JP2017100050A - 吸着性能を有する多孔質成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低分子有機物やイオン類を高い除去率で吸着除去できる多孔質成形体を提供する。
【解決手段】高分子樹脂と吸着性粒子からなる球状組織の集合体を有する多孔質成形体。
【選択図】図5
【解決手段】高分子樹脂と吸着性粒子からなる球状組織の集合体を有する多孔質成形体。
【選択図】図5
Description
本発明は、飲料水製造、工業用水製造、浄水処理、排水処理、海水淡水化、工業用水製造などの各種水処理に好適なホウ素、ヒ素、フッ素の吸着性能を有する多孔質成形体に関する。
近年、飲料水製造分野および工業用水製造分野、すなわち浄水処理用途、排水処理用途および海水淡水化用途などの水処理分野においてホウ素、ヒ素、フッ素などのサイズの細かいイオン類や低分子有機物を除去できる膜の要望が高まってきている。例えば、地下水に含まれるヒ素、排水中に含まれるリン、海水などに含まれているホウ素などであるが、これらのイオン類を多孔質膜のろ過分離で除去するのは不可能である。この中で海水中のホウ素は半透膜による逆浸透で除去しているのが実情であるが、逆浸透でもホウ素濃度の暫定値以下にすることは容易なことではない。例えば、半透膜を緻密にすると透水性能が低下して電力費などの処理コストが大きくなるし、除去率を高めるためにアルカリを使用すると逆浸透膜の劣化が早まる。
一方、ホウ素などに由来するイオン類を吸着剤で除去する検討がなされており、吸着性粒子を担持する多孔質成形体が検討されている。多孔質成形体としては、三次元網目構造を有するエチレンビニルアルコール重合体に含水酸化セリウムを担持させた粒状の吸着剤(例えば、特許文献1、2)が知られている。
本発明の課題は、従来の多孔質成形体よりも優れた除去率を実現することのできる技術を提供することである。
本発明は以下のいずれかの構成を備える。
(1)球状組織の集合体と、前記集合体に担持される吸着性粒子と、を備え、
100〜2500μmの長径を有する多孔質成形体であって、
前記多孔質成形体の表面から10μm以内の領域における前記球状組織の短径が1μm以上5μm以下である多孔質成形体。
100〜2500μmの長径を有する多孔質成形体であって、
前記多孔質成形体の表面から10μm以内の領域における前記球状組織の短径が1μm以上5μm以下である多孔質成形体。
(2) 最大孔径が30μm以下である(1)に記載の多孔質成形体。
(3) 前記多孔質成形体の表面から10μm以内の領域における球状組織の短径D1と、前記表面から50μm〜60μmの領域における球状組織の短径D2とが、
0.8<D2/D1<4.0
の関係式を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載の多孔質成形体。
0.8<D2/D1<4.0
の関係式を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載の多孔質成形体。
(4) 前記吸着性粒子がセリウムもしくはジルコニウムの含水酸化物である(1)から(3)いずれかに記載の多孔質成形体。
(5) 1)結晶性高分子樹脂、その貧溶媒および吸着性粒子が混合された原液を得る工程、2)前記原液を液滴状に吐出する工程、3)前記原液を冷却浴中で固−液型熱誘起相分離によって固化させる工程を有する多孔質成形体の製造方法。
(6) 結晶性高分子がポリフッ化ビニリデンであり、冷却浴が、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種類の貧溶媒50重量%以上95重量%と、5重量%以上50重量%以下の水とを含有する(5)に記載の多孔質成形体の製造方法。
本発明の多孔質成形体は、短径が一定以上である球状組織からなる集合体と、それに担持された吸着性粒子とを備える。このような多孔質成形体は、球状組織間の間隙(開口)が大きいことから、対象物質を効率よく吸着できるので、優れた除去率を示す。
1.多孔質成形体
本発明に係る多孔質成形体は、高分子樹脂の球状組織の集合体と、この集合体に担持される吸着性粒子と、を備える。また、多孔質成形体は、100〜2500μmの長径を有する球状である。
本発明に係る多孔質成形体は、高分子樹脂の球状組織の集合体と、この集合体に担持される吸着性粒子と、を備える。また、多孔質成形体は、100〜2500μmの長径を有する球状である。
1−1.球状組織
本発明の多孔質成形体は球状組織を有している。球状組織とは、球状の固形物の名称であり、球状が歪に形成された形状、形成後に変形した楕円状、円柱状の組織も含む。歪すぎると球状組織間の間隙(開口)が小さくなりやすいことから、球状組織の長径/短径が1.0〜2.0であることが好ましい。これらの球状組織は、連結されて、集合体を形成している。こ図1、図2に、本発明の多孔質成形体の一例の表面図を示し、図3、図4、図5に断面図を示す。
本発明の多孔質成形体は球状組織を有している。球状組織とは、球状の固形物の名称であり、球状が歪に形成された形状、形成後に変形した楕円状、円柱状の組織も含む。歪すぎると球状組織間の間隙(開口)が小さくなりやすいことから、球状組織の長径/短径が1.0〜2.0であることが好ましい。これらの球状組織は、連結されて、集合体を形成している。こ図1、図2に、本発明の多孔質成形体の一例の表面図を示し、図3、図4、図5に断面図を示す。
