JP6474716B2 - 多孔質複合粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質複合粒子及びその製造方法に関する。
各種車両、産業機械等のブレーキシステムに用いられる摩擦材は、摩擦係数が高く安定していること、耐摩耗性が優れていることが求められている。これらの特性を満足させるために、チタン酸カリウム繊維、無機充填材、有機充填材等と、これらを結合するフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂(結合材)からなる樹脂組成物が摩擦材として使用されてきた。
チタン酸カリウム繊維は、アスベストのような発癌性を有さず、金属繊維のようにローターを傷付けない。しかし、チタン酸カリウム繊維は平均繊維径が0.1〜0.5μm、平均繊維長が10〜20μmのものが多く、世界保健機関(WHO)で推奨されている範囲(吸入性繊維とするWHOファイバー:平均短径が3μm以下、平均繊維長が5μm以上及びアスペクト比が3以上の繊維状化合物以外)には含まれていない。また、チタン酸カリウム繊維は高温域での耐摩耗性が十分ではない。そこで、特許文献1では鱗片状のチタン酸マグネシウムカリウム、特許文献2では鱗片状のチタン酸リチウムカリウム、特許文献3ではアメーバ状のチタン酸カリウムが提案されている。
一方、摩擦材に銅を含有することで、低温での摩擦係数の安定化、高温での高い摩擦係数を維持することが知られている。しかし、銅を含有する摩擦材は、制動時に生成する摩耗粉に銅を含み、河川、湖、海洋汚染等の原因となる可能性が示唆されている。また、摩擦材に含有される金属成分が脱落し摩擦材に食い込み、凝集して大きな金属塊となると、ローターを異常摩耗させることが知られている。
そこで、特許文献4では、銅成分を含まない摩擦材であって、安定した摩擦特性を持ち、耐摩耗性に優れ、かつ相手材攻撃性が小さい摩擦材として、複数の凸部形状を有するチタン酸カリウム、モース硬度7以上の研削材、及びエラストマー変性フェノール樹脂を含有する摩擦材を提案している。
さらに、摩擦材は耐フェード性が優れていることが求められている。フェード現象は、摩擦材の高温化に伴って摩擦材中の有機成分がガス化し、ディスクとの摩擦界面に気層が形成されることに起因する現象である。摩擦界面の気層の形成を抑制することにより、耐フェード性を改善することができる。それには、摩擦材の気孔率を高めて摩擦界面からガスを逃し易くすることが有効である。
摩擦材の気孔率を高める方法として、原料混合物を結着成形する工程での成形圧力を低めに調節設定することが考えられるが、成形圧力を低くすると、摩擦材の強度や耐摩耗性が低下し、摩擦特性が得られなくなる。そこで、特許文献5では、棒状、柱状、円柱状、短冊状、粒状及び/又は板状の形状を有するチタン酸アルカリ粒子が結合した中空体からなるチタン酸アルカリの中空体粉末を提案している。
国際公開WO2002/010069号公報 国際公開WO2003/037797号公報 国際公開WO2008/123046号公報 特開2014−122314号公報 特開2009−114050号公報
しかし、特許文献1〜5では、銅成分を含有することなく、耐フェード性に優れ、安定した摩擦特性をもち、かつ相手材攻撃性が小さい摩擦材を得ることが難しいという問題がある。
本発明の目的は、摩擦材に用いた場合に、優れた耐フェード性、安定した摩擦特性、かつ相手材への低攻撃性を付与することができる多孔質複合粒子を提供することにある。
本発明者らは、チタン酸塩化合物と研削材との単なる混合粉末を摩擦材に用いた場合における摩擦材マトリックス中での研削材の存在状態に着目し鋭意研究を重ねた。その結果、チタン酸塩化合物と研削材とを複合化した多孔質粒子が、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の多孔質複合粒子、摩擦材組成物、摩擦材、摩擦部材、及び多孔質複合粒子の製造方法を提供する。
項1 チタン酸塩化合物の結晶粒とモース硬度6以上の無機化合物粒とが結合した多孔質複合粒子であって、細孔直径0.01〜1.0μmの範囲の積算細孔容積が5%以上であることを特徴とする、多孔質複合粒子。
項2 前記無機化合物の含有量が、多孔質複合粒子100質量%に対して1〜30質量%であることを特徴とする、項1に記載の多孔質複合粒子。
項3 前記多孔質複合粒子の平均粒子径が、5〜500μmであることを特徴とする、項1又は2に記載の多孔質複合粒子。
