JP2017095922A - 渡り廊下構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で変位差による損傷を防止できる渡り廊下構造を提供する。
【解決手段】渡り廊下構造10は、建物1、2の間に設けられる。渡り廊下構造10は、床部101、桁梁102、支持材103、手すり104、スロープ105、106等を有する。床部101、桁梁102、および手すり104により構成される渡り廊下100は、支持材103によって上方から支持され、建物1から建物2へと延び、その先端が建物2内に挿入される。渡り廊下100の床部101の先端と建物2の床面の間にはクリアランス110があり、渡り廊下100の床部101が建物2の床面から浮いている状態である。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物間の渡り廊下構造に関する。
建築物の増築時に、新築の建物を既存の建物に隣接して構築し、これらの建物を渡り廊下で往来可能に接続することがある。通常の設計では、渡り廊下の両端部は両建物に固定される。
一方、特許文献1には、一方の建物に渡り廊下を取付けガイドレールによって廊下幅方向に摺動可能とし、その渡り廊下の先端を他方の建物の床面上に載置して間仕切壁の間を廊下長手方向に摺動可能としたものが記載されている。
特開2000−96714号公報
2つの建物間に渡り廊下を設ける場合、これら2つの建物はその構造形式、形態等の違いにより振動特性や3次元的な変形挙動が異なるのが通常である。従って、渡り廊下の両端部を両建物に固定すると、地震や積載荷重などの外力、経年変化、温度変化などの種々の要因によって両建物が別々に変位し、この変位差により渡り廊下が壊れてしまい、人や物に被害が生じる可能性がある。
また渡り廊下によって建物間に力の伝達が生じるので、建物を計画する際に力の伝達を考慮して構造形式や形態その他を定めなければならず、このような力の伝達は複雑なものになるため設計や施工が難しい。また、建物間の距離や変位差等が大きく渡り廊下が長大になる場合や、大人数が歩行したり重量の大きな車両が通行する場合などでは、渡り廊下の構造体そのものの強度・剛性やその支持方法、建物との接合部にかかる負担等を考慮しなければならず、技術的な難しさが増すことになる。
また特許文献1の場合、ガイドレールや間仕切壁等を用いた複雑な機構となる。さらに、渡り廊下の先端が建物に載置されている以上、渡り廊下を介した鉛直方向等の力の伝達が生じないとは言えず、上記と同様の問題がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で変位差による損傷を防止できる渡り廊下構造を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための本発明は、隣接する構造物の間に設けられる渡り廊下構造であって、一方の構造物から支持された渡り廊下の床部の先端が、他方の構造物に挿入され、且つ前記他方の構造物の床面に対して浮いた状態となっていることを特徴とする渡り廊下構造である。
本発明では、一方の構造物から支持された渡り廊下の先端が他方の構造物から浮いた状態となっており、完全に切り離されている。従って、両構造物が別々に変位する際の損傷を簡易な構成で防止できる。また構造物間に力の伝達を生じさせないようにできるので、両構造物の構造形式や形態その他を独立に定めることができ構造物の計画が容易になる。
前記渡り廊下構造が、前記一方の構造物に取付けられ、前記渡り廊下を支持するための支持材を含むことが望ましい。前記支持材は、例えば前記渡り廊下を上方から支持するものである。あるいは前記渡り廊下を下方から支持するものであってもよい。
これにより、渡り廊下のスパンが大きい場合や、重量の大きな車両が走行する場合など、構造的な負荷が大きい場合であっても、簡易な機構で渡り廊下を支持でき、スペースもとらない。
前記渡り廊下構造は、前記他方の構造物の床面に配置され、且つ前記床面に固定されないスロープを含み、前記渡り廊下と前記スロープが鉛直方向に相対移動可能に接続されることが望ましい。
これにより渡り廊下の段差を解消し、車両等が容易に通行できる。またスロープは渡り廊下の水平方向や鉛直方向の移動を拘束しないので、前記した効果を妨げることはない。
前記スロープの先端が弾性部材で形成されていることが望ましい。
