JP2017113817A - ピストンリングの組付装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、一対のサイドレールをそれぞれ位置決めして効率よく確実に取り付けることができるピストンリングの組付装置及び組付方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ピストンリングの組付装置は、ピストンPに取り付けられるサイドレールEを積載して送出する供給部2と、送出されたサイドレールEを1個ずつ内周側から押し拡げながら切り出して拡径する押出部3と、サイドレールEを拡径された状態でガイド部材30の周囲に保持しながらピストンPに対して移動させてガイド部材30の延出部30aの下端から溝M3に嵌め込む取付部4とを備え、ガイド部材30とピストンPとの間にはスペーサ部材33が配置されており、ピストンPと嵌合する嵌合部材32との間にで嵌合状態又は嵌合状態から外れた間隔を空けた状態とすることで、一対のサイドレールのそれぞれの組付位置に延出部30aの下端を設定する。
【選択図】図1
【解決手段】ピストンリングの組付装置は、ピストンPに取り付けられるサイドレールEを積載して送出する供給部2と、送出されたサイドレールEを1個ずつ内周側から押し拡げながら切り出して拡径する押出部3と、サイドレールEを拡径された状態でガイド部材30の周囲に保持しながらピストンPに対して移動させてガイド部材30の延出部30aの下端から溝M3に嵌め込む取付部4とを備え、ガイド部材30とピストンPとの間にはスペーサ部材33が配置されており、ピストンPと嵌合する嵌合部材32との間にで嵌合状態又は嵌合状態から外れた間隔を空けた状態とすることで、一対のサイドレールのそれぞれの組付位置に延出部30aの下端を設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ピストンの外周面に形成された溝にピストンリングを嵌め込んで取り付けるピストンリングの組付装置に関する。
ピストンリングは、レシプロエンジン、圧縮機、油圧機器等のピストンの外周面の溝に嵌合する円環状の部材で一部分が切欠いて形成されている。ピストンリングとしては、トップリングやセカンドリングに用いる圧力を受けるための平板状のリング部材(プレッシャリング)と、余分なオイルをピストンの油穴に戻すオイルリングが一般に用いられている。
オイルリングは、ピストンの外周側から中心側へオイルを流すための空間を形成する波形状のスペーサエキスパンダと、これの上下に1枚ずつはめ込まれるサイドレールと呼ばれる薄い平板状のリング部材で構成される3ピースタイプが主にガソリンエンジン用として多く使用されている。サイドレールは効率良くオイルを掻き出すために薄く設定されており、例えばその厚さはプレッシャリングの1/3程度、厚さは0.3〜0.4mm程度である。
ピストンの外周面の溝にピストンリングを嵌め込むためには、ピストンリングを拡径状態に設定してピストンの外周面を通過させて溝まで移動させる必要があり、そのためのピストンリング組付装置が実用化されている。ピストンリング組付装置としては、例えば、特許文献1では、マガジン部に一列に積載した複数個のピストンリングを順次送出し、送出されたピストンリングをシャッタにより拘束してピストンの外周面に形成された溝に対向配置し、シャッターを開くことによりピストンリングが脱離して収縮力により溝に嵌め込む装置が記載されている。また、特許文献2では、ピストンリングが非拡径状態で積載されたマガジン部からピストンリングを順次送出し、先端に配置されたピストンリングをツメ部により押し出して拡径状態に設定し、拡径されたピストンリングをピストンの外周面に形成された溝まで移動させてピストンリングを嵌め込む装置が記載されている。
上述した特許文献では、ピストンリングの組付けを行うことができるものの、形状や特性の異なるリング部材に合わせてそれぞれ組付装置を設置し、ピストンに対して順番に組付けを行う必要がある。例えば、厚さが薄いピストンリング、特にサイドレールの組付けの場合、特許文献に記載されているように、ピストンリングを内側から外方に向かって拡径するように変形させる場合、ピストンリングの厚さが薄いために、厚さ方向にずれるように変形しやすくなる。そのため、シャッタの爪部からピストンリングが外れて拡径するように変形することが難しい、といった課題がある。
