JP2017110445A - 折板屋根改修用金具 - Google Patents

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Abstract

【課題】風の吹き上げによる負圧に対する耐久性が高く、仕上げ高さの低い折板屋根の構築を可能とする折板屋根改修用金具。【解決手段】既設折板屋根の上面で固定する折板屋根改修用金具3において、前記既設折板屋根の嵌合山部を跨いで該嵌合山部に配置され前記既設折板屋根を介して前記タイトフレームに固定保持される下部材3aと、該下部材3aに重ね合わせ状態で接合する上部材3bとを備え、該下部材3aは、該既設折板屋根の嵌合山部の傾斜側壁に当接可能で、かつ、その当接部位を該タイトフレームに対する固定部とする一対の脚部3a1、3a2と、それぞれの上端において立ち上がる垂直側板3a3、3a4と、その相互間にわたってつながるベース3a5とからなり、該上部材3bは、該下部材3aのベース3a3に重ね合わせ状態で接合する上部材本体3b1と、該新設折板屋根を引き抜け不能に係留する一対の係止片3b2、3b3とから構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、工場、倉庫、大型店舗等の大面積の屋根において幅広く使用される折板屋根につき、その屋根を改修する際に用いて好適な改修用金具に関するものである。
折板屋根材は、本来、鋼板コイルを素材として、これを施工現場に設置されたロール成形機で所望の形状、長さに成形される製品であって、施工性、耐風圧強度、止水性を経済的に確保できる屋根材として広く普及している。
近年、この種の屋根材は、既設折板屋根の上に新設折板屋根を被せる、所謂カバー工法により改修するのが一般的であり、これにより折板屋根の効率的な改修を実現している。
この点に関する先行技術としては、既設折板屋根板のはぜ締め部の首部を一対の挟着片にて挟着し、この挟着片に固定された吊子に新規な折板屋根板を配置(引掛ける)することによって屋根の葺きあげを行う、例えば特許文献1に開示のような、はぜ締め折板屋根用葺替え及び断熱金具が知られている。
特許第3511169号公報
しかしながら、上記特許文献に開示された金具は、以下に述べるような不具合を有していた。
すなわち、従来の金具を用いた折板屋根の改修では、台風等の強風時において大きな負圧が作用した場合に、既設折板屋根板のはぜ部の変形や伸びが発生することが懸念され強度面での不安がある。また、金具の設置位置が既設折板屋根板のはぜ部よりも高い位置に置かれることから、例えば、既設の屋根に立ち上り壁(パラペット)がある屋根につき、該屋根の水上側に位置するパラペットの内側高さが極端に低く納められている場合に、雨仕舞に必要な高さが確保できないために既設パラペットの高さ変更による改造や既設仕上げ材の撤去、取替え等が必要となり、コストアップの上昇が避けられない(既設屋根の仕上がり高さに制限を受ける)。
本発明の目的は、風の吹き上げによる負圧に対する耐久性が高く、新設折板屋根を既設折板屋根により近い高さの位置で確実に固定できる折板屋根改修用金具を提案するところにある。
本発明は、タイトフレームに固定された既設折板屋根と該既設折板屋根を覆い隠す新設折板屋根との相互間に設置され、該新設折板屋根を該既設折板屋根の上面で固定する折板屋根改修用金具であって、
前記既設折板屋根の嵌合山部を跨いで該嵌合山部に配置され前記既設折板屋根を介して前記タイトフレームに固定保持される下部材と、該下部材に重ね合わせ状態で接合する上部材とを備え、
該下部材は、該既設折板屋根の嵌合山部の傾斜側壁に対向姿勢でもってそれぞれ当接可能で、かつ、その当接部位を該タイトフレームに対する固定部とする一対の脚部と、該一対の脚部のそれぞれの上端部において立ち上がる垂直側板と、該垂直側板の上端部でその相互間にわたってつながるベースとからなり、該上部材は、該下部材のベースに重ね合わせ状態で接合する上部材本体と、該上部材本体の幅方向の端部にそれぞれ設けられ該新設折板屋根の裏面に嵌合して該新設折板屋根を引き抜け不能に係留する一対の係止片とからなることを特徴とする折板屋根改修用金具である。
上記の構成からなる折板屋根改修用金具において、前記ベースは、前記一対の垂直側板の各上端部にそれぞれつながる一対の底板と、該各一対の底板につながる一対の側板と、該一対の側板にそれぞれつながり該一対の底板および該一対の側板と協働して下方に向けて開放された凹所を区画形成する天板からなり、
