JP2017097044A - 磁性ウインドーフィルム及び両面表示機構 - Google Patents

磁性ウインドーフィルム及び両面表示機構 Download PDF

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Abstract

【課題】片面と他の片面で異なる画像の印刷を施した透明基体に貼付けて用いるウインドーフィルムで、両面共に反対面に透過画像を生じない性能を有し、室内側に表示片を容易に着脱できるウインドーフィルム及び両面表示機構を提供する。【解決手段】黒色系強磁性体粉と粘結材より成る黒色系不透明層である軟質磁性体11又は硬質磁性体の両面に印刷可能な白色系不透明層2を設けて、両面共に可視光線を反射し、一部透過した可視光線を黒色系不透明層で吸収する性能を付与し、両面に印刷インキ層3を施し、片面に透明粘着層を設けた磁性ウインドーフィルムAとする。フィルムを窓ガラスなどの透明基体Bに貼り付け、更に表装材7と磁石層6又は磁石の被着体層よりなる表示片C1を磁気吸着力で貼着するようにする。【選択図】図3

Description

・本発明は、片面と他の片面に異なる印刷を施したウインドーフィルム及びそれを用いた両面表示機構に関するものである。該ウインドーフィルムはドア、窓、壁などの板ガラス、又はプラスチック板の室内側に透明粘着剤層で貼着されるものである。そうして、本発明は両面共に表側の印刷画像が裏側に透過印刷陰影(透過画像)となって生じない特徴を有し、更に室内側には磁性フィルム製の表示片を一部分又は全面に磁気貼着できることを特徴とする。
・二枚の紙基材が遮光層を介して積層された遮光紙において、該遮光層が黒色顔料と熱可塑性樹脂とを含有した黒色層と、白色顔料と熱可塑性樹脂とを含有した白色層とによって形成され、顔料の樹脂への添加量、厚み、積層順を特定した技術が開示されている(特許文献1)。
・この技術は、片面からの光線を遮光するものであり、包装、容器などに適用されるものであるが、本発明は両面ともに他の面への可視光線を遮断して、表側の印刷画像が裏側に透過印刷陰影(透過画像)となって生じないことを目的とする技術であり目的と技術を異にする。
特開2014−136405号公報
・店舗のドア、窓などのガラス板に貼着して表面側と裏側で画像が異なる場合に明るい方からの可視光線が裏側に透過することで裏側に透過印刷陰影(透過画像)を生じる傾向が有る。本発明はこの不都合を解決しようとするものであり、更に内側には適宜着脱容易な表示片を貼着したい要望にも応えることを課題とする。
(1)本発明に係る磁性ウインドーフィルムは、黒色系強磁性体粉末と有機高分子エラストマーである粘結材を主たる成分とする黒色系不透明層の両面に、表面に印刷を施した白色系不透明層を設けた積層フィルムとすることで、又は表面に印刷可能な白色系不透明層を積層後に印刷を施した複層フィルムとすることで、両面共に表面に入射する可視光線を白色系不透明層で反射し、更に一部透過した可視光線を黒色系不透明層で吸収することによって、裏面側に透過印刷陰影(透過画像)が生じない複層フィルム、又は及び該複層フィルムの片面に離型紙付透明粘着層を設けたことを特徴とする磁性ウインドーフィルムとする。
(2)前記黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で低保磁力の軟質磁性体(磁石の被着体)であるスピネル型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みを50〜180μmとし、前記白色系不透明層の厚みを50〜150μmとしたことを特徴とする(1)項に記載の磁性ウインドーフィルムとする。
(3)前記スピネル型フエライト粉末をマグネタイト粉末としたことを特徴とする磁性ウインドーフィルムとする。
(4)前記黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体(永久磁石材料)であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが70〜250μmの多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、前記白色系不透明層の厚みを50〜150厚μmとしたことを特徴とする(1)項に記載の磁性ウインドーフィルムとする。
(5)前記マグネトプランバイト型フエライト粉末をストロンチュウムフエライト粉末としたことを特徴とする磁性ウインドーフィルムとする。
(6)前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の磁性ウインドーフィルムを、ドア、窓、壁などの板ガラス又はプラスチック板である透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着したことを特徴とする両面表示機構とする。
(7)前記(2)又は(3)に記載の磁性ウインドーフィルムを、ドア、窓、壁などの板ガラス又はプラスチック板である透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着し、その表面に硬質磁性体(永久磁石材料)であるマグネトプランバイト型フエライト粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対するマグネトプランバイト型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが70〜200μmの片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る表示片を磁気吸着力で1枚以上重ねて着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構とする。
(8)前記マグネトプランバイト型フエライト粉末をストロンチュウムフエライト粉末としたことを特徴とする両面表示機構とする。