また、サイドレールについては、一対のサイドレールをスペーサエキスパンダの上下に組み付けることになるため、下側のサイドレールを組み付ける組付装置とは別に上側のサイドレールを組み付ける組付装置を設置する必要となるが、同じサイドレールを組み付ける組付装置を2台設置することになって組付システムが大型化することになる。また、2台の組付装置で同じサイドレールを組付処理するため、組付作業が非効率的となることは避けられない。
そこで、本発明は、一対のサイドレールをそれぞれ位置決めして効率よく確実に取り付けることができるピストンリングの組付装置を提供することを目的とする。
本発明に係るピストンリングの組付装置は、ピストンに取り付けられるサイドレールを厚さ方向に1列に配列するように積載して送出する供給部と、送出された前記サイドレールを1個ずつ内周側から押し拡げながら切り出して拡径する押出部と、前記サイドレールを拡径された状態で前記ピストンが挿入されたガイド部材の周囲に保持しながら前記ピストンに対して相対的に移動させて当該ガイド部材の端部において前記ピストンの外周面に形成された溝に嵌め込む取付部とを備えたピストンリングの組付装置であって、前記ガイド部材と前記ピストンとの間に配置されるとともに前記ガイド部材の端部を前記溝に対する一対の前記サイドレールのそれぞれの組付位置に設定するスペーサ部材を備えている。さらに、前記スペーサ部材は、前記ガイド部材内に挿入された前記ピストンと嵌合する嵌合部材との間で嵌合状態又は嵌合状態から外れた間隔を空けた状態に設定することで、前記組付位置に設定する。さらに、前記スペーサ部材及び前記嵌合部材は、一方に形成された凹部と他方に形成さた凸部を嵌合させて嵌合状態に設定される。
本発明は、上記のような構成を有することで、スペーサ部材をガイド部材とピストンとの間に配置し、スペーサ部材によりガイド部材の端部をピストンの溝に対する一対のサイドレールのそれぞれの組付位置に設定するようにしているので、一対のサイドレールをそれぞれ位置決めして効率よく確実に取り付けることができる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態であるピストンリングの組付装置に関する概略構成図(図2におけるB−B断面図)であり、図2は、装置内部を示す概略平面図(図1におけるA−A断面図)である。また、図8(X)には、図1の(X)部分の一部拡大図を示している。ピストンリングの組付装置1は、ピストンPの先端部に対向してその軸方向に沿うように配置されている。なお、以下の説明では、ピストンPの中心軸、ピストンPの中心軸と直交する方向、ピストンPの外周面の方向を、それぞれ単に「軸方向」、「径方向」、「周方向」という。
ピストンリングの組付装置1は、ピストンPに取り付けられるサイドレールEを厚さ方向に積載して送出する供給部2、送出されたサイドレールEを1個ずつ内周側から押し拡げながら切り出して拡径する押出部3、及び、サイドレールEを拡径された状態で保持しながらピストンPに向かって相対的に移動させてピストンPの外周面に形成された溝に嵌め込む取付部4を備えている。
ピストンPには、外周面に3つの溝M1〜M3が周方向に所定間隔を空けて形成されている。溝M1〜M3は、全周にわたって所定幅で形成されており、溝M1には、平板状のリング部材であるトップリングが嵌め込まれ、溝M2には、平板状のリング部材であるセカンドリングが嵌め込まれてそれぞれ取り付けられる。また、溝M3には、オイルリングとして使用される波形状のリング部材であるスペーサエキスパンダ、及びその軸方向の両側に薄い平板状のリング部材であるサイドレールが嵌め込まれて取り付けられる。
図9は、スペーサエキスパンダS及びサイドレールEに関する外観斜視図である。図9(a)に示すように、スペーサエキスパンダSは、所定幅の環状に形成されており、一部が切欠いて拡径可能になっている。スペーサエキスパンダSには、全周にわたって厚さ方向に交互に折り曲げるように凹凸が形成されて波形状になっており、内周側に突起状の耳部S1が上下両側に形成されている。図9(b)に示すように、サイドレールEは、所定幅の環状に形成されており、一部が切り欠いて拡径可能となっている。サイドレールEは、薄く平板状に形成されているため、図9(c)に示すように、内側から外方に向かって拡径しようとすると、厚さ方向にずれるように変形しやすく、確実に拡径状態に変形することが難しい。
