JP2017108713A - 赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法 - Google Patents

赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味を損なわずに、赤ぶどう果汁入り飲料における澱の発生を抑制する方法を提供する。【解決手段】100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを0.005質量%以上0.05質量%以下添加することを特徴とする、赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法に関する。
果汁入り飲料は、製造段階や貯蔵段階において澱が発生しうることが知られている。
このような澱の発生を抑制する技術に関し、たとえば特許文献1には、果汁含有飲食品中にモルトエキスを添加することによる沈殿の発生抑制方法が開示されている。
また、特許文献2には、果実由来の難溶性成分の不溶化を抑制する方法として、ショ糖等を添加する技術が開示されている。
また、特許文献3には、キサンタンガム又はキサンタンガムとグアーガムの混合物と、澱粉加水分解物とから構成される果汁のおり防止剤が開示されており、この果汁のおり防止剤は、たとえばオレンジジュース等に好ましく適用されることが示されている。
また、特許文献4には、ルチン等のフラボノイド配糖体類に対し、所定の酵素を作用させて部分加水分解し、その後、グルコース残基を転移させて水易溶性フラボノイド類を得る技術が示されている。当該特許文献4によれば、この水易溶性フラボノイド類は、果汁入り飲料の濁りや澱の防止に有効であることが示されている。
特開2010−279318号公報 特開2002−17317号公報 特開昭57−58875号公報 特開平2−86757号公報
すなわち、特許文献1〜4に記載されているように、果汁の澱の発生を抑制するための研究はなお盛んになされているものであり、各種製品を設計する上での技術開拓が望まれている。
ここで、果汁入り飲料の中でも、ポリフェノールを一定量含む赤ぶどう果汁入り飲料においては、この澱の発生が顕著であることから、本発明者らは、この赤ぶどう果汁入り飲料に対しての澱の発生を抑制する技術の開拓に取り組んだ。
なお、前述の特許文献1に開示された技術においては、モルトエキスを飲料に加えなければならず、赤ぶどう飲料の風味を損ない、また飲料に着色を与えてしまう点で好ましくない。また、特許文献2〜4に開示された技術としても、添加物により赤ぶどう飲料固有の風味を損なう傾向がある点から、改良の余地があった。
以上の背景から、本発明は赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味を損なわずに、赤ぶどう果汁入り飲料における澱の発生を抑制する方法を提供する。
本発明によれば、100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを0.005質量%以上0.05質量%以下添加することを特徴とする、赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法が提供される。
また、本発明によれば、ビタミンCを含む澱発生抑制剤であって、100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、前記ビタミンC換算で0.005質量%以上0.05質量%以下添加されることを特徴とする、澱発生抑制剤が提供される。
さらに、本発明によれば、100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールと、0.005質量%以上0.05質量%以下のビタミンCとを含有する赤ぶどう果汁入り飲料が提供される。
本発明の澱の発生を抑制する方法では、所定量のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを添加する。このビタミンCは、赤ぶどう果汁入り飲料において、顕著に澱の発生を抑制することができ、限られた添加量であっても所望の効果を発現する。
これにより、本発明では赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味を損なわずに、赤ぶどう果汁入り飲料における澱の発生を抑制することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
[赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法]
本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法(以下、単に「方法」とも称す。)は以下に示されるものである。
100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを0.005質量%以上0.05質量%以下添加することを特徴とする、赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法。