(9)前記(4)又は(5)に記載の磁性ウインドーフィルムを、ドア、窓、壁などの板ガラス又はプラスチック板である透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着し、その表面に軟質磁性体(磁石の被着体材料)であるスピネル型フエライト粉末、有機高分子エラストエラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対するスピネル型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが60〜180μmの多極着磁を施した永久磁石フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る表示片を磁気吸着力で1枚以上重ねて着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構とする。
(10)前記スピネル型フエライト粉末をマグネタイト粉末としたことを特徴とする(9)項に記載の両面表示機構とする。
1、本発明の磁性ウインドーフィルムは、表面からの可視光線を白色系不透明層で反射させ、更に透過した可視光線を黒色系不透明層で吸収させて遮断する効果によって、両面共に反対表面に印刷した絵、文字などの透過印刷陰影(透過画像)が生じない利点がある。
・又、本発明の磁性ウインドーフィルムは、更に黒色系不透明層中の黒色系顔料として黒色系磁性体粉末を用いることで、室内側に磁性フィルム製の表示片を磁気吸着力で容易に着脱できる利点がある。
2、本発明の磁性ウインドーフィルムを、透明基体の室内側に、透明の粘着フィルムなどで貼着することで両方の面に異なる画像を表示でき、更に室内側に磁性フィルム製の表示片を磁気吸着力で容易に着脱できる両面表示機構が得られる利点がある。
3、黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末に、軟質磁性体(磁石の被着体)を用いた磁石の被着体タイプの磁性ウインドーフィルムに対しては、硬質磁性体(永久磁石)である表示片を1枚以上多重磁気貼着できる利点がある。
・又、黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末に、硬質磁性体(永久磁石)を用いた磁石タイプの磁性ウインドーフィルムに対しては、軟質磁性体(磁石の被着体)である表示片を1枚以上多重磁気貼着できる利点がある。
4、離型紙付透明粘着層を設けることで離型紙を剥がして容易に透明基体への貼着が出来る他に、離型紙付透明粘着層を設けない磁性ウインドーフィルムに生じる不都合を防止できる。即ち、磁性ウインドーフィルムを重ね積みで長期保管した場合に、場合によっては印刷面同士のブロッキング(温度、湿度、荷重、時間によって接着剤を用いないで自着する現象)を生じる不都合、平坦性の劣化(波打ち)を生じる不都合、貼着作業時の自重による変形、皺入りの不都合を防止する利点がある。
本発明の実施の形態を現す磁性ウインドーフィルムの基本構成を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態を現す両面表示機構の基本構成を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態を現す両面表示機構の第1発展構成を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態を現す両面表示機構の第2発展構成を示す断面模式図である。 比較例として、黒色系不透明層を有しないウインドーフィルムを用いた表示機構を示す断面模式図である。
・以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
(1)図1は、本発明の磁性ウインドーフィルムの基本構成を示す断面模式図であり、Aは本発明の磁性ウインドーフィルムを示す。
・1は黒色ないし黒褐色(「黒色系」という。)不透明層であり、2は表面が印刷可能な白色ないし他の色で淡く着色された白色(「白色系」という。)不透明層であり、3は印刷インキ層を示し、4は透明粘着層(感圧接着層)であり、5は離型紙を示す(以後の各図面の1〜5についても同じ)。
・黒色系不透明層1は、黒色系磁性体粉と粘結材であるプラストマーないしエラストマーを主たる組成とし、磁性材料粉は軟質磁性材料粉(磁石の被着体材料粉)では、スピネル型フエライトであるマグネタイト(主成分が四三酸化鉄である合成マグネタイトないし磁鉄鉱)粉、マグヘマイト(ガンマ三二酸化鉄)粉、ニッケル・ジンクフエライト粉、マンガン・ジンクフエライト粉が挙げられ、この中でも黒色で加工性(充填性)及び磁性が優れ比較的安価なマグネタイト粉が好適であり、硬質磁性材料粉(永久磁石材料粉)ではマグネトプランバイト型フエライトであるストロンチュウムフエライト粉、バリュウムフエライト粉、及びこれらの混合物が挙げられ、この中でもストロンチュウムフエライト粉は黒色に近い黒褐色で磁性が優れ、又加工性(充填性)が優れるので好適である。
・粘結材であるプラストマーないしエラストマーとしては、可塑化塩化ビニル、アクリル樹脂(エチレンエチルアクリレート)塩素化ポリエチレン樹脂等のプラストマー、及び、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体系エラストマー、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレンエチルアクリレート系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、黒色ないし黒褐色(以下、「黒色系」という。)磁性材料粉、粘結材、加工助剤などより成る全量に対する黒色系磁性材料粉の充填量は、磁気吸着力を得る為に55〜65容量%程度が望ましい。黒色系磁性材料粉の充填量が55容量%より少ないと場合によっては磁気吸着力が不足と成り、65容量%より多いと加工性の低下と必要以上の磁気吸着力となるので不経済である。
・軟質磁性材料粉(被着体材料粉)を用いた黒色系不透明層11の場合は50〜180μm厚が好ましく、50μmより薄いと場合によっては透過陰影(反転透過画像)防止効果と磁気吸着力が不足となり、180μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。又、硬質強磁性材料粉(永久磁石材料粉)を用いた黒色系不透明層12の場合は、軟質磁性体製の表示片を多重磁気貼着することを考慮して70〜250μm厚が好ましく、70μmより薄いと場合によっては磁気吸着力が不足となり、250μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。
