JP2012111650A - 多孔性球状粒子、その製造方法および該多孔性球状粒子を含むブレーキ用摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用な膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなる多孔性球状粒子、および膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理する多孔性球状粒子の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】 膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなる多孔性球状粒子、および膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理する多孔性球状粒子の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、多孔性球状粒子、その製造方法および該多孔性球状粒子を含むブレーキ用摩擦材に関する。さらに詳しくは、本発明は、自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用な膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子、その効果的な製造方法、および該多孔性球状粒子を含む高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現するブレーキ用摩擦材に関するものである。
膨潤性粘土鉱物は、その膨潤、ゲル化特性を利用して、医薬品、塗料、化粧品などの分散安定剤として用いられており、また、粉末形態として、プラスチック、ゴムなどの充填材としても利用されている。特に粉末形態で利用される際は、最終的には機械力による粉砕によって粉末化されることからほとんどが不定形の形状を呈し、充填材として用いる際には効率が悪い。このような事情から、膨潤性粘土鉱物を噴霧乾燥して球形化する技術がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、水膨潤性粘土鉱物からなる球状粘土鉱物、および水膨潤性粘土鉱物を水性媒体に分散させ、次いで該分散液を噴霧乾燥する球状粘土鉱物の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、モンモリロナイト系合成粘土鉱物と無機顔料もしくは有機顔料とを複合化した球状粒子よりなる複合化球状粒子組成物、およびモンモリロナイト系合成粘土鉱物を水に分散膨潤させておき、その中に無機顔料もしくは有機顔料を均一に分散させた後、酸を加えて酸性のスラリー溶液とし、このスラリー溶液をスプレードライヤにて噴霧乾燥させる複合化球状粒子組成物の製造方法が開示されている。
他方、近年車両の小型化、高性能化に伴いブレーキ部品(ブレーキディスク、キャリパーなど)の小型化が求められている。このため摩擦材にかかる負荷(熱的、機械的)は大きくなっている。したがって、高負荷時(フェード時など)にもより安定した摩擦係数を発現することが求められている。さらに部品の小型化により、これまで以上に高い摩擦係数を発現、維持させることも必要である。一般に高い摩擦係数を実現するため、セラミックスなどの研削成分の添加が行われているが、研削成分を単純添加しただけでは、一時的に摩擦係数の増加が認められても、高負荷時における摩擦係数を安定して維持することに課題がある。
また、特許文献3には、アミン類と層間化合物を形成した粘土鉱物を添加することで、摩擦特性の安定化を図っている技術が開示されている。
前記特許文献1に記載の技術は、単に粘土鉱物を球形化する技術であって、焼成処理は行われておらず、ブレーキ用摩擦材の添加成分として使用しにくい。
また、前記特許文献2に記載の技術は、モンモリロナイト系合成粘土鉱物と無機顔料若しくは有機顔料との複合球状粒子であって、膨潤性粘土鉱物のみからなる球状粒子ではなく、しかも酸の添加を必要とし、操作上好ましくない上、焼成処理は行われていない。
さらに、特許文献3に記載の技術は、アミン類と層間化合物を形成した粘土鉱物を含有する、車両用のクラッチなどに用いられる湿式摩擦材に関する技術であって、ブレーキ用摩擦材に関する技術ではない。
本発明は、このような状況下になされたもので、自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用な膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子、および該多孔性球状粒子を含む高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現するブレーキ用摩擦材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
膨潤性粘土鉱物、特にヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、所定の温度にて焼成処理することにより、膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子が得られること、そしてこの多孔性球状粒子を含むブレーキ用摩擦材は、高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
膨潤性粘土鉱物、特にヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、所定の温度にて焼成処理することにより、膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子が得られること、そしてこの多孔性球状粒子を含むブレーキ用摩擦材は、高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなることを特徴とする多孔性球状粒子、
