JP2017109899A - 炭酸カルシウム複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
リンとカルシウムの反応物を含み、
炭酸カルシウム複合体全体の重量に対する吸油量が、100ml/100g以上200ml/100g以下であり、
リンの重量に対する吸油量が、15ml/g以上である。
リンとカルシウムの反応物を含み、
炭酸カルシウム複合体全体の重量に対する吸油量が、100ml/100g以上200ml/100g以下であり、
リンの重量に対する吸油量が、15ml/g以上である。
実施の形態1における炭酸カルシウム複合体は、炭酸カルシウムと、リンとカルシウムの反応物を含む(備える)。この構造を有する実施の形態1の炭酸カルシウム複合体(以下、本明細書で「炭酸カルシウム複合体」との記載は、特に断らない限り、実施の形態で説明される本発明の炭酸カルシウム複合体を示す)は、その全体重量に対する吸油量が、100ml/100g以上200ml/100g以下である。更には、炭酸カルシウム複合体は、含有するリン(カルシウムとの反応物に含まれるリン)の重量に対する吸油量が、15ml/g以上である。
実施の形態1における炭酸カルシウム複合体は、次のような製造工程の概要によって製造される。図1は、本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の製造工程の工程図である。以下に、図1を用いて、製造工程の概要を説明する。なお、必要に応じて、各工程の詳細については、本発明の炭酸カルシウム複合体の吸油量への好影響などを説明する際に、追加して説明する。
炭酸化工程では、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスが付与される。この付与によって、水酸化カルシウム水懸濁液が炭酸化し、炭酸カルシウムが生成される。
添加工程では、水酸化カルシウム水懸濁液にリン酸またはリン酸塩が添加される。図1に示されるステップST2の添加工程は、所定の添加期間において行われる。この所定の添加期間は、炭酸化工程前および炭酸化率が95%以下である炭酸化工程中を含む期間である。図1のステップST2の添加工程から右方向に示されるリン酸もしくはリン酸塩を添加する矢印は、この添加期間を示している。すなわち、矢印の一方は、炭酸化工程前でのリン酸またはリン酸塩の添加を示し、矢印のもう一方は、炭酸化率95%以下での炭酸化工程中でのリン酸またはリン酸塩の添加を示している。
最後に、ステップST3にて、脱水乾燥工程が行われる。脱水乾燥が行われることで、粉末状の炭酸カルシウム複合体が得られる。なお、脱水・乾燥工程は、オプション的なもので、懸濁液のままでの利用も可能であるが、できれば粉末状にまでしておく方が取り扱いなどの点で好ましい。
上述の吸油量を実現するためには、炭酸カルシウム複合体を構成する炭酸カルシウムの結晶子サイズが、X線回折で測定した結果として、40nm未満であることが好ましい。
上記の吸油量を実現するには、得られる炭酸カルシウム複合体が含む、カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が、5以上500未満であることが好ましい。製造される炭酸カルシウム複合体におけるカルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が、5以上500未満であることで、全体重量において、吸油量が100ml/100g以上200ml/100g以下となり、リン重量において、吸油量が15ml/g以上となる。
(実験方法)
実施の形態1において、炭酸カルシウム複合体の炭酸カルシウムの結晶子サイズは、X線回折で測定した上で、40nm未満であることが好ましい旨を説明した。実施の形態1で説明したように、炭酸カルシウムは、水酸化カルシウム水懸濁液に、二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程で得られる。このとき、二酸化炭素ガスを添加する際の水酸化カルシウム水懸濁液の温度である工程管理温度を、30℃以下とすることで、炭酸カルシウムの結晶子サイズを、40nm未満とできる。
単色化:モノクロメーター(Kα線)
電圧:40kV
電流:30mA
(104)面反射:ピークトップ10000カウント以上
炭酸カルシウム複合体の吸油量が、本発明の炭酸カルシウム複合体の重要な要素である。この吸油量は、次の条件で測定された。
本発明の炭酸カルシウム複合体は、高価で希少な物質であるリン1gあたりでの吸油量を高める(15ml/g以上)を実現する。このため、このリン1gあたりの吸油量を測定する必要があり、次の条件で測定した。
炭酸化工程の所定の時期に水酸化カルシウム水懸濁液を微量採取する。この採取したものを、1mol/Lの塩酸滴定により炭酸化率を測定する。まず、フェノールフタレイン指示薬により、水酸化カルシウムと反応する塩酸量を求める。続いて、メチルオレンジ指示薬により、炭酸カルシウムと反応する塩酸量を求める。滴定した塩酸総量に対する炭酸カルシウムと反応した塩酸量を、100分率(%)で求め、炭酸化率とする。
実施例1としての炭酸カルシウム複合体は、次のように製造される。
自社製の消石灰に水を加えて水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。この水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化工程の際の工程管理温度を15℃とした(すなわち、反応開始前温度を15℃とした)。ここでは、水酸化カルシウム水懸濁液は、6wt%の水酸化カルシウムを含み、全体重量として400gである。
工程管理温度を15℃として、炭酸化工程を開始する。炭酸化工程が開始されてから4分後に、カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が7に相当する量の正リン酸を添加する添加工程が実施される。この添加工程を行いながら炭酸化工程が継続される。この炭酸化工程開始4分後は、炭酸化率の測定の結果、炭酸化率は25%であった。
炭酸化工程が終了すると、脱水・乾燥工程が行われて、粉末状の炭酸カルシウム複合体が得られる。これが、実施例1の炭酸カルシウム複合体である。
比較例1としての炭酸カルシウム複合体は、リン酸またはリン酸塩を添加しないこと以外は、実施例1と同じ製造工程で製造される。
実施例1の炭酸カルシウム複合体について、上述の実験方法で、その結晶子サイズが測定された。
実験1の結果を表1に示す。
実施例1の炭酸カルシウム複合体について、脱水工程で排出されるろ液をICP発光分析装置で測定し、ろ液中にリンが残っていないことを確認し、使用したリンのほとんどが炭酸カルシウム複合体に含まれていることが確認された。
比較例1の炭酸カルシウム複合体は、全体での吸油量が78ml/100gであった。リン酸を添加していないので、リン重量に対する吸油量は測定できない。このように、比較例1の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、吸油量基準値を下回って満たしていない。
以上より、工程管理温度15℃での炭酸化工程、炭酸化率25%である4分後にモル比率(Ca/P)が7に相当する量の正リン酸を添加する添加工程により得られる実施例1は、吸油量基準値を十分に上回っていることが確認された。すなわち、実施の形態1で説明したようにリン酸またはリン酸塩を加える添加工程を備える製造工程で製造される炭酸カルシウム複合体は、吸油量基準値を上回る吸油量を実現できる。この吸油量により、工業製品や生体製品への適切な利用ができる。
次に、リン酸またはリン酸塩を添加する添加工程の添加期間の違いによって製造される炭酸カルシウム複合体についての確認実験を行った。実施の形態1で説明したように、添加工程でリン酸またはリン酸塩を添加する添加期間は、炭酸化工程前および炭酸化率95%以下の炭酸化工程中に掛かる期間である。実験2では、実施例2〜実施例4、比較例2のそれぞれで製造された炭酸カルシウム複合体を用いた。
炭酸化工程前に、モル比率(Ca/P)が26となる正リン酸を、添加工程にて添加すること以外は、実施例1と同じ条件で、製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例2とする。
炭酸化工程での炭酸化率39%の時点で、正リン酸を添加すること以外は、実施例2と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例3とする。