・硬質磁性材料(永久磁石材料)を用いた黒色系不透明層12の場合は、着磁処理が必要であり、磁性層を成型後又は白色系不透明層との複合後に多極着磁を施せば良い。
・多極着磁は片面又は両面に公知の方法(永久磁石型着磁ロール方式又は高圧直流パルス電源とワンターン着磁ヨークによる方式)によって極間1.0〜2.5mmピッチに施せば良い。
・黒色系不透明層の製造は、磁性材料粉、粘結材(有機高分子エラストマー)、少量の加工助剤からなる組成物を用いて、公知のマグネットシート成型方法(圧延成型、押出圧延成型など)及び磁性材料粉、粘結材(有機高分子エラストマー)、少量の加工助、溶剤からなる塗布成型方法で製造することが出来る。塗布成型ではコンマコーター、リバースロールコーター、グラビヤコーター(スムージングナイフ付き)などが好適である。
・表面が印刷可能な白色系不透明層2は、合成紙、白色系無機粉末を充填したプラスチックフィルム、又はプラスチックフィルムの表面に白色系無機顔料粉を含有した塗料を塗布したもの、又は及びインキ受理層を塗布したものが挙げられ、合成紙は各種印刷インキに対応したグレードを選べばよい。合成紙としては、例えばユポ合成紙FEB,FGS,FPG,VJFP,VJF等((株)ユポコーポレイション製)、トヨジェットGP,MW,MT,YP等(東洋紡績(株)製)、ピーチコートSPUY,MP等(日清紡(株)製)が挙げられ、無機粉末等を含有したプラスチックフィルムとしては半硬質塩化ビニルフィルム−10P(リケンテクノス(株)製)等が挙げられ、インクジェット受理層を設ける場合はインクジェット受理層の厚みを2μm〜20μmが望ましく、2μmより薄いとインクの受理能不足となり、20μmより厚いと必要以上の受理層となり不経済である。
・白色系無機顔料粉を含有した塗料としては、ポリエステル系SS16−611(東洋インキ(株)製)、ポリエステル系PALマット8,ポリエステル系RAM,ウレタンアクリル系ULA等(セイコーアドバンス(株)製)が挙げられる。
・前記白色系無機顔料粉を含有した塗料の塗布は、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター等公知の方法で行う事が出来る。
・インキ受理層の形成に用いる処理剤としては、特に制限はなく市販のものが使用できるが、インクジェット受理層の形成に用いる処理剤としては、例えば、パテラコールIJ−150R(無機質充填剤含有ウレタン樹脂系ディスパーシヨン)DIC(株)製、RSI−100(無機質充填剤含有ハイブリット樹脂系ディスパーシヨン)DIC(株)製、MZ−477、MZ−480、(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーシヨン)高松油脂(株)製が挙げられる。又、塗布装置としては公知のものが使用できるが、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
・前記黒色系不透明層1への白色系不透明層2の貼合せは、接着剤とラミネーターを用いて公知の方法で行う事が出来る。この場合に用いる接着剤としては、ポリエステル系(二液型)AP−368A/B(中央理化(株)製),ポリエステル系(二液型)TM595/CAT56(東洋モートン(株)製)等が挙げられる。
・白色系不透明層2の磁気表示片を貼着する磁気吸着面側の厚みは、50μm〜150μmが好ましく、50μmよりも薄いと可撓性磁性フィルムの黒色に対する隠蔽力不足となり商品価値が低下し、150μmより厚くなると場合によっては磁石のエアーギャップによる磁気吸着力の低下が無視出来なくなる。
・印刷インキ層3は、施すイラスト画など及び印刷加工の時期に適した印刷方式(インキジェット、オフセット、フレキソ、グラビヤ、スクリーンなど)で印刷又は塗布したもので良く、断面は断続ないし連続の印刷インキ層である。
・又、印刷加工を施す時期については、予め印刷を施した白色系不透明層2を用いる方法と、黒色系不透明層1の両面に印刷可能な白色系不透明層を設けた後に印刷を施す方法がある。
・前者は白色系不透明層単体で印刷加工を行うので公知の汎用フレキソ印刷、グラビヤ印刷、スクリーン印刷、インキジェット印刷方式での各多色印刷品の長尺巻物として多量加工が可能で、又残存する加工歪が少ない利点があるが、少量多品種の絵柄が必要な場合には好適でない。
・後者は磁性粉を高充填した比重略3.6の黒色系透明層の両面に白色系不透明層を有する複層フィルムであるので比較的に厚み、自重が大きいのでグラビヤ多色印刷加工機ではロール間隔を短く、ベルトコンベヤなどを有する自重の大きいウエブに適した機種を選ぶ必要があり、又厚みが厚いことから長尺巻きでの取り扱いには適さないので、公知の汎用インキジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷方式での各多色印刷が残存する加工歪が少なく好適であり、多品種少量生産に対応した未印刷の備蓄品への印刷加工、又は二次加工業者が未印刷品を仕入れて印刷加工をする場合に好適である。
・透明粘着剤(感圧接着剤)層4は、略無色透明で層厚は25〜80μm程度の基材レスタイプ(例えば大日本インキ化学社製ダイタックZ87012・アクリル系0.05mm厚)又は透明フィルム基材の両面粘着層(例えば大日本インキ化学社製ダイタック8625S・アクリル系0.08mm厚)が望ましい。層厚が25μmより薄いと場合によっては粘着力不足になり、80μm以上であると場合によって画像の透視障害を招く恐れが有る。又、磁性ウインドーフィルムAを透明基体Bに貼付後、貼替え作業時に印刷可能な白色系不透明層2である合成紙によっては、弱い表面層が透明基体B側に取られる不都合を生じる場合がある。このような不都合は、透明フィルム基材の両面粘着層を用いることでこれを防止できる利点がある。
(2)図2は、本発明の磁性ウインドーフィルムAの離型紙5を剥がして、透明粘着層4を透明基体Bに貼着した両面表示機構の基本構成を示す断面模式図である。
・透明基体Bは、ドア、窓、壁などの板ガラス又はプラスチック板などで良い(以後の図面に於いて同じ)。
