JP2017104896A - アーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置 - Google Patents

アーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トーチの先端から送り出された溶接ワイヤを鮮明に撮影して、精度よく容易に溶接ワイヤの位置を測定することができる装置を提供する。
【解決手段】位置測定装置5は、トーチ1の先端から所定の距離を離して、トーチ1の中心軸線Cの延長線と直交する仮想上の平面に配置された、X方向カメラ50、第1波長帯域照明手段51、および第1波長帯域フィルタ52と、Y方向カメラ60、第2波長帯域照明手段61、および第2波長帯域フィルタ62とを備えている。X方向カメラ50とY方向カメラ60は、互いに直交するX方向とY方向を撮影し得るように配設されている。第1波長帯域照明手段51は、溶接ワイヤ3を挟んでX方向カメラ50および第1波長帯域フィルタ52と対向するよう配設され、第2波長帯域照明手段61は、溶接ワイヤ3を挟んでY方向カメラ60および第1波長帯域フィルタ52と対向するよう配設されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、アーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置に関し、特に、アーク溶接機のトーチから送り出された溶接ワイヤを撮影してその位置を測定する装置に関する。
図1に参照されるように、アーク溶接機は一般に、トーチ1が多関節ロボット2のアーム20の手首部21に取り付けられ、溶接ルートに沿って移動される。そして、溶接ワイヤ3は、所謂ペールパック30に巻かれた状態で収容されており、送給装置によってペールパック30から引き出されてトーチ1の先端から所定の速度で送り出される。送給装置は一般に、対のローラの間に溶接ワイヤを挟持し、ローラを回転駆動することにより溶接ワイヤ3を送給するよう構成されている。また、アーク溶接機のトーチ1は、溶接ワイヤ3に電力を供給するための給電チップ12a(図2を参照)を備えている。
そして、トーチ1のなかには、溶接ワイヤを確実に給電チップに接触させるなどの目的で、例えば図2に参照されるように、トーチ外筒10と、溶接ワイヤ3が軸方向に挿通される狙いガイド取付筒11と、トーチ外筒10と狙いガイド取付筒11との径方向における間に設けられトーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cに対して傾き可能に、軸15によりトーチ外筒10に軸支された給電チップ取付筒12と、給電チップ取付筒12をトーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cに対して傾けるように弾性的に押圧する弾性押圧手段14とを備えたものが知られている。給電チップ取付筒12は、その先端に給電チップ12aが取り付けられ、その後端には給電チップに電力を供給するための電源と電気的に接続された可撓性を有する給電線16が連結されている。弾性押圧手段14によって給電チップ取付筒12がトーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cに対して傾くように弾性的に押圧されていることにより、狙いガイド取付筒11の先端から送り出された溶接ワイヤ3は、強制的に給電チップ12aに形成された孔の内周面に接触される。トーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cは、トーチ1の心軸線Cを構成する。つまり、トーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cとトーチ1の中心軸線Cとは一致する。
このように構成されたアーク溶接機では、ペールパック30に収容されていたときの溶接ワイヤ3の巻き癖、トーチ1を支持する多関節ロボット2のアーム20の動きによる曲げ癖(特に図1に示したロボットの場合ではアーム20aと20bとの間で溶接姿勢に応じて曲がることに伴い、溶接ワイヤの半径が200mm以下に屈曲されると、溶接ワイヤに塑性変形が生じ、かかる塑性変形が巻き癖に重なることで、より複雑な曲げ癖を持つことになる。)、送給装置の両ローラ間で溶接ワイヤ3が軸周りに回動しないよう挟持された状態で多関節ロボット2のアーム20の手首部21などが溶接ワイヤ3の軸回り方向に回動することによる捩じれ、給電チップ12aの摩耗、或いは図2に示したトーチ1のように給電チップ取付筒12をトーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cに対して傾けるように弾性押圧手段14によって弾性的に押圧する構成などにより、溶接ワイヤ3がトーチ1の先端部の中心軸線Cの延長線上からずれる(すなわち、溶接ワイヤ3の先端部が狙った位置(溶接箇所)から振れる)ことが多い。