JP2017096120A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射弁を所定の開弁状態としつつ、燃料噴射制御装置及び燃料噴射弁の発熱量を低減すること。
【解決手段】燃料噴射制御装置の制御回路部は、インジェクタに供給される燃圧に応じてピック電流期間を設定し、燃圧が基準燃圧未満の場合、ピック電流期間して第1ピック時間を設定し、燃圧が基準燃圧以上の場合、ピック電流期間として、第1ピック時間よりも短い第2ピック時間を設定する。そして、定電流期間のうち、ピーク電流期間が終了してから所定時間が経過するまでのピック電流期間において、駆動電流が設定されたピック電流となるように、定電流スイッチ及び駆動スイッチのオンオフを制御する。
【選択図】図4
【解決手段】燃料噴射制御装置の制御回路部は、インジェクタに供給される燃圧に応じてピック電流期間を設定し、燃圧が基準燃圧未満の場合、ピック電流期間して第1ピック時間を設定し、燃圧が基準燃圧以上の場合、ピック電流期間として、第1ピック時間よりも短い第2ピック時間を設定する。そして、定電流期間のうち、ピーク電流期間が終了してから所定時間が経過するまでのピック電流期間において、駆動電流が設定されたピック電流となるように、定電流スイッチ及び駆動スイッチのオンオフを制御する。
【選択図】図4
Description
この明細書における開示は、燃料噴射弁の電磁負荷に流れる駆動電流がピーク電流に到達した後に、定電流制御を実施する燃料噴射弁制御装置に関する。
燃料噴射弁の電磁負荷に流れる駆動電流がピーク電流に到達した後に、定電流制御を実施する燃料噴射制御装置が、特許文献1に開示されている。
このような燃料噴射制御装置では、燃料噴射弁から燃料を噴射させる噴射期間のうち、電磁負荷への通電を開始してから駆動電流がピーク電流に到達し、到達後にピーク電流よりも小さい閾値電流に低下するまでのピーク電流期間の後、定電流制御を実施する。燃料噴射制御装置は、定電流制御を実施する定電流期間のうち、ピーク電流期間が終了してから所定時間(固定値)が経過するまでの第1定電流期間において、駆動電流がピーク電流よりも小さい電流であり、燃料噴射弁を所定の開弁状態にするための第1定電流となるように制御を実施する。また、燃料噴射制御装置は、第1定電流期間が終了してから噴射期間が終了するまでの第2定電流期間において、駆動電流が第1定電流よりも小さい電流であり、上記開弁状態を保持するための第2定電流となるように制御を実施する。
燃料噴射にともない燃料噴射制御装置及び燃料噴射弁には電流が流れるため、発熱が問題となる。上記したように第2定電流期間よりも第1定電流期間の方が、駆動電流が大きいため、発熱量を低減するために、第1定電流期間(上記所定時間)を短くすることが考えられる。しかしながら、燃料噴射弁が所定の開弁状態となる前に、第1定電流期間が終了する虞がある。
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、燃料噴射弁を所定の開弁状態としつつ、燃料噴射制御装置及び燃料噴射弁の発熱量を低減することを目的とする。
本開示は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
本開示のひとつは、内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁(INJ1,INJ2)を開閉させるために、燃料噴射弁の電磁負荷(L1,L2)に流れる駆動電流を制御する燃料噴射制御装置であって、
電源電圧を昇圧する昇圧回路部(20)と、
電磁負荷の上流側と昇圧回路部との間に配置され、オンすることで電磁負荷の上流側と昇圧回路部とを接続する放電スイッチ(Q2)と、
電磁負荷の上流側に配置され、オンすることで電源電圧を対応する電磁負荷に供給する定電流スイッチ(Q3)と、
電磁負荷の下流側に配置され、オンすることで対応する電磁負荷の下流側をグランドに接続する駆動スイッチ(Q4)と、
燃料噴射弁から燃料を噴射させる噴射期間のうち、
噴射期間の開始から、駆動電流が開弁のためのピーク電流に到達し、ピーク電流よりも小さい閾値電流に低下するまでのピーク電流期間において、ピーク電流に到達するまでは放電スイッチ及び駆動スイッチをオンさせ、ピーク電流に到達してから閾値電流に低下するまでは、放電スイッチをオフさせ、
ピーク電流期間が終了してから噴射期間が終了するまでの定電流期間において、駆動電流として定電流が流れるように定電流スイッチ及び駆動スイッチのオンオフを制御するとともに、
定電流期間のうち、ピーク電流期間が終了してから所定時間が経過するまでの第1定電流期間において、駆動電流がピーク電流よりも小さい電流であり、燃料噴射弁を所定の開弁状態にするための第1定電流となるようにし、
噴射期間がピーク電流期間と第1定電流期間との和よりも長い場合に設定され、第1定電流期間が終了してから噴射期間が終了するまでの第2定電流期間において、駆動電流が第1定電流よりも小さい電流であり、開弁状態を保持するための第2定電流となるようにする制御部(S16)と、
燃料噴射弁に供給される燃料の圧力に応じて、制御部が用いる第1定電流期間を設定し、圧力が第1圧力の場合、第1定電流期間として第1時間を設定し、圧力が第1圧力よりも高い第2圧力の場合、第1定電流期間として第1時間よりも短い第2時間を設定する時間設定部(S14,S22,S32,S34,S40,S42)と、
を備える。
電源電圧を昇圧する昇圧回路部(20)と、
電磁負荷の上流側と昇圧回路部との間に配置され、オンすることで電磁負荷の上流側と昇圧回路部とを接続する放電スイッチ(Q2)と、
電磁負荷の上流側に配置され、オンすることで電源電圧を対応する電磁負荷に供給する定電流スイッチ(Q3)と、
電磁負荷の下流側に配置され、オンすることで対応する電磁負荷の下流側をグランドに接続する駆動スイッチ(Q4)と、
燃料噴射弁から燃料を噴射させる噴射期間のうち、
