JP2017092259A - 多層プリント配線基板におけるバックドリル加工方法及び基板加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
以上のように、バックドリル加工に際して、これらのバラツキによって最大±120μmの誤差が生じることとなる。そのため、そのバラツキを解消すべく、前記各バラツキの中で大きな割合を占める加工台の高さのバラツキを解消しようとしても、そのためにはメンテナンス及び修復のために高度且つ精密な技術が必要とされ、時間及びコストとして過分のものが掛かるにかかわらず、せいぜい±20μm程度の誤差にしかバラツキを縮小できなかった。その結果、それだけの時間とコストを掛けても、やはり±90μm程度の誤差が存在し、設計値である基準残し代に対して、±50μm程度の誤差で正確にバックドリル加工の深さ制御をしたいという顧客(基板メーカー)の要求仕様に答えることが困難であった。
スピンドルのドリルが検出対象物に接触することによって下降距離情報を検出してなる下降距離情報検出機構を有するとともに、
下記1乃至5各記載の位置情報等がそれぞれ記録される記憶媒体を有し、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにスルーホールの穴部に施されたメッキ部の層の所定厚さ及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体層となる下板 において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板の各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出する抽出機構と、
下記式に基づき個別バックドリル加工深さL2cを算出する算出機構を有して、
その算出された個別バックドリル加工深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなるものである。
L2c=Lnd×(L2m−αave)/L2d−td+角tan1
Lnd=設計上の基準余長
L2m=加工台上の下板上に載置された多層プリント配線基板あるいはその母板の、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値。
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
角tan1=スルーホールのメッキ部の層の所定の厚さ×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2}
第1に、下板をエリア毎に区分して、そのエリア毎に測定ポイントを抽出した上、その測定ポイントの高さ位置情報からそのエリアの高さの平均値を算出し、また、その一方で当該エリアに対応する位置に存する、基板のバックドリル加工位置を抽出して、その測定された高さから前記下板の当該エリアにおける高さの平均値を控除することで(すなわち、L2m−αaveの計算式により)、そのバックドリル加工位置における基板自体の厚さを正確に検出することができる。そしてこの検出されたバックドリル加工位置における基板自体の厚さと、基板自体の設計上の厚さとの相違の関係は、所望の導体層の基板における実際の厚さ位置と、その設計上の厚さ位置との相違の関係と相関関係にあることから、基板自体を破壊することなくしては測定しえない所望の導体層の実際の厚さ位置を、当該相関関係に従って修正することによって認識することができ、各バックドリル加工位置毎に異なる誤差に合わせて、より精緻なバックドリル加工が可能となる。更に、バックドリル加工を行うドリルの有する先端角によって、基板のバックドリル加工位置の高さ情報は、ドリルの傾斜部が、スルーホールの穴部に施されたメッキ部の、穴部に対する内側に接触したことにより検出される。その一方で、残し代の上端部は、穴部に対して外側が長く、内側が短く傾斜して切削されることとなり、設計上の基準残し代の長さは、この外側の長い方で規定される。そのため、所望の導体層までの余長部となるメッキ部の長さが算出され、その長さから設計上の基準残し代の長さを控除した位置は、メッキ部の外側で規定されることとなる。しかし、その位置まで、バックドリル加工を行うには、ドリル先端に傾斜部が存在し、しかも前述のように基板の高さ位置の測定は、ドリルの傾斜部が、スルーホールの穴部に施されたメッキ部の、穴部に対する内側に接触したことにより検出されることから、メッキ部の内側においては、その外側の位置よりも深くまで加工される必要がある。すなわち、メッキ部の厚みに対するその内側と外側との高さ位置のズレが生じることとなり、その高さのズレは角tan1を算出することで修正される。これらの結果、バックドリル加工後のスルーホールに残存させる設計値としての残し代を短く設定しても、正確にその残し代の長さを実現できることとなる。そのため、大きな誤差を前提とした残し代を定める必要がなくなり、残し代自体を短く設定して、正確にその寸法を実現することで、残存する余長部から生じるノイズ等の不具合の発生を抑制することができる。しかも、この加工深さ制御機構は、既存のスピンドルのドリルを用いた下降距離情報検出機構に記憶媒体、抽出機構及び算出機構を付加することによって構成することができるものであって、下降距離情報検出機構を有する基板加工装置を低コストで改造することを可能にするものである。