スロープの先端に硬質ゴム等の弾性部材を設けることで、スロープと構造物の床面の間を車両等が通行する際の衝撃を緩和できる。
前記弾性部材は、前記スロープの弾性部材以外の部分と取り外し可能に接続され、廊下幅方向に複数分割して配置されることが望ましい。
これにより、劣化度合いに応じて弾性部材が個々に交換でき、劣化度合いの小さい箇所の交換頻度が小さくなりランニングコストの低下につながる。
前記スロープは、前記渡り廊下から取り外し可能であることが望ましい。
これにより、劣化度合いに応じてスロープの交換を容易にできる。
前記スロープの下面にすべり材が設けられることが望ましい。
これによりスロープが構造物の床面に対し移動しやすくなる。
本発明により、簡易な構成で変位差による損傷を防止できる渡り廊下構造を提供することができる。
渡り廊下構造10を示す図 渡り廊下構造10を示す図 スロープ106の接続部120を示す図 スロープ106を示す図
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る渡り廊下構造10を示す図である。本実施形態の渡り廊下構造10は、既存の建物2(構造物)と、これに対して増築した新築の建物1(構造物)の間に設けられ、これらの建物1、2の所定階(渡り廊下設置階)の間でフォークリフト等の車両を往来可能とするものである。図2は渡り廊下構造10の設置階の平面を見たものである。
建物1、2は例えば免震構造を有するが、これに限ることはない。また渡り廊下構造10は新築の建物1の構築時に併せて構築されるものとする。
渡り廊下構造10は、床部101、桁梁102、支持材103、手すり104、スロープ105、106等を有する。このうち床部101、桁梁102、および手すり104は本発明における渡り廊下100を構成している。この渡り廊下100は建物1から建物2へと延び、その先端が既存の建物2内に挿入される。
床部101はコンクリート製の床板である。本実施形態ではコンクリートの現場打設により床部101が形成され、下面には型枠兼用の鋼板が配置される。後述する建物2側のスロープ106の配置後にコンクリートの打設を行えば、床部101の上面をスロープ106の高さと同じレベルに施工するのが容易である。
床部101のコンクリートには補強用の鋼材を埋設してもよい。例えば、床部101に鋼製の根太を配設し、これと上記の鋼板を接合することで、床部101の剛性と強度を向上させ床部101を薄くすることが可能である。
ここで、渡り廊下100の床部101の先端と既存の建物2の床スラブ21の上面(床面)間にはクリアランス110があり、渡り廊下100の床部101が建物2の床面から浮いている状態である。そのため、建物1、2の振動特性等の違いにより両建物1、2が別々に変位して水平方向や鉛直方向の変位に違いが有る場合でも、渡り廊下100はこの違いに影響されず、渡り廊下100の損傷が防止される。また渡り廊下100が建物1、2間に力の伝達を生じさせることもない。なお、後述する建物2側のスロープ106等は渡り廊下100の水平方向や鉛直方向の移動を拘束しない構成となっており、上記の効果を妨げることはない。
桁梁102は床部101の廊下幅方向の両端部に設けられ、スチール等の鋼材により構成される。なお、廊下幅方向は図2の上下方向に対応する。また、これと平面上直交する方向(図2の左右方向)を廊下長手方向というものとする。
支持材103は、渡り廊下100を上方から支持するものである。支持材103の一端は、建物1の渡り廊下設置階の上階の梁12に取付けられ、そこから斜め下方に延びて他端が桁梁102に取付けられる。支持材103には鋼管等が用いられる。支持材103と桁梁102の接続部には調整代があり、前記のクリアランス110が所定幅となるように微調整が可能である。なお、支持材103は上記の梁12以外にも、柱や間柱、建物の構造体とは別に設けた独立フレーム架構など各種の取付対象に取り付けることが可能である。
手すり104は桁梁102から立ち上がるように設けられ、これにより渡り廊下100からの人や物の落下が防がれる。手すり104にはスチール等の鋼材が用いられる。
スロープ105は新築の建物1側に設けられ、建物1の床スラブ11の上面(床面)と渡り廊下100の床部101の上面の段差をつなぐ傾斜面を有する。