噴射期間の開始から、駆動電流が開弁のためのピーク電流に到達し、ピーク電流よりも小さい閾値電流に低下するまでのピーク電流期間において、ピーク電流に到達するまでは放電スイッチ及び駆動スイッチをオンさせ、ピーク電流に到達してから閾値電流に低下するまでは、放電スイッチをオフさせ、
ピーク電流期間が終了してから噴射期間が終了するまでの定電流期間において、駆動電流として定電流が流れるように定電流スイッチ及び駆動スイッチのオンオフを制御するとともに、
定電流期間のうち、ピーク電流期間が終了してから所定時間が経過するまでの第1定電流期間において、駆動電流がピーク電流よりも小さい電流であり、燃料噴射弁を所定の開弁状態にするための第1定電流となるようにし、
噴射期間がピーク電流期間と第1定電流期間との和よりも長い場合に設定され、第1定電流期間が終了してから噴射期間が終了するまでの第2定電流期間において、駆動電流が第1定電流よりも小さい電流であり、開弁状態を保持するための第2定電流となるようにする制御部(S16)と、
燃料噴射弁に供給される燃料の圧力に応じて、制御部が用いる第1定電流期間を設定し、圧力が第1圧力の場合、第1定電流期間として第1時間を設定し、圧力が第1圧力よりも高い第2圧力の場合、第1定電流期間として第1時間よりも短い第2時間を設定する時間設定部(S14,S22,S32,S34,S40,S42)と、
を備える。
燃料噴射弁の開弁は、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力に依存する。燃料の圧力が高いと所定の開弁状態となるまでにかかる時間は短くなり、燃料の圧力が低いと所定の開弁状態となるまでにかかる時間が長くなる。本開示によれば、燃料の圧力が高い場合には、第1定電流期間(所定時間)を短くし、燃料の圧力が低い場合には、第1定電流期間を長くすることができる。このように第1定電流期間を、燃料の圧力に応じて設定することができるため、第1定電流期間を固定値で設定する場合に較べて、燃料噴射弁を所定の開弁状態としつつ、燃料噴射制御装置及び燃料噴射弁の発熱量を低減することができる。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、本実施形態に係る燃料噴射制御装置の概略構成を説明する。本実施形態の燃料噴射制御装置は、エンジンECU(Electronic Control Unit)として構成されている。以下においては、エンジンECUとしての機能のうち、インジェクタの駆動を制御する機能について説明する。
先ず、図1に基づき、本実施形態に係る燃料噴射制御装置の概略構成を説明する。本実施形態の燃料噴射制御装置は、エンジンECU(Electronic Control Unit)として構成されている。以下においては、エンジンECUとしての機能のうち、インジェクタの駆動を制御する機能について説明する。
図1に示す燃料噴射制御装置10は、車両に配置され、内燃機関としてのディーゼルエンジンの各気筒に設けられたインジェクタの駆動を制御する。図1では、一例として、2気筒のディーゼルエンジンに設けられたインジェクタINJ1,INJ2を示している。インジェクタINJ1,INJ2は、それぞれソレノイドL1,L2を有している。インジェクタINJ1,INJ2が燃料噴射弁に相当し、ソレノイドL1,L2が電磁負荷に相当する。ソレノイドL1,L2はコイルとも称される。インジェクタINJ1及びソレノイドL1は第1気筒に設けられており、インジェクタINJ2及びソレノイドL2は第2気筒に設けられている。
インジェクタINJ1,INJ2は、周知の油圧サーボ機構を備えており、対応するソレノイドL1,L2が通電されると背圧が低下して図示しない弁体が開弁作動し、通電がオフされると背圧が上昇して弁体が閉弁作動するように構成されている。このように、ソレノイドL1,L2への通電により弁体の開閉作動が制御され、弁体の開閉作動に応じて墳孔から高圧燃料が噴射される。
ソレノイドL1,L2の上流端子は燃料噴射制御装置10の端子P1に接続され、下流端子は端子P2に接続されている。端子P1は上流端子とも称され、端子P2は下流端子とも称される。本実施形態では、端子P1として端子P11,P12を有し、端子P2として端子P21,P22を有している。なお、端子P11,P21がソレノイドL1に接続され、端子P12,P22がソレノイドL2に接続されている。
燃料噴射制御装置10は、コンデンサC1を有する昇圧回路部20、放電スイッチQ2、定電流スイッチQ3、駆動スイッチQ4、及び制御回路部30を備えている。
コンデンサC1は、電解コンデンサである。コンデンサC1は、開弁駆動時にソレノイドL1,L2に印加するエネルギを蓄える。昇圧回路部20は、バッテリ電圧VBを昇圧して、コンデンサC1を充電する充電回路を有している。バッテリ電圧VBは、電源電圧に相当する。充電回路は、インダクタL3(コイル)、充電スイッチQ1、抵抗R1、及びダイオードD1を有している。
燃料噴射制御装置10の端子P3にはバッテリ電圧VBが供給される。端子P3には、電源ライン21が接続されている。インダクタL3の一端は電源ライン21に接続されており、インダクタL3の他端には、充電スイッチQ1が接続されている。本実施形態では、充電スイッチQ1としてnチャネル型のMOSFETを採用している。充電スイッチQ1のドレインがインダクタL3に接続され、ソースが抵抗R1を介してグランドに接続されている。
インダクタL3と充電スイッチQ1との接続点には、逆流阻止用のダイオードD1のアノードが接続されている。充電スイッチQ1と抵抗R1との接続点とダイオードD1のカソードとの間には、コンデンサC1が配置されている。コンデンサC1の正極がダイオードD1のカソードに接続され、負極が充電スイッチQ1と抵抗R1との接続点に接続されている。
