JP2017095617A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および成形体、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
活性エネルギー線硬化性樹脂および融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】図1
Description
[1] 活性エネルギー線硬化性樹脂および融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
[2] 前記活性エネルギー線硬化性樹脂が(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂である、[1]の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
[3] 前記活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量が10〜99.9質量%の範囲であり、かつ前記融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤の含有量が0.1〜10質量%の範囲である、[1]または[2]の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
[4] 基材および[1]〜[3]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる層を少なくとも有する積層体、
[5] 前記基材が非晶性樹脂からなる、[4]の積層体、
[6] 前記非晶性樹脂がアクリル系樹脂である、[5]の積層体、
[7] 前記アクリル系樹脂が、メタクリル系樹脂(A)およびブロック共重合体(B)を含むアクリル系樹脂であり、
前記メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を80質量%以上有し、
前記ブロック共重合体(B)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含むメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)とアクリル酸エステルに由来する構造単位を含むアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)を少なくとも1以上有し、かつメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)を10〜80質量%、アクリル酸エステル共重合体ブロック(b2)を90〜20質量%の割合で含み、
メタクリル系樹脂(A)とブロック共重合体(B)との合計100質量部に対して、メタクリル系樹脂(A)が10〜99質量部であり、ブロック共重合体(B)が90〜1質量部である、[6]の積層体、
[8] さらに粘接着層を有する、[4]〜[7]のいずれかの積層体、
[9] 基材を準備する工程;
活性エネルギー線硬化性樹脂と融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤とを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を準備する工程;および
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を前記基材の少なくとも片面に塗布して活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成する工程;
を少なくとも有する、[4]の積層体の製造方法、
[10] [4]〜[8]のいずれかの積層体を準備する工程;
成形型または被着体と前記積層体をチャンバーボックスに収容する工程;
前記チャンバーボックス内を減圧する工程;
前記積層体により前記チャンバーボックス内を二分する工程;
前記成形型または前記被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を、前記成形体または前記被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして、前記成形型または前記被着体を前記積層体で被覆して活性エネルギー線硬化性成形体を得る工程;および
前記活性エネルギー線硬化性成形体に活性エネルギー線を照射する工程;
を有する成形体の製造方法、
[11] [1]〜[3]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有する成形体、
[12] [10]の方法で得られる、[11]の成形体
を提供することにより達成される。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂および融点が40℃以上の活性エネルギー線硬化開始剤とを含む。
α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE127)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE184)などが挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE369E)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE907)などが挙げられる。
オキシムエステル系化合物としては、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE OXE01)、6−[1−(アセチルオキシイミノ)エチル]−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル(2−メチルフェニル)ケトン(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE OXE02)などが挙げられる。
モノアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニル(2,4,6−トリメキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(例えばBASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)などが挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(例えばBASFジャパン株式会社製;IRGACURE819)などが挙げられる。
これらの中でも、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化した後の黄変が小さいことから、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物およびアシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。これらの活性エネルギー線硬化開始剤は、それぞれ単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。
無機ナノ粒子の粒子径(ダイナミック光散乱光度計により測定)は10〜100nmが好ましく、20〜50nmがより好ましい。100nmを超えると白化などの外観品位が悪化する傾向となり、10nmよりも小さいと硬度及び耐擦傷性の向上効果が小さくなる傾向となる。
本発明の積層体は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる層、および基材を少なくとも有する。
本発明の積層体は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる活性エネルギー線硬化性樹脂層を有する。係る活性エネルギー線硬化性樹脂層は、例えば、グラビア塗工、コンマコート塗工、スリットダイ塗工、スクリーン印刷法などの公知の方法で活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を基材に塗布することで得られ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が溶媒を含有する場合には溶媒を揮散させてもよい。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が溶媒を含まない場合には溶融押出法、好ましくは基材との共押出法によっても成形できる。
基材としては非晶性樹脂からなるものが好ましく、例えばABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、あるいは結晶融解熱量が5J/g以下のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂およびそれらの共重合体、並びにそれらの混合物が挙げられる。成形性の観点からは、(メタ)アクリル樹脂組成物またはポリエステル樹脂が好ましく、成形時の割れや破断を抑制する観点から、メタクリル系樹脂(A)およびエラストマー成分を含有するメタクリル樹脂組成物がより好ましい。
意匠層は活性エネルギー線硬化性樹脂層と基材の間に設けられていてもよいし、基材において活性エネルギー線硬化性樹脂層とは他方の面に設けられていてもよいし、これらの両方に設けられていてもよい。また、基材の全面に形成しても、または部分的に、例えば図柄又は図柄背景として形成してもよい。意匠層の厚さは、成形性の観点から、0.1μm〜100μmであることが好ましい。
印刷層は、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などに一般的に使用される、ポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂などの樹脂をバインダーとして、顔料または染料を着色剤として含有する樹脂組成物からなることが好ましい。印刷層を形成する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、インキジェット印刷などの公知の印刷法が挙げられる。
蒸着層は、スパッタや真空蒸着などに使用される金属または金属酸化物を特に制限なく使用でき、例えば金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、インジウムやそれらの酸化物等が挙げられる。また、これらの金属または金属酸化物は、単独で使用してもよく、2以上の混合物として使用してもよい。蒸着層を形成する方法としては、蒸着やスパッタなどの真空成膜法や、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられる。
着色樹脂層に使用される樹脂としては、例えばポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。着色樹脂層は、溶液キャスト法、溶融流延法、押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法などによって製造できる。
粘接着層は、基材および被着体のいずれにも接着性を有する成分、または意匠層および被着体のいずれにも接着性を有する成分、例えばアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、およびそれらの混合物や共重合体などからなる樹脂組成物を用いることができる。取扱い性の観点から、室温において粘接着性が低くかつ加熱時に粘接着性が発現するホットメルトタイプであることがより好ましい。
粘接着層を形成する方法としては、グラビアコート法、コンマコート法、スリットダイコート法などの方法が好適に用いられる。また、共押出法によって基材と同時に成形してもよい。粘接着層の厚さは、剥離強度の観点から0.1μm〜200μmが好ましい。
本発明の積層体を賦形すること、または賦形すると同時に被着体と一体化させることで、活性エネルギー線硬化性成形体を得ることができる。活性エネルギー線硬化性成形体の活性エネルギー線硬化性樹脂層は、活性エネルギー線を照射することで硬化する。本発明の成形体は、耐薬品性、表面平滑性、表面光沢などに優れる。また本発明の基材に印刷が施された場合には絵柄などが鮮明に表示される。また、金属層を有する積層体を使用した場合は、金属に近い鏡面光沢性が得られる。