前記上部材の上部材本体は、該天板に重ね合わさる上側天板と、該一対の側板に重ね合わさり該上側天板の幅方向の端部につながる一対の上側側板と、該一対の底板に重ね合わさり該一対の上側側板につながるとともにその幅方向の端部で前記係止片を保持する一対の上側底板からなるもので構成するのが好ましい。
また、前記天板と前記上側天板は、それぞれ、幅方向の中央部を起点にその長手方向に沿って屈曲させた山折断面形状を有すること、また、前記上部材本体は、前記上側側板、前記上側底板および前記係止片にわたって設けられた補強部材を有すること、さらに、前記補強部材は、長手方向の一端が前記上側側板につながり該長手方向の他端が前記係止片につながる板状体と、一端が該板状体の幅方向の少なくとも一端につながり他端が該上側側板および該上側底板につながる縦リブからなること、が本発明の課題解決のための具体的手段として望ましい。
上記の構成からなる本発明の折板屋根改修用金具によれば、新設折板屋根が上部材の係止片に強固に嵌合する一方、下部材がその脚部を通して既設折板屋根の下側に位置するタイトフレームに固定されるため、台風等の強風により大きな負圧が作用しても新設折板屋根が受ける力は、該タイトフレームを支持する既設鉄骨下地へと伝達されるため風の吹き上げによる負圧に対して耐久性が高まる。また、新設折板屋根を、既設折板屋根の近い位置で葺きあげることが可能であるため(仕上がり高さを低くできる)、既設仕上げ材(パラペット等)の撤去や改造を要することなく雨仕舞に必要な高さを確保し得る。
また、本発明の折板屋根改修用金具によれば、金具は、上部材と下部材で構成されておりその重ね合わせ部分は二重構造となるため金具そのものの曲げ強度を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、上部本体に補強部材を設けて係止片との一体化を図るようにしたため、該係止片の曲げ強度が高められ、新設折板屋根の、既設折板屋根上での固定が確実になる。
折板屋根の葺きあげに用いて好適な折板屋根材の外観斜視図である。 図1に示した折板屋根材を用いて折板屋根を葺きあげる状況を示した図である。 本発明にしたがう折板屋根改修用金具の実施の形態を模式的に示した図である。 (a)〜(c)は、図3に示した折板屋根改修用金具の平面、正面および側面を示した図である。 (a)(b)は、図3、図4に示した折板屋根改修用金具を用いて既設折板屋根の上に新設折板屋根を葺きあげた状態を一部分について示した図である。 既設折板屋根の改修要領の説明図である。
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、折板屋根を葺きあげる際に使用される折板屋根材の一例を模式的に示した外観斜視図であり、図2は、図1に示した折板根板材を建築構造物の下地材(既設鉄骨等)に設置されたタイトフレームに設置して折板屋根を葺きあげる状態を部分的に示した図である。
図1、2における符号1は、厚さ0.6〜1.0mmの例えば、溶融亜鉛めっき鋼板やカラー鋼板等の防錆処理鋼板、あるいはステンレス鋼板、アルミニウム合金板、亜鉛板等を、ロール成形、プレス成形によって成形される定尺部材からなる折板屋根材である。この折板屋根材1は、矩形形状をなす溝板1aと、該溝板1aの幅方向の端部の全長にわたって一体的につながり幅方向外方へ向け角度をつけて立ち上がる傾斜側壁1b、1cと、該傾斜壁1b、1cの上端部に一体連結する頂面壁1d、1eと、該頂面壁1d、1eに設けられた上はぜ1f、下はぜ1gから構成されている。
折板屋根は、上掲図1に示した如き形状からなる折板屋根材1の複数枚を、図2に示すように、波形形状をなすタイトフレーム2の上に横並び状態で配列して隣接する折板屋根材1との相互間で上はぜ1f、下はぜ1gをはぜ締めすることによって屋根材同士をつなぎ合わせ、かつそれらをタイトフレーム2に固定することにより葺きあげられるものであって、該折板屋根材1によって葺きあげられた折板屋根は、その正面視では溝部(凹部)Mと嵌合山部(凸部)Yとが交互につながった波形状を呈するものとなる。
図3は、上記のような折板屋根材によって葺きあげられた折板屋根(既設のもの)とこの折板屋根を覆い隠す新設折板屋根との相互間に配置され、該新設折板屋根を該既設折板屋根の上面で固定する際に使用する、本発明にしたがう折板屋根改修用金具の実施の形態を模式的に示した図である。また、図4(a)〜(c)は、図3に示した折板屋根改修用金具の平面、正面および側面を示した図である。