本発明の多孔質成形体において、表面における球状組織の短径D0は1μm以上5μm以下であることが好ましく、1.5μm以上4.5μm未満であることがより好ましく、2μm以上4μm未満であることがさらに好ましい。
多孔質成形体の表面およびその近傍の球状組織の短径D0が1μm以上であることで、球状組織間の間隙(開口)を比較的大きく確保することができる。よって、吸着対象物質が、容易に多孔質成形体内部に侵入することができる。また、この短径D0が5μm以下であることで、吸着対象物質の通過速度が吸着性粒子に接触しやすい速さになるため吸着効率が増大する。
また、表面から10μm以内の領域における球状構造S1の短径D1と、表面から50μm〜60μmの領域における球状構造S2の短径D2の比D2/D1が、0.8以上4未満であることが好ましく、1.1以上3.5未満であることがより好ましく、1.3以上3未満であることがさらに好ましい。短径が上記範囲内であることで吸着性粒子が厚み方向に対して均一に配置されるので、従来の非対称構造である多孔質吸着剤より吸着量を増やすことができる。
一方で球状組織間の間隙(開口)が大きすぎると吸着性粒子に接触しにくくなるため本発明の多孔質成形体は、最大孔径が30μm以下であることが好ましく、15μm未満であることがより好ましく、10μm未満であることがさらに好ましい。ここで、径が30μmよりも大きな孔をマクロボイドとするが、マクロボイドがある場合、吸着対象物質はマクロボイドを通過してショートカットし、マクロボイド周囲の吸着性粒子に接触しないため吸着量が低くなってしまう。従来の多孔質吸着剤を構成する三次元網目構造は表面にスキン層と呼ばれる緻密層が存在る一方で、内部に粗大なマクロボイドが存在し、かつ、そのマクロボイドは表面から中心部へ向かって細長い指状のマクロボイドとなっていることからその影響は大きい。マクロボイドのない本発明の多孔質成形体は、従来の三次元網目構造からなる多孔質吸着剤より吸着量を増やすことができ、15μm以上、さらには10μm以上の孔がなければより吸着量を増やすことができる。
1−2.高分子
本発明の多孔質成形体を構成する高分子は結晶性高分子であることが好ましい。
本発明の多孔質成形体を構成する高分子は結晶性高分子であることが好ましい。
結晶性高分子として、具体的には、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコールなどのポリマーおよび、その共重合体や誘導体が挙げられ、特に、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
ポリフッ化ビニリデン共重合体は、フッ化ビニリデン残基構造を有するポリマーであり、典型的にはフッ化ビニリデンモノマーとそれ以外のフッ素系モノマーなどとの共重合体である。このような共重合体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれた1種類以上のモノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない程度に、前記フッ素系モノマー以外の例えばエチレンなどのモノマーが共重合されていても良い。
また、フッ素樹脂系高分子の重量平均分子量は5万以上100万以下が好ましく、10万以上70万以下がより好ましく、さらに15万以上60万以下が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、多孔質成形体の吸着性能を回復させるための薬液に対する劣化を抑制でき、100万以下であることで生産性が上昇する。
1−3.吸着性粒子
本発明の多孔質成形体を構成する吸着性粒子は、無機粒子が好ましく、活性炭、各種触媒、金属元素及び金属塩などのうち吸着対象によって任意に選択することが出来る。とりわけ、ハンドリングが困難な微粒子状の吸着性粒子を使用する場合に有用であり、微粒子状吸着性粒子の二次粒子径もしくは一次粒子径と二次粒子径の平均が0.05μm以上80μm以下であることが好ましく、0.1μm以上30μm未満であることがより好ましく、0.5μm以上10μm未満であることがさらに好ましい。
本発明の多孔質成形体を構成する吸着性粒子は、無機粒子が好ましく、活性炭、各種触媒、金属元素及び金属塩などのうち吸着対象によって任意に選択することが出来る。とりわけ、ハンドリングが困難な微粒子状の吸着性粒子を使用する場合に有用であり、微粒子状吸着性粒子の二次粒子径もしくは一次粒子径と二次粒子径の平均が0.05μm以上80μm以下であることが好ましく、0.1μm以上30μm未満であることがより好ましく、0.5μm以上10μm未満であることがさらに好ましい。
微粒子状の吸着性粒子としては、例えば吸着対象がホウ素及び/またはリンである場合、金属酸化物及びその水和物が挙げられる。また、微粒子状の吸着性粒子としては、吸着容量の点から金属水酸化物、金属含水酸化物が好ましい。金属水酸化物、金属含水酸化物として希土類元素水酸化物、希土類元素含水酸化物が挙げられ、これらを構成する希土類元素としては、元素の周期表による原子番号21番のスカンジウムScと39番のイットリウムY、57番から71番のランタノイド元素、すなわちランタンLa、セリウムCe、プラセオジウムPr、ネオジウムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユウロピウムEu、カドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLuが該当し、なかでもホウ素除去性能の観点から好ましい元素はセリウムであり、4価のセリウムが好ましい。これら希土類元素水酸化物及び/又は含水酸化物の混合体も有用である。