第2に、プローブのようなドリルとは別体となるもので下降距離情報を検知せず、バックドリル加工に使用するドリル自体で下降距離情報を検知することから、検知に際しての高さ方向の原点となるゼロ点の位置のズレによる誤差の発生を防止することができる。
第3に、加工装置側においてコンピュータによる制御を行うものであることから、多層プリント配線基板側において、特別のクーポンや配線を行うという必要がなく、基板自体の製造コストを抑えることができる。
下記1乃至5各記載の位置情報等を記憶媒体に記録するとともに、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにスルーホールの穴部に施されたメッキ部の層の所定厚さ及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体となる下板において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板の各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出した上で、
下記式に基づき自動計算された個別バックドリル深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなるものである。
L2c=Lnd×(L2m−αave)/L2d−td+角tan1
Lnd=設計上の基準余長
L2m=加工台上の下板上に載置された多層ブリント配線基板あるいはその母板の、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
角tan1=スルーホールのメッキ部の層の所定の厚さ×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2}
尚、ドリルの先端がスルーホールの穴部を進行することによってメッキ部が切削されて行くものの、ドリルにおいてメッキ部を切削するのは傾斜部であって、その先端角頂部ではない。そのため、ドリルの先端角頂部の位置と、余長部の残し代を画するドリルの傾斜部の位置との間にズレが生じるだけでなく、残し代の上端部は、穴部に対して外側が長く、内側が短く傾斜して切削されることとなる。そのため、基準残し代の長さとしては、穴部に対して外側となる先端位置において規定されることとなるが、その残し代となるメッキ部の内側と外側の高さのズレは、メッキ部の所定の厚みに対する角tan1を算出することで修正される。すなわちスルーホールのメッキ部の層の所定の厚さ×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2}により算出された数値によって計算上で補正することで、バックドリル加工の加工深さの制御をより精密に行うことができるようにしたものである。
下記1乃至5記載の位置情報等を記憶媒体に記録するとともに、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにメッキ部を設ける前のバックドリル加工を行うスルーホールの穴部の半径及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体となる下板において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板上に厚さの既知であるアルミ上板を載置した状態で、その各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出した上で、
下記式に基づき自動計算された個別バックドリル深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなるものである。
L2c=Lnd×(L2m1−αave−tAL)/L2d−td+tAL+角tan2
Lnd=設計上の基準余長
L2m1=加工台上の下板上に載置された多層ブリント配線基板あるいはその母板に、更に既知の厚さを有するアルミ上板を載置・固定した状態での、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
tAL=アルミ上板の規定厚さ
角tan2=メッキ部を設ける前のスルーホールの半径×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2}