図3、4おける符号3は、例えば薄鋼板からなる厚さ2.5mm程度の折板屋根改修用金具である。この折板屋根改修用金具3は、既設折板屋根の嵌合山部Yを跨いで該嵌合山部Yに配置され既設折板屋根を介してタイトフレーム2に固定保持される下部材3aと、この下部材3aに重ね合わせ状態で接合(溶接やリベット留等)する上部材3bとを備えるものである。
下部材3aは、既設折板屋根Sの嵌合山部Yの傾斜側壁1b、1cに対向姿勢でもってそれぞれ当接可能で、かつ、その当接部位をタイトフレーム2に対する固定部とする一対の脚部3a1、3a2と、該一対の脚部3a1、3a2のそれぞれの上端部に屈曲部Kを経て立ち上がる垂直側板3a3、3a4と、該垂直側板3a3、3a4の上端部でその相互間にわたってつながるベース3a5から構成されている。
ベース3a5は、具体的には、一対の脚部3a1、3a2の各上端部にそれぞれつながる一対の底板3a51、3a52と、該底板3a51、3a52につながる一対の側板3a53、3a54と、該側板3a53、3a54にそれぞれつながり該一対の底板3a51、3a52および一対の側板3a53、3a54と協働して下方に向けて開放された凹所nを区画形成する天板3a55からなるものが適用される。とくに、底板3a51、3a52は、折板屋根改修金具3を既設折板屋根Sの嵌合山部Yに設置したとき、該嵌合山部Yの頂面角部に当接する鉤状断面形状を有するものにて構成するのが好ましく、このような底板3a51、3a52を設けておくことによって、折板屋根改修用金具3の、嵌合山部Yに対する位置決めが簡単かつ正確に行える。
また、上部材3bは、下部材3aのベース3a3に重ね合わせ状態で接合する上部材本体3b1と、この上部材本体3b1の幅方向の端部にそれぞれ設けられ新設折板屋根の裏面に嵌合して該新設折板屋根を引き抜け不能に係留する一対の係止片3b2、3b3から構成されるものである。
上部材3bの上部材本体3b1は、ここでは、天板3a55に重ね合わさる上側天板3b11と、一対の側板3a53、3a54に重ね合わさり上側天板3b11の幅方向の暗部につながる一対の上側側板3b12、3b13と、一対の底板3a51、3a52に重ね合わさり該一対の上側側板3b12、3b13につながるとともにその幅方向の端部で係止片3b2、3b3を保持する一対の上側底板3b14、3b15からなるものを例として示している。
また、4は、上部材本体3b1の上面、とくにその長手方向の端部にそれぞれ設けられた補強部材である。この補強部材4は、プレスによる一体成型により上側側板3b12、3b13、上側底板3b14、3b15にわたって設けられるものであって、一端が上側側板3b12、3b13につながり他端が係止片3b2、3b3につながる板状体4aと、一端が板状体4aの幅方向の一方の端部につながり他端が上側側板3b12、3b13および上側底板3b14、3b15につながる例えば三角形状をなす縦リブ4bからなっている。
図5(a)(b)は、上掲図3、4に示した構成からなる折板屋根改修用金具3を用いて、既設折板屋根Sの上に新設折板屋根S′を葺きあげた状態を一部分について示した図である。
本発明にしたがう折板屋根改修用金具3は、新設折板屋根S′を構成する折板屋根材の裏面に形成された顎部に上部材3bの係止片3b2、3b3が嵌合することにより該新設折板屋根S′を強固に固定する一方、下部材3aがその脚部3a1、3a2を通して既設折板屋根Sの下側に位置するタイトフレーム2にドリルねじの如き締結手段dによって固定されるため、台風等の強風により大きな負圧が作用しても新設折板屋根S′が受ける力は、該タイトフレーム2を支持する既設鉄骨下地5へと伝達されるため風の吹き上げによる負圧に対する耐久性を高めることができる。また、既設折板屋根Sのはぜ締め部は、下部材3aの天板3a35によって区画形成された凹所nに入り込むため、新設折板屋根S′は、既設折板屋根Sに近い位置に固定して葺きあげることが可能(仕上がり高さを低くできる)であり、既設仕上げ材(パラペット等)の撤去や改造を要することなしに雨仕舞に必要な高さを確保できる利点を有している。
本発明にしたがう折板屋根改修用金具3を用いて既設折板屋根Sの改修を行うには、図6に示すように、既設折板屋根Sの所定位置に所定間隔でもって複数個の折板屋根改修用金具3を固定し、次いで、新設折板屋根S′を構成する折板屋根板材を折板屋根改修用金具3の上部材3bに設けられた係止片3b2、3b3に嵌合させて固定すればよい。
本発明にしたがう折板屋根改修用金具3を用いて既設折板屋根Sを改修した場合、既設折板屋根Sの嵌合山部Yの頂部から新設折板屋根S′の嵌合山部Yの頂部までの垂直寸法h(図5(a)参照)は、35mm程度であり、従来のカバー工法を適用して折板屋根の改修を行った場合の同様の垂直寸法100mm程度に対して新設折板屋根の仕上がり高さが各段に低くなる。