(3)図3は、軟質磁性体である黒色系不透明層11を用いた磁性ウインドーフィルムの離型紙5を取除いた本発明の磁性ウインドーフィルムA11を透明基体Bに貼着して成る両面表示機構において、更に多極着磁を施した硬質磁性フィルム(磁石フィルム)6と表装材7よりなる表示片C1を磁気貼着したことを示す断面模式図であり、8は主たる磁束の流れを示す(以後の図面に於いて同じ)。又、表示片C1は片面多極着磁又は両面多極着磁品を使用することが出来るが、図3は、片面多極着磁の場合で示している。
・表示片C1の磁石フィルム6の背面は、着磁面の磁極に対して片面多極着磁品の場合は弱い異極(図示省略)を生じ、両面多極着磁品の場合は背面に異極を生じているので、同じ位置に次の表示片C1を磁気吸着着出来るので1枚以上、すなわち1枚ないし複数枚の表示片C1を重ねて磁気貼着することが出来る。
・多極着磁を施した硬質磁性フィルム(磁石フィルム)6は、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体粉末(永久磁石材料粉末)であるマグネトプランバイト型フエライト(ストロンチュウムフエライト粉末、バリュウムフエライト粉末など)と、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する永久磁石材料粉の充填量が55〜65容量%で、厚みは70〜200μmが好ましく、充填量が55容量%より少ないと磁気吸着力が不足する場合があり、充填量が65容量%より多いと成形機への負荷が過大となり成形性が低下するので好ましくない。又、厚みは70μmより薄いと磁気吸着力が不足する場合があり、200μmより厚いと必要以上の磁気吸着力となる他に嵩ばり又不経済となる。又、多極着磁の極間は1〜2.5mmピッチが好ましく、この範囲を逸脱すると得られる磁気吸着力が低下する場合がある。装飾層7は、厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたものが好ましく、50μmより薄いと黒色〜黒褐色磁性層に対する隠ぺい力不足となり、150μmより厚いと重ね貼着する場合の磁石のエアーギャップ(磁石の着磁面と磁石の被着体間に存在する非磁性体の厚み)が無視出来なくなる。又、マグネトプランバイト型フエライト粉末は、磁性ウインドーフィルムと同じ理由からストロンチュウムフエライト粉末が好適である。
(4)図4は、着磁を施した硬質磁性体(永久磁石材料)である黒色系不透明層12を用いて離型紙5を取除いた本発明の他の磁性ウインドーフィルムA12を透明基体Bに貼着して成る両面表示機構であり(軟質磁性体層11の背面漏洩磁束の記載省略)、更に軟質磁性フィルム(磁石の被着体)9と表装材7よりなる表示片C2を磁気貼着し、更にその表面に表示片C2を二重に磁気貼着したことを示す断面模式図である。表示片C2は磁性ウインドーフィルムA12から受ける磁束で磁化され更に背面に漏洩磁束を出すことで1枚以上を重ねて磁気貼着することが出来る。
・又、表示片C1及びC2は用途環境によって、公知のマグネットシートと同様に着磁面にブロッキング防止層を設けることが出来る。
・表示片C2の軟質磁性フィルム(磁石の被着体)9は、高透磁率で低保磁力である軟質
磁性材料のスピネル型フエライト粉末であるマグネタイト(主成分が四三酸化鉄である合成マグネタイトないし磁鉄鉱)粉末、マグヘマタイト(ガンマ三二酸化鉄)粉末、Ni・Znフエライト粉末など〕と粘結材である有機高分子プラストマー〜エラストマー(可塑化塩化ビニル、アクリル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等のプラストマー、及び、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体系エラストマー、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレンエチルアクリレート系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど)と加工助剤より成る全量に対する軟質磁性粉の充填量が55〜65容量%で、厚みを60〜180μmが好ましく、充填量が55容量%より少ないと磁気吸着力が不足する場合があり、65容量%より多いと成形機への負荷が過大となり成形性が低下するので好ましくない。又、厚みは60μmより薄いと磁気吸着力が不足する場合があり、180μmより厚いと必要以上の磁気吸着力となる他に嵩ばり又不経済となる。装飾層7は、厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたものが好ましく、50μmより薄いと黒色系磁性層に対する隠ぺい力不足となり、150μmより厚いと重ね貼着する場合の磁石のエアーギャップが無視出来なくなる。又、スピネル型フエライト粉末は、磁性ウインドーフィルムと同じ理由からマグネタイト粉末が好適である。
(5)図5は、比較例として黒色不透明層を有しないウインドーフィルムA2を用いた表示機構を示す断面模式図である。
・白色不透明層2の厚みは、本発明における白色不透明層2の2枚分の厚みとして性能の比較に供する。
・以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
1、先駆体の作成
(1) 表面が印刷可能な白色不透明層である支持体の作成
・ポリエステル(PET)系合成紙クリスパーK2323(東洋紡績社製)75μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松樹脂社製)を用いて公知のコンマコーターで25μm厚に塗布し乾燥することで、100μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
(2)黒色不透明層の形成
(塗工液の配合)
・エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスEW−40LX(VA41%)
・三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・8.69重量部
・エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスV−5772ET(VA33%)