本実施形態における赤ぶどう果汁入り飲料は、前述のポリフェノール含有量を満足するものであれば、特に限定されないが、この飲料に用いられる赤ぶどうの品種は、たとえば、以下のものが挙げられる。
すなわち、赤ぶどうの品種としては、たとえば、コンコード種、巨峰種、甲州種、ピオーネ種、キャンベル・アーリー種、デラウェア種、マスカット・ベリーA種、スチューベン種、赤嶺種、藤稔種、ルビーレッド種、カルベネソーヴィニヨン種等が挙げられ、赤ぶどう果汁入り飲料としては、これら赤ぶどうの果汁を含むことができる。
これらの中でも、本実施形態の方法においては、適度なポリフェノール量を有し、かつ、飲料とした際に、良好な呈味を与えることから、コンコード種または巨峰種に由来する果汁を含むことが好ましい。
また、上記の赤ぶどうは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。本実施形態における赤ぶどう果汁入り飲料の種類としては、赤ぶどう果実の搾汁液(ストレート果汁)、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、濃縮果汁をさらに希釈した還元果汁のいずれであってもよい。
また、赤ぶどう果汁は、精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法などにより清澄処理した透明果汁でも混濁果汁でもよい。ただし、本実施形態の方法は、飲料の外観を良化させるという観点からは、この赤ぶどう果汁が透明果汁であることが好ましい。
また、本実施形態の赤ぶどう果汁入り飲料は、赤ぶどう果汁以外の果汁を組み合わせることもできる。このような果汁としては、オレンジ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁、白ぶどう果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、イチゴ果汁、バナナ果汁、マンゴー果汁等が挙げられる。
本実施形態の赤ぶどう果汁入り飲料における赤ぶどう果汁由来の果汁含有率は、製品にあわせて適宜設定することができる。
すなわち、果汁含有率100%の果実ジュースもしくは果実ミックスジュースとすることもできるし、果汁含有量が100%に満たない果汁入り飲料とすることもできる。
なお、本実施形態においては、赤ぶどう由来の果汁含有率が5%以上80%以下に設定されていることが好ましい。
ここで、「果汁含有率」とは、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度であり、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される糖用屈折計示度の基準(°Bx)に基づいて換算できる。
たとえば、ぶどう果汁は、JAS規格が11°Bxであるから、55°Bxの濃縮ぶどう果汁を飲料中に10質量%配合した場合、果汁含有率は50%となる。なお、飲料における、果汁含有率をJAS規格の糖用屈折計示度に基づいて計算する際は、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
通常、果汁含有率は「質量%」または単に「%」で示される(すなわち、飲料100gあたりの果汁量(g)を示す)が、本明細書では、「%」として示すこととする。
また、本実施形態における赤ぶどう果汁入り飲料のpHは特に制限されないが、たとえば、pH2.0〜5.0の範囲であり、好ましくは、pH2.5〜4.0の範囲である。
pHをこの範囲に設定することにより、赤ぶどう固有の酸味を発現させることができ、また、本実施形態における方法の効果を発現させやすくすることができる。
なお、上記のpH範囲を設定するにあたり、赤ぶどう果汁自体の有している酸成分のみで上述のpH範囲とすることもできるし、適宜、pH調整剤や、他の果汁を加えることでpH範囲を調整することもできる。
pH調整剤としては、酸味料として一般的に使用される有機又は無機の食用酸またはそれらの塩を用いればよく、たとえば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸等の有機酸、リン酸等の無機酸、またはこれらのナトリウム塩、カルシウム塩もしくはカリウム塩等を用いることができる。
このpH調整剤の使用量は、所望のpHとすることができ、かつ、飲料の風味に影響のない範囲であれば、特に制限されない。
本実施形態における赤ぶどう果汁入り飲料の製造に使用する水は、公知の飲料の製造に用いられている水であれば、適宜、選択して使用することができる。その具体例としては、市水、井水、蒸留水、ミネラルウォーター、イオン交換水、脱気水等が挙げられる。
本実施形態の赤ぶどう果汁入り飲料は、100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有するという特徴を有する。
本明細書中において、「ポリフェノール」は1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物の総称を意味し、フォーリンチオカルト法(FOLIN−CIOCALTEU法)(没食子酸換算)により飲料中のポリフェノール量を定量することができる。
