JP2017092407A - 熱電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然空冷であっても冷却側への蓄熱を防止して、効率の良い発電を行うことができる熱電変換素子を提供する。【解決手段】シート状の低熱伝導部、ならびに、低熱伝導部に設けられる、低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導部、を有する基板と、基板に設けられる熱電変換層と、熱電変換層を覆う被覆層と、被覆層に設けられる、被覆層よりも熱伝導率が高く、かつ、面方向に第1高熱伝導部と完全に重複しない第2高熱伝導部と、面方向に熱電変換層を挟んで熱電変換層に接続される一対の電極と、第1高熱伝導部の、熱電変換層とは反対側の面に設置される接合部材と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、良好な熱電変換性能を有する熱電変換素子に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる熱電変換材料が、熱によって発電する発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。
熱電変換素子は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要としない等の利点を有する。そのため、複数の熱電変換素子を接続してなる熱電変換モジュール(発電装置)は、例えば、焼却炉や工場の各種の設備など、排熱される部位に設けることで、動作コストを掛ける必要なく、簡易に電力を得ることができる。
熱電変換素子は、一般的に、板状の基板の上に電極を有し、電極の上に熱電変換層(発電層)を有し、熱電変換層の上に板状の電極を有してなる構成を有する。このような熱電変換素子は、uni leg型の熱電変換素子とも呼ばれている。
すなわち、通常の熱電変換素子は、電極で熱電変換層を厚さ方向に挟持し、熱電変換層の厚さ方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換させている。
これに対し、特許文献1および2には、熱電変換層の厚さ方向ではなく、高熱伝導部と低熱伝導部とを有する基板を用いて、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子が記載されている。
具体的には、特許文献1には、P型材料およびN型材料で形成された熱電変換層の両面に、熱伝導率が異なる2種類の材料で構成された柔軟性を有するフィルム基板を設け、熱伝導率が異なる材料を、基板の外面で、かつ、通電方向の逆位置に位置するように構成した熱電変換素子が記載されている。
また、特許文献2には、シート状の第1絶縁性部および第2絶縁性部と、両絶縁性部の間に収容される熱起電力を取り出すための第1端部および第2端部を有する板状の熱電変換層と、熱電変換層と第1絶縁性部との間に配置される、第1端部の第1絶縁性部側を覆う、第1絶縁性部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導性部と、板状部材と第2絶縁性部との間に配置された、板状部材の第2端部の第2絶縁性部側を覆う、第2絶縁性部よりも熱伝導率が高い第2高熱伝導性部とを有する素子が記載されている。
このような高熱伝導部と低熱伝導部とを有する基板を用い、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子は、『in plane型の熱電変換素子』とも呼ばれている。
特許第3981738号公報 特開2011−35203号公報
in plane型の熱電変換素子は、基板に設けられる高熱伝導部によって熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。そのため、薄い熱電変換層でも、温度差が生じる距離を長くして、効率の良い発電ができる。
さらに、熱電変換層を薄いシート状にできるので、フレキシブル性にも優れ、曲面等への設置も容易な熱電変換モジュールが得られる。
ところが、本発明者らの検討によれば、in plane型の熱電変換素子でも、使用状況等によっては充分な発電量が得られない場合も有り、特に、自然空冷下においては、水冷や強制空冷下に比べ、発電量が低下し易い傾向にあることが判明した。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、基板に設けられた高熱伝導部および低熱伝導部によって、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子において、自然空冷下であっても発電量を向上できる熱電変換素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シート状の低熱伝導部、ならびに、低熱伝導部に設けられる、低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導部、を有する基板と、基板に設けられる熱電変換層と、熱電変換層を覆う被覆層と、被覆層に設けられる、被覆層よりも熱伝導率が高く、かつ、面方向に第1高熱伝導部と完全に重複しない第2高熱伝導部と、面方向に熱電変換層を挟んで熱電変換層に接続される一対の電極と、第1高熱伝導部の、熱電変換層とは反対側の面に設置される接合部材と、を有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の熱電変換素子を提供する。
(1) シート状の低熱伝導部、ならびに、低熱伝導部に設けられる、低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導部、を有する基板と、
基板に設けられる熱電変換層と、
熱電変換層を覆う被覆層と、
被覆層に設けられる、被覆層よりも熱伝導率が高く、かつ、面方向に第1高熱伝導部と完全に重複しない第2高熱伝導部と、
面方向に熱電変換層を挟んで熱電変換層に接続される一対の電極と、
第1高熱伝導部の、熱電変換層とは反対側の面に設置される接合部材と、を有する熱電変換素子。
(2) 接合部材は、厚み方向における熱伝導率が、面方向における熱伝導率よりも高い(1)に記載の熱電変換素子。
(3) 接合部材の形成材料が、金属、合金、および、フィラーを垂直配向した樹脂のいずれかである(1)または(2)に記載の熱電変換素子。
(4) 接合部材の、第1高熱伝導部とは反対側の面に配置される、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも高い熱伝導シートを有する(1)〜(3)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(5) 熱伝導シートが凹部を有し、
接合部材が熱伝導シートの凹部に嵌合している(4)に記載の熱電変換素子。
(6) 第2高熱伝導部の熱抵抗が、第1高熱伝導部の熱抵抗よりも小さい(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(7) 基板は、低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第3高熱伝導部を有し、
第3高熱伝導部の厚みは、第1高熱伝導部と接合部材との合計厚みよりも薄く、さらに、面方向に第1高熱伝導部と離間し、かつ、面方向に熱電変換層および第2高熱伝導部と少なくとも一部が重複する(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(8) 被覆層が、樹脂製のシート、あるいはさらに、樹脂製のシートと熱電変換層との間に設けられる粘着層からなるものであり、
第2高熱伝導部が、金属製で、被覆層の熱電変換層と逆側の面に設けられる(1)〜(7)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(9) 被覆層が粘着性を有するものであり、さらに、
第2高熱伝導部が、貫通しない溝を有する金属製のシートであり、
金属製のシートは、溝の少なくとも一部が面方向に第1高熱伝導部と重複するように、溝を被覆層に向けて被覆層に設けた構成を有する(1)〜(7)のいずれかに記載の熱電変換素子。
(10) 基板の低熱伝導部が樹脂製であり、
第1高熱伝導部が、金属製で、低熱伝導部の熱電変換層と逆側の面に設けられる(1)〜(9)のいずれかに記載の熱電変換素子。
このような本発明によれば、基板に設けられた高熱伝導部および低熱伝導部によって、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子において、自然空冷下であっても発電量を向上できる熱電変換素子を提供することができる。
図1(A)は、本発明の熱電変換素子の一例を概念的に示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示す熱電変換素子を概念的に示す正面図である。 図2(A)および図2(B)は、本発明の熱電変換素子の別の例を説明するための概念図である。 図3(A)は、本発明の熱電変換素子の別の例を概念的に示す斜視図であり、図3(B)は、図3(A)の部分拡大断面図である。 本発明の熱電変換素子の別の例を概念的に示す斜視図である。 本発明の熱電変換素子の別の例を概念的に示す斜視図である。 本発明の熱電変換素子の別の例を概念的に示す斜視図である。 本発明の熱電変換素子の別の例を概念的に示す斜視図である。 図8(A)〜図8(E)は、本発明の熱電変換素子を、複数、直列に接続してなる、熱電変換モジュールの一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の熱電変換素子について、添付の図面に示される好適実施態様を基に詳細に説明する。
本発明の熱電変換素子は、シート状の低熱伝導部、ならびに、低熱伝導部に設けられる、低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導部、を有する基板と、
基板に設けられる熱電変換層と、
熱電変換層を覆う被覆層と、
被覆層に設けられる、被覆層よりも熱伝導率が高く、かつ、面方向に第1高熱伝導部と完全に重複しない第2高熱伝導部と、
面方向に熱電変換層を挟んで熱電変換層に接続される一対の電極と、
第1高熱伝導部の、熱電変換層とは反対側の面に設置される接合部材と、を有する熱電変換素子である。
図1(A)に、本発明の熱電変換素子の一例を斜視図によって概念的に示す。また、図1(B)に、図1(A)に示す熱電変換素子を正面から見た正面図を示す。