項4 前記チタン酸塩化合物が、組成式ATi(2n+1)[式中、Aはアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上、n=2〜8]で表されることを特徴とする、項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子。
項5 前記無機化合物が、珪酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、酸化マグネシウム、酸化鉄(III)、及び酸化クロム(III)の少なくとも1種であることを特徴とする、項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子。
項6 項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子と、熱硬化性樹脂とを含有していることを特徴とする、摩擦材組成物。
項7 項6に記載の摩擦材組成物を成形してなる、摩擦材。
項8 項7に記載の摩擦材と基材とを用いて形成される、摩擦部材。
項9 項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子を製造する方法であって、チタン源とアルカリ金属塩とモース硬度6以上の無機化合物とをメカニカルに粉砕し、粉砕混合物を準備する工程と、前記粉砕混合物を乾式造粒し、造粒物を準備する工程と、前記造粒物を焼成する工程とを備えていることを特徴とする、多孔質複合粒子の製造方法。
本発明の多孔質複合粒子は、摩擦材に用いた場合に、優れた耐フェード性、安定した摩擦特性、かつ相手材への低攻撃性を付与することができる。
さらに、チタン酸塩化合物と研削材とが一体化されていることから、摩擦材に配合する原料数を削減でき、摩擦材の製造工程を簡便にすることができる。
実施例1の多孔質複合粒子の全体像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1の多孔質複合粒子の内部構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のチタン酸塩化合物粒子の全体像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のチタン酸塩化合物粒子の内部構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2のチタン酸塩化合物粒子を示す走査型電子顕微鏡写真である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<多孔質複合粒子>
本発明の多孔質複合粒子は、チタン酸塩化合物の結晶粒とモース硬度6以上の無機化合物粒とが結合した多孔質複合粒子であって、細孔直径0.01〜1.0μmの範囲の積算細孔容積が5%以上であることを特徴とし、チタン酸塩化合物の結晶粒間、チタン酸塩化合物の結晶粒とモース硬度6以上の無機化合物粒とが、焼結及び/又は融着等により強固に結合したものである。本発明によれば、銅成分を含有せずとも、摩擦材に用いて、優れた耐フェード性、安定した摩擦特性、かつ相手材への低攻撃性を付与することができる。
本発明において、上記積算細孔容積は、好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは15%以上である。上記積算細孔容積の好ましい上限値は40%であり、さらに好ましくは30%である。上記積算細孔容積が小さすぎると、摩擦材に用いた場合に、優れた耐フェード性が得られない場合がある。上記積算細孔容積が大きすぎると、チタン酸塩化合物の結晶粒間、チタン酸塩化合物の結晶粒とモース硬度6以上の無機化合物粒との結合部分が弱くなり、多孔質構造が保てなくなる場合がある。上記積算細孔容積は、水銀圧入法により測定することができる。細孔分布の極大値は、0.05〜0.30μmの範囲であることが好ましく、0.10〜0.25μmの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の多孔質複合粒子のBET比表面積は、1〜13m/gの範囲内であることが好ましく、3〜9m/gの範囲内であることがさらに好ましい。上記BET比表面積が小さすぎると、摩擦材に用いた場合に、優れた耐フェード性が得られない場合がある。上記BET比表面積が大きすぎると、焼成工程における化学反応が完結していない場合がある。
本発明の多孔質複合粒子における上記無機化合物の含有量は、多孔質複合粒子100質量%に対して1〜30質量%であることが好ましい。1質量%より少ないと、チタン酸塩化合物との複合効果が十分に発現されない場合があり、30質量%より多いと、多孔質構造が保てなくなったり、チタン酸化合物及びモース硬度6以上の無機化合物以外の化合物が生成する場合がある。
