JP2017105927A - ポリアリーレンスルフィド系組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特に耐電圧性などの電気特性に優れることから、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物及びそれからなるケースを提供する。【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも板状酸化鉄(B)1〜50重量部及び繊維状充填剤(C)10〜150重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィドが本来有する耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などを損なうことなく、耐電圧性などの電気特性に優れると同時に、機械的強度にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものであり、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものである。
ポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などに優れた特性を示す樹脂であり、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車機器部材およびOA機器部材等に幅広く使用されている。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、ポリアミド等の他のエンジニアリングプラスチックスに比べて耐電圧性に劣ることから、比較的高い電圧にさらされるような用途での使用は制限されていた。
一方で、近年特に自動車の電装化が進み、更に、部品の小型化が求められた結果、使用される樹脂材料には高い耐電圧性が要求されるようになった。
ポリアリーレンスルフィドの耐電圧性の改良は、これまでも検討されており、例えばポリアリーレンスルフィド、六方晶窒化硼素、扁平ガラス繊維からなるポリアリーレンスルフィド組成物が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
特許第5525682号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1に提案された樹脂組成物においては、絶縁破壊強度や、耐アーク性に優れる特長を有するものの、高電圧を印加した場合の耐電圧性について検討されているものではなかった。
そこで、本発明は、優れた耐電圧性を有すると同時に、機械的強度にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物を提供することを目的とし、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用なポリアリーレンスルフィド系組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド、板状酸化鉄及び繊維状充填材を配合するポリアリーレンスルフィド系組成物が、優れた耐電圧性を有すると同時に、機械的強度にも優れる組成物となりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明はポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも板状酸化鉄(B)1〜50重量部及び繊維状充填剤(C)10〜150重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物に関するものである。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも板状酸化鉄(B)1〜50重量部、繊維状充填剤(C)10〜150重量部を含むものである。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成するポリアリーレンスルフィド(A)としては、ポリアリーレンスルフィドと称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよく、その中でも、得られるポリアリーレンスルフィド系組成物が機械的強度、成形加工性に優れるものとなることから測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が50〜3000ポイズのポリアリーレンスルフィドが好ましく、特に60〜1500ポイズであるものが好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)としては、その構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましい。また、他の構成単位として、例えばm−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等を含有していてもよく、中でもポリ(p−フェニレンスルフィド)であることが好ましい。
該ポリアリーレンスルフィド(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば一般的に知られている重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応する方法により製造することが可能であり、アルカリ金属硫化物としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びそれらの混合物が挙げられ、これらは水和物の形で使用しても差し支えない。これらアルカリ金属硫化物は、水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基とを反応させることによって得られ、ジハロ芳香族化合物の重合系内への添加に先立ってその場で調製されても、また系外で調製されたものを用いても差し支えない。また、ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、1−クロロ−4−ブロモベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニル等が挙げられる。また、アルカリ金属硫化物及びジハロ芳香族化合物の仕込み比は、アルカリ金属硫化物/ジハロ芳香族化合物(モル比)=1.00/0.90〜1.10の範囲とすることが好ましい。
重合溶媒としては、極性溶媒が好ましく、特に非プロトン性で高温でのアルカリに対して安定な有機アミドが好ましい溶媒である。該有機アミドとしては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素及びその混合物、等が挙げられる。また、該重合溶媒は、重合によって生成するポリマーに対し150〜3500重量%で用いることが好ましく、特に250〜1500重量%となる範囲で使用することが好ましい。重合は200〜300℃、特に220〜280℃にて0.5〜30時間、特に1〜15時間攪拌下にて行うことが好ましい。
さらに、該ポリアリーレンスルフィド(A)は、直鎖状のものであっても、酸素存在下高温で処理し、架橋したものであっても、トリハロ以上のポリハロ化合物を少量添加して若干の架橋または分岐構造を導入したものであっても、窒素等の非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する板状酸化鉄(B)とは、その形状が板状を有しているものであれば、如何なるものでも良い。そして、該板状酸化鉄(B)は、特に耐電圧性に優れたポリアリーレンスルフィド系組成物となることから、レーザー回折散乱法により測定した平均粒子径(D50)が0.5〜200μmの範囲を有するものであることが好ましく、特に0.5〜100μmの範囲を有するものであることが好ましく、更に0.5〜50μmの範囲を有するものが好ましい。また、該板状酸化鉄(B)の走査電子顕微鏡で観察した際の平均厚みが0.01〜10μmの範囲を有するものであることが好ましい。