・三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・3.72重量部
・マグネタイトBL−10 チタン工業社製〔軟質磁性材料粉〕・・・・・100重量部
・メチルエチルケトン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30重量部
・トルエン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90重量部
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 89.0重量%(60.0容量%)〕
(塗工液の作成)
・前記配合に従って、攪拌機(ディスパー;剪断型 羽径200mm)に有機溶剤とエラ
ストマーを投入し攪拌溶解後、攪拌しながらマグネタイト粉を投入し混合攪拌したものを、サンドミル(ビーズ;1.25mm、ディスク;平型、周速12m/s)にて分散処理を行う。
(コーティング)
・前記塗工液をコーティングの直前に攪拌機でコーティングに適した粘度に粘度調整を行う。次に前記の支持体であるインキジェット印刷用合成紙の裏面に、前記の塗工液を用いて巻出機/コンマコーターヘッド/乾燥炉/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知のコンマコーターで、乾燥後の厚み30μmにコーティングして先駆体を作成する。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
2、複層フィルムの作成
(貼り合せ)
・巻出機/加熱ロール(φ356mm)とニップ式プレスロール(φ305mm)/巻出機/冷却ロール/巻取機より成る公知の熱ラミネーターを用いて、前記先駆体の磁性層面同士を貼り合わせる事によって、黒色不透明層(60μm厚)の両面に印刷可能な白色不透明層(100μm厚)を有する複層フィルムを得る。
・貼り合せの条件は、ニップロールの表面温度;90°C、ニップゴムロールの硬度;ショア60、線圧;約250N/cmとする。
3、印刷加工
・複層フィルムの両面に、インキジェットプリンター/VJ−1626UH(LED−UVランプ)、インキ:VJ−LUHIシリ−ズ7色(武藤工業社製)にて表裏別柄の印刷を施す。
4、離型紙付透明粘着層の付与
・前記印刷加工を施した複層フィルムの片面に、透明の基材レス両面粘着テープ ダイタックZ87012W(大日本インキ化学社製)を公知のラミネーターを用いて貼り合わせて離型紙付透明粘着層を付与する事によって本発明の磁性ウインドーフィルムを得る。
〔2〕両面表示機構の作成
1、透明基体に磁性ウインドーフィルムの貼着
・前記〔1〕の磁性ウインドーフィルムを、離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石フィルムタイプ)の作成
(1)表面が印刷可能な白色不透明層である支持体の作成
・ポリエステル(PET)系合成紙クリスパーK2311(東洋紡績社製)38μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松樹脂社製)を用いて公知のコンマコーターで12μm厚に塗布し乾燥することで、50μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
(2)磁性層の形成
(塗工液の配合)
・前記〔1〕の黒色磁性材料粉を、硬質磁性材料粉(永久磁石材料粉)である黒褐色の異方性ストロンチュウムフエライト粉、商品名:FH801戸田工業社製に置換した他は前記〔1〕と同様にする。
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 89.0重量%(60.0容量%)〕
(塗工液の作成)
前記〔1〕と同様にする。
(コーティング)
・巻出機/コンマコーターヘッド、面内磁場配向装置(乾燥炉の直前に布設)、乾燥炉、ニップロール、冷却ロール、巻取機より成る公知のコーターを用いて、面内配向を施した乾燥後の厚み50μmにコーティングする。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
(3)印刷
・前記〔1〕と同様にして印刷可能な白色不透明層(合成紙)の片面に磁性層を形成した後、前記〔1〕と同様にして印刷を施す。
(4)着磁
・公知の着磁方法である着磁電源(直流、パルス)と着磁ヨークより成る着磁装置にて磁極方向を横に極間2.0mmピッチの多極着磁を施す。
3、表示片の貼着
・A4サイズの表示片に裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
1、先駆体の作成
(1)表面が印刷可能な白色不透明層である支持体
・ポリプロピレン樹脂系合成紙ピーチジェットSPUY−115SIP(インキジェット印刷対応)115μm厚、914mm幅、(日清紡績社製)を用いる。
(2)黒色不透明層の形成
(塗工液の配合)
・ポリウレタン溶液(固形分35%)商品名:ニッポラン3022 ニホンポリウレタン社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.77重量部
・塩化ビニル・酢酸ビニル共重体 商品名:ビニライトVAGH ユニオンカーバイト社製〔樹脂〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.87重量部
・マグネタイトBL−10 チタン工業社製〔軟質磁性材料粉〕・・・・・100重量部
・メチルエチルケトン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60重量部
・トルエン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60重量部
・シクロヘキサノン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30重量部
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 85.6重量%(60.0容量%)〕
(塗工液の作成)