本発明の多孔質複合粒子の粒子形状は、球状、不定形状等の粉末状であることが好ましく、非繊維状であることが好ましい。特に、球状であることが好ましい。
本発明の多孔質複合粒子の粒子サイズは特に制限されないが、摩擦材組成物中への分散性の点から、平均粒子径が5〜500μmであることが好ましく、10〜300μmであることがより好ましい。本発明において平均粒子径は、超音波による分散を行わないレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%の粒子径を意味する。これらの各種粒子形状及び粒子サイズは、製造条件、特に原料組成、焼成条件、粉砕処理条件等により任意に制御することができる。
本発明の多孔質複合粒子は、分散性の向上、熱硬化性樹脂との密着性の向上等を目的として、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等により表面処理を常法に従って施されてもよい。
チタン酸塩化合物としては、組成式ATi(2n+1)[式中、Aはアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上、n=2〜8]、MTi(2−y)[式中、Mはリチウムを除くアルカリ金属、Aはリチウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉄、アルミニウム、ガリウム、マンガンより選ばれる1種又は2種以上、x=0.5〜1.0、y=0.25〜1.0]、K0.5〜0.8Li0.27Ti1.733.85〜4、K0.2〜0.8Mg0.4Ti1.63.7〜4等で表されるチタン酸塩化合物を挙げることができる。
上述のチタン酸塩化合物の中でも、組成式ATi(2n+1)[式中、Aはアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上、n=2〜8]で表されるチタン酸塩化合物であることが好ましく、組成式ATi13[式中、Aはアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上]で表されることチタン酸塩化合物であることがより好ましい。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムがあり、この中でも経済的に有利な点からリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。より具体的には、LiTi13、KTi13、NaTi13等を例示することができる。
本発明の多孔質複合粒子は、上述のように細孔直径が小さいことから、多孔質複合粒子内への熱硬化性樹脂が含浸するのを抑制できる。そのため、本発明の多孔質複合粒子を含有する摩擦材組成物を成形してなる摩擦材において、この多孔質複合粒子はフェードガスの抜け穴となる。このため、原料混合物を結着成形する工程での成形圧力を低めに調節設定しなくても、優れた耐フェード性が得られるものと考えられる。
また、上記無機化合物が研削材として作用し、チタン酸塩化合物と複合化していることで無機化合物が摩擦材から脱落しにくく安定して存在することができ、安定した摩擦特性、かつ相手材への低攻撃性を付与できるものと考ええられる。
無機化合物のモース硬度を6以上と限定したのは、チタン酸塩化合物より硬いものを用いることで、チタン酸塩化合物との複合効果を得られるからである。更に、本発明の多孔質複合粒子は、非繊維形状の多孔質体にすることができるので、WHOファイバーが含まれない摩擦調整材としても期待される。
本発明の多孔質複合粒子の製造方法は、上述の特性を得ることができれば特に制限されないが、例えば、チタン源とアルカリ金属塩とモース硬度6以上の無機化合物とをメカニカルに粉砕をすることで得られる粉砕混合物を、乾式造粒し、焼成して製造する方法等を例示することができる。
メカニカルな粉砕としては、物理的な衝撃を与えながら粉砕する方法が挙げられる。具体的には、振動ミルによる粉砕が挙げられる。振動ミルによる粉砕処理を行うことにより、混合粉体の摩砕によるせん断応力により、原子配列の乱れと原子間距離の減少が同時に起こり、異種粒子の接点部分の原子移動が起こる結果、準安定相が得られると考えられる。これにより、反応活性の高い粉砕混合物が得られ、後述の焼成温度を低くでき、粉砕混合物を造粒しても未反応物を低減することができる。メカニカルな粉砕は、原料に効率良くせん断応力を与えるため、水や溶剤を用いない乾式処理が好ましい。