図10は、スペーサエキスパンダS及びサイドレールEを組み付けたピストンPをエンジンのシリンダC内に装着した状態を示す説明図である。スペーサエキスパンダSの厚さ方向の両側において一対のサイドレールEがそれぞれ上側及び下側に挿着されており、一般に3ピースオイルリングと称されてガソリンエンジンで広く採用されている。スペーサエキスパンダSの耳部S1は、サイドレールEの内周面に接してサイドレールEを外方に向かって押し出すように作用し、サイドレールEの外周面をシリンダCの内周面C1に押し付ける構造になっている。また、ピストンPをシリンダCに挿入する作業を容易にするために、スペーサエキスパンダSの内周面と溝M3との間にはスペースMsが形成されている。そのため、ピストンPにスペーサエキスパンダS及びサイドレールEを組み付けた状態では、サイドレールEの内周面とスペーサエキスパンダSの耳部S1との間にはわずかに隙間が形成された遊嵌状態となっており、スペーサエキスパンダSの内周面と溝M3との間にもスペースが形成されているので、サイドレールEは径方向にずれるように遊びのある状態で取り付けられている。
本発明に係るピストンリングの組付け装置では、こうしたサイドレールEの特性に対応して一対のサイドレールEを順次効率よく確実に取り付けられるように構成されている。図1〜8を用いて、スペーサエキスパンダSが装着された状態の溝M3内に、一対のサイドレールEをスペーサエキスパンダSの上側及び下側にそれぞれ装着するための詳細な構成について以下に説明する。
供給部2は、軸方向から見て円形状の基体20の周縁部に軸方向に沿って立設されたマガジン部材21を備えている。マガジン部材21は図2に示したように略円筒形でも良いし、複数本の支柱状でも良い。マガジン部材21の外周面の直径(支柱状の場合は全支柱に外接する円の直径)は、サイドレールEの自由状態における内径よりわずかに小さく設定されており、サイドレールEをマガジン部に投入する作業が容易にできる。
また、図1では、サイドレールEを上下方向に配列しているので、最上位のサイドレールEの上にリング状の重りを積載することで、サイドレールEを隙間なく配列することができ、サイドレールEを順番にスムーズに送出することが可能となる。また、サイドレールEを上下方向以外の方向に配列する場合でもサイドレールEに対して弾性部材等により送出方向に押圧することで、供給するサイドレールEを隙間なく配列することができる。サイドレールEは、厚さが薄いため他のリング部材に比べて多くの枚数を積載することが可能であるため、サイドレールEを2枚ずつ供給して組み付けていった場合でも供給作業に影響を受けることはない。
基体20の上面には、軸方向に沿って支持部材22が立設されており、支持部材22は、サイドレールEの切欠き部分を通して連結板23の一端部と接続固定されるとともに連結板23の他端部が案内部5に連結されている。そのため、マガジン部材21にサイドレールEを挿入する場合、連結板23との接続位置に切欠き部分を位置合せして挿入することで、サイドレールEの切欠き部分を整列させてセットすることができる。また、図示しないがサイドレールEの切欠部を整列する目的で、連結板23以外の箇所でもマガジン部材21の外周に上下方向に沿って板状の仕切りを設けることもできる。
案内部5は、連結板23に接続固定されたキャリッジ50、キャリッジ50を軸方向に摺動自在に保持するレール51、及び、レール51を支持する支柱52を備えている。案内部5は、後述するように、押出動作が完了し、さらに供給部2が押圧される場合に、供給部2を軸方向に移動するように案内する。
押出部3は、基体20のピストンP側に固定されたガイド部材30を備えている。ガイド部材30の上部は、軸方向から見て円形状に形成されており、軸方向に対して直角な平面部30bを備えている。平面部30bの外周径はピストンPの外周面の径よりも大きく設定されており、その外周径でピストンP側へ軸方向に沿って延出部30aが延設されている。ガイド部材30の外周面は、マガジン部材21の外径よりも大きくなっており、全周にわたってガイド部材30の外周縁が所定幅でマガジン部材21の下端から外方に向かって拡がるように形成されている。
延出部30aの内周面の径は、ピストンPの外周面の径よりわずかに大きく設定されている。そのため、延出部30aは、ピストンPが内部に挿入可能であり、厚さは薄く形成されている。延出部30aの外周面は、後述するように、拡径された状態のサイドレールEが保持されてピストンPに向かって移動する摺動面となっている。
