JP2017101523A - 粘土焼成建材 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の設備にわずかの変更を加えるだけで対処でき、効果的に粘土焼成建材の軽量化と強度の両立を図ることを可能にする技術の提供。【解決手段】樋状の凹型湾曲形状の谷底線に沿って、ほぼ帯状の領域として裏側面釉薬層が形成された、前記湾曲形状を有する粘土焼成建材であって、前記粘土焼成建材がさらに、前記裏側面上の谷底線の少なくとも一方の端部に対向する表側面上の線状部分を横切る、隆起する部分構造を有し、かつ前記裏側面釉薬層が、前記隆起する部分構造に対応する裏側面部分に達するまでに終了していることを特徴とする粘土焼成建材。【選択図】図5

Description

本発明は、粘土瓦、粘土タイル、粘土煉瓦等の粘土焼成建材、特に粘土瓦に関する。
粘土瓦等の粘土焼成建材は、成形・乾燥した粘土質原料を焼成して製造されるものであることから、対候性、耐火性、防水性、遮熱性、遮音性、耐蝕性、美観等の多くの点で、他の材質の建材よりも優れた特徴を有している。しかし、かかる粘土焼成建材は、十分な機械的強度を確保するために、ある程度の厚みが要求され、重量が非常に大きくなってしまうという問題がある。このため、粘土焼成建材の輸送・施工等の容易性、あるいは建築物の軽量化等の要求に合致させるべく、強度を確保しつつも軽量である粘土焼成建材が切望されている。
かかる軽量粘土焼成建材として、これまで種々の試みがなされている。
たとえば、特許文献1、2等では、屋根瓦の平部の厚みを薄くすることにより軽量化を図るものの、それに伴う強度の低下に対しては、屋根瓦の裏側面に補強リブを設けることで強度の低下を補っている。同様に、特許文献3では、割れやすい中央部を肉厚にすることによって強度を向上させている。
また、特許文献4、5等では、多孔質形成材等を添加した粘土材料を用いて、中空多孔質体に焼成することで軽量化を図っている。また、特許文献6では、陶磁器用原料に熱硬化性樹脂成形品の粉砕物を添加して焼成することで、軽量化と強度の両立を図っている。
さらに、特許文献7では、平瓦を3枚縦に連結させた一体型瓦とすることで、施工する場合の重なり部分を除くことを可能にして軽量化させたとしている。
特開平10−325215号公報 特開平05−230937号公報 特開2007−224540号公報 特開2009−179548号公報 特開2007−210872号公報 特開2003−342057号公報 特開2012−202153号公報
加藤悦朗ら、「高強度磁気素地の曲げ強度に及ぼす施釉の効果」、日本セラミックス協会学術論文誌 98[5]504−09(1990) 秋月俊彦ら、「強化磁器の開発研究(1)強化磁器陶土の開発」、長崎県窯業技術センター研究報告(平成12年度)、第43−48頁 瓦屋根標準設計・施工ガイドライン 第23〜第25頁(図II−1−1,及び図II−1−2)、監修:独立行政法人建築研究所、発行:社団法人全日本瓦工事業連盟、全国陶器瓦工業組合連合会、全国厚形スレート組合連合会 平成13年8月13日発行、編集 瓦屋根標準施工ガイドライン委員会))
以上のように種々の試みがなされてはいるものの、これら公知の方法では、必ずしも既存の設備だけで容易に対処できるとは限らない。
そこで、既存の設備にわずかの変更を加えるだけで対処でき、それでもなお効果的に、粘土焼成建材の軽量化と強度の両立を図ることを可能にする技術が依然として切望されている。
本発明者らは、表側面から裏側面に向かう厚み方向に樋状の凹状湾曲形状を有する粘土焼成建材において、前記建材の裏側面上、前記凹状湾曲形状の谷底線に沿って、かつ該谷底線を含む、ほぼ帯状の釉薬領域として裏側面釉薬層を形成することで、瓦の曲げ破壊強度(JIS A 5208のJ形及びS形桟の曲げ試験)を向上する検討を行った。
この結果、驚いたことに、裏側面における谷底線の端部に対向する表側面上の線状部分を横切るように表側面上に、隆起する部分構造が形成されている場合、前記裏側面釉薬層を、前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に達するまでに終了するように形成することにより、該裏側面領域の部分までをも覆うように形成する場合よりも、前記建材の曲げ破壊強度が有意に高いことが明らかとなった(本発明の第一の態様)。
さらに本発明の第一の態様のより好ましい態様として、前記裏側面釉薬層の幅がある一定の範囲において、裏側面のほぼ全幅に亘って釉薬層を形成した場合よりも、曲げ破壊強度がより良好であることも見出した(本発明の第二の態様)。
より正確には、本発明の各態様は以下のとおりである。
(本発明の第一の態様)
すなわち、本発明の第一の態様は、表側面、裏側面及び前記2つの表面間の間隔である厚みを有する、粘土焼成建材であって、前記粘土焼成建材は、前記表側面から前記裏側面に向かう厚み方向に凹状に湾曲した、樋状の凹状湾曲形状を有し、
前記裏側面上、前記凹状湾曲形状の谷底線に沿って、かつ該谷底線を含むほぼ帯状の領域として裏側面釉薬層が形成され、
前記谷底線は、前記粘土焼成建材を仮に水平面上に設置した状態にしたとした場合に、前記樋状の凹状湾曲形状の最も低い部分を通る線状部分をいい、
前記粘土焼成建材がさらに、
前記裏側面上の谷底線の少なくとも一方の端部に対向する表側面上の線状部分を横切るように、隆起する部分構造を有し、かつ前記裏側面釉薬層が前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に達するまでに終了しており、
ここで、前記谷底線の端部とは、前記谷底線の一方の末端から他方の末端の方向に延び、前記谷底線方向の長さが前記谷底線の全長の24%以下の線状部分をいうことを特徴とする、粘土焼成建材である。