メカニカルな粉砕による処理時間は、特に制限されるものではないが、一般に0.1〜2時間の範囲内であることが好ましい。
粉砕混合物の造粒は、水及び溶剤を用いない乾式造粒で行われる。乾式造粒は、公知の方法で行うことができ、例えば転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒等を例示するこができる。湿式造粒は、造粒物の乾燥工程において、造粒物内部での液状物の気化に伴い、結果として内部に大きな空洞を有する多孔質複合粒子が得られ、粉体強度が低下するため好ましくない。また、水及び溶媒を気化させるために加熱が必要となり、量産性も悪い。
造粒物を焼成する温度としては、目的とするチタン酸塩化合物の組成により適宜選択することができるが、650〜1000℃の範囲であることが好ましく、800〜950℃の範囲であることがさらに好ましい。焼成時間は0.5〜8時間であることが好ましく、2〜6時間であることがさらに好ましい。
チタン源としては、チタン元素を含有して焼成による酸化物の生成を阻害しない原材料であれば特に限定されないが、例えば空気中で焼成することにより酸化チタンに導かれる化合物等がある。かかる化合物としては、例えば酸化チタン、ルチル鉱石、水酸化チタンウェットケーキ、含水チタニア等が挙げられ、酸化チタンが好ましい。
アルカリ金属塩としては、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酢酸塩等の有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩等があるが、炭酸塩が好ましい。
チタン源とアルカリ金属塩の混合比は、目的とするチタン酸塩化合物の組成により適宜選択することができる。
モース硬度6以上の無機化合物としては、摩擦材に含有された場合に相手材を研削し摩擦係数を向上させる目的として使用される無機化合物(研削材)であれば公知のものを使用することができる。具体的には、珪酸ジルコニウム(モース硬度7.5)、酸化ジルコニウム(モース硬度7.5)、酸化ケイ素(モース硬度7)、酸化アルミニウム(モース硬度9)、シリコンカーバイド(モース硬度9)、酸化マグネシウム(モース硬度6)、酸化鉄(III)(モース硬度6)、酸化クロム(III)(モース硬度6.5)等を挙げることができ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述の無機化合物の中でもモース硬度6〜9であることが好ましく、高速・高負荷での制動で要求される高い摩擦係数が得られる点からモース硬度7〜9であることがより好ましい。また、均質な多孔質複合粒子を形成し、無機化合物との複合効果を十分に発現するためには、前述の無機化合物の平均粒子径は好ましくは1〜10μmの範囲、より好ましくは1〜5μmの範囲のものが使用される。
<摩擦材組成物>
本発明の摩擦材組成物は、上記多孔質複合粒子と、熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする。本発明の摩擦材組成物は、必要に応じて、その他材料をさらに含有することができる。以下に、本発明の摩擦材組成物の各構成成分について説明する。
(多孔質複合粒子)
多孔質複合粒子は、上述のもの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
摩擦材組成物における多孔質複合粒子の含有量は、摩擦材組成物の合計量100質量%に対して、3〜30質量%であることが好ましい。多孔質複合粒子の含有量を3〜30質量%の範囲とすることで、優れた摩擦特性を得ることができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、多孔質複合粒子等を一体化し、強度を与える結合材として用いられるものであり、結合材として用いられる公知の熱硬化性樹脂の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。例えばフェノール樹脂;アクリルエラストマー分散フェノール樹脂、シリコーンエラストマー分散フェノール樹脂等のエラストマー分散フェノール樹脂;アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;ホルムアルデヒド樹脂;メラミン樹脂;エポキシ樹脂;アクリル樹脂;芳香族ポリエステル樹脂;ユリア樹脂;等を挙げることができ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでも良好な耐熱性、成形性、摩擦特性の点からフェノール樹脂、変性フェノール樹脂が好ましい。