(2) 平均粒子径(d50)が1〜300μmである上記(1)項に記載の多孔性球状粒子、
(3) 比表面積が0.1〜10m2/gである上記(1)または(2)項に記載の多孔性球状粒子、
(4) 原材料の膨潤性粘土鉱物が、ヘクトライトまたはサポナイトである上記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子、
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子の製造方法であって、膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することを特徴とする多孔性球状粒子の製造方法、
(6) ディスク噴霧乾燥を、ディスクアトマイザーを用いて行う上記(5)項に記載の製造方法、
(7) 膨潤性粘土鉱物の水懸濁液における固形分濃度が、0.1〜3質量%である上記(5)または(6)項に記載の製造方法、および
(8) 上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子を含むことを特徴とするブレーキ用摩擦材、
を提供するものである。
(1) 膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなることを特徴とする多孔性球状粒子、
(2) 平均粒子径(d50)が1〜300μmである上記(1)項に記載の多孔性球状粒子、
(3) 比表面積が0.1〜10m2/gである上記(1)または(2)項に記載の多孔性球状粒子、
(4) 原材料の膨潤性粘土鉱物が、ヘクトライトまたはサポナイトである上記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子、
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子の製造方法であって、膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することを特徴とする多孔性球状粒子の製造方法、
(6) ディスク噴霧乾燥を、ディスクアトマイザーを用いて行う上記(5)項に記載の製造方法、
(7) 膨潤性粘土鉱物の水懸濁液における固形分濃度が、0.1〜3質量%である上記(5)または(6)項に記載の製造方法、および
(8) 上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子を含むことを特徴とするブレーキ用摩擦材、
を提供するものである。
本発明によれば、自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用な膨潤性粘土鉱物のみからなる多孔性球状粒子、その効果的な製造方法、および該多孔性球状粒子を含む高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現するブレーキ用摩擦材を提供することができる。
まず、本発明の多孔性球状粒子について説明する。
[多孔性球状粒子]
本発明の多孔性球状粒子は、膨潤性粘土鉱物のみからなる粒子であって、膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなることを特徴とする。
[多孔性球状粒子]
本発明の多孔性球状粒子は、膨潤性粘土鉱物のみからなる粒子であって、膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなることを特徴とする。
本発明の多孔性球状粒子は、平均粒子径(d50)が、通常1〜300μm程度、好ましくは3〜100μm、より好ましくは5〜30μmである。
当該多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は、後述する製造方法において説明する、焼成前の多孔質球形化凝集粒子を形成する際のディスク噴霧乾燥装置の回転数などによって制御することができる。
なお、上記平均粒子径(d50)は、レーザー回折散乱方式により測定された値である。
なお、上記平均粒子径(d50)は、レーザー回折散乱方式により測定された値である。
本発明においては、当該多孔性球状粒子の比表面積は、通常0.1〜10m2/g程度、好ましくは1〜8m2/g、より好ましくは2〜7m2/gである。なお、この比表面積の測定方法については、後で説明する。
(膨潤性粘土鉱物)
本発明の多孔性球状粒子を構成する膨潤性粘土鉱物としては、当該多孔性球状粒子の前駆体である、焼成前の多孔質球形化凝集体を効果的に形成し得る観点から、特にヘクトライトまたはサポナイトが好適である。
本発明の多孔性球状粒子を構成する膨潤性粘土鉱物としては、当該多孔性球状粒子の前駆体である、焼成前の多孔質球形化凝集体を効果的に形成し得る観点から、特にヘクトライトまたはサポナイトが好適である。
本発明においては、前記の多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することにより、前記性状を有する本発明の多孔性球状粒子が得られる。
なお、前記多孔質球形化凝集粒子の形成および焼成処理については、以下に示す本発明の多孔性球状粒子の製造方法において詳述する。
次に、本発明の多孔性球状粒子の製造方法について説明する。
[多孔性球状粒子の製造方法]
本発明の多孔性球状粒子の製造方法は、前述した多孔性球状粒子を製造する方法であって、膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することを特徴とする。
[多孔性球状粒子の製造方法]