また、板状酸化鉄(B)は、その表面が被覆処理されているもの、又はされていないもののいずれも用いることができる。表面が被覆処理される場合の表面被覆処理剤に制限はなく、該表面被覆処理剤としては、例えば高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸の金属塩、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル類等が挙げられる。そして、高級脂肪酸及びその金属塩としては、例えばステアリン酸、オレイン酸等、及びそのアルカリ金属塩等;アニオン系界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル等;リン酸エステルとしては、例えばオルトリン酸と高級アルコールのエステル類等;シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等;チタネート系カップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート等;アルミネート系カップリング剤としては、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等;多価アルコールと脂肪酸のエステル類としては、例えばグリセリンモノステアレート等、が挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する板状酸化鉄(B)の配合量としては、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、1〜100重量部である。該板状酸化鉄(B)の配合量が1重量部未満である場合、得られる組成物は耐電圧性に劣るものとなる。一方、該板状酸化鉄(B)の配合量が100重量部を越える場合、得られる組成物は機械的強度に劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する繊維状充填剤(C)は、該ポリアリーレンスルフィド系組成物の機械的強度及び寸法安定性を向上させるために配合されるものであり、この目的を達成できる繊維状充填剤であれば、如何なるものを用いることも可能である。繊維状充填剤(C)としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維等が例示でき、その中でも、ガラス繊維が好ましい。該繊維状充填剤(C)は、該ポリアリーレンスルフィド系組成物の機械的強度が高いものとなることから、イソシアネート系化合物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、エポキシ化合物等で表面処理したものであることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物を構成する該繊維状充填剤(C)の配合量は、ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、10〜150重量部である。該繊維状充填剤(C)の配合量が10重量部未満である場合、得られる組成物は機械的強度に劣るものとなる。一方、該繊維状充填剤(C)の配合量が150重量部を越える場合、得られる組成物は耐電圧性、機械的強度に劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、得られる成形品の金型離型性や外観をより優れたものとするために離型剤を配合することができる。該離型剤としては離型剤として知られている範疇に属するものであれば用いることが可能であり、例えばカルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ステアリン酸金属塩、酸アマイド系ワックス等を挙げることができる。該カルナバワックスとしては、一般的な市販品を用いることができ、例えば(商品名)精製カルナバ1号粉(日興ファインプロダクツ製)等を挙げることができる。
該離型剤の配合量は、金型離型性、成形品外観に優れるポリアリーレンスルフィド系組成物となることからポリアリーレンスルフィド(A)、板状酸化鉄(B)、及び繊維状充填剤(C)の合計量100重量部に対し、0.05〜5重量部であることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、非繊維状充填剤を配合していてもよく、非繊維状充填剤としては、例えばワラストナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、タルク、アルミナシリケート等の珪酸塩;酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム等の窒化物;ガラスフレーク、ガラスビーズ等を例示でき、その中でも、マイカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズが好ましい。また、該非繊維状充填剤は、イソシアネート系化合物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、エポキシ化合物等で表面処理したものであってもよい。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の1種以上を混合して使用することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常280〜400℃の中から任意に選ぶことが出来る。また、本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができ、各種電子・電気機器のケース、機械装置のケース等として成形可能である。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来公知の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、発泡剤、金型腐食防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等の着色剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上併用しても良い。
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、パワーモジュール、各種端子板、発電機、電動機、変圧器、昇圧器、フライバックトランス、電力用ガイシ、電力ケーブル、変流器、電圧調整器、整流器、冷蔵庫やエアコンなどのインバータ機器、多極ロッド、電気部品キャビネット、ライトソケット、コンデンサ封口板などに用いられる絶縁部材、そのケース等として特に好適に使用できる。
本発明は、耐電圧性などの電気特性に優れると同時に機械的強度にも優れるポリアリーレンスルフィド系組成物を提供するものであり、該ポリアリーレンスルフィド系組成物は、特に電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用である。
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例になんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いたポリアリーレンスルフィド、板状酸化鉄、繊維状充填剤の詳細を以下に示す。