炭酸化工程での炭酸化率91%の時点で、正リン酸を添加すること以外は、実施例2と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例4とする。
炭酸化工程終了後に、正リン酸を添加すること以外は、実施例2と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、比較例2とする。なお、実施例3,4、比較例2のそれぞれで、添加される正リン酸のモル比率(Ca/P)は、実施例2と同じである。
実験2の結果を表2に示す。
実施例2の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、20nmであった。また、実施例2の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において141ml/100gであり、リン重量において122ml/gであった。
実施例3の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、23nmであった。また、実施例3の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において147ml/100gであり、リン重量において127ml/gであった。
実施例4の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、23nmであった。また、実施例3の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において153ml/100gであり、リン重量において132ml/gであった。
比較例2の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、27nmであった。また、比較例2の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において93ml/100gであり、リン重量において80ml/gであった。
以上の実験2の結果より、リン酸またはリン酸塩を添加する添加期間は、実施の形態1で説明した通り、炭酸化工程前から炭酸化工程での炭酸化率95%時点までであることで、吸油量基準値を達成できることが確認された。
次に、リン酸またはリン酸塩を添加する添加工程の添加量の違いによって製造される炭酸カルシウム複合体についての確認実験を行った。実施の形態1で説明したように、添加工程でリン酸またはリン酸塩を添加する添加量は、カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が5以上500未満となる量である。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を13としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例5とする。なお、実施例1とCa/P以外は同じ条件であるので、正リン酸の添加時期を炭酸化反応開始後4分とした。この4分後の正リン酸の添加時の炭酸化率は、実施例1と同じくほぼ25%と判断できる。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を26としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例6とする。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を66としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例7とする。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を132としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例8とする。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を256としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例9とする。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を4としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、比較例3とする。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)を512としたこと以外は、実施例1と同じ条件で製造された炭酸カルシウム複合体を、比較例4とする。
実験3の結果を表3に示す。
実験1でも説明したが、実施例1の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、30nmであった。また、実施例1の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において128ml/100gであり、リン重量において28ml/gであった。すなわち、実施例1は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例5の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、24nmであった。また、実施例5の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において141ml/100gであり、リン重量において62ml/gであった。実施例5は、吸油量基準値を満たす吸油量を有している。
実施例6の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、22nmであった。また、実施例6の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において163ml/100gであり、リン重量において141ml/gであった。実施例6は、吸油量基準値を満たす吸油量を有している。
実施例7の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、24nmであった。また、実施例7の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において140ml/100gであり、リン重量において311ml/gであった。実施例7は、吸油量基準値を満たす吸油量を有している。
実施例8の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、28nmであった。また、実施例8の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において128ml/100gであり、リン重量において557ml/gであった。実施例8は、吸油量基準値を満たす吸油量を有している。
実施例9の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、33nmであった。また、実施例9の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において130ml/100gであり、リン重量において1083ml/gであった。実施例9は、吸油量基準値を満たす吸油量を有している。
比較例1の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、50nmであった。また、比較例1の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において50ml/100gであり、リン重量において78ml/gであった。比較例1は、吸油量基準値を満たす吸油量を有していない。結晶子サイズも、サイズ基準値を満たしていない。
比較例3の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、77nmであった。また、比較例3の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において93ml/100gであり、リン重量において14ml/gであった。比較例3は、吸油量基準値を満たす吸油量を有していない。結晶子サイズも、サイズ基準値を満たしていない。
