JP2017114749A - チタン酸アルカリ金属化合物、およびこれを含む摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A2TinO2n+1で表されるチタン酸アルカリ金属化合物であって、X線回折チャート(X線源CuKα)において、2θ=11.2〜12.2°の範囲および2θ=13.4〜14.4°の範囲にそれぞれ少なくとも1つの回折角を有し、2θ=11.2〜12.2°の範囲の最も高い強度を示すピークのピーク強度をIα、2θ=13.4〜14.4°の範囲の最も高い強度を示すピークのピーク強度をIβとしたとき、Iα<Iβが成り立つ。
【選択図】図1
Description
以下に、本発明のチタン酸アルカリ金属化合物、およびこれを含む摩擦材の特徴について詳細に説明する。
次に、本発明のチタン酸アルカリ金属化合物の製造方法について、以下に説明する。
まず、本発明のチタン酸アルカリ金属化合物を製造する途中過程で得られる、A2TinO2n+1(n=1.5〜3.5)で示される、層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の製造方法について説明する。層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の製造方法は、第1粉砕混合工程と第1熱処理工程とを含む。
層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物は、加熱により酸化チタンを生成するチタン化合物と、加熱によりアルカリ金属を生成するアルカリ金属化合物とを原料として製造する。上記チタン化合物は、粉末であり、代表的には精製アナターゼ、精製ルチルなどである。この他、チタンのハロゲン化物、水和物、硝酸塩、硫酸塩などを使用することもできる。上記アルカリ金属化合物は、粉末であり、代表的には、アルカリ金属炭酸塩である。この他、アルカリ金属の水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩などを使用することができる。
層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物の製造では、まず、粉砕混合装置を用いて、上記チタン化合物と上記アルカリ金属化合物とを均一に粉砕混合する。本明細書では、本工程を第1粉砕混合工程と呼ぶ。粉砕混合装置は、例えば、振動ミル装置、ビーズミル装置などである。これらの装置を用いることにより、原料に高い粉砕エネルギーを与えながら均一な混合を行うことができる。
第1粉砕混合工程で得られた、チタン化合物とアルカリ金属化合物との混合物を熱処理することにより、層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物が得られる。
熱処理温度:500〜950℃、
熱処理時間:0.5〜10時間。
次に、第1熱処理工程で得られた層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物から本発明のチタン酸アルカリ金属化合物を製造する方法について説明する。第1熱処理工程で得られた層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物から本発明のチタン酸アルカリ金属化合物を製造する方法は、第2粉砕混合工程と第2熱処理工程とを含む。
第1熱処理工程で得られた層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物と、加熱により酸化チタンを生成するチタン化合物とを原料として製造する。上記チタン化合物は、層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物を製造する際に使用したチタン化合物と同じチタン化合物であってもよいし、異なるチタン化合物であってもよい。
本発明のチタン酸アルカリ金属化合物の製造では、まず、粉砕混合装置を用いて第1熱処理工程で得られた層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物と、チタン化合物とを均一に粉砕混合する。粉砕混合装置は、例えば、振動ミル装置、ビーズミル装置などである。これらの装置を用いることにより、原料に高い粉砕エネルギーを与えながら均一な混合を行うことができる。
第2粉砕混合工程で得られた、層状の結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物と、チタン化合物との混合物を熱処理することにより、チタン酸アルカリ金属化合物が得られる。
熱処理温度:800〜1350℃、
熱処理時間:0.5〜10時間。
<第1粉砕混合工程>
第1粉砕混合工程では、原料として、アナターゼ型の酸化チタン(堺化学社製A−110)268.1g、および炭酸カリウム(日本曹達社製)231.9gを計量し、振動ミル装置(中央化工機社製、品番:MB−1、アルミナポットおよびアルミナボールを使用)に投入した。また、添加剤として原料総重量に対して1重量%のエタノール、および5重量%の木屑を、振動ミル装置に投入した。
第1粉砕混合工程で得られた酸化チタンと炭酸カリウムとの混合物を、820℃で4時間熱処理した。これにより、層状の結晶構造を有する二チタン酸カリウムを得た。
第2粉砕混合工程では、第1熱処理工程で得られた二チタン酸カリウム221.4g、およびアナターゼ型の酸化チタン(堺化学社製A−110)278.6gを計量し、振動ミル装置(中央化工機社製、品番:MB−1、アルミナポットおよびアルミナボールを使用)に投入した。また、添加剤として原料総重量に対して1重量%のエタノール、および5重量%の木屑を、振動ミル装置に投入した。
第2粉砕混合工程で得られた酸化チタンと二チタン酸カリウムとの混合物を、転動造粒機にて造粒し、解砕、分級処理により整粒した後、約1000℃で1時間熱処理した。これにより、K2TinO2n+1(n=5〜7)で表される顆粒状のチタン酸カリウムを得た。