そこで、アーク溶接中に溶接ワイヤをカメラで撮影し、溶接位置を推定することが従来から知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1には、溶接トーチに対して固定した撮像装置と演算装置を備え、該撮像装置が撮像機構と画像処理機構を備えて、該撮像機構が前記溶接トーチから突き出しているアーク溶接中の溶接ワイヤを撮像し、前記画像処理機構が前記撮像機構の取得した撮像画像に基づいて撮像画面中の前記溶接ワイヤ先端の2次元座標値を求めることにより、該溶接ワイヤの撮像画面上の先端位置と光学中心を結ぶ直線を算出し、該直線と溶接トーチの軸を含む面の交点を用いて溶接ワイヤ先端の3次元位置を算出することにより、溶接位置を推定する溶接位置計測装置が開示されている。そして、特許文献1の図1〜3には、単一の撮像部が示されており、かかる単一の撮像部が溶接部位を含む領域を撮影して2次元画像を生成し、画像処理部は対象により異なる値を有する明度や色情報などに関する適当な閾値を用いて、溶接管理に利用される対象、たとえば溶接ワイヤ先端や溶接アークなどを明瞭に区分けできるようにすることが記載されている(段落0019)。また、特許文献1には、単一の撮像部が生成した2次元画像から溶接ワイヤ先端の3次元位置を算出するまでに、各種の式を用いることが記載されている(段落0022〜0029)。
また、特許文献1には、上記溶接位置計測装置において、さらに、前記撮像装置がそれぞれ分光感度特性の異なるフィルタを備えて感度の異なる複数の撮像機構をそれぞれ溶接部位をほぼ同じ方向から撮影するように配置し、前記画像処理機構が各撮像機構で取得した画像情報を合成した合成画像を生成することが開示されている。そして、特許文献1には、このように構成した場合に、輝度の異なる開先、溶融池、溶接トーチ、溶接ワイヤ、溶接アークなど全ての要素をそれぞれ区別して表示したり画像データにすることができ(段落0020)、また、画像処理機構が各撮像機構で取得した画像情報を合成した合成画像を生成することにより、周囲の事物と輝度の高い溶接アークなどの部分がそれぞれ適当な明るさで表現されるので、溶接状態を正確に把握することができ、溶接ワイヤの先端も明瞭に認識できる(段落0011)などと記載されている。
ところで、溶接ワイヤは一般に、断面がほぼ真円の円形で、芯線が鉄やアルミニウムにより構成されているが、溶接電流の給電効率を上げるとともに、溶接ワイヤの送給時の摩擦抵抗を低減するために、表面に銅メッキが施されている。そのため、溶接ワイヤの表面は、その面粗さが例えば0.8μmRz以下の鏡面となっている。
特許第3098008号公報
溶接中に溶接ワイヤの先端から発生するアーク光の輝度は非常に高くしかも大きく変動する。また、一般に、溶接を行う環境は屋内であり、屋内の天井や溶接設備内には蛍光灯などからなる照明が設けられている。しかしながら、上記特許文献1にあっては、アーク溶接中の輝度が非常に高くしかもその輝度が大きく変動するアーク光が発生している状態で溶接ワイヤを撮像するため、たとえ分光感度特性の異なるフィルタを備えて感度の異なる複数の撮像機構により撮影したとしても、アーク光の輝度の変動や、銅メッキによって鏡面となっている溶接ワイヤの表面が蛍光灯の光を反射するため、撮像機構が撮像した画像の輝度にムラが発生することなどにより、溶接ワイヤの輪郭を鮮明に撮像することは困難である。そのため、撮像画面中の溶接ワイヤ先端の2次元座標値を精度よく求めることができず、したがって溶接ワイヤ先端の3次元位置を精度よく算出することもできないことから、溶接位置の推定に大きな誤差を含むことになるという問題があった。
また、特許文献1にあっては、複数の撮像機構により撮影する場合でも、それぞれほぼ同じ方向から撮影して後に合成画像を生成するため、単一の撮像機構により撮影する場合と同様の撮影画像となる。そして、この撮影画像に基づいて溶接ワイヤ先端の2次元座標値を求めてから溶接ワイヤ先端の3次元位置を算出するまでに複数の式を用いて煩雑な演算をする必要があることから、画像処理が煩雑であり、容易に溶接位置を推定することができないという問題もあった。
本発明は、上述した従来の技術の問題を優位に解決するためになされたもので、アーク溶接機のトーチの先端から送り出された溶接ワイヤを鮮明に撮影して、精度よく容易に溶接ワイヤの位置を測定することができるアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、アーク溶接機のトーチから送り出された溶接ワイヤを撮影してその位置を測定する装置であって、前記トーチの中心軸延長線と直交する平面上の、互いに直交するX方向とY方向から前記溶接ワイヤをそれぞれ撮影して各画像データを出力するX方向カメラおよびY方向カメラと、前記溶接ワイヤを挟んで前記X方向カメラと反対側に配置されて前記X方向カメラに向けて第1波長帯域の光を発する第1波長帯域照明手段と、前記溶接ワイヤを挟んで前記Y方向カメラと反対側に配置されて前記Y方向カメラに向けて前記第1波長帯域とは異なる波長帯域である第2波長帯域の光を発する第2波長帯域照明手段と、前記第1波長帯域の光を透過し前記X方向カメラに撮影させる第1波長帯域フィルタと、前記第2波長帯域の光を透過し前記Y方向カメラに撮影させる第2波長帯域フィルタと、前記X方向カメラおよびY方向カメラが出力した画像データから、前記溶接ワイヤの位置を求める演算手段とを備えたことを特徴とする。
