JP2017107638A - 溶融塩電池およびその製造方法 - Google Patents

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昂真 沼田
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耕司 新田
将一郎 酒井
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Abstract

【課題】内部短絡が抑制され、かつ優れたサイクル特性を達成することができる溶融塩電池を簡易に製造する。【解決手段】(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、(b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも低圧の雰囲気に暴露した状態で、前記電解質に含まれる水分量が質量比で300ppm以下になるまで、充電および/または放電する工程と、(c)前記工程(b)が終了した後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を具備する、溶融塩電池の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス発生およびナトリウムのデンドライトの析出が抑制された溶融塩電池に関する。
近年、携帯情報端末、電動車両、家庭用電力貯蔵装置などに用いられる蓄電デバイスの開発が進んでいる。蓄電デバイスの中でも、キャパシタと非水電解質二次電池の研究が盛んである。これらの蓄電デバイスの中で、電解質にナトリウムイオンとアニオンとの溶融塩を用いたナトリウム溶融塩電池は、資源性に優れ、かつ安全性の高い蓄電デバイスとして、期待が寄せられている(特許文献1参照)。
非水電解質二次電池は、正極と、負極と、これらの間に介在するセパレータとを有する電極群を備える。電極群は、電解質とともに容器(電池ケース)に収容される。
ところで、非水電解質二次電池の分野では、初期の充放電の際に、副反応によるガスが発生することがある。容器を密閉して電池を完成させた後、充放電によりガスが発生すると、容量や電圧の低下、あるいは、ケースの変形を生じることがある。そこで、容器を密閉する前に、予備充電(ガス抜き充電)を行うことが提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第2011/148864号パンフレット 特開2004−220956号公報
特許文献2では、ケースに設けた電解質の注液用の孔を開放したままで予備充電が行われ、予備充電後にケース内を減圧している。しかし、単にケースを開放した状態で予備充電をするだけでは、発生したガスを十分に除去できないことがある。
また、従来の溶融塩電池では、負極にナトリウムのデンドライトが析出しやすいという問題がある。例えば、溶融塩電池の充放電を長期に亘って繰り返すと、負極から正極に向かって、ナトリウムのデンドライトが成長し、やがてセパレータを貫通して正極に至り、内部短絡が生じることがある。
溶融塩電池においては、従来から、副反応を抑制する観点から、電池内の水分量をある程度まで低減することが行われてきた。一般的には、溶融塩電池を組み立てる前に、正極、負極、セパレータおよび溶融塩の乾燥が行われる。乾燥後の正極、負極、セパレータおよび溶融塩が含む水分量は、それぞれ質量比で400〜1000ppm程度に低減される。
溶融塩電池の場合、ナトリウムのデンドライトの析出の程度も、電池内の水分量により、大きく影響されることが判明しつつある。デンドライトに起因する内部短絡の発生頻度は、電池内の水分量に対して、極めて敏感であり、従来と同程度に水分量を低減するだけでは不十分であることも判明しつつある。その理由は明確ではないが、溶融塩電池は比較的高温でも使用可能であるため、ナトリウムと水分との反応性が高いことが一因であるとも考えられる。
具体的には、ナトリウムが水分と反応すると、ナトリウム酸化物が生成し、これが起点となってデンドライトが成長する。従って、正極と負極との短絡を抑制するためには、溶融塩電池内に含まれる水分量を従来よりも低減することが重要である。
正極、負極およびセパレータに含まれる水分のうち、移動可能な水分は、電池内では、溶融塩に移動していると考えられる。従って、溶融塩に含まれる水分量を厳密に制御することが重要である。
以上に鑑み、本発明の一局面は、(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、(b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも低圧の雰囲気に暴露した状態で、前記電解質に含まれる水分量が質量比で300ppm以下になるまで、充電および/または放電する工程と、(c)前記工程(b)が終了した後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を具備する、溶融塩電池の製造方法に関する。
本発明の別の局面は、電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、前記電極群および前記電解質を収容する容器と、を具備し、前記溶融塩が、カチオンとアニオンとを含み、前記カチオンは、ナトリウムイオンと有機カチオンとを含み、前記アニオンは、スルホニルアミドイオンを含み、前記スルホニルアミドイオンは、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表され、前記カチオンに占める前記ナトリウムイオンのモル比が、10モル%〜50モル%であり、前記電解質に含まれる水分量が、質量比で300ppm以下である、溶融塩電池に関する。
このような溶融塩電池の製造方法によれば、電解質中の水分量を効果的に低減することができる。また、ナトリウムのデンドライトの析出を大きく抑制することができ、内部短絡の発生頻度も低減する。
本発明の一実施形態に係る溶融塩電池の外観を示す斜視図である。 図1の電池を、I1−I1線を含み且つY軸に垂直な平面により切断したときの矢視断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法を実施するための製造装置の一例を示す一部断面図である。 溶融塩電池の充放電機構の一例を示すブロック図である。 一実施例および一比較例に係る溶融塩電池の充放電サイクル特性を示す図である。 他の実施例に係る溶融塩電池の充放電曲線を示す図である。 さらに他の実施例に係る溶融塩電池の充放電曲線を示す図である。 他の比較例に係る溶融塩電池の充放電曲線を示す図である。