多孔質成形体における吸着性粒子の含有率(多孔質成形体中、吸着性粒子が占める割合の重量%)は高ければ高いほど吸着性能が高まるため、30重量%以上であることが好ましく、50重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。一方で、高すぎると多孔質成形体の強度が低下し、変形や破断の原因となるため、上限は99重量%以下、さらには97重量%未満であることが好ましい。吸着性粒子の含有率を測定する方法としては、
(1)多孔質成形体を高分子の良溶媒に溶解してろ過する方法、
(2)電気炉によって800℃以上で熱する方法を組み合わせて吸着性粒子を取り出し、その重量を元の多孔質成形体の重量と比較することで算出する方法
が挙げられる。
(1)多孔質成形体を高分子の良溶媒に溶解してろ過する方法、
(2)電気炉によって800℃以上で熱する方法を組み合わせて吸着性粒子を取り出し、その重量を元の多孔質成形体の重量と比較することで算出する方法
が挙げられる。
1−4. 空隙率
本発明の多孔質成形体は、表面の空隙率が35%以上80%以下が好ましく、45%以上70%未満であることがより好ましく、50%以上65%未満であることがさらに好ましい。表面の空隙率が35%以上であることで吸着対象物質が多孔質成形体の中に侵入しやすくなって多孔質成形体中の吸着性粒子と接触しやすくなることで吸着量が大きくなる、一方で80%を超えると強度が低下して潰れやすくなるとともに密度が減るため吸着性粒子の含有量が減ることで吸着量が小さくなる。多孔質成形体の表面の空隙率は、樹脂部分面積と空隙部分面積を用いて、下記式(1)によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の表面画像について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
空隙率(%)={100×(空隙部分面積)}/{(樹脂部分面積)+(空隙部分面積)}・・・式(1)
さらに、多孔質成形体の表面付近と内部で空隙率が均一であることが好ましい。均一の範囲としては、前述したS1領域の空隙G1とS2領域の空隙G2の比(G2/G1)が0.8以上1.2未満が好ましく、0.9以上1.1未満がより好ましく、0.95以上1.05未満がさらに好ましい。前述したとおり従来の吸着性粒子を担持している多孔質成形体は、外表面側から中心部に空隙が徐々に大きくなる非対称構造になっているため表面から対象物質が侵入しにくいため吸着速度が遅く、かつ、内部に空隙が多いため吸着量の低いものであり、空隙の均一性を上記の範囲内にすることにより好適な吸着速度と吸着量を得ることができる。
本発明の多孔質成形体は、表面の空隙率が35%以上80%以下が好ましく、45%以上70%未満であることがより好ましく、50%以上65%未満であることがさらに好ましい。表面の空隙率が35%以上であることで吸着対象物質が多孔質成形体の中に侵入しやすくなって多孔質成形体中の吸着性粒子と接触しやすくなることで吸着量が大きくなる、一方で80%を超えると強度が低下して潰れやすくなるとともに密度が減るため吸着性粒子の含有量が減ることで吸着量が小さくなる。多孔質成形体の表面の空隙率は、樹脂部分面積と空隙部分面積を用いて、下記式(1)によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の表面画像について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
空隙率(%)={100×(空隙部分面積)}/{(樹脂部分面積)+(空隙部分面積)}・・・式(1)
さらに、多孔質成形体の表面付近と内部で空隙率が均一であることが好ましい。均一の範囲としては、前述したS1領域の空隙G1とS2領域の空隙G2の比(G2/G1)が0.8以上1.2未満が好ましく、0.9以上1.1未満がより好ましく、0.95以上1.05未満がさらに好ましい。前述したとおり従来の吸着性粒子を担持している多孔質成形体は、外表面側から中心部に空隙が徐々に大きくなる非対称構造になっているため表面から対象物質が侵入しにくいため吸着速度が遅く、かつ、内部に空隙が多いため吸着量の低いものであり、空隙の均一性を上記の範囲内にすることにより好適な吸着速度と吸着量を得ることができる。
以上に説明した多孔質成形体は、飲料水製造、工業用水製造、浄水処理、排水処理、海水淡水化、工業用水製造などの各種水処理に十分な純水透過性能、強度、伸度を有する。
1−5.多孔質成形体の形状
本発明の多孔質成形体は、長径が2500μm以下であることが好ましく、1500μm以下であることがより好ましく、900μm未満であることがさらに好ましい。多孔質成形体の長径が小さいとカラムに多孔質成形体を最大量充填したときの表面積の和が広くなるため吸着速度が上昇する。
本発明の多孔質成形体は、長径が2500μm以下であることが好ましく、1500μm以下であることがより好ましく、900μm未満であることがさらに好ましい。多孔質成形体の長径が小さいとカラムに多孔質成形体を最大量充填したときの表面積の和が広くなるため吸着速度が上昇する。
一方、長径の下限は充填量に応じて設定すればよいが、100μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがより好ましく、500μm以上であることがさらに好ましい。粒径が100μm以上であることで充填密度が低く抑えられるため通水時の圧力損失を抑えることができる。