(本発明の第二の態様)
前記本発明の第一の態様において、前記裏側面釉薬層は、前記谷底線により、2つの施釉部分領域に分けた場合、前記2つの施釉部分領域の各々の幅が、それぞれ前記粘土焼成建材の裏側面の全幅の15〜30%の範囲内にあり、ここで、裏側面の全幅とは、前記粘土焼成建材の裏側面上、前記谷底線に垂直な方向の最大幅をいうことを特徴とする、粘土焼成建材である。
本発明の粘土焼成建材は、裏側面の特定領域に裏側面釉薬層を形成するという簡便な手段で、該粘土焼成建材強度を向上させることができ、この結果、該粘土焼成建材の厚みを薄くすることで軽量化させても、十分な強度を維持できる。
製造コストの観点からみても、既存の設備に裏側面の施釉工程を加えるだけであるため、有利である。
本発明の対象となりうる種々の粘土瓦の形状を示す図である(出典:非特許文献3、第25頁図II−1−2より抜粋)。 本発明の典型例的対象であるJ形桟瓦の各部位の名称を説明する図である(出典:非特許文献3、第23頁図II−1−1より抜粋)。 谷底線及び裏側面釉薬層のおおよその位置関係の一例を示すためのJ形桟瓦の裏側面の平面図及び横面図である。なお、図中の(a)、(b),(c)の帯状領域それぞれは、瓦を設置した場合に隣接する瓦と重なり合う部分を示すが、通常、(a)部分の裏側面も施釉されている場合が多く、(b)部分の裏側面にも少なくとも一部が施釉されている場合が多い。もっとも、以下の本願発明の説明では、これらの(a)、(b)の裏側面の施釉状況については特に言及しない。 曲げ試験後のJ形桟瓦を裏側面から観察した写真である。J形桟瓦の裏側面に合計幅12cmの帯状に施釉されている。なお、写真において上部が尻側、下部が頭側になるように置かれている。 本発明における建材の種々の表側面隆起部分構造と裏側面釉薬層の関係(a1)〜(a3)を示す、建材部分の断面図(谷底線に沿って切断)である。 試験例4で用いたJ形瓦の裏側面に形成された穴の配置を示す平面概略図である。
[1]本発明の対象について
(1−1)
本発明では、表側面から裏側面に向かう厚み方向に凹状に湾曲した、樋状の凹状湾曲形状を有する粘土焼成建材を対象とする。
ここで、「樋状の凹型湾曲形状」とは、断面形状がU字の溝型樋に例えることのできる形状の凹型湾曲形状をいい、粘土焼成建材の表側面上、線状に延びて配置された凹型湾曲形状のことをいう。
本発明の典型対象としては、J形桟瓦、S形桟瓦、J形軒瓦、J形袖瓦等を挙げることができる(図1参照)。
(1−2)
「樋状の凹型湾曲形状」を有する粘土焼成建材において、説明の便宜上、その裏側面上に谷底線の概念を導入する。
ここにいう谷底線とは、本態様の粘土焼成建材を水平面上に設置した状態にした場合に、前記樋状の凹状湾曲形状の最も低い部分を通る線状部分をいう。このような谷底線上の少なくとも一部において、設置表面からの応力がかかることから、該谷底線に沿って、割れが生じやすいと考えられる。
より具体的には、前記線状方向に延びた「樋状の凹型湾曲形状」が、粘土焼成建材の互いに対向する一対の辺上に形成する2次元の凹型曲線それぞれについて、前記粘土焼成建材を水平面上に設置した状態にした場合に、最も低くなる点同士を結んだ裏側面上の直線として定めることができる。
典型的な対象であるS形ないしJ形桟瓦等では、通常、谷底線は建材の対向する一対の辺に略垂直に配置されているが、必ずしもこれに限らず、垂直から多少ずれていてもよい。
また、谷底線により、粘土焼成建材の裏側面は通常、おおよそ同程度の表面積の領域に2分割される。より具体的には40:60〜60:40程度の面積比の領域に2分割されることが好ましい。
本態様の典型例であるS形ないしJ形桟瓦を例にとれば、これらの瓦が瓦桟木と直接接触することによって形成される線状部分を1枚の瓦全体に延長した線が前記谷底線にほぼ対応する。
S形ないしJ形桟瓦には通常、裏側面の尻に一対の引っ掛け爪を有しており、該引っ掛け爪により瓦桟木の上面に瓦を引っ掛けることで瓦が載置されている。このため、前記谷底線は、通常、一対の引っ掛け爪の間のいずれかを通過するものと考えられる(図3参照)。
さらにJ形桟瓦には通常、裏側面の尻に安定駒が備えられ、瓦桟木の上面に瓦を引っ掛けた際に安定駒が支えとなって、瓦がぐらつかないように安定化される。このため、瓦が瓦桟木と接することによって形成される線状部分を容易に同定しうる。
しかし、このような安定駒がない場合、瓦のぐらつきにより、前記谷底線が一意的に定まりにくい場合も考えられる。このような場合でも、引っ掛け爪等により本来あるべき設置位置が明らかな場合には、これを基準にして谷底線を定めることができる。もっとも、どうしても不明な場合には、瓦のぐらつきにより瓦が瓦桟木と接することによって形成される線状部分が掃く領域の中間点を連結する線状部分を谷底線として採用してもよい。
下記の表1には、各種市販J形桟瓦の谷底線の位置と引っ掛け爪との位置関係を示す。これによると、谷底線は、J形桟瓦の裏面尻側にある2つの引っ掛け爪の中間点に近い部分を通過するが、より厳密には、2つの引っ掛け爪の中間点よりも、やや水返し側に寄った、あるいはやや桟山側と反対側に依った部分を通過することがわかる。
なお、下記表にいう長さは、瓦を仮に水平面上に設置した状態に載置した場合に、該水平面上に投影した長さを意味する。
*1:瓦の形状区分53B
長さA:295mm,幅B:315mm;
働き長さa:225mm,働き幅b:275mm
なお、表中の5種の石州瓦は、いずれも製造メーカーが異なる。
*2:瓦の形状区分53A
長さA:305mm,幅B:305mm;
働き長さa:235mm,働き幅b:265mm
なお、表中の5種の三州瓦は、いずれも製造メーカーが異なる。
*3:働き寸法(働き長さ、働き幅)とは、屋根を葺く際の重なりや、はぜ組み等により、有効寸法が小さくなることを考慮に入れた、瓦の有効寸法のことである。