放電スイッチQ2は、コンデンサC1と端子P1との間に配置され、オンすることで、コンデンサC1に蓄積されたエネルギを、端子P1を介して対応するソレノイドL1,L2に放電させるスイッチである。本実施形態では、放電スイッチQ2として、ソレノイドL1に対応する放電スイッチQ21と、ソレノイドL2に対応する放電スイッチQ22を有している。また、放電スイッチQ21,Q22として、pチャネル型のMOSFETを採用している。放電スイッチQ21,Q22のソースは、ダイオードD1とコンデンサC1との接続点、すなわちコンデンサC1の正極にそれぞれ接続されている。放電スイッチQ21のドレインは、端子P11を介してソレノイドL1の上流端子に接続され、放電スイッチQ22のドレインは、端子12を介してソレノイドL2の上流端子に接続されている。
定電流スイッチQ3は、端子P1に対して上流側に配置され、オンすることで、端子P1を介して対応するソレノイドL1,L2にバッテリ電圧VBを供給するスイッチである。本実施形態では、定電流スイッチQ3として、ソレノイドL1に対応する定電流スイッチQ31と、ソレノイドL2に対応する定電流スイッチQ32を有している。また、定電流スイッチQ31,Q32として、pチャネル型のMOSFETを採用している。定電流スイッチQ31,Q32のソースは、電源ライン21にそれぞれ接続されている。定電流スイッチQ31のドレインは、逆流阻止用のダイオードD21及び端子P11を介して、ソレノイドL1の上流端子に接続されている。定電流スイッチQ32のドレインは、逆流阻止用のダイオードD22及び端子P12を介して、ソレノイドL2の上流端子に接続されている。
ダイオードD21のアノードは定電流スイッチQ31のドレインに接続され、カソードは放電スイッチQ21のドレインに接続されている。ダイオードD21及び放電スイッチQ21の接続点とグランドとの間には、還流用のダイオードD31がアノードをグランド側にして配置されている。同様に、ダイオードD22のアノードは定電流スイッチQ32のドレインに接続され、カソードは放電スイッチQ22のドレインに接続されている。ダイオードD22及び放電スイッチQ22の接続点とグランドとの間には、還流用のダイオードD32がアノードをグランド側にして配置されている。
駆動スイッチQ4は、ソレノイドL1,L2に対応して設けられるとともに対応するソレノイドL1,L2の下流側に配置され、オンすることで、対応するソレノイドL1,L2の下流端子をグランドに接続させる。このため、駆動スイッチQ4は、ローサイドスイッチとも称される。また、ソレノイドL1,L2ごとに設けられるため、気筒選択スイッチとも称される。
本実施形態では、駆動スイッチQ4として、ソレノイドL1に対応する駆動スイッチQ41と、ソレノイドL2に対応する駆動スイッチQ42を有している。また、駆動スイッチQ41,Q42として、nチャネル型のMOSFETを採用している。駆動スイッチQ41のソースは、抵抗R2のうち、抵抗R21を介してグランドに接続されており、ドレインは、端子P21を介してソレノイドL1の下流端子に接続されている。駆動スイッチQ42のソースは、抵抗R2のうち、抵抗R22を介してグランドに接続されており、ドレインは、端子P22を介してソレノイドL2の下流端子に接続されている。抵抗R2(R21,R22)は、対応するソレノイドL1,L2に流れる電流(以下、駆動電流と示す)を検出するための抵抗である。
制御回路部30は、昇圧回路部20の駆動、すなわち充電スイッチQ1のオンオフを制御する。また、制御回路部30は、放電スイッチQ2のオンオフ、定電流スイッチQ3のオンオフ、及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御する。
制御回路部30が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリに記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。本実施形態では、燃料噴射制御装置10がエンジンECUとして構成されている、そして、制御回路部30が、図示しないマイコン(マイクロコンピュータ)及び駆動ICにより構成されている。
制御回路部30は、抵抗R1に流れる充電電流と、抵抗R2に流れる駆動電流の値を取得する。図1では図示を省略するが、制御回路部30は、コンデンサC1の正極側の電圧、すなわちコンデンサC1の充電電圧も取得する。充電電圧は、たとえば図示しない抵抗により分圧されて、制御回路部30に入力される。
制御回路部30のマイコンは、エンジン回転数、アクセル開度、各種センサの検出信号などに基づいて、噴射段数指示信号、噴射信号、駆動波形指示信号を生成し、駆動ICに出力する。制御回路部30の駆動ICは、噴射段数指示信号、噴射信号、駆動波形指示信号、及び取得した駆動電流などに基づき、放電スイッチQ2のオンオフ、定電流スイッチQ3のオンオフ、及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御することで、ソレノイドL1,L2に駆動電流を通電させ、インジェクタINJ1,INJ2を開弁させる。その詳細については後述する。
また、制御回路部30は、コンデンサC1の充電電圧が所定の閾値電圧以下になると、昇圧回路部20の充電スイッチQ1を繰り返しオンオフさせることで、充電電圧が目標電圧となるようにコンデンサC1を充電させる。たとえば制御回路部30は、噴射のためにコンデンサC1から放電が行われた後、次の放電が開始されるまでの間に、コンデンサC1を充電させる。
燃料噴射制御装置10は、さらに温度センサ40,41及び燃圧センサ42を備えている。温度センサ40は、燃料噴射制御装置10内の温度を検出し、検出信号を制御回路部30に出力する。
温度センサ41は、インジェクタINJ1,INJ2に供給される燃料の温度をそれぞれ検出し、検出信号を制御回路部30に出力する。温度センサ41は、図示しないコモンレールに蓄えられた高圧燃料の温度を検出するようにコモンレールに配置されてもよい。また、インジェクタINJ1,INJ2内の高圧燃料の温度を検出するように、インジェクタINJ1,INJ2にそれぞれ内蔵されてもよい。
