JP2022047575A - 果汁含有飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤、及びぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法 - Google Patents

果汁含有飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤、及びぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、光劣化臭が抑制され、ぶどう果汁特有の風味を有する、ぶどう果汁含有飲料を提供することである。【解決手段】本発明は、果汁含有飲料であって、ぶどう果汁と、いちご果汁とを含み、前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、前記果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満である、果汁含有飲料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、果汁含有飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤、及びぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法に関する。
果物の果汁や果汁の香りを有する香料等を含む飲料(以下、「果汁飲料」という。)は、嗜好性の高い飲料のひとつとして、消費者に幅広く受け入れられている。
しかし、果汁飲料の原料として用いる果物や香料等の種類によっては、果汁飲料の保存期間中に、果汁中の成分が光等によって変化し、その結果、飲料から不快な臭気が発生することがある。
光等による成分変化が生じ得る果汁としては、ぶどう果汁が挙げられる。例えば、店舗等に陳列されたぶどう果汁入り飲料は、光に照射されることによって、経時的に樹脂臭等の好ましくない臭気(以下、このような臭気を「光劣化臭」ともいう。)を生じ得る。このような飲料は、風味に劣り、商品価値が著しく低下してしまうという問題がある。
飲料における、このような風味劣化を抑制する方法として、酸化防止剤を飲料に配合することが知られている。また、特許文献1では、赤ぶどう風味飲料における光劣化臭を、所定の香気成分を配合することでマスキングする方法が提案されている。
特開2020-25529号公報
しかし、ぶどう果汁含有飲料における光劣化臭を抑制できる技術に対するさらなるニーズがある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、光劣化臭が抑制され、ぶどう果汁特有の風味を有する、ぶどう果汁含有飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、ぶどう果汁含有飲料において、ぶどう果汁に対する比率が所定の範囲となるようにいちご果汁を配合することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 果汁含有飲料であって、
ぶどう果汁と、いちご果汁とを含み、
前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、前記果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満である、
果汁含有飲料。
(2) 前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率が50重量%以下である、(1)に記載の果汁含有飲料。
(3) 赤ぶどう果汁を含む、(1)又は(2)に記載の果汁含有飲料。
(4) 透明容器詰め飲料である、(1)から(3)のいずれかに記載の果汁含有飲料。
(5) (4)に記載の透明容器詰め飲料を、4℃以上40℃以下で、積算照度2000000lx・h以上の光を照射して陳列する、透明容器詰め飲料の陳列方法。
(6) いちご果汁からなる、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤。
(7) ぶどう果汁を含む果汁含有飲料において、
前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、前記果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満となるようにいちご果汁を配合する工程を含む、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法。
本発明によれば、光劣化臭が抑制され、ぶどう果汁特有の風味を有する、ぶどう果汁含有飲料を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<果汁含有飲料>