また、芯ズレによる誤差の発生を防止するという目的を、アルミ上板を基板の上に載置してバックドリル加工を行うことで実現するものであり、更に、アルミ上板を基板に載置して連続してバックドリル加工を行った際に生じる不具合を、当該アルミ上板の上に絶縁性の上板を載置することによって解消するものである。
スピンドルaは下降距離情報検出機構K内のバイパス回路5を介して筐体に接続しており、商用周波数やインバータ28の出力電圧が有する高調波に対しては電気的には筐体27と低インピーダンスとなっているのに対し、高周波発振器6からの電流の周波数に対しては高インピーダンスとなっている。スピンドルaのロータ2はスピンドル本体1に対してセラミックベアリングによって支持されていることから、各スピンドル本体1とロータ2間は絶縁されている。しかし、各スピンドル本体1とロータ2間には静電容量CRが存在することから、高周波的には導通していると言えることとなる(尚、図1において静電容量CRの存在を示すために、スピンドル本体1とロータ2間がコンデンサを介して接続されているように点線で記載されているが、この記載は単にスピンドル本体1とロータ2間に静電容量CRが存在していることを模式的に表すために記載したに過ぎないものであって、実際に何らかの接続や部品が存在している訳ではない。)。同様に、スピンドル本体1とビーム29間には静電容量CSが存在し(尚、ビーム29は筐体27に導通されていることとから、筐体27と同じ電位となるため、作図の都合上、静電容量CSはスピンドル本体1と筐体27間に記載している。)、また、スピンドル本体1と各モータ巻線23、24、25間には静電容量CU、CV、CWがそれぞれ存在し、更に、後述する下板111の下板上面銅箔層112と加工台26間には静電容量CPが存在している。
一方、スピンドルaにおいて、ロータ2とドリル3間は導通している。また、筐体27自体はアース32されている。
因みに、本実施例においては、下板111自体は後述するようにガラスエポキシ樹脂製の板であって絶縁物であるが、下板111自体をアルミ板製としてもよい。その場合、ドリルの下降距離情報検出に当たって、スピンドルaのドリル3先端が導体である検出対象物、例えば基板101の表面導体層107に接触すれば、変流器7の出力巻線16側に生じる電流が増加するだけで、検出器9が電流の変化を検出することは、下板111自体が絶縁物である場合と変わりない。
基板101の内部構造詳細は図2に 示すように多層構造となっている。ただし、本実施例においては説明の簡略化のために内装導体層及び絶縁層を2層及び3層としているが、実際にバックドリル加工が必要な基板は10層以上である。そしてこの基板101は、3層となった絶縁層103、104、105と表面及び裏面導体層107、108、並びに第1の絶縁層103と第2の絶縁層104との間の一部分において挟み込まれている第1の内層導体層102、及び第2の絶縁層104と第3の絶縁層105との間の一部分において挟み込まれている第2の内層導体層106からなっている。導体層102、106、107、108はいずれも銅箔であり、その厚さは12乃至25μmである。また、各絶縁層103、104、105は熱可塑性樹脂製であって、それぞれその厚さは50乃至100μmである。表面導体層107から裏面導体層108までを貫くスルーホールの穴部109が設けられており、その内周面は銅メッキされたメッキ部110となっている。そして、第1の内層導体層102を所望の内層導体層として、第1の内層導体層102の直近までスルーホールの穴部109に対してバックドリル加工、すなわち、表面導体層107側から第1の内層導体層102の直近まで、スルーホールの穴部109の径より若干大径のドリルによって、その穴部109に設けられたメッキ部110の銅メッキを削り取る加工をするものであり、その際の加工深さを正確且つ精密に制御することを目的としている。
また、バックドリル加工に際しては、加工台26上に下板111を載置して固定した上、その上に前記基板101を載置・固定して行うこととなる。その下板111は1500μmの厚さのガラスエポキシ樹脂製の板に、上面に下板上面銅箔層112を設けたものである。尚、下板111の上下面に銅箔層を設けても、あるいは下板111自体をアルミ板製としてもよいが、少なくとも下板111の上面が導体層であることが必要となる。
一方、逆バイパス回路18は、バイパス回路5と同一のリアクタL´と抵抗R´を同様に並列に接続してなり、その回路18の一端は変流器7のキャンセル巻線14の巻き終わりに接続し、他端は筐体27に接続している。
一方、下降距離情報の検出開始にあたり、Z軸駆動装置31によりスピンドルaが押し下げられ、例えば そのドリル3が基板101の表面導体層107に接触した場合、ドリル3には新たに、検出装置4の高周波発振器6を電源として、スピンドル本体1とロータ2間に生じる静電容量CRと、基板101の表面導体層107からスルーホールの穴部109のメッキ部110を通って導通する下板111の下板上面銅箔層112と加工台26間に生じる静電容量CPを介して略1MHzの高周波電流が流れるが、その電流は入力巻線13にしか流れず、キャンセル巻線14には流れないため、変流器7の鉄芯15はその新たな電流で励磁され、出力巻線16側に出力電流が発生することから、その電流の変化を、4個のダイオードからなる検波回路8を通して検出器9で検出することにより、スピンドルaのドリル3が基板101の所望の導体層である表面導体層107に接触したことが判明することとなる。尚、当然のことながら、下降距離情報の検出に際して、ドリル3と基板101の表面導体層107とが接触しても、ドリル3に高調波電流が流れることはなく、ドリル3表面のコーティングを損傷する等のドリルの寿命を損なうことがない。