(1−3)
なお、本発明の対象となる粘土焼成建材は樋状の凹状湾曲形状を有するため平坦ではない。このため、本願発明の対象についての長さや面積を問題にする場合(たとえば、谷底線方向の長さ、谷底線の全長、谷底線に垂直な方向の幅、施釉部分領域の表面積、裏側面の全幅等)、粘土焼成建材を仮に水平面上に設置した状態とした場合に、該水平面上に垂直に投影された平面上の値として前記長さや面積を見積もることができる。
[2]粘土焼成建材について
本発明にいう粘土焼成建材とは、粘土を材料として1000〜1250℃程度の高温で焼成する工程を含む製造過程によって製造された粘土瓦、粘土タイル、粘土煉瓦等の建材、典型的には粘土瓦を指す。
これらの粘土焼成建材は、一般には、土練機から押し出されて板状に成形された粘土を金属製の型に入れプレスして、建材に成形する成形工程と、成形された建材を乾燥する乾燥工程と、施釉された建材を焼成する焼成工程とを経て製造され、任意工程として、乾燥工程と焼成工程の間に、乾燥された建材の表側面に釉薬(「表側面釉薬層」)を塗布する施釉工程を含めてもよい。
本発明においては、乾燥された建材の裏側面の特定の一部領域にほぼ帯状に、裏側面釉薬層を形成することが特徴になっている。この工程は乾燥工程と焼成工程の間に行うことができるが、任意工程である表側面釉薬層の形成の際に用いる既存の設備に、裏側面の施釉工程を加えるだけであるため、コスト面でも有利である。
ここで、表側面とは、板状形状の建材を設置する場合に、外部側に置かれるべき表面を指し、裏側面とは、前記表側面とは反対側の表面を指す。
また、本発明においては、裏側面の特定一部領域の釉薬処理により粘土焼成建材の曲げ破壊強度を向上させることができるため、十分な強度を維持しつつ厚みを小さくすることにより軽量の粘土焼成建材を提供できる。本発明の提供できる粘土焼成建材の厚みとしては、好ましくは12mm〜16mmとすることができ、さらには6mm〜12mmの薄さの軽量品を与えることも可能である。
なお、ここにいう曲げ破壊強度は鋼製板上において3点曲げ破壊荷重測定により測定されるものであり、JIS A 5208に規定されるJ形及びS形桟瓦(試験体桟瓦)の曲げ試験に準じて測定される。但し、JIS A 5208にいう、荷重をかける中央の荷重用鋼製丸棒(直径30mm)は、その中心軸ができるだけ谷底線の直ぐ上になるように配置する。また、試験体桟瓦の左右下側にそれぞれ配置される2本の支持用鋼製丸棒(直径30mm)は支持用鋼製丸棒と平行となるように配置される(桟瓦の場合、2本の支持用鋼製丸棒の間隔は200mm)。この際、各支持用鋼製丸棒を試験体桟瓦に密着させると共に試験体桟瓦をほぼ水平に支持するために、隙間が生じて安定しない場合には支持用鋼製丸棒と桟瓦の間に適当なゴム板を挿入してもよい。
なお、試験体の長辺の長さが200mm以下である等、試験体の大きさが比較的小さく、2つの支持用鋼製丸棒の間隔を200mmとすることが困難な場合には、2つの支持用鋼製丸棒の間隔を、試験体の外接矩形の長辺長さの83%に相当する間隔としてもよい。
また、本発明においては、単位面積当たりの重量としては、3.52〜2.58g/cm2とでき、さらには2.58〜1.30g/cm2のより軽量な粘土焼成建材を与えることも可能である。なお、ここにいう単位面積当たりの重量は、粘土焼成建材を平坦な水平面上に本来設置すべき状態で載置した状態に置き、該水平面上に垂直に投影される粘土焼成建材の2次元平面形状の面積を全面積基準にして計算する。
もっとも、本発明の対象となりうるJ形ないしS形瓦の場合、より簡便には、JIS A 5280表2に定められている各種寸法区分の桟瓦の長さA及び幅Bを有する矩形の面積として、単位面積当たりの重量を計算する基準となる全面積を求めることができる。
[3]裏側面釉薬層について
(3−1)
本発明においては、粘土焼成建材の裏側表面上、樋状の凹状湾曲形状の谷底線に沿って、かつ該谷底線を含むほぼ帯状の釉薬領域として裏側面釉薬層が形成される。
また、用いる釉薬としては、任意の公知の釉薬を用いることができるが、少なくとも珪素及びアルミニウムを含む組成の釉薬、より具体的には、主にSiO2:37%、Al23:9%、MnO:23%、Fe23:7%、CaO:6%程度を含む組成の釉薬が、溶融と凝固の観点で好ましい。
(3−2) 本発明の第一の態様
本発明の第一の態様では、粘土焼成建材の裏側面上の谷底線の少なくとも一方の端部に対向する表側面上の線状部分を横切るように、隆起する部分構造が形成され、かつ前記裏側面釉薬層が、前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に至るまでに終了している。
驚いたことに、裏側面釉薬層の端部が前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に至るまでに終了する、より好ましくは前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域のより直前で終了することが、建材の曲げ破壊強度に有利に働くことが見出された(試験例1参照)。
ここで、前記「谷底線の端部」とは、前記谷底線の一方の末端から他方の末端の方向に延び、前記谷底線方向の長さが前記谷底線の全長の24%以下の線状部分をいう。もっとも、裏側面釉薬層の谷底線方向の長さをより確保する観点からは、該谷底線方向の長さが、谷底線の全長の15%以下であること、したがって、「隆起する部分構造」が粘土焼成建材の辺により近いところで谷底線に対向する表側面の線状部分を横切ることが好ましい。