なお、本実施形態において、赤ぶどう果汁入り飲料中のポリフェノールの含有量は、100gあたり15mg以上であることがより好ましく、100gあたり20mg以上であることがさらに好ましい。
定かなものではないが、本実施形態に係る方法は、ポリフェノールに由来する澱の発生を効果的に抑制することが考えられ、本実施形態の方法は、このようなポリフェノールを比較的多く含有する飲料に対して好適に用いることができる。
また、本実施形態において、赤ぶどう果汁入り飲料中のポリフェノールの含有量は、100gあたり110mg以下であることがより好ましく、100gあたり100mg以下であることがさらに好ましい。
飲料中のポリフェノール量を上記のような値以下とすることで、好ましい渋味を有する飲料を実現することができる。
また、本実施形態においては、前述の赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを0.005質量%以上0.05質量%以下添加することを特徴とする。
ここで、「ビタミンC」とは、「L−アスコルビン酸」を指すものであり、従来、果汁飲料の抗酸化、変色防止、退色防止、フレーバー劣化防止等の目的で添加されていた(「最新果汁・果実飲料辞典(社団法人日本果汁協会監修;1997年10月1日発行)」第494頁、「最新・ソフトドリンクス(社団法人全国清涼飲料工業会、財団法人日本炭酸飲料検査協会監修;平成15年9月30日発行)」第198頁等参照。)。
これに対し、本発明者らは、特定量のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対し、ビタミンCを添加した際に、澱の発生が抑制できることを新たに知見し、前述の方法に至ることができた。
また「L−アスコルビン酸」の塩、すなわち、L−アスコルビン酸のナトリウム塩、カルシウム塩もしくはカリウム塩等も、飲料中において、L−アスコルビン酸と同様の作用を奏するものであり、本実施形態におけるビタミンCの添加量(アスコルビン酸の添加量)としては、このL−アスコルビン酸塩の添加量も合算した値として評価することができる。
なお、これらのL−アスコルビン酸の塩の中では、飲料に対する溶解性、入手容易性等の観点から、L−アスコルビン酸ナトリウムを好ましく用いることができる。
赤ぶどう果汁入り飲料に対するビタミンCの添加量は、より好ましくは0.007質量%以上であり、さらに好ましくは0.015質量%以上である。
ビタミンCの添加量を上記の値以上に設定することで、より顕著に澱の発生を抑制することができる。
一方、赤ぶどう果汁入り飲料に対するビタミンCの添加量は、より好ましくは0.04質量%以下であり、さらに好ましくは0.03質量%以下である。
ビタミンCを飲料中に過剰に加えた際は、長期保管時に液色の変化や、褐変臭の発生、劣化味の発生等をもたらす場合がある。これに対し、ビタミンCの添加量を前述の値以下とすることにより、このような問題をより効果的に回避することができ、赤ぶどう固有の風味を保つことができる。
また、前述の知見に基づき、ビタミンCを澱発生抑制剤として用いることができる。すなわち、本実施形態における澱発生抑制剤は、有効成分としてビタミンCを含むものであり、赤ぶどう果汁入り飲料に対して、所定量のビタミンCを添加するものとして使用することができる。
また、前述の知見に基づき、本実施形態においては、所定量のポリフェノールと、所定量のビタミンCとを含む赤ぶどう果汁入り飲料を提供することができる。
このような赤ぶどう入り飲料は、赤ぶどう固有の風味を有しつつ、長期保管等の条件においても、品質劣化を招きづらいものである。
本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料は、55℃で10日間恒温静置保管した場合の、保管する前後での飲料の液色の変化について、分光測色計を用いてハンターLab表色系より算出される色差ΔEによって評価することができる。
本実施形態においては、果汁本来のみずみずしい風味感(果実感)を存分に味わうことができるとともに、色差ΔEの値が小さい保存安定性の観点においても優れた飲料を実現することができる。なお、色差ΔEの値は、以下の式により算出することができる。なお、下記式において、ΔLは、保管前後での飲料の明度の差を表す。ΔaおよびΔbは、色度の差を表す。分光測色計を用いれば、ΔEの値にくわえて、ΔaとΔbの値についても同時に測定することができる。
式:ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)}0.5
本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料を、55℃で10日間恒温静置保管した場合、前述のΔEは、4.0以下に制御されることが好ましく、3.5以下に制御されることがより好ましく、3.0以下に制御されることがさらに好ましい。
このように制御されることで、本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料は、長期保管時においても品質が維持される。
なお、ΔEの下限値は特に制限されるものではないが、たとえば、0.1以上である。
また、本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料は、嗜好性により、炭酸飲料とすることもできるし、アルコール飲料とすることもできる。