本実施形態に係る溶融塩電池の製造方法は、(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、電極群に電解質を含浸させる工程と、(b)電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも低圧の雰囲気に暴露した状態で、電解質に含まれる水分量が質量比で300ppm以下になるまで、充電および/または放電する工程と、(c)工程(b)が終了した後、電極群と電解質とを収容した容器を密閉する工程とを有する。
また、本実施形態に係る溶融塩電池は、電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、電極群および電解質を収容する容器とを具備し、電解質に含まれる水分量は、質量比で300ppm以下である。溶融塩は、カチオンとアニオンとを含む。カチオンは、ナトリウムイオンと有機カチオンとを含み、アニオンは、スルホニルアミドイオンを含む。スルホニルアミドイオンは、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表すことができる。カチオンに占めるナトリウムイオンのモル比は、10モル%〜50モル%であればよい。しかしながら、上記モル比は、25モル%〜50モル%であることが好ましい。
電解質には、溶融塩以外に、様々な添加剤を含ませることができるが、イオン伝導性や熱安定性を確保する観点からは、電解質が溶融塩のみからなることが好ましい。電解質が添加剤を含む場合でも、電解質の90質量%以上、更には95質量%以上が溶融塩で構成されていることが好ましい。
溶融塩電池の製造工程においては、一般に、開口を有する有底の容器に電極群を挿入した後、容器の開口部に封口板を装着する。そして、例えば封口板に設けた注液孔から、容器の内部に電解質を注液し、電極群に含浸させる。電極群に電解質を含浸させることで、各電極の間に電解質層が形成され、充放電が可能な「発電要素」が形成される。
工程(b)の充電(以下、「予備充電」ともいう。)および/または放電(以下、「予備放電」ともいう。)は、電池の製造途中の発電要素に対して行われ、電極群と電解質とを収容した容器を密閉する前に行われる。電池の製造途中の発電要素に対して予備充電および/または予備放電(以下、「予備充放電」ともいう。)を行うことで、溶融塩に含まれる水分を、副反応(例えば水の電気分解)により除去することができる。これにより、製造後の電池の電解質に含まれる水分量Weを容易に質量比で300ppm以下にすることができる。
一方、容器を密閉する前に予備充電等を行うことで、副反応により発生したガスを容易に容器の外部に放出させることができる。本実施形態では、電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充放電する。これにより、副反応で発生したガスを、効果的に容器の外部に放出させることができる。これにより、容器を密閉して完成させた電池の初期の充放電においても、ガス発生を抑制することもできる。更に、減圧雰囲気中であれば、比較的粘度の高い溶融塩電解質からのガス抜きも容易となる。
予備充放電のとき、雰囲気と大気圧との差圧Pxを、−0.05≦Px≦−0.1MPaに設定することが好ましい。これにより、電解質からのガス抜きを容易に行うことができる。
なお、電解質が含浸された電極群を充電および/または放電する回数は、1回に限らず、例えば複数回充電および/または放電を行うこともできる。例えば、予備充電を1回だけ行ってもよく、予備充電と予備放電を1回ずつ行ってもよく、予備充放電を繰り返してもよい。
一方、デンドライトを抑制する観点からも、電解質に含まれる水分量Weを質量比で300ppm以下にすることは重要である。正極、負極およびセパレータに含まれる水分(カールフィッシャー法により検出可能な水分)のうち、移動可能な水分の多くは、電池内では、電解質に移動していると考えられる。電解質に含まれる水分量Weを300ppm以下に低減することで、ナトリウムイオンと水分との反応が抑制され、デンドライトの起点となるナトリウム酸化物の生成が抑制される。
電解質に含まれる水分量Weが300ppmを超えると、内部短絡の発生やサイクル特性の低下を抑制することは困難である。本実施形態によれば、電池の製造工程の最終段階で、電解質に含まれる水分を除去することができる。このため、電池の組み立て前に、正極、負極およびセパレータを限界近くにまで乾燥する必要がなくなる。また、組み立て前の正極、負極およびセパレータの湿度管理も容易になる。
ここで、溶融塩の水分量は、質量比で200ppm以下にまで低減することが望ましい。これにより、ガス発生およびデンドライトを抑制する効果が大きくなり、内部短絡の発生やサイクル特性の低下を抑制する効果も大きくなる。
工程(b)では、電解質が含浸された電極群の温度を、40℃以上、且つ電解質の蒸気圧を雰囲気の圧力未満とする温度THxに設定して、電極群を充電することが好ましい。これにより、電解質の粘度を低減できるため、予備充放電で発生したガスを、より効果的に排出することができる。
さらに、工程(b)では、電解質が含浸された電極群(発電要素)を、50%を超える充電深度(SOC)まで、好ましくは60%以上(もしくは70%以上)の充電深度まで、少なくとも1回充電することが好ましい。このとき、100%以上の充電深度まで充電してもよいが、充電深度は90%以下とすることが好ましい。予備充電のSOCを50%よりも大きくすることで、水の電気分解を十分に進行させることができ、効果的に水分量を低減できる。ただし、SOC100%は定格の電池容量に相当する電気量(Q)が充電されたときの満充電状態と対応する。
電気量Qは、放電終止電圧(SOCで0%)から、満充電状態と対応する充電終止電圧に達するまで、規定の充電電流で定電流充電を行い、その後、充電電流が規定の充電終止電流に低下するまで定電圧充電したときに電池に供給される電気量とすることができる。
ここで、電気量Qを1時間で充電するときの電流値を「It」とする。このとき、予備充電における定電流充電の電流値は、例えば0.1〜0.2Itに設定することが好ましい。また、定電圧充電では、電流値が0.05It以下になるまで充電することが好ましい。