成形型または被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を、成形体または被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くする方法としては、成形型または被着体を有しない方のチャンバーボックスを大気圧に開放したり、成形型または被着体を有しない方のチャンバーボックスに圧縮空気を供給する方法が挙げられる。圧縮空気を供給することにより、積層体を成形型または被着体により密接させて成形することができ、成形型または被着体の形をさらに正確に積層体へ転写することができる。
真空成形によって得られる活性エネルギー線硬化性成形体において、活性エネルギー線硬化性樹脂層の成形性(延伸性)を目視により評価した。
○:活性エネルギー線硬化性樹脂層に割れ、剥がれ、白化などの欠点が見られない。
△:活性エネルギー線硬化性樹脂層の一部に割れ、剥がれ、白化などの欠点が見られる。
×:活性エネルギー線硬化性樹脂層の全面に割れ、剥がれ、白化などの欠点が見られる。
真空成形によって得られる活性エネルギー線硬化性成形体において、基材の成形性(延伸性)を目視により確認した。
○:積層体が被着体形状に隙間なく賦形されている。
×:積層体の一部が追従不十分であり、被着体と隙間が生じている。
まず、積層体の活性エネルギー線硬化性樹脂層の赤外分光スペクトルを、ATRユニットGolden Gate(Specac社製)を取り付けたフーリエ変換赤外分光光度計FTS−3000MX(BIO−RAD社製)で測定し、1408cm−1のピーク強度からベースラインを差し引いた時の吸光度(Abs)を求めた。
次に、積層体に対して、高圧水銀灯(HI−TECH社製のHTE−3000)を用いて7000mJ/cm2の光量の紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂層を硬化させた硬化物からなる層(以下、硬化層と称する)を形成した。得られた硬化層の赤外分光スペクトルを、上述と同じ方法で測定し、吸光度(Abs)を求めた。
そして、硬化前の活性エネルギー線硬化性樹脂層の吸光度に対する、硬化物からなる層の吸光度の比を算定して硬化率1とした。
また、前記積層体と同じ積層体を後述の方法で真空成形して得られた活性エネルギー線硬化性成形体の活性エネルギー線硬化性樹脂層について、上記硬化率1と同様の方法で硬化率2を算定した。
さらに、硬化率1に対する硬化率2の比を算定することで、真空成形前後における積層体の硬化性保持率とした。
後述の方法で真空成形して得られた活性エネルギー線硬化性成形体の活性エネルギー線硬化性樹脂層に、前記高圧水銀灯を用いて7000mJ/cm2の光量の紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂層を硬化させて硬化層を形成した。硬化層に、トルエンおよびイソオクタンの1:1混合溶液(FuelC)、エタノールまたはメチルエチルケトン(MEK)をそれぞれ1mL滴下し、室温で24時間放置した。その後、滴下部分を流水および中性洗剤(ライオン株式会社製;Mama Lemon(登録商標))で十分に洗浄したのち、蒸留水で洗浄し、圧縮空気で水分を除去した。その後、上述の薬品を滴下した部分の硬化層の状態を目視で観察した。
○:薬品の滴下跡が見られない。
△:観察する角度によって僅かに薬液の跡が見られる。
×:どの角度でも薬液の跡が見られる。
メタクリル酸メチル95質量部およびアクリル酸メチル5質量部からなる単量体混合物に重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.1質量部および連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.28質量部を加え溶解させて原料液を得た。
イオン交換水100質量部、硫酸ナトリウム0.03質量部および懸濁分散剤0.45質量部を混合して混合液を得た。耐圧重合槽に、前記混合液420質量部と前記原料液210質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、温度を70℃にして重合反応を開始させた。重合反応を開始して3時間後に温度を90℃に上げ、撹拌を引き続き1時間行って、ビーズ状共重合体が分散した液を得た。なお、重合槽壁面あるいは撹拌翼にポリマーが若干付着したが、泡立ちもなく、円滑に重合反応が進んだ。
得られた共重合体分散液を適量のイオン交換水で洗浄し、バケット式遠心分離機によりビーズ状共重合体を取り出し、80℃の熱風乾燥機で12時間乾燥し、ビーズ状のメタクリル樹脂(A)(以下「メタクリル樹脂(A−1)」と称する)を得た。
内部を脱気し、窒素で置換した三口フラスコに、乾燥トルエン735g、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.4g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20mmolを含有するトルエン溶液39.4gを加え、さらにsec−ブチルリチウム1.17mmolを加えた。これにメタクリル酸メチル35.0gを加え、1時間反応させた。得られた反応混合物の一部をサンプリングし、GPC分析により標準ポリスチレンを検量線作成に用いた換算値として反応混合物中のポリメタクリル酸メチルの重量平均分子量(以下、Mw(b1-1)と称する)を求めた結果、40000であった。
メタクリル樹脂(A−1)80質量部、ブロック共重合体(B−1)20質量部およびカーボンブラック(三菱化学株式会社製;#980)2質量部を、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−28)を用いて230℃で溶融混練した後、ストランド状に押出し、切断することによって、メタクリル樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたメタクリル樹脂組成物のペレットを、ギアポンプおよび10μmサイズのポリマーフィルターを設置したベント付の65mmΦの一軸押出機に、先端に幅900mmのダイがついたT型溶融押出機を用いて、押出温度250℃、吐出量40kg/hにて押出し、80℃の金属鏡面弾性ロールと、80℃の金属鏡面剛体ロールで挟み込んで製膜し、10m/分で引き取り、厚さ300μmの基材(F−1)を製膜した。