比較例4の炭酸カルシウム複合体での炭酸カルシウムの結晶子サイズは、42nmであった。また、比較例3の炭酸カルシウム複合体の吸油量は、全体重量において86ml/100gであり、リン重量において1458ml/gであった。比較例3は、吸油量基準値を満たす吸油量を有していない。結晶子サイズも、サイズ基準値を満たしていない。
カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が、5以上500未満となる量であるように添加工程でリン酸もしくはリン酸塩が添加されて製造される炭酸カルシウム複合体は、サイズ基準値を満たしている。このサイズ基準値を満たす結晶子サイズであることで、この炭酸カルシウム複合体は、体積に対する表面積および油分を蓄える空間の総体積が相対的に大きくなる。この結果、この炭酸カルシウム複合体は、吸油量基準値を満たす吸油量を実現できる。
次に、炭酸化工程を開始する際の工程管理温度の違いによって製造される炭酸カルシウム複合体についての確認実験を行った。実施の形態1で説明したように、工程管理温度は、30℃以下であることが好ましい。
工程管理温度を12℃としたこと以外は、実施例6と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例10とする。
工程管理温度を15℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例11とする。
工程管理温度を20℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例12とする。
工程管理温度を25℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例13とする。
工程管理温度を30℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、実施例14とする。
工程管理温度を35℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、比較例5とする。
工程管理温度を50℃としたこと以外は、実施例10と同じ条件(モル比率(Ca/P)が26、炭酸化工程開始4分後に添加工程を開始)で製造された炭酸カルシウム複合体を、比較例6とする。
実験4の結果を表4に示す。
実施例10の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、21nmであった。また、実施例10の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において141ml/100gであり、リン重量において122ml/gであった。すなわち、実施例10は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例11の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、19nmであった。また、実施例11の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において141ml/100gであり、リン重量において122ml/gであった。すなわち、実施例11は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例12の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、25nmであった。また、実施例12の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において149ml/100gであり、リン重量において128ml/gであった。すなわち、実施例12は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例13の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、25nmであった。また、実施例13の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において145ml/100gであり、リン重量において125ml/gであった。すなわち、実施例13は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例14の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、39nmであった。また、実施例14の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において104ml/100gであり、リン重量において90ml/gであった。すなわち、実施例14は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
比較例5の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、48nmであった。また、比較例5の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において92ml/100gであり、リン重量において79ml/gであった。すなわち、比較例5は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有していない。
比較例6の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、54nmであった。また、比較例6の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において94ml/100gであり、リン重量において81ml/gであった。すなわち、比較例6は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有していない。
実施例10〜14のそれぞれは、工程管理温度が30℃以下であり、これらから、工程管理温度が30℃以下であれば、サイズ基準値および吸油量基準値を満たす炭酸カルシウム複合体が得られることが確認された。30℃の工程管理温度の実施例14も、サイズ基準値および吸油量基準値を満たしている。
次に、水酸化カルシウム水懸濁液の由来と、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩の種類により、得られる炭酸カルシウム複合体の違いについての実験を行った。実験5では、比較例1、2、実施例15〜22のそれぞれで製造された炭酸カルシウム複合体を用いた。
自社製の生石灰45gを70℃の水400gに添加して、実施例2と同じ6wt%濃度の水酸化カルシウム水懸濁液400gを作製した。
実施例2と同じく、工程管理温度15℃で炭酸化工程が実施された。同様に、炭酸化反応工程前に、カルシウムとリンのモル比率(Ca/P)が26となる正リン酸を添加する添加工程が実施された。
水酸化カルシウム水懸濁液に試薬のヘキサメタリン酸ソーダ(HMS:(NaPO3)6)をリン原料として添加して、6wt%濃度の水酸化カルシウム水懸濁液400gを作製した。
添加工程で添加されるものがリン酸塩であること以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程および添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例16である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
試薬のリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)を添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例17である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
試薬のリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)を、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例18である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