本発明の果汁含有飲料(以下、「本発明の飲料」ともいう。)は、ぶどう果汁と、いちご果汁とを少なくとも含み、果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満である。
本発明において「果汁率」とは、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度であり、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される糖用屈折計示度の基準(°Bx)に基づいて換算される。
例えば、ぶどう果汁はJAS規格が11°Bxであるから、55°Bxの濃縮ぶどう果汁を飲料中10重量%配合した場合、果汁率は50%となる。ただし、果汁率をJAS規格の糖用屈折計示度に基づいて換算する際には、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。また、通常、果汁率は「重量%」(すなわち飲料100gあたりの果汁量(g)(w/w))で表される。
なお、JAS規格に糖用屈折計示度の基準が示されていない果汁については、搾汁時のBrix値を基準として用いて、果汁率を特定できる(例えば、いちご透明果汁の場合、の搾汁時のBrixは、通常約8である)。
本発明においてBrix値は、実施例に示した方法で特定される。
本発明において用いられる果汁は、「果実飲料の日本農林規格」の第2条の「濃縮果汁」の定義を満たすものであってもよい。
以下、本発明の飲料の構成について詳述する。
(ぶどう果汁)
ぶどう果汁は、ぶどうの果実からの搾汁を用いて得られる。例えば、搾汁(ストレート果汁)をそのままぶどう果汁として用いてもよく、搾汁を加工したものをぶどう果汁として用いてもよい。
搾汁を加工したものとしては、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、搾汁液の濃縮果汁を希釈した還元果汁等が挙げられる。
搾汁を加工する方法としては、酵素処理法、精密濾過法、限外濾過法等が挙げられる。
搾汁は清澄処理した透明果汁及び混濁果汁のいずれでもよく、これらの組み合わせでもよい。
本発明の飲料に用いるぶどうの品種は特に限定されず、ブドウ科(Vitaceae)に属する任意のぶどうを用いることができる。例えば、赤ぶどう、白ぶどう等のいずれを用いてもよい。ぶどうの品種は1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
赤ぶどうの品種としては、例えば、コンコード、巨峰、紅マスカット、デラウェア、安芸クイーン、サニードルチェ、サニールージュ、ピオーネ、藤稔、ナガノパープル、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、シラーズ、キャンベル・アーリー、スチューベン等が挙げられる。
白ぶどうの品種としては、例えば、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、セミヨン、マスカット・オブ・アレキサンドリア等が挙げられる。
本発明による光劣化臭抑制効果が特に奏されやすいという観点から、本発明の飲料には赤ぶどう果汁が含まれていることが好ましい。
本発明の飲料に赤ぶどう果汁が含まれる場合、本発明の飲料に含まれるぶどう果汁の総量に対する赤ぶどう果汁の比率は、好ましくは30重量%以上100重量%以下、より好ましくは70重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは100重量%(すなわち、本発明の飲料に含まれるぶどう果汁が赤ぶどう果汁のみからなる。)である。
(いちご果汁)
本発明の飲料には、ぶどう果汁とともに、果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満となるようにいちご果汁が配合される。以下、「果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率」を「いちご果汁/ぶどう果汁」ともいう。
「果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率」とは、果汁含有飲料中のいちご果汁率を、果汁含有飲料中のぶどう果汁率で割った値である。例えば、果汁含有飲料中のいちご果汁率が「0.05重量%」であり、果汁含有飲料中のぶどう果汁率が「5重量%」である場合、果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率は「0.010」である。
本発明者による検討の結果、上記比率を満たすようにいちご果汁が配合されたぶどう果汁含有飲料は、意外にも、光を照射された場合における光劣化臭が抑制されていることが見出された。その理由は定かではないが、以下のように推察される。