<ポリアリーレンスルフィド(A)>
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−1)(以下、単にPPS(A−1)と記す。)
:溶融粘度110ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−2)(以下、単にPPS(A−2)と記す。)
:溶融粘度300ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−3)(以下、単にPPS(A−3)と記す。)
:溶融粘度350ポイズ。
<板状無機化合物(B)>
板状酸化鉄(B−1);(株)レプコ製、(商品名)ME100/200、平均粒子径(D50)150μm、平均厚み 7μm。
板状酸化鉄(B−2);(株)レプコ製、(商品名)Micro30、平均粒子径(D50)30μm、平均厚み 2.5μm。
板状酸化鉄(B−3);(株)レプコ製、(商品名)Micro2.5、平均粒子径(D50)2.5μm、平均厚み 0.5μm。
<繊維状充填剤(C)>
ガラス繊維(C−1);エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
合成例1(PPS(A−1)、PPS(A−2)の合成)
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、NaS・2.8HO1866g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)5リットルを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を溜出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2280gとNMP1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離器により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−1))の溶融粘度は110ポイズであった。
更にPPS(A−1)を、空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理を行った。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−2))の溶融粘度は300ポイズであった。
合成例2(PPS(A−3)の合成)
攪拌機を装備する15リットルチタン製オートクレーブにNMP3232g、47%硫化水素ナトリウム水溶液1682g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1142gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、1360gの水を溜出させた。この系を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン2118gとNMP1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、続けて250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水451gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを固液分離した。ポリマーをNMP、アセトン及び水で順次洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、ポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)(PPS(A−3))は直鎖状のものであり、その溶融粘度は350ポイズであった。
実施例及び比較例で用いた評価・測定方法を以下に示す。
(ポリアリーレンスルフィド系組成物の性能評価)
〜耐電圧の測定〜
射出成形により70mm角、厚さ1mmの試験片を作製し、該試験片に対し、電圧10kV、周波数100Hzの交流電圧を室温で印加し、試験片が絶縁破壊するまでの時間を測定した。絶縁破壊時間が60分以上のものを耐電圧性に優れると判断した。
〜引張強度の測定〜
射出成形によりASTM D−638の1号試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張強度を測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)AG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張強度として70MPa以上のものを機械的強度に優れると判断した。
実施例1
PPS(A−2)95.2重量%、板状酸化鉄(B−1)4.8重量%の割合で配合して、シリンダー温度310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)を該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド系組成物を作製した。その際のポリアリーレンスルフィド系組成物の構成割合は,PPS(A−2)100重量部に対し、板状酸化鉄(B−1)5重量部、ガラス繊維(C−1)100重量部であった。
該ポリアリーレンスルフィド系組成物を、シリンダー温度310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、耐電圧性を測定するための試験片、引張強度、測定するための試験片を、それぞれ成形し、それぞれの評価を行った。これらの結果を表1に示した。
得られたポリアリーレンスルフィド系組成物は、耐電圧性、引張強度に優れていた。
実施例2〜7
PPS(A−1、2、3)、板状酸化鉄(B)及びガラス繊維(C−1)を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示した。
得られた全てのポリアリーレンスルフィド系組成物は、耐電圧性、引張強度に優れていた。
Figure 2017105927
比較例1〜4
PPS(A−2)、板状酸化鉄(B)及びガラス繊維(C−1)を表2に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示した。
比較例1,2,4より得られた組成物は、耐電圧性が劣るものであった。比較例3より得られた組成物は、引張強度が劣るものであった。
Figure 2017105927
本発明のポリアリーレンスルフィド系組成物は、耐電圧性などの電気特性に優れるものであり、特に電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に期待されるものである。

Claims (2)

  1. ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対し、少なくとも板状酸化鉄(B)1〜50重量部及び繊維状充填剤(C)10〜150重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物。
  2. 板状酸化鉄(B)が、平均粒子径0.5〜200μm、平均厚み0.01〜10μmを有する板状酸化鉄であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
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