本実施形態にかかる赤ぶどう果汁入り飲料には、飲料に対して許容される各種添加剤、たとえば単糖(果糖、ブドウ糖、脳糖等)、二糖(ショ糖、麦芽糖、乳糖等)、異性化糖、オリゴ糖、糖アルコール(エリスリトール、マルチトール、キシリトール等)、高甘味度甘味料(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア等)、乳(牛乳、脱脂乳、練乳、クリーム、豆乳等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等)、酸化防止剤(トコフェロール、塩酸システイン等)、大豆多糖類、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、寒天、発酵セルロース等の増粘剤、色素(マリーゴールド色素、カロチノイド色素、アントシアニン色素、ベニバナ色素、クチナシ色素、リコピン色素、カラメル色素、各種合成着色料等)、香料、保存料、防腐剤、防かび剤などを含有してもよい。
また、健康機能の増強を期待して、ビタミンC以外のビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE等)やミネラル類(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等)、食物繊維等の各種機能成分を添加してもよい。
これらの添加量は、本発明の目的を損なわない限りで、適宜設定することができる。
本実施形態における赤ぶどう果汁入り飲料の製造方法は、たとえば、以下の方法を採用することができる。具体的には、果汁またはその希釈液に対して各種添加物を添加・混合した後、甘味度と酸度を所定の水準を満たすよう調製し、必要に応じて、溶液のpHを調整する。その後、容器に充填する前もしくは後に、殺菌処理を行なう。殺菌処理は、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌などの方法を採用することができる。
赤ぶどう果汁入り飲料を充填する容器の種類は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(PETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ガラス瓶等の密封容器が挙げられ、また、容量についても特に限定されない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
[試験A:コンコード種の赤ぶどう果汁を用いた検討]
表1に示す配合に従って飲料原料を混合して得られた赤ぶどう果汁入り飲料を加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填することで、実施例A1〜A3および比較例A1、比較例A2の赤ぶどう果汁入り飲料を作製した。
具体的には、各実施例および各比較例の飲料は、表1に示す配合となるように、それぞれ以下の方法で作製した。
市販の68°Bxグレープ濃縮透明果汁(コンコード種)(日進通商株式会社より入手)を水で希釈して果汁溶液を調製した後、得られた果汁溶液に対して、異性化糖であるハイフラクトM(日本コーンスターチ株式会社製)を添加混合した。次いで、得られた混合溶液に対して、所定量のビタミンC(L−アスコルビン酸)、クエン酸(無水)、香料を添加して、クエン酸三ナトリウムによってpHが3.3となるように調整した。なお、pHは、ガラス電極pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、それぞれ20℃でのpHを測定しながら調整を行った。
このようにして得られた赤ぶどう果汁入り飲料は、65℃、10分相当以上で加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填してから、室温まで冷却し、後述する評価に用いた。なお、飲料における果汁含有率(赤ぶどう果汁)は、30%となるように調整しており、フォーリンチオカルト法(FOLIN−CIOCALTEU法)(没食子酸換算)によって測定された飲料の100gあたりのポリフェノール含有量は46.7mgであった。
得られた赤ぶどう果汁入り飲料について、下記に示す評価を行った。
(評価項目)
澱の量評価:各実施例および各比較例の赤ぶどう果汁入り飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、澱の発生について目視で判断した。
なお、評価としては、ビタミンCを最も多く添加した比較例A2を「0点」、ビタミンCを添加していない比較例A1を「4点」とし、他の飲料については、熟練した10名のパネラーが以下の尺度に従って採点し、その平均点を求めることで行った。
0点:比較例A2と同等である。
1点:比較例A2に対し、わずかに澱が観察される。
2点:比較例A2に対し、やや澱が観察される。
3点:比較例A2に対し、明らかに澱が多く観察されるが、比較例A1程でない。
4点:比較例A1と同等である。
官能評価試験1(液色):各実施例および各比較例の飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、その前後での液色の変化を評価した。