本発明者は、いちご果汁の香気成分と、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭の原因物質とが一部共通することを確認した(例えば、トランス-2-ヘキセナール)。そのため、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭と、いちご果汁の香気とは親和性があることがわかった。かかる場合、ぶどう果汁含有飲料から光劣化臭が発生しても、該光劣化臭がいちご果汁の香気にまぎれ、光劣化臭の不快感が和らげられるものと考えられる。
本発明の飲料において、「いちご果汁/ぶどう果汁」は0.005以上0.100未満である。
「いちご果汁/ぶどう果汁」が0.005以上であることで、いちご果汁による光劣化臭の抑制効果が十分に奏される。
「いちご果汁/ぶどう果汁」が0.100未満であることで、いちご果汁の香気が過度となりにくく、ぶどう果汁特有の風味を有する飲料を得ることができる。
「いちご果汁/ぶどう果汁」の下限は、好ましくは0.008以上、より好ましくは0.010以上である。
「いちご果汁/ぶどう果汁」の上限は、好ましくは0.050以下、より好ましくは0.080以下である。
いちご果汁は、いちごの花托からの搾汁を用いて得られる。例えば、搾汁(ストレート果汁)をそのままいちご果汁として用いてもよく、搾汁を加工したものをいちご果汁として用いてもよい。
搾汁を加工したものとしては、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、搾汁液の濃縮果汁を希釈した還元果汁等が挙げられる。
搾汁を加工する方法としては、酵素処理法、精密濾過法、限外濾過法等が挙げられる。
搾汁は清澄処理した透明果汁及び混濁果汁のいずれでもよく、これらの組み合わせでもよい
本発明の飲料に用いるいちごの品種は特に限定されず、オランダイチゴ属(Fragaria)に属する任意のいちごを用いることができる。例えば、アイベリー、章姫、紅い雫、あまおう、あまおとめ、あまみつ、とちおとめ等のいずれを用いてもよい。いちごの品種は1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の果汁)
本発明の飲料には、本発明の効果を損なわない範囲で、ぶどう及びいちご以外の果実等から得られる果汁(例えば、リンゴ果汁、オレンジ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、バナナ果汁、マンゴー果汁等)を配合してもよく、配合しなくともよい。
これらの果汁を配合する場合、その配合量は得ようとする風味等に応じて適宜調整できるが、本発明の効果が奏されやすいという観点から、果汁の合計量の過半がぶどう果汁であることが好ましい。
(果汁含有量)
本発明の飲料中の果汁含有量は、「いちご果汁/ぶどう果汁」が上述の要件を満たしていれば特に限定されない。本発明の効果を奏しやすくする観点から、各果汁の果汁率が以下を満たすように果汁含有量を調整してもよい。
通常、ぶどう果汁含有飲料においては、ぶどう果汁率が低いほど、光劣化臭が生じやすい傾向にある。
したがって、本発明の効果をより奏しやすくなる観点から、本発明の飲料中のぶどう果汁率の上限は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
本発明の飲料中のぶどう果汁率の下限は特に限定されないが、飲料に対し十分なぶどう風味を付与しやすいという観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。
本発明の飲料中のいちご果汁率は、本発明の飲料中のぶどう果汁率、及び設定される「いちご果汁/ぶどう果汁」の値に応じて適宜設定される。
本発明の飲料中のいちご果汁率の上限は、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
本発明の飲料中のいちご果汁率の下限は特に限定されないが、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。
(その他の成分)
本発明の飲料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般的な飲料に通常用いられる他の原材料や添加剤を適宜配合することができる。配合量は得ようとする効果に応じて適宜設定できる。
本発明の飲料に配合し得る成分としては、下記のものが挙げられる:糖類(砂糖、果糖、ぶどう糖、乳糖、麦芽糖等の単糖や二糖)、糖アルコール(オリゴ糖、エリスリトールやマルチトール等)、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖等)、高甘味度甘味料(ステビア、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース等)、酸味料(クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、リン酸、フィチン酸等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘安定剤(大豆多糖類、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム等)、色素(カロチノイド色素、アントシアニン色素、カラメル色素、各種合成着色料等)、香料、保存料、防腐剤、防かび剤、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE等)やミネラル類(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等)、食物繊維、酸化防止剤(アスコルビン酸、トコフェロール、塩酸システイン等)、乳成分(脱脂粉乳等)、発酵乳(乳成分を乳酸菌等で発酵させたもの)等。