工程(b)を実施するときの雰囲気は、露点温度が−40℃以下のドライエア、または不活性ガスを含むことが好ましい。不活性ガスには窒素、アルゴン等を用いることが好ましい。
電池製造後の電解質の水分量Weを300ppm以下にするためには、一般的には、電池の製造に使用する溶融塩に含まれる水分量Weを質量比で50ppm以下、更には20ppm以下にまで低減しておくことが望ましい。ただし、本実施形態では、電池の製造工程の最終段階で水分量Weを低減する予備充放電を行うため、質量比で50ppmを超える水分を含む溶融塩を使用しても、容易に電池内の電解質の水分量Weを300ppm以下にすることができる。
一方、電解質の水分量Weが300ppm以下に低減するまでに要する時間を短縮、または予備充放電の回数を小さくする観点から、容器内に注液する前の溶融塩の水分量Weをある程度まで低減する処理を行ってもよい。例えば、露点温度−50℃以下の雰囲気中で、溶融状態の溶融塩(または電解質)に固体状のアルカリ金属を浸漬し、アルカリ金属の融点未満の温度で、溶融状態の溶融塩(または電解質)を攪拌することが好ましい。これにより、簡易に溶融塩の水分量Weを低減することができる。
電解質の水分量Weは、窒素雰囲気中で、新鮮な陰極液で満たされた水分量測定装置のセルに試料を投入して測定する。試料の重量は0.05〜3gの範囲内とすればよい。電解質の水分量Weは、溶融塩の融点以上でも、融点未満でも測定することができる。
電池内の電解質の水分量Weは、電池を分解し、溶融塩を取り出して、その水分量を測定してもよく、電解質を含浸したセパレータを取り出し、その水分量を測定してもよい。電解質を含浸したセパレータの水分量を測定する場合には、試料に含まれるセパレータの重量と電解質の重量を用いて、得られた水分量を電解質に含まれる水分量に換算すればよい。
次に、溶融塩電池の一例に基づいて、各構成要素について具体的に説明する。
[正極]
正極は、正極集電体および正極集電体に固定化された正極活物質層を含む。正極活物質層は、正極活物質を必須成分として含み、任意成分として結着剤、導電剤等を含んでもよい。正極活物質は、ナトリウムイオンとファラデー的に可逆反応する材料であればよい。
正極集電体としては、金属箔、金属多孔体シートなどが用いられる。正極集電体を構成する金属としては、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましいが、特に限定されない。正極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。
正極活物質としては、熱的安定性や電気化学的安定性の観点から、ナトリウム含有遷移金属化合物を用いることが好ましい。ナトリウム含有遷移金属化合物としては、ナトリウムが層間に出入り可能な層状構造を有する化合物が好ましいが、特に限定されない。
ナトリウム含有遷移金属化合物は、例えば、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2など)、鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3Fe1/3Mn2/32など)、NaMnF3、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4、NaMn1.5Ni0.54、NaMn0.5Ni0.52、TiS2、FeF3などを用いることができる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
結着剤としては、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル系樹脂等を用いることができる。結着剤の量は、正極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましい。
正極に含ませる導電剤としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。導電剤の量は、正極活物質100質量部あたり、5〜15質量部が好ましい。
[負極]
負極は、負極集電体および負極集電体に固定化された負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極活物質を必須成分として含み、任意成分として結着剤、導電剤等を含んでもよい。負極活物質は、ナトリウムイオンとファラデー的に可逆反応する材料であればよい。
負極集電体としては、金属箔、金属多孔体シートなどが用いられる。負極集電体を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などが好ましいが、特に限定されない。負極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。
負極に用いる結着剤および導電剤としては、正極の構成要素として例示した材料を用いることができる。結着剤の量は、負極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、導電剤の量は、負極活物質100質量部あたり、1〜15質量部が好ましい。導電剤は使用しなくともよい。
負極活物質としては、亜鉛、錫、シリコン、鉛等のNaと合金化する金属やナトリウム含有チタン化合物、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)等が好ましく用いられる。ナトリウム含有チタン化合物としては、チタン酸ナトリウムが好ましく、より具体的には、Na2Ti37およびNa4Ti512よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
[電解質]
電解質(溶融塩電解質)は、溶融塩を80質量%以上含む。電解質には、溶融塩以外に、様々な添加剤を含ませることができるが、イオン伝導性や熱安定性を確保する観点からは、電解質が溶融塩のみからなることが好ましい。電解質が添加剤を含む場合でも、電解質の90質量%以上、更には95質量%以上が溶融塩であることが好ましい。なお、溶融塩の融点は、溶融塩電池の用途に応じて選択すればよい。
溶融塩は、カチオンとアニオンとで構成されるイオン性物質であり、イオン液体とも称される。カチオンは、ナトリウムイオンと有機カチオンとを含むことが好ましい。アニオンは、スルホニルアミドイオンを含むことが好ましい。有機カチオンは、窒素含有へテロ環を有することが好ましい。スルホニルアミドイオンは、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表されることが好ましい。このような溶融塩は、融点が低く、かつ熱安定性に優れており、予備充放電による水分量の制御も容易である。