長径が上記範囲内であればどの様な形状でも構わないが、前述したようにマクロボイドがないことが好ましく、例えば円筒状など大きな空隙を有する形態よりも円柱状の方が好ましい。さらには円柱状よりも球状に近い方が充填量を増やせるためより好ましい。具体的には長径/短径が1.0〜2.0程度であることが好ましい。
2.多孔質成形体の製造方法
本発明の多孔質成形体は、結晶性の高分子樹脂とその貧溶媒および吸着性粒子を混合攪拌した原液を、結晶成功分子樹脂の貧溶媒中に投入することで、高分子の結晶化を起点とする固−液型の熱誘起相分離によって凝固させることを特徴とする。本発明の粒子状成形体を製造する詳細な方法について、結晶性樹脂系高分子と吸着性粒子からなる粒状成形体を例にとって以下に例示する。
本発明の多孔質成形体は、結晶性の高分子樹脂とその貧溶媒および吸着性粒子を混合攪拌した原液を、結晶成功分子樹脂の貧溶媒中に投入することで、高分子の結晶化を起点とする固−液型の熱誘起相分離によって凝固させることを特徴とする。本発明の粒子状成形体を製造する詳細な方法について、結晶性樹脂系高分子と吸着性粒子からなる粒状成形体を例にとって以下に例示する。
2−1.液の調整
本実施形態における多孔質成形体の製造方法は、結晶性高分子と吸着性粒子が混合された原液を調整する工程を備える。結晶性高分子と吸着性粒子を結晶性高分子の貧溶媒または良溶媒に、結晶化温度以上の比較的高温で混合することで、原液を調製する。
本実施形態における多孔質成形体の製造方法は、結晶性高分子と吸着性粒子が混合された原液を調整する工程を備える。結晶性高分子と吸着性粒子を結晶性高分子の貧溶媒または良溶媒に、結晶化温度以上の比較的高温で混合することで、原液を調製する。
原液中の結晶性高分子と吸着性粒子の合計の濃度は、空隙率に影響する。濃度が低いと空隙率が高くなり、吸着対象物質が侵入しやすくなって吸着率が高くなる、一方で濃度が高いと多孔質成形体の体積あたりに含まれる吸着性粒子の割合が高くなるので吸着量が高くなる。このため、原液の重量における結晶性高分子の重量と吸着性粒子の重量の和が占める割合は、20重量%以上60重量%以下であることが好ましく、30重量%以上50重量%未満であることがより好ましく、35重量%以上42重量%未満であることがさらに好ましい。
本書において、貧溶媒とは、結晶性高分子を60℃以下の低温では、5重量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ結晶性高分子の融点以下の高温領域で5重量%以上溶解させることができる溶媒である。良溶媒とは、60℃以下の低温領域でも結晶性高分子を5重量%以上溶解させることができる可能な溶媒であり、非溶媒とは、結晶性高分子の融点または溶媒の沸点まで、結晶性高分子を溶解も膨潤もさせない溶媒と定義する。
ここで、結晶性高分子の貧溶媒としてはシクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド等およびそれらの混合溶媒が挙げられる。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等およびそれらの混合溶媒が挙げられる。非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびそれらの混合溶媒などが挙げられる。
2−2.原液の凝固
原液が粒状に凝固される。凝固時には温度変化で相分離を誘起する熱誘起相分離法、特には結晶性高分子の結晶核生成を利用した固−液型の熱誘起相分離法を利用して球状に組織化され、さらにそれらの球状組織が集合した成形体を得る。
原液が粒状に凝固される。凝固時には温度変化で相分離を誘起する熱誘起相分離法、特には結晶性高分子の結晶核生成を利用した固−液型の熱誘起相分離法を利用して球状に組織化され、さらにそれらの球状組織が集合した成形体を得る。
ここで、相分離法には高分子の溶媒と非溶媒の交換を用いる非溶媒誘起相分離法と温度変化を用いる熱誘起相分離法が知られており、さらに熱誘起法には高分子の結晶化が生じる固−液相分離法、溶媒の結晶化が生じる液−固相分離法、液−液状態で相が分離する液−液相分離法が知られている。非溶媒誘起相分離法では凝固浴に用意された非溶媒と原液中の溶媒の交換が外表面側から進行することで生じるため、空隙は外表面側から中心部に徐々に大きくなる非対称構造になり、外表面で吸着対象物質が侵入できない球状組織間の間隙(開口)が小さな緻密なスキン層ができてしまう。一方、熱誘起相分離法は溶媒交換よりも高速な熱交換によって生じ、外表面から中心部に至るまで対称構造となって外表面に緻密なスキン層が生じにくい。熱誘起相分離法の中でも固−液型の熱誘起相分離法はポリマーの結晶化制御により高分子部の大きさ、さらには高分子のない空隙の大きさを制御することができ、他の相分離法では困難な大きな間隙(開口)を形成させることが可能である。このため、組織の間に保持する本発明の多孔質成形体の製造方法では熱誘起相分離法、特には固−液型の熱誘起相分離が好ましく用いられ、これらが誘起される高分子濃度および溶媒が選択される。