ガイド部材30の上部の平面部30bの中心部は開口しており、この開口部に、押圧部材31が設けられている。押圧部材31には、上に向かって細くなるテーパ状に形成された押圧面31aが形成され、押圧面31aから基体20側に突出したフランジ状の先端部分31bは、基体20の中心部に形成された開口に挿着されている。押圧面31aが形成された押圧部分と先端部分31bの間は円柱状に形成されており、押圧部材31は、円柱状部分が基体20の開口内を摺動して軸方向に移動可能となっている。
押圧部材31のピストンP側の下端部には、嵌合部材32が軸方向に上下動可能に取り付けられている。嵌合部材32は、押圧部材31の下面とほぼ同じ大きさの断面を有する円筒状の本体部分32a及び本体部分32aの下端の周囲に外方に向かって拡がるように形成された嵌合部分32bを備えている。本体部分32aの上部に開口が形成されており、開口には押圧部材31の下面の中心部に垂設されたフランジ状の係合部分31cが挿着されている。押圧部材31の下面と本体部分32aの上面との間には所定の間隔が空くように設定されており、嵌合部材32を上昇させることで、本体部分32aの上面が押圧部材31の下面に密着して押圧部材31を押し上げるようになっている。押圧部材31の下面には、軸方向に複数の挿着孔31dが穿設されており、挿着孔31d内には、バネ部材32cが収容されている。バネ部材32cは、嵌合部材32の上面に圧接された状態で取り付けられており、嵌合部材32を常時押圧部材31から離間する方向に付勢するようになっている。
ガイド部材30の平面部30bの内側となる下面と嵌合部材32の嵌合部分32bとの間には、リング状の平板からなるスペーサ部材33が配置されている。スペーサ部材33は、後述するように、ガイド部材30とピストンPとの間に配置されて、ガイド部材30の端部である延出部30aの下端とピストンPの溝M3におけるサイドレールEの上側及び下側の複数の組付位置に設定する。
図3は、装置内部を示す概略平面図(図1のC−C断面図)である。スペーサ部材33の下面には、複数の凸部33aが形成されており、凸部33aの下面からの高さは、一対のサイドレールEがスペーサエキスパンダSの上下に組み付けられる位置の間の間隔と同一となるように設定されている。ガイド部材30の延出部30aには、供給部2にセットされたサイドレールEの切欠き部分と一致するように軸方向に隙間が形成されており、スペーサ部材33には、延出部30aの隙間を通って外方に突出するように連結部分33bが形成されている。そして、連結部分33bの先端部には、駆動部材33eが連結されており、図示せぬアクチュエータ等により駆動部材33eが連結部分33bの突出方向に移動することで、嵌合部材33が突出方向に往復揺動するようになる。
スペーサ部材33には、連結部分33bの突出方向に沿って複数の長孔33cが形成されており、長孔33cには、取付ピン33dが挿入されている。取付ピン33dは、ガイド部材30の平面部30bに固定されて、スペーサ部材33をガイド部材30の平面部30bの下面に密着した状態で支持するようになっている。また、取付ピン33dは、長孔33d内において遊嵌状態に設定されているため、スペーサ部材33は、長孔33dが取付ピン33dにガイドされながら平面部30bに沿って突出方向に安定して移動可能となるように取り付けられている。
嵌合部材32の嵌合部分32bの上面には、スペーサ部材33の凸部33aに嵌合可能な凹部32dが複数形成されており、凸部33aが凹部32dと対向配置される第一位置にスペーサ部材33を位置決めすることで、嵌合部材32が上昇した場合に嵌合部分32bの上面がスペーサ部材33の下面に圧接した状態となる。また、上述したように、スペーサ部材33が連結部分33bの突出方向に移動して第一位置から外れた第二位置に位置決めすることで、嵌合部分32bの上面が凸部33aに当接してスペーサ部材33の下面との間に凸部33aの高さに相当する間隔を空けた状態となる。