加工台26上に載置・固定された下板111の上に載置・固定された基板101の高さ位置についての検出の場合と、下板111の下板上面銅箔層112に対するドリル3の接触によりその高さ位置を検出する場合は、その検出する対象物が異なるだけで、その正確な検出を可能とするメカニズムは上記と同様である。
すなわち、第1に、基板101は一定の設計上の厚さをもって製造されていることから、その設計上の基板厚さL2dが存在している。また、第一の内装導体層102を所望の導体層として、表面導体層107と裏面導体層108とを貫通するスルーホールにおいて、裏面導体層108と第一の内装導体層102とを結ぶメッキ部110を残して、その余のメッキ部110を削り取るバックドリル加工を行う場合、表面導体層107から所望の導体層である第一の内装導体層102までの長さを基準余長L2dと言う。そして、基板101の製造に際してどのように絶縁層と導体層とを構成するかは予め決定されていることから、その所望の導体層が特定されれば、この基準余長Lndは基板101の中における設計上の数値として特定されることとなる(図4参照)。
バックドリル加工によってメッキ部110を削り取ることとなるが、その際、メッキ部110の残し代110−1となるべき長さはゼロとなることが、理論上は一番望ましいことである。
一方、前述したように、裏面導体層108と所望の導体層である第一の内装導体層102とを結ぶメッキ部110を残して、その余のメッキ部110を削り取るバックドリル加工を行うに際しては、どうしても加工誤差が生じることから、予め設計上の残し代としての所定の寸法tdが定められている(図4参照)。
これらの基準余長L2d及び設計上の残り代の長さtdの数値をCNC制御回路Sの記憶媒体S1に記録させる。
また、スルーホールの穴部109に施されたメッキ部110の層の所定の厚さqとドリル3の先端角の角度θの数値をCNC制御回路Sの記憶媒体S1に記録させる。
また、例えば、一枚の基板101に100個のスルーホールを設けて、その100個のスルーホールそれぞれに対してバックドリル加工を施す場合、ここではエリア201毎の測定ポイント203(本実施例においては1個のエリア201に4個の測定ポイント203が存在する。)の平均値を使用することになるが、もしも迅速性あるいは経済性よりも正確性を期すならば、前記設例で言うならば、基板101を加工台26上の下板111に載置・固定した際に、そのバックドリル加工位置となる100個の穴部109それぞれに対応する下板111の位置を特定し、その各位置を測定ポイント203とすることになる。しかしこの方法では、基板101の100個の穴部109それぞれに対応する位置を下板111上で特定しなければならないことから、かなりの手間を要することとなり、時間とコストの増加を招来することとなる。ここではエリア201毎の下板111の高さ位置の平均値を求めることとして、迅速性及び経済性と正確性との両立を図ったものである。そのため、基板101あるいはその基板101を切り出す前の母板の大きさや、バックドリル加工を必要とする穴部110の数等とも、また、その必要とする正確性とも関連させて、下板111に設けるエリア201及びサブエリア202数を適宜に決定すればよい。
そして、下板111内の特定の位置を原点(すなわち縦横のXY座標として(0、0)となる位置)として定め、各エリア201毎にそれを識別する番号を付した上で、それぞれのエリア201の範囲を座標によって特定するとともに、各測定ポイント203の座標位置も特定する。前述のように本実施例には1個のエリア201に4個のサブエリア202が設けられ、その各サブエリア202の中心が測定ポイント203となることから、1個のエリア201に4個の測定ポイント203が存在することとなる。例えば、1番との識別番号を付したエリア201には1番から4番の測定ポイント203が、また、2番との識別番号を付したエリア201には5番から8番の測定ポイント203が存在することとなる。そのため、前記各エリア201毎に、そのエリア201内に存在する測定ポイント203を分類して、CNC制御回路Sの記憶媒体S1に記録させる。