結晶性高分子と吸着性粒子が上述した溶媒で混合された原液をノズルから冷却浴へ噴霧状に吐出する。吐出時の原液の温度は、Tc+20℃以上Tc+80℃以下であることが好ましく、Tc+30℃以上Tc+60℃未満であることがより好ましく、Tc+40℃以上Tc+55℃未満であることがさらに好ましい。より高い温度で噴霧することで球状組織の数が少なくなり、結果的に球状組織の短径が大きくなり、表面においては球状組織間の間隙(開口)を大きくすることができる。一方、高すぎると固化前に広がり、長径2500μm以下に成形できなくなるため、上記範囲が好ましい。ここで、Tcは原液の結晶化温度であり、次のように定義される。示差走査熱量測定(DSC測定)装置を用いて、結晶性系高分子と溶媒など原液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度20℃/minで溶解温度まで昇温し30分保持して均一に溶解した後に、降温速度20℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度がTcある。
冷却浴には、濃度が50〜95重量%の貧溶媒あるいは良溶媒と、濃度が5〜50重量%の非溶媒からなる混合液体を用いることが好ましい。貧溶媒や良溶媒としては高分子溶液と同じ溶媒を用いることが好ましく採用される。非溶媒としては安価なことから水が好ましく採用される。この工程において熱有機相分離と非溶媒誘起相分離が競争的に発生するが、上記濃度範囲にすることで熱誘起相分離を生じさせることができる。また、中空部形成液体には、冷却浴同様、濃度が50〜95重量%の貧溶媒あるいは良溶媒と、濃度が5〜50重量%の非溶媒からなる混合液体を用いることが好ましい。さらに貧溶媒としては高分子溶液と同じ貧溶媒を用いることが好ましく採用される。
冷却浴の温度範囲としては、−20℃以上20以下とすることが好ましく、−15℃以上10未満とすることがより好ましく、−10℃以上5未満とすることがさらに好ましいい。冷却浴の温度が20℃以下であることで結晶核が生成する温度に到達するまでの時間が短くなるため固−液型の熱有機相分離が液−液型の熱誘起相分離や非溶媒誘起相分離より優先して生じさせることができ、−20℃以上であることで結晶の成長が促されて球状組織の短径が大きくなるとともに比較的安価で製造できる。
冷却時間(つまり冷却浴への浸漬時間)は、固−液型の熱誘起相分離が完結するまでの時間で決めることができ、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上、さらに好ましくは15秒以上とするのがよい。
これらの工程の後、水などで洗浄することにより、球状組織からなる多孔質成形体を得ることができる。
3.多孔質成形体の使用方法
本発明の多孔質成形体はカラムなどに充填して使用することが好ましい。本発明の多孔質成形体は、耐潰れ性が高いため表面が露出された状態を保ち、かつ球状組織間の間隙(開口)が大きく、かつ、均一であるため内部の吸着性粒子に対象物質が接触者好く、例えば、海水中のホウ素などの除去を好適に行うことができる。
本発明の多孔質成形体はカラムなどに充填して使用することが好ましい。本発明の多孔質成形体は、耐潰れ性が高いため表面が露出された状態を保ち、かつ球状組織間の間隙(開口)が大きく、かつ、均一であるため内部の吸着性粒子に対象物質が接触者好く、例えば、海水中のホウ素などの除去を好適に行うことができる。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明に関する物性値は、以下の方法で測定することができる。
(球状構造)
(1)日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍で多孔質成形体の表面、断面を撮影した。
(2)任意の固形分について、固形分と空隙の界面に外接するように最大の大きさの円を画いた。このとき、直径1μm未満の円、円内に空隙がある場合、隣接する円と20%以上重なる円は画く事ができない。
(3)表面、断面ともに(円の面積の合計/固形分全体の面積)が0.5以上である場合を球状構造であるとした。
(1)日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍で多孔質成形体の表面、断面を撮影した。
(2)任意の固形分について、固形分と空隙の界面に外接するように最大の大きさの円を画いた。このとき、直径1μm未満の円、円内に空隙がある場合、隣接する円と20%以上重なる円は画く事ができない。
(3)表面、断面ともに(円の面積の合計/固形分全体の面積)が0.5以上である場合を球状構造であるとした。
(球状組織D0の短径)
上記、球状構造があるとした場合の表面画像を用い、画かれた円の直径の平均値を算出して球状組織の短径とした。
上記、球状構造があるとした場合の表面画像を用い、画かれた円の直径の平均値を算出して球状組織の短径とした。
(球状組織D1、D2の短径)
(1)日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍程度で多孔質成形体のS1領域とS2領域の断面を撮影した。
(2)任意の固形分について、固形分と空隙の界面に外接するように最大の大きさの円を画いた。このとき、直径1μm未満の円、円内に空隙がある場合、隣接する円と20%以上重なる円は画く事ができない。
(3)S1領域の円の平均直径を球状組織D1の短径とし、S2領域の円の平均直径をD2の短径とした。
(1)日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍程度で多孔質成形体のS1領域とS2領域の断面を撮影した。
(2)任意の固形分について、固形分と空隙の界面に外接するように最大の大きさの円を画いた。このとき、直径1μm未満の円、円内に空隙がある場合、隣接する円と20%以上重なる円は画く事ができない。
