JP2017106135A - 立体網状繊維集合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動減衰性および減音性に十分に優れた立体網状繊維集合体を提供すること。【解決手段】−30〜+30℃のガラス転移温度を有するポリマーを含む繊維からなり、多数の該繊維がランダムまたは螺旋状の方向性で接触点にて互いに結合している立体網状繊維集合体。【選択図】なし

Description

本発明は、立体網状繊維集合体、特に振動減衰および/または減音のための立体網状繊維集合体に関する。
従来より、高速道路および鉄道などの高架橋および当該高架橋を支える橋脚には、近隣住民への振動および騒音を抑えるために、振動減衰材および減音材として、ポリウレタンフォームが貼り付けられている。
一方、繊維のランダムループを有する連続線状体を、特定のポリオレフィンから構成される特定繊度の繊維から製造することにより、当該連続線状体の耐久性およびクッション性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2006−200118号公報
しかしながら、ポリウレタンフォームから構成される従来の振動減衰材および減音材を用いても、十分な振動減衰性および減音性を得ることはできなかった。またポリウレタンフォームは微小なセル構造を有し、通気性が悪いため、降雨により、振動減衰性、減音性および材料強度等の各種特性が劣化するという新たな問題も生じた。
そこで、上記特許文献1の連続線状体を振動減衰材および減音材として用いても、振動減衰性も減音性もやはり十分に得ることはできなかった。
本発明は、振動減衰性および減音性に十分に優れた立体網状繊維集合体を提供することを目的とする。
本発明は、−30〜+30℃のガラス転移温度を有するポリマーを含む繊維からなり、多数の該繊維がランダムまたは螺旋状の方向性で接触点にて互いに結合している立体網状繊維集合体に関する。
本発明の立体網状繊維集合体は、振動減衰性および減音性に十分に優れている。
本発明の立体網状繊維集合体は立体網状構造を有し、通気性が極めて良好なため、降雨などの湿気によっても、振動減衰性、減音性および材料強度等の各種特性はほとんど低下することなく十分に維持される。
本発明の立体網状繊維集合体を高架橋のジョイント部の隙間に挟み込む方法の一例を説明するための概略見取り図である。 減音性の評価に際して使用される音の測定装置の概略見取り図である。
[立体網状繊維集合体]
本発明の立体網状繊維集合体は、特定のガラス転移温度を有するポリマー(以下、単に「ポリマーP1」ということがある)を含む繊維(以下、単に「繊維F1」ということがある)からなる。
ポリマーP1のガラス転移温度は−30〜+30℃であり、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点からは、好ましくは−30〜+25℃である。ポリマーP1のガラス転移温度が低すぎたり、または高すぎたりすると、振動減衰性および減音性、特に減音性、が低下する。
ここで従来技術における当業者の認識について説明しておく。従来においては、振動減衰材および/または減音材(特に減音材)としてポリウレタンフォームがよく使用されており、ポリウレタンフォームは微小なセル構造を有するため、ポリウレタンフォームほど十分な振動減衰効果および減音効果を発揮するものはないであろう、というのが当業者の認識であった。ましてや、本発明の立体網状繊維集合体が有するような網状では、通気が良好な分だけ、減音は困難であろう、ということも当業者の認識であった。本発明は、特定のポリマーを含み、かつ網状を有する立体網状繊維集合体が、ポリウレタンフォーム、当該特定のポリマーを含まない立体網状繊維集合体および当該特定のポリマーを含むシート状のものよりも振動減衰性および減音性(特に減音性)が優れる、という予期せぬ結果が得られたことに基づくものである。
本明細書中、ガラス転移温度はJIS K 7121に準拠して測定することができる。
ポリマーP1は上記ガラス転移温度を有する限り、エラストマーであっても、または非エラストマーであってもよく、これらの群から選択される1種以上のポリマーであればよい。エラストマーとは、弾性を有しつつ、後述するMFR(メルトフローレート)が達成される程度の高分子量を有するポリマーのことである。ここで弾性とは、例えば当該エラストマーから溶融紡糸して形成された0.5mm直径×50mm長の非発泡体を室温(25℃)で外力により原長の1.5倍以上に引き伸ばすことができるが、外力を除去すると原長まで戻ることができる程度の弾性のことである。非エラストマーとは、上記弾性は有さないが、後述するMFR(メルトフローレート)が達成される程度の高分子量を有するポリマーのことである。
ポリマーP1として使用可能なエラストマー(以下、単に「エラストマーA」ということがある)は、いわゆる熱可塑性エラストマーのことであり、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー、、ウレタン系エラストマー、ビニルシクロアルカン系エラストマーおよびビニルシクロアルケン系エラストマーからなる群から選択される1種以上のエラストマーである。振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点からは、スチレン系エラストマーおよび/またはオレフィン系エラストマー、特にスチレン系エラストマーが好ましい。
スチレン系エラストマーは、スチレンと特定の不飽和モノマーとからなる、少なくとも2ブロックの共重合体である。不飽和モノマーは炭素原子数2〜5の鎖式不飽和炭化水素であってよく、例えば、鎖式ジエンおよび鎖式オレフィンが挙げられる。鎖式ジエンは炭素原子数3〜5、特に4〜5、の鎖式ジエンが好ましく、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、シス−1,3−ペンタジエン、トランス−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエンまたはこれらの混合物等が挙げられる。鎖式オレフィンは炭素原子数2〜5、特に3〜5の鎖式オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンまたはこれらの混合物等が挙げられる。