本実施形態では、スロープ105がコンクリートにより渡り廊下100の床部101と一体に形成される。スロープ105および床部101の上面には必要に応じて滑り止めのために樹脂等による仕上げ剤が塗布される。図示は省略するが、踏み外しや脱輪等を防ぐため、スロープ105の廊下幅方向の両端部が上方へと板状に突出していてもよい。後述するスロープ106についても同様である。
スロープ106は既存の建物2側に配置され、建物2の床面と渡り廊下100の床部101の上面の段差をつなぐ傾斜面を有する。
本実施形態において、スロープ106は鉄板等の鋼材で形成された鋼製スロープである。ただし、スロープ106の先端は硬質ゴム106a(弾性部材)により形成され、スロープ106と建物2の床面の間をフォークリフト等が通過する際の衝撃を和らげる。なお、スロープ106の配置時に既存の建物2の床スラブ21を補修して床面の水平精度を保つようにしてもよい。
スロープ106は渡り廊下100の桁梁102と接続部120で取り外し可能に接続され、必要に応じてスロープ106を交換可能である。接続部120はスロープ106の廊下幅方向の両端部に設けられる。
図3はこの接続部120を示す図であり、渡り廊下100の桁梁102に取付けられた上下2枚の板材121の間に、スロープ106の側面に取付けた板材122が挿入されている。板材121、122には孔(不図示)が設けられており、これらの孔に頭付きのピン123が挿入され、下方の板材121から突出したピン先端に割りピン124が通されている。
割りピン124を外してピン123を抜けばスロープ106を渡り廊下100の桁梁102から取り外すことができ、また板材122とその上下の板材121の間には鉛直方向の隙間があるので、スロープ106と渡り廊下100が鉛直方向に相対移動可能である。
スロープ106は建物2の床面には固定されず、渡り廊下100の水平方向(廊下幅方向および廊下長手方向)の移動に応じて建物2の床面上を移動可能である。図2の211は建物2の床面に設けられるマークであり、スロープ106が床面上を移動する範囲を示すものである。
なお、建物2では渡り廊下100の両側に複数枚の柵22が設けられ、これにより渡り廊下100付近の人や物の落下を防ぐことができる。これらの柵22は、相互のスライド等によって渡り廊下100の水平方向の移動と鉛直方向の移動を許容する構成となっている。
また、図4に示すように、スロープ106の鋼製部分(硬質ゴム106a以外の部分)の端部106bでは、スロープ106の下面にすべり材108が設けられ、スロープ106が床面上を移動しやすくなっている。すべり材108としてはMCナイロン(登録商標)やテフロン(登録商標)などの一般的な素材を用いることができる。
また、スロープ106の先端の硬質ゴム106aは、スロープ106の鋼製部分の端部106bとボルト130により取り外し可能に接続される。ボルト130の挿入部分では硬質ゴム106aに穴が設けられており、使用時にはこの穴が硬質ゴムによるキャップ106cで埋められている。
図2に示すように、硬質ゴム106aは、廊下幅方向に複数(図の例では3つ)に分割して設けられており、それぞれ上記のように取り外し可能である。従って、その劣化度合いによって個々に交換可能である。
フォークリフト等の車輪が通ると硬質ゴム106aは劣化し、硬質ゴム106aを一体とする場合、劣化していない部分も含めて交換しなければならない。しかし本実施形態では劣化した部分のみ交換することができ、車輪があまり通らず劣化が進行していない部分(例えば端部の硬質ゴム106a)は交換しなくてよいので、このような部分の交換頻度が小さくなりランニングコストが低下する。
以上説明したように、本実施形態では、一方の建物1から支持された渡り廊下100の先端が他方の建物2から浮いた状態となっており、完全に切り離されている。従って、両建物1、2が別々に変位する際の損傷を簡易な構成で防止できる。また両建物1、2を構造的に切り離し、建物1、2の間で力の伝達を生じさせないようにできるので、新築の建物1の構造形式や形態その他を独立に定めることができ建物1の計画が容易になる。
さらに、本実施形態では支持材103により、渡り廊下100のスパンが大きい場合や、重量の大きな車両が走行する場合など、構造的な負荷が大きい場合であっても、簡易な機構で建物1側から渡り廊下100を支持でき、スペースもとらない。ただし、これに限ることはなく、図示は省略するが、例えば図1に示す支持材103を上下反転した配置とし、下端を渡り廊下設置階の下階の床スラブ11や梁12などに取付けた支持材により渡り廊下100を下方から支持するような機構も可能であり、同様の効果がある。これ以外にも、渡り廊下100の支持方法としては様々なものが考えられ、上記の例に限定されることはない。
