JP2017100152A - カム要素部材の閉塞鍛造装置および閉塞鍛造方法 - Google Patents

カム要素部材の閉塞鍛造装置および閉塞鍛造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金型内への金属材料の充填性を確保しつつ、金型にかかる負荷を低減することにより金型の耐久性を向上させること。
【解決手段】カム要素部材のベースとなる円筒状のワークの外周面を成形するダイスと、ワークがダイス内に配置された状態で、ワークの軸方向一端側の端面を押圧する第1パンチと、ワークがダイス内に配置された状態で、ワークの軸方向他端側の端面を押圧する第2パンチとを備え、ダイスは、第1パンチおよび第2パンチがワークを押圧することによりワークの金属材料が流れ込んでワークの周面に周面カムを成形する周面カム用凹部を有し、第1パンチおよび第2パンチの少なくとも一方は、ワークの金属材料が流れ込んで端面突出部を成形する突出部用凹部を有し、突出部用凹部は、周面カム用凹部に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間を有する。
【選択図】図14

Description

本発明は、カム要素部材の閉塞鍛造装置および閉塞鍛造方法に関する。
従来、エンジンの動弁装置として、1つの弁について互いに形状が異なる複数のカム部を備え、これらカム部のうちから弁を開閉させるカム部を選択することにより、吸排気弁の開弁量や開弁時期などをエンジンの運転状態に応じて切り換え可能としたものが知られている。
その一例として、特許文献1には、軸部材とその軸方向へ相対変位が可能でかつ当該軸部材と一体回転が可能な状態で当該軸部材に装着される筒状のカム要素部材とを備えるカムシャフトと、前記カム要素部材を軸方向に移動させる操作装置とを備え、カム要素部材の周面に設けられた複数のカム部の位置を、当該カム要素部材の軸方向への移動により変更することによって、一つの弁を開閉させるカム部を切り換えるようにした動弁装置が記載されている。
この動弁装置では、カム要素部材の両側に、前記軸方向と直交する方向に進退(突出/退避)可能な操作ピンが備えられており、カム要素部材の位置に応じて選択的に操作ピンを作動(突出)させ、当該操作ピンをカム要素部材の軸方向両端に設けられた端面カムに摺接させることで、カム要素部材を軸方向へ移動させる、すなわちカム部を切り換える構成となっている。
また、特許文献2には、筒状のカム要素部材を製造する冷間鍛造成形機の一例が開示されている。この冷間鍛造成形機によって製造されるカム要素部材は、その軸方向端部にのみカム部を有している。
特開2015−59462号公報 実開平6−86836号公報
特許文献1に記載のカム要素部材を製造するために、例えば、特許文献2に記載の冷間鍛造成形機を使用することが考えられる。
しかしながら、特許文献2に記載の冷間鍛造成形機は、軸方向端部にのみカムを有するカム要素部材を製造するための閉塞鍛造装置であり、軸方向端部および周面の双方にカムを有するカム要素部材を製造する装置ではない。
このため、特許文献2に記載の冷間鍛造成形機を用いて特許文献1に記載のカム要素部(周面および軸方向端部の双方にカムを有する)を製造することはできない。
そこで、軸方向端部に端面カム(端面突出部)を形成する凹部および周面にカム部を形成する凹部を鍛造金型に設けることが考えられるが、各凹部の全体に金属材料を充填させる場合には、金型に成形荷重をかけた際に金型に過大な負荷がかかり、金型の耐久性を十分に確保できない虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、軸方向端部の端面突出部および外周面にカムを有するカム要素部材を製造する技術であって、金型内への金属材料の充填性を確保しつつ、金型にかかる負荷を低減することにより金型の耐久性を向上させることができるカム要素部材の閉塞鍛造装置および閉塞鍛造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、軸方向端部に端面突出部を有するとともに外周面に外向きに突出する周面カムを有する円筒状のカム要素部材を製造する閉塞鍛造装置であって、前記カム要素部材のベースとなる円筒状のワークの外周面を成形するダイスと、前記ワークが前記ダイス内に配置された状態で、前記ワークの軸方向一端側の端面を押圧する第1パンチと、前記ワークが前記ダイス内に配置された状態で、前記ワークの軸方向他端側の端面を押圧する第2パンチとを備え、前記ダイスは、前記第1パンチおよび前記第2パンチが前記ワークを押圧することにより前記ワークの金属材料が流れ込んで当該ワークの外周面に前記周面カムを成形する周面カム用凹部を有し、前記第1パンチおよび前記第2パンチの少なくとも一方は、前記ワークの金属材料が流れ込んで前記端面突出部を成形する突出部用凹部を有し、当該突出部用凹部は、前記周面カム用凹部に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間を有することを特徴とする、カム要素部材の閉塞鍛造装置を提供する。
本発明によれば、第1パンチでワークの軸方向一端側の端部を押圧し、第2パンチでワークの軸方向他端側の端部を押圧することにより、周面カム用凹部内に金属材料が充填されてワークの外周面に周面カムが形成され、さらに、突出部用凹部内に金属材料が流れ込んで端面突出部が形成される。さらに、突出部用凹部は、周面カム用凹部に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間を有するため、周面カム用凹部への金属材料の充填性を確保することができるとともに、第1パンチおよび第2パンチによりワークに成形荷重を加えた際に(加圧成形)、ダイス、第1パンチ、および第2パンチに対してその内側から過度に圧力(金属材料から受ける過度の圧力)がかからず、金型の耐久性を向上させることができる。