本発明では、アーク溶接を行う前の状態で、すなわち溶接ワイヤの先端からアークを発生させない状態で、溶接ワイヤを送給してトーチの先端から所定長さだけ送り出す。このとき、トーチの中心軸の延長線と直交する仮想の平面上において、互いに直交するX方向とY方向から溶接ワイヤの先端部をそれぞれ撮影するようにX方向カメラおよびY方向カメラが配置されており、また、X方向カメラおよび第1波長帯域フィルタと、Y方向カメラおよび第2波長帯域フィルタとが、溶接ワイヤを挟んで反対側にそれぞれ第1波長帯域照明手段および第2波長帯域照明手段が配置されている。第1波長帯域フィルタおよび第2波長帯域フィルタは、X方向カメラおよびY方向カメラに第1波長帯域および第2波長帯域の光をそれぞれ透過して撮影させるものである。そして、第1波長帯域照明手段と第2波長帯域照明手段は、異なる波長帯域の光を発している。第1波長帯域照明手段から発せられた第1波長帯域の光は、溶接ワイヤを挟んで第1波長帯域照明手段と反対側に配置された第1波長帯域フィルタを透過してX方向カメラに到達する。また、第2波長帯域照明手段から発せられた第2波長帯域の光は、溶接ワイヤを挟んで第2波長帯域照明手段と反対側に配置された第2波長帯域フィルタを透過してY方向カメラに到達する。溶接ワイヤを陰(影)とし溶接ワイヤ以外の部分を陽(第1および第2波長帯域照明手段から発せられ第1および第2波長帯域フィルタを透過した光)として撮影する。このとき、第1波長帯域の光は、鏡面となっている溶接ワイヤの表面で反射してY方向カメラに向かっても、第2波長帯域フィルタが透過させることはなく、したがって、Y方向カメラにより撮影されることはない。また、これと同様に、第2波長帯域の光は、鏡面となっている溶接ワイヤの表面で反射してX方向カメラに向かっても、第1波長帯域フィルタが透過させることはなく、したがって、X方向カメラにより撮影されることはない。そして、第1波長帯域フィルタおよび第2波長帯域フィルタが第1波長帯域と第2波長帯域の光のみをそれぞれ透過するため、X方向カメラおよびY方向カメラは、例えば室内の蛍光灯のような照明など、第1波長帯域および第2波長帯域以外の周囲の光を撮影することがない。その結果、X方向カメラおよびY方向カメラは、陰と陽の境界、すなわち溶接ワイヤの形状を鮮明かつ容易に撮影する。演算手段は、X方向カメラおよびY方向カメラから出力された鮮明な画像データから、溶接ワイヤの位置を求める。なお、演算手段は、画像データにおける影となる溶接ワイヤと、第1および第2波長帯域照明手段から発せられ第1および第2フィルタを透過した光との両側の境界(かかる境界をエッジという)のそれぞれの位置座標を求め、または、両エッジの溶接ワイヤの断面における中央つまり溶接ワイヤの中心位置座標を求め、さらに溶接ワイヤの両エッジの位置座標と溶接ワイヤの中心位置座標との両方を求めるよう構成することができる。そして、演算手段は、X方向カメラとY方向カメラとのから出力された画像データの視差誤差による位置座標のズレを修正することができる。
本発明によれば、アーク溶接機のトーチの先端から送り出された溶接ワイヤのエッジをX方向カメラおよびY方向カメラが鮮明に撮影して画像データを出力することができるため、精度よく容易に溶接ワイヤの位置を測定することができる。
なお、本発明により溶接ワイヤの位置を測定した後、溶接ワイヤのトーチから突出している部分を切断し、再度溶接ワイヤを送給してトーチの先端から所定長さだけ送り出してその位置を測定することを複数回繰返した際に、演算手段がさらに、これらの複数回検出した溶接ワイヤの中心位置の座標をトーチの中心軸延長線と直交する仮想の平面上のグラフにプロットし、このプロットした複数の座標からなる集団におけるトーチの中心軸の延長線に対する振れの最大幅と最小幅の方向を求めるよう構成することもできる。
このように構成した場合においては、アーク溶接を実際に行う際に、トーチから送り出された溶接ワイヤの、トーチの中心軸の延長線に対する振れの最小幅に対して直交する方向を溶接ルートに沿って移動させるトーチの方向として設定する。これにより、実際のアーク溶接を行う際に、溶接ワイヤの振れによる先端位置の誤差を減少させることができる。
また、このように構成した場合においては、複数の座標からなる集団のなかで最小幅方向における振れが最大となる溶接ワイヤの位置を、トーチの中心軸延長線上を中心として許容される振れ幅の最大位置に合わせて、トーチの位置を補正してアーク溶接を行う。これにより、溶接ワイヤによる給電チップの摩耗がトーチの中心軸延長線上を中心として振れ幅の反対側の最大位置まで許容されるため、トーチの給電チップの摩耗による寿命を延ばすことができる。