溶融塩に含まれる全カチオンに占めるナトリウムイオンのモル比は、10モル%〜50モル%、さらには25モル%〜50モル%であることが好ましい。例えば溶融塩の100%が、ナトリウムイオンとスルホニルアミドイオンとの第一塩と、有機カチオンとスルホニルアミドイオンとの第二塩とで構成される場合、第一塩と第二塩との合計に占める第一塩の割合は、10モル%〜50モル%であることが好ましい。これにより、充放電特性に優れた溶融塩電池が得られる。ただし、カチオンに占めるナトリウムイオン濃度が10モル%〜50モル%、さらには25モル%〜50モル%と高い場合、電解質の粘度は高くなる傾向がある。この点、本実施形態では、減圧雰囲気で予備充放電が行われる。よって、高粘度の電解質から副反応で生成するガスを十分に除去することができる。また、電極群と電解質とを加熱することで、電解質の粘度が低下するため、更に効率よくガスを除去することができる。
n2n+1で表されるパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましく、1または2が更に好ましい。具体的には、R1およびR2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などであればよい。
[(R1SO2)(R2SO2)]N-で表されるスルホニルアミドイオンの具体例としては、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン((N(SO2F)2 -)(FSA-:bis(fluorosulfonyl)amide anion));ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2CF32 -)(TFSA-:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2F)(SO2CF3-)((fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)などが挙げられる。
溶融塩を構成するカチオンは、ナトリウム以外の金属カチオンを含んでもよい。例えば、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウムなどが溶融塩に含まれてもよい。
有機カチオンとしては、窒素含有カチオン、イオウ含有カチオン、リン含有カチオンなどが例示できる。なかでも窒素含有カチオンが好ましく、窒素含有へテロ環を有するカチオンが好ましい。窒素含有へテロ環としては、ピロリジニウム骨格、イミダゾリウム骨格、ピリジニウム骨格、ピペリジニウム骨格が挙げられる。これらの中でも、ピロリジニウム骨格を有するカチオンは、融点の低い溶融塩を形成することができ、かつ高温でも安定である点で好ましい。
窒素含有カチオンの具体例としては、第4級アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどが例示できる。第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、トリエチルメチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などが例示できる。ピロリジニウムカチオンとしては、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(Py13:1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(Py14:1-butyl-1-methylpyrrolidinium cation)などが挙げられる。イミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI:1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)などが挙げられる。
溶融塩が、ナトリウムイオンとスルホニルアミドイオンとの第一塩と、有機カチオンとスルホニルアミドイオンとの第二塩とを含む場合、第一塩としては、ナトリウムイオンとFSA-との塩(NaFSA)、ナトリウムイオンとTFSA-との塩(NaTFSA)などが好ましい。また、第二塩としては、Py13+とFSA-との塩(Py13FSA)、Py13+とTFSA-との塩(Py13TFSA)などが好ましい。なお、第1塩のスルホニルアミドイオンと第2塩のスルホニルアミドイオンは、同じであっても異なってもよい。
[セパレータ]
セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択すればよいが、電解質との副反応を抑制する観点からは、シリカ含有ポリオレフィン、ガラス繊維、フッ素樹脂、アルミナ、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などを用いることが好ましい。なかでもシリカ含有ポリオレフィンは、耐熱性に優れる点で好ましい。
シリカ含有ポリオレフィンとは、熱安定性を向上させるために、シリカ粉末を練り込んだポリオレフィンであり、これをシートに成形して一軸または二軸延伸を行うことにより、多孔質構造を有するセパレータが得られる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンより選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。シリカ含有ポリオレフィンにより形成されたセパレータの厚さは、10μm〜500μm、更には20〜50μmであることが好ましい。セパレータの空隙率は、例えば50〜90%の範囲内であればよい。セパレータの空隙率は、水銀ポロシメータを用いて測定される細孔径分布から導くことができる。
[電極群]
次に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る溶融塩電池の構造について説明する。ただし、本発明の溶融塩電池の構造は、下記構造に限定されるものではない。
溶融塩電池は、上記の正極と負極を含む電極群および電解質を、容器に収容した状態で用いられる。電極群は、正極と負極とを、これらの間にセパレータを介在させて積層または捲回することにより形成される。