隆起する部分構造は、建材の裏側面上の谷底線の両端部のうち一方の端部に対向する表側面上の線状部分を横切る態様が通常であるが、さらに谷底線の他方の端部に対向する表側面上の線状部分をも横切る態様でもよい。この場合、両端部に対向する表側面上の線状部分を横切る隆起する部分構造はそれぞれ別個の部分構造でもよいし、連続した部分構造でもよい。このように谷底線の両端部にそれぞれ隆起する部分構造がある場合、本願発明では少なくとも一方の隆起する部分構造について、裏側面釉薬層の前記終了条件(「前記裏側面釉薬層が、前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に至るまでに終了」)を満たすことが必要であるが、さらに好ましくは両方の隆起する部分構造について、裏側面釉薬層の前記終了条件を満たすことが好ましい。
さらに、「横切る」には、隆起する部分構造が、谷底線端部に対向する表側面上の線状部分を完全に横切る場合のみならず、隆起する部分構造が前記線状部分上に存在する限りは、前記線状部分で途切れている場合も含む。
また、「谷底線端部に対向する表側面上の線状部分」とは、水平面上に粘土焼成建材を設置したとした場合に、この表側面上の線状部分をこの水平面上に垂直に投影した際に通過する裏側面上の線状部分が、前記した谷底線端部と一致するような表側面上の線状部分のことをいう。
さらに、「隆起する部分構造に対向する裏側面領域」とは、水平面上に粘土焼成建材を設置したとした場合に、表側面の隆起部分構造をこの水平面上に垂直に投影した際に通過する裏側面領域のことをいう。
以下、「対向する」との文言が用いられた際には、これらと同様の意味に解してよい。
(3−2−1)
前記隆起部分構造としては、粘土焼成建材の厚みを増やす任意の部分構造が含まれるが、より具体的には、雨水が建材の表側面から裏側面へ流れ落ちることを防止するための水返し壁、水返し段差壁(試験例1参照)等が例示できる。
これらの隆起構造は通常、建材の辺に沿って形成されているが(したがって、およそ垂直ないし、それに近い角度で谷底線端部に対向する表側面の線状部分を横切る)、多少ずれて形成されていてもよい。
より具体的には、試験例1で用いたJ形瓦では、表側面から裏側面に雨水が回りこむのを回避するために、瓦の尻側近傍領域内に隆起部分構造[3段の段差(高さがそれぞれ約1mm)]が形成され、谷底線に対応する表側面の線状部分において尻側に厚みが2mmまで増加している[図5(a2)参照]。
そして、この試験例では、J形瓦の尻側から種々の無施釉幅を採ることで、谷底線に沿って種々の長さの裏側面釉薬層が形成され、それぞれの建材の曲げ破壊強度(JIS A 5208に規定されるJ形およびS形瓦の曲げ試験に準じて測定)が測定された。その結果、前記隆起部分構造に対向する裏側面領域を含んで裏側面釉薬層を形成した場合よりも、前記隆起部分構造に対向する裏側面領域にまで至らない、すなわち前記隆起部分構造に対向する裏側面領域を含まないように裏側面釉薬層を形成した場合の方が曲げ破壊強度が有意に高かった。これは単純に施釉面積を増やせば強度が向上するとの予想に反する結果である。
さらに、前記隆起部分構造に対向する裏側面領域を含まない裏側面釉薬層の中でも、前記隆起部分構造に対向する裏側面領域に近いところまで施釉した方が曲げ強度が向上する傾向がみられた。
これは、曲げ破壊試験において負荷をかけられる谷底線上の線状部分における強度の均一性に関係するものと考えている。すなわち、谷底線端部に対向する表側面上の線状部分を隆起部分構造が横切る場合、隆起による厚みの増加によって、谷底線上の線状部分等における強度は、隆起部分では増加し強度が不均一になっている。しかし、前記隆起部分構造に対向する裏側面領域を覆わない範囲内で裏側面釉薬層を形成することで、釉薬層の強度向上効果により、前記強度の不均一性が解消する方向に働く。これは前記隆起構造に近いところまで裏側面釉薬層を形成することで、この傾向はより高まる。しかし、裏側面釉薬層が前記隆起部分構造に対向する裏側面領域まで覆ってしまうと、かかる不均一性の解消は期待できない。隆起部分構造部分と非隆起部分構造部分とがいずれも裏側面釉薬層による同様の強度向上を受けるためである。
(3−2−2)
また、「隆起する部分構造」は、目視で隆起と確認できる程度のものが含まれるが、曲げ破壊強度に影響を及ぼしうる程度の急激な建材厚みの変化を伴うとの観点からは、谷底線上において、隆起開始点と隆起極大点とを結んだ線が谷底線となす角度が、少なくとも45°となる程度に急激に隆起している構造を例示できる。ここで、隆起極大点とは、隆起開始点から谷底線に沿って隆起する方向に移動した場合に、隆起高さが最初に極大に達する点をいう。典型的には粘土焼成建材の厚みDとして0.05D〜0.2D程度の高さ(典型的には高さが1〜3mm程度)の隆起が挙げられ、試験例1のようにこのような隆起が複数集まって段差構造を形成していてもよい。
なお、ここにいう粘土焼成建材の厚みDは、原則として粘土焼成建材の裏側面谷底線の中央点(谷底線の全長の半分の位置にある谷底線上の点)における厚みで代表することができる。もっとも、中央点部分に付属構造が形成され、隆起ないし陥没している場合には、谷底線中央点から出発して谷底線に沿ってそれぞれの方向に移動した場合に、前記付属構造が丁度なくなる点(合計2点)における厚みを数平均してもよい。以下にあらわれる本態様の粘土焼成建材の厚みDも、同様である。
また、「隆起する部分構造」は、瓦の辺(隆起部分構造側)にまで形成されていてもよいが[たとえば図5(a1)]、図5(a3)のように瓦の辺にまで及んでいないものでもよい。もっとも、何れの場合にも、「隆起する部分構造」は谷底線の一方の末端(隆起部分構造側)から数えて谷底線方向に、少なくとも谷底線の全長の8.5%、より好ましくは9%、より好ましくは9.5%、更に好ましくは10%を超えたところにも少なくともその一部の部分構造が存在していることが好ましい。