燃圧センサ42は、インジェクタINJ1,INJ2に供給される燃料の圧力をそれぞれ検出し、検出信号を制御回路部30に出力する。燃圧センサ42は、コモンレール内に蓄積された高圧燃料の圧力(レール圧)を検出するようにコモンレールに配置されてもよい。また、インジェクタINJ1,INJ2内の高圧燃料の圧力を検出するように、インジェクタINJ1,INJ2にそれぞれ内蔵されてもよい。なお、燃圧センサ42を温度センサ41と兼用することもできる。この場合、燃圧センサ42により検出される圧力から、燃料の温度を求めることができる。
次に、図2及び図3に基づいて、制御回路部30が実行する燃料噴射制御について説明する。制御回路部30は、燃料噴射制御装置10に電源が投入されると、所定周期で以下に示す処理を繰り返し実行する。
図2に示すように、制御回路部30のマイコンは、噴射段数Niを設定する(ステップS10)。マイコンは、エンジン回転数、エンジン負荷トルク、燃料の圧力(以下、燃圧と示す)などに基づいて、噴射段数Niを設定する。予めメモリには、エンジン回転数、エンジン負荷トルク、及び燃圧との対応関係がマップとして格納されている。マイコンは、最適な噴射パターンとなるように、噴射段数Niを設定する。これにより段数(噴射パターン)が設定される。なお、噴射段数Niとは、エンジンの1燃焼サイクル中における噴射回数を示す。1燃焼サイクルとは、エンジンの燃焼サイクルの1周期(吸入行程−圧縮行程−膨張行程−排気行程)、すなわち1燃焼行程を示す。このステップS10が、噴射段数設定部に相当する。
次いで制御回路部30のマイコンは、噴射信号TQを生成する(ステップS12)。マイコンは、エンジン回転数、アクセル開度、燃圧などに基づいて、インジェクタINJ1,INJ2のそれぞれに対して燃料の噴射期間Kiを設定し、噴射期間Kiに応じたパルス幅を有する噴射信号TQを生成する。
次いで制御回路部30は、駆動波形を設定する(ステップS14)。駆動波形の設定は、たとえばマイコンが実行する。具体的には、図3に示すような駆動電流の波形となるように、マイコンが、ピーク電流Ipe、ピック電流Ipi、ホールド電流Ih、及びピック電流期間Kpiを設定する。ここで、ピック電流期間Kpiの設定とは、ピック電流期間Kpiに要する所定時間のことである。電流値としては、ピーク電流Ipeが最も大きく、次いでピック電流Ipi、ホールド電流Ihの順となっている。なお、ステップS10,S12,S14の実施タイミングは上記例に限定されない。ステップS12を先に実行し、その後にステップS10,S14を実行するなど、実施タイミングを入れ替えてもよい。
ピーク電流Ipeは、INJ1,INJ2を速やかに開弁させるための目標電流値である。ピック電流Ipiは、INJ1,INJ2を所定の開弁状態にする、すなわち弁体を所定の開弁位置まで移動させるための目標電流値である。ホールド電流Ihは、INJ1,INJ2を所定の開弁状態で保持させるための目標電流値である。ホールド電流Ihは、ピック電流Ipiよりも小さい。このため、定電流期間において、ピック電流Ipiからホールド電流Ihに切り替えることで、INJ1,INJ2の駆動応答性を向上するとともに、消費電力の低減を図ることができる。これらピーク電流Ipe、ピック電流Ipi、ホールド電流Ihは、所定の固定値として予めメモリに格納されており、マイコンがメモリから読み出すことで設定する。ピック電流期間Kpiの設定については後述する。
次いで制御回路部30の駆動ICは、開弁処理を実行する(ステップS16)。ステップS10,S12,S14で設定された噴射段数Ni、噴射信号TQ、及び駆動波形(Ipe,Ipi,Ih,Kpi)が駆動ICに出力され、駆動ICが、噴射段数Ni、噴射信号TQ、及び駆動波形に基づいて各気筒の噴射タイミングでインジェクタINJ1,INJ2を開弁させる。ステップS16が、制御部に相当する。
図3に示すように、噴射信号TQがHレベルを示す噴射期間Kiは、ピーク電流期間Kpeと定電流期間Kcとに分けられる。さらに定電流期間Kcが、ピック電流期間Kpiとホールド電流期間Khとに分けられる。ピック電流期間Kpiが第1定電流期間に相当し、ホールド電流期間Khが第2定電流期間に相当する。噴射期間Kiは、INJ1,INJ2を通電により開弁させる期間であるため、通電期間、駆動期間とも称される。
ピーク電流期間Kpeは、噴射期間Kiの初期であり、噴射期間Kiの開始から、駆動電流がピーク電流Ipeに到達し、到達後に放電スイッチQ2のオフにより閾値電流Ithに低下するまでの期間である。閾値電流Ithは、ピーク電流Ipeよりも小さい値が設定されており、予めメモリに格納されている。本実施形態では、閾値電流Ithとして、ピック電流Ipiより小さく、ホールド電流Ihより大きい値が設定されている。より詳しくは、ピック電流Ipiの後述する下限電流値と一致するか、下限電流値よりも若干大きい値が設定されている。
インジェクタINJ1を開弁させる場合、制御回路部30は、放電スイッチQ21及び駆動スイッチQ41をオンさせる。これにより、昇圧回路部20のコンデンサC1からソレノイドL1に電圧が印加され、その放電エネルギにより、ソレノイドL1に流れる駆動電流が急激に立ち上がる。バッテリ電圧VBよりも高電圧である充電電圧が印加されるため、インジェクタINJ1の開弁を早めることができる。駆動電流がピーク電流Ipeに到達すると、制御回路部30は、放電スイッチQ21をオフさせる。これにより、駆動電流は低下する。駆動電流が閾値電流Ithまで低下すると、ピーク電流期間Kpeが終了となり、定電流期間Kcとなる。なお、INJ2(ソレノイドL2)についても同様である。