図1は、電池ケースの一部を切り欠いた溶融塩電池の斜視図であり、図2は、図1の電池を、I1−I1線を含み且つY軸に垂直な平面により切断したときの矢視断面図である。
溶融塩電池10は、積層型の電極群12、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の容器を具備する。容器は、上部が開口した有底のケース14と、上部開口を塞ぐ封口板16とで構成されている。溶融塩電池10を組み立てる際には、まず、電極群12が構成され、容器のケース14に挿入される。その後、ケース14に電解質を注液し、電極群12の空隙に電解質を含浸させる工程が行われる。
封口板16の一方側寄りには、封口板16を貫通する外部正極端子40が設けられ、封口板16の他方側寄りの位置には、封口板16を貫通する外部負極端子42が設けられている。封口板16の中央には、容器の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁44が設けられている。
積層型の電極群12は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極18と複数の負極20およびこれらの間に介在する複数のセパレータ21により構成されている。図2では、セパレータ21は、正極18を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極18と複数の負極20は、電極群12内で積層方向に交互に配置される。
各正極18の一端部には、正極リード片26を形成してもよい。複数の正極18の正極リード片26を束ねるとともに、容器の封口板16に設けられた外部正極端子40に接続することにより、複数の正極18が並列に接続される。同様に、各負極20の一端部には、負極リード片28を形成してもよい。複数の負極20の負極リード片28を束ねるとともに、容器の封口板16に設けられた外部負極端子42に接続することにより、複数の負極20が並列に接続される。正極リード片26の束と負極リード片28の束は、互いの接触を避けるように、電極群12の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子40および外部負極端子42は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。それらの螺子溝にナットを締め込むことで、封口板16に外部正極端子40および外部負極端子42が固定される。
以下、図1に示した溶融塩電池の製造方法を詳しく説明する。
まず、正極18、負極20、および正極18と負極20との間に介在するセパレータ21を含む電極群12を準備する(第1工程)。第1工程においては、例えば、袋状のセパレータ21に収納された複数の正極18と、複数の負極20とを交互に積層することで電極群12が構成され、準備される。
容器に収容する前の電極群においては、乾燥処理により、正極、負極およびセパレータから、ある程度の水分を除去しておくことが望ましい。ただし、乾燥処理では、部材に含まれている水分量が少ないほど、水分量を更に低減するのに要する時間と消費エネルギ量は大きくなる。一方、本実施形態では、電池の製造工程の最終段階で、電解質に含まれる水分を効率よく除去することができる。よって、本実施形態では、短時間かつ少ない消費エネルギ量の乾燥処理を実行するだけでよい。
乾燥処理では、正極18に含まれる水分量を質量比で300ppm以下、負極20に含まれる水分量を質量比で400ppm以下、セパレータに含まれる水分量を質量比で350ppm以下に低減しておくことが望ましい。一方、本実施形態では、より多く(例えば400〜1000ppm)の水分を含む正極、負極およびセパレータを用いてもよい。
次に、溶融塩を80質量%以上含む電解質(溶融塩電解質)を準備する(第2工程)。このとき、電解質に含まれる水分量Weは、質量比で50ppm以下に低減しておくことが好ましいが、本実施形態では、より多く(例えば400〜1000ppm)の水分を含む電解質を用いてもよい。
次に、電極群12と電解質とを収容するための容器を準備する(第3工程)。本実施形態では、上記容器を構成するケース14と封口板16とが準備される。次に、容器に電極群12と電解質とを収容し、電極群12に電解質を含浸させる(第4工程)。
第4工程においては、電極群12がケース14に挿入され、その後、ケース14の開口部に封口板16が装着される。封口板16は、その周縁部をケース14の開口部に溶接することでケース14の開口部に装着することができる。その後、注液孔を介して、ケース14の内部に電解質を注液する(注液処理)。つまり、この段階では、封口板の注液孔が開いており、容器は密閉されていない。
次に、容器に挿入された電極群12に電解質を含浸させる(含浸処理)。ケース14の内部に注液された電解質は、注液を開始した直後から電極群に浸み込み始める。したがって、含浸処理の少なくとも一部は、注液処理と重なる。含浸処理は、電解質を容器に注液した後、単に放置するだけでも実行することができる。ただし、溶融塩電池の生産性を向上させるために、含浸処理においても、減圧処理や加圧処理を実行してもよい。その場合には、第4工程は、内部圧力を制御できる圧力チャンバ内で行うことが好ましい。
第4工程の後、電解質を含浸させた電極群(発電要素)を、少なくとも1回予備充電することで、電解質中の水分量Weが低減される(第5工程)。第5工程も、圧力チャンバ内で引き続き実行することができる。このとき、圧力チャンバ内を、大気圧(P0)よりも差圧Pxだけ低い圧力(P0−|Px|)の雰囲気とした状態で予備充電する。
予備充電では、発電要素を、少なくともSOCが50%を超えるまで予備充電することが好ましい。これにより、残留水分が関与する副反応が十分に進行し、発生したガスは容器外部に効果的に排出される。その結果、電解質に含まれる水分を300ppm以下、更には200ppm以下にまで迅速に低減することができる。電解質に含まれる水分量Weを200ppm以下まで低減することにより、内部短絡の発生を抑制する効果が顕著となり、より優れたサイクル特性を達成することができる。
本実施形態によれば、予め電極群に含まれる水分を厳密に低減しない場合でも、予備充放電を複数回繰り返すことにより、電解質に含まれる水分を300ppm以下、更には200ppm以下にまで容易に低減することができる。残留水分は、正極、負極およびセパレータから電解質中に移動するため、電解質中の水分を300ppm以下、更には200ppm以下にまで低減することで、電極群に含まれていた水分も十分に除去される。
