JP6296289B2 - 床ピット構造及びこれの構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば工場等で所定広さの空間に設けられる床ピット構造及びこれの構築方法に関する。
従来、工場等の生産施設に設けられる床ピット構造として、例えば特許文献1に記載のような地下部のピット底盤に複数の柱材を立設し、それらの柱材によって桁材、PC床版、或いはレール等を下方から支持する構造が知られている。
そして、このようにPC床版を柱材や桁材によって支持する構造としては、PC床版の四隅を支持する構造が一般的であり、PC床版が受ける荷重を四隅の支持部によってバランスよく負担する構造となっている。
特開2004−316100号公報
しかしながら、上述したような従来の床ピット構造では、以下のような問題があった。
すなわち、生産施設等の床ピットでは、生産する部品を変える場合に生産ラインを大きく変更する場合がある。このような場合には、施設全体を新たに建て替えるか、床ピットの周囲の床も含めた範囲を生産ラインに合わせて変更するといった大規模なレイアウト変更工事を行うこととなり、工事費が増大するうえ、工期が長くなるという問題があった。
また、PC床版の四隅を支持する4点支持構造とする場合には、部分的となる点でPC床版の荷重を受ける構造となるので、各支持部に荷重が集中してPC床版が破損する可能性があり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、例えば生産ラインの変更に伴い、PC床版の取り外しを容易に行うことができ、PC床版を支持する桁材の向きを変えて床ピットのレイアウトを簡単に且つ低コストで変更することができる床ピット構造及びこれの構築方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、PC床版を2辺支持とすることで、PC床版の破損を防ぐことができる床ピット構造及びこれの構築方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る床ピット構造は、所定広さの空間に設けられる床ピット構造であって、ピット底盤上に立設され、縦横方向に一定の間隔をあけて配列された柱材と、該柱材の上端面に接合され、前記縦横方向のうちいずれか一方向に延在方向を向けて配列された桁材と、対向する2辺のそれぞれを配列方向に隣り合う前記桁材に載置させることで架設されたプレキャストコンクリート床版と、を備え、前記桁材には、前記プレキャストコンクリート床版の水平移動を規制する位置決め部材が設けられていることを特徴としている。
また、本発明に係る床ピット構造の構築方法は、上述した床ピット構造の構築方法であって、前記桁材を前記柱材の上端面に固定し、該桁材を前記縦横方向のいずれか一方向に長手方向を向けて配列する工程と、前記桁材に前記位置決め部材を設けて、前記プレキャストコンクリート床版の水平方向への移動を規制する工程と、前記プレキャストコンクリート床版の対向する2辺のそれぞれを配列方向に隣り合う前記桁材に載置させることで架設する工程と、を有することを特徴としている。
本発明では、プレキャストコンクリート床版が桁材に対して位置決め部材により水平移動が規制され、所望の位置に位置決めされた状態で載置される簡単な構造となることから、プレキャストコンクリート床版を桁材に対して容易に取り付け又は取り外すことができる。そのため、桁材の仕様の変更や、異なる重量のプレキャストコンクリート床版への変更などの工事を効率良く行うことができる。
そして、柱材が縦横方向のそれぞれの方向毎に一定の間隔をあけて配列されているので、柱材に対して桁材を取り外すことのみで、桁材の配列方向を横方向及び縦方向のいずれかの向きに変更することが可能となる。そのため、例えば工場の生産ラインの変更に伴い、床ピット内の桁材の配列方向を変更する場合でも、従来のように床ピット全体を変更するといった大規模な工事を行う必要がなくなる利点がある。
また、プレキャストコンクリート床版の2辺を桁材によって支持する2辺支持構造となり、点でなく線で支持され、しかも各プレキャストコンクリート床版の水平移動が桁材に設けられる位置決め部材によって規制されているので、地震時におけるプレキャストコンクリート床版の水平荷重を位置決め部材を介して桁材に伝達させることができ、桁材に対する水平方向の相対的な位置ずれが発生するのを防止することができる。
また、本発明に係る床ピット構造は、前記位置決め部材は、前記桁材の上面に突設された凸部であり、前記プレキャストコンクリート床版の下面には、前記凸部に対して緩やかに嵌合される凹部が設けられ、前記凸部に前記凹部を嵌合させた状態で、前記凹部の前記凸部との間の隙間に固化材が充填されていることが好ましい。