なお、この試験は、熟練した10人のパネラーが以下の尺度に従って評価を実施し、その平均点を求めた。
0点:保管前後で液色が同等である。
2点:保管前後で液色が殆ど同じである。
4点:保管前後で液色にやや差が観察される。
6点:保管前後で液色に差が観察される。
8点:保管前後で液色に大きな差が観察される。
官能評価試験2(褐変臭):各実施例および各比較例の飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、その前後での褐変臭の変化を評価した。
なお、この試験は、熟練した10人のパネラーが以下の尺度に従って評価を実施し、その平均点を求めた。
0点:保管前後で褐変臭の程度が同等である。
2点:保管前後で褐変臭の程度が殆ど同じである。
4点:保管前後で褐変臭の程度にやや差が感じられる。
6点:保管前後で褐変臭の程度に差が感じられる。
8点:保管前後で褐変臭の程度に大きな差が感じられる。
官能評価試験3(劣化味):各実施例および各比較例の飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、その前後での劣化味の変化を評価した。
なお、この試験は、熟練した10人のパネラーが以下の尺度に従って評価を実施し、その平均点を求めた。
0点:保管後でも劣化味を感じない。
2点:保管後でも殆ど劣化味を感じない。
4点:保管後にやや劣化味を感じる。
6点:保管後に劣化味を感じる。
8点:保管後に明らかな劣化味を感じる。
官能評価試験4(全体の風味):各実施例および各比較例の飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、その前後での風味の変化幅を評価した。
なお、この試験は、熟練した10人のパネラーが以下の尺度に従って評価を実施し、その平均点を求めた。
0点:保管前後で全体の風味の程度が同等である。
2点:保管前後で全体の風味の程度が殆ど同じである。
4点:保管前後で全体の風味の程度にやや差が感じられる。
6点:保管前後で全体の風味の程度に差が感じられる。
8点:保管前後で全体の風味の程度に大きな差が感じられる。
色差ΔE:各実施例および各比較例の飲料それぞれについて、55℃で10日間恒温静置保管する前と、上記恒温静置保管した後に、光源がD65である分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM−3500d)を用いて色差ΔEの値を測定した。なお、測定条件としては、測定視野10°を採用し、ハンターLab表色系よりΔEを算出した。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に各成分の配合比率と共に示す。
Figure 2017108713
表1からわかるように、所定量のビタミンCを添加した各実施例においては、澱の発生を抑制できると同時に、赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味を損なわない、という結果をもたらした。
一方、ビタミンCを多量に添加した比較例A2では、澱の発生は抑制できるものの、赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味が損なわれる傾向があり、ビタミンCを添加しなかった比較例A1では、澱の発生が観察された。
[試験B:巨峰種の赤ぶどう果汁を用いた検討]
表2に示す配合に従って飲料原料を混合し、得られた赤ぶどう果汁入り飲料を加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填することで、実施例B1〜B3および比較例B1、比較例B2の赤ぶどう果汁入り飲料を作製した。
具体的には、各実施例および各比較例の飲料は、表2に示す配合となるように、それぞれ以下の方法で作製した。
市販の68°Bxグレープ濃縮透明果汁(巨峰種)(株式会社果香より入手)を水で希釈して果汁溶液を調製した後、得られた果汁溶液に対して、異性化糖であるハイフラクトM(日本コーンスターチ株式会社製)を添加混合した。次いで、得られた混合溶液に対して、所定量のビタミンC(L−アスコルビン酸)、クエン酸(無水)を添加して、クエン酸三ナトリウムによってpHが3.3となるように調整した。なお、pHは、ガラス電極pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、それぞれ20℃でのpHを測定しながら調整を行った。
このようにして得られた赤ぶどう果汁入り飲料は、65℃、10分相当以上で加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填してから、室温まで冷却し、後述する評価に用いた。なお、飲料における果汁含有率(赤ぶどう果汁)は、30%となるように調整しており、フォーリンチオカルト法(FOLIN−CIOCALTEU法)(没食子酸換算)によって測定された飲料の100gあたりのポリフェノール含有量は23.81mgであった。
得られた赤ぶどう果汁入り飲料について、下記に示す評価を行った。
(評価項目)
