JP2017110247A - クランクシャフト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた曲げ疲労強度及び耐焼付き性を有するクランクシャフト及びその製造方法を提供する。【解決手段】本実施形態によるクランクシャフトはピン部、ジャーナル部及びフィレット部を備え、質量%で、C:0.35%〜0.60%、Si:0%〜1.50%、Mn:0.50%〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%〜0.10%、Cr:0.05%〜2.0%、Al:0%〜0.050%、N:0.0030%〜0.020%を含有する。ピン部等において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さが1.0mm以上であり、上記表面から50μm深さまでの領域において、平均窒素濃度は0.10%〜0.80%で、80%以上のマルテンサイトからなり、円換算直径で1μm以上の鉄窒化物が1個/1000μm2未満である。上記表面から20μm深さまでの領域において、円換算直径で2μm以上の酸化物は3個/1000μm2未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、クランクシャフト及びその製造方法に関する。
自動車、トラック及び建設機械に代表される輸送機では、燃費向上(起動停止の増加、小排気量化)及び、排ガス規制対応(高筒内圧化)の要求が高まっている。これらの要求は、クランクシャフトへの負荷を増大する。そのため、クランクシャフトには、曲げ疲労強度及び耐焼付き性のさらなる向上が求められている。
クランクシャフトの疲労強度又は耐焼き付き性を高める技術として、表面硬化処理が知られている。表面硬化処理としては、窒化処理、高周波焼入れ、及び、フィレットロール加工がよく知られている。窒化処理は、鋼の表面から窒素だけを浸透させる狭義の窒化処理と、窒素と炭素を同時に浸透させる軟窒化処理とを含む。
高周波焼入れされたクランクシャフトは、他の表面硬化処理が施されたクランクシャフトと比較して、高い曲げ疲労強度を有する。高周波焼入れによってクランクシャフトに形成される硬化層は、他の表面硬化処理により形成される硬化層よりも深く、さらに、硬化層に導入される圧縮残留応力が大きいためである。
一方、窒化処理されたクランクシャフトでは、高周波焼入れの場合と比較して、曲げ疲労強度は低いものの、高温強度を高く維持でき、耐焼付き性に優れる。窒化処理により、クランクシャフトの表層には、主として鉄窒化物(ε及び/又はγ’)からなる化合物層が形成され、化合物層と母材との間に拡散層が形成される。この化合物層及び拡散層により、優れた耐焼き付き性が得られると考えられている。
上記のとおり、高周波焼入れ処理及び窒化処理はそれぞれ異なる効果を発揮する。そこで、窒化処理後に高周波焼入れ処理を実施する複合熱処理が、特開2015−59248号公報(特許文献1)、特開2014−118070号公報(特許文献2)、特開2007−77411号公報(特許文献3)に開示されている。
特許文献1に開示された鋼の熱処理方法では、初めに、鋼に対して軟窒化処理を実施する。次に、軟窒化処理後の鋼に対して、オーステナイト域の1000〜1200℃で30〜120分加熱し、その後、急冷する(焼入れ処理)。この場合、化合物層中の窒素を、焼入れ処理時に鋼の内部に拡散できる。そのため、硬化層をより深く形成でき、疲労強度が高まる、と記載されている。
特許文献2に開示された船舶推進装置用のクランクシャフトの製造方法は、ガス軟窒化処理後に高周波焼入れ処理を実施する。これにより強度が高まり、かつ、窒化層(化合物層及び拡散層)により海水に対する耐食性も維持される。なお、高周波焼入れによりクランクシャフトの寸法精度が低下する。そこで、クランクケース内に収容され、海水に対する耐食性が要求されない部位(ピン、ジャーナル等)については、表層を研削して寸法精度を高める、と記載されている。なお、表層をどの程度研削するかについては記載されていない。
特許文献3に開示された機械構造部品の製造方法では、窒化処理を実施して化合物層の厚さが5μm以下、窒化層の深さが0.2mm以上、表面から深さ0.05mmの位置における窒素濃度が0.3〜2.5重量%の窒化層を形成し、ついで、窒化層部分がオーステナイト化する条件で高周波焼入れを実施する。これにより、優れた曲げ疲労強度及び摩耗特性が得られる、と記載されている。
特開2015−59248号公報 特開2014−118070号公報 特開2007−77411号公報 WO2012/056785号公報
しかしながら、上述の特許文献に開示された鋼材をクランクシャフトとした場合、曲げ疲労強度が低い場合がある。
本発明の目的は、優れた曲げ疲労強度及び耐焼付き性を有するクランクシャフト及びその製造方法を提供することである。
本実施形態によるクランクシャフトは、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部を備える。本クランクシャフトは、質量%で、C:0.35%〜0.60%、Si:0%〜1.50%、Mn:0.50%〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%〜0.10%、Cr:0.05%〜2.0%、Al:0%〜0.050%、N:0.0030%〜0.020%、V:0〜0.20%、Ti:0〜0.050%、Cu:0〜0.20%、及び、Ni:0〜0.20%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する。ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さが1.0mm以上である。上記表面から50μm深さまでの領域において、平均窒素濃度が0.10%〜0.80%であり、マトリクス組織は面積率で80%以上のマルテンサイトと0〜20%の残留オーステナイトとからなり、円換算直径で1μm以上の鉄窒化物が1個/1000μm2未満である。上記表面から20μm深さまでの領域において、円換算直径で2μm以上の酸化物が3個/1000μm2未満である。
上記クランクシャフトの製造方法は、上記化学組成を有する鋼材を熱間鍛造してクランクシャフト形状の中間材を製造する工程と、中間材に対して窒化処理を実施して、中間材の表層に厚さ6μm以上の化合物層と厚さ50μm以上の拡散層とを形成する工程と、窒化処理後の中間材に対して高周波焼入れ処理を実施する工程と、中間材のうち、高周波焼入れ処理により化合物層が変化したものであり酸化物を含む元化合物層と、元化合物層下に形成された残留オーステナイトとを除去する工程とを備える。
本実施形態によるクランクシャフトは、優れた曲げ疲労強度及び耐焼付き性を有し、本実施形態による製造方法は、上記クランクシャフトを製造できる。