本発明においては、前記ダイスは、互いに接近および離間するように前記ワークの軸方向と直交する方向に移動可能である少なくとも2つの分割ダイスを有し、各分割ダイスが互いに接近する方向に移動することにより型閉じし前記ワークの軸方向中央部の外周面に対面する第1ダイスと、前記ワークの軸方向に移動可能で、前記第1ダイスに対して接近する方向に移動することにより、前記第1ダイスをワークの軸方向に押圧する第2ダイスと、前記第2ダイスが前記第1ダイスを押圧してその押圧方向に移動することに伴い、前記各分割ダイスが互いに接近する方向に各分割ダイスを移動させて型閉じするガイド部材とを備えることが好ましい。
この構成によれば、第1ダイスが第2ダイスを押圧することにより、第1ダイスの各分割ダイスがガイド部材にガイドされつつ互いに接近する方向に移動して型閉じし、ワークの外周面に対面する。このため、比較的簡単な構造で、各分割ダイスを型閉じすることができる。
本発明においては、前記突出部用凹部は、前記ワークの軸方向端部に対面するとともに当該ワークの径方向において前記周面カム用凹部とは反対側に位置することが好ましい。
この構成によれば、前記第1パンチおよび前記第2パンチが前記ワークを押圧する時に、突出部用凹部が形成されていないパンチの押圧部での押圧により前記周面カム用凹部への金属材料の充填性が向上し、周面カムの成形精度が向上できる。
本発明においては、請求項1に記載の閉塞鍛造装置を用いてカム要素部材を製造する方法であって、前記ダイス内にワークを配置する配置工程と、前記第1パンチおよび前記第2パンチにより前記ワークの両端面を押圧することにより、前記周面カム用凹部に金属材料が充填され前記周面カムを形成するとともに、前記突出部用凹部により金属材料が充填されていない余剰空間を残して前記端面突出部を成形する成形工程とを含むことを特徴とする、カム要素部材の製造方法を提供する。
本発明によれば、周面カム用凹部内への金属材料の充填が完了した状態で第1パンチおよび第2パンチによる加圧を停止するため、周面カムを形成する周面カム用凹部への金属材料の充填性を確保することができる。さらに、突出部用凹部内への金属材料の充填が完了する前に第1パンチおよび前記第2パンチによる加圧を停止するため、ダイス、第1パンチ、および第2パンチに過度に負荷がかからず、金型の耐久性を向上させることができる。
本発明においては、前記周面カム用凹部により、互いに異なる形状の複数の周面カムを形成することが好ましい。
この構成によれば、金属材料の充填性を確保しつつ、複雑形状の周面カムを成形することができる。
以上説明したように、本発明によれば、軸方向端部の端面突出部および外周面にカムを有するカム要素部材を製造する技術であって、金型内への金属材料の充填性を確保しつつ、金型にかかる負荷を低減することにより金型の耐久性を向上させることができるカム要素部材の閉塞鍛造装置および閉塞鍛造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るカム要素部材を備えた動弁装置の概略構成を示す側面図である。 図1におけるx方向矢視による動弁装置を示す正面図である。 図1におけるy−y線による拡大断面図である。 図1の状態から弁を開閉させるカム部を切り換えた状態を示す側面図である。 カム要素部材の単体斜視図である。 (a)は、第1気筒のカム要素部材の正面図であり、(b)は、第1気筒のカム要素部材の背面図である。 操作装置の縦断面図である。 (a)は、カム要素部材を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示されるカム要素部材を軸方向に沿って半分に切断した状態を示す斜視図である。 (a)は、鍛造金型を開いて金型内にワークを配置した状態を側方から見た断面図であり、(b)は、分割ダイスを上方から見た断面図である。 第2ダイスに第1パンチを接触させた状態を側方から見た断面図である。 芯合わせ部材をワークおよび芯合わせ孔に挿入した状態を側方から見た断面図である。 (a)は、第2ダイスで第1ダイスを押圧した状態を側方から見た状態で示す断面図であり、(b)は、分割ダイスが閉じた状態を上方から見た断面図であり、(c)は、(a)における一点鎖線で囲まれた領域を拡大して示す図である。 第1パンチおよび第2パンチでワークを押圧する状態を側方から見た断面図である。 第1パンチおよび第2パンチでワークをさらに押圧する状態を側方から見た断面図である。 芯合わせ部材、第1パンチおよび第2ダイスを取り外した状態を側方から見た断面図である。 第1ダイスを取り外した状態を側方から見た断面図である。 本発明の原理を模式的に示す断面図である。 従来の技術を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態および比較例における成形量とカムトップ寸法との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態および比較例における成形量と荷重との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態において、ワークに加熱処理を施した場合と、加熱処理を施さない場合とにおけるワークの歪と応力との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係るカム要素部材を備えた動弁装置の構成について説明する。
(動弁装置の概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係るカム要素部材を備えた動弁装置の概略構成を示す側面図である。なお、以下の説明では、特に言及する場合を除き、気筒列方向を前後方向とし、第1気筒11側を「前側」、第4気筒14側を「後側」として説明を行う。
本実施形態では、本発明に係る動弁装置が4気筒、4弁式DOHCエンジンに適用された例について説明するが、本発明に係る動弁装置はこれ以外のエンジンについても適用可能である。