スチレン系エラストマーが少なくとも3ブロックの共重合体である場合、少なくとも1つのブロックがポリスチレンである限り、残りの2以上のブロックはそれぞれ独立して、前記した不飽和モノマーからなる群から選択されるモノマーからなっていてもよい。スチレン系エラストマーが少なくとも3ブロック(特に3ブロック)の共重合体である場合、当該スチレン系エラストマーは、両端の2個のブロック(ハードブロック)はポリスチレンであり、内部ブロック(一つ又は複数のソフトブロック)はポリジエン、水素化ポリジエン、ポリオレフィンまたはこれらの混合物からなるものであることが好ましい。ここでポリジエンおよび水素化ポリジエンを構成するジエンは上記鎖式ジエンから選択される1種以上のジエンである。ポリオレフィンを構成するオレフィンは上記鎖式オレフィンから選択される1種以上のオレフィンである。
スチレン系エラストマーが2ブロックの共重合体である場合、当該スチレン系エラストマーは、一方のブロックはポリスチレンであり、他方のブロックはポリジエン、水素化ポリジエン、ポリオレフィンまたはこれらの混合物からなるものである。ここでポリジエンおよび水素化ポリジエンを構成するジエンは上記鎖式ジエンから選択される1種以上のジエンである。ポリオレフィンを構成するオレフィンは上記鎖式オレフィンから選択される1種以上のオレフィンである。
好ましいスチレン系エラストマーは、スチレンと、イソプレン、ブタジエンまたはイソブチレンとからなる、少なくとも2ブロック(特に2〜3ブロック、好ましくは3ブロック)の共重合体である。特に好ましいスチレン系エラストマーが3ブロックの共重合体である場合、当該スチレン系エラストマーは、両端の2個のブロック(ハードブロック)はポリスチレンであり、内部ブロック(一つ又は複数のソフトブロック)はポリイソプレン、水素化ポリイソプレン、ポリブタジエン、水素化ポリブタジエンまたはポリイソブチレンからなるものである。好ましいスチレン系エラストマーが2ブロックの共重合体である場合、当該スチレン系エラストマーは、一方のブロックはポリスチレンであり、他方のブロックはポリイソプレン、水素化ポリイソプレン、ポリブタジエン、水素化ポリブタジエンまたはポリイソブチレンからなるものである。
オレフィン系エラストマーは、ポリオレフィンと通常のゴムとのブレンドからなり、かつ、ブレンド物のゴム相は架橋点がないか又はほとんどないものである。
アミド系エラストマーは、ハードブロックがアミド結合から、ソフトブロックがエーテル及び/又はエステル結合からできており、かつ、交互にハードブロック及びソフトブロックからなるブロック共重合体で構成されるものである。
エステル系エラストマーは、主鎖のハードブロックはエステル結合から、ソフトブロックはエーテル及び/又はエステル結合からできており、かつ、交互にハードブロック及びソフトブロックからなるブロック共重合体で構成されるものである。
ウレタン系エラストマーは、ハードブロックはウレタン結合から、ソフトブロックはエーテル、エステル又はカーボネート結合、若しくはそれらの混合からできており、かつ、交互にハードブロック及びソフトブロックからなるブロック共重合体で構成されるものである。
ビニルシクロアルカン系エラストマーは、ビニルシクロアルカンを構成モノマーとして含む重合体であり、例えばビニルシクロアルカンの単独重合体であってもよいし、またはビニルシクロアルカンと特定の不飽和モノマーとからなるブロックまたはランダム共重合体であってもよい。ビニルシクロアルカンは、炭素原子数3〜10、特に3〜6、のシクロアルカンの炭素環を構成する炭素原子が有する水素原子がビニル基で置換された化合物である。ビニルシクロアルカンの具体例として、例えば、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンが挙げられる。ビニルシクロアルカン系エラストマーを構成し得る不飽和モノマーは、スチレン系エラストマーを構成し得る不飽和モノマーとして説明した化合物と同様の化合物から選択される1以上の不飽和モノマーであってもよい。
ビニルシクロアルケン系エラストマーは、ビニルシクロアルケンを構成モノマーとして含む重合体であり、例えばビニルシクロアルケンの単独重合体であってもよいし、またはビニルシクロアルケンと特定の不飽和モノマーとからなるブロックまたはランダム共重合体であってもよい。ビニルシクロアルケンは、炭素原子数3〜10、特に3〜6、のシクロアルケンの炭素環を構成する炭素原子が有する水素原子がビニル基で置換された化合物である。ビニルシクロアルケンの具体例として、例えば、ビニルシクロプロペン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセンが挙げられる。ビニルシクロアルケン系エラストマーを構成し得る不飽和モノマーは、スチレン系エラストマーを構成し得る不飽和モノマーとして説明した化合物と同様の化合物から選択される1以上の不飽和モノマーであってもよい。
エラストマーAのガラス転移温度は、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点からは、好ましくは−20〜+20℃であり、より好ましくは−15〜+20℃である。
エラストマーAの分子量は、以下の少なくとも一方のMFRが達成される程度の分子量であればよい:
・190℃および2.16kgでのMFRは通常、1〜40g/10分、特に2〜20g/10分である;
・230℃および2.16kgでのMFRは通常、2〜55g/10分、特に2.5〜52g/10分である。
190℃および2.16kgでのMFRはJIS K 7210に準拠して測定することができる。
230℃および2.16kgでのMFRは、当該測定温度および当該荷重を用いること以外、上記MFRと同様のJIS K 7210に準拠して測定することができる。
エラストマーAとして、好ましいスチレン系エラストマーは、例えば、ハイブラ5127(クラレ社製)、ハイブラ5125(クラレ社製)、S.O.E S1605(旭化成社製)、S.O.E L606(旭化成社製)等の市販品として入手可能である。