図1は、本実施形態のクランクシャフトの要部の一例を示す模式図である。 図2は、実施例における焼付き試験で使用した高面圧試験機の模式図である。
本発明者らは、優れた曲げ疲労強度と、優れた耐焼き付き性とを両立可能なクランクシャフトについて調査及び検討を行った。その結果、本発明者らは次の知見を得た。
(1)クランクシャフトにおいて、優れた曲げ疲労強度を得るためには、高周波焼入れ処理を実施して深い硬化層及び大きな残留応力を形成することが有効である。上述のとおり、窒化処理材は、高周波焼入れ材と比較して高温強度に優れ、耐焼付き性に優れる。しかしながら、窒化処理のみで深い硬化層を得ることは困難である。したがって、高周波焼入れ処理により深い硬化層を形成することが、曲げ疲労強度には有効である。
(2)高周波焼入れ処理により形成されるマルテンサイトの窒素含有量が高い場合、摺動時の発熱に対して微細な窒化物が形成される。この窒化物の析出強化により、強度の低下を抑制でき、優れた高温強度が得られる。そのため、クランクシャフトのピン部、ジャーナル部及びフィレット部の最表層の組織を窒素含有量の高いマルテンサイト(以下、高窒素マルテンサイトという)とすれば、優れた曲げ疲労強度及び耐焼付き性が得られる。窒化処理後の鋼材に対して高周波焼入れ処理を実施すれば、表層に高窒素マルテンサイトを形成できる。
(3)しかしながら、窒化処理を実施した後、高周波焼入れ処理を実施したクランクシャフトでは、次の問題が生じることを本発明者らは新たに知見した。
窒化処理を実施した場合、鋼材の最表層には化合物層が形成され、母材と化合物層との間には拡散層が形成される。化合物層は主として鉄窒化物(ε及び/又はγ’)からなる。このような化合物層及び拡散層を含む鋼材に対して高周波焼入れ処理を実施した場合、高温加熱により化合物層が分解し、鉄窒化物、酸化物及び空隙を含むポーラスなマルテンサイトと残留オーステナイトとからなる混合組織が形成される。このような混合組織を元化合物層と称する。さらに、拡散層のうち化合物層と隣接する部分には、残留オーステナイトが形成される。元化合物層及び元化合物層下に形成される残留オーステナイトは、クランクシャフトの曲げ疲労強度を低下する。
(4)そこで、本実施形態では、高周波焼入れ処理後の鋼材に対して研削処理を実施して、元化合物層及び元化合物層下の残留オーステナイトを除去する。これにより、優れた曲げ疲労強度が得られる。さらに、窒化処理後に高周波焼入れ処理を実施するため、高窒素マルテンサイトが形成される。そのため、優れた耐焼付き性も得られる。
(5)高周波焼入れ処理前に、化合物層を除去する考え方もあり得る。しかしながら、高周波焼入れは通常、大気中で実施される。ここで、高周波焼入れ処理前に化合物が除去された鋼材を用いた場合を想定する。この場合、鋼材を焼入れ温度に加熱すれば、大気中の酸素が鋼中に侵入し、鋼材内に粗大な酸化物が生成する。酸化物は曲げ疲労強度を低下する。化合物層を除去すればまた、高周波焼入れ処理時において、化合物層中の窒素を拡散層に移動させることができない。その結果、硬化層を構成するマルテンサイト中の窒素濃度が低くなり、耐焼付き性が低下する。
化合物層が形成された鋼材を用いて焼入れ処理を実施した場合、化合物層が酸素の侵入を抑制する障壁として機能する。さらに、化合物層は拡散層への窒素の供給源としても機能する。したがって、本実施形態では、化合物層が形成された鋼材に対して高周波焼入れ処理を実施し、その後、元化合物層及び残留オーステナイトを除去する。
(6)より具体的には、6μm以上の厚みの化合物層と、50μm以上の厚みの拡散層とを有する鋼材に対して高周波焼入れを実施する。この場合、研削処理後のクランクシャフトでは、元化合物層が除去されているため、表層組織が主として窒素濃度の高いマルテンサイトからなる。さらに、表層では鉄窒化物及び酸化物が抑制されている。そのため、製造されたクランクシャフトの曲げ疲労強度及び耐焼付き性が高まる。
以上の知見により完成した本実施形態によるクランクシャフトは、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部を備える。本クランクシャフトは、質量%で、C:0.35%〜0.60%、Si:0%〜1.50%、Mn:0.50%〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%〜0.10%、Cr:0.05%〜2.0%、Al:0%〜0.050%、N:0.0030%〜0.020%、V:0〜0.20%、Ti:0〜0.050%、Cu:0〜0.20%、及び、Ni:0〜0.20%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する。ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さが1.0mm以上である。上記表面から50μm深さまでの領域において、平均窒素濃度が0.10%〜0.80%であり、マトリクス組織は面積率で80%以上のマルテンサイトと0〜20%の残留オーステナイトとからなり、円換算直径で1μm以上の鉄窒化物が1個/1000μm2未満である。上記表面から20μm深さまでの領域において、円換算直径で2μm以上の酸化物が3個/1000μm2未満である。
上記クランクシャフトの化学組成は、V:0.02〜0.20%、及び、Ti:0.010〜0.050%からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
上記クランクシャフトの化学組成は、Cu:0.02%〜0.20%、及び、Ni:0.02%〜0.20%からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
上記クランクシャフトの製造方法は、上記化学組成を有する鋼材を熱間鍛造してクランクシャフト形状の中間材を製造する工程と、中間材に対して窒化処理を実施して、中間材の表層に厚さ6μm以上の化合物層と厚さ50μm以上の拡散層とを形成する工程と、窒化処理後の中間材に対して高周波焼入れ処理を実施する工程と、中間材のうち、高周波焼入れ処理により化合物層が変化したものであり酸化物を含む元化合物層と、元化合物層下に形成された残留オーステナイトとを除去する工程とを備える。
以下、本実施形態に係るクランクシャフト及びその製造方法について詳述する。化学成分に関する%は、質量%を示す。
[クランクシャフトの構成]