この動弁装置は、図示しないシリンダヘッドに、第1〜第4気筒11〜14のそれぞれについて2つずつ、合計8つの排気弁A…Aと、これらの排気弁A…Aを閉方向に付勢するリターンスプリングB…Bとを備えている。さらに、この動弁装置は、シリンダヘッドの上部に、ロッカアームC…Cを介して上記リターンスプリングB…Bの付勢力に抗して各排気弁A…Aを開動させるカムシャフト2を備えている。
このカムシャフト2は、シリンダヘッドにおける各気筒11〜14の中心位置に設けられた縦壁部D…Dと各縦壁部D…Dの上部に取り付けられたキャップ部材E…Eとで構成される軸受部F…Fに回転自在に支持されており、図示しないクランクシャフトによりチェーンを介して回転駆動される。
また、カムシャフト2は、軸部材10と、該軸部材10にスプライン嵌合され、該軸部材10と一体回転しかつ軸方向に移動可能とされた第1〜第4カム要素部材201〜204とで構成されている。これらカム要素部材201〜204は、各気筒11〜14に対応させて、上記軸部材10上で列状に配置されている。
さらに、この動弁装置は、各カム要素部材201〜204を上記軸部材10上で軸方向にそれぞれ所定ストローク移動させる電磁駆動式の6つの操作装置301〜306を備えている。具体的には、気筒列の第1気筒11側を前方として、該気筒列の前端位置に第1操作装置301が、第1、第2気筒11、12間位置に第2操作装置302が、第2、第3気筒12、13間の前端位置に第3操作装置303が、後端位置に第4操作装置304が、第3、第4気筒13、14間位置に第5操作装置305が、気筒列の後端位置に第6操作装置306がそれぞれ配置されている。
図2に示すように、これらの操作装置301〜306は、カムシャフト2を挟んで上記ロッカアームCにおけるカムフォロワC’(図2参照)の反対側に、操作装置301〜306の操作ピン32(本発明の「操作部材」に相当する)がカムシャフト2の軸心を指向するように配置されている。この実施形態の場合、操作装置301〜306は、カムシャフト2とカム要素部材201〜204を上方から覆うシリンダヘッドカバーGに取り付けられている。
各操作装置301〜306は、電磁式アクチュエータ3と、この電磁式アクチュエータ3への通電時に該電磁式アクチュエータから突出可能な略円筒状の操作ピン32とを備えている。
電磁式アクチュエータ3は、プッシュ型のソレノイドアクチュエータであり、円柱状の磁芯31と、磁芯31の周面に装着される円筒状のボビン34と、ボビン34の外周面に巻回されるコイル33と、磁芯31と同軸上に設けられ、磁芯31に対して接近/離間可能に設けられた円柱状の操作ピン32(本発明の「操作部材」に相当する)を軸方向にスライド可能に支持する円筒状のピン支持部35とを備えている。
操作ピン32の後端部(磁芯31側端部)には、円筒状の永久磁石36が設けられている。
この電磁式アクチュエータ3においては、操作ピン32の先端部がカム要素部材201〜204の外周面の外側に退避する退避位置(非操作位置)に位置した状態で、コイル34に通電されると、永久磁石36を遠ざける方向の電磁力(斥力)がコイル34に発生し、これにより、操作ピン32は軸部材10側に移動(突出)する。具体的には、操作ピン32は、上記がカム要素部材201〜204の外周面の外側に位置する退避位置(非操作位置)から、カム要素部材201〜204の外周面よりも内側に入り込む作動位置へ移動する。
そして、操作ピン32が作動位置に位置した状態でコイル34への通電を終了し、操作ピン32の先端に後述の戻しスロープ部23cに摺接した状態で軸部材10が正方向に回転すると、操作ピン32は戻しスロープ部23cに案内されて退避位置に向かって移動する。操作ピン32の先端が戻しスロープ部23cの頂点付近に到達すると、永久磁石36と磁芯31との間に作用する吸引力(磁力)により、永久磁石36が磁芯31に吸着され、これにより、操作ピン32は退避位置に移動してこの位置に保持される。
各カム要素部材201〜204の電磁式アクチュエータ3への通電は、図外のクランク角センサからの検出信号に基づく、図外のECU(Electronic Control Unit)から各操作装置301〜306への通電指示によって行われる。
また、操作装置301〜306による各カム要素部材201〜204の軸方向の移動を所定の2か所で位置決めするため、図3に第1、第2カム要素部材201、202を例として示すように、軸部材10と各カム要素部材201〜204との嵌合部にディテント機構40がそれぞれ設けられている。
このディテント機構40は、軸部材10の外周面から径方向に穿設された孔41と、該孔41内に収納されたスプリング42と、孔41の開口部に配置され、スプリング42により軸部材10の外周面から径方向の外側へ飛び出すように付勢されたディテントボール43と、カム要素部材201〜204の内周面に軸方向に隣接して設けられた2か所の周溝441、442とで構成されている。そして、このディテント機構40は、ディテントボール43が一方の周溝441に係合したときに、カム要素部材201〜204が図1に示す第1位置に、上記ディテントボール43が他方の周溝442に係合したときに、カム要素部材201〜204が図4に示す第2位置に、それぞれ位置決めされるように構成されている。
ここで、図1に示すように、第1〜第4カム要素部材201〜204が全て第1位置に位置するとき、第1カム要素部材201は後方に、第2カム要素部材202は前方に、第3カム要素部材203は後方に、第4カム要素部材204は前方に位置する。したがって、第1、第2カム要素部材201、202の対向端面は互いに近接し、第2、第3カム要素部材202、203の対向端面は互いに離間し、第3、第4カム要素部材203、204の対向端面は互いに近接した状態となる。
また、図4に示すように、第1〜第4カム要素部材201〜204が全て第2位置に位置したときは、第1カム要素部材201は前方に、第2カム要素部材202は後方に、第3カム要素部材203は前方に、第4カム要素部材204は後方に位置する。したがって、第1、第2カム要素部材201、202の対向端面は互いに離間し、第2、第3カム要素部材202、203の対向端面は互いに近接し、第3、第4カム要素部材203、204の対向端面は互いに離間した状態となる。
(カム要素部材の構成)
