JP2017104936A - 振動スピンドル - Google Patents

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【課題】振動スピンドルにおいて、回転振動軸への給電が必要なく、低周波から高周波までの振動が可能な簡単な構造の振動スピンドルを提供する。【解決手段】振動スピンドルは、回転駆動され振動する回転振動軸21と、該軸心方向に沿って磁化された軸方向着磁円環状磁石22a,22bと、回転振動軸21を内包する円筒状ハウジング25と、周方向に沿って巻かれた円環状コイル23a,23b,23cと、円筒状ハウジング25と回転振動軸21との間に設けられ回転振動軸21を回転可能かつ振動可能に支持する軸受24a,24bとから構成され、軸方向着磁円環状磁石22a,22bが放つ放射状磁界と円環状コイル23a,23b,23cに流す交幡電流とによって生じるローレンツ力により、回転振動軸21が回転しながら該軸方向に沿って振動する。【選択図】図4

Description

この発明は、各種研削工具に振動を印加しながら被加工物に高精度な研削加工を施すことのできる振動援用加工機のスピンドルに関するものである。
精密加工及び超精密加工の分野において、被加工物の表面研磨や孔開け加工には超音波振動援用加工機が従来から広く利用されている。この超音波振動援用加工機の主軸には、ランジュバン型圧電振動子と超音波振動ホーンが一体で設けられ、その先端に加工チップあるいは研磨砥石を取り付けるというものである(例えば、特許文献1、2、3)。しかし、
超音波ホーンの支持方法やランジュバン型圧電振動子への給電方法の課題、また、部品点数が多く、構造が複雑さらに、刃物やホルダーの交換による共振ずれや刃具とホルダーとの接続部での超音波減衰などの課題もある。
一方、超音波振動(周波数:〜10KHz以上)よりも低い振動(周波数:〜10Hz以下)ではあるが、モータによる回転運動をカムなどにより機械的に往復運動や搖動運動に変換させた低周波振動加工装置がある(特許文献4、5)。しかし、振動部分の質量が大きいために高周波化することは困難であり、また、振動振幅を大きくすると、加工装置自身が低周波で振動するという課題がある。さらに、部品点数も多く、構造が複雑であるという課題を抱えている。
実願平1−147834号公報 特開平7−24709号公報 特開2000−254801号公報 特開2005−131737号公報 特開2006−159400号公報
本発明は、かかる実情を鑑みてなされたもので、回転軸への給電も必要なく、低周波から高周波までの振動が可能で、部品点数が少なく、簡単な構造の振動スピンドルを提供することを目的としている。
本発明は、スピンドルの回転振動部への給電が不必要で、かつ、回転振動部の質量が小さくなるように構成したものである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1の振動スピンドルは、
被加工物の加工を行う工具が取り付けられ回転駆動され振動する回転振動軸と、
該回転振動軸に対して不動に設けられ該軸心方向に沿って磁化された軸方向着磁円環状磁石と、
前記回転振動軸を内包する円筒状ハウジングと、
該円筒状ハウジング内に不動にして設けられ周方向に沿って巻かれた円環状コイルと、
前記円筒状ハウジングと前記回転振動軸との間に設けられ前記回転振動軸を回転可能かつ振動可能に支持する軸受とから構成され、
前記軸方向着磁円環状磁石が放つ放射状磁界と前記円環状コイルに流す交幡電流とによって生じるローレンツ力により、前記回転振動軸を該軸方向に沿って振動することを特徴としている。
また、請求項2の振動スピンドルは、上記の構成に加えて、
前記回転振動軸に対して不動に設けられ周方向に沿って磁化された周方向着磁円環状磁石と、
前記円筒状ハウジング内に不動にして設けられ回転磁界を発生する界磁コイルと、
を備え、
前記回転振動軸を回転させ、かつ、該軸方向に沿って振動することを特徴としている。
上記の構成によれば、回転振動部はコイルを含まないので、回転振動部への給電は不必要になる。また、回転振動部は回転軸と磁石のみなので、これらの質量を小さくすることができ振動周波数を高めることができ、部品点数も少なく、簡単な構造になっている。
また、請求項3の振動スピンドルは、請求項1および請求項2に記載の構成に加えて、前記回転振動軸に不動にして設けられた円板と、該円板に光を照射する光源と、該円板からの光を検出する光検知器とによって、前記回転振動軸の軸心方向に沿った位置を測定する光学式の位置測定手段を備えたことを特徴としている。