摩擦材組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、摩擦材組成物の合計量100質量%に対して、3〜20質量%であることが好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を3〜20質量%の範囲とすることで配合材料の隙間に適切な量の結合材が充填され、優れた摩擦特性を得ることができる。
(その他材料)
本発明の摩擦材組成物は、上記の多孔質複合粒子、熱硬化性樹脂の材料以外に、必要に応じてその他材料を配合することができる。その他材料としては、例えば、以下の繊維基材、摩擦調整材等を挙げることができる。
繊維基材としては、アラミド繊維、アクリル繊維等の有機繊維;スチール繊維、銅繊維等の金属繊維;ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、生分解性繊維、生体溶解性繊維、ワラストナイト繊維等の無機繊維;炭素繊維;等が挙げられる。
摩擦調整材としては、カシューダスト、レジンダスト等の有機粉末;合成又は天然黒鉛、カーボンブラック、硫化錫、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、タルク等の無機粉末;銅、アルミニウム、亜鉛、鉄等の金属粉末;本発明の多孔質複合粒子以外の球状、層状、板状、柱状、ブロック状、不定形状等の粒子形状のチタン酸塩化合物粉末;等が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
摩擦材組成物におけるその他材料の含有量は、摩擦材組成物の合計量100質量%に対して、50〜94質量%であることが好ましい。
(摩擦材組成物の製造方法)
本発明の摩擦材組成物は、(1)混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で各成分を混合する方法;(2)所望する成分の造粒物を調製し、必要により他の成分を混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で混合する方法;等により製造することができる。
本発明の摩擦材組成物の各成分の含有量は、所望する摩擦特性、柔軟性により適宜選択することができ、上記の製造方法を用いて製造することができる。
また、本発明の摩擦材組成物は、特定の構成成分を高い濃度で含むマスターバッチを作製し、このマスターバッチに熱硬化性樹脂等を添加し混合することにより調製してもよい。
<摩擦材及び摩擦部材>
本発明の摩擦材は、本発明の摩擦材組成物を、常温にて仮成形し、得られた仮成形物を加熱加圧成形(成形圧力10〜40MPa、成形温度150〜200℃)し、必要に応じて、得られた成形体に加熱炉内で熱処理(150〜220℃、1〜12時間保持)を施し、しかる後その成形体に機械加工、研磨加工を加えて所定の形状を有する摩擦材を製造することができる。
本発明の摩擦材は、該摩擦材を摩擦面となるように形成した摩擦部材として用いられる。摩擦材を用いて形成することができる摩擦部材としては、例えば、(1)摩擦材のみの構成、(2)裏金等の基材と、該基材の上に設けられ、摩擦面を本発明の摩擦材組成物からなる摩擦材とを有する構成等が挙げられる。
上記基材は、摩擦部材の機械的強度の向上のために用いるものであり、材質としては、金属又は繊維強化樹脂等を用いるができる。例えば、鉄、ステンレス、ガラス繊維強化樹脂、炭素繊維樹脂等が挙げられる。
本発明の摩擦材は、各種車両や産業機械のブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の摩擦部材に用いることができる。また、本発明の摩擦材は、自然環境への配慮の観点から、銅粉末、銅繊維等の銅を含有しなくても優れた摩擦特性を得ることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
<多孔質複合粒子の製造>
(実施例1)
酸化チタン67.5質量%、炭酸ナトリウム14.9質量%、珪酸ジルコニウム(平均粒子径:1.1μm)17.6質量%となるように秤量した、酸化チタン、炭酸ナトリウム及び珪酸ジルコニウムを振動ミルにて粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物をハイスピードミキサーにて乾式造粒した後、電気炉にて850℃で4時間焼成することで粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折測定装置(リガク社製、Ultima IV)により、NaTi13とZrSiOとからなる混相であることを確認した。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2100)により測定した結果、35.7μmであった。