さらに「隆起する部分構造」の谷底線方向の長さとしては、谷底線の全長の24%以内であれば任意に定めることができるが、谷底線の全長の3%〜24%とすることもできる。
さらに、「隆起する部分構造に対向する裏側面領域に至るまでに終了」とは、裏側面釉薬層が、隆起する部分構造に対向する裏側面領域を覆わないことをいう。このため、隆起部分構造の表側面上における谷底線に垂直な方向の長さが比較的短く、裏側面釉薬層の谷底線に垂直な方向の幅よりも狭い場合、裏側面釉薬層が、たとえば、隆起する部分構造に対向する裏側面領域の周囲を囲うように施釉されている態様等も含む。
(3−3)本発明の第二の態様
本発明の第二の態様は、前記本発明の第一の態様のより好ましい態様である。
すなわち、本発明の第二の態様では、本発明の第一の態様において、さらに裏側面釉薬層の特定範囲の幅(建材裏側面上、谷底線に垂直な方向の幅)を規定する。
すなわち、本発明の第一の態様において、裏側面釉薬層は、谷底線により、2つの施釉部分領域に分けた場合、前記2つの施釉部分領域の各々の幅が、それぞれ前記粘土焼成建材の裏側表面の全幅の15%〜30%の範囲内にある。
これは、曲げ破壊強度の観点で好ましい(試験例2)。広く施釉すればするほど強度はあがるのではとの単純な予想に反するが、これは理論に縛されないものの、施釉部位と無施釉部位の界面の位置が、該界面付近の変形により応力がより分散しやすい位置にあるためではないかと推論している。
特に曲げ強度向上の観点からは、前記2つの施釉部分領域が、谷底線を対称軸として対称に配置されていることが好ましい(試験例5参照)。
ここで、前記2つの施釉部分領域の各々の幅は、各施釉部分領域の面積を該施釉部分領域の谷底線方向の長さで割り算することによって得られる平均の幅として求めることができる。
また、粘土焼成建材の裏側面の全幅は、前記粘土焼成建材の裏側面上、前記谷底線に垂直な方向の最大幅をいう。典型的な対象例であるJ形桟瓦、S形桟瓦、J形軒瓦、J形袖瓦等の瓦においては、JIS A 5208表2にいう幅Bの値を採用することができる。
そして、前記2つの施釉部分領域の各々の面積は、本態様の粘土焼成建材を水平面上に設置した状態にした場合に、該水平面上に、裏側表面、2つの施釉部分領域の各々を垂直に投影して得られる水平面上における面積をいう。
[4]その他の好ましい態様
(4−1)
本発明の第一〜第二の態様において、さらなる良好な曲げ破壊強度の観点(JIS A 5208のJ形及びS形桟瓦の曲げ試験のように、建材裏側面の谷底線に沿って鋼製丸棒で加圧するタイプの負荷に対する曲げ強度)からは、
裏側面釉薬層の谷底線方向の長さが、谷底線の全長の少なくとも40%である本発明の第一〜第二の態様の粘土焼成建材であって、
(i)前記裏側面釉薬層により覆われた建材の裏側面領域のうち、前記谷底線ないしその近傍の領域であって、該領域に属する各点が前記谷底線の両末端が属する辺からそれぞれ、前記谷底線方向に、少なくとも前記谷底線の全長の14%、より好ましくは少なくとも9%離れている建材裏側面領域、
又は
(ii)該(i)の建材裏側面領域に対向する建材表側面領域、
が平滑であることが好ましい。
ここでいう裏側面釉薬層の谷底線方向の長さとは、ほぼ帯状の裏側面釉薬層における谷底線方向の長さの最大値として定義する。この裏側面釉薬層の谷底線方向の長さは少なくとも40%であるが、より好ましくは45%以上であり、その好ましい上限値の点では、91.5%以下、より好ましくは70〜87%である。
また、ここでいう「平滑」とは、より具体的には、建材表面領域が隆起ないし陥没する部分構造(たとえば補強リブ等の隆起構造、陥没孔ないし貫通孔の陥没構造、段差構造等)を有しないことをいう。かかる部分構造は、たとえば金型を用いたプレス成形により形成されたものが例示できる。
かかる隆起ないし陥没する部分構造及びその周辺の領域に、負荷がかかった場合、建材の厚みが急激に変化していることにより、この領域における負荷に伴う変位量もほとんど不連続となり、歪みが生じやすくなる。その結果、前記隆起ないし陥没する部分構造は本来的に曲げ破壊の起点となりやすい。
このため、特に負荷のかかりやすい前記(i)又は(ii)、より好ましくは前記(i)、更に好ましくは(i)及び(ii)の建材表面領域にかかる隆起ないし陥没する部分構造がないことが、良好な曲げ破壊強度の観点からそもそも有利となる。
また、谷底線の近傍とは、粘土焼成建材の厚みをDとしたときに、谷底線に沿って両側にそれぞれ延びる0.75Dの幅のほぼ帯状の領域(合計で1.5Dの幅)、言い換えれば、前記谷底線を中心としてこれに垂直に1.5Dの幅を前記粘土焼成建材の裏側面上に有し、前記谷底線に沿った方向に延びるほぼ帯状の領域をいう(試験例4参照)。
なお、前記(i)において、少なくとも谷底線の全長の14%、より好ましくは9%離れていることを要求したのは、粘土瓦等において、谷底線の両端部に部分構造を有する場合が多いことを考慮したものである。
さらに、さらに前記(i)又は(ii)のより好ましい態様として、
裏側面釉薬層の谷底線方向の長さが、谷底線の全長の少なくとも40%である本発明の第一〜第二の態様の粘土焼成建材であって、
(iii)前記裏側面釉薬層により覆われた建材の裏側面領域のうち、該領域に属する各点が前記谷底線の両末端が属する辺からそれぞれ、前記谷底線方向に、少なくとも前記谷底線の全長の14%、より好ましくは9%離れている建材裏側面領域、又は
(iv)該(iii)の建材裏側面領域に対向する建材表側面領域、
が平滑であることが好ましい。
言い換えれば、前記(i)及び(ii)の態様のうち、特に裏側面釉薬層により覆われた建材の裏側面の全面[前記(iii)]、又はこれに対向する建材表側面領域が平滑であることが好ましい。
(4−2)
本発明の第一〜第二の態様において、粘土焼成建材の表側面上、少なくとも70%の表面上に表側面釉薬層を形成してもよい。
