JP2017095747A - 金属皮膜形成品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来の電気めっきまたは無電解めっきを用いることなく、従来と同等以上の電気的特性、密着性および耐摩耗性を有する合金膜を基材に局所的に形成することが可能な金属皮膜形成品の製造方法を提供する。
【解決手段】
2種以上の金属微粒子を溶媒に分散させた分散液を基材の表面に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜にレーザ光を照射して上記基材の表面に上記金属微粒子が固溶した合金を含むレーザ焼結膜を形成するレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする金属皮膜形成品の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属皮膜形成品の製造方法に関し、特にレーザ光照射によって金属微粒子が固溶した合金層を含むレーザ焼結膜を形成する工程を有する金属皮膜形成品の製造方法に関する。
従来、電子機器のコネクタ用の金(Au)めっき膜として、金‐コバルト(Au‐Co)合金の電気めっき膜や無電解めっき(化学めっき)膜が良く知られている。これは、Auめっき膜中に金属Co原子を0.3‐0.5mass%程度含有させることにより、Auめっき膜の硬さを向上させて、コネクタの繰り返し挿抜における耐摩耗性を向上させることが目的である。しかしながら、この従来の電気めっきや無電解めっき法では、リン青銅などの銅(Cu)合金からなるコネクタ材料のコンタクト部分への局所的なめっき膜の形成が非常に高価となるなどの問題から、Au合金ナノ粒子インク(Au合金ナノ粒子の分散液)をコネクタ材料のコンタクト部に部分的に塗布して、加熱して焼結させる方法が検討されている。現在、この目的のために、Coやニッケル(Ni)と合金(複合体)化したAu合金系のナノ粒子の開発が行われている。
特許文献1には、接点材料として、AuとNiとが実質的に混ざり合った新規な金ニッケル合金ナノ粒子(粒子径500nm以下)及びその製造方法が開示されている。特許文献1の金ニッケル合金ナノ粒子は、金とニッケルとの置換型固溶体を主体とし、金ニッケル合金に含まれるニッケルの濃度は2.0wt%から92.7wt%である。この金ニッケル合金ナノ粒子の製造方法は、金イオン、ニッケルイオン及び還元性を有する物質を混合し、化学還元反応によって金ニッケル合金ナノ粒子を析出させるものである。
また、特許文献2には、特許文献1同様に還元法によるAu合金ナノ粒子の製造方法が開示されている。特許文献2に記載の方法は、プラズマ還元法を用いる点が特徴である。Au以外の合金化を目的とする金属元素の金属イオンを含む溶液を用意し、溶液中に少なくとも一方がAuからなる一対の電極を配置し、電極間に電圧を印加して溶液中でプラズマを発生させ、プラズマによって電極から放出されたAuと、プラズマによって金属イオンから還元された金属とから構成された合金ナノ粒子を形成するものである。
また、合金化したものではなく、金属粒子を混合した混合金属ナノ粒子のインクも発表されている。特許文献3には、金属粒子と分散剤および溶剤とを含有する金属粒子分散体と、該金属粒子分散体を基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有する、焼結膜の製造方法が開示されている。金属粒子分散体の金属粒子は、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Mo、Al、Sb、Sn、Cr、La、In、Ga、及びGeよりなる群から選択される1種以上を含む金属粒子であり、また分散剤は、酸性リン化合物、スルホン酸化合物よりなる群から選択される少なくとも1種と塩を形成したグラフト共重合体の金属粒子分散体であることが開示されている。混合金属ナノ粒子は、それぞれの金属ナノ粒子が安定して分散できることが重要である。このため、特許文献3では、特定の金属粒子と特定の分散剤を組み合わせて用いることにより、分散性、分散安定性に優れた混合金属ナノ粒子インクの製法を確立したとしている。焼結膜を得る方法としては、金属粒子同士が焼成する温度に昇温する方法や、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる方法等が開示されている。
一方、混合金属ナノ粒子を加熱して焼結する炉焼成方法は、混合金属ナノ粒子の融点が異なるために、完全に溶融して合金化させるのは非常に困難である。金属の合金系の温度と相状態を示す2元系平衡状態図などに示されるように、金属の合金化には、その融点以上の温度における添加金属成分の均一混合の平衡状態が維持された後、その後溶融凝固して固体としての合金が形成される。後述するように、合金を得る焼結方法として、レーザ光を照射して基板表面に金属ナノ粒子焼結膜を得るレーザ焼結法がある。