本発明の多孔性球状粒子の製造方法は、前述した多孔性球状粒子を製造する方法であって、膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することを特徴とする。
(膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液の調製)
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、まず、前述した膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液を調製する。
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、まず、前述した膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液を調製する。
この水懸濁液の調製は、水性媒体と、膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトとを混合し、通常室温にて、8〜48時間程度、好ましくは12〜36時間攪拌することにより、膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液を調製する。この水懸濁液中の固形分濃度は、次工程のディスク噴霧乾燥処理の円滑化および効率化や多孔質球形化凝集粒子の形成の観点から、0.1〜3質量%であることが好ましく、0.2〜2.5質量%であることがより好ましく、0.5〜2質量%であることがさらに好ましい。
(多孔質球形化凝集粒子の形成)
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、前記のようにして調製した膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥処理して、多孔質球形化凝集粒子を形成させる。
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、前記のようにして調製した膨潤性粘土鉱物、特に好ましくはヘクトライトまたはサポナイトを含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥処理して、多孔質球形化凝集粒子を形成させる。
<ディスク噴霧乾燥処理>
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においてディスク噴霧乾燥処理は、前記のようにして調製した膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液を、回転するディスクアトマイザーにより噴霧乾燥することが好ましい。ディスクアトマイザーとしては、大川原化工機(株)製のM型ディスクアトマイザー、K型ディスクアトマイザー、N型ディスクアトマイザーを用いるのが好ましく、M型ディスクアトマイザーを用いるのが特に好ましい。
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においてディスク噴霧乾燥処理は、前記のようにして調製した膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液を、回転するディスクアトマイザーにより噴霧乾燥することが好ましい。ディスクアトマイザーとしては、大川原化工機(株)製のM型ディスクアトマイザー、K型ディスクアトマイザー、N型ディスクアトマイザーを用いるのが好ましく、M型ディスクアトマイザーを用いるのが特に好ましい。
(焼成処理)
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、前述のようにして形成された多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理する。焼成処理温度が650℃未満では焼成が不充分で、ブレーキ用摩擦材の添加剤として使用しにくく、一方、950℃を超えると粒子同士の融着が生じやすい。
本発明の多孔性球状粒子の製造方法においては、前述のようにして形成された多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理する。焼成処理温度が650℃未満では焼成が不充分で、ブレーキ用摩擦材の添加剤として使用しにくく、一方、950℃を超えると粒子同士の融着が生じやすい。
室温から、前記範囲における所定の温度までの昇温速度は、0.1〜15℃/minの範囲であることが好ましく、0.5〜10℃/minの範囲であることがより好ましく、1〜8℃/minの範囲であることがさらに好ましい。
また、所定の温度に到達してからの保持時間は、通常1〜15時間程度、好ましくは1.5〜10時間、より好ましくは2〜8時間である。焼成処理後は、室温まで放冷する。
このようにして得られた本発明の多孔性球状粒子は膨潤性粘土鉱物のみからなる粒子であって、自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用であり、特にブレーキ用摩擦材の添加剤として好適に用いられる。
次に、本発明のブレーキ用摩擦材について説明する。
[ブレーキ用摩擦材]
本発明のブレーキ用摩擦材は、前述した本発明の多孔性球状粒子を含むことを特徴とする。
本発明のブレーキ用摩擦材は、バインダー樹脂、固体潤滑材、繊維状補強材、摩擦調整材およびその他フィラーなどを含む摩擦材形成用材料を用い、常法に従って成形することにより、得ることができる。
[ブレーキ用摩擦材]
本発明のブレーキ用摩擦材は、前述した本発明の多孔性球状粒子を含むことを特徴とする。
本発明のブレーキ用摩擦材は、バインダー樹脂、固体潤滑材、繊維状補強材、摩擦調整材およびその他フィラーなどを含む摩擦材形成用材料を用い、常法に従って成形することにより、得ることができる。