試薬のリン酸三ナトリウムを、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例19である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
試薬のリン酸二水素カリウム(KH2PO4)を、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例20である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
試薬のリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)を、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例21である。
実施例16と同じ条件と原料で、水酸化カルシウム水懸濁液を作製した。
キレスト株式会社製の有機ホスホン酸キレート剤PH−210((C2H3(PO)2(OH)5)を、添加工程で添加するリン酸またはリン酸塩としたこと以外は、実施例2と同じ条件で炭酸化工程と添加工程が実施された。これらを経て製造された炭酸カルシウム複合体が、実施例22である。
実験5の実験結果を表5に示す。
実施例15の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、20nmであった。また、実施例15の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において135ml/100gであり、リン重量において116ml/gであった。すなわち、実施例15は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例16の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、23nmであった。また、実施例16の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において120ml/100gであり、リン重量において103ml/gであった。すなわち、実施例16は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例17の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、19nmであった。また、実施例17の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において131ml/100gであり、リン重量において113ml/gであった。すなわち、実施例17は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例18の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、25nmであった。また、実施例18の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において119ml/100gであり、リン重量において103ml/gであった。すなわち、実施例18は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例19の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、30nmであった。また、実施例19の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において118ml/100gであり、リン重量において102ml/gであった。すなわち、実施例19は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例20の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、17nmであった。また、実施例20の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において147ml/100gであり、リン重量において127ml/gであった。すなわち、実施例20は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例21の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、16nmであった。また、実施例21の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において148ml/100gであり、リン重量において128ml/gであった。すなわち、実施例21は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
実施例22の炭酸カルシウム複合体の結晶子サイズは、23nmであった。また、実施例22の炭酸カルシウム複合体の給油量は、全体重量において102ml/100gであり、リン重量において88ml/gであった。すなわち、実施例22は、吸油量基準値を満たす吸油量と、サイズ基準値を満たす結晶子サイズを有している。
水酸化カルシウム水懸濁液として、生石灰が水溶されたものでも吸油量基準値およびサイズ基準値を満たす炭酸カルシウム複合体が製造されることが確認された。また、添加工程で添加されるリン酸またはリン酸塩として、正リン酸、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、リン酸アンモニウム塩などの水溶性リン酸塩、縮合リン酸、縮合リン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの水溶性縮合リン酸塩、水溶性の有機ホスホン酸化合物でも、吸油量基準値およびサイズ基準値を満たす炭酸カルシウム複合体が製造されることが確認された。
Claims (10)
- 炭酸カルシウムと、
リンとカルシウムの反応物を含み、
炭酸カルシウム複合体全体の重量に対する吸油量が、100ml/100g以上200ml/100g以下であり、
リンの重量に対する吸油量が、15ml/g以上である、炭酸カルシウム複合体。 - 前記カルシウムと前記リンのモル比率(Ca/P)が、5以上500未満である、請求項1記載の炭酸カルシウム複合体。
- 前記炭酸カルシウムは、X線回折で測定した結晶子サイズが40nm未満である、請求項1または2記載の炭酸カルシウム複合体。
- 水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程と、
添加期間において、前記水酸化カルシウム水懸濁液に、リン酸およびリン酸塩の少なくとも一方を添加する添加工程と、を含む製造工程で製造される、請求項1から3のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。 - 前記添加期間は、前記炭酸化工程前および炭酸化率が95%以下である前記炭酸化工程中を含む、請求項4記載の炭酸カルシウム複合体。
- 前記添加工程で添加されるリン酸およびリン酸塩の少なくとも一方の添加量は、前記カルシウムと前記リンのモル比率(Ca/P)が、5以上500未満となる量である、請求項4または5記載の炭酸カルシウム複合体。
- 前記炭酸化工程を開始する際の、前記水酸化カルシウム水懸濁液の工程管理温度が、30℃以下である、請求項4から6のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
- 前記リン酸または前記リン酸塩は、正リン酸、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、リン酸アンモニウム塩などの水溶性リン酸塩、縮合リン酸、縮合リン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの水溶性縮合リン酸塩、水溶性の有機ホスホン酸化合物から選択される少なくとも1種以上である、請求項4から7のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
- 請求項1から8のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体が添加された組成物。
- 前記組成物は、顔料、化粧料、美容剤、歯磨き剤、塗料、研磨剤および研磨助剤のいずれかである、請求項9記載の組成物。
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