これは通常の周知の施釉工程であり、任意の公知の釉薬を用いることができる。
[5]先行技術との関係
引用文献2は、裏面に補強リブを設けることで軽量化を図る技術を中心に記載しているものの、別途、引用文献2の請求項6、段落0015、0078〜0083,0086〜0092、0098及び請求項6;特に請求項6、段落0079、0089及び0098には、瓦本体の裏面の一部分の肉厚を薄く形成し、しかる後に、瓦本体より低融点の釉薬を少なくとも裏面の一部以上に施した後、所定温度で焼成した軽量瓦も記載されている。これによると、キレ、ヒビ割れ等に基づく強度低下が全く無くなる様に、釉薬がキレ、ヒビ等に入り込み、バインダーとして作用させ、一体化を図り、理論値通りの強度を得ることができると共に、見掛け上、肉厚を増加できるため、従来品に比し強度的に何ら遜色のない軽量化した屋根瓦とすることが出来るとしている。そして、その一例として例1や例3(引用文献2の段落0087〜0092参照)には、裏面の一部である中央部位34が釉薬処理された瓦(J形瓦と考えられる)が作製されている(引用文献2の図63等参照)。
引用文献2の実施例で具体的に示される瓦は、J形瓦であり本発明の対象と共通している。
しかし、谷底線端部に対応する表側面上の線状部分に隆起する構造があるか否かについては、明確ではない。
また、仮に谷底線端部に対応する表面側面上の線状部分に隆起する構造があったとしても、引用文献2の図34等に中央部位34で指定される裏側釉薬層[引用文献2の段落0086,0089(例1)]では、特に裏側釉薬層の谷底線方向の位置についての限定について、何らの記載も示唆もない。
したがって、引用文献2には本願発明の第一の態様につき記載も示唆もないと言わざるをえない。
さらに、引用文献2は単に「裏面の一部分」(引用文献2の段落0086,0089)とあるだけであり、さらにどの程度の幅で裏側施釉したのかについても、何らの明示の記載もない。引用文献2の図63には、施釉されたとされる帯状の中央部位34が図示されてはいるが、これもあくまで概略図にすぎず、何処まで正確にこの図面から読み取ることができるかについては不明である。
したがって、この意味においても、本発明の第二の態様につき記載も示唆もない。
さらに、引用文献2には、裏側面釉薬層が、谷底線を対称軸として対称に配置するのが好ましいことについての何らの記載も示唆もない。
瓦製造用粘土として、石州瓦製造用粘土(荒地A)を用いた。
下記の表2に粒度分布を示す。なお、粒度分布は、JIS A 1204(2009)の沈降測定により調べたものである。
[試験例1]
石州瓦製造会社が、石州瓦製造用粘土として荒地Aを用いて製造した表側面施釉後のJ形の白地粘土瓦[表側面施釉済み、寸法区分53B(長さ:295mm、幅315mm)、JIS A 5208の表2参照]の裏側面に、銀黒色(主にSiO2:37%、Al23:9%、MnO:23%、Fe23:7%、CaO:6%程度を含む))を用いて施釉した。
なお、このJ形瓦の表側面には、瓦の尻のほぼ全長に亘って、尻から頭に向かって38mmの長さの領域[谷底線の全長の12.9%(=100×38/295)]に3段の段差(水返し壁)が形成され、尻側方向に厚みが厚くなっている[1段差につき1mm、合計2mm、各段差の谷底線上における傾斜角(隆起開始点と高さが最初に極大となる点との間を結ぶ線分と隆起開始点上の平面とのなす角度)はそれぞれ45度またはそれ以上、図5(a2)参照]。前記3段の段差は、図5(a2)においてa=11.3mm,b=13.5mm,c=14.5mm、d=19.1mm、e=12.8mm,f=50mmに相当する。
施釉範囲は、尻からそれぞれ2.5、5、7及び9cm離れた所から谷底線を中心線として、その両側にそれぞれ7cm幅(合計14cm幅)で粘土瓦の頭までとした。施釉後、約1時間室温で乾燥させた後に、電気炉を用いて時間当たり100℃の昇温速度で1185℃まで加熱し、40分間保持した後に炉冷した。得られた板状試験体は吸水率を測定した後に、110℃で24時間乾燥し、曲げ破壊荷重(JIS A 5208に規定されるJ形およびS形瓦の曲げ試験に準じて測定)の測定を行った。測定には島津製オートグラフ(AG−2000C)を用いて行った。測定結果と尻から2.5cm無施釉の瓦に対する曲げ破壊荷重の向上率を表3に示す。なお、測定はそれぞれの瓦に付いて3枚行い、平均値を求めた。測定後に瓦の厚みを測定したところ14mmであった。
この表から、施釉幅が14cmの場合(裏側面全幅の44.4%の合計施釉幅)、尻からの無施釉幅を5cm(裏側面施釉層に含まれる谷底線の割合は83.1%)とすると最も曲げ破壊強度が高まることが分かる。
無施釉幅が小さくなる、すなわち施釉面積が増加することにより曲げ破壊荷重が増加することは、施釉により破壊の起点となる欠陥が減るためと考えられる。しかし無施釉幅が5cmから2.5cmと小さくなると逆に強度が低下している。この要因として、瓦尻部周辺の素地の厚さが影響していると考えられる。2.5cmと5cmの間には、瓦の表側面に雨水が裏側面に回り込むのを防ぐための段差(約1mm程度)が形成されており、尻から38mmの幅で谷底線端部に対向する表側面上の線状部分を横切っている。そのため段差から尻までの素地は頭から段差(水返し壁)までよりも厚さが約2mm厚くなっている。強度は厚くなると大きくなることから、段差を境に素地の強度は大きくなる。強度が大きくなると荷重による変形は小さくなる。このことと実験結果を併せて考えると、無施釉幅が5cmの場合は段差から尻部に施釉がなされておらず、素地が厚くなっている部分の強度は釉薬によって高められていない。他方、無施釉部分が2.5cmの場合は施釉によって段差近傍の素地が2mm厚くなった部分の強度が高められている。すなわち、2.5cmの場合と5cmの場合では段差周辺の素地の強度に違いがある。このことから、5cmの場合は段差を境にした素地の強度差は2.5cm場合の差よりも小さいと判断できる。すなわち、曲げ破壊試験において負荷される谷底線上部分(あるいはより正確には、谷底線に対向する表側面の線状部分)における強度の均一性が無施釉幅5cmの場合の方が無施釉幅2.5cmの場合よりも大きく、線状負荷をかけた際の歪みもより少ないと考えられる。