特許文献4には、母材金属の表面に貴金属めっきを行う金属皮膜形成方法であって、母材金属の表面にレーザビームを照射して前記母材金属に形成されている不働態膜の分解除去を行う表面活性化工程と、不働態膜の分解除去を行った前記母材金属の表面に貴金属ナノ粒子を溶媒に分散させた貴金属ナノ粒子分散液を塗布する貴金属ナノ粒子分散液塗布工程と、母材金属の表面に塗布された前記貴金属ナノ粒子分散液にレーザビームを照射し、貴金属ナノ粒子を焼結する貴金属ナノ粒子焼結工程を含むことを特徴とする金属皮膜形成方法が開示されている。特許文献4の貴金属ナノ粒子分散液は、例えば、Auや銀(Ag)の単独のナノ粒子分散液である。レーザ焼結法の特徴は、焼結時間が短く、また金属基板に対して密着性に優れた焼結膜が得られることや、ボイドなどの欠陥の少ない焼結膜が得られることにある。
また、レーザ焼結法の他に、混合金属ナノ粒子をマイクロ波プラズマにより焼結する方法が提示されている。特許文献5には、金属粒子(銀、銀またはアルミニウム)と、金属ナノ粒子(銅、銀または金などのナノ粒子)の混合金属粒子に、分散剤としての有機物や溶剤を混合し、金属微粒子、ナノ粒子を含む分散液(導電性金属膜形成用材料)を調合し、この分散液を基材上に塗布してから、還元性雰囲気下でマイクロ波プラズマを照射して焼成することで、厚い金属皮膜を得るものである。この方法では、金属ナノ粒子の低融点の特徴を生かして、他の金属微粒子を接合して厚い膜を形成するものである。
国際公開第2013/137469号 特開2014‐101530号公報 特開2014‐88550号公報 特許第5760060号 特開2013‐247060号公報
金属皮膜形成品、特に電子機器用コネクタの場合、基材上に形成された金属皮膜は、優れた電気的特性(高電気伝導率)に加えて基材への優れた密着性および耐摩耗性を有することが要求される。
上述した特許文献1および2には、合金ナノ粒子の製造方法について開示されているが、基材上に金属皮膜を形成する方法については検討がなされていない。特許文献3においても、金属皮膜を得る方法が例示されているものの、具体的な方法は検討されておらず、金属皮膜の電気的特性、密着性および耐摩耗性の評価もなされていない。
特許文献4には、金属皮膜の形成方法としてレーザ焼結法が開示されているが、金属微粒子を合金化する方法については検討されていない。さらに、特許文献5にはバルク状の導電性金属厚膜を得る方法が開示されているが、これもまた金属微粒子を合金化することについては検討されていない。
したがって、上記いずれの特許文献においても、従来の電気めっきや無電解めっきを用いずに、従来のこれらの方法と同等以上の特性(電気的特性、密着性および耐摩耗性)を有する合金膜を基材に局所的に形成して金属皮膜形成品を製造する方法を確立するに至っていないと言える。
本発明は、上記事情に鑑み、従来の電気めっきまたは無電解めっきを用いることなく、従来のこれらの方法と同等以上の電気的特性、密着性および耐摩耗性を有する合金膜を基材に局所的に形成することが可能な金属皮膜形成品の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、2種以上の金属微粒子を溶媒に分散させた分散液を基材の表面に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜にレーザ光を照射して上記基材の表面に上記金属微粒子が固溶した合金を含むレーザ焼結膜を形成するレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする金属皮膜形成品の製造方法を提供する。
本発明によれば、従来の電気めっきまたは無電解めっきを用いることなく、従来のこれらの方法と同等以上の電気的特性、密着性および耐摩耗性を有する合金膜を基材表面に局所的に形成することが可能な金属皮膜形成品の製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る金属皮膜形成品の製造方法の一例を模式的に示す断面図 図1のレーザ焼結膜4の近傍を模式的に示す拡大図である。 図2の第2の金属微粒子を模式的に示す拡大図である。 本実施例の試験片(オス端子)を示す図 本実施例の試験片(メス端子)を示す図 Auナノ粒子塗布膜の反射吸収透過スペクトルを示すグラフ Ni微粒子塗布膜の反射スペクトルを示すグラフ 本実施例の試験片のレーザ焼結膜のSEM観察写真 本実施例の耐摩耗性評価試験装置を示す模式図 本実施例の耐摩耗性評価試験方法を示す模式図 本実施例の耐摩耗性評価試験におけるAuナノ粒子レーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフ 本実施例の耐摩耗性試験における0.5質量部Ni‐Au合金レーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフ 本実施例の耐摩耗性試験における2質量部Ni‐Au合金レーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフ 本実施例の耐摩耗性試験における5質量部Ni‐Au合金レーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフ
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係る金属皮膜形成品の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本発明に係る金属皮膜形成品の製造方法は、少なくとも2種以上(複数種類)の金属微粒子を溶媒(溶剤)に分散させた分散液(インク)を基材1の表面に塗布して塗布膜2を形成する塗布工程(a)と、塗布膜2にレーザ光3を照射して基材1の表面に分散液に含まれる金属微粒子が固溶した合金層を含むレーザ焼結膜(「ハイブリッド金属微粒子焼結膜」または「金属微粒子複合体」とも称する。)4を形成するレーザ光照射工程(b)と、を有することを特徴とする。すなわち、本発明は、第1の金属微粒子(主相を構成する金属微粒子)を含む分散液中に、レーザ光のエネルギーによって第1の金属微粒子(主相)に固溶することができる第2の金属微粒子(主相に固溶可能な金属微粒子)を調合して2種以上の金属微粒子を含む分散液(「金属微粒子混合分散液」または「ハイブリット金属微粒子分散液」とも称する。)を作製し、その分散液を基材1上に塗布して塗布膜2を得て、塗布膜2上にレーザ光3を照射し、基材1上に金属微粒子混合分散液のレーザ焼結膜4を得るものである。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
(a)塗布工程
(a‐1)金属微粒子混合分散液の調合
まず始めに、少なくとも2種以上(複数種類)の金属微粒子を溶媒に分散させた分散液を準備する。これら複数の金属微粒子として、主相を構成する金属元素からなる第1の金属微粒子と、主相に固溶可能な金属元素からなる第2の金属微粒子を選択する。第1の金属微粒子および第2の金属微粒子は、後述するレーザ光照射工程におけるレーザ光のエネルギーによって固溶して合金を形成する元素を選択する。
また、第1の金属微粒子は、後述するレーザ光照射工程におけるレーザ光照射によって基材中に原子拡散する原子からなることが好ましい。第1の金属微粒子としてこのようなものを選択することで、基材1とレーザ焼結膜4との高い密着性を得ることができる。
具体的には、第1の金属微粒子としては、コネクタ端子に実用されるAuまたはAgが好ましい。そして第2の金属微粒子としては、第1の金属微粒子がAuの場合には、Auに固溶可能な金属であるゲルマニウム(Ge),シリコン(Si),ジルコニウム(Zr)などが挙げられる。また、第1の金属微粒子がAgの場合には、第2の金属微粒子として、Agに固溶可能なSi,チタン(Ti),Zrなどを挙げることができる。この他、第2の金属微粒子としては、第1の金属微粒子の主相と固溶でき、コネクタ用金属端子としての性能が得られる金属であれば良い。
本発明では、電気めっきや化学めっきのような電解液が不要なので、金属として金相学的に置換型あるいは侵入型の固溶体を形成できる金属の組み合わせであれば良いので、電気めっきや化学めっきなどの湿式では不可能な合金系を選定できる。所謂電気めっきや化学めっきでは、金属が電解液中で安定して存在し、かつ陰極還元性や陽極溶解性、あるいは化学的還元性を有することなどの制約をうけるため、合金化できる金属の組み合わせに制限がある。また電気めっきや化学めっきでは、基板となる金属との密着を確保するために、何層もの下地めっきが必要な場合があるが、本発明は、レーザエネルギー光を基板界面にも集光させることで、主相の金属が金属基板に原子拡散するので、下地層を設けるなどの必要がない。また本発明は、主相に対して、第2の金属微粒子が原子拡散した金属微粒子分散膜を形成できる特徴がある。電気めっきでは、めっき膜に金属微粒子を分散析出させるには、めっき液中に金属微粒子を混合し、電気めっき結晶組織に金属微粒子を捕獲し含有させる方法がとられる。この方法では、電気めっき膜と金属微粒子の界面は原子拡散しないために、コネクタ用端子のめっき膜に応用した場合、分散金属粒子が剥離し脱落するなどの問題がある。この剥離脱落を防止するには、めっき後に拡散熱処理するなどの追加工程が必要である。
また、本発明では、レーザ焼結で以下の過程がほぼ同時に進行するので、短時間に焼結膜を形成できる特徴を有する。
1)主相となる第1の金属微粒子の溶融
2)第1の金属微粒子溶融層への第2の金属微粒子の拡散固溶反応
3)溶融した第1の金属微粒子の金属基板への原子拡散
4)透過レーザ光による金属基板の温度上昇による原子拡散の加速
5)主相の凝固による膜形成
本発明では、上記1)〜5)は、0.1〜1sの短時間で完結する。