図1は、本実施の形態によるクランクシャフトの要部の一例を示す模式図である。クランクシャフト1は、ピン部2と、ジャーナル部3と、アーム部4と、フィレット部5とを備える。ジャーナル部3はクランクシャフトの回転軸と同軸に配置される。ピン部2は、クランクシャフト1の回転軸からずれて配置される。アーム部4は、ピン部2とジャーナル部3との間に配置され、ピン部2とジャーナル部3とにつながる。フィレット部5は、ピン部2とアーム部4とのつなぎ目部分、及び、ジャーナル部3とアーム部4とのつなぎ目部分に相当する。ピン部2には、図示しないコンロッドが回転可能に取付けられる。ジャーナル部3は、図示しない軸受により回転可能に支持される。ピン部2はコンロッドと接触しながら回転し、ジャーナル部3は、軸受と接触しながら回転する。そのため、ピン部2、ジャーナル部3には優れた耐焼き付き性が、応力集中が生じるフィレット部5には優れた曲げ疲労強度が求められる。以下、ピン部2、ジャーナル部3を摺動部とも称する。
[化学組成]
上述の本実施形態のクランクシャフトの化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.35〜0.60%
炭素(C)は、鋼の強度を高め、クランクシャフトの曲げ疲労強度を高める。C含有量が低すぎればこの効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、被削性が低下する。したがって、C含有量は0.35〜0.60%である。C含有量の好ましい下限は0.36%であり、さらに好ましくは0.37%である。C含有量の好ましい上限は0.55%であり、さらに好ましくは0.50%である。
Si:0〜1.50%
シリコン(Si)は含有されなくてもよい。含有される場合、Siは、鋼の焼入れ性を高め、マルテンサイトの焼戻し軟化抵抗を高める。しかしながら、Si含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、被削性が低下する。また、Siが高くなると熱伝導率が低くなるため、熱の放散が起こりにくくなり、耐焼付き性を低下する。したがって、Si含有量は0〜1.50%である。上記効果をより有効に得るためのSi含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%である。Si含有量の好ましい上限は0.50%であり、さらに好ましくは0.30%である。
Mn:0.50〜2.0%
マンガン(Mn)は鋼の焼入れ性を高め、高周波焼入れ処理によりクランクシャフトの表層組織をマルテンサイトにする。Mn含有量が低すぎればこの効果は得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、被削性が低下する。したがって、Mn含有量は0.50〜2.0%である。Mn含有量の好ましい下限は0.60%であり、さらに好ましくは0.70%である。Mn含有量の好ましい上限は1.7%であり、さらに好ましくは1.5%である。
P:0.025%以下
燐(P)は不純物である。Pはマルテンサイト中の旧オーステナイト粒界を脆化する。したがって、P含有量は0.025%以下である。P含有量の好ましい上限は0.015%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
S:0.010〜0.10%
硫黄(S)は、主としてMnと結合してMnSを形成し、鋼の被削性を高める。S含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、S含有量が高すぎれば、粗大な硫化物系介在物(MnSも含む)が多量に生成し、焼割れの起点となる。したがって、S含有量は0.010〜0.10%である。S含有量の好ましい下限は0.012%であり、さらに好ましくは0.014%である。S含有量の好ましい上限は0.070%であり、さらに好ましくは0.065%である。
Cr:0.05〜2.0%
クロム(Cr)は窒化処理時において、拡散層中の窒素含有量を増加する。そのため、高周波焼入れ処理により得られるマルテンサイト中の窒素含有量が高まる。これにより、マルテンサイトの高温強度が高まり、クランクシャフトの摺動部(ピン部及びジャーナル部)の耐焼付き性が高まる。Crはさらに、鋼の焼入れ性を高める。Cr含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、被削性が低下する。したがって、Cr含有量は0.05〜2.0%である。Cr含有量の好ましい下限は0.07%であり、さらに好ましくは0.09%である。Cr含有量の好ましい上限は1.5%であり、さらに好ましくは1.2%である。
Al:0〜0.050%
アルミニウム(Al)は任意元素であり、脱酸のために含有される場合がある。しかしながら、Si等の他の脱酸元素が含有される場合、含有されなくてもよい。また、含有される場合、Alは窒化物を形成し、ピン止め粒子として焼入れ加熱時にオーステナイト粒の粗大化を抑制する。しかしながら、Al含有量が高すぎれば、粗大な介在物が生成して鋼の靱性が低下する。したがって、Al含有量は0〜0.050%である。Al含有量の好ましい下限は0.010%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.045%であり、さらに好ましくは0.040%である。
N:0.0030%〜0.020%
窒素(N)は、各種の窒化物を形成して、ピン止め粒子として焼入れ加熱時にオーステナイト粒の粗大化を抑制する。しかしながら、N含有量が高すぎれば、鋼の熱間延性が低下する。したがって、N含有量は0.0030〜0.020%である。オーステナイト粒の粗大化を抑制するためのN含有量の好ましい下限は0.0060%である。N含有量の好ましい上限は0.016%である。
本実施形態によるクランクシャフトの化学組成の残部はFe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、クランクシャフト用鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は製造環境などから混入されるものであって、本実施形態のクランクシャフトに悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本実施形態のクランクシャフトの化学組成はさらに、Feの一部に代えて、V及びTiからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、微細な炭窒化物を形成して、鋼の強度を高め、かつ、高周波焼入れ時におけるオーステナイトの粗粒化を抑制する。
V:0〜0.20%