次に、図5,6により、カム要素部材201〜204の構成について第1カム要素部材201と第2カム要素部材202を例としてさらに詳しく説明する。
カム要素部材201(202〜204)は、筒状とされ、その中間部の外周面は上記軸受部Fに支持されるジャーナル部21とされていると共に、その前後両側に2つの排気弁A、A用の作動部22、22が設けられており、各作動部22、22には、図5に示すように、例えば低エンジン回転時用のリフト量が大きな第1カム部221と、例えば高エンジン回転時用のリフト量が小さな第2カム部222とが互いに隣接させて設けられている。
この第1カム部221と第2カム部222は、図5,6(b)に示すように、ベースサークルaが共通で、リフト量が異なるノーズ部b1、b2が該ベースサークルa上にわずかに位相差をもって設けられている。そして、カム要素部材201(202〜204)の2つの作動部22は、第1カム部221と第2カム部222とが前後方向に並ぶ順序が一致し、ノーズ部b1の位相が一致し、ノーズ部b2の位相が一致している。なお、ベースサークルaが共通とは、第1カム部221と第2カム部222とのベースサークルaのベース円径が同じであることを意味する。
図1、図4に示すように、第1カム要素部材201および第3カム要素部材203においては、第1カム部221が前側、第2カム部222が後側にそれぞれ配置され、第2カム要素部材202および第4カム要素部材204においては、第2カム部222が前側、第1カム部221が後側にそれぞれ配置されている。
そして、カム要素部材201〜204が上述のディテント機構40により軸部材10上の第1位置に位置決めされたときには、いずれのカム要素部材201〜204においても、2つの第1カム部221、221が対応する気筒11〜14の2つのロッカアームC、CのカムフォロワC’、C’に対応して位置し(図1参照)、軸部材10上の第2位置に位置決めされたときは、第2カム部222、222が上記カムフォロワC’、C’に対応して位置する(図4参照)ように、カム要素部材201〜204の作動部22、22の間隔が設定されている。
なお、本実施形態に係るエンジンは、各気筒の爆発順序が、第3気筒13→第4気筒14→第2気筒12→第1気筒11とされており、各カム要素部材201〜204の第1カム部221および第2カム部222のノーズ部b1、b2が、カムシャフト2の90°回転ごとに、この順序でカムフォロワC’、C’に摺接するように、第1〜第4カム要素部材201〜204の間で互いに位相差を有して軸部材10にスプライン嵌合されている。
さらに、各カム要素部材201〜204は、前後方向両端に端面カム23、23を備えている。
この前後方向両端の端面カム23、23は、各々、図5、6に示すように、カム要素部材201(202〜204)の軸方向と直交する基準面23aと、この基準面23aから軸方向外向きに突出するリフト部23bとを有する。このリフト部23bは、図6に示すように、リフト開始位置eからリフト終了位置fに至る所定位相範囲α(例えば約120°)の間で、カム要素部材201〜204の回転方向Xに向かうに伴い基準面23a(リフト量ゼロ)から軸方向のリフト量が次第に増加し、リフト終了位置fでリフト量が最大となるように形成されている。そして、リフト終了位置fからその回転遅れ方向(回転方向Xとは反対方向)に位置する後述のスロープ終了位置gに至る範囲で最大リフト量を維持し、該スロープ終了位置gでリフト量がゼロとなる(基準面26aに戻る)ようにリフト部26bが形成されている。
さらに、上述のように、各カム要素部材201〜204が各気筒11〜14の爆発順序に応じてそれぞれ所定の位相差を設けて軸部材10にスプライン嵌合されていることに伴い、各カム要素部材201〜204の互いに対向する端面カム23、23もそれぞれ位相差をもって対向する。本実施形態では、図1の符号ア、イに示すように、隣接する2つの第1および第2カム要素部材201、202、並びに第3および第4カム要素部材203、204は、互いに対向する端面カム23、23のリフト部23b、23bが互いに異なる位相に設けられており、この2つのカム要素部材201〜204が近接時にこれらリフト部23b、23bの少なくとも一部が軸方向に重複している。
そして、上記第2および第5操作装置302、305の操作ピン32、32は、対応する2つのカム要素部材201〜204の近接時に互いに対向する端面カム23、23の対向面間に突出して作動位置に移動し、これらの端面カム23、23に係合することにより、カムシャフト2の回転に従って、近接していた2つのカム要素部材201〜204を互いに離間させる方向にスライドさせるようになっている。
図1に示す状態では、近接していた第1、第2カム要素部材201、202、および、第3、第4カム要素部材203、204は、互いに離間することによりいずれも第1位置から図4に示す第2位置へ移動する。また、図4に示す状態では、近接していた第2、第3カム要素部材202、203は、互いに離間することにより第2位置から図1に示す第1位置へ移動する。
一方、第1操作装置301の操作ピン32は、図4に示すように、第1カム要素部材201が前側の第2位置にある状態で、該第1カム要素部材201の前側の端面カム23に対面する作動位置へ突出することにより該端面カム23に係合し、カムシャフト2の回転に伴って、第1カム要素部材201を後側の第1位置へ移動させる。同様に、第4操作装置304の操作ピン32は、第3カム要素部材203が前方の第2位置にある状態で、該第3カム要素部材203の前方の端面カム23に対面する作動位置へ突出することにより該端面カム23に係合し、カムシャフト2の回転に伴って、第3カム要素部材203を後側の第1位置へ移動させる。
また、第3操作装置303の操作ピン32は、第2カム要素部材202が後側の第2位置にある状態で、該第2カム要素部材202の後側の端面カム23に対面する作動位置へ突出することにより該端面カム23に係合し、これを前側の第1位置へ移動させる。同様に、第6操作装置306の操作ピン32は、第4カム要素部材204が後側の第2位置にある状態で、該第4カム要素部材204の後側の端面カム23に対面する作動位置へ突出することにより該端面カム23に係合し、これを前側の第1位置へ移動させる。