・前記配合に従って、攪拌機(ディスパー;剪断型 羽径200mm)に有機溶剤と塩化ビニル・酢酸ビニル共重体を投入し攪拌溶解後、攪拌しながらポリウレタン溶液を投入、次にマグネタイト粉を投入し混合攪拌したものを、サンドミル(ビーズ;1.25mm、ディスク;平型、周速12m/s)にて分散処理を行う。
(コーティング)
・乾燥後の厚みを90μmにする以外は実施例1と同様にして先駆体を作成する。
2、複層フィルムの作成
(貼り合わせ)
・前記先駆体の磁性面と前記印刷可能な白色不透明層である支持体と同じ合成紙の裏面を、巻出機/グラビアコーターヘッド/乾燥機/加熱ロール/巻出機/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知のドライラミネーターで貼り合わせる事によって、黒色不透明層(90μm厚)の両面に印刷可能な白色不透明層(100μm厚)を有する複層フィルムを得る。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
・張合せの条件は、接着剤はハイドランHW−311/DICグラフィックス社製を用いて、塗布厚(ドライ)1〜3μmに塗布して熱再活性型接着剤処理層を形成し、ニップロールの表面温度;90°C、ニップゴムロールの硬度;ショア60、線圧;約250N/cmとする。
3、印刷加工
・複層フィルムの両面に、スクリーン印刷/インキ:UV硬化プロセスインキFDSS14シリーズ・4色(東洋インキ社製)、スクリーン:380メッシュ、硬化:120Wメタルハライドランプにて表裏別柄の印刷を施す。
4、離型紙付透明粘着層の付与
・前記実施例1と同様にする。これによって本発明の磁性ウインドーフィルムを得る。
〔2〕両面表示機構の作成
・前記〔1〕の磁性ウインドーフィルムを用いる他は、実施例1の〔2〕と同様にする。
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
1、先駆体の作成
(1)表面が印刷可能な白色不透明層である支持体の作成
・ポリエステル(PET)系合成紙クリスパーK2311(東洋紡績社製)38μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松樹脂社製)を用いて公知のコンマコーターで12μm厚に塗布し乾燥することで、50μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
(2)黒色系不透明層の形成
(塗工液の配合)
・黒色系磁性材料粉を、硬質磁性材料粉(永久磁石材料粉)である黒褐色の異方性ストロンチュウムフエライト粉、商品名:FH801戸田工業社製に置換した他は実施例1と同様にする。
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 89.0重量%(60.0容量%)〕
(塗工液の作成)
・実施例1と同様にする。
(コーティング)
・巻出機/コンマコーターヘッド、面内磁場配向装置(乾燥炉の直前に布設)、乾燥炉、ニップロール、冷却ロール、巻取機より成る公知のコーターを用いて、面内配向を施した乾燥後の厚み50μmにコーティングして先駆体を作成する。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
2、複層フィルムの作成
(貼り合せ)
・実施例1と同様にして貼り合せて、黒褐色不透明層(100μm厚)の両面に印刷可能な白色不透明層(50μm厚)を有する複層フィルムを得る。
3、印刷加工
・前記複層フィルムの両面に実施例1の〔1〕と同様にして印刷加工を施す。
4、着磁
・前記印刷加工を施した複層フィルムの片面に(非透明基体貼着面)、公知の着磁方法である着磁電源(直流、パルス)と着磁ヨークより成る着磁装置にて磁極方向を横に極間2.0mmピッチの多極着磁を施す。
5、離型紙付透明粘着層の付与
・実施例1の〔1〕と同様にして離型紙付透明粘着層を付与する。これにより本発明の磁性ウインドーフィルムを得る。
〔2〕両面表示機構の作成
1、透明基体に磁性ウインドーフィルムの貼着
・前記〔1〕の磁性ウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板(4mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体フィルムタイプ)の作成
・実施例1の〔1〕と同様にして印刷可能な白色不透明層(合成紙)の片面に磁性層を形成した後、実施例1の〔1〕と同様にして印刷を施す。
3、表示片の貼着
・A4サイズの表示片を両面表示機構に磁気貼着する。
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
・黒褐色不透明層の厚みを150μmとし、白色不透明層の厚みを90μmとする以外は実施例3と同様にする。これにより本発明の磁性ウインドーフィルムを得る。
・前記の白色不透明層は、ポリエステル(PET)系合成紙クリスパーK2323(東洋紡績社製)75μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成剤であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松樹脂社製)を用いて公知のコンマコーターで15μm厚に塗布し乾燥することで、90μm厚としたものである。
〔2〕両面表示機構の作成
・前記〔1〕の磁性ウインド−フィルムを用いて、透明基体である高透過ガラス板の厚みを6mmとする他は実施例3の〔2〕と同様にする。
〔比較例1〕
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
・黒色〜黒褐色不透明層を設けないで、白色不透明層を厚物(200μm)とし、印刷加工と離型紙付透明粘着層の付与を実施例4の〔1〕と同様にする。
・前記の白色不透明層(200μm)は実施例1と同様の100μm厚合成紙2枚を実施例2の〔1〕2、複層フィルムの作成(貼り合わせ)と同様にして積層したものを使用。
〔2〕両面表示機構の作成
・比較例1の磁性ウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
〔比較例2〕
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