(3)S1領域の円の平均直径を球状組織D1の短径とし、S2領域の円の平均直径をD2の短径とした。
(多孔質成形体の長径、短径)
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて200〜1,000倍程度で多孔質成形体全体が表示できるように撮影した。多孔質成形体の中心を通るように成形体を横断する直線のうち、外表面間の長さが最も長いものを多孔質成形体の長径とし、最も短いものを多孔質成形体の短径とした。
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて200〜1,000倍程度で多孔質成形体全体が表示できるように撮影した。多孔質成形体の中心を通るように成形体を横断する直線のうち、外表面間の長さが最も長いものを多孔質成形体の長径とし、最も短いものを多孔質成形体の短径とした。
(表面の空隙率)
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて、10,000倍程度で表面を撮影した。付属の解析ソフトを用いて樹脂部分面積と空隙部分面積を求めた。任意の10画像について求めた面積から下記式(1)によって空隙率を算出した。
空隙率(%)={100×(空隙部分面積の合計)}/{(樹脂部分面積の合計)+(空隙部分面積の合計)}・・・式(1)
(最大孔径)
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて300〜1,000倍程度で多孔質成形体の断面全体が表示できるように撮影した。短径10μm以上の空隙がある場合にはマクロボイドがあるとし、以下の基準で評価した。
10μm以上のマクロボイドがない:◎
10μm以上20μm未満のマクロボイドがあり、20μm以上のマクロボイドはない:○
20μm以上30μm未満のマクロボイドがあり、30μm以上のマクロボイドはない:△
30μm以上のマクロボイドがある:×。
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて、10,000倍程度で表面を撮影した。付属の解析ソフトを用いて樹脂部分面積と空隙部分面積を求めた。任意の10画像について求めた面積から下記式(1)によって空隙率を算出した。
空隙率(%)={100×(空隙部分面積の合計)}/{(樹脂部分面積の合計)+(空隙部分面積の合計)}・・・式(1)
(最大孔径)
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて300〜1,000倍程度で多孔質成形体の断面全体が表示できるように撮影した。短径10μm以上の空隙がある場合にはマクロボイドがあるとし、以下の基準で評価した。
10μm以上のマクロボイドがない:◎
10μm以上20μm未満のマクロボイドがあり、20μm以上のマクロボイドはない:○
20μm以上30μm未満のマクロボイドがあり、30μm以上のマクロボイドはない:△
30μm以上のマクロボイドがある:×。
(表面における球状組織間の間隙)
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて1,000倍程度で多孔質成形体の表面を撮影した。任意の10μm四方の画像において、任意の空隙を中心として固形分と外接する円を画き、その円の直径を間隙径として以下の基準で評価した。
1μm以上の径を有する間隙が5個以上ある:◎
1μm以上の径を有する間隙が2〜4個ある:○
1μm以上の径を有する間隙が1個ある:△
1μm以上の径を有する間隙が1つもない:×
(結晶性系高分子溶液の結晶化温度Tc)
セイコー電子製DSC−6200を用いて、原液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度20℃/minで溶解温度まで昇温し、30分保持して均一に溶解した後に、降温速度20℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度を結晶化温度Tcとした。
日立製作所製の走査型電子顕微鏡を用いて1,000倍程度で多孔質成形体の表面を撮影した。任意の10μm四方の画像において、任意の空隙を中心として固形分と外接する円を画き、その円の直径を間隙径として以下の基準で評価した。
1μm以上の径を有する間隙が5個以上ある:◎
1μm以上の径を有する間隙が2〜4個ある:○
1μm以上の径を有する間隙が1個ある:△
1μm以上の径を有する間隙が1つもない:×
(結晶性系高分子溶液の結晶化温度Tc)
セイコー電子製DSC−6200を用いて、原液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度20℃/minで溶解温度まで昇温し、30分保持して均一に溶解した後に、降温速度20℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度を結晶化温度Tcとした。
(ホウ素除去率)
内径10mmのカラムに高さ100mmとなるように多孔質成形体を充填し、愛媛県松山市で採取した海水を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で60分間通水し、供給水および透過水中に存在するホウ素濃度を測定した。ホウ素濃度の測定には、ICP発光分析装置(日立製作所製P−4010)を用いた。ホウ素除去性能は以下の式で定義されるホウ素除去率により評価した。
(ホウ素除去率)={1−(透過水中のホウ素濃度)/(供給水中のホウ素濃度)}×100・・・式(2)