本発明の飲料は、ぶどう果汁特有の風味を有する飲料が得られやすいという観点から、乳成分(脱脂粉乳等)、及び発酵乳(乳成分を乳酸菌等で発酵させたもの)が含まれないことが好ましい。
本発明の飲料は、水等の溶媒を含んでいてもよい。また、本発明の飲料の形態は特に限定されず、果汁をベースとしたソフトドリンク、炭酸を含む炭酸飲料、アルコールを含むアルコール飲料、ゲル化剤を含むゼリー飲料等であってもよい。
(果汁含有飲料の性質)
本発明の飲料は、LED等によって光が照射されても、光劣化臭が抑制されている。
本発明における「光劣化臭」とは、光を原因とする成分変化の結果生じる臭気を意味し、樹脂やプラスチックのような異臭(樹脂臭)、カメムシのような異臭(カメムシ臭)とも称される臭気である。
本発明において「光劣化臭が抑制されている」とは、いちご果汁の配合の有無以外は共通する組成のぶどう果汁含有飲料に対して同条件で光照射を行った場合、いちご果汁が配合された飲料においては光劣化臭が感じられないか、より感じられにくいことを意味する。
光劣化臭の有無や程度は官能評価によって特定される。
また、本発明の飲料は、光劣化臭が感じられにくいだけではなく、ぶどう果汁特有の風味(ぶどう風味)が損なわれにくく、ぶどう果汁特有の良好な風味を有する。
ぶどう果汁特有の風味の有無や程度は官能評価によって特定される。
<果汁含有飲料の製造方法>
本発明の飲料は、ぶどう果汁及びいちご果汁を所定の比率で配合することで得られ、通常の飲料の製造方法に用いられる装置や条件によって製造することができる。
具体的な製造方法としては、例えば、ぶどう果汁(ぶどう搾汁液等)及びいちご果汁(いちご搾汁液等)を所望の比率で混合し、容器に充填する前又は後に、適宜殺菌処理する方法が挙げられる。
果汁は天然物に由来するため、酸度がぶどう及びいちごの品種や収穫後の経過時間(熟度)によって異なる。風味のよい飲料が得られやすいという観点から、果汁含有飲料はpHが2.5~4.5であるものが好ましい。果汁のpHがこの数値範囲にない場合は、pH調整剤や、ぶどう及びいちご以外の果汁を添加したり、果汁の混合比を調整したりすることで調整することができる。
pH調整剤としては、酸味料として一般的に使用される有機若しくは無機の食用酸又はそれらの塩を用いることができる。有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸等が挙げられる。無機酸としては、リン酸等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。pH調整剤の使用量は、所望のpHとすることができ、かつ飲料の風味に大きな影響がない範囲であれば特に限定されない。
本発明の飲料を充填する容器の種類としては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(PETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ガラス瓶等の密封容器が挙げられる。
容器に入れた光劣化臭が生じやすく、本発明の効果が特に奏されやすいという観点から、本発明の飲料を充填する容器は透明容器であることが好ましい。したがって、本発明の飲料の形態は、好ましくは透明容器詰め飲料である。
殺菌処理の方法は特に限定されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等が挙げられる。
<透明容器詰め飲料及びその陳列方法>
本発明の飲料を充填する容器として透明なもの(PETボトル等)を用いることで、本発明の飲料を含む透明容器詰め飲料(以下、「本発明の透明容器詰め飲料」ともいう。)を得ることができる。
通常、透明容器に充填されたぶどう果汁含有飲料は、光に暴露されやすく、したがって、光劣化臭を生じやすい。しかし、本発明の透明容器詰め飲料においては、上記いちご果汁が配合されているため、光劣化臭が抑制されている。
例えば、店舗や家庭の棚等において陳列された本発明の透明容器詰め飲料に対し、4℃以上40℃以下で、該飲料に対して積算照度として2000000lx・h以上照射しても、光劣化臭を好ましく抑制できる。
本発明の透明容器詰め飲料の陳列方法としては、本発明の透明容器詰め飲料における任意の部位に光を照射できる方法であれば特に限定されず、棚等に本発明の透明容器詰め飲料を1本のみ置いてもよいし、複数本を並べて置いてもよい。
<ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤>
上記のとおり、いちご果汁は、光照射によって生じるぶどう果汁含有飲料の光劣化臭を抑制できる。
したがって、本発明は、いちご果汁からなる、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤も提供する。
該光劣化臭抑制剤は、ぶどう果汁含有飲料に配合され、果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が上述の範囲となるように用いられる。
<ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法>
上記のとおり、ぶどう果汁含有飲料にいちご果汁を所定の割合で配合することで、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭を抑制できる。
配合されるいちご果汁の比率等の詳細は、上記<果汁含有飲料>で説明したとおりである。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<果汁含有飲料の製造及び評価>
(1)果汁含有飲料の調製
表1~4の「処方」の項に示す割合で各成分を混合した後、果汁率が「特性等」の項の各果汁率に示す値となるように水で希釈した果汁希釈溶液(果汁含有飲料に相当する。)を調製した。
得られた果汁含有飲料は、PETボトル(500ml)に入れ、下記の光照射試験に供するまで遮光して冷蔵保管した。
表中に示した各成分や特性の詳細は以下のとおりである。
(処方)
果糖ぶどう糖液糖:55%異性化糖
赤ぶどう透明果汁:コンコード種、68°Bx
赤ぶどう混濁果汁:コンコード種、57°Bx
いちご透明果汁:商品名「64℃苺透明果汁(ポーランド産)」、Dohler社製、64°Bx
クエン酸三Na:クエン酸三ナトリウム
(特性等)
得られた飲料の各種特性に関し、以下の方法で測定した。
Brix:飲料の液温を20℃に調整してから、糖用屈折計(商品名「RX-5000α」、株式会社アタゴ製)を用いて、飲料のBrix値を測定した(単位:°Bx)。
酸度:飲料の酸度を、日本農林規格(平成18年8月8日農水告第1127号)に定められた酸度の測定方法に基づき、以下の式で算出した(単位:無水クエン酸g/100ml)。
酸度(%)=A×f×100/V×0.0064
A:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液による滴定量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の力価
V:試料体積(mL)
0.0064:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mLに相当する無水クエン酸の重量(g)
pH:飲料の液温を20℃に調整してから、pHメーター(商品名「HM-30R」、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、飲料のpHを測定した。
ぶどう透明果汁率:飲料のぶどう透明果汁率の計算値を示した(単位:重量%)。
ぶどう混濁果汁率:飲料のぶどう混濁果汁率の計算値を示した(単位:重量%)。
いちご果汁率:飲料のいちご果汁率の計算値を示した(単位:重量%)。
Total果汁率:飲料に含まれる果汁総量の割合の計算値を示した(単位:重量%)。
「いちご/ぶどう」:いちご果汁率をぶどう果汁率の総量で割った値を示した。
なお、「いちご/ぶどう」は、果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率に相当する。
(2)果汁含有飲料への光照射
各果汁含有飲料に対して、光(LED)による照射(積算照度2000000lx・h)を20℃で行った。
(3)官能評価
果汁含有飲料への光照射後、各飲料について官能評価を行った。また、各飲料について、光照射を行わずに遮光下で保存した点以外は上記光照射試験と同様の条件で保存した飲料についてもあわせて官能評価を行った。
官能評価は、習熟したパネル5名により、「光劣化臭の程度」、「ぶどう風味の程度」、「総合評価」について行った。
各評価は、下記の採点基準に従って各パネルが付けた評価点数に基づき実施した。
上記の官能評価の結果を表1~4の「官能評価」の項に示す。
表中、「照射 無」とは、光照射を行わなかった飲料を意味する。「照射 有」とは、光照射を行った飲料を意味する。
表中、「光劣化臭」の欄には、「光劣化臭の程度」の結果を、評価点数ごとのパネルの人数によって示した。
「ぶどう風味」の欄には、「ぶどう風味の程度」の結果を、各パネルが付けた評価点数の平均値によって示した。
「総合評価」の欄には、「総合評価」の結果を、各パネルが付けた評価点数の平均値によって示した。