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Vは、微細な炭窒化物を形成して鋼の強度を高め、かつ、高周波焼入れ処理時におけるオーステナイトの粗粒化を抑制する。Vはさらに、窒化処理での拡散層中の窒素含有量を増加する。そのため、高周波焼入れ処理によって得られるマルテンサイト中の窒素含有量が増加する。窒素含有量の増加により、マルテンサイトの高温強度が高まり、クランクシャフトの摺動部(ピン部及びジャーナル部)の耐焼付き性が高まる。しかしながら、V含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、被削性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.20%である。上記効果をより有効に得るためのV含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。V含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
Ti:0〜0.050%
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Tiは、微細な炭窒化物を形成して鋼の強度を高め、かつ、高周波焼入れ時におけるオーステナイトの粗粒化を抑制する。しかしながら、Ti含有量が高すぎれば、炭窒化物が粗大化して鋼が脆化する。したがって、Ti含有量は0〜0.050%である。上記効果をより有効に得るためのTi含有量の好ましい下限は0.010%であり、さらに好ましくは0.015%である。Ti含有量の好ましい上限は0.045%であり、さらに好ましくは0.040%である。
本実施形態のクランクシャフトの化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Cu及びNiからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼の耐食性を高める。
Cu:0〜0.20%
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Cuは鋼の耐食性を高める。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、鋼の熱間延性が低下し、連続鋳造時の鋳片の製造性が低下する。したがって、Cu含有量は0〜0.20%である。上記効果をより有効に得るためのCu含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Cu含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
Ni:0〜0.20%
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Niは鋼の耐食性及び靱性を高める。しかしながら、Niは高価であるため、Ni含有量が高すぎれば、製造コストが高まる。したがって、Ni含有量は0〜0.20%である。上記効果をより有効に得るためのNi含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Ni含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
[ピン部、ジャーナル部及びフィレット部でのビッカース硬さDHV550
本実施形態のクランクシャフトのピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さDHV550が得られる表面からの深さが1.0mm以上である。
高周波焼入れ後のクランクシャフトでは、表層に形成される硬化層の深さが深いほど、曲げ疲労強度が高まる。ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さDHV550が1.0mm未満である場合、十分な曲げ疲労強度が得られない。したがって、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さDHV550は1.0mm以上である。深さDHV550の好ましい下限は1.2mmであり、さらに好ましくは1.5mmである。
ビッカース硬さは次の方法で測定される。ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面と垂直な断面が被検面となるようなサンプルを採取する。サンプルの被検面を研磨した後、上記表面から深さ方向に0.1mmピッチで、JIS Z2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験を実施する。試験力は2.94Nとする。得られた各位置での硬さを連続的に結んで、表層付近の硬さプロファイルを作成する。作成された硬さプロファイルに基づいて、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さを、DHV550(mm)と定義する。
[ピン部、ジャーナル部及びフィレット部における表面から50μm深さまでの領域での平均窒素濃度]
本実施形態において、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部における表層組織は主として高窒素マルテンサイトからなる。したがって、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部における表面から50μm深さまでの領域での平均窒素濃度CNaveは0.10〜0.80%である。平均窒素濃度CNaveが0.10%以上であれば、マルテンサイトが十分な量の窒素を含有するため、優れた耐焼付き性が得られる。一方、平均窒素濃度CNaveが0.80%を超えれば、残留オーステナイト量が過剰に増加する。残留オーステナイトは軟質であるため、曲げ疲労強度を低下する。したがって、平均窒素濃度CNaveは0.10〜0.80%である。平均窒素濃度CNaveの好ましい下限は0.12%であり、好ましい上限は0.60%である。
平均窒素濃度CNaveは次の方法により測定される。ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の任意の10箇所で、表面から50μm深さまでの領域の窒素濃度をEPMA(電子線マイクロアナライザ)の線分析により求め、その平均値を求める。得られた10箇所の平均値の平均を、平均窒素濃度CNave(%)と定義する。
[ピン部、ジャーナル部及びフィレット部のマトリクス組織]
ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面から50μm深さまでの領域のマトリクス組織は、主としてマルテンサイトからなる。「主として」とはマトリクス中のマルテンサイトの総面積率が80%以上であることを意味する。ここでの「マルテンサイト」は、焼戻しマルテンサイトも含む。
マトリクス組織は面積率で20%以下の残留オーステナイトを含有してもよい。つまり、上記領域でのマトリクス組織は、面積率で80%のマルテンサイトと、0〜20%の残留オーステナイトとを含有する。マトリクス中のマルテンサイトの総面積率が100%でもよい。