上記過程を経て成膜したレーザ焼結膜の概要を図に示す。図2は図1のレーザ焼結膜4の近傍を模式的に示す拡大図であり、図3は図2の第2の金属微粒子を模式的に示す拡大図である。図2および3に示すように、レーザ焼結膜4は、主相(第1の金属微粒子の溶融層)41と、第2の金属微粒子42を含む。第2の金属微粒子42と主相41との界面は、第2の金属微粒子42の主相41への拡散層43を有する。レーザ焼結膜4と基材1との界面には、主相41を構成する第1の金属微粒子が基材1に原子拡散した拡散層40を有する。
本発明において、第1の金属微粒子および第2の金属微粒子はそれぞれ1種類に限定されることはなく、2種類以上の複数の金属微粒子を混合しても良い。複数種類の金属微粒子を混合することで、基材1上に多元系の合金のレーザ焼結膜4を形成することができる。
前述したように、本発明の第1の金属微粒子および第2の金属微粒子は、レーザ焼結膜4に要求される特性および両者の固溶の可否を考慮して選択可能なものであり、上記例に限定されるものではない。
第1の金属微粒子の平均粒子径および第2の金属微粒子の平均粒子径は特に限定は無いが、第1の金属微粒子の平均粒子径は1〜10nmの範囲であり、第2の金属微粒子の平均粒子径は10〜100nm(10nm以上100nm以下)であることが好ましい。第2の金属微粒子の平均粒子径を10〜100nmとしたのは、基材1として電気接点部を有するコネクタの金属端子を用いた場合、電気接点部に形成するめっき膜の膜厚が通常0.05〜0.2μm程度であるためである。第2の金属微粒子の平均粒子径が100nmより大きいと、第2の金属微粒子の粒径が膜厚以上となり、レーザ焼結膜4中への第2の金属微粒子の平均的な(均一な)分散が阻害されるためである。また、第2の金属微粒子がナノ粒子の場合には、レーザ光照射によって第2の金属微粒子のほとんどが第1の金属微粒子に固溶した合金相となる。第2金属微粒子の平均粒子径が10nm以上のとき、第2の金属微粒子の表面は第1の金属微粒子に固溶するが、固溶できない第2の金属微粒子の内部は、主相(第1の金属微粒子から構成される相)に粒子混在の形で残る。第1の金属微粒子と固溶反応せずに粒子の形で混在した第2の金属微粒子は、主相中に強固に金属結合した粒子となり脱落することが無いので、コネクタの金属端子の耐摩耗性をさらに向上させることができる。
本発明において「金属微粒子」とは、上記第1の金属微粒子および第2の金属微粒子のサイズ(ナノメートルオーダーのサイズ)を含む意味のものとする。
上述した第1の金属微粒子および第2の金属微粒子を溶媒に分散させて分散液を得る。溶媒としては、特に限定は無く、後述するレーザ光照射工程においてレーザで完全分解する低沸点(350℃以下)の溶媒を用いることが好ましい。これらの成分が分解せず、配線膜中に存在すると、ボイドの発生や電気抵抗の増大を招く恐れがあるためである。具体的には、アルコール系、パラフィン系およびナフテン系有機溶媒等を用いることができる。
第1の金属微粒子、第2の金属微粒子および溶媒の混合方法としては、あらかじめ第1の金属微粒子を分散させた分散液(第1の金属微粒子インク)中に第2の金属微粒子を混合して金属微粒子混合分散液を調合することができる。第2の金属微粒子の混合方法としては、第1の粒子分散液へ第2の金属微粒子粉末を直接投入した後、超音波撹拌機や遊星ミルで均一に混ぜ合わせる方法が挙げられる。10nm以上の金属微粒子は、ナノ粒子の特徴である粒子効果による融点降下減少傾向が小さいので、金属微粒子表面を強電気陰性度の結合基を持つ分散剤で被覆する必要が無く、そのまま粉末を混合して撹拌調合することができる。もちろん、第2の金属微粒子を分散剤で処理してから溶剤と混合し、第1の金属微粒子分散液に混合しても良い。分散剤による処理によって、分散液中への分散性を高めることができる。
また、第2の金属微粒子の分散液中の含有量は、第1の金属微粒子に対して、0.1〜0.5質量部が好ましい。0.1質量部未満では、第2の金属微粒子の添加効果を得ることができない。また、0.5質量部を超えると焼結膜表面での第2の金属微粒子の分散が不均一となり、電気的特性が低下する。
また、分散液には、必要に応じて結着剤および粘度調整剤などの添加剤が含まれていてもよい。これらもレーザで完全分解する低沸点(350℃以下)の溶媒や低分子量(10,000以下)の有機化合物を用いることが好ましい。
(a‐2)基材の準備
基材1の形状および材料について、特に限定は無いが、金属皮膜形成品として金属端子を適用する場合、銅系合金を挙げることができる。銅系合金としてはリン青銅、黄銅、コルソン銅合金またはマグネシウム銅合金などが挙げられる。コネクタに使用される金属端子には、リン青銅や黄銅の他バネ特性を向上させた銅合金なども用いられる。通常、上記銅系合金を、金属プレス金型を用いたプレス加工によって端子が作られる。プレス加工端子には不揮発性のプレスオイルが付着している場合があるので、炭化水素洗浄剤などを用いて残存するプレスオイルを洗浄除去する。この金属端子には、オス型端子とメス型端子があり、それぞれ形状が異なり、それぞれのプレス金型を用いて製造される。オス型端子およびメス型端子の電気接点部分に対して後述するレーザ光照射工程によってレーザ焼結膜4を形成する。