図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子10は、基本的に、第1基板12と、熱電変換層16と、粘着層18と、第2基板20と、電極26および電極28と、接合部材22とを有して構成される。
具体的には、第1基板12の表面には、熱電変換層16が設けられる。また、第1基板12の表面には、熱電変換層16を第1基板12の基板面方向に挟むようにして、熱電変換層16に接続して電極26および電極28(電極対)が設けられる。さらに、第1基板12、熱電変換層16、電極26および電極28を覆うように、粘着層18が設けられ、この粘着層18には、第2基板20が貼着される。さらに、第1基板12の熱電変換層16とは反対側の面にある第1高熱伝導部12b上に接合部材22が配置される。
図1(A)および図1(B)に示すように、第1基板12は、シート状(フィルム状、板状)の低熱伝導部12aと、低熱伝導部12aの一面に設けられる第1高熱伝導部12bとを有する。第1高熱伝導部12bは、低熱伝導部12aよりも熱伝導率が高い。
他方、第2基板20も、シート状の低熱伝導部20aと、低熱伝導部に設けられる第2高熱伝導部20bとを有する。第2高熱伝導部20bは、粘着層18および低熱伝導部20aよりも熱伝導率が高い。
さらに、後に詳述するが、第2高熱伝導部20bは、面方向に第1高熱伝導部12bと完全に重複しない。
本発明において、『面方向』とは、第1基板12の基板面方向すなわちシート状の低熱伝導部12aの面方向である。
熱電変換素子10においては、第1基板12が本発明における基板に、粘着層18および第2基板20の低熱伝導部20aが本発明における被覆層に、それぞれ対応する。
熱電変換素子10において、両基板は、第1高熱伝導部12bと第2高熱伝導部20bとが、電極26と電極28との離間方向に異なる位置となるように配置される。
電極26と電極28との離間方向とは、すなわち通電方向である。以下、電極26と電極28との離間方向、すなわち、通電方向であり、かつ、熱電変換層16における伝熱方向でもある方向を、『離間方向』とも言う。
熱電変換素子10は、低熱伝導部12aおよび第1高熱伝導部12bを有する第1基板12と、低熱伝導部20aおよび第2高熱伝導部20bを有する第2基板20とを有し、第1高熱伝導部12bと第2高熱伝導部20bとを面方向に異なる位置として、熱電変換層16および粘着層18を、第1基板12と第2基板とで挟持した構成を有する。
すなわち、熱電変換素子10は、前述のin plane型の熱電変換素子であって熱電変換層16の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。
この点に関しては、後に詳述する。
図示例の熱電変換素子10において、第1基板12および第2基板20は、配置位置、表裏や面方向(基板面方向)の向きが異なるのみで、基本的な構成は同じである。すなわち、第1基板12および第2基板20において、低熱伝導部12aおよび低熱伝導部20a、ならびに、第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bは、同じものである。
従って、以下の説明では、第1基板12と第2基板20とを区別する必要が有る場合を除いて、第1基板12を代表例として説明を行う。
図示例の熱電変換素子10において、第1基板12(第2基板20)は、低熱伝導部12a(低熱伝導部20a)の離間方向を端部から所定部分まで覆うように、低熱伝導部12aに第1高熱伝導部12bを積層してなる構成を有する。
従って、第1基板12の一面は、離間方向の端部から所定領域までが低熱伝導部12aで、残りの半分の領域は第1高熱伝導部12bとなる。また、第1基板12の他方の面は、全面が低熱伝導部12aとなる。
熱電変換素子10では、第1基板12の低熱伝導部12aの第1高熱伝導部12bが形成されていない側の面が、熱電変換層16の形成面となる。また、第2基板20は、第2高熱伝導部20bが形成されていない側の面が、熱電変換層16(粘着層18)側の面となる。
なお、本発明の熱電変換素子において、第1基板12は、低熱伝導部の表面に高熱伝導部を積層してなる構成以外にも、各種の構成が利用可能である。例えば、第1基板は、低熱伝導部12aとなる板状物の、一方の面の所定領域に凹部を形成して、この凹部に、第1高熱伝導部12bを組み込んだ構成でもよい。
低熱伝導部12aは、ガラス板、セラミックス板、プラスチックフィルムなどの樹脂材料(高分子材料)からなるフィルムなど、絶縁性を有し、かつ、熱電変換層16や電極26等の形成等に対する十分な耐熱性を有するものであれば、各種の材料からなる物が利用可能である。
好ましくは、低熱伝導部12aには、樹脂材料からなるフィルムが利用される。低熱伝導部12aに樹脂材料からなるフィルムを用いることにより、軽量化やコストの低下を計ると共に、可撓性を有する熱電変換素子10(熱電変換モジュール)が作製可能となり、好ましい。
低熱伝導部12aに利用可能な樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂、ガラスエポキシ、液晶性ポリエステル等が例示される。
中でも、熱伝導率、耐熱性、耐溶剤性、入手の容易性や経済性等の点で、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなるフィルムは、好適に利用される。
本発明において、高熱伝導部および低熱伝導部とは、隣接する層(隣接する高熱伝導部もしくは低熱伝導部)に対して熱伝導率が高い、もしくは低いことを示す。隣接する高熱伝導部と低熱伝導部との熱伝導率の比は、100:1以上が好ましく、500:1以上がより好ましく、1000:1以上がさらに好ましい。
従って、第1高熱伝導部12bは、低熱伝導部12a(あるはさらに粘着層18)よりも熱伝導率が高いものであれば、各種の材料からなるものが例示される。
第1高熱伝導部12bの形成材料としては、具体的には、熱伝導率等の点で、金、銀、銅、アルミニウム等の各種の金属が例示される。中でも、熱伝導率、経済性等の点で、銅やアルミニウムは好適に利用される。また、可撓性を有する熱電変換素子(熱電変換モジュール)を得られる等の点で、第1高熱伝導部12bには、金属製のシート(金属箔を含む)も、好適に利用される。
なお、本発明において、第1基板12の厚さ、低熱伝導部12aの厚さ、第1高熱伝導部12bの厚さ等は、第1高熱伝導部12bおよび低熱伝導部12aの形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
なお、本発明において、厚さとは、言い換えれば、第1基板12、熱電変換層16、粘着層18および第2基板20(被覆層)の積層方向のサイズである。また、第1基板12の厚さとは、第1高熱伝導部12bが無い領域の低熱伝導部12aの厚さである。
本発明者らの検討によれば、第1基板12の厚さは、2〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましい。
また、第1基板12の面方向の大きさ、第1基板12における第1高熱伝導部12bの面方向の面積率等も、低熱伝導部12aおよび第1高熱伝導部12bの形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。なお、面方向の大きさや面積率とは、すなわち、面方向と直交する方向から見た際の大きさや面積率である。
さらに、第1基板12における第1高熱伝導部12bの面方向の位置も、図示例に限定されず、各種の位置が利用可能である。
例えば、第1基板12において、第1高熱伝導部12bは、面方向において低熱伝導部12aに内包されてもよい。また、第1高熱伝導部12bは、面方向において、一部を第1基板12の端部に位置し、それ以外の領域が低熱伝導部12aに内包されてもよい。
さらに、第1基板12は、面方向に複数の第1高熱伝導部12bを有してもよい。
なお、図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子10は、第1基板12と第2基板20との間での温度差を生じ易い好ましい態様として、第1基板12および第2基板20は、共に、第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bを積層方向の外側に位置している。
しかしながら、本発明は、これ以外にも、第1基板12が第1高熱伝導部12bを積層方向の外側に位置し、第2基板20が第2高熱伝導部20bを積層方向の内側に位置するような構成でもよい。
なお、高熱伝導部が金属等の導電性を有する材料で形成され、かつ、高熱伝導部が積層方向の内側に配置される構成において、高熱伝導部と、電極26、電極28および熱電変換層16の少なくとも1つとが電気的に接続されてしまう場合には、高熱伝導部と、電極26、電極28および熱電変換層16の少なくとも1つとの絶縁性を確保するために、間に絶縁層を設けてもよい。
また、第1基板12の第1高熱伝導部12bおよび第2基板20の第2高熱伝導部20bは、両者が面方向で完全に重複しなければ、各種のサイズ、形状および位置のものが利用可能である。
前述のように、図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子では、第1基板12の第1高熱伝導部12bと、第2基板20の第2高熱伝導部20bとが、対向する端面が離間するように配置されている。
本発明は、これ以外にも、例えば、第1基板12の第1高熱伝導部12bを図中左側に移動し、第2基板20の第2高熱伝導部20bを図中右側に移動して、第1高熱伝導部12bと第2高熱伝導部20bとの対向する端部が、離間方向に同じ位置とする構成でもよい。あるいは、さらに第1基板12の第1高熱伝導部12bを図中左側に移動し、第2基板20の第2高熱伝導部20bを図中右側に移動することによって、第1高熱伝導部12bと第2高熱伝導部20bとの一部を、面方向で重複させてもよい。
あるいは、第1基板に円形の第1高熱伝導部を形成し、第2基板に同サイズの正方形の第3高熱伝導部を形成して、両高熱伝導部の中心を面方向で一致させるように、両基板を配置してもよい。この構成でも、距離は短いが、両高熱伝導部は、端部(周辺)位置が面方向で異なるので、熱電変換層には面方向の温度差が生じ、厚さ方向に温度差を生じさせる熱電変換素子に比して、効率の良い発電が可能である。なお、同サイズの円形および正方形とは、直径と一辺の長さとが一致している円形および正方形である。
すなわち、本発明においては、第1基板と第2基板とで、高熱伝導部が面方向に完全に重複しなければ、第1基板および第2基板は、各種の構成が利用可能である。言い換えれば、第1基板および第2基板は、基板面と垂直方向から見た際に、第1基板と第2基板との高熱伝導部が完全に重なっていなければ、各種の構成が利用可能である。