定電流期間Kcは、ピーク電流期間Kpeが終了してから噴射期間Kiが終了するまでの期間である。この定電流期間Kcにおいて、制御回路部30は、駆動電流が目標電流値となるようにフィードバック制御を実行する。駆動電流が閾値電流Ithまで低下すると、制御回路部30は、駆動電流として定電流が流れるように、定電流スイッチQ3及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御する。目標電流値に対応して下限電流値、上限電流値がそれぞれ設定され、制御回路部30は、駆動電流が下限電流値以上、上限電流値以下となるように、定電流スイッチQ3及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御する。
定電流期間Kcのうち、定電流期間Kcの開始から上記した所定時間が経過するまでのピック電流期間Kpiにおいて、制御回路部30は、駆動電流が目標電流値であるピック電流Ipiとなるように、定電流スイッチQ3及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御する。これにより、対応するINJ1,INJ2が所定の開弁状態となる。
噴射期間Kiが、ピーク電流期間Kpeとピック電流期間Kpiとの和よりも長い場合、ホールド電流期間Khが設定される。ホールド電流期間Khは、定電流期間Kcのうち、ピック電流期間Kpiが終了してから噴射期間Kiが終了するまでの期間である。ホールド電流期間Khにおいて、制御回路部30は、駆動電流が目標電流値であるホールド電流Ihとなるように、定電流スイッチQ3及び駆動スイッチQ4のオンオフを制御する。これにより、対応するINJ1,INJ2の開弁状態が保持される。
噴射信号TQがLレベルになると、制御回路部30は、定電流スイッチQ3及び駆動スイッチQ4をオフさせ、開弁処理を終了する。そして、図2に示す一連の処理を終了する。
次に、図4に基づき、制御回路部30が実行する駆動波形設定処理のうち、ピック電流期間Kpiの設定処理について説明する。
図4に示すように、制御回路部30は、噴射信号TQに対応する噴射期間Kiが、基準時間Kis以上であるか否かを判定する(ステップS20)。基準時間Kisは、予めメモリに格納されている。噴射期間Kiが基準時間Kis未満であると判定した場合、制御回路部30は、ピック電流期間Kpiとして、所定の第1ピック時間K1を設定する(ステップS22)。第1ピック時間K1が、第1時間に相当する。
ステップS20において噴射期間Kiが基準時間Kis以上であると判定した場合、制御回路部30は、温度センサ40から燃料噴射制御装置10内の温度である装置内温度Tcを取得して、装置内温度Tcが基準内部温度Tcs以上であるか否かを判定する(ステップS24)。基準内部温度Tcsは、予めメモリに格納されている。装置内温度Tcが基準内部温度Tcs未満であると判定した場合、制御回路部30は、ステップS22の処理を実行し、ピック電流期間Kpiとして第1ピック時間K1を設定する。
ステップS24において装置内温度Tcが基準内部温度Tcs以上であると判定した場合、制御回路部30は、温度センサ41が検出した燃料温度Tfを取得して、取得した燃料温度Tfが予め設定された基準燃料温度Tfs以上であるか否かを判定する(ステップS26)。基準燃料温度Tfsは、予めメモリに格納されている。燃料温度Tfが基準燃料温度Tfs未満であると判定した場合、制御回路部30は、ステップS22の処理を実行し、ピック電流期間Kpiとして第1ピック時間K1を設定する。
ステップS26において燃料温度Tfが基準燃料温度Tfs以上であると判定した場合、制御回路部30は、エンジン回転数Neが基準回転数Nes以上であるか否かを判定する(ステップS28)。基準回転数Nesは、予めメモリに格納されている。上記したように、燃料噴射制御装置10はエンジンECUとして構成されており、図示しないクランク角センサの検出信号に基づいてエンジン回転数Neを算出する。制御回路部30は算出されたエンジン回転数Neを取得してもよいし、制御回路部30自体がエンジン回転数Neを算出してもよい。エンジン回転数Neが基準回転数Nes未満であると判定した場合、制御回路部30は、ステップS22の処理を実行し、ピック電流期間Kpiとして第1ピック時間K1を設定する。
ステップS28においてエンジン回転数Neが基準回転数Nes以上であると判定した場合、制御回路部30は、噴射段数Niが基準段数Nis以上であるか否かを判定する(ステップS30)。基準段数Nisは、予めメモリに格納されている。噴射段数Niが基準段数Nis未満であると判定した場合、制御回路部30は、ステップS22の処理を実行し、ピック電流期間Kpiとして第1ピック時間K1を設定する。
ステップS30において噴射段数Niが基準段数Nis以上であると判定した場合、制御回路部30は、燃圧センサ42から取得した燃圧Pfが基準燃圧Pfs以上であるか否かを判定する(ステップS32)。基準燃圧Pfsは、予めメモリに格納されている。燃圧Pfが基準燃圧Pfs未満であると判定した場合、制御回路部30は、ステップS22の処理を実行し、ピック電流期間Kpiとして第1ピック時間K1を設定する。一方、ステップS32において燃圧Pfが基準燃圧Pfs以上であると判定した場合、制御回路部30は、ピック電流期間Kpiとして、所定の第2ピック時間K2を設定する(ステップS34)。第2ピック時間K2は、第1ピック時間K1よりも短い時間とされており、第1ピック時間K1及び第2ピック時間K2は、予めメモリに格納されている。第2ピック時間K2が、第2時間に相当する。
制御回路部30は、ピック電流期間Kpiとして、第1ピック時間K1及び第2ピック時間K2のいずれかを設定することで、一連の処理を終了する。ステップS14,S20〜S34が、時間設定部に相当する。
次に、上記した燃料噴射制御装置10の効果について説明する。
INJ1,INJ2の開弁、具体的には弁体の移動は、燃圧Pfに依存する。燃圧Pfが高いと所定の開弁状態となるまでにかかる時間は短くなり、燃圧Pfが低いと所定の開弁状態となるまでにかかる時間が長くなる。