第5工程では、充電機構39により、例えば定電流充電により充電電圧が所定の電圧VCに達するまで電極群を充電すればよい。その後、上記電圧VCによる定電圧充電に切り替えて、充電電流が所定値に低下するまで充電してもよい。
第5工程では、上記の手順で充電された電極群を放電させてもよい。そして、放電された電極群を上記と同様の手順で再び充電してもよい。予備充電および予備放電の回数は、電極群や電解質に残留する水分に応じて決定すればよい。電極群を放電させるとき、SOCが0%(完全放電状態)か、それに近い状態まで放電させることが好ましい。これにより、複数回の予備充放電が要求される場合にも、その回数を可能な限り少なくすることができる。
予備充電は、少なくともセパレータに電解質が十分に含浸された状態で行うことが好ましい。このため、製造中の電池に対して、セパレータに十分に電解質が含浸されているか否かを検査する検査工程を実行してもよい。
上述の通り、SOCが0%である状態は、溶融塩電池の放電終止電圧まで放電した状態(つまり、完全放電状態)を意味する。SOCが100%である状態は、溶融塩電池の充電終止電圧まで充電した状態(つまり、満充電状態)を意味する。放電終止電圧および充電終止電圧は、溶融塩電池についてメーカーにより設定される電池特性の1つである。
放電終止電圧は、例えば1.0〜2.5Vの範囲から設定される。充電終止電圧は、例えば3.0〜4.5Vの範囲から設定される。ナトリウム溶融塩電池の場合、通常、設定された放電終止電圧よりも低い電圧まで放電されないように、また、設定された充電終止電圧よりも高い電圧まで充電されないように、電池が搭載される機器などが具備する制御回路によって制御される。
すなわち、溶融塩電池の充電および放電は、通常、溶融塩電池を含む充放電システムにおいて、充電制御ユニットおよび放電制御ユニットにより制御される。放電制御ユニットは、溶融塩電池から供給される電力を消費する負荷機器を含んでもよい。
図3に、圧力チャンバと、注液機構と、充電機構とを含む製造装置の一例を模式的に示す。図示例の装置は、圧力チャンバ32と、注液ヘッド38と、圧力チャンバ32内の圧力(以下、チャンバ内圧Pという)を減圧する減圧機構36Aと、チャンバ内圧Pを加圧する増圧機構36Bと、制御装置46とを含んでいる。制御装置46には、チャンバ内圧Pを、例えば大気圧を基準に測定するための圧力センサ50が接続されている。
注液ヘッド38は、制御装置46により制御される図示しない移動機構により、水平方向および上下方向に移動される。注液ヘッド38は、ケース14に電解質を注液するための注液ノズル38aを有するとともに、電解質を貯留する電解質タンク(図示せず)と、例えばフレキシブルチューブ38bを介して接続されている。注液ヘッド38は、電解質タンクから送られてくる電解質を制御装置46により指示された量だけ注液ノズル38aによりケース14に注液する。
ここで、注液ヘッド38には、電解質タンクから送られてくる電解質を加熱するためのヒータ(図示せず)を設けることができる。これにより、電解質の温度を好ましい温度に設定することが容易になる。よって、溶融塩電解質の粘度を低下させて、電極群12への含浸を促進することができる。あるいは、電解質タンクと注液ヘッド38との間に、図示しない加熱装置を配設し、これにより電解質を加熱することもできる。
製造装置には、予備充電および/または予備放電中の電極群および電解質の温度を所定温度(THx)に維持するための加熱機構52(例えばヒータ)を設けることができる。このような加熱機構は、電池10の載置台に設けることもできる。あるいは、電池10の容器にヒータが付属される場合には、そのヒータにより電極群および電解質を加熱することもできる。
減圧機構36Aは、例えば真空ポンプ等の第1気体用ポンプと第1制御弁とから構成することができる。チャンバ内圧Pは、制御装置46により制御される減圧機構36Aにより負圧となるように減圧される。増圧機構36Bは、例えば高圧の増圧用ガス(ドライエア、窒素ガス等の不活性ガス)を貯留する増圧用ガスタンクと、第2気体用ポンプと、第2制御弁とから構成することができる。制御装置46は、圧力センサ50の検出結果に基づいて、チャンバ内圧Pが所望圧力となるように増圧機構36Bの第2制御弁を制御する。なお、第2気体用ポンプは、増圧用ガスタンクからの増圧用ガスを、チャンバ内圧Pが大気圧と同等、またはより高い圧力になるまで、圧力チャンバ32に送ることができる。
注液ヘッド38によりケース14内に注入された電解質は、ケース14内で電極群12の上や、電極群12とケース14側壁との隙間にある空間(以下、注液溜空間14aという)に一時的に溜まる。注液溜空間14aの体積が、必要とされる電解質の全体積よりも小さい場合等には、電解質を何回かに分けて注液する。
図4は、ナトリウム溶融塩電池を包含する充放電システムを概略的に示す構成図である。
充放電システム200は、ナトリウム溶融塩電池201と、ナトリウム溶融塩電池201の充放電を制御する充放電制御ユニット202と、ナトリウム溶融塩電池201から供給される電力を消費する負荷機器203とを含む。充放電制御ユニット202は、ナトリウム溶融塩電池201を充電する際の電流および/または電圧などを制御する充電制御ユニット202aと、ナトリウム溶融塩電池201を放電する際の電流および/または電圧などを制御する放電制御ユニット202bとを含む。充電制御ユニット202aは、外部電源204およびナトリウム溶融塩電池201と接続しており、放電制御ユニット202bは、ナトリウム溶融塩電池201と接続している。ナトリウム溶融塩電池201には、負荷機器203が接続している。
次に、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
《実施例1》
(正極の作製)
平均粒子径10μmのNaCrO2(正極活物質)85質量部、アセチレンブラック(導電剤)10質量部およびポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、正極ペーストを調製した。得られた正極ペーストを、アルミニウム箔(厚さ20μm)の両面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、両面に厚さ80μmの正極活物質層を有する総厚180μmの正極を作製した。