〈実施例1〉
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー9重量%とγ−ブチロラクトン70重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム21重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度5℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
内径10mmのカラムに高さ100mmとなるように多孔質成形体を充填し、愛媛県松山市で採取した海水を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で60分間通水し、供給水および透過水中に存在するホウ素濃度を測定した。ホウ素濃度の測定には、ICP発光分析装置(日立製作所製P−4010)を用いた。ホウ素除去性能は以下の式で定義されるホウ素除去率により評価した。
(ホウ素除去率)={1−(透過水中のホウ素濃度)/(供給水中のホウ素濃度)}×100・・・式(2)
〈実施例1〉
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー9重量%とγ−ブチロラクトン70重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム21重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、γ−ブチロラクトン85重量%水溶液からなる温度5℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
〈実施例2〉
エチレン共重合比率75重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体8重量%とポリエチレングリコール10重量%、オレイルアルコール50重量%を110℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径6.0μmの水酸化ジルコニウム32重量%を混合することで原液を得た。該液を95℃でノズルから噴霧状に吐出し、オレイルアルコール95重量%水溶液からなる温度20℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
エチレン共重合比率75重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体8重量%とポリエチレングリコール10重量%、オレイルアルコール50重量%を110℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径6.0μmの水酸化ジルコニウム32重量%を混合することで原液を得た。該液を95℃でノズルから噴霧状に吐出し、オレイルアルコール95重量%水溶液からなる温度20℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
〈実施例3〉
エチレン共重合比率32モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体8重量%と1,3−プロパンジオール60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、1,3−プロパンジオール85重量%水溶液からなる温度20℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
エチレン共重合比率32モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体8重量%と1,3−プロパンジオール60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、1,3−プロパンジオール85重量%水溶液からなる温度20℃の冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで球状構造を有する多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、ホウ素除去率に優れた成形体であった。
〈比較例1〉
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー8重量%とN−メチル−2−ピロリドン60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、温度20℃の水からなる浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、多孔質成形体は球状組織が確認されず、表面にスキン層のある三次元網目構造を有しているとともに内部に指状のボイドを有しており、ホウ素除去率に劣るものであった。
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー8重量%とN−メチル−2−ピロリドン60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、温度20℃の水からなる浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、多孔質成形体は球状組織が確認されず、表面にスキン層のある三次元網目構造を有しているとともに内部に指状のボイドを有しており、ホウ素除去率に劣るものであった。