また、請求項4の振動スピンドルは、請求項1および請求項2に記載の構成に加えて、前記回転振動軸に不動にして設けられた金属製円板と、該金属製円板に対向して設けられた電極とによって、前記回転振動軸の軸心方向に沿った位置を測定する静電容量式の位置測定手段を備えたことを特徴としている。
請求項3および請求項4の構成によれば、回転振動軸の軸心方向に沿った位置を測定する位置測定手段を備えているので、高精度な振動(周波数、位相、振幅)制御が可能となる。
請求項5の工作機械は、請求項1から請求項4に記載のいずれか一つの振動スピンドルを備えることを特徴としている。これによれば、被加工物を高精度に研削加工を施すことのできる、小型で剛性の高い工作機械を提供できる。
本発明の実施形態1に係る振動スピンドルの断面説明図である。 対向磁極が放つ放射状磁力線を示す断面説明図である。 変形例(a),(b),(c)を示す断面説明図である。 本発明の実施形態2に係る振動スピンドルの断面説明図である。 光学式位置測定手段におけるフォトリフレクタと円板の配置例を示す図、および、反射光量と隙間距離との関係を示す実測グラフの一例である。 静電容量式位置測定手段における電極と円板の配置例を示す図である。
以下、この発明の振動スピンドルの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る振動スピンドルである。本発明の振動スピンドル10の回転振動軸21の一端には、工具チャック50を介して、被加工物の加工を行う工具51が取り付けられ、回転振動軸21の他端には、カップリング60を介して、回転モータ70の回転軸71に連結されている。
カップリング60は、回転モータ70の回転運動を振動スピンドル10の回転振動軸21に伝達する。また、カップリング60は、振動スピンドル10の回転振動軸21が軸方向C1に沿って往復運動できるように、軸方向C1に沿って伸縮自在なものである。なお、振動スピンドル10の回転振動軸21と回転モータ70の回転軸71との連結には、カップリング60に代えて、プーリとベルトなどを用いてもよい。
回転振動部20は、回転振動軸21と、円環状磁石22a,22bと、磁気ヨーク23a,23b,23cとから構成されている。回転振動軸21は非磁性体材料から、磁気ヨーク23a,23b,23cは強磁性体材料から造られている。軸方向着磁円環状磁石22a,22b、および、磁気ヨーク23a,23b,23cは、回転振動軸21に挿入され不動にして装着されている。軸方向着磁円環状磁石22a,22bは、磁気ヨーク23a,23b,23cを介して、図2に示すように、磁力線(図中→印)が放射状で放たれるように、同じ磁極が対向するように組み付けられている。
回転振動部20の構成部品が少ないので、その質量を小さくすることができる。なお、後述するが、磁気ヨーク23a,23b,23cは、軸方向着磁円環状磁石22a,22bから放射される磁力線を、円環状コイル28a,28b,28cへ効率良く導くために使用しているが、使用しなくてもよい。この場合、構成部品はさらに少なくなり、回転振動部20の質量も小さくなる。
円筒状ハウジング25は、巻枠27を不動にして内包している。円筒状ハウジング25および巻枠27は非磁性体材料から造られている。巻枠27は、周方向に沿って巻かれた円環状コイル28a,28b,28cを備えている。ボールガイド24a,24bは、円筒状ハウジング25およびハウジング蓋板26に挿入され、回転振動部20を回転可能、かつ、振動可能に支持している。
円環状コイル28a,28b,28cの巻線方向は交互に替えられている。例えば、円環円環状コイル28a,28cは右巻き、円環状コイル28bは左巻きにする。これらの円環状コイル28a,28b,28cに交幡電流を流せば、この交幡電流と、磁気ヨーク23a,23b,23cを介して軸方向着磁円環状磁石22a,22bから放たれた放射状磁界の径方向成分(図2のB⇒)とで、軸方向に沿った交幡ローレンツ力を生じる。その結果、回転振動部は交幡電流に応じて振動する。
本実施形態の変形例を図3(a),(b),(c)に示す。回転モータ70、カップリング60、工具チャック50、工具51などは省略して、図示していない。図3(a)は、円環状磁石22が1個の例を示す。図3(b)は、軸方向着磁円環状磁石22a,22bが2個で、円環状コイル28が1個の例を示す。図3(c)は、軸方向着磁円環状磁石22a,22b,22cが3個で、円環状コイル28a,28b,28c,28dが4個の例を示す。軸方向着磁円環状磁石22と円環状コイル28の数をさらに増やせば、より強いローレンツ力が得られ、回転振動部20の振動を大きくすることが可能である。