ここで、各操作装置301〜306の操作ピン32の作動位置への突出は、以下のようなタイミングで行われる。すなわち、第1、第4操作装置301、304については、操作ピン32の指向位置に、第1、第3カム要素部材201、203の前側の端面カム23の端面カム23の基準面23aが位置するタイミングで行われる。また、第3、第6操作装置303、306にあっては、操作ピン32の指向位置に、第2、第4カム要素部材202、204の後側の端面カム23の基準面23aが位置するタイミングで操作ピン32の突出が行われる。さらに、第2操作装置302にあっては、操作ピン32の指向位置に、第1、第2カム要素部材201、202の互いに対向する2つの端面カム23、23の両方の基準面23a、23aが位置するタイミングで操作ピン32の突出が行われる。第5操作装置305にあっては、操作ピン32の指向位置に、第3、第4カム要素部材203、204の互いに対向する2つの端面カム23、23の両方の基準面23a、23aが位置するタイミングで操作ピン32の突出が行われる。
また、この操作ピン32の作動位置への突出による各カム要素部材201〜204の移動は、ロッカアームCのカムフォロワC’が第1カム部221または第2カム部222のベースサークルaに対応して位置しているタイミング、すなわち、当該気筒が排気行程以外の行程にあるときに行われなければならない。
そこで、これらの作動タイミングの条件を満足するために、この実施形態では、図6に示すように、第1、第2カム部221、222のノーズ部b1、b2の頂部に対し、回転方向Xの前方側の所定位相の位置に端面カム23のリフト開始位置eが設定され、該リフト開始位置eから回転方向Xの後方側(回転遅れ方向)の所定位相αの位置に端面カム23のリフト終了位置fが設定されている。そして、端面カム23のリフト開始位置eから回転方向Xの後方側に向かうリフト終了位置fまでの角度が180度よりも小さくなるように、端面カム23のリフト部23bが設けられている。この場合、図2に示すロッカアームCのカムフォロワC’と操作装置301〜306の操作ピン32の位置関係において、各カム要素部材201〜204は、排気行程の終了後間もなく移動することになる。
しかし、上述のような位置関係で第1、第2カム部221、222のノーズ部b1、b2と端面カム23のリフト部23bが設けられていても、作動不良等により操作装置301〜306の操作ピン32が意図していないタイミングで突出してしまった場合、この操作ピン32とリフト部23bとが不用意に係合してしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、カム要素部材201〜204の端面カム23に、作動位置へ突出した操作ピン32を強制的に不作動位置まで退避させるための戻しスロープ部23cが一体的に設けられている。
この戻しスロープ部23cは、各カム要素部材201〜204のカム部22を切り換える順序、操作装置30の配置される個数等の条件によって設けるべき場所が変わる。しかし、これらの条件によらず、戻しスロープ部23cは、互いに隣接するカム要素部材201〜204のうち、共通する操作装置301〜306によって遅れて離間されるカム要素部材201〜204の対向する端部に少なくとも設ける必要がある。本実施形態の場合、燃焼順序と同じ第3気筒13→第4気筒14→第2気筒12→第1気筒11の順に各気筒11〜14のカム要素部材201〜204のカム部22を切り換えるため、第1、第4カム要素部材201、204の前後方向両端と、第2カム要素部材202の後端と、第3カム要素部材203の前端にそれぞれ戻しスロープ部23cが設けられている。
図5に示すように、戻しスロープ部23cは、リフト部23bよりさらに軸方向に突出し、図6に示すように、端面カム23の端面において端面カム23のリフト終了位置fより回転遅れ側(矢印Xと逆方向)に所定位相範囲、すなわちリフト終了位置(スロープ開始位置)fからスロープ終了位置gまで設けられており、回転遅れ側に向かって外方に傾斜して延びるカム面、すなわち、回転遅れ側に向かって半径方向のリフト量が次第に高くなるカム面を有する。このカム面は、スロープ開始位置fにおけるリフト量が作動位置にある操作ピン32の先端部よりもわずかに低いと共に、スロープ終了位置gにおけるリフト量が不作動位置にある操作ピン32の先端部よりもわずかに低く設定されている。
この戻しスロープ部23cによれば、リフト部23bによるカム要素部材201〜204の移動が終了した後に操作ピン32の先端部をそのカム面に摺接することにより、操作ピン32を作動位置から不作動位置に退避させることができる。なお、上述のように、スロープ終了位置gにおけるリフト量は不作動位置にある操作ピン32の先端部よりも低いが、スロープ開始位置fからスロープ終了位置gに至るまでに操作ピン32に与えられた慣性力と電磁式アクチュエータの磁力によって、操作ピン32はさらに不作動位置まで押し戻される。
さらに、カム要素部材201〜204は、カムシャフト2が逆回転した際、作動位置へ突出した操作ピン32を強制的に不作動位置まで退避させるための逆転時戻しスロープ部23dを端面カム23に一体的に有している。
この逆転時戻しスロープ部23dは、カム要素部材201〜204の両端の端面カム23、23のうち、戻しスロープ部23cが設けられている端面カム23と同じ端面カム23に戻しスロープ部23cと共に設けられている。本実施形態の場合、逆転時戻しスロープ部23dは、第1、第4カム要素部材201、204の前後方向両端と、第2カム要素部材202の後端と、第3カム要素部材203の前端にそれぞれ設けられている。