ピストンPが延出部30aの内側に挿入された場合にピストンPの頂面が嵌合部材32の嵌合部分32bの下面に当接して嵌合部材32を軸方向に上昇させるように押し上げ、嵌合部材32の軸方向への上昇に伴って押圧部材31が上昇するようになる。その際に、スペーサ部材33を第一位置又は第二位置に設定することで、ピストンPの延出部30a内に挿入する長さを2段階に設定することができる。すなわち、スペーサ部材33を第一位置に設定することで、嵌合部材32の嵌合部分32bの上面がスペーサ部材33の下面に密着した状態となるため、ピストンPがその分延出部30a内に深く挿入されるようになり、延出部30aの下端がサイドレールEの下側の組付位置に設定されるようになる。また、スペーサ部材33を第二位置に設定することで、嵌合部材32の嵌合部分32bの上面がスペーサ部材33の凸部33aに当接した状態となり、スペーサ部材33との間に間隔が空いた状態となるため、ピストンPがその分延出部30a内に浅く挿入されるようになる。スペーサ部材33との間の間隔は凸部33aの高さ−サイドレールEの上下の組付位置の間の間隔と同一となるため、ピストンPはその間隔の長さ分だけ浅く挿入され、延出部30aの下端がサイドレールEの上側の組付位置に設定されるようになる。
ピストンPを嵌合部分32bの下面に当接させて軸方向に移動させることで、嵌合部材32とともに押圧部材31が基体20及びガイド部材30に対して軸方向に移動していき、押圧面31aと先端部分31bとの間の段差部31eが基体20の開口に当接すると、押圧部材31とともに基体20及びガイド部材30が軸方向に移動するようになる。
この例では、ピストンPの軸方向の移動により押圧部材31を移動させるようにしているが、基体20を軸方向に移動させてピストンPの頂面に嵌合部材32の嵌合部分32bに嵌合させることで、押圧部材31を基体20及び支持体30に対して相対的に移動させることも可能である。また、スペーサ部材33に凹部を形成して嵌合部分32bに凸部を形成することで、凹部及び凸部の嵌合状態となる第一位置又は凹部及び凸部が嵌合状態から外れて間隔を空けた第二位置に設定することもできる。そして、凹部及び凸部の形状は、嵌合状態又は間隔を空けた状態に設定することが可能であれば、どのような形状に形成してもよく、特に限定されない。
ガイド部材30の上部の基体20側の面は、円形状の平面部30bになっており、中心部から径方向に沿って4個のスライド部材34が押出部材35とともに設けられている。図2に示すように、スライド部材34と押出部材35は一体となって、90度ずつずらしてガイド部材30の平面部30b上に放射状に配置されている。スライド部材34の中心側が押圧部材31に近接配置され、中心側の端面34aは、押圧部材31の押圧面31aに対向配置されて押圧面31aに当接するように傾斜面に形成されている。スライド部材34の下面には、板状の押出部材35が径方向に延出するように取り付けられて固定されている。スライド部材34は、基体20側またはガイド部材の平面部30b側に設けた溝または凸部(図示せず)に沿って径方向に往復移動可能に取り付けられている。押出部材35は、スライド部材34の径方向の移動に伴い、マガジン部材21に形成された開口部21aを通過して外方に突出するように移動可能に取り付けられている。
押出部材35の外周側の先端面は、サイドレールEの内周側に係合するように曲面状に形成されている。図2に示すように、押出部材35が中心側に移動した状態では、押出部材35の先端面は、サイドレールEの内周面、およびマガジン部材21の外周面よりも中心側に配置されている。
スライド部材34にはバネ部材36を収容するスペース34bが形成されており、バネ部材36はスライド部材34と並行配置されている。バネ部材36は、中心側端部がスライド部材34のバネスペース34bの端部に当接するとともに外周側端部が基体20の内面又はマガジン部材21の内面に当接しており、スライド部材34を中心側に向かって移動するように付勢している。そのため、押圧部材31が基体20に向かって軸方向に移動する場合、押圧面31aが4個のスライド部材34の端面34aを同時に押圧し、バネ部材36の付勢力に抗してスライド部材34を外周側に向かって径方向に移動させる。この場合、バネ部材36の付勢力は、押圧部材31により基体20及びガイド部材30を移動させる力よりも弱いため、押圧部材31の軸方向の移動に伴ってスライド部材34が移動するようになる。そして、スライド部材34の移動により、後述するように、押出部材35がサイドレールEを押し拡げながらサイドレールEを1個ずつ切り出して拡径する押出動作が行われる。押圧部材31が元の位置に戻ることで、スライド部材34はバネ部材36の付勢力により中心側に集まるように径方向に移動して元の位置に設定される。
なお、配置するスライド部材34の数は、サイドレールEを全体にほぼ均一に押し拡げることができるように設定すればよく、4個に限定されない。例えば、3個のスライド部材34を120度ずつずらして配置することもできる。