マルテンサイトの強度は高いため、クランクシャフトの曲げ疲労強度が高まる。一方、残留オーステナイトはマルテンサイトと比較して強度が低いため、曲げ疲労強度を低下する。表層のマトリクス組織が面積率で80%のマルテンサイトを含有し、残留オーステナイトの面積率を20%以下に抑えれば、優れた曲げ疲労強度が得られる。残留オーステナイトの面積率の好ましい上限は15%である。
窒化処理後の鋼材表層には元化合物層と残留オーステナイトとが形成される。これらは曲げ疲労強度を低下するため、研削処理により除去される。したがって、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面から50μm深さまでの領域では、残留オーステナイトの面積率が低く抑えられ、優れた曲げ疲労強度が得られる。
ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面から50μm深さまでの領域でのマルテンサイトの面積率、及び、残留オーステナイトの面積率は次の方法で求める。クランクシャフトをピン部、ジャーナル部、及びフィレット部の表面から深さ方向に切断し、表面近傍の切断面を含むサンプルを採取する。上記表面から50μm深さまでの領域が観察面となるように、サンプルを樹脂に埋めて鏡面研磨する。研磨後、観察面をナイタールでエッチングする。エッチングされた観察面の任意の5視野(視野面積=150μm×50μm深さ)を光学顕微鏡(観察倍率1000倍)で観察する。マルテンサイトと残留オーステナイトとは観察面におけるコントラスト(明度)が異なる。したがって、コントラストに応じて、マルテンサイトと残留オーステナイトとを特定する。
5視野全てで特定されたマルテンサイトの総面積(μm2)と、残留オーステナイトの総面積(μm2)とを求める。視野総面積(150μm×50μm深さ×5)に基づいて、マルテンサイトの面積率(%)と、残留オーステナイトの面積率(%)とを求める。マルテンサイト及び焼戻しマルテンサイトの総面積、及び、残留オーステナイトの総面積は、たとえば、周知の画像処理により求めることができる。
[ピン部、ジャーナル部及びフィレット部での粗大鉄窒化物]
本実施形態のクランクシャフトのピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面から50μm深さの領域では、円換算直径で1μm以上の鉄窒化物(以下、粗大鉄窒化物という)の個数TNFeが1個/1000μm2未満である。ここで、本明細書における鉄窒化物は、ε(Fe2-3N)及びγ’(Fe4N)を意味する。
窒化処理後に高周波焼入れ処理を実施した場合、窒化処理により形成された化合物層が高周波焼入れ処理での高温加熱により分解される。その結果、化合物層は、鉄窒化物、酸化物、空隙を含むポーラスな混合組織の元化合物層に変化する。元化合物層の機械的特性は低いため、クランクシャフトの曲げ疲労強度を低下する。
本実施形態では、製造工程において元化合物層が除去される。したがって、本実施形態のクランクシャフトの上記領域は、粗大な鉄窒化物を実質的に含有しない。具体的には、粗大鉄窒化物の個数TNFeが1個/1000μm2未満である。そのため、優れた曲げ疲労強度が得られる。好ましくは、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の表面から50μm深さの領域において、鉄窒化物(円換算直径が1μm未満のものも含む)は存在しない。
[ピン部、ジャーナル部及びフィレット部での粗大酸化物]
上述のとおり、本実施形態では、窒化処理後に高周波焼入れ処理を実施する。このとき、化合物層が、鉄窒化物及び酸化物を含有するポーラスな元化合物層へと変化する。酸化物は、高周波焼入れ処理の加熱時に大気中の酸素が表面から鋼材内部に侵入及び拡散して、内部の合金元素(Fe、Mn、Si及びCr等)と結合して形成される。円換算直径が2μm以上の粗大な酸化物(以下、粗大酸化物という)は曲げ疲労強度を低下する。
ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、表面から20μm深さまでの領域中の粗大酸化物の個数TNOが3個/1000μm2未満であれば、優れた曲げ疲労強度が得られる。粗大酸化物の個数TNOの好ましい上限は2個/1000μm2未満であり、もっとも好ましくは0個/1000μm2である。
ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の粗大鉄窒化物及び粗大酸化物の個数は次の方法で測定される。クランクシャフトをジャーナル部の中心軸を含む面(断面)で切断し、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部の断面を含むサンプルを採取する。表面から50μm深さまでの断面が観察面となるように、サンプルを樹脂に埋めて鏡面研磨する。研磨後、観察面をナイタールでエッチングする。エッチングされた観察面の任意の20視野(粗大鉄窒化物の特定の場合、視野=1000μm×50μm、粗大酸化物の特定の場合、視野=1000μm×20μm)において、1000倍のSEMで観察される反射電子像のコントラストに基づいて、鉄窒化物及び酸化物を特定する。
反射電子像では、視野をグレースケール画像で表示する。反射電子像内におけるマトリクス(母材)、酸化物、鉄窒化物、他の析出物(炭窒化物等)のコントラストはそれぞれ異なる。鉄窒化物、及び、酸化物を示す明度(複数階調)の数値範囲をそれぞれ、SEM及びEDS(エネルギ分散型X線マイクロアナライザ)によりあらかじめ決定しておく。各視野において、上記数値範囲に基づいて、鉄窒化物及び酸化物を特定する。
特定された鉄窒化物及び酸化物の円換算直径を計算する。具体的には、鉄窒化物、酸化物の各々の面積を求め、求めた面積から円換算直径(μm)を求める。表面から50μm深さの領域内の鉄窒化物のうち、円換算直径が1μm以上の鉄窒化物を粗大鉄窒化物と特定する。同様に、表面から20μm深さの領域内の酸化物のうち、円換算直径が2μm以上の酸化物を粗大酸化物と特定する。
特定された粗大鉄窒化物、及び粗大酸化物の個数をそれぞれカウントする。カウントされた個数に基づいて、粗大鉄窒化物の個数TNFe(個/1000μm2)及び粗大酸化物の個数TN0(個/1000μm2)を求める。
以上の化学組成及び組織を有する本実施形態のクランクシャフトは、優れた曲げ疲労強度及び耐焼付き性を有する。
[製造方法]
上述のクランクシャフトの製造方法の一例について説明する。
本実施形態のクランクシャフトの製造方法は、クランクシャフト用鋼材を準備する工程(準備工程)と、クランクシャフト用鋼材を熱間鍛造して中間材を製造する工程(鍛造工程)と、中間材に対して窒化処理を実施する工程(窒化処理工程)と、窒化処理後の中間材の少なくともピン部、ジャーナル部及びフィレット部に対して高周波焼入れ処理を実施する工程(高周波焼入れ処理工程)と、高周波焼入れ処理後の中間材のうち、少なくともピン部、ジャーナル部及びフィレット部を研削して、元化合物層及び残留オーステナイトを除去する工程(研削処理工程)とを備える。以下、各工程について説明する。