得られた粉末の形状は、電界放出型走査電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)を用いて観察した。図1に粒子の全体像のSEM写真、図2に粒子の内部構造のSEM写真を示した。図1及び図2より、得られた粉末が、微粒子間に1μmに満たない微細な空隙を有する球状粒子であることが分かる。
得られた粉末の細孔は、水銀ポロシメーター(Quanta Chrome社製、ポアマスター60−GT)を用いて測定した。0.01〜1.0μmの細孔直径範囲にある積算細孔容積は23.5%、細孔分布の極大値は0.22μmであった。
又、得られた粉末についてBET比表面積を測定した結果、6.9m/gであった。
(実施例2)
酸化チタン63.9質量%、炭酸カリウム18.4質量%、珪酸ジルコニウム(平均粒子径:1.1μm)17.6質量%となるように秤量した、酸化チタン、炭酸カリウム及び珪酸ジルコニウムを振動ミルにて粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物をハイスピードミキサーにて乾式造粒した後、電気炉にて850℃で4時間焼成することで粉末を得た。
得られた粉末の評価は、実施例1と同様に行った。その結果、KTi13とZrSiOとからなる混相であり、平均粒子径は66.2μm、0.01〜1.0μmの細孔直径範囲にある積算細孔容積は21.2%、細孔分布の極大値は0.11μmの球状粒子であることを確認した。
又、得られた粉末についてBET比表面積を測定した結果、6.0m/gであった。
<多孔質チタン酸塩化合物粒子の製造>
(参考例1)
Ti:Na=3:1(モル比)となるように秤量した酸化チタン及び炭酸ナトリウムを振動ミルにて粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物をハイスピードミキサーにて乾式造粒した後、電気炉にて850℃で4時間焼成することで粉末を得た。
得られた粉末の評価は、実施例1と同様に行った。その結果、NaTi13の単相であり、平均粒子径は56μm、0.01〜1.0μmの細孔直径範囲にある積算細孔容積は20.3%、細孔分布の極大値は0.24μmの球状の多孔質チタン酸塩化合物粒子であることを確認した。
又、得られた粉末についてBET比表面積を測定した結果、4.4m/gであった。
(参考例2)
Ti:K=3:1(モル比)となるように秤量した酸化チタン及び炭酸ナトリウムを振動ミルにて粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物をハイスピードミキサーにて乾式造粒した後、電気炉にて850℃で4時間焼成することで粉末を得た。
得られた粉末の評価は、実施例1と同様に行った。その結果、KTi13の単相であり、平均粒子径は169μm、0.01〜1.0μmの細孔直径範囲にある積算細孔容積は19.8%、細孔分布の極大値は0.13μmの球状の多孔質チタン酸塩化合物粒子であることを確認した。
又、得られた粉末についてBET比表面積を測定した結果、5.9m/gであった。
<比較のチタン酸塩化合物粒子の製造>
(比較例1)
以下のようにして、上記特許文献5に開示された中空状のチタン酸塩化合物粒子を製造した。
Ti:K=3:1(モル比)となるように秤量した酸化チタン及び炭酸カリウムを振動ミルにて粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物を、電気炉にて1050℃で4時間焼成し、焼成物を粉砕機にて粉砕し、平均短径1.9μm、平均長径3.1μm、平均アスペクト比1.7の柱状粉末を得た。
得られた柱状粉末、エチルセルロース系バインダー、ポリカルボン酸アンモニウム塩を用いてスラリーを製造し、得られたスラリーを噴霧乾燥した。次に噴霧乾燥して得られた粉末を900℃で2時間熱処理を行った。
得られた粉末の評価は、実施例1と同様に行った。その結果、KTi13の単相であり、平均粒子径は141μm、0.01〜1.0μmの細孔直径範囲にある積算細孔容積は2.8%、細孔分布の極大値は1.9μmの球状粒子であることを確認した。図3に粒子の全体像のSEM写真、図4に粒子の内部構造のSEM写真を示した。図3及び図4より、1〜5μmの空隙を多く持つ中空状球状粒子であることが分かる。