取付部4は、図2に示すように、ガイド部材30の平面部30bの外周を囲むように配置されたリング状の保持部材40を備えており、保持部材40は、連結部材42を介して支柱52に固定されている。保持部材40は、延出部30aの外周面の径よりわずかに大きい内径で内周面が形成されており、内周面には、平面部30bに当接しているサイドレールEに対向する位置に、全周にわたって径方向に拡がるように収容部である収容溝部40aが形成されている。収容溝部40aの軸方向の溝幅は、サイドレールEの厚さよりもわずかに大きく、収容溝部40aの径方向の溝の深さはサイドレールEの幅とほぼ同じになるように設定されている。そのため、内側から押し拡げられたサイドレールEが収容溝部40a内に挿入されて径方向に拡径された状態で保持されるようになっている。
保持部材40には、内周側の押圧部材31の先端部と対向する位置に切欠き部40bが形成されており、切欠き部40bには、ピストンPの溝M3内に挿着されたサイドレールEを位置決めする位置決め部材41が取り付けられている。位置決め部材41は、サイドレールEの外周縁に当接して中心側に移動させるように付勢することで、サイドレールEの中心がピストンPの中心軸とほぼ一致するように位置決めする。
この例では、位置決め部材41は、ねじりバネの形状に形成されており、支点41aにて巻付部が支持され、係止部41bで固定側部分が支持され、作用側部分が保持部材40の切欠き部40bに延設されて先端側が折れ曲がって切欠き部40b内を軸方向に横切るように形成されている。また、ピン状のストッパ41cが支点41aの内周側に突設されており、位置決め部材41の作用側部分はストッパ41cに当接して内周側への移動を制限されている。位置決め部材41の作用側部分がストッパ41cに当接した状態では、位置決め部材41の作用側部分は、ピストンPの中心軸に中心がほぼ一致する中心位置に設定されたサイドレールEの外周縁に先端側が当接するように位置決めされる。そのため、4箇所の位置決め部材41がサイドレールEに当接することで、サイドレールEの中心がピストンPの中心軸からずれないように位置決め保持されるようになる。また、位置決め部材41の作用側部分がストッパ41cに当接した状態の先端位置は、保持部材40の内周面よりもわずかに内側に配置されており、位置決めしたサイドレールEが保持部材40の内周側に重ならないように設定されている。
この例では、位置決め部材41としてねじりバネを用いており、その付勢力は、押出部材35の押圧力よりも小さくなるように設定されている。そのため、押出部材35は、サイドレールEを押し拡げるように移動する場合に、位置決め部材41の付勢力に抗してサイドレールEを収容溝部40a内に押し込むようになり、それに伴い位置決め部材41はサイドレールEの外周縁に当接した状態で外周側に向かって移動するように巻付部が弾性変形する。
図4は、下側のサイドレールEを嵌め込む場合におけるサイドレールEが拡径した状態を示す概略構成図(図5のF−F断面図)であり、図5は、サイドレールEが拡径した状態を示す概略平面図(図4のD−D断面図)である。また、図8(Y)には、図4の(Y)部分の一部拡大図を示している。
図4では、スペーサ部材33は、凸部33aが凹部32dと対向配置される第一位置にセットされている。ピストンPが基体20に向かって軸方向に移動し、嵌合部材32の嵌合部分32bに当接して嵌合部材32を基体20側に移動させると、嵌合部材32はバネ部材32cを圧縮しながら押圧部材31とともに上昇する。そして、押圧部材31の上昇に伴って押圧面31aがスライド部材34の端面34aを押圧し、スライド部材34が径方向に拡がるように移動する。スライド部材34の径方向の移動に伴ってスライド部材34の下面に取り付けられた押出部材35が、開口部21aから突出するように径方向に移動する。そして、平面部30bに当接しているサイドレールEの内周面に当接して内側から押し拡げるように作用する。
保持部材40の収容溝部40aは、サイドレールEの外周側に近接して対向配置されているため、押し拡げられるサイドレールEの外周側は収容溝部40a内に挿入されていき、サイドレールEは収容溝部40a内で拡径されていくようになる。そのため、サイドレールEが押し拡げられる際に厚さ方向にずれるように変形することなく確実に径方向に拡径された状態になる。そして、図4及び図5に示すように、サイドレールEは、押出部材35により内周面の径がガイド部材30の延出部30aの外径よりわずかに拡がった拡径状態に設定される。この拡径状態に設定された段階で、図4に示すように、押圧部材31の段差部31eが基体20に当接した状態となっている。