下部材3aの天板3a35と上部位材3bの上側天板3b11は、それぞれ幅方向の中央部P(図2参照)を起点にその長手方向に沿って屈曲させた山折断面形状とするのが好ましく、該天板3a35、該上側天板3b11を山折断面形状とすることによりその部位の強度が高まり、新設折板屋根S′の確実な固定が可能となる。
上部材3bについては、その上側天板3b11、上側側板3b12、3b13および上側底板3b14、3b15に予め、図4(a)〜(c)の斜線部において示したような形状からなる窓孔を設けておき、この窓孔を利用して溶接あるいはリベット留(溶接とリベット留との併用も可)を行うことにより下部材3aとの効率的な接合を行うことができる。とくに、リベット留を行うに当たっては、上側底板3b14、3b15と底板3a31、3a32との相互間のみで行うことも可能であり、この場合においても十分な接合強度を確保し得る。
補強部材4は、上部材3bの長手方向の先端、後端の4箇所に設けたものを例として示したが、補強部材4の設置個所や設置数は適宜変更可能であり、図示のものに限定されることはない。
本発明によれば、風の吹き上げによる負圧に対する耐久性に優れ、かつ、仕上げ高さの低い新設折板屋根の葺きあげが可能な折板屋根改修用金具が提供できる。
1 折板屋根材
1a 溝板
1b、1c 傾斜側壁
1d、1e 頂面壁
1f、1g 上はぜ、下はぜ
2 タイトフレーム
3 折板屋根改修用金具
3a 下部材
3a1、3a2 脚部
3a3、3a4 垂直側板
3a5 ベース
3a51、3a52 底板
3a53、3a54 側板
3a55 天板
3b 上部材
3b1 上部材本体
3b11 上側天板
3b12、3b13 上側側板
3b14、3b15 上側底板
4 補強部材
4a 板状体
4b 縦リブ
5 既設鉄骨下地
M 溝部
Y 嵌合山部
d 締結手段
n 凹所

Claims (5)

  1. タイトフレームに固定された既設折板屋根と該既設折板屋根を覆い隠す新設折板屋根との相互間に設置され、該新設折板屋根を該既設折板屋根の上面で固定する折板屋根改修用金具であって、
    前記既設折板屋根の嵌合山部を跨いで該嵌合山部に配置され前記既設折板屋根を介して前記タイトフレームに固定保持される下部材と、該下部材に重ね合わせ状態で接合する上部材とを備え、
    該下部材は、該既設折板屋根の嵌合山部の傾斜側壁に対向姿勢でもってそれぞれ当接可能で、かつ、その当接部位を該タイトフレームに対する固定部とする一対の脚部と、該一対の脚部のそれぞれの上端部において立ち上がる一対の垂直側板と、該垂直側板の上端部でその相互間にわたってつながるベースとからなり、
    該上部材は、該下部材のベースに重ね合わせ状態で接合する上部材本体と、該上部材本体の幅方向の端部にそれぞれ設けられ該新設折板屋根の裏面に嵌合して該新設折板屋根を引き抜け不能に係留する一対の係止片とからなることを特徴とする折板屋根改修用金具。
  2. 前記ベースは、前記一対の垂直側板の各上端部にそれぞれつながる一対の底板と、該各一対の底板につながる一対の側板と、該一対の側板にそれぞれつながり該一対の底板および該一対の側板と協働して下方に向けて開放された凹所を区画形成する天板からなり、
    前記上部材の上部材本体は、該天板に重ね合わさる上側天板と、該一対の側板に重ね合わさり該上側天板の幅方向の端部につながる一対の上側側板と、該一対の底板に重ね合わさり該一対の上側側板につながるとともにその幅方向の端部で前記係止片を保持する一対の上側底板からなることを特徴とする請求項1に記載した折板屋根改修用金具。
  3. 前記天板と前記上側天板は、それぞれ、幅方向の中央部を起点にその長手方向に沿って屈曲させた山折断面形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載した折板屋根改修用金具。
  4. 前記上部材本体は、前記上側側板、前記上側底板および前記係止片にわたって設けられた補強部材を有することを特徴とする請求項2または3に記載した折板屋根改修用金具。
  5. 前記補強部材は、一端が前記上側側板につながり他端が前記係止片につながる板状体と、一端が該板状体の幅方向の少なくとも一方の端部につながり他端が該上側側板および該上側底板につながる縦リブからなることを特徴とする請求項4に記載した折板屋根改修用金具。
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