熱電変換素子10において、第1基板12の全面が低熱伝導部12aである面には、熱電変換層16が形成される。
また、熱電変換層16の上には、粘着層18を介して第2基板20が設けられる。第2基板20は、低熱伝導部20aの第2高熱伝導部20bが形成されていない側の面を熱電変換層16に向けて設けられる。
両基板において、第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bは、熱電変換層16の面方向に効率的に温度差を生じさせるように配置される。
即ち、両基板の第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bは、熱電変換層16に対して、面方向に異なる位置に配置されるのが好ましく、第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bの対面する側の端部を熱電変換層16の離間方向の中心に一致して設けるのがより好ましく、図示例のように、第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bの対面する側の端部が離間方向に離間するように配置されるのがさらに好ましい。
特に、第1高熱伝導部12bと第2高熱伝導部20bとは、離間方向における熱電変換層16の大きさに対して、離間方向に10〜90%離間させるのが好ましく、10〜50%離間させるのがより好ましい。
また、熱電変換層16には、面方向に挟むように、電極26および電極28からなる電極対が接続される。
なお、熱電変換素子10において、第1基板12の第1高熱伝導部12bを形成されていない側の表面には、必要に応じて、密着層を有してもよい。密着層を有することにより、第1基板12と、熱電変換層16や電極26および電極28との密着性を良好にして、耐屈曲性など、機械的強度が良好な熱電変換素子(熱電変換モジュール)が得られる。
密着層は、第1基板12(低熱伝導部12a)、熱電変換層16、電極26および電極28の形成材料に応じて、熱電変換層16や両電極と第1基板12との密着性を確保できるものであれば、各種のものが利用可能である。
例えば、熱電変換層16の形成材料として、ニッケルやニッケル合金を用いる場合や、電極26および電極28の形成材料として、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、白金等を用いる場合には、密着層としては、酸化珪素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、クロム、チタン等からなる層が例示される。
また、密着層を酸化珪素等の金属酸化物で形成することにより、第1基板12を通過した水分から熱電変換層16を保護する、ガスバリア層としての作用も得られる。
熱電変換素子10は、熱源との接触などによる加熱によって熱電変換層16の内部に温度差が生じることにより、この温度差に応じて、熱電変換層16の内部において、この温度差の方向のキャリア密度に差が生じ、電力が発生する。
本発明の熱電変換素子10において、熱電変換層16は、公知の熱電変換材料を用いる各種の構成が、全て、利用可能である。従って、有機系の熱電変換材料を用いる物であっても、無機系の熱電変換材料を用いるものであってもよい。
熱電変換層16に用いられる熱電変換材料としては、無機系の熱電変換材料として、(1)BiSbTe、BiSeTe、BiTeなどのBiTe系、(2)CoSb3、Zn4Sb3などのアンチモン(Sb)含有化合物、(3)Mg2Si、β―FeSi、SiGeなどのシリサイド化合物、(4)SrTiO、ZnO,TiOなどの酸化物半導体、(5)Fe−Alなどの金属間化合物、(6)ニッケル、ニクロム、クロメル、コンスタンタンなどのニッケル、ならびニッケル合金どの公知の材料が好適に使用できる。
なお、ニッケル合金は、温度差を生じることで発電するニッケル合金が、各種、利用可能である。具体的には、バナジウム、クロム、シリコン、アルミニウム、チタン、モリブデン、マンガン、亜鉛、錫、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、ジルコニウムなどの1成分、もしくは、2成分以上と混合したニッケル合金等が例示される。
あるいは、熱電変換層16に用いられる熱電変換材料としては、例えば、導電性高分子や導電性ナノ炭素材料等の有機材料が好適に例示される。
導電性高分子としては、共役系の分子構造を有する高分子化合物(共役系高分子)が例示される。具体的には、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレン、アセチレン、ポリフェニレンなどの公知のπ共役高分子等が例示される。特に、ポリジオキシチオフェンは、好適に使用できる。
導電性ナノ炭素材料としては、具体的には、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下の説明では、『カーボンナノチューブ』を『CNT』とも言う。
中でも、熱電特性がより良好となる理由から、CNTが好ましく利用される。
CNTには、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、及び複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、多層CNTを各々単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。特に、導電性及び半導体特性において優れた性質を持つ単層CNTおよび2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。半導体性CNTと金属性CNTとを両方を用いる場合、組成物中の両者の含有比率は、組成物の用途に応じて適宜調整することができる。また、CNTには金属などが内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたものを用いてもよい。
CNTは、修飾あるいは処理されたものであってもよい。さらに、熱電変換層16にCNTを利用する場合には、ドーパント(アクセプタ)を含んでいてもよい。
熱電変換層16を構成する熱電変換材料としては、ニッケルあるいはニッケル合金も好適に例示される。
本発明の熱電変換素子10において、熱電変換層16の厚さ、面方向の大きさ、基板に対する面方向の面積率等は、熱電変換層16の形成材料、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
このような熱電変換層16には、面方向に挟持するように、電極26および電極28が接続される。熱電変換素子10において、電極26および電極28は、端部を熱電変換層16に覆われて、熱電変換層16に接続される。
電極26および電極28は、必要な導電率を有するものであれば、各種の材料で形成可能である。
電極26および電極28の形成材料としては、具体的には、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、コンスタンタン、クロム、インジウム、鉄、銅合金などの金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)等の各種のデバイスで透明電極として利用されている材料等が例示される。中でも、銅、金、銀、白金、ニッケル、銅合金、アルミニウム、コンスタンタン等は好ましく例示され、銅、金、銀、白金、ニッケルは、より好ましく例示される。
電極26および電極28は、例えば、クロム層の上に銅層を形成してなる構成等、積層電極であってもよい。
電極26および電極28の厚さや大きさ、形状等も、熱電変換層16の厚さや大きさ、形状、熱電変換素子10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
図示例の熱電変換素子において、電極26および電極28は、離間方向の端部を熱電変換層16に覆われて、熱電変換層16に接続されている。
本発明は、これ以外にも、電極26および電極28は、各種の構成が利用可能である。一例として、図2(A)に概念的に示すように、熱電変換層16の端部から端面に沿って立ち上がり、熱電変換層16の上面の端部近傍に到る電極26および電極28が例示される。また、図2(B)に概念的に示すように、熱電変換層16の端部に当接する電極26および電極28も利用可能である。さらに、電極26と電極28とは、構成が異なってもよい。
熱電変換素子10において、熱電変換層16、電極26および電極28を覆って、粘着層18が積層される。粘着層18は、十分な密着力で第2基板20を貼着するためのものである。また、粘着層18は、絶縁層としての作用を有してもよい。
粘着層18の形成材料は、熱電変換層16、電極26および電極28の形成材料と、第2基板20(低熱伝導部20a)の形成材料とに応じて、絶縁性を有し、かつ、両者を貼着可能なものが、各種、利用可能である。
具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、EVA、α-オレフィンポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン等が例示される。また、粘着層18は、市販の接着剤、粘着剤、両面テープや粘着フィルム等を利用して形成してもよい。
粘着層18の厚さは、粘着層18の形成材料、熱電変換層16に起因する段差の大きさ等に応じて、熱電変換層16等と第2基板20とを十分な密着力で貼着でき、かつ、絶縁できる厚さを、適宜、設定すればよい。なお、粘着層18は、基本的に、薄い方が、熱電変換性能を高くできる。
具体的には、5〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
粘着層18の厚さを5μm以上とすることにより、熱電変換層16に起因する段差を十分に埋められる、良好な密着性および十分な絶縁性が得られる等の点で好ましい。
粘着層18の厚さを100μm以下、特に50μm以下とすることにより、熱電変換素子10(熱電変換モジュール)の薄膜化を計れる、可撓性の良好な熱電変換素子10を得ることができる、粘着層18の熱抵抗を小さくでき、より良好な熱電変換性能が得られる等の点で好ましい。
なお、必要に応じて、密着性を向上するために、熱電変換層16、電極26および電極28と粘着層18との界面、粘着層18と第2基板20との界面の1以上において、界面を形成する表面の少なくとも1面に、プラズマ処理、UVオゾン処理、電子線照射処理等の公知の表面処理を施して、表面の改質や清浄化を行ってもよい。