これに対し、本実施形態では、制御回路部30が図5に示すように燃圧Pfと基準燃圧Pfsとを比較し、燃圧Pfが基準燃圧Pfs未満の場合、ピック電流期間Pkiとして第1ピック時間K1を設定する。また、燃圧Pfが基準燃圧Pfs以上の場合、ピック電流期間Pkiとして第2ピック時間K2を設定する。すなわち、制御回路部30は、燃圧Pfが第1燃圧Pf1の場合、ピック電流期間Pkiとして第1ピック時間K1を設定し、燃圧Pfが第1燃圧Pf1よりも高い第2燃圧Pf2の場合、ピック電流期間Pkiとして第2ピック時間K2を設定する。第1燃圧Pf1が第1圧力に相当し、第2燃圧Pf2が第2圧力に相当する。
このように、燃圧Pfが高い場合にはピック電流期間Pkiを短くし、燃圧Pfが低い場合にはピック電流期間Pkiを長くすることができる。ピック電流期間Pkiを燃圧Pfに応じて設定することができるため、ピック電流期間Pkiを固定値(一定値)で設定する場合に較べて、INJ1,INJ2を所定の開弁状態としつつ、燃料噴射制御装置10及びINJ1,INJ2の発熱量を低減することができる。
さらに本実施形態では、制御回路部30が噴射期間Kiと基準時間Kisとを比較し(ステップS20)、噴射期間Kiが基準時間Kis以上の場合にのみ、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理(ステップS22,S32,S34)を実施する。なお、噴射期間Kiが基準時間Kis未満の場合、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施せず、ピック電流期間Pkiとして固定値、本実施形態では第1ピック時間K1を設定する。したがって、噴射期間Kiが短く、通電による発熱量が少ない場合には、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を省くことができる。これにより、制御回路部30の処理負荷を軽減することができる。
また本実施形態では、制御回路部30が装置内温度Tcと基準内部温度Tcsとを比較し(ステップS24)、装置内温度Tcが基準内部温度Tcs以上の場合にのみ、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施する。なお、装置内温度Tcが基準内部温度Tcs未満の場合、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施せず、ピック電流期間Pkiとして固定値、本実施形態では第1ピック時間K1を設定する。したがって、装置内温度Tcが低く、燃料噴射制御装置10の温度に余裕がある場合、換言すれば発熱量を低減しなくてもよい場合には、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を省くことができる。これにより、制御回路部30の処理負荷を軽減することができる。
また本実施形態では、制御回路部30が燃料温度Tfと基準燃料温度Tfsとを比較し(ステップS26)、燃料温度Tfが基準燃料温度Tfs以上の場合にのみ、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施する。なお、燃料温度Tfが基準燃料温度Tfs未満の場合、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施せず、ピック電流期間Pkiとして固定値、本実施形態では第1ピック時間K1を設定する。したがって、燃料温度Tfが低く、インジェクタINJ1,INJ2の温度に余裕がある場合、換言すれば発熱量を低減しなくてもよい場合には、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を省くことができる。これにより、制御回路部30の処理負荷を軽減することができる。
また本実施形態では、制御回路部30がエンジン回転数Neと基準回転数Nesとを比較し(ステップS28)、エンジン回転数Neが基準回転数Nes以上の場合にのみ、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施する。なお、エンジン回転数Neが基準回転数Nes未満の場合、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施せず、ピック電流期間Pkiとして固定値、本実施形態では第1ピック時間K1を設定する。したがって、エンジン回転数Neが低く、単位時間当たりの燃料噴射の回数、すなわち発熱の機会が少ない場合には、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を省くことができる。これにより、制御回路部30の処理負荷を軽減することができる。
また本実施形態では、制御回路部30が噴射段数Niと基準段数Nisとを比較し(ステップS30)、噴射段数Niが基準段数Nis以上の場合にのみ、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施する。なお、噴射段数Niが基準段数Nis未満の場合、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施せず、ピック電流期間Pkiとして固定値、本実施形態では第1ピック時間K1を設定する。したがって、噴射段数Niが少なく、単位時間当たりの燃料噴射の回数、すなわち発熱の機会が少ない場合には、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を省くことができる。これにより、制御回路部30の処理負荷を軽減することができる。
なお、本実施形態では、ピック電流期間Kpiの設定処理として、ステップS20,S24〜S30の処理を含む例を示したがこれに限定されない。ピック電流期間Kpiの設定処理として、少なくとも燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理(ステップS22,S32,S34)を含めばよい。ステップS20,S24〜S30の処理の少なくともひとつを有さない構成を採用することもできる。