<実施形態2>
本発明の実施形態2に係る振動スピンドルは、回転モータ70を振動スピンドル10内に組み込んだものである。その断面説明図を図4に示す。上記の実施形態1と同じ部分の説明は省略し、異なる部分のみを以下に説明する。
回転振動部20は、軸方向着磁円環状磁石22a,22bと、磁気ヨーク23a,23b,23cに加えて、周方向着磁円環状磁石31と円板41を備える。周方向着磁円環状磁石31と円板41は、回転振動軸21に挿入され不動にして装着されている。周方向着磁円環状磁石31は周方向に沿って磁化され、磁極は、周方向に沿って、例えば、N極、S極、N極、S極の順に配置されている。周方向着磁円環状磁石31は、複数個の径方向に磁化した円弧状磁石と磁気ヨークで構成したものであってもよい。周方向着磁円環状磁石31は、ブラシレスモータのロータを形成している。円板41は、光反射性が高い材料(あるいは電導性が高い金属製材料)から造られている。
円筒状ハウジング25は、円環状コイル28a,28b,28cを巻き付けた巻枠27に加えて、回転磁界を発生する界磁コイル32を巻き付けたコア33を不動にして内包している。界磁コイル32とコア33は、ブラシレスモータのステータを形成している。ボールガイド24a,24bは、円筒状ハウジング25およびハウジング蓋板26に挿入され、回転振動部20を回転可能、かつ、振動可能に支持している。
界磁コイル32と周方向着磁円環状磁石31とで、ブラシレスモータの駆動体を形成している。ブラシレスモータの回転磁界を発生するための相励磁切替方法は、センサレス制御であってもよく、ホールセンサなどを用いて回転振動部の回転位置を検出するものであってもよい。ここでは、回転磁界を発生する方法の説明は省略する。
回転振動部20は、周方向着磁円環状磁石31と回転磁界との間における磁気吸引力により、回転磁界とともに回転する。同時に、回転振動部20は、円環状コイル28a,28b,28cに流した交幡電流によって、磁気ヨーク23a,23b,23cを介して軸方向着磁円環状磁石22a,22bから放たれた放射状磁界で軸方向に沿った交幡ローレンツ力を生じて振動する。
<位置測定手段>
光学式位置測定手段は、円筒状ハウジング25あるいはハウジング蓋板26に装着されたフォトリフレクタ42と、回転振動部20に装着された光反射性が高い材料から造られている円板41とで、構成される。この構成よれば、軸方向の長さが短くコンパクトになるので、振動スピンドル内に容易に実装することができる。フォトリフレクタ42に内蔵されたLED43から放射される光は、円板41を照らした後に反射されて、反射光は、フォトリフレクタ42に内蔵されたフォトトランジスタ44により検出される。この反射光量は、フォトリフレクタ42と円板41との隙間距離によって変化する。図5は、フォトリフレクタ42と円板41の配置例を示す図、および、反射光量と隙間距離との関係を実測したグラフの一例である。このグラフから、隙間距離が約1mmから5mm程度までの範囲において、反射光量と隙間距離との関係を校正曲線として持っておれば、回転振動部20の位置を検出することができる。
また、2個のフォトリフレクタを用いて、それぞれが、円板41の表裏を照らすように、円筒状ハウジング25あるいはハウジング蓋板26に装着されてもよい。この場合、2個のフォトリフレクタからの反射光量の差分と隙間間隔との関係を予め測定して校正しておけば、回転振動部20の位置を高精度に検出することができる。
また、フォトリフレクタのLEDの代わりに放射光の指向性の強いLD(Laser Diode)を、フォトトランジスタの代わりにPSD(Position Sensitive Diode)を用いてもよい。さらに、他の光電変換素子等を用いて、光学式位置測定手段を構成してもよい。
上に説明した光学式位置測定手段は、フォトレフレクタ等を円板41の上部あるいは下部に配置して、円板41の上面あるいは下面からの反射光を検出するものであるが、フォトレフレクタ等を円板41の側部に配置して、円板41の側面からの反射光を検出するものであってもよい。
図6は、静電容量式位置測定手段の一例を示す図である。静電容量式位置測定手段は、