前述のように、粘着層18の上には、低熱伝導部20aを粘着層18側に向けて、第2基板20が積層、貼着されて、熱電変換素子10が構成される。また、第1基板12の第1高熱伝導部12bと第2基板20の第2高熱伝導部20bとは、離間方向に異なる位置に配置される。
本発明の熱電変換素子10(熱電変換モジュール)は、基本的に、第1基板12(第1高熱伝導部)側が熱源30側となるように設置され、第2基板20側に放熱フィン等の放熱手段32が設けられて、使用される。
従って、熱源30の熱は、第1高熱伝導部12bから低熱伝導部12a等を通過して熱電変換層16の図中右側に至り、熱電変換層16を図中左側から図中右側に面方向に伝って、低熱伝導部20a等を通過して、放熱手段32が設けられる第2高熱伝導部20bから、放熱される。
これにより、前述のように、離間方向において、第1高熱伝導部12b側すなわち加熱側と、第2高熱伝導部20b側すなわち冷却側との間で、熱電変換層16内に温度差が生じ、熱電変換層16の内部において、この温度差の方向のキャリア密度に差が生じ、発電する。また、電極26および電極28に配線を接続することにより、加熱によって発生した電力(電気エネルギー)が取り出される。
このように、前述のin plane型である本発明の熱電変換素子10は、熱電変換層16の面方向に温度差を生じさせて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。そのため、薄い熱電変換層16でも、熱電変換層16内において温度差が生じる距離を長くして、効率の良い発電ができる。
さらに、熱電変換層を薄いシート状にできるので、フレキシブル性にも優れ、曲面等への設置も容易な熱電変換モジュールが得られる。
ところが、本発明者らの検討によれば、in plane型の熱電変換素子は、このような利点を有する反面、水冷や強制空冷下に比べ、自然空冷下において、発電量が低下し易い傾向にあることが判明した。
本発明者らは、この原因について検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
すなわち、in plane型の熱電変換素子は、高熱伝導部と低熱伝導部とを有する基板を用いて、熱電変換層の面方向に温度差を生じさせる構成を有する。この構成によれば、面方向に温度差を生じさせる距離を長くできる反面、構成上、熱源と、熱電変換層における冷却される側との距離が非常に近くなる。具体的には、熱源30と、熱電変換層16における冷却側である離間方向の図中左側の領域との距離は、第1高熱伝導部12bと低熱伝導部12aの厚さ分しか無い。
そのため、熱源と基板との間の空気層を介した熱伝導により、熱電変換層の冷却側が加熱され易く、熱電変換層における加熱側と冷却側との間の温度差が小さくなって、発電量が低下してしまう。すなわち、熱電変換層16の加熱側である離間方向の第1高熱伝導部12b側の温度と、熱電変換層16における冷却側である離間方向の第2高熱伝導部20b側との温度差が小さくなって、発電量が低下してしまう。
特に、自然空冷下では、熱電変換層16における第2高熱伝導部20b側すなわち冷却側における冷却が追い付かずに、熱電変換層16における加熱側と冷却側との温度差が小さくなり易く、発電量が低下し易い。
これに対し、本発明の熱電変換素子10は、第1基板12の第1高熱伝導部12bの、熱電変換層16側(低熱伝導部12a側)とは反対側の面に設置される接合部材22を有する。
本発明の熱電変換素子10は、第1高熱伝導部12bと熱源30との間に接合部材22を配置して、熱源30と第1基板12との距離を取ることで、空気層を介した熱伝導を抑制する。その結果、自然放冷下であっても、不要な吸熱による熱電変換層16の冷却側の加熱を防止して、冷却側を十分に冷却できる。これにより、熱電変換層16における加熱側と冷却側との温度差が小さくなるのを抑制して、熱電変換層16の加熱側と冷却側との温度差を確保して、発電量の向上を図ることができる。
接合部材22は、第1高熱伝導部12bと熱源30との間に配置されるものであるため、熱源30の熱を第1高熱伝導部12bに好適に熱伝導できる材料からなるのが好ましく、接合部材22は、第1高熱伝導部12bの熱伝導率の70%以上の熱伝導率を有する材料からなるのが好ましい。また、接合部材22の熱伝導率は、20W/(m・K)以上であるのが好ましく、50W/(m・K)以上であるのがより好ましい。
具体的には、接合部材22の形成材料としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の各種の金属、ニッケル合金、銅合金、銀合金はんだ等の合金、あるいは、炭素繊維や金属粒子等のフィラーを、シリコーンやゴム等の樹脂材料中に分散し、垂直配向した材料などが好適に利用される。
また、接合部材22の形成材料として、フィラーを垂直配向した材料を用いる場合には、フィラーの配向方向を厚さ方向と一致させることが好ましい。すなわち、接合部材22の厚さ方向における熱伝導率が、面方向における熱伝導率よりも高いことが好ましい。
接合部材22として、厚さ方向の熱伝導率が面方向の熱伝導率よりも高いものを用いることで、熱源30から第1高熱伝導部12bへの伝熱を好適に行いつつ、接合部材22から外部(空気層)への放熱を抑制することができる。
なお、接合部材22として、熱伝導率に異方性を有する材料を用いる場合には、厚さ方向における接合部材22の熱伝導率が第1高熱伝導部12bの熱伝導率の70%以上であるのが好ましく、また、30W/(m・K)以上であるのが好ましい。
また、図1(A)に示すように、接合部材22は基本的に、面方向において、第1高熱伝導部12bが配置された領域に設置され、第1高熱伝導部12bが配置されない領域(第2高熱伝導部20bが配置された領域)には設置されない。
これにより、冷却側における空気層の厚さを厚くして、熱源30の熱が、接合部材22を介して熱電変換層16の冷却側に伝熱するのを抑制する。
また、接合部材22の厚さには限定はなく、接合部材の形成材料、熱電変換素子10のサイズ、第1高熱伝導部12bのサイズ等に応じて適宜設定すればよい。熱源30と第1基板12との距離を取り、空気層を介した熱伝導を抑制する観点から、接合部材22の厚さは、第1高熱伝導部12bの厚さ以上であることが好ましく、第1高熱伝導部12bの厚さの1.5倍以上2.0倍以下であるのがより好ましい。また、接合部材22の厚さは、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。
ここで、本発明の熱電変換素子においては、さらに、接合部材22上に配置される、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも高い熱伝導シートを有するのが好ましい。
図3(A)は、熱伝導シートを有する熱電変換素子の一例を概念的に表す斜視図であり、図3(B)は、図3(A)の接合部材と熱伝導シートとの接続部分を拡大して示す断面図である。
なお、図3(A)に示す熱電変換素子50は、前述の図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子10と、多くの部材を共用するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行う。
図3(A)に示す熱電変換素子50は、接合部材22の、第1高熱伝導部12bとは反対側の面に配置される熱伝導シート24を有する。すなわち、熱伝導シート24は、熱電変換素子50の第1高熱伝導部12bと熱源30との間に配置される。
この熱伝導シート24は、面方向の熱伝導率が、厚み方向の熱伝導率よりも高いものである。また、熱伝導シート24は、面方向において、第1高熱伝導部12bが配置された領域のみならず、第1高熱伝導部12bが配置されない領域(第2高熱伝導部20bが配置された領域)も包含する大きさを有する。したがって、熱伝導シート24と、第1基板12の第1高熱伝導部12bが形成されない領域との間には空気層が形成され、また、熱伝導シート24の、第1高熱伝導部12bとは反対側の面は全面的に熱源30と接触する。
さらに、図3(A)、および、図3(B)に示す熱電変換素子50は、好適な態様として、熱伝導シート24が凹部24aを有し、接合部材22がこの凹部24aに嵌合する構成を有する。
なお、本明細書において、接合部材22が熱伝導シート24の凹部24aに嵌合する構成の場合には、接合部材22の厚さとは、熱伝導シート24の表面からの高さとする。すなわち、熱伝導シート24と第1高熱伝導部12bとの間の距離を、接合部材22の厚さとする。
面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも高い熱伝導シート24を、接合部材22上に配置することにより、熱源30からの熱が空気層に伝わることを抑制できるので、熱電変換層16の冷却側の加熱を防止して、冷却側を十分に冷却できる。これにより、熱電変換層16における加熱側と冷却側との温度差が小さくなるのを抑制して、熱電変換層16の加熱側と冷却側との温度差を確保して、発電量の向上を図ることができる。
さらに、熱伝導シート24に凹部24aを形成し、凹部24aに接合部材22を嵌合する構成とすることで、熱伝導シート24と接合部材22との面方向の熱伝導により熱源30からの熱を接合部材22に伝えることができるため、熱源30からの熱が空気層に伝わることを抑制しつつ、接合部材22(第1高熱伝導部12b)へ熱を好適に伝えることができる。これにより、熱電変換層16における加熱側はより高い温度に、冷却側は、より低い温度にすることができ、加熱側と冷却側との温度差をより高くできる。
熱伝導シート24としては、面方向の熱伝導率が、厚み方向の熱伝導率よりも高いものであれば限定はないが、例えば、グラファイトシート、炭素繊維やグラファイトを分散し、水平配向したシート等を用いることができる。
また、熱伝導シート24の厚みは、接合部材22への熱伝導、空気層への熱伝導の抑制等の観点から、10μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。
また、本発明の熱電変換素子は、上述した構成に限定はされず、第1基板12が、低熱伝導部12aよりも熱伝導率の高い第3高熱伝導部12cを有していてもよい。
図4は、第3高熱伝導部12cを有する熱電変換素子の一例を示す概略斜視図である。
図4に示す熱電変換素子52は、第1基板12が第3高熱伝導部12cを有する以外は、前述の図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子10と、同様の構成を有するので同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行う。