本発明では、桁材に固定された凸部にプレキャストコンクリート床版の凹部を緩やかに隙間をもたせた状態で嵌合させることができ、凹部と凸部との間に形成される隙間の範囲でプレキャストコンクリート床版を移動させて位置合わせをすることが可能となる。そのため、プレキャストコンクリート床版の取り付け精度の向上を図ることができる。そして、位置決め後には、前記隙間に固化材が充填されるので、凸部を介して桁材とプレキャストコンクリート床版とを固定することができる。
また、本発明に係る床ピット構造は、前記桁材の前記柱材上に位置する部分に、前記凸部が設けられ、該凸部は、縦材と横材とを交差させた平面視で十字状をなし、前記縦材及び横材のうちいずれか一方の延在方向が前記桁材の長手方向に向けて配置されていることが好ましい。
この場合には、配列される4つのプレキャストコンクリート床版の交点に十字状の凸部を配置することが可能となり、プレキャストコンクリート床版の角部に凹部を形成することで、凸部を4つのプレキャストコンクリート床版で共有することができる。そのため、1つの十字状の凸部で4つのプレキャストコンクリート床版に対して水平方向の位置決めを行うことができ、凸部の部材数を少なくすることが可能となるので、コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係る床ピット構造は、前記桁材と前記プレキャストコンクリート床版との間には、前記桁材の長手方向に沿って間隔をあけて複数の緩衝板が介挿されていることが好ましい。
この場合には、プレキャストコンクリート床版の対向する2辺が桁材の上面に直接載置されることが無いうえ、緩衝板を介在させることによる緩衝作用を有するので、プレキャストコンクリート床版の支持部(載置部分)への荷重の負担を軽減することができ、破損の発生を抑制することができる。
また、本発明に係る床ピット構造は、前記桁材と前記プレキャストコンクリート床版との間における前記緩衝板同士の間には、固化材が充填されていることが好ましい。
この場合には、桁材とプレキャストコンクリート床版の2辺との間が、緩衝板と固化材によって隙間なく満たすことができる。これにより、プレキャストコンクリート床版にかかる荷重をより確実に2辺で支持することができる。
本発明の床ピット構造及びこれの構築方法によれば、例えば生産ラインの変更に伴い、プレキャストコンクリート床版の取り外しを容易に行うことができ、プレキャストコンクリート床版を支持する桁材の向きを変えて床ピットのレイアウトを簡単に且つ低コストで変更することができる。
また、本発明の床ピット構造及びこれの構築方法によれば、プレキャストコンクリート床版を2辺支持とすることで、プレキャストコンクリート床版の破損を防ぐことができる効果を奏する。
本発明の実施の形態による床ピット構造を示した斜視図である。 図1に示す床ピット構造の一部を拡大した斜視図である。 床ピット構造の一部を示す平面図であって、PC床版を桁材に載置する前の状態を示す図である。 図3に示すプレート部分の拡大図である。 図4に示すA−A線矢視図である。 図5に示すプレートとPC床版の切欠部との嵌合構造を示す拡大図である。 図4に示すB−B線矢視図である。 PC床版の構成を示す図であって、(a)は下方から見た平面図、(b)は側面図である。
以下、本発明の実施の形態による床ピット構造及びこれの構築方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による床ピット構造1は、例えば生産ラインを有する工場10において、生産物を製造するための所定広さの空間を有する室部11の床及び床下の床ピット部12を構成している。
ここで、本実施の形態では、室部11は平面視で長方形をなし、その幅方向(短辺方向)を横方向Xとし、長手方向を縦方向Yとして、以下説明する。
図2に示すように、床ピット構造1は、ピット底盤12a上に立設され、水平面内で互いに直交する横方向X及び縦方向Yのそれぞれの方向毎に一定の間隔をあけて配列された柱材2と、柱材2の上端面2a(図4及び図5参照)に接合されて架設されるとともに、縦方向Yに沿って長手方向を向けて配列された鉄骨梁からなる桁材3と、対向する2辺の支持端4a、4aのそれぞれを配列方向に隣り合う桁材3、3に載置させることで架設されたプレキャストコンクリート床版(以下、PC床版4という)と、を備えている。
柱材2は、鉄筋コンクリート(RC)製であり、断面視で正方形に形成され、ピット底盤12aに対して一体的にコンクリート打設されており、横方向X及び縦方向Yともに同じ配置間隔(図2に示すL1、L2)で配列されている。これら複数の柱材2、2、…の上端面2aは、それら全てが同一の高さ(レベル)にとなっている。
柱材2の寸法や配置間隔L1、L2は、PC床版4の形状、重量、このPC床版4上に走行、或いは設置される機器・設備の重量、及び床ピット部12の高さ等の条件に応じて適宜設定される。本実施の形態では、例えば断面の一辺が70cmのものが採用されている。