〈比較例2〉
エチレン共重合比率32モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体8重量%と1,グリセロール60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、温度20℃の水からなる冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、多孔質成形体は球状組織が確認されず、表面にスキン層のある三次元網目構造を有しているとともに内部に指状のボイドを有しており、ホウ素除去率に劣るものであった。
エチレン共重合比率32モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体8重量%と1,グリセロール60重量%を150℃で攪拌して溶解し、つづけて粒径4.5μmの水酸化セリウム32重量%を混合することで原液を得た。該原液を101℃でノズルから噴霧状に吐出し、温度20℃の水からなる冷却浴中に20秒間滞留させ、固化させた。ついで、60℃の水中にて洗浄することで多孔質成形体を得た。吸着性能を表1に示すが、多孔質成形体は球状組織が確認されず、表面にスキン層のある三次元網目構造を有しているとともに内部に指状のボイドを有しており、ホウ素除去率に劣るものであった。
本発明の多孔質成形体は、表面と内部の空隙が均一に大きいため、内部の吸着性粒子へ吸着対象物質が接触しやすい。よって、海水中のホウ素をはじめとする低分子有機物やイオン類の吸着に使用することができる。
Claims (6)
- 球状組織の集合体と、
前記集合体に担持される吸着性粒子と、
を備え、
100〜2500μmの長径を有する多孔質成形体であって、
前記多孔質成形体の表面における前記球状組織の短径が1μm以上5μm以下である
多孔質成形体。 - 最大孔径が30μm以下である
請求項1に記載の多孔質成形体。 - 前記多孔質成形体の表面から10μm以内の領域における球状組織の短径D1と、前記表面から50μm〜60μmの領域における球状組織の短径D2とが、
0.8<D2/D1<4.0
の関係式を満たすことを特徴とする
請求項1または2に記載の多孔質成形体。 - 前記吸着性粒子がセリウムもしくはジルコニウムの含水酸化物である
請求項1から3いずれかに記載の多孔質成形体。 - 1)結晶性高分子樹脂、その貧溶媒および吸着性粒子が混合された原液を得る工程、
2)前記原液を液滴状に吐出する工程、3)前記原液を冷却浴中で固−液型熱誘起相分離によって固化させる工程を有する
多孔質成形体の製造方法。 - 結晶性高分子がポリフッ化ビニリデンであり、冷却浴が、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種類の貧溶媒50重量%以上95重量%と、5重量%以上50重量%以下の水とを含有する
請求項5に記載の多孔質成形体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015232762A JP2017100050A (ja) | 2015-11-30 | 2015-11-30 | 吸着性能を有する多孔質成形体およびその製造方法 |
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ID=59015201
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107555521A (zh) * | 2017-10-27 | 2018-01-09 | 卢伟 | 一种重金属污水处理用多孔生物质微球及其制备方法 |
JP2019118878A (ja) * | 2018-01-04 | 2019-07-22 | 旭化成株式会社 | 多孔性成形体 |
JP2019118876A (ja) * | 2018-01-04 | 2019-07-22 | 旭化成株式会社 | 多孔性成形体 |
US11865509B2 (en) | 2018-01-04 | 2024-01-09 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Porous molding |
-
2015
- 2015-11-30 JP JP2015232762A patent/JP2017100050A/ja active Pending
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CN107555521A (zh) * | 2017-10-27 | 2018-01-09 | 卢伟 | 一种重金属污水处理用多孔生物质微球及其制备方法 |
CN107555521B (zh) * | 2017-10-27 | 2018-07-03 | 南京苏环环境互联科技有限公司 | 一种重金属污水处理用多孔生物质微球及其制备方法 |
CN108585101A (zh) * | 2017-10-27 | 2018-09-28 | 卢伟 | 一种重金属污水处理用无机材料杂化的多孔生物质微球的回收方法 |
CN108585101B (zh) * | 2017-10-27 | 2020-12-11 | 新沂市锡沂高新材料产业技术研究院有限公司 | 一种重金属污水处理用无机材料杂化的多孔生物质微球的回收方法 |
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