曲げ破壊試験時に押し棒が瓦の表面に沿って荷重できれば素地強度が高い部分が形成されている2.5cmの方が曲げ破壊強度は高くなると考えられるが、実試験では表面の凹凸に沿って荷重を加えることは不可能である。そのため、段差を境に素地の強度が大きく変化する施釉方法(ここでは2.5cm)では、段差周辺に応力が生じ易くそのために5cmよりも強度が低下したと考えられる。
なお、尻からの無施釉幅が2.5、5、7及び9cmである各J形の白地粘土瓦それぞれの、裏側面の施釉面積に含まれる谷底線の割合(%)は、それぞれ91.5%、83.1%、76.3%及び69.5%である。
[試験例2]
石州瓦製造会社が、石州瓦製造用粘土として荒地Aを用いて製造した表側面施釉後のJ形の白地粘土瓦[表側面施釉済み、寸法区分53B(長さ:295mm、幅315mm)、JIS A 5208の表2参照]の裏側面に、試験例1と同様の銀黒色の釉薬を施釉した。
なお、このJ形瓦の表側面には、試験例1と同様、瓦の尻から頭に向かって38mmの長さの領域内[谷底線の全長の12.9%(=100×38/295)]に3段の段差(水返し壁)が形成されている[図5(a2)参照]。
施釉範囲は、粘土瓦の尻からそれぞれ5cm離れた所から谷底線を中心線として、その両側にそれぞれ6、7、8cm幅で粘土瓦の頭までとした。
施釉後、約1時間室温で乾燥させた後に、電気炉を用いて時間当たり100℃の昇温速度で1185℃まで加熱し、40分間保持した後に炉冷した。得られた板状試験体は吸水率を測定した後に、110℃で24時間乾燥し、曲げ破壊荷重(JIS A 5208に規定されるJ形およびS形瓦の曲げ試験に準じて測定)の測定を行った。測定には島津製オートグラフ(AG−2000C)を用いて行った。測定結果を表4に示す。なお、測定はそれぞれの瓦に付いて3枚行い、平均値を求めた。測定後に瓦の厚みを測定したところ14mmであった。
この表4から、粘土瓦の尻からの無施釉幅を5cmとした場合(裏側面釉薬層が段差に達する前に終了している場合)、施釉幅を14cmとすると最も曲げ破壊強度が高まることが分かる。
ここで、施釉幅12cm、14cm及び16cmの裏側面釉薬層は、J形の白地粘土瓦の裏側面全幅に対して、それぞれ38.1%、44.4%及び50.8%であった。これは谷底線を境界とする裏側面釉薬領域の2つの部分領域の幅がJ形の白地粘土瓦の裏側面の全幅を基準にそれぞれ19.1%、22.2%及び25.4%の幅を占めた場合に相当する。
また、裏側面釉薬層に含まれる谷底線の割合は83.1%[(245/295)×100]であった。
[試験例3]
石州瓦製造会社が石州瓦製造用粘土として荒地Aを用いて製造した、乾燥前のJ形瓦成形品の表側のほぼ全面を深さ約4mm削り取り、乾燥後表側面に施釉したJ形の白地粘土瓦[表側面施釉済み、寸法区分53B(長さ:295mm、幅315mm)、JIS A 5208の表2参照]の裏側面に、試験例1と同様の銀黒色を施釉した。
なお、このJ形瓦の表側面には、試験例1と同様、瓦の尻から頭に向かって38mmの幅の領域内[谷底線の全長の12.9%(=100×38/295)]に3段の段差(水返し壁)が形成されている[図5(a2)参照]。
施釉範囲は、尻から5cm離れた所から谷底線を中心として、その両側にそれぞれ7cm幅(合計14cm幅)で粘土瓦の頭までとし、施釉後、約1時間室温で乾燥させた。比較のために、表側面を4mm削り、かつ表側面だけに施釉したJ形白地粘土瓦を準備した。これら2種類の瓦について、電気炉を用いて時間当たり100℃の昇温速度で1185℃まで加熱し、40分間保持した後に炉冷した。得られた板状試験体は吸水率を測定した後に、110℃で24時間乾燥し、曲げ破壊荷重(JIS A 5208に規定されるJ形およびS形瓦の曲げ試験に準じて測定)の測定を行った。測定には島津製オートグラフ(AG−2000C)を用いて行った。2種類の瓦の曲げ破壊測定結果と裏側面が無施釉の瓦に対する曲げ破壊荷重の向上率を表12に示す。なお、測定後に瓦の厚みを測定したところそれぞれ約10mmで、重量は2142g(裏側面施釉)、2135g(裏側面無施釉)であった。
この表と試験結果から、裏側面に施釉することにより重量が2200g程度の瓦に約2200N程度の強度を付与させることが可能であることが分かった。
なお、裏側釉薬層の幅は、J形の白地粘土瓦の全幅を基準として44.4%であり、谷底線により2つの部分施釉領域に分けた場合の各部分施釉領域の幅は22.2%であった。
また、裏側釉薬層に含まれる谷底線の割合は、83.1%であった。
[試験例4]
石州瓦製造会社が、石州瓦製造用粘土として荒地Aを用いて製造した表側面施釉後のJ形の白地粘土瓦[寸法区分53B(長さ:295mm、幅315mm)、JIS A 5208の表2参照]の裏側面に、瓦の谷底線を基準とし、桟山側の方向に谷底線からそれぞれ1,2,3cm離れた平行線上の、尻から5,10,15,20cmの位置に直径が2.5mm、深さが4mmの円柱状の穴をドリルで形成した。谷底線上にも同様の位置に4か所の穴を形成した(図6参照)。
次に、電気炉を用いて時間当たり100℃の昇温速度で1185℃まで加熱し、40分間保持した後に炉冷した。得られたJ形瓦試験体に対して曲げ破壊荷重(JIS A 5208に規定されるJ形及びS形桟瓦の曲げ試験に準じて測定)の測定を行った。測定には島津製オートグラフ(AG−2000C)を用いて行った。表6に曲げ試験により生じた破断面に形成した円柱状の穴の断面が表れているかを示す。なお、試験後のJ形瓦の中心部の厚さを測定すると凡そ14mmであった。