図5に示すように、逆転時戻しスロープ部23dは、基準面23aから軸方向に戻しスロープ部23cと同量だけ突出している。また、図6に示すように、逆転時戻しスロープ部23dは、端面カム23の端面においてスロープ終了位置gより回転遅れ側(矢印Xと逆方向)に所定位相範囲、すなわちスロープ終了位置(逆転時スロープ終了位置)gから逆転時スロープ開始位置hまで設けられている。そして、端面カム23の逆転時スロープ終了位置gの外周面から回転遅れ側に向かって内方に傾斜して延びるカム面、すなわち、回転遅れ側に向かって半径方向のリフト量が次第に低くなるカム面を有する。このカム面は、逆転時スロープ開始位置hにおけるリフト量が作動位置にある操作ピン32の先端部よりもわずかに低いと共に、逆転時スロープ終了位置gにおけるリフト量が不作動位置にある操作ピン32の先端部よりもわずかに低く設定されている。
本実施形態においては、4つの気筒11〜14にそれぞれ備えられた4つのカム要素部材201〜204が6つの操作装置301〜306により操作され、排気弁A…Aを開閉させるカム部22が、リフト量の小さな第1カム部221…221とリフト量の大きな第2カム部222…222との間で切り換えられる。
(閉塞鍛造装置の構造)
次に、本実施形態に係るカム要素部材を製造する閉塞鍛造装置の構成について説明する。ここでは、図8に示されるように、周面にカム部22(第1カム部221、第2カム部222)が形成され、端面に端面突出部230が形成されたカム要素部材201(202〜204)を製造する閉塞鍛造装置について説明する。カム部22は、本発明の「周面カム」に相当する。
なお、本実施形態では、端面突出部230は、端面カム23として加工される前の状態であり、端面突出部230を、エンドミル等の回転切削工具(図示略)を用いて所定形状に切削加工することにより、端面カム23を形成することができる。ここでは、その切削加工についての説明は省略する。
本実施形態に係る閉塞鍛造装置は、図9に示されるように、第1ダイス54、第2ダイス52、および第3ダイス56を有するダイス部材(本発明の「ダイス」に相当する)と、ガイド部材55と、第1パンチ51と、第2パンチ57と、芯合わせ部材50とを備えている。なお、これらを作動させる駆動装置は図示及び説明を省略している。
ダイス部材は、図9〜15に示されるように、カム要素部材201(202〜204)のベースとなる円筒状のワーク53を収容する。ワーク53は、鍛造が可能な金属材料から構成される。
ダイス部材のうち、第1ダイス54は、2つの分割ダイス54aおよび54bを有するとともに各分割ダイス54a、54bが互いに接近および離間するようにワーク53の軸方向と直交する方向に移動可能であり、各分割ダイス54a、54bが互いに接近する方向に移動することにより型閉じし、ワーク53の軸方向中央部の外周面と対面する。各分割ダイス54a、54bの外周面は、上側から下側に向かって次第に内側へ傾斜する傾斜面を有している。さらに、第1ダイス54は、第1パンチ51がワーク53を押圧することによりワーク53の金属材料が流れ込んでワーク53の軸方向一端側(図9における上側)にカム部22(第1カム部222)を成形する第1凹部61と、第2パンチ57がワーク53を押圧することによりワーク53の金属材料が流れ込んでワーク53の軸方向他端側(図9における下側)にカム部22(第1カム部222)を成形する第2凹部58とを有している。
ダイス部材のうち、第2ダイス52は、ワーク53の軸方向に移動可能となっている。第2ダイス52は、第1ダイス54に対して接近する方向に移動することにより、第1ダイス54を押圧する押圧部74と、第1パンチ51がワーク53を押圧することによりワーク53の金属材料が流れ込んでワーク53の軸方向一端側にカム部22(第1カム部221)を成形する第1凹部60と、第1パンチ51の後述するワーク押圧部66をスライド自在に挿入可能な押圧部挿入孔65と、第1パンチ51の後述するダイス嵌入部67をスライド自在に挿入可能なダイス挿入孔64とを有している。第1凹部60と、押圧部挿入孔65と、ダイス挿入孔64とは、互いに連通している。また、第2ダイス52の第1凹部60と、第1ダイス54の第1凹部61とが組み合わされて、図12に示される周面カム用凹部62が形成される。
ダイス部材のうち、第3ダイス56は、第2パンチ57がワーク53を押圧することによりワーク53の金属材料が流れ込んでワーク53の軸方向他端側(図9における下側)にカム部22(第2カム部222)を成形する第2凹部59と、第2パンチ57が挿入されるパンチ挿入孔69と、ワーク53が挿入されるワーク挿入孔68と、芯合わせ部材50の先端部(下端部)が挿入される芯合わせ用凹部78とを有する。第2凹部59と、パンチ挿入孔69と、ワーク挿入孔68とは、互いに連通している。また、第3ダイス56の第2凹部59と、第1ダイス54の第2凹部58とが組み合わされて、図11に示される周面カム用凹部63が形成される。
ガイド部材55は、第2ダイス52が第1ダイス54を押圧してその押圧方向(図9における下向き)に移動することに伴い、各分割ダイス54a,54bが互いに接近する方向に各分割ダイス54a,54bを移動させる部材である。ガイド部材55は、ワーク53の軸方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔はすり鉢状(逆円錐台状)の傾斜面を有している。この傾斜面に対し、各分割ダイス54a、54bの外周面が摺接する。各分割ダイス54a、54bが上記貫通孔の傾斜面に摺接しつつ下方向へ移動することにより、各分割ダイス54a、54bは互いに接近する方向に移動し型閉じする。
第1パンチ51は、ワーク53が周面カム用ダイスに対面した状態で、ワーク53の軸方向一端側(図9における上側)の端面を押圧する部材である。第1パンチ51は、ワーク53を押圧するワーク押圧部66と、ワーク53の金属材料が流れ込んで端面突出部230を成形する突出部用凹部75とを有する。突出部用凹部75は、周面カム用凹部63、62に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間71(図14参照)を有する。つまり、突出部用凹部75は、端面突出部230の体積よりも大きい容積を有しており、突出部用凹部75の容積から端面突出部230の体積を差し引いた部分が、余剰空間71となる。突出部用凹部75は、ダイス部材に保持されたワーク53の軸方向一端部(上端部)に対面するとともにワーク53の径方向において周面カム用凹部62、63とは離れた反対側に位置する。