(a‐3)金属微粒子混合分散液の塗布
上述した金属微粒子混合分散液を、基材1(金属端子の電気接点部など)に塗布して塗布膜2を形成する。塗布方法は、従来のインクジェットやディスペンサ法などのインク塗布法(いわゆるオンデマンド微細エリア印刷手法)をそのまま使用することができる。塗布エリアからの分散液の広がりを抑制するために、撥水剤を基材1に処理しても構わない。撥水剤にはシリコーン系の離型剤のほか、フッ素系の離型剤も使用できる。
分散液の塗布量は、レーザ焼結後に必要とする焼結膜の厚さに応じて決定する。塗布膜2の形成後には、溶媒をある程度除去するための乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥温度は、溶媒の沸点以下の温度で、金属微粒子混合分散液の沸点未満の温度(第1の金属微粒子および第2の金属微粒子の焼結が始まらない温度)が好ましい。乾燥温度を金属微粒子混合分散液の沸点より大きい温度(例えば、300℃以上)とすると、レーザ光照射前に分散液中の金属微粒子が焼結する結果、焼結膜中にボイドが発生して緻密な焼結膜を得ることができず、この結果基材とレーザ焼結膜との密着性が低下する。
(b)レーザ光照射工程
塗布膜2に対してレーザ光3を照射することで溶融凝固組織を有するレーザ焼結膜4を得る(レーザめっき)。レーザ光照射工程におけるレーザ光3は、第1の金属微粒子中に第2の金属微粒子が溶融し固溶するための十分なエネルギーを有するとともに、基材に第1の金属微粒子が原子拡散できる十分なエネルギーを有するものを選択する。実用的なレーザ光源として、波長1064nmのネオジムヤグ(Nd:YAG)レーザや、波長532nmのYAGレーザの第2高調波、または波長915nmのレーザダイオード(Laser Diode;LD)レーザなどがあるが、金属微粒子混合分散液に含まれる各々の金属微子の光の反射、吸収および透過スペクトルデータや、基材1の光の反射および吸収スペクトルデータを考慮して選定することが好ましい。また、レーザ出力モードとして、定常波およびパルス波のどちらも使用することができるが、レーザ出力モードで焼結膜4の物性が異なるので、金属微粒子混合分散液の種類や基材1の種類に応じて選定することが好ましい。本発明においては、第2の金属微粒子が焼結膜のベースとなる第1の金属微粒子に固溶することが重要なので、溶融した第1の金属微粒子に対して第2の金属微粒子が原子拡散して固溶できるレーザの種類、出力モード、レーザパワーおよび照射時間を選定することが重要である。なお、第1の金属微粒子および第2の金属微粒子は完全に固溶した構造を有していてもよいし、完全に固溶した構造を有していなくてもよい。
例えば、本発明において第2の金属微粒子を構成するNi、CoおよびCrなどは、第1の金属微粒子を構成するAuおよびAgと比較して波長900nmの光に対する吸収率が高く、温度が上昇しやすい特徴があるが、平均粒子径10nmのAuナノ粒子は粒子径が小さく、粒子効果により融点が数百℃と低く、またプラズモン吸収効果を有する。この特徴から、レーザパワーを、第2の金属微粒子が第1の金属微粒子に原子拡散できる十分な温度まで上昇するように設定することで、10〜100msの短時間で基材1上にレーザ焼結膜4を形成することができる。また、この時間内に溶融した第1の金属微粒子および第2の金属微粒子が、下層の基材1と原子拡散が進むように、最適なレーザフルエンスを選定する。このようにレーザ光照射条件を選択することで、基材1に対して密着性に優れたレーザ焼結膜4を得ることができる。
上述した本発明に係る金属皮膜形成品の製造方法によると、以下の効果を得ることができる。
(i)電気めっきや無電解めっきによることなく、コネクタ用金属端子の電気接点部に耐摩耗性に優れたレーザ焼結膜を形成することができる。従来、金属端子の電気接点部分へは特殊な部分めっき法でめっきがなされている。電気接点部分に要求されるめっき範囲の寸法は、φ0.1〜1.0mm程度と小さいが、電気めっきや無電解めっきでは、φ0.5mm以下の部分めっきはほぼ不可能である。本発明によれば、従来のめっき法では不可能であった寸法(φ0.5mm以下)の微細で局所的なめっきが可能となる。
(ii)本発明によって得られる金属微粒子混合分散液のレーザ焼結膜は、炉焼成による焼結膜と比較して基材(金属基板など)との密着性に優れた金属合金レーザ焼結膜を形成することができる。
(iii)電気めっきや無電解めっきによる方法と比較して、AuやAgとの合金膜の中に様々な金属微粒子が混合したレーザ焼結膜を得ることができ、より耐摩耗性などの特性に優れたレーザ焼結膜を得ることができる。
(iv)炉焼成(数百℃で1h程度の焼成時間を要する。)と比較して短時間(msオーダー)で焼結膜を得ることができる。このため、金属端子のプレス金型を用いたプレス工程へのインライン化が可能である。