[準備工程]
上述の化学組成を有するクランクシャフト用鋼材を準備する。クランクシャフト用鋼材はたとえば、次の方法で製造される。
上記化学組成の溶鋼を製造する。溶鋼を連続鋳造法により鋳片にする。溶鋼を造塊法によりインゴット(鋼塊)にしてもよい。鋳片又はインゴットを熱間加工して、鋼片又は棒鋼にしてもよい。以上の工程によりクランクシャフト用鋼材が製造される。
[鍛造工程]
クランクシャフト用鋼材を熱間鍛造してクランクシャフトの形状を有する中間材を製造する。製造された中間材を冷却(たとえば大気中で放冷)する。冷却された中間材に対してショットブラストを実施して、熱間鍛造時に発生した酸化スケールを除去する。必要に応じて、冷却後の中間材又は酸化スケールを除去された中間材に対して機械加工を実施して、より製品に近いクランクシャフト形状に研削する。
[窒化処理工程]
鍛造工程後の中間材に対して、窒化処理を実施する。上述のとおり、本実施形態の窒化処理は、狭義の窒化処理だけでなく、軟窒化処理も含む。
狭義の窒化処理及び軟窒化処理は周知の方法で実施する。たとえば、軟窒化処理の場合、RXガスとアンモニアガスとを1:1に混合した窒化雰囲気を用い、窒化処理温度を500〜650℃、窒化処理温度での保持時間を0.5〜8時間とする。窒化処理後の中間材はたとえば、油冷する。窒化処理条件は上記に限定されず、化合物層及び拡散層が後述の厚さになるように、適宜設定する。
上述の窒化処理により次の化合物層及び拡散層を生成する。
[窒化処理後の中間材の化合物層の厚さ:6μm以上]
窒化処理後の中間材の最表層には化合物層が形成され、化合物層下(化合物層と母材との間)には拡散層が形成される。つまり、中間材の内部から表面に向かって、母材、拡散層、化合物層の順に配置される。
上述のとおり、化合物層は、主として鉄窒化物(ε及び/又はγ’)からなる。化合物層はポーラスな層であり、後述の高周波焼入れ処理後に除去される。しかしながら、化合物層は、高周波焼入れ時において、内部への窒素の供給源となり、さらに、高周波焼入れ処理時において、化合物層より内部への酸素の侵入を遮断する障壁として機能する。
化合物層の厚さが6μm未満であれば、高周波焼入れ処理時において、拡散層への窒素の供給量が不足し、さらに、酸素の侵入の遮断障壁として有効に機能しない。したがって、本実施形態では、窒化処理により6μm以上の厚さの化合物層を形成する。好ましい化合物層の厚さは8μm以上である。化合物層の厚さの上限は特に限定されないが、窒化処理時間を考慮すれば、たとえば、80μmである。
化合物層の厚さは次の方法により測定できる。窒化処理後の中間材を軸方向を含む面で切断し、表層部分の断面を含むサンプルを採取する。表層部分の断面が観察面となるように、鏡面研磨する。研磨後、観察面をナイタールでエッチングする。エッチングされた観察面において、化合物層は白色の層として観察できる。エッチングされた観察面の任意の10箇所において化合物層の厚さを測定し、10箇所の厚さの平均を、中間材の化合物層の厚さ(μm)と定義する。
[窒化処理後の中間材の拡散層の厚さ:50μm以上]
窒化処理後に形成される拡散層は、母材に窒素が固溶した層、又は、窒素の固溶及び微細な窒化物が分散析出した層である。この拡散層は、次工程の高周波焼入れ処理により、高窒素マルテンサイトとなる。高窒素マルテンサイトは、曲げ疲労強度に優れる。さらに、摺動による発熱が生じても微細な窒化物が析出して強度を維持するため、耐焼付き性にも優れる。
拡散層が薄すぎれば、曲げ疲労強度及び耐焼付き性が低下する。具体的には、拡散層の厚さが50μm未満であれば、十分な厚さの高窒素マルテンサイトが形成されず、十分な曲げ疲労強度及び耐焼き付き性が得られない。したがって、拡散層の厚さは50μm以上である。拡散層の好ましい厚さは100μm以上である。拡散層の厚さの上限は特に限定されないが、窒化処理時間を考慮すれば、たとえば、1000μmである。
拡散層の厚さは次の方法により測定できる。窒化処理後の中間材を軸方向を含む面で切断し、表層部分の断面を含むサンプルを採取する。表層部分の断面が観察面となるように、鏡面研磨する。研磨後、観察面に対してEPMA(X線マイクロアナライザ)により深さ方向に線分析を実施して、拡散層の厚さを測定する。マトリックス(母材)の窒素濃度より10%以上窒素が増加している領域の厚みを拡散層の厚さ(μm)と定義する。
[高周波焼入れ処理工程]
窒化処理後の中間材に対して、周知の高周波焼入れを実施する。高周波焼入れの焼入れ温度はAc3変態点以上である。高周波焼入れでは、求める硬化層深さに応じて焼入れ温度を調整する。焼入れ温度はたとえば、950℃以上である。
高周波焼入れ処理により、化合物層が、鉄窒化物、酸化物及び空隙を含むポーラスな混合組織である元化合物層となる。
一方、拡散層は、高周波焼入れ処理により、高窒素マルテンサイトと残留オーステナイトとを含有する硬化層となる。残留オーステナイトは、拡散層と化合物層との境界に生成する。
高周波焼入れ処理は、少なくとも、クランクシャフト形状の中間材のピン部、ジャーナル部及びフィレット部に相当する部分に実施すれば足りる。フィレット部を確実に高周波焼入れするために、アーム部のうちのフィレット部近傍も同時に高周波焼入れ処理を施してもよい。また、中間材全体に対して高周波焼入れ処理を実施してもよい。
[研削処理工程]
高周波焼入れ処理後の中間材のうち、元化合物層及び残留オーステナイトは、曲げ疲労強度を低下する。したがって、高周波焼入れ後の中間材の表層に対して研削処理を実施して、元化合物層及び残留オーステナイトを除去する。
以上の工程により、上述の化学組成及び組織を有するクランクシャフトが製造される。
なお、必要に応じて、高周波焼入れ処理後の中間材に対して、200℃未満の温度で焼戻しを実施してもよい。この場合、ピン部、ジャーナル部及びフィレット部内のマルテンサイトの一部又は全部が焼戻しマルテンサイトとなる。
次の製造工程により、クランクシャフトを想定した試験材を製造した。
[準備工程]
表1に示す化学組成を有する溶鋼を転炉により製造した。
Figure 2017110247
各鋼番号の溶鋼を用いて、連続鋳造法により鋳片を製造した。鋳片に対して分塊圧延を実施して、162mm×162mmの横断面を有するビレットを製造した。ビレットを1000〜1280℃に加熱して、圧延を実施し、直径100mmの棒鋼を製造した。
[鍛造工程]
棒鋼を1000〜1280℃程度の温度に加熱した後、熱間鍛造(鍛伸)を実施して、直径65mmの丸棒材を製造した。丸棒材を大気中で放冷して室温まで冷却した。
[試験片の採取]