この、各穴部109の位置における高さ位置の数値から、下板111の各エリア201毎の高さ位置の平均値を控除するというこの算式によって、加工台26自体に存在する傾斜や撓み、更に下板111自体に存在する傾斜や撓み等の、下板の高さ位置のズレを生じさせる諸要因は排除されることとなり、加工台26の水平や撓みを解消させるためのメンテナンスや精密な微調整手続を省略でき、また、下板111自体の厚さの精密さも要求されないこととなる。特に、加工台26の傾斜や撓みは、基板101の加工範囲において一般に約±50μmの誤差として現れ、更に、その上に載置される下板111にも傾斜や撓み更には下板111自体の製造に由来する誤差が存在することから、その加工台26自体が有する誤差と下板111自体の有する誤差が相まって、従来はバックドリル加工の深さ制御において、大きな誤差を発生させる要因となっていた。しかし、本実施例においては、前述のように各穴部109の位置における高さ位置の数値から、下板111の各エリア201毎の高さ位置の平均値を控除するという算式を適用することにより、ドリル3を使用した下降距離情報検出機構Kによる測定誤差として、下板111及び基板101(実際には、基板101の各穴部109)それぞれの高さ位置につき、±5μm程度の誤差が生じうることは避けがたいものの、両者の誤差を合計しても±10μm程度の誤差に収めることができるようになった。
その結果、バックドリル加工に際しての加工深さ制御の誤差が小さくなるだけでなく、加工台26の表面の傾斜や撓み等を厳密に補正するというメンテナンスや微調整手続も不要となるものである。
L2c=Lnd×(L2m−αave)/L2d−td+角tan1
Lnd=設計上の基準余長。
L2m−αaveの数値は、前記第7の工程で計算され記録されている。
L2d=設計上の基板101の厚さ。
td=設計上の残し代の長さ。
角tan1=スルーホールの穴部109に施されたメッキ部110の層の厚さq×tan{(180度−ドリル3の先端角の角度θ)÷2}
この算式において、(L2m−αave)/L2dによって、設計上の基板101厚さと、バックドリル加工を施す各穴部109の位置における実際の基板101厚さとの比が算出される。一方、所望の導体層である第一の内装導体層102の基板101内における高さ位置は設計上定まっていることから、この基板101の表面から当該第一の内装導体層102までの距離も当然設計上定まっている。この設計上の距離が基準余長Lndである。そして、基板101自体の設計上の厚さL2dと各穴部109における基板101の実際の厚さL2m−αaveとの比が、所望の導体層である第一の内装導体層102の基板101内における設計上の高さ位置すなわち基準余長Lndと、当該穴部109における基板101の実際の高さ位置から第一の内装導体層102の実際の高さ位置を控除した、基板101の表面から第一の内装導体層102までの実際の距離との比に等しい関係にあることが判った。そのため、基準余長Lndに、前記(L2m−αave)/L2dの算式によって算出される、設計上の基板101厚さL2dと、バックドリル加工を施す各穴部109の位置における実際の基板101厚さとの比を乗じることにより、所望の導体層である第一の内装導体層102の基板101内における実際の高さ位置、すなわち余長部の実際の長さが算出されることとなる。
前述したようにαaveは、その各穴部109が存在する下板111のエリア201毎の平均の高さを示す数値であることから、完全に厳密ではないかもしれないものの、経済性や迅速性との兼ね合いから個々の穴部109に対応する位置での下板111の高さ位置を測定して算出するよりも、合理性を有しているとはいえ、エリア201という概念を用いて平均値での算出を行っていること、また、そもそも測定精度の問題もあり、前記算出された当該穴部109における基板101の表面から所望の導体層までの実際の距離に誤差が存在しないということはできない。そのため、いわゆる安全係数として一定の残し代は必要となるが、本実施例のように当該穴部109における基板101の表面から所望の導体層までの客観的な実際の距離と、その算出された距離との間に誤差が少なければ、安全係数を低く見積もる、すなわちその残り代の長さも短く設定することができる。そのような意味で予め設定された残り代を基準残り代tdと言い、その基準残り代tdを、その算出された穴部109における基板101の表面から所望の導体層までの実際の距離から控除することとなる。
尚、前記各ステップの順序は一例であり、当然のことながら論理的に先後関係を有するステップ、すなわち例えば第8ステップにおける算出は、その算出に際して使用される各数値が事前に記録あるいは抽出あるいは算出されていなければならないという意味で、その先後関係に拘束されるものの、逆に第1ステップと第2ステップのように、論理的に先後関係を有さないものについては、本実施例として記載したステップの先後関係に拘束されるものではなく、先後関係を入れ替えることが可能である。
試験体及び設定の内容
縦横 33.5cm×50cm
絶縁層 熱可塑性樹脂であるガラスエポキシ樹脂による3層構造(裏面側から第1乃至第3の絶縁層とする)とし、それぞれ75μmの厚さとする。
導体層 銅箔により、試験体表面及び裏面並びに、第1絶縁層と第2絶縁層の間に第1内装導体層を、第2絶縁層と第3絶縁層の間に第2内装導体層を設け、それぞれの厚さを20μmとする。