本発明のブレーキ用摩擦材においては、当該摩擦材形成用材料における補強材や摩擦調整材などのその他フィラーとして、前述した本発明の多孔性球状粒子を用いる。これにより、本発明のブレーキ用摩擦材は、高温、高負荷時(フェード時など)に優れた摩擦特性を発現する効果を奏する。
当該摩擦材形成用材料におけるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、従来、ブレーキ用摩擦材において、バインダー樹脂として知られている公知の熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂などの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
当該摩擦材形成用材料における固体潤滑材としては、従来摩擦材に潤滑材として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択して併用することができる。この潤滑材の具体例としては、黒鉛、フッ化黒鉛、カーボンブラックや、硫化スズ、二硫化タングステン等の金属硫化物、さらにはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化硼素などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該摩擦材形成用材料における繊維状補強材としては、有機繊維および無機繊維のいずれも用いることができる。有機繊維としては、高強度の芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維;デュポン社製、商品名「ケブラー」など)、耐炎化アクリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアクリレート繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。一方、無機繊維としては、チタン酸カリウム繊維、バサルト繊維、炭化珪素繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイトなどの他、アルミナシリカ系繊維などのセラミック繊維、ステンレス繊維、銅繊維、黄銅繊維、ニッケル繊維、鉄繊維などの金属繊維等を挙げることができる。これらの繊維状物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、当該摩擦材形成用材料における摩擦調整材としては、特に制限はなく、従来摩擦材に摩擦調整材として使用されている公知のものの中から、任意のものを適宜選択することができる。この摩擦調整材の具体例としては、マグネシア、酸化鉄などの金属酸化物;ケイ酸ジルコニウム;炭化ケイ素;銅、真ちゅう、亜鉛、鉄などの金属粉末類やチタン酸塩粉末等の無機摩擦調整材、NBR、SBR、タイヤトレッドなどのゴムダストや、カシューダストなど有機ダスト等の有機摩擦調整材を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該摩擦材形成用材料においては、補強材や摩擦調整材などのその他フィラーとして、本発明の多孔性球状粒子以外に、本発明の効果が損なわれない範囲で、膨潤性粘土鉱物を含有させることもできる。この膨潤性粘土鉱物としては、例えばカオリン、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母などが挙げられる。
また、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウムなどを含有させることができる。
また、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウムなどを含有させることができる。
なお、当該摩擦材形成用材料においては、前記の潤滑材、摩擦調整材およびその他フィラーの中で無機系フィラーは、当該材料中への分散性を良好なものとするために、有機化合物で処理されたフィラーを用いることができる。
有機化合物で処理されたフィラーとしては、例えば膨潤性粘土鉱物を始め、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マグネシア、アルミニウム粉、銅粉、亜鉛粉、黒鉛あるいは硫化スズ、二硫化タングステンなどの、有機化合物による処理物を挙げることができる。
本発明の摩擦材を作製するには、前述した摩擦材形成用材料を金型などに充填し、常温にて5〜30MPa程度の圧力で予備成形し、次いで温度130〜190℃程度、圧力10〜100MPa程度の条件で、1〜35分間程度加熱・加圧成形したのち、必要に応じ160〜270℃程度の温度で1〜10時間程度、熱処理を行うことで、所望の摩擦材を作製することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は以下に示す方法により求めた。
なお、各例における諸特性は以下に示す方法により求めた。
<得られた多孔性球状粒子>
(1)平均粒子径(d50)
レーザー回折散乱法式により、粒度分布装置[ベックマン・コールター社製、機種名「LS13320」]を用い、平均粒子径(d50)を測定した。
(2)比表面積
自動比表面積測定装置[(株)島津製作所製、機種名「Gemini」]を用いて、比表面積を測定した。
(1)平均粒子径(d50)
レーザー回折散乱法式により、粒度分布装置[ベックマン・コールター社製、機種名「LS13320」]を用い、平均粒子径(d50)を測定した。
(2)比表面積
自動比表面積測定装置[(株)島津製作所製、機種名「Gemini」]を用いて、比表面積を測定した。
実施例1
