、この主材100質量部に対して、各種金属塩を助剤として2質量部添加し、実験に供する加水発熱剤とした。各種金属塩は試薬を用いた。実験水準及び実験結果を表2に示す。
(実験結果)
生石灰組成物とアルミニウム粉末のみの場合に比べ、測定したいずれの項目においても特性が改善されたのは、助剤としてアルミン酸ナトリウムを使用した場合のみであった。特に100℃到達時間に関しては、アルミン酸ナトリウム以外の助剤を使用した場合は遅くなった。本発明の主材に対して、初期発熱性の改善効果をもたらす助剤として有効な金属塩はアルミン酸ナトリウムであることが分かった。
一方、硫酸ナトリウムと塩化カリウムは、90℃以上の保持時間が長く改善されており、温度保持性に効果があることが分かる。炭酸ナトリウムも温度保持性に効果がみられるが、100℃到達時間が大幅に伸びており、初期発熱性を阻害することが分かる。
生石灰組成物とアルミニウム粉末のみの場合に比べ、測定したいずれの項目においても特性が改善されたのは、助剤としてアルミン酸ナトリウムを使用した場合のみであった。特に100℃到達時間に関しては、アルミン酸ナトリウム以外の助剤を使用した場合は遅くなった。本発明の主材に対して、初期発熱性の改善効果をもたらす助剤として有効な金属塩はアルミン酸ナトリウムであることが分かった。
一方、硫酸ナトリウムと塩化カリウムは、90℃以上の保持時間が長く改善されており、温度保持性に効果があることが分かる。炭酸ナトリウムも温度保持性に効果がみられるが、100℃到達時間が大幅に伸びており、初期発熱性を阻害することが分かる。
<実験例3>
アルミニウム粉末をできるだけ低減する目的で、アルミニウム粉末の1部をカルシウムアルミネート類に置き換えた場合における助剤の効果について検討した。カルシウムアルミネート類としては、アルミナセメント(ラファージュ社製「セカール51」)を使用した。アルミナセメントをアルミニウム粉末の1部と置き換えた以外は、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表3に示す。
アルミニウム粉末をできるだけ低減する目的で、アルミニウム粉末の1部をカルシウムアルミネート類に置き換えた場合における助剤の効果について検討した。カルシウムアルミネート類としては、アルミナセメント(ラファージュ社製「セカール51」)を使用した。アルミナセメントをアルミニウム粉末の1部と置き換えた以外は、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表3に示す。
(実験結果)
実験例2と同様にアルミン酸ナトリウムを助剤として用いた場合、100℃到達時間が唯一短く改善されており、初期発熱性に効果があることが確認された。しかしながら、この主材の配合においては、温度保持性の改善効果がみられなかった。
一方、実験例2と同様に、硫酸ナトリウムと塩化カリウムは、90℃以上の保持時間が長く改善されており、温度保持性に効果があることが分かる。また、炭酸ナトリウムも温度保持性に効果がみられるが、実験例2と同様に、初期発熱性を阻害することが分かる。
実験例2と同様にアルミン酸ナトリウムを助剤として用いた場合、100℃到達時間が唯一短く改善されており、初期発熱性に効果があることが確認された。しかしながら、この主材の配合においては、温度保持性の改善効果がみられなかった。
一方、実験例2と同様に、硫酸ナトリウムと塩化カリウムは、90℃以上の保持時間が長く改善されており、温度保持性に効果があることが分かる。また、炭酸ナトリウムも温度保持性に効果がみられるが、実験例2と同様に、初期発熱性を阻害することが分かる。
<実験例4>
金属塩の併用効果について検討した。初期発熱性に効果があるアルミン酸ナトリウムと、温度保持性に効果がみられた塩化カリウムを用いた場合を主に検討した。主材として生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルミナセメントを使用し、助剤として金属塩を併用し、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表4に示す。
金属塩の併用効果について検討した。初期発熱性に効果があるアルミン酸ナトリウムと、温度保持性に効果がみられた塩化カリウムを用いた場合を主に検討した。主材として生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルミナセメントを使用し、助剤として金属塩を併用し、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表4に示す。