オレフィン系エラストマーは、例えば、例えば、サーモラン3855N(三菱化学社製)、エスポレックス3255ブラック(住友化学社製)等の市販品として入手可能である。
アミド系エラストマーは、例えば、UBESTA XPA 9055F1(宇部興産社製)、Pebax(ARKEMA社製)等の市販品として入手可能である
エステル系エラストマーは、例えば、プリマロイA1900(登録商標)(三菱化学社製)、ペルプレンP−90BD(登録商標)(東洋紡社製)等の市販品として入手可能である
ウレタン系エラストマーは、例えば、エラストラン(登録商標)(BASF社製)等の市販品として入手可能である
ポリマーP1として使用可能な非エラストマー(以下、単に「非エラストマーB」ということがある)は、熱可塑性を有する、オレフィン系モノマーの単独重合体またはランダム共重合体である。非エラストマーBにモノマー成分として含まれるオレフィン系モノマーは、例えば、炭素原子数2〜10のα−オレフィンであり、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンからなる群から選択される1種以上である。オレフィン系モノマーは、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、エチレン、プロピレンおよび1−ブテンからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
非エラストマーBは、プロピレンを主成分とする単独重合体またはランダム共重合体であることが好ましく、詳しくはポリプロピレンまたはプロピレンを主成分とするランダム共重合体が好ましい。その中でも、非エラストマーBとしては、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点から、プロピレンを主成分とするランダム共重合体が好ましい。なお、ここでいう「プロピレンを主成分とする」とは、非エラストマーBの全モノマー100モル%に対して、少なくとも51モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらにより好ましくは90モル%以上のプロピレンを構造単位として含んでなることを意味する。プロピレンを主成分とするランダム共重合体は、その全モノマー100モル%に対して、典型的には95モル%以下、好ましくは93モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下、特に好ましくは80モル%以下のプロピレンを構造単位として含んでなる。プロピレンを主成分とするランダム共重合体は、その全モノマー100モル%に対して、典型的には51〜95モル%、好ましくは60〜90モル%、より好ましくは70〜80モル%のプロピレンを構造単位として含んでなる。プロピレンを主成分とするランダム共重合体におけるプロピレン単位が上記範囲内であると、立体網状繊維集合体は振動減衰性および減音性により優れる。プロピレンを主成分とするランダム共重合体を構成するプロピレン以外のモノマーは、プロピレン以外の上記α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはエチレンおよび1−ブテンからなる群から選択される1種以上であり、さらに好ましくはエチレンである。なお、本発明において、重合体のモル比率は、重合体を製造する際のモノマーの仕込み比、または赤外分光分析法(IR)もしくは核磁気共鳴分光法(NMR)に基づいて決定することができ、重合体を構成する全モノマー数を100モル%とした場合における、対象とするモノマーのモル比率を表す。
非エラストマーBの具体例として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体等が挙げられる。好ましい非エラストマーBは、ポリプロピレンおよびプロピレン・エチレンランダム共重合体である。非エラストマーBはメタロセン化合物を含む触媒系を用いて重合することにより得ることができる。
非エラストマーBのガラス転移温度は、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点からは、好ましくは−30〜+10℃であり、より好ましくは−30〜+5℃であり、さらに好ましくは−30〜+1℃である。
非エラストマーBの分子量は、以下の少なくとも一方のMFRが達成される程度の分子量であればよい:
・190℃および2.16kgでのMFRは通常、1〜40g/10分、特に2〜30g/10分である;
・230℃および2.16kgでのMFRは通常、2〜55g/10分、特に4〜35g/10分である。
非エラストマーBとしてのポリエチレンは、例えば、カーネルKS571(日本ポリエチレン社製)、ハーモレックスNH845N(日本ポリエチレン社製)、エボリューSP0540(プライムポリマー社製)等の市販品として入手可能である。
非エラストマーBとしてのポリプロピレンは、ノバテックMA2(日本ポリプロ社製)、プライムポリプロJ226T(プライムポリマー社製)等の市販品として入手可能である。
非エラストマーBとしてのプロピレン・エチレンランダム共重合体は、WELNEX STR0729(日本ポリプロ社製)、WELNEX STR0730(日本ポリプロ社製)、タフマーPN−2060(三井化学社製)、タフマーPN−3560(三井化学社製)等の市販品として入手可能である。
ポリマーP1は、エラストマーAまたは非エラストマーBのいずれの場合においても、通常、以下のショアA硬度またはショアD硬度の少なくとも一方の硬度を有している:
・ショアA硬度は通常、10〜95度であり、好ましくは15〜92度、より好ましくは15〜90度である。
・ショアD硬度は通常、1〜60度であり、好ましくは1〜50度、より好ましくは1〜30度である。
最も好ましいポリマーP1は、15〜90度、特に50〜90度、のショアA硬度を有する。