第2パンチ57は、ワーク53がダイス52、54、56内に配置された状態で、ワーク53の軸方向他端側(図9における下側)の端面を押圧する部材である。第2パンチ57は、ワーク53を押圧するワーク押圧部70と、ワーク53の金属材料が流れ込んで端面突出部230を成形する突出部用凹部76とを有する。突出部用凹部76は、周面カム用凹部63、62に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間81(図14参照)を有する。つまり、突出部用凹部76は、端面突出部230の体積よりも大きい容積を有しており、突出部用凹部76の容積から端面突出部230の体積を差し引いた部分が、余剰空間81となる。突出部用凹部76は、ダイス部材に保持されたワーク53の軸方向他端部(下端部)に対面するとともにワーク53の径方向において周面カム用凹部62、63とは離れた反対側に位置する。
芯合わせ部材50は、ワーク53に形成されたその軸方向に延びる貫通孔77および第3ダイス56の芯合わせ用凹部78に挿入されることにより、ワーク53をダイス部材および第1パンチ51、第2パンチ57の中心に位置合わせする(芯合わせ)。
次に、この閉塞鍛造装置を用いたカム要素部材の閉塞鍛造方法について説明する。
まず、図9に示されるように、第2ダイス52、第1パンチ51、芯合わせ部材50を第1ダイス54、第3ダイス56、第2パンチ57から離した状態(型開きの状態)で、第3ダイス56のワーク挿入孔68内にワーク53を挿入する。このワーク53は、予め図外の加熱装置により、160〜180℃に加熱されている。
次いで、図10に示されるように、第2ダイス52のダイス挿入孔64に第1パンチ51のダイス嵌入部67を挿入する。
次いで、図11に示されるように、芯合わせ部材50を、ワーク53の貫通孔77および第3ダイス56の芯合わせ用凹部78に挿入することにより、ワーク53をダイス部材および第1パンチ51、第2パンチ57の中心に位置合わせする。
次いで、図12に示されるように、第2ダイス52を第1ダイス54に向かって移動させて、第2ダイス52の押圧部74で第1ダイス54の上面を押圧する。これにより、第1ダイス54の各分割ダイス54a,54bがガイド部材55の斜面にガイドされつつ、下向きかつワーク53の径方向内側に移動し、各分割ダイス54a,54bが図12(b)に示すように型閉じし、ワーク53の外周面と対面する。
次いで、図13に示されるように、第1パンチ51をワーク53に向かって移動させ、第1パンチ51のワーク押圧部66でワーク53の上面を押圧する。さらに、第2パンチ57をワーク53に向かって移動させ、第2パンチ57のワーク押圧部70でワーク53の下面を押圧する。
次いで、図14に示されるように、さらに第1パンチ51をワーク53に向かって移動させて、ダイス嵌入部67をダイス挿入孔64の最深部に当接させる。さらに、第2パンチ57をワーク53に向かって移動させ、第2パンチ57のワーク押圧部70でワーク53の下面を押圧する。これにより、周面カム用凹部62によってカム部22(第1カム部221、第2カム部222)が形成されるとともに、周面カム用凹部63によってカム部22(第1カム部221、第2カム部222)が形成され、さらに、突出部用凹部75および突出部用凹部76により、各々、端面突出部230が形成される。しかも、この状態において、突出部用凹部75、76内には余剰空間71、81が形成されているため、第1ダイス54、第2ダイス52、第3ダイス56、第1パンチ51、および第2パンチ57に、過度の負荷がかかるのを防止することができる。また、両カム部22に対応させて突出部用凹部75内の余剰空間71と突出部用凹部76内の余剰空間81とが形成されるように第1パンチ51及び第2パンチ57でワーク53を押圧するため、周面カム用凹部62、63への金属材料の充填性のバランスが略均等化されると共に、各ダイス及び各パンチへの過度の負荷がより低減できる。
次いで、図15に示されるように、第2ダイス52、第1パンチ51、および芯合わせ部材50をワーク53から離れる方向へ移動させる。
次いで、図16に示されるように、第1ダイス54の各分割ダイス54a,54bをワーク53から離れる方向に移動させる。そして、ワーク53を閉塞鍛造装置から取り出す。
図17は、本実施形態における鍛造の原理を模式的に示す図である。図17に示されるように、本実施形態では、第1パンチ51でワーク53を押圧することにより、ワーク53の周面に第1カム部221および第2カム部222が形成されるともに、ワーク53の端面に端面突出部230が形成される。しかも、突出部用凹部75内には余剰空間71が形成されているため、第1ダイス54、第2ダイス52、第3ダイス56、第1パンチ51、および第2パンチ57に、過度の負荷がかかるのを防止することができる。また、端面突出部230が、ワーク53の径方向において、第1カム部221および第2カム部222とは反対側に形成されるため、前記第1パンチ51および前記第2パンチ57が前記ワークを押圧する時に、突出部用凹部75が形成されていない第1パンチ51のワーク押圧部(端部)での押圧により前記周面カム用凹部への金属材料の充填性が向上し、第1カム部221および第2カム部222の成形精度が向上できる。
一方、図18に示されるように、余剰空間71が形成されていない場合には、第1ダイス54、第2ダイス52、第3ダイス56、第1パンチ51、および第2パンチ57に、過度の負荷がかかって、これらの部材の耐久性が低下する虞がある。
本実施形態においては、図19のグラフG1に示されるように、余剰空間71、81を形成しない場合のグラフG2と比べて、略同等にカム部22の突出量を確保することができる。
しかも、図20のグラフG3に示されるように、余剰空間71、81を形成しない場合のグラフG4と比べて、第1ダイス54、第2ダイス52、第3ダイス56、第1パンチ51、および第2パンチ57に加わる荷重を格段に低下させることができる。