直径65mmの丸棒材のR/2部から、機械加工により小野式回転曲げ疲労試験片を複数作製した。R/2部とは、丸棒の横断面(円形状)の中心と外周との間を2等分する部分である。小野式回転曲げ疲労試験片の平行部の直径は9mmであり、平行部の長手中央部に、周方向に延びる切り欠きを形成した。切り欠きの断面形状は円弧であった。切り欠き底の形状は、後述する研削処理の後に切り欠き底の直径が6.72mm、切り欠き底の曲率半径が1.14mmとなるように、予定されている研削加工量の分を考慮した形状とした。さらに、直径65mmの丸棒材を旋盤加工にて、長さ282mmの円柱状の焼付き試験片を複数作製した。焼付試験片の試験面の直径は、研削処理の後に直径が48mmとなるように、予定されている研削加工量の分を考慮した値とした。
[試験片の熱処理及び研削条件]
作製された小野式回転曲げ疲労試験片及び焼付き試験片(以下、これらを総称して単に試験片という)に対して、表2及び表3に示す製造工程(窒化処理、高周波焼入れ処理、及び研削加工)を実施した。上述のとおり、各試験番号において、複数の小野式回転曲げ疲労試験片及び焼付き試験片を作製した。
Figure 2017110247
Figure 2017110247
表2を参照して、本試験では、窒化処理として軟窒化処理を採用した。軟窒化処理の処理温度を600℃とし、処理温度での保持時間を2時間とした。軟窒化処理を、RXガスとアンモニアガスを1:1で混合した窒化雰囲気内で実施した。保持後の試験片を90℃の油浴に浸漬して油冷し、その後、室温まで冷却した。
高周波焼入れ処理の条件は2種類準備した。表2中の条件B1では、処理温度を1000℃とし、処理温度での保持時間を30秒とした。条件B2では、処理温度を860℃とした。条件B2の処理温度以外の条件は、条件B1と同じであった。保持後の試験片を水冷した。
研削処理の条件は条件C1〜C5の5種類を準備した。いずれの条件においても、小野式回転曲げ疲労試験については、曲率半径が1.14mmの砥石を使用し、切り欠きを研削して、仕上げ研磨を実施した。仕上げ研磨後の切り欠き底の直径は6.72mmであり、切り欠き底の曲率半径は1.14mmであった。焼付き試験片については、試験面である周面に対して、仕上げ研磨を実施した。仕上研磨後の焼付試験片の試験面の直径は48mmであった。各研削処理での研削量は表2に示すとおり、20〜300μmとした。研削後の各試験片の表面の平均粗さ(Ra)を0.2μm以内とし、最大高さ(Rmax)を2μm以内とした。平均粗さ及び最大粗さはJIS B0601(2001)に準拠して求めた。
各試験番号の試験片に対して、表3中の第1〜第3工程を実施して、試験片を完成させた。なお、表3中の第1〜第3工程中の「-」は、該当する工程を実施しなかったことを意味する。たとえば、試験番号8では、窒化処理を実施せず、試験番号B1の高周波焼入れ処理を実施し、その後、条件C2の研削処理を実施したことを意味する。
[化合物層及び拡散層の厚さ]
窒化処理後であって高周波焼入れ前の各試験番号の試験片に対して、上述の方法により化合物層の厚さ(μm)及び拡散層の厚さ(μm)を求めた。なお、試験番号16及び17では、研削処理後の試験片の化合物層及び拡散層の厚さを求めた。また、試験番号8では軟窒化処理を実施しなかっため、化合物層及び拡散層を測定しなかった。さらに、試験番号9〜11では軟窒化処理後に高周波焼入れを実施しなかったため、化合物層及び拡散層を測定しなかった。得られた結果を表3に示す。
[ミクロ組織観察試験]
第3工程実施後の試験片を用いて、ミクロ組織観察を行った。試験片を切断し、表面近傍部分を含む断面を観察面とするサンプルを採取した。サンプルを用いて、上述の方法により、組織(マルテンサイト、残留オーステナイト)を特定し、各相の面積率を算出した。得られた結果をを表3に示す。
[平均窒素濃度測定試験]
ミクロ組織観察試験で用いたサンプルを用いて、上述の方法より、表面から50μm深さまでの領域の平均窒素濃度CNave(%)を求めた。得られた結果を表3に示す。
[粗大鉄窒化物個数TNFe及び粗大酸化物個数TNO測定試験]
ミクロ組織観察試験で用いたサンプルを用いて、上述の方法により、表面から50μm深さまでの領域での粗大窒化物の個数TNFe(個/1000μm2)、及び、表面から20μm深さまでの領域での粗大酸化物個数TNO(個/1000μm2)を求めた。得られた結果を表3に示す。
[硬さ試験]
硬さ試験は、ミクロ組織観察用と同じ試験片を用いて、上述の方法で表層の硬さプロファイルを作成した。得られた硬さプロファイルに基づいて、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さDHV550(mm)を求めた。
[小野式回転曲げ疲労試験]
表3の製造条件により製造された小野式回転曲げ疲労強度試験片を用いて、室温(25℃)、大気雰囲気にて、回転数3000rpmの両振りの条件で疲労試験を行い、107サイクル後に破断しなかった最も高い応力を、曲げ疲労強度(MPa)と定義した。本実施例では、曲げ疲労強度が550MPa以上であれば、優れた曲げ疲労強度を有すると判断した。
[焼付き試験]
焼付試験は、図2に示す高面圧試験機を用いて、次の条件で行った。図2を参照して、高面圧試験機は、3つのハウジング50と、複数のすべり軸受10、20とを備えた。各ハウジングには円筒状の貫通孔が形成され、3つのハウジングは同軸に配列された。両端のハウジングの貫通孔には、一対のすべり軸受10が嵌め込まれ、中央のハウジング50には、焼付き試験用のすべり軸受20が配置された。すべり軸受20は、市販のものを採用した。すべり軸受は、幅15.5mm、厚さ1.2mmの鋼に厚さ0.3mmのAl合金層を形成したものであった。
焼付き試験片40をすべり軸受10及び20に挿入し、試験を開始した。焼付き試験片40とすべり軸受20との隙間を50μmとした。試験中、すべり軸受20に対して、供給孔30から潤滑油を供給した。潤滑油は市販のSAE規格の0W−20を用いた。給油温度を150℃とし、給油量を0.8L/分とした。焼付き試験片40の回転数は6000rpmとした。
中央のハウジング50の径方向に荷重を負荷することにより、焼付き試験片40の径方向に荷重を付与した。焼付き試験片40に掛る荷重を段階的に増加した。具体的には、試験中、回転トルクを測定し、目標荷重に達した後に3分間運転した。3分経過した後、回転トルクの急増が見られなかった場合、さらに2kN荷重を増加して回転トルクを測定し、目標荷重に達した後に3分運転し、運転中の回転トルクを測定する行程を繰り返した。回転トルクが急増したときの面圧を、焼付きが発生した面圧(焼付き面圧、単位はMPa)と定義した。本実施例では、焼付き面圧が80MPa以上であれば、耐焼付き性に優れると判断した。
[試験結果]