ショアA硬度およびショアD硬度はISO 7619に準拠して測定することができる。本発明においてショアA硬度の有効測定範囲は1〜95度としている。1度未満および95度超のショアA硬度は、測定方法より、有意ではないものと考えられるためである。
繊維F1におけるポリマーP1の含有量は繊維F1の全量に対して、通常は20〜100重量%であり、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点から好ましくは40〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%、最も好ましくは80〜100重量%である。さらにコストおよび取扱い性を加味した観点からは、繊維F1におけるポリマーP1の含有量は繊維F1の全量に対して、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。
繊維F1は、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点から、ポリマーP1として、少なくとも1種のエラストマーA(特にスチレン系エラストマー)を含むことが好ましい。このとき、繊維F1におけるエラストマーA(特にスチレン系エラストマー)の含有量は繊維F1の全量に対して、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%である。さらにコストおよび取扱い性を加味した観点からは、繊維F1におけるエラストマーA(特にスチレン系エラストマー)の含有量は繊維F1の全量に対して、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜70重量%である。繊維F1が2種以上のエラストマーAを含む場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
繊維F1は、上記ポリマーP1以外に、−30℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(以下、単に「ポリマーP2」ということがある)および/または30℃超のガラス転移温度を有するポリマー(以下、単に「ポリマーP3」ということがある)、特にポリマーP2、をさらに含んでもよい。
ポリマーP2のガラス転移温度は通常、−150〜−35℃であり、好ましくは−140〜−40℃、より好ましくは−130〜−45℃である。
ポリマーP2は、ガラス転移温度が上記範囲内であること、および以下の少なくとも一方のMFRが達成される程度の分子量を有すること以外、ポリマーP1と同様であり、例えば、ポリマーP1の説明で例示した同様の種類のエラストマーおよび非エラストマーから選択されてよい。ポリマーP2は、コストの観点から、ポリマーP1の説明で例示した同様の種類の非エラストマーから選択されることが好ましい。
・190℃および2.16kgでのMFRは通常、1〜40g/10分、特に2〜30g/10分である;
・230℃および2.16kgでのMFRは通常、2〜55g/10分、特に2.5〜40g/10分である。
ポリマーP3のガラス転移温度は通常、31〜70℃であり、好ましくは31〜50℃である。
ポリマーP3は、ガラス転移温度が上記範囲内であること、および以下の少なくとも一方のMFRが達成される程度の分子量を有すること以外、ポリマーP1と同様であり、例えば、ポリマーP1の説明で例示した同様の種類のエラストマーおよび非エラストマーから選択されてよい。
・190℃および2.16kgでのMFRは通常、1〜40g/10分、特に2〜20g/10分である;
・230℃および2.16kgでのMFRは通常、2〜55g/10分、特に2.5〜52g/10分である。
本発明において繊維F1はポリマーP1を含むことにより、生活環境温度下において、振動減衰性および減音性が向上する。生活環境温度とは、日本におけるあらゆる室外温度および室内温度のことであり、例えば0〜+30℃の範囲内であってもよい。
好ましい実施態様においては、繊維F1が2種類以上のポリマーを含む場合、より一層、広い生活環境温度(例えば−10〜+40℃)下で優れた振動減衰性および減音性を保持する観点から、繊維F1は、ガラス転移温度が異なる2種以上のポリマーを含むことが好ましい。本実施態様においては当該2種以上のポリマーのうち、少なくとも1種のポリマーは前記ポリマーP1からなる群から選択されていればよく、残りの1種以上のポリマーはそれぞれ独立して、前記したポリマーP1、ポリマーP2およびポリマーP3からなる群から選択されている。
より好ましい実施態様においては、繊維F1に20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上で含まれるポリマーのうち、最高のガラス転移温度を有するポリマーのガラス転移温度と、最低のガラス転移温度を有するポリマーのガラス転移温度との差は、より一層、広い生活環境温度下で優れた振動減衰性および減音性を保持する観点から、5℃以上、特に5〜100℃であることが好ましく、より好ましくは10〜90℃であり、さらに好ましくは20〜80℃である。本実施態様において、最高のガラス転移温度を有するポリマーはエラストマーAからなる群から選択されていることが好ましい。一方、最低のガラス転移温度を有するポリマーは前記したエラストマーA、非エラストマーBおよびポリマー2からなる群から選択されていることが好ましく、より好ましくは非エラストマーBおよびポリマー2からなる群、さらに好ましくはポリマー2からなる群から選択されている。
繊維F1はさらに種々の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、発泡剤、着色剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤および可塑剤等が挙げられる。また繊維F1は、ガラスフィラー、カーボンフィラーのような無機または有機フィラーを含んでもよい。