(v)電気めっき、無電解めっきおよび炉焼成と比較してプロセスを短縮でき、このことによって製造コストを低減し、外部環境への二酸化炭素排出量も低減することができる。
(vi)電気めっき、無電解めっきによる部分めっきと比較して、分散液の塗布範囲を小さくできるので、AuおよびAgなどの貴金属の使用量を低減することができ、製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、電気めっきや無電解めっきにおける湿式の部分めっきでは、めっきマスキング工程や、めっき後にマスキングを除去する工程など、複雑な工程が必要であり、このことがコスト低減の障害となっているが、本発明はこれを解消できる。
(vii)炉焼成と比較して基材1の合金表面の酸化を防止することができるため、この点でも製造コストを低減できる。炉焼成では、大気中または酸素を含む不活性ガス中で炉焼成するために、基材1の合金表面に金属酸化皮膜が形成される。この金属酸化皮膜は厚く成長すると剥離が発生する。この金属酸化皮膜は基材1の合金との間でしばしば剥離し脱落することから、コネクタなどの完成品の端子表面に付着し耐摩耗性性能を低下させるなどの障害を起こす。このため、炉焼成ではこの酸化皮膜を除去する工程が必要になる。この酸化皮膜の除去には、硫酸などの酸性水溶液や、酸化性の過硫酸塩を含んだ硫酸水溶液などが用いられる。この工程は湿式工程であるために、洗浄水の排水処理や排液処理が必要となり、大幅なコスト高となる。
(viii)電気めっきや無電解めっきなどにおける廃液処理や排水処理が不要であり、環境に優しいプロセスを提供することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例では、Auナノ粒子分散液にNi微粒子を混合した金属微粒子混合分散液を用意し、コネクタ金属端子の電気接点部へ塗布してNi‐Au合金レーザ焼結膜を形成する例について説明する。
(a)塗布工程
(a‐1)金属微粒子混合分散液の調合
平均粒子径7nmのAuナノ粒子ペースト(ハリマ化成株式会社製型名:NPG‐J)に、平均粒子径20nmのNi微粒子を、Auナノ粒子ペーストのAu含有質量に対して0,0.5,2および5質量部の各比率で混合し、4種類のNi微粒子含有量の金属微粒子混合分散液を調合した。Ni微粒子はアトマイズ法で製造されたイオリテック社製の金属微粒子であり、微粒子の粉末状態でAuナノ粒子ペーストに投入し、超音波撹拌装置(アズワン株式会社製、型式:USK‐1R型、40KHz,55W)を用いて60分間混合した。ハリマ化成株式会社製のAuナノ粒子ペーストは、分散剤で処理されたAuナノ粒子をナフテン系有機溶剤を主とした溶媒に分散させて調合したものであり、炉焼成用Auナノ粒子インク(粘度:7.5mPa・s、Au含有量:57質量%)として販売されている。Auナノ粒子ペーストにNi微粒子を混合した後、透明なガラス製容器に入れて保管した。
(a‐2)基材(耐摩耗性試験用金属端子)の準備
図4は本実施例の試験片(オス端子)を示す図であり、図5は本実施例の試験片(メス端子)を示す図である。本実施例では、コネクタに使用される厚さ0.25mmのリン青銅材料(JIS(Japanese Industrial Standards) C5210)を用いて耐摩耗性試験用のオス端子およびメス端子試験片をそれぞれ作製した。試験片の寸法は、0.25mm×20mm×8mmとし、基材から焼結膜へのCuの拡散を防ぐために、オス端子およびメス端子ともに1.0μmの厚さの電気Niめっきを試験片表面の全面に施した。
オス端子には、電気Niめっき前に、電気接点部となる部分にR1.0mmのエンボス形状(凸形状)をプレス金型で加工した。電気Niめっき後、後述のように厚さ0.3μmのNi‐Auレーザ焼結膜および厚さ0.5μmの0.3mass%Co‐Auの合金電気めっき膜を形成した。
一方、エンボス加工無しのメス端子には、厚さ1.0μmの電気Niめっきを全面に施した後、厚さ0.5μmの0.3mass%Co‐Au合金電気めっきを表面全面に施した。
(a‐3)金属微粒子混合分散液の塗布
上記(a‐1)で調合した金属微粒子混合分散液を、ディスペンサ(ノードソン株式会社製、製品名:LV‐100)を用いてオス端子のエンボス加工部の頂部に塗布した。塗布面積はφ1.0mmとし、塗布量はレーザ焼結後の膜厚が0.3μmとなるように、2.2nlとした。塗布後、大気中373〜523Kの温度で1.5min加熱して、分散液中の溶媒の一部を乾燥除去した。