図4に示す熱電変換素子52は、第1基板12が、面方向に第1高熱伝導部12bと離間し、かつ、面方向に少なくとも一部が熱電変換層16および第2高熱伝導部20bと重複する第3高熱伝導部12cを有する。
この第3高熱伝導部12cの厚みは、第1高熱伝導部12bと接合部材22との合計厚みよりも薄い。
このような第3高熱伝導部12cを有することで、熱源と基板との間の空気層を介して伝熱された熱等、熱電変換層16の冷却側を加熱する不要な熱を、第3高熱伝導部12cから放熱できる。その結果、自然放冷下であっても、不要な吸熱による熱電変換層16の冷却側の加熱を防止して、冷却側を充分に冷却でき、熱電変換層16の加熱側と冷却側との温度差を確保して、発電量の向上を図ることができる。
第3高熱伝導部12cの厚さは、第1高熱伝導部12bと接合部材22との合計厚みよりも薄ければ、限定は無い。
ここで、良好な放熱効果が得られる第3高熱伝導部12cの好適な厚さは、例えば低熱伝導部12aや電極26などの周辺部材の熱抵抗、熱電変換素子(熱電変換モジュール)の大きさ等によって、大きく異なる。従って、第3高熱伝導部12cの厚さは、周辺部材の熱抵抗や熱電変換素子の大きさ等に応じて、適宜、決定すればよい。
本発明者らの検討によれば、第3高熱伝導部12cの厚さは、第1高熱伝導部12bの厚さ以下が好ましく、第1高熱伝導部12bの1/2以下がより好ましい。第3高熱伝導部12cの厚さを、第1高熱伝導部12bの厚さ以下とすることにより、自然放冷下であっても、熱電変換層16の冷却側の加熱を好適に防止し、熱電変換層16の加熱側と冷却側との温度差を確保して、発電量の向上を図ることができる。
また、第3高熱伝導部12cの厚さは、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。第3高熱伝導部12cが薄すぎると、充分な放熱効果が得られない場合が有るが、5μm以上とすることにより、自然放冷下であっても、熱電変換層16の冷却側の加熱を好適に防止し、熱電変換層16の加熱側と冷却側との温度差を確保して、発電量の向上を図ることができる。
なお、本発明において、第3高熱伝導部12cが第1高熱伝導部12bおよび接合部材22の合計厚みよりも薄いとは、接合部材22の第1高熱伝導部12bと逆側の表面よりも、第3高熱伝導部12cの熱電変換層16と逆側の表面が、熱電変換層16側に位置する、という意味でもある。
本発明の熱電変換素子は、基本的に、接合部材22側を熱源30側にして使用される。従って、第3高熱伝導部12cが第1高熱伝導部12bおよび接合部材22の合計厚みよりも薄いとは、使用状態において、接合部材22の熱源30側の表面よりも、第3高熱伝導部12cの熱源30側の表面が、熱源30から離間していることを意味する。
第3高熱伝導部12cは、低熱伝導部12aよりも熱伝導率が高いものであれば、各種の材料からなるものが利用可能である。
第3高熱伝導部12cの形成材料としては、具体的には、熱伝導率等の点で、金属が好ましく、金、銀、銅、アルミニウム等の各種の金属は好適に例示される。中でも、熱伝導率、経済性等の点で、銅やアルミニウムは好適に利用される。また、可撓性を有する熱電変換素子(熱電変換モジュール)を得られる等の点で、第3高熱伝導部12cには、金属製のシート(金属箔も含む)も、好適に利用される。
図4に示す熱電変換素子52において、第3高熱伝導部12cは、第2高熱伝導部20bと同じ矩形状の平面形状を有し、面方向において第2高熱伝導部20bと完全に重複して設けられる。なお、本発明において、平面形状とは、面方向と直交する方向から見た際の形状である。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、第3高熱伝導部12cは、面方向に第1高熱伝導部12bと離間し、しかも、面方向で熱電変換層16および第2高熱伝導部20bと少なくとも一部が重複していれば、各種の形状および大きさのものが利用可能であり、また、面方向の配置位置も、各種の位置が利用可能である。
すなわち、第3高熱伝導部12cは、面方向に第1高熱伝導部12bと離間し、しかも、面方向で熱電変換層16および第2高熱伝導部20bと少なくとも一部が重複していれば、好適に、熱電変換層16の冷却側の加熱を好適に防止できる。
ここで、前述の第3高熱伝導部12cの厚さと同様、良好な放熱効果が得られる第3高熱伝導部12cの好適な位置、サイズおよび形状等は、例えば低熱伝導部12aや電極26などの周辺部材の熱抵抗、熱電変換素子(熱電変換モジュール)の大きさ等によって、大きく異なる。
従って、第3高熱伝導部12cの位置、サイズおよび形状等は、周辺部材の熱抵抗や熱電変換素子のサイズ等に応じて、熱電変換層16の冷却側の加熱を好適に防止できる構成を、適宜、決定すればよい。
また、本発明の熱電変換素子においては、第3高熱伝導部の冷却を行うのが好ましい。第3高熱伝導部を冷却することにより、第3高熱伝導部からの放熱を、より効率よく行い、自然空冷下であっても、熱電変換層16における加熱側と冷却側との温度差を保ち、大きな発電量を得ることができる。
第3高熱伝導部の冷却は、公知の各種の方法が利用可能である。好ましい方法として、第3高熱伝導部と第2高熱伝導部とを、低熱伝導部および被覆層よりも熱伝導率が高い接続部材で接続する方法が例示される。
本発明の熱電変換素子において、被覆層は、粘着層18および第2基板20を構成する低熱伝導部20aによって形成される構成に限定はされない。
例えば、被覆層を粘着層18のみで構成して、粘着層18の上に、第2高熱伝導部20bを面方向の同位置に貼着した構成も利用可能である。この構成においては、必要に応じて、粘着層18の第2高熱伝導部20bで覆われない部分には、樹脂フィルム等を貼着してもよい。
別の例として、図5に概念的に示す熱電変換素子40のように、第2基板20に変えて、貫通しない溝部42aを有する金属シート42を用いる構成が例示される。
なお、図5に示す熱電変換素子は、前述の図4に示す熱電変換素子10と、多くの部材を共用するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行う。
この金属シート42を用いる熱電変換素子40では、溝部42aの少なくとも一部が面方向で第1基板12の第1高熱伝導部12bと重複するように、溝部を粘着層18に向けて、金属シート42を粘着層18に貼着する。従って、図5に示す例のように、面方向において、溝部42aが第1高熱伝導部12bを完全に包含してもよい。
この熱電変換素子40では、粘着層18が、本発明における被覆層である。また、粘着層18は、金属シート42と熱電変換層16、電極26および電極28とを絶縁する絶縁層としても作用する。
この構成においても、必要に応じて、粘着層18の金属シート42で覆われない部分には、樹脂フィルム等を貼着してもよい。
このような構成を有する熱電変換素子40では、金属シート42と粘着層18との間には、溝部42aに起因する空間が形成される。
金属と空間とでは、熱伝導率は、空間の方が遥かに小さい。また、溝部42aは、少なくとも一部が面方向で第1高熱伝導部12bと重複する。
従って、熱電変換素子40では、金属シート42の粘着層18に貼着されている領域が、第2基板20の第2高熱伝導部20bと同様の第2高熱伝導部として作用し、溝部42aによる空間が、低熱伝導部すなわち第2基板20の第2高熱伝導部20bを有さない領域と同様に作用する。
そのため、同様に、第1基板12側に熱源30を設けると、第1高熱伝導部12bから熱電変換層16に至り、熱電変換層16を図中右から左へ面方向に移動して、粘着層18との接触面から金属シート42に到る熱の流れが生じる。これにより、熱電変換素子40においても、熱電変換層16の面方向の長い距離の温度差によって、効率の良い発電が可能である。
なお、金属シート42の形成材料は、各種の金属材料が全て利用可能である。
具体的には、銅、アルミニウム、シリコン、ニッケル等の金属や、銅合金、ステンレス、ニッケル合金等の合金が好適に例示される。
本発明の熱電変換素子において、大きな発電量を得るためには、第2高熱伝導部からの放熱が大きい方が好ましい。これに応じて、本発明の熱電変換素子においては、第2高熱伝導部の熱抵抗を、第1高熱伝導部の熱抵抗よりも小さくするのが好ましい。
この一例を、図6に示す。
図1(A)および図1(B)に示す熱電変換素子10においては、第1基板12の第1高熱伝導部12bと第2基板20の第2高熱伝導部20bとは、全く同じものである。従って、第2高熱伝導部20bと第1高熱伝導部12bとの熱抵抗は同じである。
これに対し、図6に示す熱電変換素子46は、第1基板12において、第1高熱伝導部12bの離間方向の長さを短くして、第2高熱伝導部20bの断面積を第1高熱伝導部12bの断面積よりも大きくしている。そのため、第1高熱伝導部12bよりも第2高熱伝導部20bの方が熱が流れ易くなり、第2高熱伝導部20bの熱抵抗が、第1高熱伝導部12bの熱抵抗よりも小さくなる。この際における断面積とは、面方向の断面の断面積である。
これにより、熱源30から第1高熱伝導部12bを経て熱電変換層16に到る熱量よりも、第2高熱伝導部20bからの放熱量を大きくして、自然空冷下であっても、熱電変換層16における加熱側と冷却側との温度差を保ち、大きな発電量を得ることができる。
第2高熱伝導部20bの熱抵抗を、第1高熱伝導部12bの熱抵抗よりも小さくする方法は、断面積を調節する方法以外にも、各種の方法が、利用可能である。
すなわち、部材の熱抵抗は、熱の伝導方向と直交する方向の断面積、熱の伝導方向の長さ、および、熱伝導率によって変化する。
これに応じて、第2高熱伝導部20bの熱抵抗を、第1高熱伝導部の熱抵抗よりも小さくする方法は、第2高熱伝導部20bの厚さを第1高熱伝導部12bよりも薄くする方法、第2高熱伝導部20bを第1高熱伝導部12bよりも熱伝導度が高い材料で形成する方法等も利用可能である。また、断面積を調節する方法、厚さを調節する方法、および、形成部材の熱伝導度を選択する方法の、2以上を併用することにより、第2高熱伝導部20bの熱抵抗を、第1高熱伝導部の熱抵抗よりも小さくしてもよい。
また、図7に示す熱電変換素子54のように、第2基板20に変えて、貫通しない溝部42aを有する金属シート42を用い、かつ、第2高熱伝導部20bの断面積を第1高熱伝導部12bの断面積よりも大きくして、第2高熱伝導部20bの熱抵抗を第1高熱伝導部12bの熱抵抗よりも小さくした構成としてもよい。
次に、本発明の熱電変換素子を複数用いる熱電変換モジュールについて説明する。
図8(A)〜図8(E)は、本発明の熱電変換素子10を、複数、直列に接続してなる、熱電変換モジュールの一例を概念的に示す図である。なお、図8(A)および図8(E)は正面図、図8(B)〜図8(D)は平面図である。