本発明の立体網状繊維集合体は、多数又は複数の繊維F1が、ランダムまたは螺旋状の方向性で接触点(接触部)にて互いに結合しており、立体的な網状の構造を有するものである。繊維F1が溶融状態で互いに接触し、固化することにより、繊維同士が接触点で結合することができ、立体網状繊維集合体としての構造を強固に保持することができる。ここで、ランダムな方向性を持つとは、繊維が無秩序に曲がりくねった状態にあることをいう。また、螺旋状の方向性を持つとは、繊維が、回転しながら回転面に垂直方向に上昇した状態にあることをいう。ここで、多数又は複数の繊維とは、立体網状繊維集合体の形態を維持するために必要な数の繊維を表し、具体的には製造時に樹脂の繊維が押し出されるTダイに設けられた孔数に対応する。多数又は複数の繊維とは、例えば幅1000mm、厚み30mmの立体網状繊維集合体中において50〜1800本程度の本数の繊維が存在することを意味する。
繊維F1の繊度は、300dtex以上、好ましくは1000dtex以上であり、100000dtex以下、好ましくは80000dtex以下、より好ましくは60000dtex以下、さらに好ましくは30000dtex以下であり、典型的には繊度は300〜100000dtex、例えば300〜60000dtex、好ましくは1000〜30000dtexである。繊度が上記範囲内であると、通気性が良くなり、水にかかった場合でも蒸発し易い。
本発明の立体網状繊維集合体は、上記した繊維F1から選択される1種または2種以上の繊維F1を含む。2種以上の繊維F1とは、繊維を構成するポリマーおよび/または添加剤の種類および配合、ならびに繊度、繊維径および断面構造等の異なる2種以上の繊維F1のことである。
本発明の立体網状繊維集合体は通常、上記繊維F1のみからなるが、本発明は上記繊維F1以外の繊維(以下、単に「繊維F2」ということがある)をさらに含むことを妨げるものではない。
立体網状繊維集合体における繊維F1の含有量は立体網状繊維集合体の全量に対して、通常は30〜100重量%であり、振動減衰性および減音性のさらなる向上の観点から、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%である。
繊維F2は、ポリマーP1を含まない繊維であり、例えば、上記のポリマーP2および/またはポリマーP3のみからなる繊維である。繊維F2は、ポリマーP2および/またはポリマーP3のみからなる繊維であること以外、繊維F1と同様である。立体網状繊維集合体が繊維F1および繊維F2を含む場合、繊維F1とともに、繊維F2も溶融状態で互いに接触し、固化することにより、結合させればよい。
本発明の立体網状繊維集合体の見掛け密度は、好ましくは0.020g/cm〜0.300g/cm、より好ましくは0.025g/cm〜0.200g/cm、さらに好ましくは0.030g/cm〜0.150g/cm、さらにより好ましくは0.035g/cm〜0.130g/cm、特に好ましくは0.040g/cm〜0.120g/cmである。見掛け密度が上記範囲内であると、本発明の立体網状繊維集合体が十分な弾性を有し、さらに繊維同士の接着点が増加するため、立体網状繊維集合体の構造を強固に保持することができる。また、繊維の断面構造は特に限定されず、例えば円形構造、中空構造、異形構造であってよい。特に繊維F1はポリマーP1だけでなくポリマーP2および/またはポリマーP3も含むとき、当該繊維の断面構造は、例えば芯鞘構造、偏心芯鞘構造、サイドバイサイド構造、分割構造、海島構造であってよい。
本発明の立体網状繊維集合体の厚みは、好ましくは3mm〜150mm、より好ましくは5mm〜120mm、さらに好ましくは8mm〜80mm、さらにより好ましくは10mm〜50mmである。厚みが上記範囲内であると、立体網状繊維集合体が十分な振動減衰性および減音性を有するだけでなく、構造体として優れた強度を有し、加工性(巻き・カット性)も良好である。立体網状繊維集合体の厚みは、立体網状繊維集合体に1g/cmの圧力を付与したときの厚みのことである。
本発明の立体網状繊維集合体が有する優れた減音性は、例えば、以下の鉄球落下試験時において、その直下での衝撃音を81dB以下まで、好ましくは80dB以下まで、より好ましくは78dB以下まで減小させる:
本発明の立体網状繊維集合体を裏面側に備えた厚み3.2mmのステンレス板の表面に対して、直径11mmおよび重量5.45gの鉄球を10cmの高さから垂直に落下させる。具体的な試験方法は後述の鉄球落下試験で説明する。なお、ステンレス板の裏面側に何も備えなかった場合の衝撃音は89dBである。
[立体網状繊維集合体の製造方法]
本発明の立体網状繊維集合体の製造方法について次に例を挙げて説明する。
まず、原料ポリマーの融点以上の温度に加熱した二軸押出機によって、このポリマーを溶融混練する。なお、ポリマーアロイ(2種以上のポリマー)を用いる場合、ポリマーアロイを構成する複数の原料ポリマーペレットを同時に二軸押出機に投入し、溶融混練する。続いて、複数の孔を有するTダイから、溶融状態のポリマーを連続的に下方向に吐出することによって紡糸し、本発明の立体網状繊維集合体を成型することができる。このとき、Tダイの直下に水浴(または湯浴)を設置し、水浴中に2つのコンベアを並行に設置し、コンベアの一部が水面上になるように配置する。溶融状態のポリマーからなる繊維が、2つのコンベアのクリアランス間において、水浴水面に達する際に、浮力が発生することで繊維がランダムな方向性を持つ。同時に、この多数の繊維は、2つのコンベアに挟まれ、除熱されながら水浴中を運ばれ、繊維同士が融着しながら固化することによって、立体網状繊維集合体が成型される。なお、2つのコンベアのクリアランス間の距離によって、立体網状繊維集合体の厚みが決定される。その後、成型された立体網状繊維集合体を適当な長さや形状に切断する。その後、成型した立体網状繊維集合体を乾燥する。乾燥は、上記切断の前に行ってもよい。
上記製造方法において、酸化防止、難燃、着色、光安定化、耐ブロッキング、帯電防止、防カビ、芳香等の処理を任意の段階で行ってよい。
[立体網状繊維集合体の用途]
本発明の立体網状繊維集合体は、振動減衰性、減音性および低反発性に優れるため、振動および/または騒音を抑制する必要のある用途、および低反発性が要求される用途において有用である。詳しくは本発明の立体網状繊維集合体は例えば、振動減衰材、減音材および/または低反発材として使用される。すなわち、本発明の立体網状繊維集合体は例えば、振動減衰材、減音材および/または低反発材である。