アーク溶接機の全体を説明するために示した概要図である。 トーチの実施の一形態を示した縦断側面図(a)と、縦断側面図(b)である。 本発明のアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置の実施の一形態を説明するために溶接ワイヤの断面方向から見た構成を示した概念図である。 本発明のアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置の、図3とは異なる実施の形態を説明するために溶接ワイヤの断面方向から見た構成を示した概念図である。 各素材毎の波長域に対する反射率を示したグラフである。 本発明のアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置において、X方向カメラおよびY方向カメラにより撮影した画像である。 本発明の第1フィルタおよび第2フィルタが無い場合の画像である。 本発明のアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置において、X方向カメラおよびY方向カメラにより撮影した画像の視差誤差を説明するために示した概念図である。 図8に示した視差誤差による位置座標のズレとその修正を説明するために示した概念図である。 演算手段により、複数回検出した溶接ワイヤの中心位置の座標をトーチの中心軸延長線と直交する仮想の平面上グラフにプロットして振れの最大幅と最小幅の方向を求め、最小幅の方向に対して直交する方向をトーチの移動方向として設定することを説明するために示した概念図である。 未使用の給電チップを使用するときの溶接ワイヤの位置の設定と、給電チップの寿命等を説明するために示した概念図である。
最初に、本発明の溶接ワイヤの先端位置検出装置が適用されるアーク溶接機の構成を図1および図2に基づいて説明する。
図1に示した実施の形態におけるアーク溶接機は、トーチ1が多関節ロボット2のアーム20の手首部21に取り付けられ支持されている。多関節ロボット2は、アーム20の駆動によりトーチ1の先端を溶接ルートに沿って移動させ、溶接姿勢に応じてアーム20に対して手首部21を旋回するよう、ティーチングされ制御される。
溶接ワイヤ3は、ペールパック30に巻かれた状態で収容されており、送給装置を介してロボット2のアーム20に支持されたトーチ1の基端部から先端部に延びている。送給装置は、対で構成され回転軸が互いに平行に配置されたローラを備えている。溶接ワイヤ3は、ローラ間で挟持され、ローラを回転軸周りに回転駆動することにより、ペールパック30から引き出され、トーチ1の先端から送り出される。
図2に示した実施の形態におけるトーチ1は、トーチ外筒10と、溶接ワイヤが軸方向に挿通され溶接ワイヤガイドする狙いガイド取付筒11と、トーチ外筒10と狙いガイド取付筒11との径方向における間に設けられた給電チップ取付筒12とを備えている。トーチ外筒10と狙いガイド取付筒11は、同軸状に配設されている。トーチ外筒10と狙いガイド取付筒11の中心軸線Cは、トーチ1の中心軸線Cを構成する。一方、給電チップ取付筒12は、軸13を中心に回動可能に支持されている。そして、給電チップ取付筒12は、トーチ外筒10及び狙いガイド取付筒11の中心軸線Cに対して傾き、狙いガイド取付筒11の先端から送り出される溶接ワイヤを給電チップ12aの孔の内周面と強制的に接触させるよう弾性押圧手段によって弾性的に押圧されている。図2に示した実施の形態の弾性性押圧手段は、圧縮ばね14により構成されている。
次に、本発明の溶接ワイヤの位置測定装置5の実施の一形態を、上述したように構成されたアーク溶接機に適用されるものである場合により、図3に基づいて詳細に説明する。
本発明の溶接ワイヤ3の位置測定装置5は、トーチ1の先端から所定の距離を離して、トーチ1の中心軸線Cの延長線と直交する仮想上の平面に配置された、X方向カメラ50、第1波長帯域照明手段51、および第1波長帯域フィルタ52と、Y方向カメラ60、第2波長帯域照明手段61、および第2波長帯域フィルタ62とを備えている。X方向カメラ50とY方向カメラ60は、上記仮想上の平面において、互いに直交するX方向とY方向を撮影し得るように配設されている。また、第1波長帯域照明手段51は、溶接ワイヤ3を挟んでX方向カメラ50と反対側に対向するよう配設されており、第2波長帯域照明手段61は、溶接ワイヤ3を挟んでY方向カメラ60と反対側に対向するよう配設されている。
図3に示した実施の形態では、面発光する膜状ELからなり、トーチ1の中心軸線Cの方向に沿って幅方向に屈曲され平面視でL字型に成形されてX方向カメラ50とY方向カメラ60に対向する面70a、70bを有する照明手段70が採用されている。この照明手段70のX方向カメラ50およびY方向カメラ60と対向する面70a、70bには、それぞれ全面に亘ってフィルム状の第1および第2バンドパスフィルタ71、72が貼り付けられている。