・黒色不透明層の黒色磁性粉の充填量を40容量%とし、厚みを40μmとする以外は実施例1の〔1〕と同様にする。
〔2〕両面表示機構の作成
・前記〔1〕の磁性ウインドーフィルムを用いる他は実施例2の〔2〕と同様にする。
〔比較例3〕
〔1〕磁性ウインドーフィルムの作成
・黒褐色不透明層の黒褐色磁性粉の充填量を40容量%とし、厚みを80μmとし、白色不透明層の厚みを100μm(実施例1の〔1〕と同様)とする以外は実施例4の〔1〕と同様にする。
〔2〕両面表示機構の作成
・前記〔1〕の磁性ウインドーフィルムを用いる他は実施例3の〔2〕と同様にする。
次に、性能試験評価方法について説明する。
1、透過印刷陰影試験方法
・試験室と廊下の隔壁に600×600mmの開口部を設けて試験試料を垂直に設置し、室内側から3波長型蛍光灯にて試験面に対して直角に照射して、試験面の照度を1500Luxとし、照度150Luxの廊下側から目視にて透過印刷陰影(透過画像)の発生の有無と程度を観察して4段階に評価する。反対面側の試験は試験試料を反転して同様に試験する。
〔評価〕◎:優れる(透過陰影・透過画像を認められない)、○:良い(殆ど認められない)、△:やや劣る(やや認められる)、×:劣る(認められる)
2、磁気吸着力測定方法(室内側の磁性ウインドーフィルムと表示片の磁気吸着力)
・1辺が約50mmの正方形のウインドーフィルムを、水平に固定した平滑なプラスチック板の表面に両面テープを用いて非測定面を貼着し測定面に、背面中央に引掛けを設けた1辺が40mmの正方形の平滑なプラスチック板に表示片の裏面を両面テープを用いて非測定面を貼着した測定冶具を磁気吸着させて、垂直方向に引き離すに要する力をプラスチック板背面の引掛けにバネ秤を引っ掛けて測定し、g/cmを算出する。
3、多重貼着性試験方法(表示基板に対する多重貼着可能限度枚数)
・表示片の試験片として、A−4サイズに裁断したものを、垂直に保持したB−4サイズの透明基体の片面に貼着した磁性ウインドーフィルムの表面に磁気吸着によって貼着し、更に試験片を1枚ずつ重ね磁気貼着して行き、脱落を生じる1枚手前の枚数を求めて表示基板に対する多重貼着可能限度枚数とする。
・次に試験結果について説明する。
各実施例及び比較例について各試験を行い、各仕様と性能を表1にまとめた。
Figure 2017097044
(透過陰影防止効果)
・表1で分かるように、本発明による実施例1〜4の磁性ウインドーフィルムは、全て優れた透過陰影防止効果を有する、これに対して比較例1は黒色不透明層を有しないので透過陰影防止効果がなく、比較例2は磁性ウインドーフィルムの黒色不透明層の充填量と厚みが特定範囲以下で、比較例3は特定充填量以下であるので何れも透過陰影防止効果がやや劣る。
(室内側の磁性ウインドーフィルムと磁性表示片の磁気吸着力)
・表1で分かるように、実施例1〜4は全て良好である。実施例1〜2は磁性ウインドーフィルムが磁石の被着体で表示片が磁石であるので実施例2は被着体の厚みが厚く磁束の背面漏洩が少なくなるので磁力が強く成っている。実施例3〜4は磁性ウインドーフィルムが磁石であり磁石からの表面漏洩磁束によって、磁石の被着体である表示片が貼着出来るので、磁性ウインドーフィルムの厚みが厚い実施例4の磁力が強く成っている。
・それに対して、比較例1は黒色不透明層がないので表示片との磁気吸着力が生じない。又、比較例2は磁性ウインドーフィルムの黒色不透明層の充填量と厚みが特定範囲以下で、比較例3は特定充填量以下であるので何れも表示片との磁気吸着力が劣る。
(両面表示機構の室内側の磁性ウインドーフィルムに対する磁性表示片の多重貼着性)
・表1で分かるように、実施例1〜4は前記磁気吸着力に比例して表示片の多重貼着可能枚数が優れる。それに対して比較例2は磁性ウインドーフィルムの黒色不透明層の充填量と厚みが特定範囲以下で、比較例3は特定充填量以下であるので何れも多重貼着枚数は0枚で劣る。
・以上の試験結果からも分かるように、本発明の特定範囲内である実施例は全て優れた結果を呈するが、本発明の特定範囲を逸脱した比較例は全て好ましくない結果を呈する。
・本発明の磁性ウインドーフィルムは、片方の印刷画像が反対側に透過画像陰影を生じないので、店舗の路面側大型ガラス窓に貼着することなどに好適である。
そうして、室内側の表示面に磁気吸着力で磁性表示片を全面又は一部分容易に着脱することが出来るので、昼夜で店舗の用途が変るなどで頻繁に表示を変更する場合に好適である。
A:本発明の磁性ウインドーフィルム
A1:離型紙を取除いた本発明の磁性ウインドーフィルム
A11:離型紙を取除いた本発の軟質磁性体(磁石の被着体)である黒色系不透明層を用いた磁性ウインドーフィルム
A12:離型紙を取除いた本発明の着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)である黒色系不透明層を用いた本発明の他の磁性ウインドーフィルム
A2:黒色系不透明層を有しないウインドーフィルム
B:透明基体
C1:表面に装飾層を施した磁石フィルムである磁性表示片
C2:表面に装飾層を施した磁石の被着体フィルムである磁性表示片
N:磁石フィルムのN極
S:磁石フィルムのS極
1:黒色系不透明層
11:軟質磁性体(磁石の被着体)である黒色系不透明層
12:着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)を用いた黒色系不透明層
2:印刷可能な白色系不透明層
3:印刷インキ層
4:透明粘着層
5:離型紙
6:磁石フィルム
7:装飾層
8:主たる磁束
9:磁石の被着体フィルム
(1)本発明に係る磁性ウインドーフィルムは、黒色系強磁性体粉末と有機高分子エラストマーである粘結材を主たる成分とする黒色系不透明層の両面に、表面に印刷を施した白色系不透明層を設けた積層フィルムとすることで、又は表面に印刷可能な白色系不透明層を積層後に印刷を施した複層フィルムとすることで、両面共に表面に入射する可視光線を白色系不透明層で反射し、更に一部透過した可視光線を黒色系不透明層で吸収することによって、裏面側に透過印刷陰影が生じない複層フィルムであることを特徴とする磁性ウインドーフィルムとする。