試験結果を表3に示す。試験番号1〜7の鋼の化学組成は適切であった。さらに、製造工程も適切であり、軟窒化処理後の化合物層の厚さ及び拡散層の厚さは適切であった。そのため、試験片の表層の平均窒素濃度CNave、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さDHV550、マルテンサイト面積率、残留オーステナイト面積率、粗大鉄窒化物の個数TNFe、及び粗大酸化物の個数TNOはいずれも適切であった。その結果、試験番号1〜7の試験片では、曲げ疲労強度が550MPa以上であり、焼付き面圧も80MPa以上であった。
一方、試験番号8では、軟窒化処理を実施しなかった。そのため、表層の平均窒素濃度CNaveが0.100%未満と低く、高窒素マルテンサイトが形成されなかった。そのため、焼付き面圧が80MPa未満であった。
試験番号9では、窒化処理のみ実施して、高周波焼入れ及び研削処理を実施しなかった。その結果、深さDHV550が1.0mm未満となった。さらに、粗大鉄窒化物の個数TNFeが1個/1000μm2以上であった。その結果、曲げ疲労強度が550MPa未満であった。
試験番号10及び11では、軟窒化処理及び研削処理を実施したものの、高周波焼入れ処理を実施しなかった。そのため、深さDHV550が1.0mm未満であり、曲げ疲労強度が550MPa未満であった。
試験番号12では、高周波焼入れの加熱温度が低すぎた。そのため、有効硬化層深さDHV550が1.0mm未満であり、曲げ疲労強度が550MPa未満であった。
試験番号13では、研削処理を実施しなかった。そのため、平均窒素濃度CNaveが高すぎ、粗大鉄窒化物の個数TNFeが1個/1000μm2以上であった。さらに、残留オーステナイトの面積率が20%を超えた。その結果、曲げ疲労強度が550MPa未満であった。研削工程が省略されたため高い窒素濃度を含有する元化合物層が残存した結果、平均窒化濃度CNaveが高く、粗大鉄窒化物の個数TNFeが1個/1000μm2以上となったと考えられる。
試験番号14では、研削量が少なすぎた結果、粗大鉄窒化物TNFeの個数が1個/1000μm2以上であった。さらに、平均窒素濃度CNaveが高すぎ、残留オーステナイトの面積率が20%を超えた。その結果、曲げ疲労強度が550MPa未満であった。
試験番号15では、研削量が多すぎた。そのため、表層の高窒素マルテンサイトが除去され、平均窒素濃度CNaveが低すぎた。その結果、焼付き面圧が80MPa未満であった。
試験番号16では、軟窒化処理後に研削処理を実施し、その後、高周波焼入れ処理を実施した。その結果、粗大鉄窒化物の個数TNFeが1個/1000μm2以上であり、かつ、粗大酸化物の個数TNOが3個/1000μm2以上であった。さらに、残留オーステナイトの面積率が20%を超えた。そのため、曲げ疲労強度が低かった。高周波焼入れ処理直前での化合物層が薄かったため、高周波焼入れ処理時に外部から酸素が侵入して粗大酸化物が過剰に生成したと考えられる。さらに、高周波焼入れ後に研削を実施しなかったため、元化合物層が残存し、その結果、粗大鉄窒化物の個数TNFe及び残留オーステナイトを抑制できなかったと考えられる。
試験番号17では、軟窒化処理後に研削処理を実施し、その後、高周波処理を実施した。試験番号17では、高周波焼入れ処理直前の試験片の化合物層の厚さは0μmであった。そのため、平均窒素濃度CNaveが低すぎ、さらに、粗大酸化物が過剰に残存した。その結果、曲げ疲労強度が550MPa未満であり、焼付き面圧が80MPa未満であった。高周波焼入れ処理時に化合物層がなかったため、拡散層への窒素の供給が不足し、その結果、マルテンサイト中の窒素濃度が低くなったと考えられる。また、高周波焼入れ時に外部からの酸素侵入の障壁となる化合物層がなかったため、粗大酸化物が過剰に生成したと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 クランクシャフト
2 ピン部
3 ジャーナル部
5 フィレット部

Claims (4)

  1. ピン部、ジャーナル部及びフィレット部を備えるクランクシャフトであって、
    質量%で、
    C:0.35%〜0.60%、
    Si:0%〜1.50%、
    Mn:0.50%〜2.0%、
    P:0.025%以下、
    S:0.010%〜0.10%、
    Cr:0.05%〜2.0%、
    Al:0%〜0.050%、
    N:0.0030%〜0.020%、
    V:0〜0.20%、
    Ti:0〜0.050%、
    Cu:0〜0.20%、及び、
    Ni:0〜0.20%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
    前記ピン部、ジャーナル部及びフィレット部において、HV550以上のビッカース硬さが得られる表面からの深さが1.0mm以上であり、
    前記表面から50μm深さまでの領域において、平均窒素濃度が0.10%〜0.80%であり、マトリクス組織は面積率で80%以上のマルテンサイトと0〜20%の残留オーステナイトとからなり、円換算直径で1μm以上の鉄窒化物が1個/1000μm2未満であり、
    前記表面から20μm深さまでの領域において、円換算直径で2μm以上の酸化物が3個/1000μm2未満であることを特徴とするクランクシャフト。
  2. 請求項1に記載のクランクシャフトであって、
    前記化学組成は、
    V:0.02〜0.20%、及び、
    Ti:0.010〜0.050%からなる群から選択される1種以上を含有することを特徴とする、クランクシャフト。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のクランクシャフトであって、
    前記化学組成は、
    Cu:0.02%〜0.20%、及び、
    Ni:0.02%〜0.20%からなる群から選択される1種以上を含有することを特徴とする、クランクシャフト。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の化学組成を有する鋼材を熱間鍛造してクランクシャフト形状の中間材を製造する工程と、
    中間材に対して窒化処理を実施して、前記中間材の表層に厚さ6μm以上の化合物層と、厚さ50μm以上の拡散層とを形成する工程と、
    前記窒化処理後の前記中間材に対して高周波焼入れ処理を実施する工程と、
    前記中間材のうち、前記高周波焼入れ処理により前記化合物層が変化したものであり酸化物を含む元化合物層と、元化合物層下に形成された残留オーステナイトとを除去する工程とを備えることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクランクシャフトの製造方法。
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