この表から、J形瓦の曲げ破壊荷重を向上させるためには、谷底線を基準としてその左右1cm離れた位置までの領域に、曲げ試験時に破壊の起点となりうる穴の様な構造は無い方が望ましいと考えられる。
[試験例5]
石州瓦製造会社が、石州瓦製造用粘土として荒地Aを用いて製造した施釉後のJ形の白地粘土瓦[寸法区分53B(長さ:295mm、幅315mm)、JIS A 5208の表2参照]の裏側面に、試験例1と同様の銀黒色の釉薬を施釉した。施釉範囲は、粘土瓦の尻から2.5cm離れた所から谷底線を中心線として、その両側に7cm幅で粘土瓦の頭までとしたものと、粘土瓦の尻から2.5cm離れ、かつ谷底線から水返し側に2cm寄った所を中心線として、その両側に7cm幅で粘土瓦の頭までとした。これは谷底線を中心にして、水返し側の施釉領域の幅が5cm、水返し側と反対側の施釉領域の幅が9cmに対応する。
施釉後、約1時間室温で乾燥させた後に、電気炉を用いて時間当たり100℃の昇温速度で1185℃まで加熱し、40分間保持した後に炉冷した。得られた板状試験体は吸水率を測定した後に、110℃で24時間乾燥し、曲げ破壊荷重(JIS A 5208に規定されるJ形およびS形瓦の曲げ試験に準じて測定)の測定を行った。測定には島津製オートグラフ(AG−2000C)を用い、行った。測定結果を表14に示す。なお、測定はそれぞれの瓦に付いて3枚行い、平均値を求めた。測定後に瓦の厚みを測定したとこ
ろ14mmであった。
この表から、施釉領域の中心を、谷底線にもってくることが曲げ破壊荷重に対して有利に働くことが分かった。
なお、施釉領域の幅はいずれのケースも、J形の白地粘土瓦の全幅を基準にして44.4%の幅であり、裏側面施釉層に含まれる谷底線の割合は91.5%であった。
しかし、谷底線により2つの部分施釉領域に分けた場合、谷底線を中心にして施釉したケースでは、それぞれの部分施釉領域の幅は、J形の白地粘土瓦の全幅を基準にして、いずれも22.2%で等しいが、谷底線より2cm水切り側に寄ったところを中心として施釉したケースでは、それぞれ15.9%、28.6%であった。

Claims (9)

  1. 表側面、裏側面及び前記2つの表面間の間隔である厚みを有する、粘土焼成建材であって、
    前記粘土焼成建材は、前記表側面から前記裏側面に向かう厚み方向に凹状に湾曲した、樋状の凹状湾曲形状を有し、
    前記裏側面上、前記凹状湾曲形状の谷底線に沿って、かつ該谷底線を含むほぼ帯状の領域として裏側面釉薬層が形成され、
    前記谷底線は、前記粘土焼成建材を仮に水平面上に設置した状態にした場合に、前記樋状の凹状湾曲形状の最も低い部分を通る線状部分をいい、
    前記粘土焼成建材がさらに、
    前記裏側面上の谷底線の少なくとも一方の端部に対向する表側面上の線状部分を横切るように、隆起する部分構造を有し、かつ前記裏側面釉薬層が前記隆起する部分構造に対向する裏側面領域に達するまでに終了しており、
    ここで、前記谷底線の端部とは、前記谷底線の一方の末端から他方の末端の方向に延び、前記谷底線方向の長さが前記谷底線の全長の24%以下の線状部分をいうことを特徴とする、粘土焼成建材。
  2. 前記裏側面釉薬層は、前記谷底線により、2つの施釉部分領域に分けた場合、
    前記2つの施釉部分領域の各々の幅が、それぞれ前記粘土焼成建材の裏側面の全幅の15〜30%の範囲内にあり、
    ここで、前記裏側面の全幅とは、前記粘土焼成建材の裏側面上、前記谷底線に垂直な方向の最大幅をいうことを特徴とする、請求項1に記載の粘土焼成建材。
  3. 前記裏側面釉薬層の前記谷底線方向の長さが、前記谷底線の全長の少なくとも40%である請求項1に記載の粘土焼成建材であって、
    (i)前記裏側面釉薬層により覆われた建材の裏側面領域のうち、前記谷底線ないしその近傍の領域であって、該領域に属する各点が前記谷底線の両末端が属する辺からそれぞれ、前記谷底線方向に、少なくとも前記谷底線の全長の14%離れている建材裏側面領域、
    又は
    (ii)該(i)の建材裏側面領域に対向する建材表側面領域、
    が平滑であり、
    ここで、前記谷底線の近傍とは、粘土焼成建材の厚みをDとしたときに、前記谷底線を中心としてこれに垂直に1.5Dの幅を前記粘土焼成建材の裏側面上に有し、前記谷底線に沿った方向に延びるほぼ帯状の領域をいうことを特徴とする、請求項1または2に記載の粘土焼成建材。
  4. 前記裏側面釉薬層が、前記谷底線を軸として対称に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粘土焼成建材。
  5. 前記粘土焼成建材の厚みが、6mm〜16mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の粘土焼成建材。
  6. 前記粘土焼成建材の単位表面積当たりの重量が、1.30〜3.52g/cmである、請求項1〜5のいずれかに記載の粘土焼成建材。
  7. 前記表側面上、少なくとも70%の表面上に表側面釉薬層が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の粘土焼成建材。
  8. 前記裏側面釉薬層が、少なくとも珪素およびアルミニウムを含む組成の釉薬で形成されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の粘土焼成建材。
  9. 前記粘土焼成建材が粘土瓦である、請求項1〜8のいずれかに記載の粘土焼成建材。
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