円筒状ハウジング25あるいはハウジング蓋板26に絶縁板46を介して装着された電極板45と、回転振動部20に装着された電導性が高い金属製材料で造られている円板41とで、構成される。電極板45と円板41とは、コンデンサを形成し、その静電容量は、電極板45と円板41との隙間距離によって変化する。したがって、電極板45と円板41とで形成されるコンデンサの静電容量に対する隙間距離との関係を予め測定して校正しておけば、回転振動部20の位置を検出することができる。なお、コンデンサの静電容量の測定方法については、広く知られているので、ここでは説明を省略する。
また、光電式位置測定手段に説明した同様に、2個の電極板を用いて、それぞれが、円板41の表裏に対向するように、円筒状ハウジング25あるいはハウジング蓋板26に装着されてもよい。この場合、2個の電極板と円板41が、それぞれ、形成するコンデンサの静電容量の差分と隙間距離との関係を予め測定して校正しておけば、回転振動部20の位置を高精度に検出することができる。なお、2個のコンデンサの静電容量の差分を測定方法については、広く知られているので、ここでは説明を省略する。
上に説明した静電容量式位置測定手段は、電極板を円板41の上部あるいは下部に配置して、電極板と円板41の上面あるいは下面とでコンデンサを形成するようにしたものであるが、電極板を円板41の側部に配置して、電極板と円板41の側面とでコンデンサを形成するものであってもよい。
本発明の振動スピンドルは、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更できるものである。例えば、実施形態2においは、振動スピンドル内にブラシレスモータを組み込んだものになっているが、周方向着磁円環状磁石31の代わりに籠型導体を用いてインダクションモータを組み込んだものであってもよい。
10 :振動スピンドル
20 :回転振動部
21 :回転振動軸
22、22a、22b、22c :軸方向着磁円環状磁石
23a、23b、23c、23d:磁気ヨーク
24a、24b:ボールガイド
25 :円筒状ハウジング
26 :ハウジング蓋板
27 :巻枠
28、28a、28b、28c、28d:円環状コイル
31 :周方向着磁円環状磁石
32 :界磁コイル
33 :コア
41 :円板
42 :フォトリフレクタ
43 :LED
44 :フォトトランジスタ
45 :電極板
46 :絶縁板
50 :工具チャック
51 :工具
60 :カップリング
70 :回転モータ
71 :回転軸

Claims (5)

  1. 被加工物の加工を行う工具が取り付けられ回転駆動され振動する回転振動軸と、
    該回転振動軸に対して不動に設けられ該軸心方向に沿って磁化された軸方向着磁円環状磁石と、
    前記回転振動軸を内包する円筒状ハウジングと、
    該円筒状ハウジング内に不動にして設けられ周方向に沿って巻かれた円環状コイルと、
    前記円筒状ハウジングと前記回転振動軸との間に設けられ前記回転振動軸を回転可能かつ振動可能に支持する軸受とから構成され、
    前記軸方向着磁円環状磁石が放つ放射状磁界と前記円環状コイルに流す交幡電流とによって生じるローレンツ力により、前記回転振動軸を該軸方向に沿って振動することを特徴とする振動スピンドル。
  2. 請求項1に記載の構成に加えて、
    前記回転振動軸に対して不動に設けられ周方向に沿って磁化された周方向着磁円環状磁石と、
    前記円筒状ハウジング内に不動にして設けられ回転磁界を発生する界磁コイルと、
    を備え、
    前記回転振動軸を回転させ、かつ、該軸方向に沿って振動することを特徴とする振動スピンドル。
  3. 請求項1および請求項2に記載の構成に加えて、前記回転振動軸に不動にして設けられた円板と、該円板に光を照射する光源と、該円板からの光を検出する光検知器とによって、前記回転振動軸の軸心方向に沿った位置を測定する光学式位置測定手段を備えたことを特徴とする振動スピンドル。
  4. 請求項1および請求項2に記載の構成に加えて、前記回転振動軸に不動にして設けられた金属製円板と、該金属製円板に対向して設けられた電極とによって、前記回転振動軸の軸心方向に沿った位置を測定する静電容量式位置測定手段を備えたことを特徴とする振動スピンドル。
  5. 請求項1から請求項4に記載のいずれか一つの振動スピンドルを備えることを特徴とする工作機械。


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