(実験結果)
アルミン酸ナトリウムと塩化カリウムを併用することによって、アルミニウム粉を減らした場合であっても、初期発熱性が良好で、かつ温度保持性に優れる加水発熱剤が調製できることが分かった。
また、アルミン酸ナトリウムに代えて、同じアルカリ金属アルミン酸塩であるアルミン酸カリウムを使用した場合でも、同様の効果が得られることが分かった。
なお、従来技術との比較のため、塩化カリウムと炭酸ナトリウムを併用した場合(実験No.26:比較例)についても確認したが、やはり初期発熱性の点で十分でないことが分かった。
アルミン酸ナトリウムと塩化カリウムを併用することによって、アルミニウム粉を減らした場合であっても、初期発熱性が良好で、かつ温度保持性に優れる加水発熱剤が調製できることが分かった。
また、アルミン酸ナトリウムに代えて、同じアルカリ金属アルミン酸塩であるアルミン酸カリウムを使用した場合でも、同様の効果が得られることが分かった。
なお、従来技術との比較のため、塩化カリウムと炭酸ナトリウムを併用した場合(実験No.26:比較例)についても確認したが、やはり初期発熱性の点で十分でないことが分かった。
<実験例5>
生石灰組成物として、粒度の異なる硬焼生石灰組成物(組成物B;CaO含有量:88質量%、粒度:<700μm)、さらにCaO含有量の異なる硬焼生石灰組成物(組成物C;CaO含有量:82質量%、粒度:<150μm)を作製し、実験を実施した。生石灰組成物として組成物Bおよび組成物Cを使用し、これにアルミニウム粉を加えた水準、さらにはアルミナセメントを加えた水準について検討した。助剤は主材100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム1質量部及び塩化カリウム2質量部とした。それ以外は、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表5に示す。
生石灰組成物として、粒度の異なる硬焼生石灰組成物(組成物B;CaO含有量:88質量%、粒度:<700μm)、さらにCaO含有量の異なる硬焼生石灰組成物(組成物C;CaO含有量:82質量%、粒度:<150μm)を作製し、実験を実施した。生石灰組成物として組成物Bおよび組成物Cを使用し、これにアルミニウム粉を加えた水準、さらにはアルミナセメントを加えた水準について検討した。助剤は主材100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム1質量部及び塩化カリウム2質量部とした。それ以外は、実験例1と同様に実施した。実験水準及び実験結果を表5に示す。
(実験結果)
生石灰組成物として、CaO含有量を下げた硬焼生石灰組成物、あるいは粒度が粗い硬焼生石灰組成物を用いた場合について検討したが、アルミン酸ナトリウムと塩化カリウムを併用することによって、良好な加水発熱剤を得られることが分かった。
生石灰組成物として、CaO含有量を下げた硬焼生石灰組成物、あるいは粒度が粗い硬焼生石灰組成物を用いた場合について検討したが、アルミン酸ナトリウムと塩化カリウムを併用することによって、良好な加水発熱剤を得られることが分かった。
Claims (5)
- 生石灰組成物、アルミニウム粉及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有することを特徴とする加水発熱剤。
- さらに、カルシウムアルミネート類を含有することを特徴とする請求項1に記載の加水発熱剤。
- さらに、アルカリ金属塩化物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加水発熱剤。
- 前記生石灰組成物が、硬焼生石灰であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加水発熱剤。
- 生石灰組成物が40〜85質量部、アルミニウム粉が15〜40質量部及びカルシウムアルミネート類が0〜30質量部を含有する主材と、当該主材100質量部に対して、アルカリ金属アルミン酸塩0.5〜20質量部及びアルカリ金属塩化物0〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加水発熱剤。
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