正極をサイズ100×100mmの矩形に裁断し、10枚の正極を準備した。ただし、正極の一辺の一方側端部には、集電用のリード片を形成した。10枚中の2枚の正極は、片面のみに正極活物質層を有する電極とした。
(負極の作製)
ハードカーボン(負極活物質、HC)95質量部およびポリアミドイミド(結着剤)5質量部を、NMPに分散させて、負極合剤ペーストを調製した。得られた負極合剤ペーストを、アルミニウム箔(厚さ20μm)の両面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、両面に厚さ65μmの負極活物質層を有する総厚150μmの負極を作製した。
負極をサイズ105×105mmの矩形に裁断し、9枚の負極を準備した。ただし、負極の一辺の一方側端部には、集電用のリード片を形成した。
(セパレータ)
厚さ50μmのシリカ含有ポリオレフィン製のセパレータ(空隙率は70%)を準備した。セパレータは、サイズ110×110mmに裁断し、21枚のセパレータを準備した。
(電解質)
ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)と1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(Py13FSA)とのモル比30:70の混合物100%からなる電解質を調製した。
(溶融塩電池の組み立て)
正極と負極との間に、セパレータを介在させて、正極リード片同士および負極リード片同士が重なり、かつ正極リード片の束と負極リード片の束とが左右対象な位置に配置されるように積層し、電極群を作製した。電極群の両方の端部には、片面のみに正極活物質層を有する正極を配置した。その後、電極群の外側にセパレータを捲き付け、アルミニウム製の電池ケースに収容した。次に、封口板でケースの開口を塞いだ。
なお、電池ケースに収容する前の正極および負極は十分に乾燥させた。セパレータは乾燥を省略した。各部材の水分量を以下に示す。
正極:100ppm
負極:100ppm
電解質:100ppm
セパレータ:1000ppm
(水分量の測定)
上記各部材の水分量は、電池を組み立てる直前に、個別に測定した。ここでは、水分量測定装置(京都電子工業(株)製のMKC−610)を用いてカールフィッシャー法(電量滴定法)により水分量を測定した。各測定試料の重量は3gとした。
次に、図3に示す製造装置を用いて、封口板に設けられた注液孔から電解質をケース内に注液した。その際、圧力チャンバ内を減圧し、その後、増圧する操作を繰り返した。その後、電極群に含まれるセパレータにまで十分に電解質が含浸されるまで放置した。
次に、以下の条件で、電解質を十分に含浸させた電極群を、SOC100%まで1回だけ予備充電した。
圧力チャンバ内のゲージ圧Px:−0.1MPa
予備充電のときの電極群および電解質の温度THx:60℃
予備充電の定電流充電:0.1It
予備充電の定電圧充電の終止電流:0.05It
充電深度:100%
予備充電の終了後、封口板の注液孔を塞ぎ、密閉型の溶融塩電池を完成させた。この溶融塩電池を電池X1とする。
[評価(充放電サイクル試験)]
電池X1は、複数個作製しておき、充放電サイクル試験の直前に、1つの電池X1を分解して、電解質を取り出し、電解質の水分量Weを測定した。その結果、電解質に含まれる水分量Weは200ppmであった。次に、別の溶融塩電池を恒温室内で90℃に維持し、時間率0.2Itの電流値で2.5〜3.5Vの範囲で定電流充放電を繰り返した。
図5に、電池X1の50サイクル目までの充放電曲線を実線により示す。電池X1は、充放電が50サイクルに達したときにも内部短絡が見られず、良好な充放電特性が得られた。電池X1の正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は97mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は94mAh/gであった。
《実施例2》
温度THxを40℃に設定したこと以外、実施例1と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池X2)、同様に評価した。その結果、電池X2で、電解質に含まれる水分量Weは300ppmであった。正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は90mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は87mAh/gであった。電池X2は、電池X1と比較すると、容量が若干低下している。このことは、電池X2の不可逆容量が電池X1よりも若干大きくなっていることを示している。しかしながら、電池X2においても、50サイクルを経た後でも内部短絡が見られず、良好な充放電特性が得られている。
《実施例3》
予備充電を2回実行したこと以外、実施例1と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池X3)、同様に評価した。2回目の予備充電は、電池X3を完全放電状態まで放電(放電電流:0.1It、放電終止電圧:2.5V)した後、1回目の予備充電と同じ条件で実行した。その結果、電池X3で、電解質に含まれる水分量Weは50ppmであった。正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は100mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は98mAh/gであった。電池X3では、予備充電を2回行うことで、予備充電を1回だけ行う場合よりも、より一層水分量を低減することができた。これにより、50サイクルを経た後でも内部短絡が見られないのはもちろんのこと、電池X1に比べても、さらに良好な充放電特性が得られた。図6に、電池X3の50サイクル目の充放電曲線を示す。
《実施例4》
アルミニウム箔(厚さ20μm)の両面に亜鉛(Zn)のメッキを施した負極(メッキ層の厚み120nm(ナノメートル))を用いたこと以外、実施例1と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池X4)、同様に評価した。その結果、電池X4で、電解質に含まれる水分量Weは150ppmであった。正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は123mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は115mAh/gであった。電池X4も、50サイクルを経た後でも、内部短絡が見られず、良好な充放電特性が得られた。図7に、電池X4の50サイクル目の充放電曲線を示す。