たとえば図6の第1変形例に示すように、互いに関連性の高いステップをまとめてもよい。図6では、ステップS24,S26をまとめている。図6では、装置内温度Tcが基準内部温度Tcs以上、及び、燃料温度Tfが基準燃料温度Tfs以上の少なくとも一方の条件を満たせば、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施するようになっている。なお、ステップS24,S26の実施順を逆にしてもよい。また、図6では、ステップS28,S30をまとめている。図6では、エンジン回転数Neが基準回転数Nes以上、及び、噴射段数Niが基準段数Nis以上の少なくとも一方の条件を満たせば、燃圧Pfに応じたピック電流期間Pkiの設定処理を実施するようになっている。なお、ステップS28,S30の実施順を逆にしてもよい。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した燃料噴射制御装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した燃料噴射制御装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、ステップS10において多段噴射を設定した場合、制御回路部30が、多段噴射のうちのメイン噴射のみに対し、ピック電流期間Pkiの設定処理を実施する。図7に示す例では、INJ1,INJ2それぞれに対して、メイン噴射、メイン噴射の前に実施する3段のプレ噴射、メイン噴射の後に実施するアフター噴射の計5段の噴射が設定されている。プレ噴射及びアフター噴射は、いずれもメイン噴射に較べて燃料の噴射量が少ない。そして、多段噴射のうち、メイン噴射のみが定電流期間Kcとしてピック電流期間Kpi及びホールド電流期間Khを有しており、プレ噴射及びアフター噴射は、定電流期間Kcとしてホールド電流期間Khのみを有している。すなわち、プレ噴射及びアフター噴射は、ピーク電流期間Kpeの後、ホールド電流期間Khとなる。
制御回路部30は、INJ1に対するピック電流期間Pkiの設定処理を、INJ1のメイン噴射開始となる時刻t1までに実施する。また、INJ2に対するピック電流期間Pkiの設定処理を、INJ2のメイン噴射開始となる時刻t2までに実施する。このように、INJ2に対するピック電流期間Pkiの設定処理を、時刻t1から時刻t2の間で実施する。
上記したように、メイン噴射が最も燃料の噴射量が多く、燃料の噴射時間、すなわち通電時間が長い。このため、メイン噴射に対し、ピック電流期間Pkiの設定処理を実施することで、メイン噴射の際にINJ1,INJ2を所定の開弁状態としつつ、燃料噴射制御装置10及びINJ1,INJ2の発熱量を低減することができる。また、メイン噴射のみに対し、ピック電流期間Pkiの設定処理を実施することで、エンジン回転数Neが高回転となっても、ピック電流期間Pkiの設定時間を確保することができる。すなわち、発熱量を低減しつつ、ピック電流期間Pkiの設定時間を確保することができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した燃料噴射制御装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した燃料噴射制御装置10と共通する部分についての説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態では、制御回路部30が燃圧Pfを取得し(ステップS40)、燃圧Pfとピック電流期間Pkiとの対応関係に基づいて、ピック電流期間Pkiを設定する(ステップS42)。この対応関係は、マップデータ又は数式等の態様で、予めメモリに格納されている。
図9は、燃圧Pfとピック電流期間Kpiとの対応関係を示すイメージ図である。図9に示すように、燃圧Pfとピック電流期間Kpiとは、燃圧Pfが増加するほどピック電流期間Kpiが短くなるような関係性を有している。ピック電流期間Kpiは、燃圧Pfの増加に応じて多段階で短くなってもよいし、リニアに短くなってもよい。
本実施形態によれば、燃圧Pfが増加するほどピック電流期間Kpiが短くなるように、ピック電流期間Kpiを設定することができるので、2段階で切り替える構成に較べて、発熱低減の効果を高めることができる。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
燃料噴射制御装置10が、ディーゼルエンジンに適用される例を示したが、直噴型ガソリンエンジンにも適用できる。
エンジンの気筒数は2気筒に限定されない。単気筒や3気筒以上のエンジンにも適用できる。たとえば単気筒の場合にも第3実施形態を適用することができる。
特に言及しなかったが、燃料噴射制御装置10が、駆動スイッチQ4がオフされたときに、対応するソレノイドL1,L2に蓄積されたエネルギをコンデンサC1に回収する回収部をさらに備えてもよい。回収部として、ダイオードやMOSFETなどのスイッチを採用することができる。
10…燃料噴射制御装置、20…昇圧回路部、21…電源ライン、30…制御回路部、40,41…温度センサ、42…燃圧センサ、C1…コンデンサ、D1,D2,D3,D21,D22,D31,D32…ダイオード、INJ1,INJ2…インジェクタ、L1,L2…ソレノイド、L3…インダクタ、P1,P11,P12,P2,P21,P22,P3…端子、Q1…充電スイッチ、Q2,Q21,Q22…放電スイッチ、Q3,Q31,Q32…定電流スイッチ、Q4,Q41,Q42…駆動スイッチ、R1,R2,R21,R22…抵抗
Claims (10)
- 内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射弁(INJ1,INJ2)を開閉させるために、前記燃料噴射弁の電磁負荷(L1,L2)に流れる駆動電流を制御する燃料噴射制御装置であって、
電源電圧を昇圧する昇圧回路部(20)と、