「光劣化臭の程度」、「ぶどう風味の程度」、「総合評価」の採点基準は以下のとおりである。
(光劣化臭の程度)
点数が高いほど(最高点:7点)、光劣化臭が認められなかったことを示す。
なお、本例では、同組成の飲料同士を比較した相対評価を実施し、具体的には、「照射 無」の飲料を7点とした場合の評価を行った。例えば、「比較例1-1」の「光劣化臭」の結果は、「照射 無」の飲料(7点)に対して、該飲料と同組成である「照射 有」の飲料では光劣化が比較的あった(平均4点)ことを意味する。
7点:光劣化が全くない
6点:光劣化がほとんどない
5点:光劣化が少しある
4点:光劣化が比較的ある
3点:光劣化がややある
2点:光劣化がかなりある
1点:光劣化が非常にある
(ぶどう風味の程度)
点数が高いほど(最高点:4点)、ぶどう果汁特有の風味が良好であり、ぶどう(本例では赤ぶどう)が本来有する風味とは異なる風味(異風味)が弱いことを示す。
なお、本例では、各飲料について、「比較例1-1」の「照射 無」と比較した相対評価を実施した。例えば、「実施例例1-1」の「ぶどう風味」の結果は、「比較例1-1」の「照射 無」と比較して異風味がわずかにあった(平均3.6点)ことを意味する。
4点:異風味がない
3点:異風味がわずかにある
2点:異風味が比較的ある
1点:異風味が非常にある
(総合評価)
各飲料について、光劣化臭の程度、及びぶどう風味の程度の総合評価を行った。
なお、本例では、同組成の飲料同士を比較した相対評価を実施し、具体的には、「照射 無」の飲料を7点とした場合の評価を行った。例えば、「比較例1-1」の「総合評価」の結果は、「照射 無」の飲料(7点)に対して、該飲料と同組成である「照射 有」の飲料では差が比較的あった(平均4.6点)ことを意味する。
本例において、「照射 無」との差が少ないほど、光劣化臭が抑制され、ぶどう風味が良好であることを意味する。
7点:「照射 無」と比べて差がない
6点:「照射 無」と比べてわずかに差がある
5点:「照射 無」と比べて少し差がある
4点:「照射 無」と比べて差が比較的ある
3点:「照射 無」と比べて差がとてもある
2点:「照射 無」と比べてかなり差がある
1点:「照射 無」と比べて非常に差がある
Figure 2022047575000001
Figure 2022047575000002
Figure 2022047575000003
Figure 2022047575000004
各表の実施例から理解されるとおり、「いちご/ぶどう」の値が、本発明に規定される要件を満たす果汁含有飲料においては、光劣化臭が抑制され、かつ、ぶどう風味の低減も抑制されていた。
各表の比較例から理解されるとおり、「いちご/ぶどう」の値が低い場合、光劣化臭が十分に抑制されなかった。
他方で、「いちご/ぶどう」の値が高い場合、光劣化臭は抑制されるものの、ぶどう風味が低減し、嗜好性に劣った。

Claims (7)

  1. 果汁含有飲料であって、
    ぶどう果汁と、いちご果汁とを含み、
    前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、前記果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満である、
    果汁含有飲料。
  2. 前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率が50重量%以下である、請求項1に記載の果汁含有飲料。
  3. 赤ぶどう果汁を含む、請求項1又は2に記載の果汁含有飲料。
  4. 透明容器詰め飲料である、請求項1から3のいずれかに記載の果汁含有飲料。
  5. 請求項4に記載の透明容器詰め飲料を、4℃以上40℃以下で、積算照度2000000lx・h以上の光を照射して陳列する、透明容器詰め飲料の陳列方法。
  6. いちご果汁からなる、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤。
  7. ぶどう果汁を含む果汁含有飲料において、
    前記果汁含有飲料中のぶどう果汁率に対する、前記果汁含有飲料中のいちご果汁率の比率が0.005以上0.100未満となるようにいちご果汁を配合する工程を含む、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法。
JP2020153427A 2020-09-14 2020-09-14 果汁含有飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、ぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制剤、及びぶどう果汁含有飲料の光劣化臭抑制方法 Pending JP2022047575A (ja)

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