又、得られた粉末についてBET比表面積を測定した結果、0.6m/gであった。
(比較例2)
比較例1で得られた粉末を乳鉢で粉砕し、柱状粉末を得た。図5に粒子の全体像のSEM写真を示した。
(比較例3)
Ti:K=1:1(モル比)となるように秤量した酸化チタン及び炭酸カリウムを常法により混合し、原料混合物を振動ミルにて粉砕しながら30分間混合した。得られた粉砕混合物を電気炉にて780℃で4時間焼成後、焼成物を粉砕することで、2チタン酸カリウム(KTi)を得た。
得られた2チタン酸カリウムを水中に分散させ15質量%スラリーを調製し、さらに酸を添加した。このスラリーの固形分を濾取し、乾燥した。乾燥後、電気炉にて600℃で1時間焼成し、焼成物をハンマーミルにて解砕することで粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折測定装置により7.9チタン酸カリウム(KTi7.916.8)であることを確認した。平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置により11μmであった。粉末の形状は、SEMを用いて不定形の形状を有し、不規則な方向に複数の突起が延びる形状(アメーバ形状)を有している粒子であることを確認した。
<摩擦材の製造>
表1に従う配合比率に従って材料を配合し、レーディゲミキサーにて混合後、得られた混合物を仮成形(25MPa)、熱成形(150℃、20MPa)を行い、さらに220℃で熱処理を行った。得られた成形体を面積5.5cmの扇形に加工して摩擦材を得た。
<摩擦材の評価>
摩擦試験は、汎用のフルサイズダイナモ試験機を用いてJASO C−406に準拠して行い、「第1フェード試験における制動10回中の最低摩擦係数」及び「平均摩擦係数」を測定した。対面損傷性は、フェード試験後の相手材(材種:FC250)の摩擦面を非接触式3D測定機(キーエンス社製、VR−3000)にて平均粗さRaを測定した。表面粗さRaはJIS B0601で規格された算術平均粗さ(Ra)を表している。摩擦材の気孔率は、JIS D4418に準拠して、油中含浸により測定を行った。結果を表1に示した。
表1に示すように、本発明に従う実施例1及び2の多孔質複合粒子を用いた実施例3及び4は、比較例1〜3のチタン酸塩化合物粒子を用いた比較例8〜10に比べ、最低摩擦係数及び平均摩擦係数が高く、対面損傷性が少なくなっていることが分かる。また、実施例3及び4と、参考例1及び2の多孔質チタン酸塩化合物粒子を用いた比較例4〜7との比較から、単にケイ酸ジルコニウムと多孔質チタン酸塩化合物粒子とを摩擦材組成物を調製する際に混合するのみでは、本発明の効果が得られないことが分かる。

Claims (8)

  1. 組成式A Ti (2n+1) [式中、Aはアルカリ金属から選ばれる1種又は2種以上、n=2〜8]で表されるチタン酸塩化合物の結晶粒とモース硬度6以上の無機化合物粒とが結合した多孔質複合粒子であって、細孔直径0.01〜1.0μmの範囲の積算細孔容積が5%以上であることを特徴とする、多孔質複合粒子。
  2. 前記無機化合物の含有量が、多孔質複合粒子100質量%に対して1〜30質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質複合粒子。
  3. 前記多孔質複合粒子の平均粒子径が、5〜500μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔質複合粒子。
  4. 前記無機化合物が、珪酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、酸化マグネシウム、酸化鉄(III)、及び酸化クロム(III)の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子と、熱硬化性樹脂とを含有していることを特徴とする、摩擦材組成物。
  6. 請求項に記載の摩擦材組成物を成形してなる、摩擦材。
  7. 請求項に記載の摩擦材と基材とを用いて形成される、摩擦部材。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の多孔質複合粒子を製造する方法であって、チタン源とアルカリ金属塩とモース硬度6以上の無機化合物とをメカニカルに粉砕し、粉砕混合物を準備する工程と、前記粉砕混合物を乾式造粒し、造粒物を準備する工程と、前記造粒物を焼成する工程とを備えていることを特徴とする、多孔質複合粒子の製造方法。
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