本例において、第1基板12Aおよび第2基板20Aはそれぞれ、矩形板状の低熱伝導材料の表面に、一方向に長尺な四角柱状の第1高熱伝導部12bおよび第2高熱伝導部20bそれぞれを、四角柱の低熱伝導部に接触する一辺の長さと等間隔で、四角柱の長手方向と直交する方向に配列してなる構成を有する。
すなわち、第1基板12Aおよび第2基板20Aは、一面の表面の全面が低熱伝導部で、他面の表面が、一方向に延在する低熱伝導部と高熱伝導部とが、延在方向と直交する方向に等間隔で交互に形成された構成を有する(図8(A)、図8(C)および図8(D)参照)。
また、図8(E)に示すように、第1高熱伝導部12bの低熱伝導部とは反対側の面には、長尺な四角柱状の接合部材22が配置されている。図に示すように、面方向において、接合部材22は第1高熱伝導部12bと同様の大きさ、形状を有し、第1高熱伝導部12b上に配置される。
図8(D)および図8(E)に示すように、第1基板12Aには、第1高熱伝導部12bの間に、第1高熱伝導部12bと同方向に長尺な第3高熱伝導部12cが形成される。また、前述のように、第3高熱伝導部12cは、第1高熱伝導部12bおよび接合部材22の合計厚みよりも薄い。
また、図示は省略するが、第3高熱伝導部12cと第2基板20Aの第2高熱伝導部20bとは、低熱伝導部および被覆層よりも熱伝導率が高い接続部材で接続されている。
図8(C)に示すように、熱電変換層16は矩形の面形状を有し、第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである側の表面に、低熱伝導部12aと第1高熱伝導部12bとの境界と中心とを面方向で一致させて形成される。
熱電変換層16の図8(C)の横方向の大きさは、第1高熱伝導部12bの幅に対して0.5倍から2.0倍未満の間に設定される。以下、図8(C)の横方向を単に『横方向』とも言う。すなわち、横方向とは、低熱伝導部12aと第1高熱伝導部12bとの交互の配列方向である。また、第1高熱伝導部12bと熱電変換層16は、面方向に少なくとも一部が重複するように形成される。
熱電変換層16は、横方向に、低熱伝導部12aと第1高熱伝導部12bとの境界に対して、1境界置きに等間隔で形成される。すなわち、熱電変換層16は、横方向の中心が、第1高熱伝導部12bの幅の2倍の距離と同じ間隔で等間隔に形成される。
また、熱電変換層16は、横方向に等間隔に配列された熱電変換層16の列が、図8(C)の上下方向に等間隔で配列されるように、二次元的に形成される。以下、図8(C)の上下方向を単に『上下方向』とも言う。すなわち、上下方向とは、低熱伝導部12aと第1高熱伝導部12bの延在方向である。
さらに、図8(C)に示すように、熱電変換層16の横方向の配列は、上下方向に隣接する列では、第1高熱伝導部12bの幅の分だけ、横方向にズレて形成される。すなわち、上下方向に隣接する列では、熱電変換層16は、横方向の中心が、第1高熱伝導部12bの幅の分だけ、互い違いに形成される。
ここで、本発明においては、第3高熱伝導部12cと熱電変換層16は、面方向に少なくとも一部が重複するように形成される。
各熱電変換層16は、電極26(第2電極28)によって直列に接続される。具体的には、図8(C)に示すように、図中横方向の熱電変換層16の配列において、電極26が、各熱電変換層16を横方向に挟むように設けられる。これにより、横方向に配列された熱電変換層16が、電極26によって直列に接続される。なお、図8(C)では、構成を明確にするために、電極26に網掛けをしている。
熱電変換層16の横方向の列の端部では、上下方向に隣接する列の熱電変換層16が、電極26によって接続される。この横方向の列の端部での電極26による上下方向の熱電変換層16の接続は、一方の端部の熱電変換層16は上側の列の同側端部の熱電変換層16と接続され、他方の端部の熱電変換層16は下側の列の同側端部の熱電変換層16と接続される。
これにより、全ての熱電変換層16が、横方向に、複数回、折り返した1本の線のように直列で接続される。
図8(B)に概念的に示すように、熱電変換層16および電極26の上に、第2基板20Aの全面が低熱伝導部20aである側を下方にして、かつ、第1基板12Aの低熱伝導部12aと第1高熱伝導部12bとの境界と、第2基板20Aの低熱伝導部20aと第2高熱伝導部20bとの境界を一致させて、第2基板20Aが積層される。
この積層は、第1基板12Aの第1高熱伝導部12bと第2基板20Aの第2高熱伝導部20bとが、互い違いになるように行われる。
なお、図示はされないが、第2基板20Aの積層に先立ち、第1基板12Aを全面的に覆うように、熱電変換層16および電極26の上に粘着層18が形成される。
従って、第1基板12Aの第1高熱伝導部12bと、第2基板20Aの低熱伝導部のみの領域とが面方向に一致して対面し、かつ、第1基板12Aの低熱伝導部12aおよび第3高熱伝導部12cが形成された領域と、第2基板20Aの第2高熱伝導部20bが形成された領域とが面方向に一致して対面する。また、第1基板12Aにおいて第1高熱伝導部12bの間に形成される第3高熱伝導部12cは、面方向に第2高熱伝導部20bと重複する。
これにより、本発明の熱電変換素子10を、複数、直列に接続してなる、本発明の熱電変換モジュールが構成される。
ここで、前述のように、熱電変換層16の横方向の配列は、上下方向に隣接する列では、熱電変換層16の横方向の中心線が、第1高熱伝導部12b(すなわち第2高熱伝導部20b)の幅の分だけ、横方向にズレて形成される。すなわち、上下方向に隣接する列では、熱電変換層16は、熱電変換層16の横方向の中心線が、第1高熱伝導部12bの幅の分だけ、互い違いに形成される。
そのため、折り返した1本の線のように直列に接続された熱電変換層16は、接続方向の一方向の流れにおいて、全ての熱電変換層16が、一方の半分が第1基板12Aの第1高熱伝導部12bと第2基板20Aの低熱伝導部20aのみの領域とに対面し、他方の半分が第1基板12Aの低熱伝導部12aのみの領域と第2基板20Aの第2高熱伝導部20bとに対面する。
例えば、図8(C)の上から下への直列の接続方向で見た場合には、図8(A)〜図8(C)に示すように、全ての熱電変換層16が、上流側半分が第1基板12Aの第1高熱伝導部12bおよび第2基板20Aの低熱伝導部20aのみの領域に対面し、下流側の半分が第1基板12Aの低熱伝導部12aのみの領域および第2基板20Aの第2高熱伝導部20bに対面する。
従って、第1基板12A側に熱源を配置した際に、直列に接続された全ての熱電変換層16で、接続方向に対する熱の流れ方向すなわち発電した電気の流れ方向が一致し、熱電変換モジュールが適正に発電を行うことができる。
以下に、図8(A)〜図8(E)に示す熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明する。なお、熱電変換素子は、この熱電変換モジュールの製造方法に準じて製造できる。
まず、低熱伝導部12a、第1高熱伝導部12b、および、第3高熱伝導部12cを有する第1基板12A(第1基板12)、および、低熱伝導部20a、および、第2高熱伝導部20bを有する第2基板20A(第2基板20)を用意する。
第1基板12Aおよび第2基板20Aは、フォトリソグラフィー、エッチング、真空蒸着、スパッタリング、印刷技術等を利用して、公知の方法で作製すればよい。
例えば、ポリイミドの両面に銅が積層された銅張ポリイミドフィルムを用意する。この銅張ポリイミドフィルムは、市販品も利用可能である。
この銅張ポリイミドフィルム一面を全てエッチングし、もう一方の面を目的とする高熱伝導部等のパターンとなるようにエッチング(ハーフエッチング)して不要な銅を除去することにより作製することができる。また、低熱伝導部となるシート状物を用意し、このシート状物に、帯状の高熱伝導部を長手方向と直交する方向に貼着し、さらに、高熱伝導部の形成領域外に所定形状の接続部材を貼着して、第1基板12Aおよび第2基板20Aを作製する方法も利用可能である。
次いで、第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである面の熱電変換層16に対応する位置に、熱電変換層16を面方向で挟むように、電極26および電極28を形成する。
電極26および電極28の形成は、メタルマスクを用いる真空蒸着法など、電極26および電極28の形成材料等に応じて、公知の方法で行えばよい。
また、電極26および電極28の形成に先立ち、電極の形成面にクロム層などの密着層を形成してもよい。
次いで、第1基板12Aの全面が低熱伝導部12aである面の目的とする位置に、熱電変換層16を形成する。なお、図示例の熱電変換素子10においては、熱電変換層16が、電極26および電極28の端部を覆うように形成する。
熱電変換層16は、用いる熱電変換材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。
例えば、熱電変換材料とバインダとを有する塗布組成物を調製して、この塗布組成物をスクリーン印刷やインクジェット等の公知の方法でパターンニングして塗布して、乾燥し、バインダを硬化することにより、バインダに熱電変換材料を分散してなる熱電変換材料を形成する方法が例示される。
また、熱電変換材料としてCNTを用いる場合には、分散剤(界面活性剤)を用いてCNTを水に分散してなる塗布組成物を調製して、この塗布組成物を同様に公知の方法でパターンニングして塗布して、乾燥することにより、主にCNTと界面活性剤とから熱電変換層を形成する方法が例示される。この際においては、塗布組成物を乾燥した後、アルコール等の分散剤を溶解する洗浄剤で熱電変換層を洗浄することで分散剤を除去し、その後、洗浄剤を乾燥することにより、実質的にCNTのみからなる熱電変換層とするのが好ましい。洗浄は、熱電変換層を洗浄剤に浸漬する方法や、熱電変換層を洗浄剤で濯ぐ方法等で行えばよい。
また、熱電変換材料として無機材料を用いる場合には、真空蒸着やスパッタリング等の気相成膜法によって、メタルマスク等を用いる公知の方法で、熱電変換層をパターン形成する方法が例示される。
あるいは、第1基板12の全面に熱電変換層を形成して、エッチング等によって、熱電変換層16をパターン形成してもよい。
次いで、第1基板12Aの全面に対応して、熱電変換層16、電極26および第2電極28を覆って、粘着層18を形成する。
粘着層18は、粘着層18の形成材料に応じて、塗布法等の公知の方法で形成すればよい。また、両面テープや粘着フィルムを利用して粘着層18を形成してもよい。