《実施例5》
温度THxを40℃に設定したこと以外、実施例4と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池X5)、同様に評価した。その結果、電池X5で、電解質に含まれる水分量Weは250ppmであった。正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は115mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は102mAh/gであった。電池X5は、電池X4と比較すると、容量が若干低下している。このことは、電池X2の容量が電池X1の容量よりも若干低下していたのと同様の理由によるものと思われる。しかしながら、電池X5においても、50サイクルを経た後でも内部短絡が見られず、良好な充放電特性が得られている。
《実施例6》
実施例3と同様の条件で予備充電を2回実行したこと以外、実施例4と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池X6)、同様に評価した。その結果、電池X6で、電解質に含まれる水分量Weは50ppmであった。正極活物質1gあたりの10サイクル目の放電容量密度は120mAh/gであり、50サイクル目の放電容量密度は112mAh/gであった。電池X6では、予備充電を2回行うことで、予備充電を1回だけ行う場合(例えば電池X4)よりも、より一層水分量を低減することができた。これにより、50サイクルを経た後でも内部短絡が見られなかった。また、電池X4と同等の良好な充放電特性が得られた。
《比較例1》
予備充電の際、圧力チャンバ内を大気圧と同じにした(減圧なし)こと以外、実施例1と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池Y1)、同様に評価した。図5に、電池Y1の50サイクル目までの充放電曲線を破線により示す。同図に示すように、電池Y1では、50サイクル目においても内部短絡は発生していないものの、電池X1と比較すると容量が顕著に減少している。
《比較例2》
予備充電の際、圧力チャンバ内を大気圧と同じにした(減圧なし)こと以外、実施例4と同様に、溶融塩電池を組み立て(電池Y2)、同様に評価した。電解質の水分量Weを測定したところ、380ppmであった。
電池Y2では、一部の電池で3サイクル目に内部短絡が発生した。図8に電池Y2の3サイクル目の充放電曲線を示す。その電池を分解し、正極と負極との間のセパレータの状態を確認したところ、複数個所でセパレータを貫くように、ナトリウムのデンドライトが成長していることが判明した。
以上の結果を、下記表1に示す。
Figure 2017107638
以上の実施例により、本発明の溶融塩電池の製造方法によれば、溶融塩電池の電解質中の水分量を効果的に低減できることが確かめられた。その結果、内部短絡の発生頻度が低減され、良好な充放電特性が得られことが確かめられた。
本発明は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置、電気自動車またはハイブリッド自動車の電源として用いられる溶融塩電池において有用である。
10…溶融塩電池、12…電極群、14…ケース、14a…注液溜空間、16…封口板、18…正極、20…負極、21…セパレータ、26…正極リード片、28…負極リード片、32…圧力チャンバ、36A…減圧機構、36B…増圧機構、38…注液ヘッド、38a…注液ノズル、38b…フレキシブルチューブ、39…充電機構、40…外部正極端子、42…外部負極端子、44…安全弁、46…制御装置、50…圧力センサ、52…加熱機構、200…充放電システム、201…ナトリウム溶融塩電池、202…充放電制御ユニット、202a…充電制御ユニット、202b…放電制御ユニット、203…負荷機器、204…外部電源

Claims (5)

  1. (a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、
    (b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも低圧の雰囲気に暴露した状態で、前記電解質に含まれる水分量が質量比で300ppm以下になるまで、充電および/または放電する工程と、
    (c)前記工程(b)が終了した後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を具備する、溶融塩電池の製造方法。
  2. 前記工程(b)で、前記電解質が含浸された前記電極群の温度を、40℃以上、且つ前記電解質の蒸気圧を前記雰囲気の圧力未満とする温度THxに設定して、前記電極群を充電および/または放電する、請求項1に記載の溶融塩電池の製造方法。
  3. 前記工程(b)で、前記雰囲気と大気圧との差圧Pxを、−0.05MPa≦Px≦−0.1MPaに設定する、請求項1または2に記載の溶融塩電池の製造方法。
  4. 前記工程(b)で、前記電解質が含浸された前記電極群を、少なくとも1回、50%を超える充電状態にまで充電する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融塩電池の製造方法。
  5. 電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、前記電極群および前記電解質を収容する容器と、を具備し、
    前記溶融塩が、カチオンとアニオンとを含み、
    前記カチオンは、ナトリウムイオンと有機カチオンとを含み、
    前記アニオンは、スルホニルアミドイオンを含み、
    前記スルホニルアミドイオンは、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表され、
    前記カチオンに占める前記ナトリウムイオンのモル比が、10モル%〜50モル%であり、
    前記電解質に含まれる水分量が、質量比で300ppm以下である、溶融塩電池。
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