澱の量評価:各実施例および各比較例の赤ぶどう果汁入り飲料について、55℃で14日間恒温静置保管し、澱の発生について目視で判断した。
なお、評価としては、ビタミンCを最も加えた比較例B2を「0点」、ビタミンCを加えていない比較例B1を「4点」とし、他の飲料については、熟練した10名のパネラーが以下の尺度に従って採点し、その平均点を求めることで行った。
0点:比較例B2と同等である。
1点:比較例B2に対し、わずかに澱が観察される。
2点:比較例B2に対し、やや澱が観察される。
3点:比較例B2に対し、明らかに澱が多く観察されるが、比較例B1程でない。
4点:比較例B1と同等である。
Figure 2017108713
表2からわかるように、所定量のビタミンCを添加した各実施例においては、澱の発生を抑制できるものであった。なお、ビタミンCを多量に添加した、比較例B2においては、液色、褐変臭、劣化味、全体の風味の面で、前述の比較例A2とほぼ同様の結果をもたらした。
[試験C:各種素材を用いた検討]
表3に示す配合に従って飲料原料を混合して得られた赤ぶどう果汁入り飲料を加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填することで、実施例C1、C2および比較例C1〜C4の赤ぶどう果汁入り飲料を作製した。
具体的には、各実施例および各比較例の飲料は、表3に示す配合となるように、それぞれ以下の方法で作製した。
市販の68°Bxグレープ濃縮透明果汁(コンコード種)(日進通商株式会社より入手)を水で希釈して果汁溶液を調製した後、得られた果汁溶液に対して、所定量の素材を添加した。
このようにして得られた赤ぶどう果汁入り飲料は、65℃、10分相当以上で加熱殺菌した後、280mlペットボトルに充填してから、室温まで冷却し、後述する評価に用いた。なお、飲料における果汁含有率(赤ぶどう果汁)は、30%となるように調整しており、フォーリンチオカルト法(FOLIN−CIOCALTEU法)(没食子酸換算)によって測定された飲料の100gあたりのポリフェノール含有量は46.7mgであった。
なお、この試験Cで用いた各種素材は以下の通りである。また、表3の配合量は有効成分量として、その量を示している。
ビタミンC:国産化学株式会社製、L−アスコルビン酸
ビタミンE:三菱化学フーズ株式会社製、製品名「抽出α−E液(飲料用)」
モルトエキス:三栄源株式会社製、製品名「モルトエキス」
ルチン(エンジュ抽出物):東洋製糖株式会社製、製品名「αGルチン」
得られた赤ぶどう果汁入り飲料について、下記に示す評価を行った。
(評価項目)
澱の量評価:各実施例および各比較例の赤ぶどう果汁入り飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、澱の発生について目視で判断した。
なお、表3には、澱の発生について「◎:全くない」、「○:わずかにある」「△:ある」の尺度にて評価した結果を示している。
外観:各実施例および各比較例の赤ぶどう果汁入り飲料について、55℃で10日間恒温静置保管し、外観について目視で判断した。表3にはその様子について記載を行った。
Figure 2017108713
表3からわかるように、所定量のビタミンCを加えた各実施例においては、顕著な澱の発生を抑制できるものであった。
一方、ビタミンEを加えた比較例C1は澱の発生がある上、このビタミンEに由来する白濁が観察された。
また、モルトエキスを加えた比較例C2は、比較的高い澱発生抑制能があるものの、素材に由来する着色が観察された。
また、ルチンを加えた比較例C3は、実施例C1や実施例C2に示すビタミンCの添加量より多量の添加量とした場合であっても、澱の発生は抑制できなかった。
本発明の澱の発生を抑制する方法は、赤ぶどう果汁入り飲料固有の風味を損なわずに、赤ぶどう果汁入り飲料における澱の発生を抑制することができる。このことから、赤ぶどう果汁入り飲料の開発の幅を飛躍的に拡充することができる。

Claims (5)

  1. 100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、ビタミンCを0.005質量%以上0.05質量%以下添加することを特徴とする、赤ぶどう果汁入り飲料の澱の発生を抑制する方法。
  2. 前記赤ぶどう果汁入り飲料における赤ぶどう果汁由来の果汁含有率が、5%以上80%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記赤ぶどう果汁入り飲料は、コンコード種または巨峰種に由来する果汁を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. ビタミンCを含む澱発生抑制剤であって、
    100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールを含有する赤ぶどう果汁入り飲料に対して、前記ビタミンC換算で0.005質量%以上0.05質量%以下添加されることを特徴とする、澱発生抑制剤。
  5. 100gあたり10mg以上125mg以下のポリフェノールと、0.005質量%以上0.05質量%以下のビタミンCとを含有する赤ぶどう果汁入り飲料。
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