比較例1としての六チタン酸カリウムは、溶融法によって製造した。以下に詳細に記す。
原料として、アナターゼ型の酸化チタン(堺化学社製TCA−123E)261.7g、および炭酸カリウム(日本曹達社製)238.3gを計量し、1100℃で、1時間熱処理した。これにより、酸化チタンおよび炭酸カリウムを溶融させた。これを急冷固化することにより、層状の結晶構造を有する二チタン酸カリウムを得た。
得られた二チタン酸カリウムを水に浸し、水洗いを行った。次に、硫酸を加え、酸処理を行い、カリウムを溶脱させた。次に、固体と液体とを分離させ、得られた固体を1000℃で、1時間熱処理した。これにより、六チタン酸カリウムを得た。
比較例2としての六チタン酸カリウムは、従来の焼成法によって製造した。以下に詳細に記す。
原料として、アナターゼ型の酸化チタン(堺化学社製A−110)268.1g、および炭酸カリウム(日本曹達社製)231.9gを計量した。次に、酸化チタンおよび炭酸カリウムを、ボールミル(アルミナポッドおよびアルミナボールを使用)を用いて1時間混合した。次に、混合した酸化チタンおよび炭酸カリウムを800℃で、3時間焼成処理した。上記の焼成反応生成物をボールミルによる軽度の粉砕処理を施した。これにより、層状の結晶構造を有する二チタン酸カリウムを得た。
得られた二チタン酸カリウム221.4g、およびアナターゼ型の酸化チタン278.6gを、ボールミル(アルミナポッドおよびアルミナボールを使用)を用いて1時間混合した。次に、混合した酸化チタンおよび二チタン酸カリウムを1150℃で2時間焼成処理した。上記の焼成反応生成物をボールミルによる軽度の粉砕処理を施した。これにより、六チタン酸カリウムを得た。
実施例1、比較例1、および比較例2のチタン酸カリウムのX線回折チャートを図2に示す。図2に示すように、実施例1、比較例1、および比較例2のチタン酸カリウムは、10.0〜15.0°の範囲に、低角度側ピーク(2θ=11.5°)と高角度側ピーク(2θ=13.8°)の2つの回折角を有していた。また、比較例1、および比較例2の六チタン酸カリウムは、上記低角度側ピークのピーク強度が高角度側ピークのピーク強度よりも大きいのに対し、実施例1のチタン酸カリウムは、上記高角度側ピークのピーク強度が低角度側ピークのピーク強度よりも大きかった。
実施例1、比較例1および比較例2のチタン酸カリウムそれぞれを摩擦調整剤として用いて、摩擦材実施例1、摩擦材比較例1および摩擦材比較例2をそれぞれ作製した。具体的な製造方法について、以下に示す。
摩擦材実施例1、摩擦材比較例1および摩擦材比較例2に関して、以下の表2に示す配合組成で、各材料を配合した。なお、摩擦材実施例1で使用したチタン酸カリウムは、実施例1の顆粒状チタン酸カリウムであり、摩擦材比較例1で使用した六チタン酸カリウムは、比較例1の六チタン酸カリウムであり、摩擦材比較例2で使用した六チタン酸カリウムは、比較例2の六チタン酸カリウムである。
上記の各材料をアイリッヒミキサーで3分間混合した。その後、加圧力16MPa,常温で、2分間、混合物を予備形成した。次に、加圧力31Mpa、170℃で、10分間熱間成形を行った。熱間成形中には、2回の除圧によるガス抜きを行った。熱間成形後、200℃で、5時間、熱処理を行った。その後、所定の寸法に切断し、研磨加工を施すことにより、それぞれ摩擦材実施例1、摩擦材比較例1および摩擦材比較例2を得た。
摩擦材実施例1、摩擦材比較例1および摩擦材比較例2について、JASO C 406「乗用車―ブレーキ装置―ダイナモメータ試験方法」及びJASO C 427「ブレーキライニング、パッド摩耗ダイナモメータ試験方法」に準拠した摩耗試験を行った。摩擦試験の結果を表3に示す。なお、JASO C 406第二効力試験における摩擦係数は、50、100、および130km/hの各速度における平均摩擦係数である。また、JASO C 427摩耗量試験における摩耗量は、制動1000回当りの摩耗量である。
Claims (3)
- A2TinO2n+1(A:アルカリ金属、n=5〜7)で表されるチタン酸アルカリ金属化合物であって、
X線回折チャート(X線源CuKα)において、2θ=11.2〜12.2°の範囲および2θ=13.4〜14.4°の範囲にそれぞれ少なくとも1つの回折角を有し、
2θ=11.2〜12.2°の範囲の最も高い強度を示すピークのピーク強度をIα、2θ=13.4〜14.4°の範囲の最も高い強度を示すピークのピーク強度をIβとしたとき、Iα<Iβが成り立つことを特徴とするチタン酸アルカリ金属化合物。 - 前記Aはカリウムおよび/またはナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸アルカリ金属化合物。
- 請求項1または2に記載のチタン酸アルカリ金属化合物を摩擦調整剤として用いることを特徴とする摩擦材。
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WO2023112697A1 (ja) * | 2021-12-13 | 2023-06-22 | 大塚化学株式会社 | 摩擦調整材、摩擦材組成物、摩擦材、及び摩擦部材 |
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JPS5626719A (en) * | 1979-08-13 | 1981-03-14 | Kyushu Refract Co Ltd | Manufacture of potassium titanate compound |
JPS6364997A (ja) * | 1986-09-01 | 1988-03-23 | Kubota Ltd | チタン酸カリウム繊維の製造方法 |
JP2008303121A (ja) * | 2007-06-08 | 2008-12-18 | Otsuka Chemical Co Ltd | 六チタン酸ナトリウム及びその製造方法 |
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