また、図21のグラフG5に示されるように、ワーク53に加熱処理を行った場合には、加熱処理をしない場合のグラフG6と比べて、ワーク53の降伏点が下がり、その結果、凹部への充填性を高めることができ、さらに、応力が下がり、その結果、金型に対する負荷を軽減することができる。
(本実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、第1パンチ51でワーク53の軸方向一端側(上側)の端部を押圧し、第2パンチ57でワーク53の軸方向他端側(下側)の端部を押圧することにより、周面カム用凹部62,63内に金属材料が充填されてワーク53の外周面にカム部23が形成され、さらに、突出部用凹部75,76内に金属材料が流れ込んで端面突出部230が形成される。さらに、突出部用凹部75、76は、周面カム用凹部62、63に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間71、81を有するため、周面カム用凹部62,63への金属材料の充填性を確保することができるとともに、第1パンチ51および第2パンチ57によりワーク53に成形荷重を加えた際に(加圧成形)、ダイス、第1パンチ51、および第2パンチ57に対してその内側から過度に圧力(金属材料から受ける過度の圧力)がかからず、金型の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、第2ダイス52が第1ダイス54を押圧することにより、第1ダイス54の各分割ダイス54a,54bがガイド部材55にガイドされつつ互いに接近する方向に移動して型閉じする。このため、比較的簡単な構造で、各分割ダイスを型閉じすることができる。
また、本実施形態によれば、突出部用凹部75、76は、ワーク53の軸方向端部に対面するとともに当該ワーク53の径方向において周面カム用凹部62,63とは反対側に位置するため、前記第1パンチ51および前記第2パンチ57が前記ワーク53を押圧する時に、突出部用凹部75、76が形成されていない両パンチ51、57のワーク押圧部66、70(端部)での押圧により前記周面カム用凹部62,63への金属材料の充填性が向上し、カム部23(周面カム)の成形精度が向上できる。
なお、上記実施形態では、突出部用凹部75、76の双方に余剰空間71、81を形成しているが、突出部用凹部75、76のいずれか一方に形成してもよい。
また、上記実施形態では、カム要素部材の端面突出部230に端面カム23を有する動弁装置に適応したものであるが、これに限らず、軸方向端部に端面突出部を有するとともに外周面に外向きに突出する周面カムを有する円筒状のカム要素部材であれば種々の装置に適応できる。
23 端面カム
51 第1パンチ
52 第2ダイス
53 ワーク
54 第1ダイス
54a,54b 分割ダイス
55 ガイド部材
57 第2パンチ
62、63 周面カム用凹部
75、76 突出部用凹部
201〜204 カム要素部材
230 端面突出部

Claims (5)

  1. 軸方向端部に端面突出部を有するとともに外周面に外向きに突出する周面カムを有する円筒状のカム要素部材を製造する閉塞鍛造装置であって、
    前記カム要素部材のベースとなる円筒状のワークの外周面を成形するダイスと、
    前記ワークが前記ダイス内に配置された状態で、前記ワークの軸方向一端側の端面を押圧する第1パンチと、
    前記ワークが前記ダイス内に配置された状態で、前記ワークの軸方向他端側の端面を押圧する第2パンチとを備え、
    前記ダイスは、前記第1パンチおよび前記第2パンチが前記ワークを押圧することにより前記ワークの金属材料が流れ込んで当該ワークの外周面に前記周面カムを成形する周面カム用凹部を有し、
    前記第1パンチおよび前記第2パンチの少なくとも一方は、前記ワークの金属材料が流れ込んで前記端面突出部を成形する突出部用凹部を有し、当該突出部用凹部は、前記周面カム用凹部に金属材料が充填された時点で金属材料が充填されていない余剰空間を有することを特徴とする、カム要素部材の閉塞鍛造装置。
  2. 前記ダイスは、
    互いに接近および離間するように前記ワークの軸方向と直交する方向に移動可能である少なくとも2つの分割ダイスを有し、各分割ダイスが互いに接近する方向に移動することにより型閉じし前記ワークの軸方向中央部の外周面に対面する第1ダイスと、
    前記ワークの軸方向に移動可能で、前記第1ダイスに対して接近する方向に移動することにより、前記第1ダイスをワークの軸方向に押圧する第2ダイスと、
    前記第2ダイスが前記第1ダイスを押圧してその押圧方向に移動することに伴い、前記各分割ダイスが互いに接近する方向に各分割ダイスを移動させて型閉じするガイド部材とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のカム要素部材の閉塞鍛造装置。
  3. 前記突出部用凹部は、前記ワークの軸方向端部に対面するとともに当該ワークの径方向において前記周面カム用凹部とは反対側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のカム要素部材の閉塞鍛造装置。
  4. 請求項1に記載の閉塞鍛造装置を用いてカム要素部材を製造する方法であって、
    前記ダイス内にワークを配置する配置工程と、
    前記第1パンチおよび前記第2パンチにより前記ワークの両端面を押圧することにより、前記周面カム用凹部に金属材料が充填され前記周面カムを形成するとともに、前記突出部用凹部により金属材料が充填されていない余剰空間を残して前記端面突出部を成形する成形工程とを含むことを特徴とする、カム要素部材の閉塞鍛造方法。
  5. 前記周面カム用凹部により、互いに異なる形状の複数の周面カムを形成することを特徴とする、請求項4に記載のカム要素部材の閉塞鍛造方法。
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