あるいは、第1基板12Aに粘着層18を形成するのではなく、第2基板20Aの第2高熱伝導部20bが形成されていない面に粘着層18を形成して、第1基板12Aに貼着してもよい。
さらに、粘着層18の上に、第2基板20Aの全面が低熱伝導部20aである面を粘着層18側に向けて、第1基板12の第1高熱伝導部12bと第2基板20の第2高熱伝導部20bとが、離間方向に異なる位置となるように、第2基板20Aを積層して、熱電変換モジュール(熱電変換素子10)を作製する。
本発明の熱電変換モジュール(熱電変換素子)を熱源に接着し、発電する際には、熱伝導接着シートや熱伝導性接着剤を用いてもよい。
熱電変換モジュールの加熱側、もしくは冷却側に貼付して用いられる熱伝導接着シートおよび熱伝導性接着剤には特に限定はない。従って、市販されている熱伝導接着シートや熱伝導性接着剤を用いることができる。熱伝導接着シートとしては、例えば、信越シリコーン社製のTC−50TXS2、住友スリーエム社製のハイパーソフト放熱材 5580H、電気化学工業社製のBFG20A、日東電工社製のTR5912F等を用いることができる。なお、耐熱性の観点から、シリコーン系粘着剤からなる熱伝導接着シートが好ましい。熱伝導性接着剤としては、例えば、スリーエム社製のスコッチ・ウェルドEW2070、アイネックス社製のTA−01、シーマ電子社製のTCA−4105、TCA−4210、HY−910、薩摩総研社製のSST2−RSMZ、SST2−RSCSZ、R3CSZ、R3MZ等を用いることができる。
熱伝導接着シートや熱伝導性接着剤を用いることで、熱源との密着性が向上して熱電変換モジュールの加熱側の表面温度が高くなる、冷却効率が向上して熱電変換モジュールの冷却側の表面温度を低くできるなどの効果により、発電量を高くすることができる。
さらに、熱電変換モジュールの冷却側の表面には、ステンレス、銅、アルミ等の公知の材料からなる放熱フィン(ヒートシンク)や放熱シートを設けてもよい。放熱フィン等を用いることで、熱電変換モジュールの低温側をより好適に冷却することができ、熱源側と冷却側との温度差が大きくなり、熱電効率がより向上する点で好ましい。
なお、本発明の熱電変換モジュール(熱電変換素子)では、通常、第2基板20A側が冷却側になる。
放熱フィンとしては、太陽金網社製のT−Wing、事業創造研究所製のFLEXCOOLや、コルゲートフィン、オフセットフィン、ウェービングフィン、スリットフィン、フォールディングフィンなどの各種フィンなどの公知のフィンを用いることができる。特に、フィン高さのあるフォールディングフィンを用いるのが好ましい。
放熱フィンのフィン高さとしては10〜56mm、フィンピッチとしては2〜10mm、板厚としては0.1〜0.5mmが好ましく、放熱特性が高く、モジュールの冷却ができ発電量が高くなる点で、フィン高さが25mm以上であるのがより好ましい。また、フィンのフレキシブル性が高い、軽量である等の点で、板厚0.1〜0.3mmのアルミ製を用いるのが好ましい。
また、放熱シートとしては、パナソニック社製のPSGグラファイトシート、沖電線社製のクールスタッフ、セラミッション社製のセラックα等の公知の放熱シートを用いることができる。
このような本発明の熱電変換素子は、各種の用途に利用可能である。
一例として、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機などの発電機や、腕時計用電源、半導体駆動電源、小型センサ用電源などの各種装置(デバイス)の電源等、様々な発電用途が例示される。また、本発明の熱電変換素子の用途としては、発電用途以外にも、感熱センサや熱電対などのセンサー素子用途も例示される。
以上、本発明の熱電変換素子について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げて、本発明の熱電変換素子について、より詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(両面銅張ポリイミド基板の処理)
接着剤フリーの両面銅張ポリイミド基板(FELIOS R-F775、パナソニック電工社製)を用意した。この銅張ポリイミド基板は、サイズが110×80mmで、ポリイミド層の厚さが20μm、Cu層の厚さが70μmのものである。
この両面銅張ポリイミド基板の一面の銅層を、エッチング処理により完全に除去した。
(第1基板の作製)
一面の銅層を除去した銅張ポリイミド基板の残った銅層をエッチングして、厚さが70μmで、幅が0.75mmで、1.5mmピッチの銅ストライプパターン1を形成した。
これにより、厚さが70μmで、幅が0.75mmの帯状の第1高熱伝導部12bを、1.5mmピッチで有する、図8(D)および図8(E)に示すような第1基板12Aを作製した。
(第2基板の作製)
また、一面の銅層を除去した銅張ポリイミド基板の残った銅層をエッチングおよびハーフエッチングして、厚さが70μmで、幅が0.75mmで、間隔が0.75mmの銅ストライプパターン2を形成した。
これにより、厚さが70μmで、幅が0.75mmの帯状の第2高熱伝導部20bを、0.75mm間隔で有する、図8(A)および図8(B)に示すような第2基板20Aを作製した。
(電極および熱電変換層の作製)
第1基板12Aの全面がポリイミドである面(平坦な面)の全面に、真空蒸着法によって、厚さ0.05μmのクロムからなる密着層を形成した。次いで、次に形成する熱電変換層16の形成位置に応じて、真空蒸着法によって、厚さ0.5μmの銅からなる電極26を形成した。なお、電極は、メタルマスクを用いてパターン形成した。
さらに、電極26の離間方向の端部を覆うように、真空蒸着法によって、厚さ1μmのニッケルからなる熱電変換層16を形成した。熱電変換層16は、メタルマスクを用い、0.75×1.5mmのパターンを1185個形成した。
熱電変換層16は、第1高熱伝導部12bと低熱伝導部12aとの境界(銅ストライプパターン1の境界)と、0.75×1mmのパターンの0.75mm側の中心とが一致するように形成した(図8(C)参照)。
(熱電変換モジュールの作製)
一方で、第2基板20Aの全面がポリイミドである面(平坦な面)の全面に、粘着層18として、厚さ30μmの粘着剤(両面テープNo.5630、日東電工製)を貼着した。次いで、0.4MPa、40℃で、20分、オートクレーブ処理を行った。
オートクレーブ処理を行った第2基板と、熱電変換層を形成した第1基板とを、第2高熱伝導部20bと、第1高熱伝導部12bとの長手方向と一致させて、かつ、第2高熱伝導部20bと第1高熱伝導部12bとが面方向すなわち横方向に一致しないように積層、貼着した。
(接合部材の形成)
次に、第1高熱伝導部12bの上に接合部材22を形成した。
接合部材22としては、フィラーとして炭素繊維を樹脂中に垂直配向した、厚さ1mmの熱伝導シート(ポリマテック製PT−V)を用いた。
この熱伝導シートを幅0.75mmに切断して、第1高熱伝導部12bに貼着し、厚さ1mmの接合部材22を形成することで、本発明の熱電変換素子が多数配列された熱電変換モジュールを作製した。
[実施例2]
接合部材22の形成材料として銀ペースト(藤倉化成社製FA−333)を用いた以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
具体的には、銅層をエッチングして第1高熱伝導部12bを形成した第1基板12Aの第1高熱伝導部12b上に、銀ペーストをメタルマスク印刷法で塗布し、焼成して接合部材22を形成した。
[実施例3]
接合部材22の厚みを2mmとした以外は実施例2と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例4]
さらに、接合部材22の、第1高熱伝導部12bとは反対側の面に熱伝導シート24を配置した以外は実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
熱伝導シート24としては、厚さ0.1mmのグラファイトシート(パナソニック社製EYGA091210M)を用いた。このグラファイトシートは、面方向の熱伝導率が700W/(m・K)で、厚み方向の熱伝導率が5W/(m・K)である。
[実施例5]
さらに、接合部材22の、第1高熱伝導部12bとは反対側の面に、実施例4と同様の熱伝導シート24を配置した以外は実施例2と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例6]
さらに、接合部材22の、第1高熱伝導部12bとは反対側の面に、実施例4と同様の熱伝導シート24を配置した以外は実施例3と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例7]
以下のようにして作製した、第3高熱伝導部12cを有する第1基板12Aを用いる構成とした以外は、実施例5と同様にして熱電変換モジュールを作製した(図4参照)。
(第1基板の作製)
一面の銅層を除去した銅張ポリイミド基板の残った銅層をエッチングおよびハーフエッチングして、厚さが70μmで、幅が0.75mmで、1.5mmピッチの銅ストライプパターン1と、厚さが30μmで、幅が0.2mmで、1.5mmピッチの銅ストライプパターン2とを形成した。銅ストライプパターン1と銅ストライプパターン2とは、互いのスペースが0.275mmの配置とした。
これにより、厚さが70μmで、幅が0.75mmの帯状の第1高熱伝導部12bを、1.5mmピッチで有し、厚さが30μmで、幅が0.2mmの帯状の第3高熱伝導部12cを、1.5mmピッチで有する、図8(D)および図8(E)に示すような第1基板12Aを作製した。
[実施例8]
第1高熱伝導部12bの幅を0.4mmとした以外は、実施例7と同様にして熱電変換モジュールを作製した(図6参照)。
[実施例9]
第2基板20Aに代えて、以下のようにして作製した溝部を有する金属シートを用いる構成とした以外は、実施例7と同様にして熱電変換モジュールを作製した(図5参照)。
(溝部を有する金属シートの作製)
サイズが110×80mmで厚さ0.2mmの銅箔を用意した。
この銅箔にハーフエッチング処理を行い、深さが0.075mmで、幅が0.8mmの溝状の凹部を1.5mmピッチでストライプ状に形成した。
これにより、厚さが0.2mmの銅製で、深さが0.075mmで幅が0.8mmの溝部を、長手方向と直交する方向に1.5mmピッチで有する、溝部を有する金属シートを作製した。
(熱電変換モジュールの作製)
第2基板20Aに変えて、この金属シートの溝部の形成面に粘着層18を形成して、溝部の長手方向と第1高熱伝導部12bの長手方向と一致し、かつ、溝部と第1高熱伝導部12bとが幅方向で重複するように、第1基板12Aの熱電変換層16の形成面に貼着し、熱電変換モジュールを作製した。