本発明の立体網状繊維集合体は、所望の振動減衰性および減音性が達成される限り、1枚で使用されてもよいし、または複数枚で重ね合わせて使用されてもよい。本発明の立体網状繊維集合体は、振動減衰材または減音材として使用される場合、振動または音が伝導する部材の表面に対して接触状態で設置されてもよいし、または非接触状態で設置されてもよい。好ましくは立体網状繊維集合体は当該部材の表面を覆うように接触状態で設置される。より好ましくは立体網状繊維集合体を当該部材の表面に押し付けて設置する。
具体的には例えば、本発明の立体網状繊維集合体を、振動減衰材または減音材として、車道(特に高速道路)および鉄道などの高架橋および/または当該高架橋を支持する橋脚、ならびに風力発電装置において風車を支持する支柱(以下、単に「高架橋等」という)に適用することにより、振動を減衰し、かつ騒音を抑えることができる。特に本発明の立体網状繊維集合体を、風車の支柱に適用することにより、風力発電装置において問題となっている低周波音を抑えることができる可能性がある。このとき、本発明の立体網状繊維集合体は、高架橋の裏側、および橋脚または風車の支柱の表面に適用することに使用されてもよいし、または高架橋のジョイント部の隙間に挟み込む(または詰め込む)ことにより使用されてもよい。本発明の立体網状繊維集合体は通常、鉄または鋼などの金属部分またはコンクリート部分の表面と接触するように使用され、金属部分の表面と接触するように使用されることが好ましい。
本発明の立体網状繊維集合体を高架橋の裏側、および橋脚または風車の支柱の表面に適用する場合、適用方法は、高架橋、橋脚または風車の支柱における金属部分またはコンクリート部分の表面と立体網状繊維集合体との接触が確保されつつ、立体網状繊維集合体を固定できる限り特に限定されない。適用方法の具体例としては、例えば、スタッドボルトを使用してもよいし、接着剤を使用してもよいし、またはワイヤーおよびロープなどの線状部材によりくくり付けてもよい。このとき、立体網状繊維集合体における高架橋等との接触面とは反対側の面にパネルを配置し、当該パネルとともに、立体網状繊維集合体を固定してもよい。パネルは金属製であってもよいし、または樹脂ポリマー製であってもよい。スタッドボルトは、両端にねじ部をもつボルトである。スタッドボルトの一端を、立体網状繊維集合体が固定されるべき部分にねじ込み、立体網状繊維集合体にあけてある穴をボルトに通し、スタッドボルトの他端をナットで締め付けることにより、立体網状繊維集合体の適用および固定が達成される。
本発明の立体網状繊維集合体を、図1に示すように、高架橋1,2のジョイント部の隙間3に挟み込む場合、合計厚みが当該隙間の間隙距離fよりも厚くなるように、複数枚(例えば図1において8枚)の立体網状繊維集合体10を重ね合わせ、厚み方向dに圧縮させて隙間3に挿入した後、圧縮を解除すればよい。このような立体網状繊維集合体の設置は高架橋1,2のジョイント部の隙間3にある金属部分のほとんど全ての表面が立体網状繊維集合体と面接触するように行うことが好ましい。このとき、立体網状繊維集合体10の隙間3からの落下を防止するために、ワイヤーおよびロープなどの線状部材、接着剤、スタッドボルトなどの固定手段を用いてもよい。図1においては、立体網状繊維集合体を1セットあたり8枚づつ重ね合わせる場合について説明されているが、これに限定されるものではない。作業性の観点からは、1セット毎に所定枚数の立体網状繊維集合体を袋体に収容させ、当該袋体内の空気を抜くことにより、立体網状繊維集合体10の厚み方向dの圧縮を達成してもよい。
また例えば、本発明の立体網状繊維集合体を、振動減衰材または減音材として、自動車、列車、船舶および飛行機などの乗り物の内部に内装部材として適用することにより、振動を減衰し、かつ騒音を抑えることができる。この場合、本発明の立体網状繊維集合体は、上記乗り物における鉄、アルミニウムまたは鋼などの金属部分またはプラスチック部分の表面に適用される。適用方法は、金属部分またはプラスチック部分の表面と立体網状繊維集合体との接触が確保される限り特に限定されず、高架橋等の用途における適用方法と同様の方法が使用可能である。
また例えば、本発明の立体網状繊維集合体を、マットレスおよび枕等の一般寝具の芯材として使用することにより、床を伝播する振動および音を抑えることができるだけでなく、低反発性に基づく快適な寝心地感を得ることができる。特に本発明の立体網状繊維集合体を枕の芯材として使用する場合、通気性が良好であるだけでなく、頭が当該枕に包み込まれるような快適な寝心地感を得ることができる。本発明の立体網状繊維集合体を芯材として使用する場合、表皮体(カバー)として、不織布、キルティング布、織物または編物を用い、好ましくはポリプロピレン製の不織布、キルティング布、織物または編物を用いる。
このような一般寝具の芯材の用途においては、本発明の立体網状繊維集合体は、当該用途の所望の厚みに応じて、単数で使用されてもよいし、複数枚で重ね合わせて使用されてもよい。このときの立体網状繊維集合体の厚みは、マットレスの芯材として使用される場合、10〜200mmが好ましく、より好ましくは15〜100mm、さらに好ましくは20〜50mmである。立体網状繊維集合体の厚みは、枕の芯材として使用される場合、10〜200mmが好ましく、より好ましくは20〜150mm、さらに好ましくは50〜130mmである。
また例えば、本発明の立体網状繊維集合体は、医療・介護用器具等において使用することができる。「医療・介護用器具」は、医療分野または介護分野において使用される補助用具を指しており、例えば医療用または介護用のベッド、椅子、手術台等のクッション材、風呂、トイレ等のフロア材およびクッション材、ならびに医療用または介護用固定具、特に首、腰、尻また足の衝撃吸収緩衝材(プロテクター)等を挙げることができる。本発明の立体網状繊維集合体を上記衝撃吸収緩衝材として使用すると、人体(首、腰、尻また足)へのダメージを減らせるので、例えば、ケガ(例えば骨折)の防止および治療に有用である。本発明の立体網状繊維集合体は、低反発性を有するため、上記の医療・介護用器具に好適に使用することができる。また本発明の立体網状繊維集合体は、帽子およびヘルメットの衝撃吸収緩衝材としても使用することができる。さらに本発明の立体網状繊維集合体は、椅子およびソファ等の家具の芯材としても使用することができる。本発明の立体網状繊維集合体を芯材として使用する場合、前記した同様の表皮体(カバー)を用いることが好ましいことがある。