また、塗布膜の光の反射吸収透過スペクトル特性を評価するために、金属端子とは別に、Auナノ粒子のみを含む分散液およびNi微粒子のみを含む分散液を石英基板上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成したサンプルを作製した。分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:U4100)を用いて塗布膜形成サンプルの反射吸収透過スペクトルを測定した。図6はAuナノ粒子塗布膜の反射吸収透過スペクトルを示すグラフであり、また図7はNi微粒子塗布膜の反射吸収透過スペクトルを示すグラフである。図6に示すように、Auナノ粒子は900〜1100nmの波長帯域では、透過率が高く(60〜80%以上)、金属基板に到達するエネルギーが大きくなる。また、吸収率はこの波長帯域で30%以下である。したがって、900〜1100nmのレーザ光を照射した場合、Auナノ粒子の焼結も進むが、それ以上に基板への透過レーザエネルギー量が大きいので、基板の温度が急激に上昇し、基板側からの熱伝達でAuナノ粒子のバルク化およびAuの金属基板への原子拡散が進み、密着性の高い焼結膜が得られる。一方、Ni微粒子は、図7に示すように、全波長帯域で反射は10%程度であり、透過はなく、90%以上がNi微粒子に吸収される。このことから、Ni微粒子はAuナノ粒子よりもレーザ光を多く吸収し、粒子の温度がより上昇し、Ni微粒子の周囲に分散するAuナノ粒子に熱を伝搬し、周囲温度が急激に上昇するために、Ni粒子の周囲で固溶反応が優先して進むことが解る。
(b)レーザ光照射工程
上記(a‐3)で形成した塗布膜にレーザ光を照射して金属端子の電気接点部表面にNi‐Auレーザ焼結膜を形成した。レーザ光照射は、図6および7の分光スペクトルの測定結果に基づき、波長915nm、ビーム径φ1.2mm、最大出力100WのLDレーザを用い、照射時間0.1sで定点照射した。図4および5に示す端子に、レーザ照射後、オス端子には厚さ0.3μm、Φ1.0mmの焼結膜を形成し、メス端子には厚さ0.5μmの0.3mass%Co‐Au合金電気めっきを表面全面に施した。
図8は、レーザ焼結膜のSEM(Scanning Electron Microscope)観察写真である。図8中、(a)〜(d)は、それぞれNi含有量0,0.5,2および5質量部の試験片を示す。図8に示すように、Ni微粒子含有量0.5質量部(b)では、Ni微粒子61はNi‐Auレーザ焼結膜60中にわずかに見られるのみで、添加したNi微粒子のほぼ全量がAuナノ粒子焼結膜中に固溶していることがわかる。Ni微粒子含有量2質量部(c)および5質量部(d)では、Ni微粒子61がNi‐Auレーザ焼結膜60表面に分布して見られる。すなわち、Ni微粒子含有量2および5質量部では、混合したNi微粒子の一部がAuナノ粒子焼結膜中に完全に固溶せずに存在していることがわかる。固溶せずに残存したNi微粒子は、最大φ1μmの大きさに凝集しており、Ni微粒子含有量が2質量部以上では平滑な焼結膜が得られないことが解る。このことから、Ni微粒子の含有量は、主相となるAuの質量に対して、0.5質量部以下が好ましいことがわかる。
次に、作製した試験片の耐摩耗性を評価した。図9は耐摩耗性評価試験装置を示す模式図であり、図10は耐摩耗性評価試験方法を示す模式図である。図9に示す試験装置を用いてオス、メス端子を図10のように配置して耐摩耗性試験を行った。評価条件は、荷重20gf、摺動速度1mm/s、摺動距離1mmとし、試験片をX軸方向に3000回前後に摺動させて行った。摺動中の接触抵抗の測定を、4端子法(通電電流10mA、解放電圧60mV)により測定した。
図11は耐摩耗性試験におけるAuナノ粒子のみのレーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフである。Auナノ粒子レーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化測定においては、0.3μm厚さのAuナノ粒子レーザ焼結膜をオス端子に形成し、メス端子には組成:0.3mass%Co‐Au、膜厚:0.5μmの電気めっき膜を形成した。また、比較として、電気Auめっき膜(膜厚:0.5μm)を形成した試験片の評価結果も図11に示す。電気Auめっき端子は、オス端子、メス端子共に、組成:0.3mass%Co‐Au、膜厚:0.5μmである。図11に示すように、Auナノ粒子のみのレーザ焼結膜の接触抵抗は、電気Auめっき膜と比較して摺動回数1000回付近から急激に上昇する。
次に、Ni‐Auレーザ焼結膜の耐摩耗性試験結果を図12〜14に示す。図12〜14は耐摩耗性試験におけるNi‐Auレーザ焼結膜の接触抵抗の経時変化を示すグラフである。図12〜14のNi含有量は、それぞれ、主相となるAuの質量に対して0.5,2および5質量部である。図12〜14に示すように、Ni微粒子の含有量が2および5質量部では、試験開始時からの接触抵抗の上昇が顕著である。これに対して、Ni微粒子の含有量0.5質量部の場合、摺動試験中、平均すると20mΩ程度(15〜30mΩ)で安定している。これは、レーザ焼結膜中にNi微粒子が均一に分布していることに起因するものと考えられる。実用的には、3000〜5000回の摺動試験で100mΩ以下であることが要求されるが、Ni微粒子の含有量0.5質量部の試験片ではこのレベルを十分に達成していることがわかる。