前記電磁負荷の上流側と前記昇圧回路部との間に配置され、オンすることで前記電磁負荷の上流側と前記昇圧回路部とを接続する放電スイッチ(Q2)と、
前記電磁負荷の上流側に配置され、オンすることで前記電源電圧を対応する前記電磁負荷に供給する定電流スイッチ(Q3)と、
前記電磁負荷の下流側に配置され、オンすることで対応する前記電磁負荷の下流側をグランドに接続する駆動スイッチ(Q4)と、
前記燃料噴射弁から燃料を噴射させる噴射期間のうち、
前記噴射期間の開始から、前記駆動電流が開弁のためのピーク電流に到達し、前記ピーク電流よりも小さい閾値電流に低下するまでのピーク電流期間において、前記ピーク電流に到達するまでは放電スイッチ及び前記駆動スイッチをオンさせ、前記ピーク電流に到達してから前記閾値電流に低下するまでは、前記放電スイッチをオフさせ、
前記ピーク電流期間が終了してから前記噴射期間が終了するまでの定電流期間において、前記駆動電流として定電流が流れるように前記定電流スイッチ及び前記駆動スイッチのオンオフを制御するとともに、
前記定電流期間のうち、前記ピーク電流期間が終了してから所定時間が経過するまでの第1定電流期間において、前記駆動電流が前記ピーク電流よりも小さい電流であり、前記燃料噴射弁を所定の開弁状態にするための第1定電流となるようにし、
前記噴射期間が前記ピーク電流期間と前記第1定電流期間との和よりも長い場合に設定され、前記第1定電流期間が終了してから前記噴射期間が終了するまでの第2定電流期間において、前記駆動電流が前記第1定電流よりも小さい電流であり、前記開弁状態を保持するための第2定電流となるようにする制御部(S16)と、
前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力に応じて、前記制御部が用いる前記第1定電流期間を設定し、前記圧力が第1圧力の場合、前記第1定電流期間として第1時間を設定し、前記圧力が前記第1圧力よりも高い第2圧力の場合、前記第1定電流期間として前記第1時間よりも短い第2時間を設定する時間設定部(S14,S22,S32,S34,S40,S42)と、
を備える燃料噴射制御装置。 - 前記時間設定部は、前記圧力と予め設定された基準燃圧とを比較し、前記圧力が前記基準燃圧以上の場合に前記第2時間を設定し、前記圧力が前記基準燃圧未満の場合に前記第1時間を設定する請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記時間設定部は、前記圧力が増加するほど前記第1定電流期間が短くなるように、前記第1定電流期間を設定する請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記時間設定部は、前記噴射期間が予め設定された基準時間未満の場合、予め設定された固定値を前記第1定電流期間として設定し、前記噴射期間が前記基準時間以上の場合、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項1〜3いずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記時間設定部は、前記燃料噴射制御装置内の温度が予め設定された基準内部温度未満の場合、予め設定された固定値を前記第1定電流期間として設定し、前記燃料噴射制御装置内の温度が前記基準内部温度以上の場合、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項1〜4いずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記時間設定部は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の温度が予め設定された基準燃料温度未満の場合、予め設定された固定値を前記第1定電流期間として設定し、前記燃料噴射弁に供給される燃料の温度が前記基準燃料温度以上の場合、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項1〜5いずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記時間設定部は、前記内燃機関の回転数が予め設定された基準回転数未満の場合、予め設定された固定値を前記第1定電流期間として設定し、前記内燃機関の回転数が予め設定された基準回転数以上の場合、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項1〜6いずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記内燃機関の1燃焼サイクルの間に、同一の前記燃料噴射弁が噴射する段数を設定する噴射段数設定部(S10)をさらに備え、
前記制御部は、設定された前記段数で噴射を実施するように、前記放電スイッチ、前記定電流スイッチ、及び前記駆動スイッチのオンオフを制御する請求項1〜7いずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。 - 前記時間設定部は、前記段数が予め設定された基準段数未満の場合、予め設定された固定値を前記第1定電流期間として設定し、前記段数が予め設定された基準段数以上の場合、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項8に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射段数設定部により多段噴射が設定されると、前記時間設定部は、前記多段噴射のうちのメイン噴射のみに対し、前記圧力に応じて前記第1定電流期間を設定する請求項8又は請求項9に記載の燃料噴射制御装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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