ここで、照明手段70により発する光の波長帯域の設定について、図5に基づいて説明する。上述したように、溶接ワイヤ3の表面は、銅メッキが施されており、鏡面状になっている。EL照明光に対して、銅は約570nm以上の波長域から反射率が高くなる。また、屋内の照明として汎用されている蛍光灯の分光放射強度は約450nmと約550nmで高くなっている。そこで、本実施の形態では、平面視でL字型に屈曲された膜状ELからなる照明手段70として、460〜540nmの波長帯域の光を発するものにより構成し、X方向カメラ50と対向する面70aに対して、460〜490nmの波長帯域(第1波長帯域)の光のみを透過する一方で第1波長帯域以外の波長帯域の光をカットする第1バンドパスフィルタ71を貼り付け、また、Y方向カメラ60と対向する面70bに対して、510〜540nmの波長帯域(第2波長帯域)の光のみを透過する一方で第2波長帯域以外の波長帯域の光をカットする第2バンドパスフィルタ72を貼り付ける。これにより、第1波長帯域の光を発する第1波長帯域照明手段51と、第2波長帯域の光を発する第2波長帯域照明手段61は、平面視がL字型に折り曲げてなる膜状ELからなる照明手段70が共通で、X方向カメラ50と対向する面70aと、Y方向カメラ60と対向する面70bにより構成することができる。
第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61を構成する照明手段70は、図3に示した実施の形態に限定されることはなく、例えば、図4に示すように、光を発するLEDなどの光源75、76と、光源75、76から発せられた光をX方向カメラ50およびY方向カメラ60と対向する各面70a、70bに拡散して反射する拡散反射シート77とにより構成することもできる。そして、両光源75、76が共に上記膜状ELからなる照明手段70と同様に、第1波長帯域と第2波長帯域を含む460〜540nmの波長の光を発するものである場合、拡散反射シート77のX方向カメラ50と対向する面77aに460〜490nmの波長域(第1波長帯域)の光のみを透過する一方で第1波長帯域以外の波長帯域の光をカットする第1バンドパスフィルタ71を貼り付け、また、拡散反射シート77のY方向カメラ60と対向する面77bに510〜540nmの波長域(第2波長帯域)の光のみを透過する一方で第2波長帯域以外の波長帯域の光をカットする第2バンドパスフィルタ72を貼り付けることにより、第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61を構成することができる。
またさらに、光源75、76と拡散反射シート77とを、X方向カメラ50に向かって発光させる部分と、Y方向カメラ60に向って発光する部分とに、個々に独立させて構成することもできる。この場合においては、X方向カメラ50と対向する拡散反射シート77に光を供給する光源75として、460〜490nmの波長帯域(第1波長帯域)の光を発するものにより構成し、Y方向カメラ60と対向する拡散反射シート77に光を供給する光源76として、510〜540nmの波長帯域(第2波長帯域)の光を発するものにより構成することができる。このように構成する場合には、図4に示した第1バンドパスフィルタ71と第2バンドパスフィルタ72をそれぞれ貼り付ける必要がなくなる。
なお、図3においては、第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61から発せられた光WX、WYがそれぞれX方向カメラ50とY方向カメラ60に到達する状態を矢印で示した。これに対して、図4においては、各光源75、76から発せられた光が拡散反射シート77により全面に亘って第1波長帯域と第2波長帯域の光WX、WYが均一に発せられることを矢印で表した。図4に示した第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61からそれぞれ発せられた第1波長帯域と第2波長帯域の光WX、WYも、図3に示した第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61からそれぞれ発せられた第1波長帯域と第2波長帯域の光WX、WYと同様に、第1波長帯域フィルタ52と第2波長帯域フィルタ62それぞれを透過してX方向カメラ50とY方向カメラ60に各々到達して撮影される。
第1波長帯域フィルタ52と第2波長帯域フィルタ62は、上述した第1バンドパスフィルタ71と第2バンドパスフィルタ72と同様の構成、すなわち、460〜490nmの波長帯域(第1波長帯域)の光のみを透過する一方で第1波長帯域以外の波長帯域の光をカットするフィルム状のフィルタと、510〜540nmの波長域(第2波長帯域)の光のみを透過する一方で第2波長帯域以外の波長帯域の光をカットするフィルム状のフィルタとによりそれぞれ構成することができる。