また、建物2の床面にスロープ106が配置されるので、渡り廊下100の段差を解消し、車両等の通行が容易にできる。スロープ106は渡り廊下100の水平方向や鉛直方向の移動を拘束しない構成となっているので、前記した効果を妨げることはない。
また、スロープ106の先端は硬質ゴム106aで形成されているので、スロープ106と建物2の床面の間を車両等が通行する際の衝撃を緩和することができる。加えて、硬質ゴム106aは廊下幅方向に複数分割して配置され、スロープ106の鋼製部分と取り外し可能に接続されるので、劣化度合いに応じて硬質ゴム106aが別々に交換でき、劣化度合いの小さい箇所の交換頻度が小さくなりランニングコストの低下につながる。なお、硬質ゴム106aに代えて、その他の各種の弾性部材を使用することもできる。
また、スロープ106は渡り廊下100から取り外し可能なので、劣化度合いに応じてスロープ106の交換も容易にできる。スロープ106の下面にはすべり材108が設けられるので、スロープ106が建物2の床面に対し移動しやすくなる。
しかしながら、本発明はこれに限ることはない。例えば本実施形態では既存の建物2と新築の建物1の間に渡り廊下構造10を設ける例を説明したが、新築の建物間や既存の建物間でも同様の渡り廊下構造を設けることができる。さらに、本実施形態では両建物を免震構造としたが、これに限ることもない。また渡り廊下構造10は建物の各階に設置してもよく、必要な階のみに設置してもよい。
加えて、渡り廊下100の床部101はコンクリートを現場打設することで形成しているが、予め製作したプレキャストコンクリート部材を床部101として用いることも可能である。また建物1の渡り廊下設置階の床レベルによっては建物1側のスロープ105を省略することも可能である。
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、2;建物
10;渡り廊下構造
11、21;床スラブ
12;梁
22;柵
100;渡り廊下
101;床部
102;桁梁
103;支持材
104;手すり
105、106;スロープ
106a;硬質ゴム
108;すべり材
110;クリアランス
120;接続部
130;ボルト

Claims (9)

  1. 隣接する構造物の間に設けられる渡り廊下構造であって、
    一方の構造物から支持された渡り廊下の床部の先端が、他方の構造物に挿入され、且つ前記他方の構造物の床面に対して浮いた状態となっていることを特徴とする渡り廊下構造。
  2. 前記一方の構造物に取付けられ、前記渡り廊下を支持するための支持材を含むことを特徴とする請求項1記載の渡り廊下構造。
  3. 前記支持材は前記渡り廊下を上方から支持するものであることを特徴とする請求項2記載の渡り廊下構造。
  4. 前記支持材は前記渡り廊下を下方から支持するものであることを特徴とする請求項2記載の渡り廊下構造。
  5. 前記他方の構造物の床面に配置され、且つ前記床面に固定されないスロープを含み、
    前記渡り廊下と前記スロープが鉛直方向に相対移動可能に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の渡り廊下構造。
  6. 前記スロープの先端が弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項5記載の渡り廊下構造。
  7. 前記弾性部材は、前記スロープの弾性部材以外の部分と取り外し可能に接続され、廊下幅方向に複数分割して配置されることを特徴とする請求項6記載の渡り廊下構造。
  8. 前記スロープは、前記渡り廊下から取り外し可能であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の渡り廊下構造。
  9. 前記スロープの下面にすべり材が設けられることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の渡り廊下構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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