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物[コープケミカル(株)製、商品名「ルーセンタイトSWF」]に、イオン交換水を加え、濃度1質量%に調整した分散液12Lを準備する。
この分散液を室温で24時間攪拌して、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物[コープケミカル(株)製、商品名「ルーセンタイトSWF」]に、イオン交換水を加え、濃度1質量%に調整した分散液12Lを準備する。
この分散液を室温で24時間攪拌して、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(2)ディスク噴霧乾燥処理
上記(1)で得た膨潤性粘土鉱物懸濁液を、ディスクアトマイザー式スプレードライヤー[大川原化工機(株)製、機種名「CL−8型」]に供し、ディスク回転数:30000rpm、送液速度:38g/min、乾燥温度:180℃の条件にてディスク噴霧乾燥処理を行い、多孔質球形化凝集粒子を形成させた。
上記(1)で得た膨潤性粘土鉱物懸濁液を、ディスクアトマイザー式スプレードライヤー[大川原化工機(株)製、機種名「CL−8型」]に供し、ディスク回転数:30000rpm、送液速度:38g/min、乾燥温度:180℃の条件にてディスク噴霧乾燥処理を行い、多孔質球形化凝集粒子を形成させた。
(3)焼成処理
上記(2)で得られた多孔質球形化凝集粒子を、マッフル炉にて下記の条件で焼成処理を行い、多孔性球状粒子を得た。
<焼成条件>
室温→900℃:昇温速度3℃/min
900℃保持時間:2時間
900℃→室温:放冷
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は2.3m2/gであった。
上記(2)で得られた多孔質球形化凝集粒子を、マッフル炉にて下記の条件で焼成処理を行い、多孔性球状粒子を得た。
<焼成条件>
室温→900℃:昇温速度3℃/min
900℃保持時間:2時間
900℃→室温:放冷
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は2.3m2/gであった。
図1は、多孔性球状粒子の外観を示す走査型電子顕微鏡(SEM)[日立ハイテク社製、機種名「SU−70」]写真、図2は多孔性球状粒子の内部を示すSEM写真である。
なお、図2において、黒の部分は細孔を示し、その他の部分は膨潤性粘土鉱物を示す。
なお、図2において、黒の部分は細孔を示し、その他の部分は膨潤性粘土鉱物を示す。
実施例2
実施例1(2)において、ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」の代わりに、サポナイト系膨潤性粘土鉱物[クニミネ工業(株)製、商品名「スメクトンSA」]を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、多孔性球状粒子を得た。
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
実施例1(2)において、ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」の代わりに、サポナイト系膨潤性粘土鉱物[クニミネ工業(株)製、商品名「スメクトンSA」]を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、多孔性球状粒子を得た。
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
図3は、多孔性球状粒子の外観を示すSEM写真、図4は、多孔性球状粒子の内部を示すSEM写真である。
なお、図4において、白く光っている部分で囲まれた黒の部分は細孔を示し、その他の部分は膨潤性粘土鉱物を示す。
なお、図4において、白く光っている部分で囲まれた黒の部分は細孔を示し、その他の部分は膨潤性粘土鉱物を示す。
実施例3
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
実施例1(1)において、ヘクトライト系粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」の代わりに、ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物[コープケミカル(株)製、商品名「ルーセンタイトSWN」]を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
実施例1(1)において、ヘクトライト系粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」の代わりに、ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物[コープケミカル(株)製、商品名「ルーセンタイトSWN」]を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(2)ディスク噴霧乾燥処理
上記(1)で得た膨潤性粘土鉱物懸濁液を実施例1(2)と同様にして噴霧乾燥処理して、多孔質球形化凝集粒子を形成させた。
上記(1)で得た膨潤性粘土鉱物懸濁液を実施例1(2)と同様にして噴霧乾燥処理して、多孔質球形化凝集粒子を形成させた。
(3)焼成処理
上記(2)で得られた多孔質球形化凝集粒子を、マッフル炉にて、下記の条件で焼成処理を行い、多孔性球状粒子を得た。
<焼成条件>
室温→800℃:昇温速度3℃/min
800℃保持時間:2時間
800℃→室温:放冷
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
上記(2)で得られた多孔質球形化凝集粒子を、マッフル炉にて、下記の条件で焼成処理を行い、多孔性球状粒子を得た。
<焼成条件>