なお、本発明は、上述した波長帯域に限定されることはなく、たとえば屋内照明用の蛍光灯の光の影響を受けない環境の下では、図3に示した照明手段70または図4に示した光源75、76が発する光の波長帯域を400〜600nmに設定し、第1バンドパスフィルタ71および第1フィルタ52により透過させる第1波長帯域を400〜470nmに設定し、第2バンドパスフィルタ72および第2フィルタ62により透過させる第2波長帯域を490〜560nmに設定することもできる。そして、X方向カメラ50に向けて発する光(第1波長帯域)と第1波長帯域フィルタ52を透過する光の波長帯域に対して、Y方向カメラ60に向けて発する光(第2波長帯域)と第2波長帯域フィルタ62を透過する光の波長帯域を異なせることができれば、特に限定されることはない。
X方向カメラ50とY方向カメラ60は、溶接ワイヤ3の先端からアークが発生していない状態、つまりアーク溶接を実際にはまだ行っていない状況で、溶接ワイヤ3を撮影するもので、それぞれ毎秒所定コマ数(例えば毎秒30コマ)を撮影できるビデオカメラにより構成することができる。X方向カメラ50とY方向カメラ60は、溶接ワイヤ7のエッジを精度よく撮影することができる画素数を有するものであれば、たとえばCCDカメラやCMOSカメラを採用することができる。X方向カメラ50とY方向カメラ60の撮影レンズ全体を覆うように第1波長帯域フィルタ52と第2波長帯域フィルタ62を設けることが好ましい。
第1波長帯域照明手段51と第2波長帯域照明手段61、および、第1波長帯域フィルタ52が設けられたX方向カメラ50と第2波長帯域フィルタ62が設けられたY方向カメラ60は、それぞれ、例えば板状部材をトーチ1の中心軸線Cの方向に沿って幅方向に屈曲され平面視でL字型に成形されてなるステー8に取り付けることができる。そして、ステー8は、その基端部をトーチ1の外筒10に対して着脱可能に取り付けるよう構成することができる。さらに、X方向カメラ50とY方向カメラ60が撮影する位置は、トーチ1の中心軸線Cを延長した仮想線を中心として、トーチ1の給電チップ12aの先端から送り出される溶接ワイヤ3の先端がアーク溶接を行う位置、つまり給電チップ12aの先端から溶接位置までの長さに応じて、たとえば給電チップ12aの先端から15mmの位置に設定することができる。
なお、演算手段の構成とその処理内容については、上述した装置の作動と、この装置を使用して溶接ワイヤ3の位置を測定する方法で詳細に説明する。
次に、上述したように構成された装置の作動を、溶接ワイヤ3の位置を測定する方法と共に説明する。
本発明の装置は、実際にアーク溶接を行う前に、溶接ワイヤ3の振れの傾向を把握するために用いるものである。
最初に、溶接ワイヤ3の位置を測定するに先立って、トーチ1の中心軸線Cを延長した仮想線上であって、給電チップ12aの先端から溶接位置までの長さ、たとえば給電チップ12aの先端から15mm離れた位置で溶接ワイヤ3をX方向カメラ50とY方向カメラ60で撮影できるように、測定装置5のステー8をトーチ1の外筒10に取り付ける。すなわち、X方向カメラ50、第1波長帯域フィルタ52、および第1波長帯域照明手段51と、Y方向カメラ60、第2波長帯域フィルタ62、および第2波長帯域照明手段61とが配置されるトーチ1の中心軸線Cの延長線と直交する仮想上の平面は、給電チップ12aの先端から溶接位置まで離れた位置に設定される。
次いで、第1および第2波長帯域照明手段51、61を発光させた状態でX方向カメラ50とY方向カメラ60を稼働させた状態で、実際にアーク溶接を行うときと同様の速度で溶接ワイヤ3を送給装置により送り出す。
第1波長帯域照明手段51からX方向カメラ50に向かって発した第1波長帯域の光WXは、その一部が溶接ワイヤ3で遮られ、溶接ワイヤ3以外の部分(背景)が第1波長帯域フィルタ52を透過してX方向カメラ50に到達する。そのため、X方向カメラ50が撮影した画像データは、溶接ワイヤ3の部分が影となって輝度が低くなり、溶接ワイヤ3以外の部分の輝度が高くなる(図6 背景(第1波長帯域照明手段:高輝度))。そして、図3に矢印EYで示すように、第2波長帯域照明手段61から発した第2波長帯域の光WYが溶接ワイヤ3の表面で反射してX方向カメラ50に向かっても、X方向カメラ50の撮影レンズを覆うように配置された第1波長帯域フィルタ52を透過することができない。これと同様に、第2波長帯域照明手段61からY方向カメラ60に向かって発した第2波長帯域の光WYは、その一部が溶接ワイヤ3で遮られ、溶接ワイヤ3以外の部分(背景)が第2波長帯域フィルタ62を透過する。そのため、Y方向カメラ60が撮影した画像データは、溶接ワイヤ3の部分が影となってその輝度が低く、溶接ワイヤ以外の部分の輝度が高くなる(図6 背景(第2波長帯域照明手段:高輝度))。そして、図3に矢印EXで示すように、第1波長帯域照明手段51から発した第1波長帯域の光WXが溶接ワイヤ3の表面で反射してY方向カメラ60に向かっても、Y方向カメラ60の撮影レンズを覆うように配置された第2波長帯域フィルタ62を透過することができない。さらに、第1波長帯域フィルタ52と第2波長帯域フィルタ62が透過する光WX、WYの波長帯域は、図5に示したように、溶接設備が置かれている屋内の蛍光灯など照明の光の分光放射強度の高い波長域を避けて設定されているため、かかる蛍光灯などの屋内の照明の光がX方向カメラ50とY方向カメラ60のいずれにも撮影されることがない。そのため、図6に示すように、X方向カメラ50の画像も、Y方向カメラ60の画像も、輝度の低い部分と高い部分の境界、つまり、背景と溶接ワイヤとの境界が鮮明に撮影されることとなり、溶接ワイヤ3のエッジを明確に認識することができる。