柱材2には、上端面2aに突出するアンカーボルト21(図5参照)が4本、埋設されている。このアンカーボルト21を使用して桁材3がボルト締結により着脱可能に固定される。
桁材3は、図3〜図5に示すように、本実施の形態では柱材2の辺寸法より小さい30cmの幅で、高さが40cmのH形鋼が用いられ、長さ寸法が例えば柱材2における3スパン分の長さ寸法となっている。つまり、柱材2の配置間隔L1、L2(図2参照)が4mである場合に、桁材3は長さ寸法が12mの桁材3が使用される。なお、桁材3の長さに制限はなく、任意に設定することができる。
桁材3は、柱材2の上端面2aに対してボルト締結により着脱可能に固定されている。具体的には、図5に示すように、桁材2に埋設され上端面2aより突出して設けられるアンカーボルト21を、桁材3の下フランジ31に形成されるボルト穴(図示省略)を挿通させてナット22で締め付けて固定されている。
桁材3は、柱材2からナット22を取り外すことで、長手方向の向きを例えば縦方向Yから横方向Xに変更することが可能である。
図3〜図6に示すように、桁材3の上面3aには、桁材3の柱材2上に位置する部分において、溶着により固定され、面方向を上下方向に向けたプレート5(凸部、位置決め部材)が突設されている。このプレート5は、縦材51と横材52とを交差させた平面視で十字状をなし、縦材51の長さ方向を桁材3の長手方向(すなわち縦方向Y)に向けて配置されている。十字状のプレート5は、配列される4つのPC床版4の交点に配置され、これら4つのPC床版4で共有される位置決め部材となっている。
PC床版4は、図8(a)に示すように、平面視で正方形をなし、一方の対向する側縁部に位置する支持端4a、4aがそれぞれ桁材3の上面3aにおいて、図5及び図6に示すゴム板6(緩衝板)を介挿させて2辺支持により載置されている。PC床版4は、図1及び図3に示すように複数が横方向X及び縦方向Yに隙間なく配設され、各支持端4aが桁材3の幅寸法の半分の領域に線状に載置して下方から支持されている。
なお、PC床版4は、床ピット構造1の施工時に、例えば、現地で製造しても良いし、現地とは別の生産工場などで製造して現地に搬入するようにしても良い。また、PC床版4には、図示しない設備の取り出し口や空調用の開口を配置することも可能である。
ゴム板6は、図5及び図6に示すように、例えば10mm程度の薄板状のものが用いられ、桁材3の上面3aに桁材3の延長方向で適宜な間隔をあけて複数(図3で柱材3、3同士の間に4つ)配置されている。
図8(a)、(b)に示すように、PC床版4の四隅の下面4bには、前述のプレート5に対して緩やかに間隔をあけて嵌合可能する切欠部41(凹部)が形成されている。切欠部41は、PC床版4の角部を形成する二面にわたって連続的に切り取られ、その切込み深さは少なくともプレート5の厚さ寸法の1/2より大きくなるように設定されている。このような寸法にしておくことで、図6に示すように、隣り合うPC床版4、4の切欠部41、41同士を対向させて形成される凹部をプレート5に嵌合させて、PC床版4が水平方向に位置決めされている。
そして、プレート5に切欠部41を嵌合させた状態において、図6に示すように切欠部41のプレート5との間の隙間にはグラウト材7(固化材)が充填されている。グラウト材7としては、例えば無収縮モルタルが使用される。
また、桁材3の上面3aにおけるゴム板6、6同士の間には、その全面にわたって前記グラウト材7と同様の材料である無収縮モルタル材8(固化材)が盛り付けられ、PC床版4の下面4bの支持端4aに密着して固定される。
次に、上述した構成からなる床ピット構造1の構築方法について、図面に基づいて詳細に説明する。
先ず、図1に示すように、所定位置に床ピット部12を掘削するとともに側壁及び底壁にコンクリートを打設し、室部11を形成するための骨組材から構成される外壁部13を構築する。次に、床ピット部12のピット底盤12a上に複数の柱材2、2、…をコンクリート打設により立設する。このときの柱材2は、ピット底盤12aにおいて、横方向X及び縦方向Yのそれぞれの方向に沿って一定の間隔をあけて配置される。また、図5に示すように、柱材2の上端面2aには、アンカーボルト21を埋め込み、そのボルト先端側を上端面2aから突設させておく。本実施の形態では、柱材2毎に4本のアンカーボルト21を埋め込む。
そして、これとは別の工程で、例えば現場あるいは工場などにおいて、図3に示すように、桁材3の上面3aの所定位置に平面視で十字状のプレート5を溶着しておく。このとき、縦材51の延在方向を桁材3の長さ方向に向けて配置する。また、桁材3の上面3aの所定位置には、ゴム板6を接着により固着しておく。