室温→800℃:昇温速度3℃/min
800℃保持時間:2時間
800℃→室温:放冷
得られた多孔性球状粒子の平均粒子径(d50)は7μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
比較例1
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
実施例1(1)と同様な操作を行い、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(1)膨潤性粘土鉱物懸濁液の調製
実施例1(1)と同様な操作を行い、膨潤性粘土鉱物懸濁液を調製した。
(2)噴霧乾燥処理
上記(1)で得られた膨潤性粘土鉱物懸濁液を、二流体ノズル式噴霧乾燥装置[大川原化工機社製、機種名「CL−8型」]を用い、ノズル径:0.7mm、噴霧圧:0.2MPa、送液速度:38g/min、乾燥温度:180℃の条件で噴霧乾燥処理を行ったが、球状凝集粒子は得られなかった。
上記(1)で得られた膨潤性粘土鉱物懸濁液を、二流体ノズル式噴霧乾燥装置[大川原化工機社製、機種名「CL−8型」]を用い、ノズル径:0.7mm、噴霧圧:0.2MPa、送液速度:38g/min、乾燥温度:180℃の条件で噴霧乾燥処理を行ったが、球状凝集粒子は得られなかった。
実施例4〜9
実施例1で作製した多孔性球状粒子、または実施例2で作製した多孔性球状粒子を用い、第1表に示す配合組成の摩擦材形成材料を調製した。
次いで、この摩擦材形成材料を予備成形(20MPa、10秒間保持)後、熱成形型へ投入し、150℃、40MPaにて5分間加熱・加圧成形したのち、この成形体を250℃にて3時間熱処理後、所定の寸法に加工してブレーキ用摩擦材を作製した。
実施例1で作製した多孔性球状粒子、または実施例2で作製した多孔性球状粒子を用い、第1表に示す配合組成の摩擦材形成材料を調製した。
次いで、この摩擦材形成材料を予備成形(20MPa、10秒間保持)後、熱成形型へ投入し、150℃、40MPaにて5分間加熱・加圧成形したのち、この成形体を250℃にて3時間熱処理後、所定の寸法に加工してブレーキ用摩擦材を作製した。
比較例2〜8
ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」(前出)、またはサポナイト系膨潤性粘土鉱物「スメクトンSA」(前出)を、マッフル炉を用いて900℃で2時間(昇温時間:5時間)焼成したものを用い、第2表に示す配合組成の摩擦材形成材料を調製した。
次いで、この摩擦材形成材料を用い、実施例4〜9と同様な操作を行いブレーキ用摩擦材を作製した。
ヘクトライト系膨潤性粘土鉱物「ルーセンタイトSWF」(前出)、またはサポナイト系膨潤性粘土鉱物「スメクトンSA」(前出)を、マッフル炉を用いて900℃で2時間(昇温時間:5時間)焼成したものを用い、第2表に示す配合組成の摩擦材形成材料を調製した。
次いで、この摩擦材形成材料を用い、実施例4〜9と同様な操作を行いブレーキ用摩擦材を作製した。
前記実施例4〜9および比較例2〜8で得られたブレーキ用摩擦材について、摩擦試験機を使用し、JASO−C406−82に準拠して摩擦性能試験を実施した。その結果を第1表および第2表に示す。
第1表および第2表から、下記のことが分かる。
(1)実施例、比較例とも焼成粘土鉱物の添加により平均摩擦係数の上昇が認められた。
(2)実施例ではフェード時の最低摩擦係数が上昇しており、高負荷制動時の摩擦特性が改善された。
(3)比較例ではフェード時の最低摩擦係数は無配合品と同程度であり添加効果は認められない。
(1)実施例、比較例とも焼成粘土鉱物の添加により平均摩擦係数の上昇が認められた。
(2)実施例ではフェード時の最低摩擦係数が上昇しており、高負荷制動時の摩擦特性が改善された。
(3)比較例ではフェード時の最低摩擦係数は無配合品と同程度であり添加効果は認められない。
上記より本発明の多孔性球状粒子の添加によりフェード特性に改善効果が認められる。
本発明の多孔性球状粒子は、自動車、鉄道、産業機械などのブレーキ用摩擦材や、各種摺動部材、さらには化粧品用体質顔料、創剤用医薬品担体などの用途に有用であり、特にブレーキ用摩擦材の添加剤として好適に用いられる。
Claims (8)
- 膨潤性粘土鉱物からなる多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理してなることを特徴とする多孔性球状粒子。
- 平均粒子径(d50)が1〜300μmである請求項1に記載の多孔性球状粒子。
- 比表面積が0.1〜10m2/gである請求項1または2に記載の多孔性球状粒子。
- 原材料の膨潤性粘土鉱物が、ヘクトライトまたはサポナイトである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子の製造方法であって、膨潤性粘土鉱物を含む水懸濁液をディスク噴霧乾燥して、多孔質球形化凝集粒子を形成し、次いでこの多孔質球形化凝集粒子を、650〜950℃の温度にて焼成処理することを特徴とする多孔性球状粒子の製造方法。
- ディスク噴霧乾燥を、ディスクアトマイザーを用いて行う請求項5に記載の製造方法。
- 膨潤性粘土鉱物の水懸濁液における固形分濃度が、0.1〜3質量%である請求項5または6に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔性球状粒子を含むことを特徴とするブレーキ用摩擦材。
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-
2010
- 2010-11-22 JP JP2010260449A patent/JP2012111650A/ja not_active Withdrawn
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