これに対して、本発明のように第1波長帯域フィルタ52または第2波長帯域フィルタ62を設けることなく、ただ単に第1波長帯域照明手段51または第2波長帯域照明手段61から発した第1波長帯域または第2波長帯域の光WX、WYをX方向カメラ50またはY方向カメラ60で撮影した場合には、第1波長帯域照明手段51からX方向カメラ50に向かって発した第1波長帯域の光WXが溶接ワイヤ3の表面で反射してY方向カメラ60に撮影されたり、第2波長帯域照明手段61からY方向カメラ60に向かって発した第2波長帯域の光WYが溶接ワイヤ3の表面で反射してX方向カメラ50に撮影されたりする場合がある。そのため、X方向カメラ50とY方向カメラ60により撮影された画像データは、たとえば図7に示すように、溶接ワイヤ7の図における左半分の輝度の高低差が鮮明に表れても、溶接ワイヤ3の図における右半分の部分の輝度が高くなって背景の輝度に近づく、つまり右半分の部分が完全な影とならず、したがって図7における溶接ワイヤ3の右側のエッジにおける輝度の高低差が鮮明に表れないため、溶接ワイヤ3のエッジを明確に認識することが困難となる。
演算手段は、図6に示したように溶接ワイヤ3の両エッジが鮮明に撮影された画像データから、溶接ワイヤ3のX方向およびY方向における両エッジの座標位置を求め、また、両エッジの中央、つまり溶接ワイヤ3の中心位置についてX方向およびY方向の座標位置を求める。
ここで、X方向カメラ50とY方向カメラ60により撮影した画像データの視差誤差と、この視差誤差による位置座標のズレの修正を図8及び図9に基づいて説明する。なお、図8に示した例では、溶接ワイヤ3の代わりに、たとえば径が1mmの視差誤差の校正用ピン3’を用いる。
X方向カメラ50とY方向カメラ60の光学系を介して溶接ワイヤ3を撮影した画像データは、溶接ワイヤ3の位置によって、実際の溶接ワイヤ3の位置と誤差が生じる。この誤差を視差誤差という。図8に示した例では、トーチ1の中心軸線Cの延長線上のX、Y方向の位置座標を(0,0)として、ピン3’の中心の座標を(0,0)から単位長さ1.0だけX方向とY方向にプラスとマイナス方向にそれぞれ移動させて、このときのX方向カメラ50とY方向カメラ60で撮影した画像データから、校正用ピン3’の中心の位置座標を求める。校正用ピン3’を座標(−1.0,−1.0)の位置に移動させた場合、X方向カメラ50により撮影される校正用ピン3’の座標は絶対値で0.7となってズレが生じ、Y方向カメラ60により撮影される校正用ピン3’の座標も絶対値で0.7となってズレが生じる。また、校正用ピン3’を他の座標(−1.0,1.0)、(1.0,−1.0)、(1.0,1.0)の位置に移動させた場合でも、同様にX方向カメラ50とY方向カメラ60により撮影される校正用ピン3’の座標にズレが生じ、しかも、X座標とY座標に発生するズレの大きさが異なる。図9に示した実線は、これら4つの校正用ピン3’の位置座標の例における修正前の測定値を角部として結んだ線であり、図9に示した鎖線は、実際に校正用ピン3’を移動させたときの位置座標を角部として結んだ線である。図9に実際校正用ピン3’を移動させたときの位置座標を示した鎖線は、正方形となっている。これに対して、図9に修正前の測定値を示した実線は、視差誤差により正方形から歪んだ形状となっている。
そこで、演算手段には、視差誤差を修正するためのソフトウエアが予めインスト−ルされている。演算手段は、溶接ワイヤ3の位置を測定するに先立って、校正用ピン3’を用いてX方向カメラ50とY方向カメラ60により撮影された画像データから求められる校正用ピン3’の座標位置と、実際の校正用ピン3’位置座標とのズレを測定し(図9の実線)、ソフトウエアを用いて、図9に実線で示したX方向カメラ50とY方向カメラ60により撮影された画像データから求められる溶接ワイヤ3の中心位置の位置座標を、図9に鎖線で示したように実際の溶接ワイヤ3の中心位置の位置座標に修正することができる。