従って、本例では、金属シートの溝部形成部以外の部分が第2高熱伝導部であり、第2高熱伝導部の幅は、0.7mmである。また、本例では、第1基板12Aの第1高熱伝導部12bと、金属シートの第2高熱伝導部20bとは、対面する側の端部が離間方向で0.1mm離間している(離間距離0.1mm)。
[実施例10]
第2基板20Aに代えて、実施例9と同様の溝部を有する金属シートを用いる構成とした以外は、実施例8と同様にして熱電変換モジュールを作製した(図7参照)。
[実施例11]
熱伝導シート24として、以下のようにして形成した熱伝導シート24を用いた以外は、実施例7と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
実施例4の熱伝導シート24と同様のグラファイトシートに、幅0.75mm、深さ0.05mmの溝を1.5mmピッチで形成した。溝の加工は、サンドブラスト加工で行った。
一方で、実施例2と同様にして、銀ペーストを焼成した接合部材22を、第1高熱伝導部12b上に形成した。
グラファイトシートに形成した溝にディスペンサーで銀ペースト(藤倉化成製FA−705BN)を充填し、接合部材22を嵌合して、加熱硬化することで熱電変換モジュールを作製した。
第1高熱伝導部12bと熱伝導シート24との間の間隙、すなわち、接合部材22の実質的な厚さは、1mmである。
[実施例12]
実施例11と同様に、熱伝導シート24に溝を形成して、この溝に接合部材22を嵌合する構成とした以外は、実施例8と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例13]
実施例11と同様に、熱伝導シート24に溝を形成して、この溝に接合部材22を嵌合する構成とした以外は、実施例9と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例14]
実施例11と同様に、熱伝導シート24に溝を形成して、この溝に接合部材22を嵌合する構成とした以外は、実施例10と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例15]
第1高熱伝導部12bと熱伝導シート24との間の間隙、すなわち、接合部材22の実質的な厚さを2mmとした以外は、実施例11と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例16]
第1高熱伝導部12bと熱伝導シート24との間の間隙、すなわち、接合部材22の実質的な厚さを2mmとした以外は、実施例12と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例17]
第1高熱伝導部12bと熱伝導シート24との間の間隙、すなわち、接合部材22の実質的な厚さを2mmとした以外は、実施例13と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[実施例18]
第1高熱伝導部12bと熱伝導シート24との間の間隙、すなわち、接合部材22の実質的な厚さを2mmとした以外は、実施例14と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[比較例1]
接合部材22を有さない以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
[比較例2]
接合部材22に代えて、実施例1で接合部材22として用いた熱伝導シートをシート状のまま第1基板12Aの第1高熱伝導部12b側に配置した以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
すなわち、比較例2は、接合部材が第1高熱伝導部に合わせてパターニングされていない構成とした。
[比較例3]
接合部材22に代えて、実施例2で接合部材22として用いた銀ペーストをシート状に焼成し、第1基板12Aの第1高熱伝導部12b側に配置した以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
すなわち、比較例3は、接合部材が第1高熱伝導部に合わせてパターニングされていない構成とした。
(発電量の評価)
作製した熱電変換モジュールの第1高熱伝導部12b(接合部材22)側を、熱伝導接着シート(信越化学工業社製、TC−50TXS2)を用いて、ホットプレートの加熱面に接着した。
また、熱電変換モジュールの第2高熱伝導部20bの上に熱伝導接着シート(信越化学工業社製、TC−50TXS2)をさらに接着した。さらに、アルミ製のフォールディングフィン(サイズ50×60mm、高さ30mm、ピッチ7mm、板厚0.5mm、最上インクス社製)を熱電変換モジュールの曲面に追随するように固定した。なお、フォールディングフィンは第2高熱伝導部20bの形成領域上のみに固定した。
ホットプレートの温度を120℃、室内温度を20℃に設定し、発電量を測定した。測定方法は、直列に接続した最上流の熱電変換層16の電極および最下流の熱電変換層16の電極と、ソースメーター(ケースレー社製、ソースメーター2450)とを接続し、開放電圧と短絡電流とを計測し、下記式から発電量を求めた。
(発電量)=0.25×(開放電圧)×(短絡電流)
比較例2の発電量を1として、各実施例および比較例の発電量の相対値を求めた。
結果を下記の表1に示す。
表1に示されるように、第1高熱伝導部12b上に接合部材を有する本発明の熱電変換モジュールは、比較例に比して、大きな発電量が得られる。
また、実施例2と実施例3との対比、実施例5と実施例6との対比、実施例11〜14と実施例15〜18との対比から、接合部材の厚みは2mm以上が好ましいことがわかる。
また、実施例1〜3と実施例4〜6との対比から、接合部材22上に熱伝導シート24を配置するのが好ましいことがわかる。
また、実施例7〜10と実施例11〜14との対比から、熱伝導シート24と接合部材22とを嵌合するのが好ましいことがわかる。
また、実施例5と実施例7との対比等から、第1基板12が第3高熱伝導部12cを有するのが好ましいことがわかる。
また、実施例7と実施例8との対比、実施例11と実施例12との対比、実施例15と実施例16との対比から、第1高熱伝導部12bの幅を狭くする、すなわち、第1高熱伝導部12bの熱伝導率を小さくすることが好ましいことがわかる。
また、実施例7と実施例9との対比、実施例11と実施例13との対比、実施例15と実施例17との対比から、第2基板20として溝部を形成した金属シートを用いることが好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10、40、46、50、52、54 熱電変換素子
12、12A 第1基板
12a 低熱伝導部
12b 第1高熱伝導部
12c 第3高熱伝導部
16 熱電変換層
18 粘着層
20、20A 第2基板
20a 低熱伝導部
20b 第2高熱伝導部
22 接合部材
24 熱伝導シート
26、28 電極
30 熱源
32 放熱手段
42 金属シート
42a 溝部

Claims (10)

  1. シート状の低熱伝導部、ならびに、前記低熱伝導部に設けられる、前記低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第1高熱伝導部、を有する基板と、
    前記基板に設けられる熱電変換層と、
    前記熱電変換層を覆う被覆層と、
    前記被覆層に設けられる、前記被覆層よりも熱伝導率が高く、かつ、面方向に前記第1高熱伝導部と完全に重複しない第2高熱伝導部と、
    面方向に前記熱電変換層を挟んで前記熱電変換層に接続される一対の電極と、
    前記第1高熱伝導部の、前記熱電変換層とは反対側の面に設置される接合部材と、を有することを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記接合部材は、厚み方向における熱伝導率が、面方向における熱伝導率よりも高い請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記接合部材の形成材料が、金属、合金、および、フィラーを垂直配向した樹脂のいずれかである請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記接合部材の、前記第1高熱伝導部とは反対側の面に配置される、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも高い熱伝導シートを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  5. 前記熱伝導シートが凹部を有し、
    前記接合部材が前記熱伝導シートの凹部に嵌合している請求項4に記載の熱電変換素子。
  6. 前記第2高熱伝導部の熱抵抗が、前記第1高熱伝導部の熱抵抗よりも小さい請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  7. 前記基板は、前記低熱伝導部よりも熱伝導率が高い第3高熱伝導部を有し、
    前記第3高熱伝導部の厚みは、前記第1高熱伝導部と前記接合部材との合計厚みよりも薄く、さらに、面方向に前記第1高熱伝導部と離間し、かつ、面方向に前記熱電変換層および第2高熱伝導部と少なくとも一部が重複する請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  8. 前記被覆層が、樹脂製のシート、あるいはさらに、前記樹脂製のシートと前記熱電変換層との間に設けられる粘着層からなるものであり、
    前記第2高熱伝導部が、金属製で、前記被覆層の前記熱電変換層と逆側の面に設けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  9. 前記被覆層が粘着性を有するものであり、さらに、
    前記第2高熱伝導部が、貫通しない溝を有する金属製のシートであり、
    前記金属製のシートは、前記溝の少なくとも一部が面方向に前記第1高熱伝導部と重複するように、前記溝を前記被覆層に向けて前記被覆層に設けた構成を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
  10. 前記基板の前記低熱伝導部が樹脂製であり、
    前記第1高熱伝導部が、金属製で、前記低熱伝導部の前記熱電変換層と逆側の面に設けられる請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
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