参考例3において、メタクリル樹脂(A−1)80質量部およびブロック共重合体(B−1)20質量部の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム株式会社製;テトロン(登録商標))100質量部を用いたこと以外は、参考例3と同様の方法で基材(F−2)を製膜した。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン64L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%シクロヘキサン溶液)0.20Lを仕込み、有機ルイス塩基としてテトラヒドロフラン0.3L(開始剤中のリチウム原子に対して、量論比で15倍相当)を仕込んだ。50℃に昇温した後、スチレン2.3Lを加えて3時間重合させ、引き続いてイソプレン23Lを加えて4時間重合を行い、さらにスチレン2.3Lを加えて3時間重合を行った。得られた反応液をメタノール80Lに注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体を得た。続いて、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体10kgをシクロヘキサン200Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体の水添物(以下、熱可塑性エラストマー(E−1)と称する)を得た。得られた熱可塑性エラストマー(E−1)の重量平均分子量は107000、スチレン含有量は21質量%、水素添加率は85%、分子量分布は1.04であった。
平均重合度500、けん化度99モル%のポリビニルアルコール樹脂100gを溶解した水溶液に、n−ブチルアルデヒド75gおよび35〜37%塩酸110gを添加し、攪拌してアセタール化し、樹脂を析出させた。公知の方法に従ってpH=6になるまで洗浄し、水酸化ナトリウム水溶液中に懸濁させて攪拌しながら後処理をし、pH=7になるまで洗浄し、揮発分が0.3%になるまで乾燥することにより、アセタール化度が80モル%のポリビニルアセタール樹脂(V−1)を得た。
ポリプロピレン(プライムポリマー社製のプライムポリプロF327)42g、無水マレイン酸160mgおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン42mgを、バッチミキサーを用いて180℃およびスクリュー回転数40rpmの条件下で溶融混練し、極性基含有ポリプロピレン系樹脂(P−1)を得た。得られた極性基含有ポリプロピレン系樹脂(P−1)のMFR[230℃、荷重2.16kg(21.18N)]は6g/10分であり、融点は138℃であった。なお、融点は10℃/minで昇温した際の示差走査熱量測定曲線の吸熱ピークから読み取った値である。
熱可塑性エラストマー(E−1)100質量部、ポリビニルアセタール樹脂(V−1)19質量部および極性基含有ポリプロピレン系樹脂(P−1)25質量部を、二軸押出機(東芝機械社製TEM−28)を用いて230℃で溶融混練した後、ストランド状に押出し、切断することによって、粘接着剤組成物のペレットを製造した。
粘接着剤組成物のペレットおよび参考例3に記載のメタクリル樹脂組成物のペレットをそれぞれ単軸押出機(ジーエム三正株式会社製;VGM25−28EX)のホッパーに投入し、マルチマニホールドダイを用いることで、幅約30cm、厚さ400μmの共押出積層体を得た。各層の厚さは押出流量により制御し、基材の厚さは300μm、粘接着層の厚さは100μmとした。
アクリル系紫外線硬化型樹脂(DIC株式会社製;ユニディックV−6850、固形分50%)100質量部、活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO、融点88℃〜92℃)2質量部、ナノコロイダルシリカ懸濁液(日産化学工業会社製;MEK−AC−4130Y、固形分30%)33質量部およびシリコーン樹脂(大成ファインケミカル株式会社製;8SS−723、固形分48%)1質量部を混合し、固形分濃度が30%となるようにメチルエチルケトン75質量部で希釈し、十分撹拌して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例1において活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)の代わりに活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;イルガキュア2959、融点87℃〜92℃)を用いた以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例2において、基材(F−1)の代わりに基材(F−2)を用いた以外は実施例2と同様にして積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例1において、活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)2質量部の代わりに活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO、融点88℃〜92℃)1質量部および活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;イルガキュア2959、融点87℃〜92℃)1質量部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例1において活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