また、ピストンPの軸方向の移動に伴い、嵌合部材32が上昇して嵌合部分32bの上面に形成された凹部32dにスペーサ部材33の下面に形成された凸部33aが嵌合し、嵌合部分32bの上面がスペーサ部材33の下面に密着してピストンPがガイド部材30内に挿入された状態となり、延出部30aの下端が溝M3に近接したサイドレールEの下側の組付位置に設定されるようになっている。
図4に示す状態からピストンPをさらに基体20に向かって軸方向に移動させると、供給部2及び押出部3がピストンPに押圧されながら、キャリッジ50とともにレール51に案内されながら軸方向に一体となって移動するようになる。その際に、取付部4は、支柱52に固定されて移動しないため、保持部材40の内側をガイド部材30の延出部30aが通過していくようになる。延出部30aが保持部材40内を通過するのに伴い、収容溝部40a内で拡径した状態で保持されたサイドレールEは、内周面に当接する押出部材33の先端部が外れて延出部30aの外周面に移行するようになる。
サイドレールEは、延出部30aの内周面に密着するとともに収容溝部40a内で拡径状態が維持されたまま、保持部材40とともにピストンP側に強制的に移動するようになる。延出部30aは、厚さが薄く形成されてピストンPの外形よりもわずかに大きくなるように形成されているため、サイドレールEは延出部30aの外周面に密着した状態で弾性変形可能な範囲を超えて拡径しないようになっている。
保持部材40の収容溝部40a内にサイドレールEを拡径状態で保持したまま延出部30aの外周面を移動していき、サイドレールEが延出部30aの下端に到達すると、サイドレールEが延出部30aから外れてピストンPの溝M3内に予め装着されたスペーサエキスパンダSの下側の組付位置に落ち込むように挿入される。挿入されたサイドレールEは、拡径状態から元の形状に戻るように弾性変形し、溝M3内に嵌め込まれて組み付けられる。
図6は、サイドレールEをピストンPの溝M3内のスペーサエキスパンダSの下側に嵌め込んだ状態を示す概略構成図である。また、図8(Z)には、図6の(Z)部分の一部拡大図を示している。
サイドレールEが溝M3内に嵌め込まれた状態では、サイドレールEの外周縁に当接している位置決め部材41は、弾性変形してサイドレールEの外周縁に当接した状態を維持しており、サイドレールEの中心がピストンPの中心軸とほぼ一致するように位置決めする。また、位置決め部材41の作用側部分は保持部材40の内周側よりも内側に移動した位置に設定されるため、サイドレールEの外周側が保持部材40の内周側に重ならないようになる。そのため、上述したように、溝M3内に嵌め込まれた状態で径方向にずれやすいサイドレールEをずれないように位置決めして保持部材40と重ならないように設定することができる。
サイドレールEを溝M3内に組み付けた後ピストンPを押圧部材31から離間させる方向に移動させることで、押圧部材31に対して軸方向に作用する力がなくなり、バネ部材36により押出部材35が中心側に集まるように移動して元の位置に設定されるとともに、保持部材40内を延出部30aが移動して元の位置に戻る。そして、次のサイドレールEが送出されて、図1及び図2の状態に設定される。
なお、保持部材40を延出部30aから外れた位置に移動させた場合でも、位置決め部材41はストッパ41cにより内周側への移動を制限されているため、位置決め部材41の作用側部分が延出部30aの内側に配置されることはない。そのため、保持部材40内を延出部30aが元の位置に移動する際に位置決め部材41が引っ掛かることなく確実に移動することができる。
以上説明したように、サイドレールEを溝M3内のスペーサエキスパンダSの下側に嵌め込んだ後、スペーサ部材33を移動させて第一位置から外れた第二位置に位置決めする。そして、再度ピストンPを軸方向に移動させてスペーサエキスパンダSの上側にサイドレールEを嵌め込む。図7は、図4と同様に、ガイド部材30内にピストンPを挿入してサイドレールEを拡径した状態を示す概略構成図である。ピストンPにより上昇した嵌合部材32は、嵌合部分32bの上面が凸部33aに当接してスペーサ部材33の下面との間に凸部33aの高さに相当する間隔を空けた状態となっており、ガイド部材30の延出部30aの下端がピストンPの溝M3の近接してサイドレールEの上側の組付位置に設定されるようになる。そのため、図7に示す状態からピストンPをさらに軸方向に移動させることで、図4と同様に、サイドレールEを拡径状態で保持する保持部材40が延出部30aに沿って移動し、延出部30aの下端からサイドレールEをスペーサエキスパンダSの上側に落とし込むように嵌め込む。