次に、図5に示すように、柱材2の上端面2aに桁材3を固定する。具体的には、桁材3の下フランジ31を柱材2の上端面2aにから突出するアンカーボルト21に挿通させてナット22を締め付けて固定する。このとき、桁材3は、柱材2に対してボルト締結により固定されているだけなので、取り付け、取り外しが容易な構造となっている。
そして、柱材2上に設置した後の桁材3の上面3aにおいて、ゴム板6、6同士の間の領域に無収縮モルタル8を盛り付ける。このときの無収縮モルタル材8の盛り付け高さは、ゴム板6の高さ寸法よりも少し高めにしておく。これによりPC床版4を載置させたときに、盛り付け高さのばらつきをなくし、PC床版4と桁材3との間に隙間なく均一に無収縮モルタル8が充填される状態となる。なお、無収縮モルタル材8の盛り付け時には、この材料の流出を防ぐために盛り付け箇所の周囲にバッカー等を配置しておくことが好ましい。
次いで、PC床版4の対向する支持端4a、4a(図3参照)を、それぞれ桁材3上にゴム板6を介して載置させる。そして、十字状のプレート5に嵌合される4つのPC床版4を配置する。このとき、PC床版4の切欠部41をプレート5に嵌合させ、この嵌合状態で切欠部41とプレート5との間に隙間が生じるので、その隙間にグラウト材7を充填し固化させる。このグラウト材7と無収縮モルタル材8が固化することにより、PC床版4の取付けが完了となる。
これにより複数のPC床版4、4、…が横方向X及び縦方向Yに隙間なく配列され、本実施の形態の床ピット構造1が構築される。
このように構築される床ピット部12内は、設備機器やインフラ供給スペースとして利用し、フレキシビリティの向上に寄与することができる。これにより、PC床版4上の床面に配置する設備を少なくすることができ、生産スペースを確保することができ、スペースの有効利用が可能となる。
次に、上述した床ピット構造の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態の床ピット構造1では、図3、図5及び図7に示すように、PC床版4が桁材3に対してプレート5により水平移動が規制され、所望の位置に位置決めされた状態で載置される簡単な構造となることから、PC床版4を桁材3に対して容易に取り付け又は取り外すことができる。そのため、桁材3の仕様の変更や、異なる重量のPC床版への変更などの工事を効率良く行うことができる。
そして、柱材2が縦横方向のそれぞれの方向毎に一定の間隔をあけて配列されているので、柱材2に対して桁材3を取り外すことのみで、桁材3の配列方向を横方向X及び縦方向Yのいずれかの向きに変更することが可能となる。そのため、例えば工場の生産ラインの変更に伴い、図1に示す床ピット部12内の桁材3の配列方向を変更する場合でも、従来のように床ピット全体を変更するといった大規模な工事を行う必要がなくなる利点がある。
また、本実施の形態の床ピット構造1では、PC床版4の2辺の支持端4a、4aを桁材3によって支持する2辺支持構造となり、点でなく線で支持され、しかも各PC床版4の水平移動が桁材3に設けられるプレート5によって規制されているので、地震時におけるPC床版4の水平荷重をプレート5(及びグラウト材7)を介して桁材3に伝達させることができ、桁材3に対する水平方向の相対的な位置ずれが発生するのを防止することができる。
さらに、本実施の形態では、桁材3に固定されたプレート5にPC床版4の切欠部41を緩やかに隙間をもたせた状態で嵌合させることができ、切欠部41とプレート5との間に形成される隙間の範囲でPC床版4を移動させて位置合わせをすることが可能となる。そのため、PC床版4の取り付け精度の向上を図ることができる。そして、位置決め後には、前記隙間にグラウト材7が充填されるので、プレート5を介して桁材3とPC床版4とを固定することができる。
さらにまた、本実施の形態では、配列される4つのPC床版4の交点に十字状のプレート5を配置することが可能となり、PC床版4の角部に切欠部41を形成することで、プレート5を4つのPC床版4で共有することができる。そのため、1つの十字状のプレート5で4つのPC床版4に対して水平方向の位置決めを行うことができ、プレート5の部材数を少なくすることが可能となるので、コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態の場合には、PC床版4の対向する2辺(支持端4a)が桁材3の上面3aに直接載置されることが無いうえ、ゴム板6を介在させることによる緩衝作用を有するので、PC床版4の支持部(載置部分)への荷重の負担を軽減することができ、破損の発生を抑制することができる。
さらに、本実施の形態では、桁材3とPC床版4の2辺との間が、ゴム板6と無収縮モルタル材8によって隙間なく満たされるので、PC床版4にかかる荷重をより確実に2辺の支持端4a、4aで支持することができる。