)の代わりに活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;イルガキュア907、融点70℃〜75℃)を用いた以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例1において活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)の代わりに活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;イルガキュア184、融点45℃〜49℃)を用いた以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例1において活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ルシリンTPO)の代わりに活性エネルギー線硬化開始剤(BASFジャパン株式会社製;ダロキュア1173、融点4℃)を用いた以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を得た。
実施例1において基材(F−1)の代わりに基材(F−3)を、成形型の代わりにプロピレン(日本ポリプロ株式会社製;MA3)からなる方形盆状の被着体(縦9.5cm×横9.5cm×高さ5.0cm、厚さ170μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層体および活性エネルギー線硬化性成形体を作製した。
得られた活性エネルギー線硬化性成形体を観察したところ、積層体は最大で400%延伸されていた。活性エネルギー線硬化性成形体における活性エネルギー線硬化性樹脂層および基材の成形性並びに積層体と被着体との接着性は良好であった。さらに紫外線を照射して得られた成形体は、実施例1と同じく耐薬品性に優れていた。
2 基材
3 意匠層(任意)
4 粘接着層(任意)
11 積層体
Claims (12)
- 活性エネルギー線硬化性樹脂および融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂が(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系樹脂である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量が10〜99.9質量%の範囲であり、かつ前記融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤の含有量が0.1〜10質量%の範囲である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 基材および請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる層を少なくとも有する積層体。
- 前記基材が非晶性樹脂からなる、請求項4に記載の積層体。
- 前記非晶性樹脂がアクリル系樹脂である、請求項5に記載の積層体。
- 前記アクリル系樹脂が、メタクリル系樹脂(A)およびブロック共重合体(B)を含むアクリル系樹脂であり、
前記メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を80質量%以上有し、
前記ブロック共重合体(B)は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含むメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)とアクリル酸エステルに由来する構造単位を含むアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)を少なくとも1以上有し、かつメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)を10〜80質量%、アクリル酸エステル共重合体ブロック(b2)を90〜20質量%の割合で含み、
メタクリル系樹脂(A)とブロック共重合体(B)との合計100質量部に対して、メタクリル系樹脂(A)が10〜99質量部であり、ブロック共重合体(B)が90〜1質量部である、請求項6に記載の積層体。 - さらに粘接着層を有する、請求項4〜7のいずれかに記載の積層体。
- 基材を準備する工程;
活性エネルギー線硬化性樹脂と融点が40℃以上である活性エネルギー線硬化開始剤とを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を準備する工程;および
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を前記基材の少なくとも片面に塗布して活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成する工程;
を少なくとも有する、請求項4に記載の積層体の製造方法。 - 請求項4〜8のいずれかに記載の積層体を準備する工程;
成形型または被着体と前記積層体をチャンバーボックスに収容する工程;
前記チャンバーボックス内を減圧する工程;
前記積層体により前記チャンバーボックス内を二分する工程;
前記成形型または前記被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を、前記成形体または前記被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして、前記成形型または前記被着体を前記積層体で被覆して活性エネルギー線硬化性成形体を得る工程;および
前記活性エネルギー線硬化性成形体に活性エネルギー線を照射する工程;
を有する成形体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有する成形体。
- 請求項10の方法で得られる、請求項11に記載の成形体。
Priority Applications (1)
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