以上説明したように、スペーサ部材をガイド部材及びピストンの間に配置し、ガイド部材内に挿入されたピストンと嵌合する嵌合部材との間で嵌合状態又は嵌合状態から外れた間隔を空けた状態に設定することで、一対のサイドレールを組み付けるピストンの溝に対してガイド部材の端部をサイドレールのそれぞれの組付位置に設定することが可能となり、一対のサイドレールをそれぞれ位置決めして効率よく確実に取り付けることができる。
1・・・ピストンリングの組付装置、2・・・供給部、3・・・押出部、4・・・取付部、5・・・案内部、20・・・基体、21・・・マガジン部材、21a・・開口部、22・・・支持部材、23・・・連結板、30・・・ガイド部材、30a・・延出部、30b・・平面部、31・・・押圧部材、31a・・押圧面、31b・・先端部分、31c・・係合部分、31d・・挿着孔、31e・・段差部、32・・・嵌合部材、32a・・本体部分、32b・・嵌合部分、32c・・バネ部材、32d・・凹部、33・・・スペーサ部材、33a・・凸部、33b・・連結部分、33c・・長孔、33d・・取付ピン、33e・・駆動部材、34・・・スライド部材、34a・・端面、34b・・バネスペース、35・・・押出部材、36・・・バネ部材、40・・・保持部材、40a・・収容溝部、40b・・切欠き部、41・・位置決め部材、41a・・支点、41b・・係止部、41c・・ストッパ42・・・連結部材、50・・・キャリッジ、51・・・レール、52・・・支柱、40’・・・保持部材、40a’・・・収容ピン、41’・・・位置決め部材、41a’・・・当接部材、41b’・・・ストッパ、41c’・・・バネ部材、41d’・・・係止部材、E・・・平板状のリング部材(サイドレール)、S・・・波形状のリング部材(スペーサエキスパンダ)、S1・・耳部、M1〜M3・・・溝、Ms・・溝内のスペース、P・・・ピストン、C・・・シリンダ、C1・・シリンダ内周面
Claims (3)
- ピストンに取り付けられるサイドレールを厚さ方向に1列に配列するように積載して送出する供給部と、送出された前記サイドレールを1個ずつ内周側から押し拡げながら切り出して拡径する押出部と、前記サイドレールを拡径された状態で前記ピストンが挿入されたガイド部材の周囲に保持しながら前記ピストンに対して相対的に移動させて当該ガイド部材の端部において前記ピストンの外周面に形成された溝に嵌め込む取付部とを備えたピストンリングの組付装置であって、前記ガイド部材と前記ピストンとの間に配置されるとともに前記ガイド部材の端部を前記溝に対する一対の前記サイドレールのそれぞれの組付位置に設定するスペーサ部材を備えているピストンリングの組付装置。
- 前記スペーサ部材は、前記ガイド部材内に挿入された前記ピストンと嵌合する嵌合部材との間で嵌合状態又は嵌合状態から外れた間隔を空けた状態に設定することで、前記組付位置に設定する請求項1に記載のピストンリングの組付装置。
- 前記スペーサ部材及び前記嵌合部材は、一方に形成された凹部と他方に形成さた凸部を嵌合させて嵌合状態に設定される請求項2に記載のピストンリングの組付装置。
Priority Applications (1)
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JP2015249352A JP2017113817A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | ピストンリングの組付装置 |
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Cited By (2)
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2015
- 2015-12-22 JP JP2015249352A patent/JP2017113817A/ja active Pending
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