(2)前記黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で低保磁力の軟質磁性体(磁石の被着体)であるスピネル型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みを50〜180μmとし、前記白色系不透明層をポリエチレンテレフタレート系合成紙又はポリプロピレン系合成紙で厚みを50〜150μmとし、更に前記複層フィルムの少なくともどちらか一方の面に離型紙付透明粘着層を設けたことを特徴とする(1)項に記載の磁性ウインドーフィルムとする。
(4)前記黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体(永久磁石材料)であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが70〜250μmの多極着磁を施した永久磁石フィルムとしたことを特徴とする(2)項に記載の磁性ウインドーフィルムとする。

(9)前記(4)又は(5)に記載の磁性ウインドーフィルムを、ドア、窓、壁などの板ガラス又はプラスチック板である透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着し、その表面に軟質磁性体(磁石の被着体材料)であるスピネル型フエライト粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対するスピネル型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが60〜180μmの多極着磁を施した永久磁石フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る表示片を磁気吸着力で1枚以上重ねて着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構とする。

Claims (10)

  1. 黒色系強磁性体粉末と有機高分子エラストマーである粘結材を主たる成分とする黒色系不透明層の両面に、表面に印刷を施した白色系不透明層を設けた複層フィルムとすることで、又は表面に印刷可能な白色系不透明層を設けた後に印刷を施した複層フィルムとすることで、両面共に表面に入射する可視光線を白色系不透明層で反射し、更に一部透過した可視光線を黒色系不透明層で吸収することによって、裏面側に透過印刷陰影が生じない複層フィルム、又は及び該複層フィルムの片面に離型紙付透明粘着層を設けたことを特徴とする磁性ウインドーフィルム。
  2. 前記黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で低保磁力の軟質磁性体であるスピネル型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みを50〜180μmとし、前記白色系不透明層の厚みを50〜150μmとしたことを特徴とする請求項1に記載の磁性ウインドーフィルム。
  3. 前記スピネル型フエライト粉末をマグネタイト粉末としたことを特徴とする請求項2に記載の磁性ウインドーフィルム。
  4. 前記黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、黒色系強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する黒色系強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが70〜250μmの多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、前記白色系不透明層の厚みを50〜150厚μmとしたことを特徴とする請求項1に記載の磁性ウインドーフィルム。
  5. 前記マグネトプランバイト型フエライト粉末をストロンチュウムフエライト粉末としたことを特徴とする請求項4に記載の磁性ウインドーフィルム。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性ウインドーフィルムを、透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着したことを特徴とする両面表示機構。
  7. 前記請求項2又は3に記載の磁性ウインドーフィルムを、透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着し、その表面に硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対するマグネトプランバイト型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが70〜200μmの片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る表示片を磁気吸着力で1枚以上重ねて着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構。
  8. 前記マグネトプランバイト型フエライト粉末をストロンチュウムフエライト粉末としたことを特徴とする請求項7に記載の両面表示機構。
  9. 前記請求項4又は5に記載の磁性ウインドーフィルムを、透明基体の室内側面に透明粘着層によって貼着し、その表面に軟質磁性体(磁石の被着体となる)であるスピネル型フエライト粉末、有機高分子エラストエラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対するスピネル型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが60〜180μmの軟質磁性フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る表示片を磁気吸着力で1枚以上重ねて着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構。
  10. 前記スピネル型フエライト粉末をマグネタイト粉末としたことを特徴とする請求項9に記載の両面表示機構。
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