Ni微粒子の含有量2質量部の試験片の場合、100回目付近から接触抵抗が鋭く増加しているが、Ni微粒子の含有量5質量部の試験片の場合、摺動回数の増加に伴う段階的な接触抵抗の増加が観測された。この両者の傾向の違いは、焼結膜中のNi微粒子の分布の違いによるものと考えられる。
以上の耐摩耗性試験結果からも、Ni微粒子の含有量は0.5質量部以下が好ましいことが示された。
以上、説明したように、本発明によれば従来の電気めっきまたは無電解めっきを用いることなく、従来の電気めっきや化学めっきとほぼ同等の電気的特性、密着性および耐摩耗性を有する合金膜を基材上の微細な領域に形成することが可能な金属皮膜形成品の製造方法を提供することができることが実証された。
なお、上記した実施例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
1…基材、2…塗布膜、3…レーザ光、4…レーザ焼結膜、10…金属皮膜形成品、20…Ni‐Auレーザめっき領域(0.8mmΦ)、30…Co‐Au電気めっき領域、40…拡散層、41…主相(第1の金属微粒子の溶融層)、42…第2の金属微粒子、43…第2の金属微粒子の主相への拡散層、60…Ni‐Auレーザ焼結膜、61…Ni微粒子、70…耐摩耗性評価試験装置、71…X‐Yステージ、72…Z‐ステージ、73…荷重、74…ロードセル、75…アクチュエータ、76…試験片、81…電流計、82…電圧計、83…メス端子、84…Co‐Au電気めっき膜、85…オス端子、86…Ni‐Auレーザめっき膜、87…摺動方向。

Claims (11)

  1. 2種以上の金属微粒子を溶媒に分散させた分散液を基材の表面に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜にレーザ光を照射して前記基材の表面に前記金属微粒子が固溶した合金を含むレーザ焼結膜を形成するレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする金属皮膜形成品の製造方法。
  2. 前記金属微粒子が、主相を構成する金属元素からなる金属微粒子と、前記主相に固溶可能な金属元素からなる金属微粒子と、から構成されていることを特徴とする請求項1記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  3. 前記主相を構成する金属元素が金または銀であり、前記主相に固溶可能な金属元素がニッケル、コバルトまたはクロムであることを特徴とする請求項2記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  4. 前記主相を構成する金属元素からなる金属微粒子の平均粒子径が1〜10nm以下であり、前記主相に固溶可能な金属元素からなる金属微粒子の平均粒子径が10〜100nmであることを特徴とする請求項2または3に記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  5. 前記主相に固溶可能な金属元素からなる金属微粒子の含有量が前記分散液の前記主相を構成する金属元素に対して0.1〜0.5質量部であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  6. 前記合金は、主相を構成する金属元素からなる金属微粒子と前記主相に固溶可能な金属元素からなる金属微粒子とが完全に固溶した構造、または部分的に固溶した構造を有することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  7. 前記レーザ光は、1064nmの波長を有するネオジムヤグレーザ、532nmの波長を有するヤグレーザの第2高調波または915nmの波長を有するレーザダイオードレーザであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属被膜形成品の製造方法。
  8. 前記基材が銅系合金であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の金属皮膜形成品の製造方法。
  9. 前記銅系合金がリン青銅、黄銅、コルソン銅合金またはマグネシウム銅合金であることを特徴とする請求項8記載の金属被膜形成品の製造方法。
  10. さらに、前記塗布工程と前記レーザ光照射工程との間に、前記塗布膜を乾燥して前記塗布膜中の前記溶媒を除去する乾燥工程を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の金属被膜形成品の製造方法。
  11. 前記基材は、電気接点部を有する金属端子であり、前記レーザ焼結膜は、前記電気接点部に形成することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の金属被膜形成品の製造方法。
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