ここで、X方向カメラ50とY方向カメラ60は、上述したようにたとえば毎秒30コマの画像データを出力する。また、アーク溶接機の送給装置は、溶接ワイヤ3をたとえば20mm/秒で送り出す。そして、アーク溶接機の送給装置が溶接ワイヤ3をたとえば200mm送り出した時点で停止する。したがって、X方向カメラ50とY方向カメラ60は、溶接ワイヤ3の送り出し開始から停止するまでに300コマの画像データを出力する。そして、溶接ワイヤ3の先端から送り出された200mmの部分で切断して、再度同じ速度で溶接ワイヤ3を送り出しつつ、X方向カメラ50とY方向カメラ60で撮影する。この送り出した溶接ワイヤ3の撮影と、送り出された溶接ワイヤ3の切断とを所定回数繰返し、画像データから演算手段により求められる溶接ワイヤ3の中心位置座標を蓄積して、図10に示すようにトーチの中心軸線を中心とするグラフ上にプロットして点として示す。この溶接ワイヤ3の中心位置座標をプロットした各点は、それぞれトーチ1の中心軸線に対する溶接ワイヤ3の振れを意味し、またプロットした点の集合は、溶接ワイヤ3の振れの傾向を意味する。なお、図2に基づいて説明したように、トーチ1の給電チップ取付筒12が圧縮ばね14により押圧され、その結果、給電チップ12aの孔の内周面が溶接ワイヤ3を押す方向を図10に矢印Pで示す。給電チップ12aの孔の内周面が溶接ワイヤ3を押すことにより、トーチ外筒10の中心軸線Cに対して、溶接ワイヤ3が偏芯している。また、図10では、狙いガイド取付筒11(図2を参照)よりも先端におけるトーチ1の横断面図を示したため、狙いガイド取付筒11は示されていない。
演算手段は、図10に示したように、溶接ワイヤ3の中心位置座標のプロットした点の集合から、溶接ワイヤ3の振れ幅の最大と最小の方向を求め、さらに振れ幅最小の方向と直交する方向Mを求める。図10では、この直交する方向と、給電チップ12aが溶接ワイヤ3を押す方向Pとの間の角度をθで示している。この角度θで示された方向Mは、アーク溶接機の制御手段に入力され、溶接ラインに沿ってトーチ1を進行させる方向として設定する。これにより、溶接位置に対する溶接ワイヤ3の振れによる誤差を最小限にすることができる。
ここで、アーク溶接においては一般に、溶接ワイヤ3の中心位置座標の狙い位置に対して許容される振れ幅が設定されている。図11に示した例では、溶接ワイヤ3の中心位置座標の狙い位置を振れ=0として、プラスマイナス0.5mmの許容範囲(ワイヤ振れOK範囲)を設定している。給電チップ12aは、生産台数の累積に従って偏摩耗する。その結果、溶接ワイヤ3の位置は一方の側(図11ではマイナス側)に徐々に偏位することとなる。そして、溶接ワイヤ3の振れが設定された許容範囲を超えると、給電チップ12aを研磨したり整形するなどの手直しを行い、また、交換する必要がある。
従来では一般に、未使用の状態の電極チップ12aの使用開始時(生産台数:0)に溶接ワイヤ3の中心位置座標の狙い位置(当初狙い位置という)を振れ=0に設定していた。そのため、かかる場合には、図11に破線の範囲で示すように、溶接ワイヤの位置の偏位が速く溶接ワイヤ3の振れが設定された許容範囲を超えて、給電チップ12aの交換や手直しをする必要が、生産台数が比較的少ない時期に発生していた。
そこで、本実施の形態では、溶接ワイヤ3の振れが設定された許容範囲において、溶接ワイヤ3が偏位する傾向にある方向とは反対側の許容範囲の最大値(図11ではプラス側の0.5mm)に、図10に示した振れ幅の最小の方向のなかで、最大の振れが位置するように、溶接ワイヤ3の中心位置座標の当初狙い位置を設定する。これにより、生産台数の累積に伴って給電チップ12aが摩耗して溶接ワイヤ3が偏位しても、許容範囲(図11においてはマイナス0.5mm)を超えるまでの生産台数が従来よりも大幅に多く、したがって、給電チップ12aの交換寿命を大幅に向上させることができる。
1:トーチ、 12a:給電チップ、 2:ロボット、 3:溶接ワイヤ、 5:溶接ワイヤの位置測定装置、 50:X方向カメラ、 51:第1波長帯域照明手段、 52:第1波長帯域フィルタ、 60:Y方向カメラ、 61:第2波長帯域照明手段、 62:第2波長帯域フィルタ、 WX:第1波長帯域の光、 WY:第2波長帯域の光

Claims (1)

  1. アーク溶接機のトーチから送り出された溶接ワイヤを撮影してその位置を測定する装置であって、
    前記トーチの中心軸延長線と直交する平面上の、互いに直交するX方向とY方向から前記溶接ワイヤをそれぞれ撮影して各画像データを出力するX方向カメラおよびY方向カメラと、
    前記溶接ワイヤを挟んで前記X方向カメラと反対側に配置されて前記X方向カメラに向けて第1波長帯域の光を発する第1波長帯域照明手段と、
    前記溶接ワイヤを挟んで前記Y方向カメラと反対側に配置されて前記Y方向カメラに向けて前記第1波長帯域とは異なる波長帯域である第2波長帯域の光を発する第2波長帯域照明手段と、
    前記第1波長帯域の光を透過し前記X方向カメラに撮影させる第1波長帯域フィルタと、
    前記第2波長帯の光を透過し前記Y方向カメラに撮影させる第2波長帯域フィルタと、
    前記X方向カメラおよびY方向カメラが出力した画像データから、前記溶接ワイヤの位置を求める演算手段と
    を備えたことを特徴とするアーク溶接機の溶接ワイヤの位置測定装置。
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