上述のように本実施の形態による床ピット構造及びこれの構築方法では、例えば生産ラインの変更に伴い、PC床版4の取り外しを容易に行うことができ、PC床版4を支持する桁材3の向きを変えて床ピットのレイアウトを簡単に且つ低コストで変更することができる。
また、本実施の形態では、PC床版4を2辺支持とすることで、PC床版4の破損を防ぐことができる効果を奏する。
以上、本発明による床ピット構造及びこれの構築方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、また上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
例えば、本実施の形態では、平面視で十字状のプレート5を設け、4つのPC床版4で共有する構成としているが、この形状に限定されることはない。例えば、PC床版4毎にプレート5(凸部)を設けてもよく、PC床版4に形成される切欠部などの凹部も、その凸部の形状に対応した形状に設定することができる。
また、本実施の形態では、PC床版4と桁材3との間にゴム板6を介挿させ、さらに無収縮モルタル材8(固化材)で充填された構成としているが、このような構成に制限されることはない。例えば、ゴム板6や無収縮モルタル材8を省略し、PC床版4の支持端4aを桁材3に直接載置させる構成としてもよい。要は、PC床版4が桁材3に載置され、本実施の形態のようなプレート5等の桁材3に固定される位置決め部材によって水平移動が規制される構成であればよいのである。
また、桁材3と柱材2の固定方法として、柱材2に埋め込まれたアンカーボルト21を使用したボルト締結としているが、これに限定されることはなく、着脱可能であれば他の固定手段を採用することも可能である。
1 床ピット構造
2 柱材
2a 上端面
3 桁材
3a 上面
4 PC床版(プレキャストコンクリート床版)
4a 支持端
5 プレート(凸部、位置決め部材)
6 ゴム板(緩衝板)
7 グラウト材(固化材)
8 無収縮モルタル材(固化材)
12 床ピット部
12a ピット底盤
21 アンカーボルト
41 切欠部(凹部)
X 横方向
Y 縦方向

Claims (6)

  1. 所定広さの空間に設けられる床ピット構造であって、
    ピット底盤上に立設され、縦横方向に一定の間隔をあけて配列された柱材と、
    該柱材の上端面に接合され、前記縦横方向のうちいずれか一方向に延在方向を向けて配列された桁材と、
    対向する2辺のそれぞれを配列方向に隣り合う前記桁材に載置させることで架設されたプレキャストコンクリート床版と、
    を備え、
    前記桁材には、前記プレキャストコンクリート床版の水平移動を規制する位置決め部材が設けられていることを特徴とする床ピット構造。
  2. 前記位置決め部材は、前記桁材の上面に突設された凸部であり、
    前記プレキャストコンクリート床版の下面には、前記凸部に対して緩やかに嵌合される凹部が設けられ、
    前記凸部に前記凹部を嵌合させた状態で、前記凹部の前記凸部との間の隙間に固化材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の床ピット構造。
  3. 前記桁材の前記柱材上に位置する部分に、前記凸部が設けられ、
    該凸部は、縦材と横材とを交差させた平面視で十字状をなし、前記縦材及び横材のうちいずれか一方の延在方向が前記桁材の長手方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の床ピット構造。
  4. 前記桁材と前記プレキャストコンクリート床版との間には、前記桁材の長手方向に沿って間隔をあけて複数の緩衝板が介挿されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床ピット構造。
  5. 前記桁材と前記プレキャストコンクリート床版との間における前記緩衝板同士の間には、固化材が充填されていることを特徴とする請求項4に記載の床ピット構造。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の床ピット構造の構築方法であって、
    前記桁材を前記柱材の上端面に固定し、該桁材を前記縦横方向のいずれか一方向に長手方向を向けて配列する工程と、
    前記桁材に前記位置決め部材を設けて、前記プレキャストコンクリート床版の水平方向への移動を規制する工程と、
    前記プレキャストコンクリート床版の対向する2辺のそれぞれを配列方向に隣り合う前記桁材に載置させることで架設する工程と、
    を有することを特徴とする床ピット構造の構築方法。
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