本発明の立体網状繊維集合体は、建築用途で使用される場合よりも、土木用途で使用される場合の方が有用である。本発明の立体網状繊維集合体は特に発生直後の騒音の減音性に優れており、立体網状繊維集合体の適用位置から騒音の発生源までの距離は一般的には、建築用途で使用される場合よりも、土木用途で使用される場合の方が短いためである。本明細書中、建築用途とは、ヒトの住居に関連する構造物を製造するための用途のことである。土木用途とは、規模がヒトの住居よりも大型の構造物(例えば上記した車道(特に高速道路)および鉄道などの高架橋および当該高架橋を支持する橋脚、ならびに風力発電装置において風車を支持する支柱)を製造するための用途のことである。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
[実施例1〜14および比較例1〜5]
二軸押出機を使用して、表1または表2に示す配合に従って各成分を混合した。このとき、二軸押出機の温度は、上流側から下流側に向かって約140℃から約200℃まで段階的に設定し、1000rpmで溶融混練し、続いて、約200℃に加熱したTダイから溶融状態の樹脂を連続的に下方向に吐出した。Tダイの複数の孔から吐出した繊維状の樹脂は、Tダイ直下に設置した水浴(室温)に入り、そこに設置された2つの平行なコンベア間で挟み込まれ、繊維同士がランダムな方向性で融着および固化することによって、繊維同士が接触点で互いに結合した立体網状繊維集合体を成型した。上記のように作製した各立体網状繊維集合体について、繊度、厚み、見掛け密度および目付を測定した。
Figure 2017106135
Figure 2017106135
表1および表2において以下の材料を使用した。
Figure 2017106135
Figure 2017106135
非エラストマーby1およびby2のガラス転移温度はいずれも−130〜−70℃の範囲内であった。
各立体網状繊維集合体について、以下の評価および測定を行った。
1.減音性(鉄球落下試験)(実験室規模)
立体網状繊維集合体を200mm×200mmのサイズに切断してサンプルを作製した。サンプルを図2に示す測定装置に設置し、鉄球による衝撃音を測定した。
詳しくは、測定装置は本体11および当該本体11の引き出し収容部110に収容される引き出し(トレー)12からなる。本体11は、天板111の裏面側に引き出し収容部110を有し、サンプルを収容した引き出し12を引き出し収容部110に収容することにより、サンプルが天板111の裏面側に配置されるようになっている。本体11は厚み3.2mmのステンレス板および直径3.2mmのステンレス製支持棒から構成されており、図2に示す寸法を有している。引き出し12は厚み0.8mmのステンレス板から構成されており、図2に示す寸法を有している。
具体的には、サンプルを引き出し12内に収容し、当該引き出し12を本体11の引き出し収容部110にさらに収容し、当該本体11を温度25℃および湿度55%の環境下、水平に設置した。次いで、本体11の天板111表面の中央に、直径11mmおよび重量5.45gの鉄球を10cmの高さから垂直に落下させた。このとき、衝撃音を、普通騒音計(JEIC SOUND LEVEL METER type1015;(株)ソーテック社製)により、本体11内における引き出し12の直下において測定した。3回の測定による平均値を測定値とした。測定位置は、引き出し12の底面からの距離が200mmのところであった。騒音計の測定条件は以下の通りであった:
測定レンジ WEIGETING C
METER 「F」
測定音の大きさは78dB以下が最も好ましい範囲(Sランク)であり、80dB以下が好ましい範囲(Aランク)であり、81dB以下が実用上問題のない範囲(Bランク)であり、81dB超が実用上問題のある範囲(Cランク)である。
2.振動減衰性
立体網状繊維集合体を200mm×200mmのサイズに切断してサンプルを作製した。温度25℃および湿度55%の環境下、サンプルの表面にA4のコピー用紙(約4.3g/枚)を敷き、用紙の表面から20cmの高さより、直径11mmおよび重量5.45gの鉄球を落下させた。このとき、バウンド数を数えた。真上から落とし、跳ね返り角が10°以内のバウンドだけを数えた。3回の測定による平均値を測定値とした。
バウンド数は2回以下が最も好ましい範囲(Sランク)であり、3回以下が好ましい範囲(Aランク)であり、4回以下が実用上問題のない範囲(Bランク)であり、5回以上が実用上問題のある範囲(Cランク)である。
3.繊度
立体網状繊維集合体を200mm×200mmのサイズに切断してサンプルを作製し、10か所から線状体を採集する。10か所で採集した線状体の40℃での比重を密度勾配管を用いて測定する。更に、上記10か所で採集した線状体の断面積を顕微鏡で30倍に拡大した写真より求め、それより線状体の長さ10000m分の体積を求める。得られた比重と体積を乗じた値を繊度(線状体10000m分の重量)とする。(n=10の平均値)
4.厚み、見掛密度および目付
立体網状繊維集合体を150mm×150mmのサイズに切断してサンプルを作製し、無荷重で24時間放置した。その後、当該サンプルに直径150mmの円板状部材により1g/cmの圧力を付与し、そのときの高さ(厚み)を測定した。また厚みから体積を求め、サンプルの重さを体積で除した値で見掛密度を示す。またサンプルの重さを上記サイズの面積で除した値で目付を示す。(n=3の平均値)
[比較例6〜14]
立体網状繊維集合体の代わりに、表5に示すサンプルを用いたこと以外、上記と同様の方法により、評価および測定を行った。
Figure 2017106135
比較例6において制振シートは接着層付ブチル系ゴム(レジェトレックスD−300N;日東電工社製)を用い、減音性評価においては引き出しの底板に接着して評価した。
比較例7においてポリウレタンフォームは(ELF;イノアック社製)を用いた。
比較例8において固綿はポリエステル綿を固く積層させたものであり、東京化セン社製のものを用いた。
比較例9において立体網状繊維集合体はエアウィーブTM(AWC−01[カバーなし];エアウィーブ社製)を用いた。当該エアウィーブTMを構成する繊維はポリエチレンから構成され、そのガラス転移温度は−70℃以下であった。
比較例10においてシートAは、以下の方法により製造した非発泡シートを1枚で用いた。スチレン系エラストマー(ハイブラ5127;クラレ社製)80部およびポリエチレン(エボリューSP0540;プライムポリマー社製)20部を加熱して溶融および混合した。溶融物をシート状に延ばし、冷却して固化した。200mm×200mmのサイズに切断した。
比較例11においてはシートAを2枚重ねて用いた。
比較例12においてはシートAを3枚重ねて用いた。
比較例13においてシートBは以下の方法により製造した非発泡シートを1枚で用いた。スチレン系エラストマー(S.O.E L606;旭化成社製)60部およびプロピレン・エチレン共重合体(WELNEX STR0730;日本ポリプロ社製)40部を加熱して溶融および混合した。溶融物をシート状に延ばし、冷却して固化した。200mm×200mmのサイズに切断した。
比較例14の減音性評価においては引き出しにサンプルを収容させることなく、評価した。
[減音性(実際規模)]
高速自動車道において、ジョイント部の通過音のピーク値をジョイント部直下で上記普通騒音計により50点読み取り、その中から上位10点を取り出し、施工前の平均値A(=95.8dB)を求めた。気温は28〜30℃であった。
次いで、立体網状繊維集合体を、図1に示すように、高架橋1,2のジョイント部の隙間3に挟み込み、施工後の平均値を求めた。詳しくは、実施例8で得られた立体網状繊維集合体を250mm×1000mm×30.6mmの寸法に裁断し、図1に示すように、立体網状繊維集合体10を重ね合わせ、厚み方向dに圧縮させ隙間3(f)に挿入して圧縮を解除し、挟み込んだ。その後、ジョイント部の通過音のピーク値をジョイント部直下で上記普通騒音計により50点読み取り、その中から上位10点を取り出し、施工後の平均値B(=78.8dB)を求めた。
さらに、立体網状繊維集合体の代わりに、ポリウレタンフォームを用いたこと以外、上記平均値Bと同様の方法により、施工後の平均値C(=83.0dB)を求めた。
以上、本発明の実施態様について説明してきたが、本発明の適用範囲における典型例を示したに過ぎない。したがって、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変更がなされ得ることは当業者に容易に理解されよう。
本発明の立体網状繊維集合体は、振動および/または騒音を抑制する必要のある用途、および低反発性が要求される用途において有用である。
例えば、本発明の立体網状繊維集合体は、車道(特に高速道路)および鉄道などの高架橋および/または当該高架橋を支える橋脚、ならびに風力発電装置における風車の支柱に適用される振動減衰材または減音材として、乗り物の内装部材として、一般寝具または家具の芯材として、または医療・介護用器具のクッション材、フロア材、芯材またはベルトとして有用である。
1:2:高架橋
3:隙間
10:複数枚の立体網状繊維集合体
11:減音性の測定装置の本体
12:減音性の測定装置の引き出し
110:引き出し収容部
111:天板

Claims (10)

  1. −30〜+30℃のガラス転移温度を有するポリマーを含む繊維からなり、多数の該繊維がランダムまたは螺旋状の方向性で接触点にて互いに結合している立体網状繊維集合体。
  2. 前記繊維が前記ポリマーとして、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性非エラストマーからなる群から選択される1種以上のポリマーを含む、請求項1に記載の立体網状繊維集合体。
  3. 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ビニルシクロアルカン系エラストマーおよびビニルシクロアルケン系エラストマーからなる群から選択される1種以上のエラストマーであり、
    前記熱可塑性非エラストマーがオレフィン系モノマーの単独重合体またはランダム共重合体である、請求項2に記載の立体網状繊維集合体。
  4. 前記繊維が前記ポリマーとして少なくとも1種の熱可塑性エラストマーを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  5. 前記繊維が前記ポリマーとして少なくとも1種のスチレン系エラストマーを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  6. 前記繊維が−30℃未満のガラス転移温度を有するポリマーおよび/または30℃超のガラス転移温度を有するポリマーをさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  7. 前記繊維が300〜100000dtexの繊度を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  8. 前記立体網状繊維集合体が前記繊維を全量に対して30〜100重量%で含む、請求項1〜7のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  9. 前記立体網状繊維集合体を裏面側に備えた厚み3.2mmのステンレス板の表面に対して、直径11mmおよび重量5.45gの鉄球を10cmの高さから垂直に落下させたとき、その直下での衝撃音が81dB以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
  10. 前記立体網状繊維集合体が振動減衰材および/または減音材として使用される、請求項1〜9のいずれかに記載の立体網状繊維集合体。
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