Lnd 170μm
L2d 265μm
td 50μm
スルーホールのメッキ部の層の厚さ 40μm
ドリルの先端角角度 130度
下板の内容
縦横厚さ 33.5cm×50cm×1.5mm
素材 ガラスエポキシ樹脂
下板上面銅箔層の厚さ 20μm
このように上板301,302を使用する場合の実施例では、バックドリル加工の加工深さの制御のための測定や算式において、以下の点が異なるだけである。
すなわち、第1に、アルミ上板301は導電性であるものの、ベーク上板302は絶縁性であることから、加工台26上に下板111を載置・固定し、その上に基板101を載置・固定した上、更にアルミ上板301及びベーク上板302を載置・固定した状態で、基板101の各穴部109に該当するXY座標の位置における当該アルミ上板301の高さ位置L2m1を、ドリル3を使用した下降距離情報検出機構Kにより検出する。すなわち、実施例1において、下板111に載置・固定された基板101の各穴部109の高さ位置を下降距離情報検出機構Kにより検出していたのに代えて、当該各穴部109のXY座標位置に基づき、基板101上にアルミ上板301を載置・固定した状態で、各穴部109に該当するXY座標位置の高さ位置を測定する。この時、ベーク上板302は非導電性であることから、ドリル3が接触してもその位置情報が下降距離情報検出機構Kにより検出されることがなく、アルミ上板301にドリル3の先端角頂部3−1が接触して初めてその位置情報が下降距離情報検出機構Kにより検出されることとなる。そしてこの高さ位置を、実施例1における、加工台26上の下板111上に載置・固定された基板101の各穴部109の高さ位置に代えて、算式に使用する。当該アルミ上板301上の測定位置と、下板111のエリア201との対応関係を把握すること、また、その対応関係にあるエリア201の下板111の平均高さを控除すること等は、実施例1と同じである。
L2m1−αave−tAL
の算式によって、基板101の厚さを算出することとなる。尚、tALはアルミ上板301の厚さであって、後述するようにこの厚さは設計上設定されている。
すなわち、バックドリル加工を開始する前の、スピンドルaのドリル3の原点となるべき位置(高さを示すZ座標において0となる位置)からそのアルミ上板301までの下降距離をPとすると、この距離Pは加工台26上に下板111を載置・固定し、その上に基板101を載置・固定した上、更にその上にアルミ上板301を載置・固定した状態で、そのアルミ上板301にドリル3の先端角頂部3−1が接触することによって下降距離情報検出機構Kにより検知されることとなる。その時点では、ドリル3の先端角頂部3−1は実際のアルミ上板301の高さ位置と同じ高さ位置にあることとなる。そして、バックドリル加工に際しては、ドリル3の先端がスルーホールの穴部109を進行することによってメッキ部110が切削されて行くものの、ドリル3においてメッキ部110を切削するのは傾斜部3−2であって、その先端角頂部3−1ではないことから、ドリル3の先端角頂部3−1の位置と、余長部の残し代110−1を画するドリル3の傾斜部3−2の位置との間にズレが生じるだけでなく、残し代110−1の上端部は、穴部109に対して外側が長く、内側が短く傾斜して切削されることとなる。一方、設計上の残し代の長さtdは、穴部109に対して外側が長くなっている残し代110−1の先端部分で規定されることから、ドリル3の先端角頂部3−1の位置と、残し代110−1となるメッキ部110の外側の高さとのズレは、スルーホールの加工を行った際のスルーホール穴の半径(穴部109の半径とメッキ部110の厚さを加えたもの)に対する角tan2を算出することで修正される(図7参照)。
言い換えると、実施例1においても述べたように、メッキ部110の残し代110−1の上端部は、穴部109に対して外側が長く、内側が短く傾斜して切削されることとなることから、設計上の残し代の長さtdとしては、穴部109に対して外側となる先端位置において測定することとなる。そうすると、測定値に基づき、Lnd×(L2m1−αave−tAL)/L2dの算式により算出された実際の余長部の長さから、設計上の残し代の長さtdを控除した数値は、メッキ部110におけるバックドリル加工がなされる距離を示しているものの、ドリル3の先端角頂部3−1がアルミ上板301に接触してから、バックドリル加工の終了時点までの実際に必要となるドリル3の移動距離を示しているものではないこととなる。この実際に必要となるドリル3の移動距離を算出するためには、ドリル3の先端角頂部3−1の位置と、ドリル3の傾斜部3−2がメッキ部110に接触している位置(前述したように、残し代110−1の長さは穴部109に対する外側の位置で測定することから、残し代110−1となるメッキ部110の外側の位置)とのズレを修正する必要があり、以下の算式で導かれる数値(この数値が角tan2となる。)を加える必要がある。
角tan2=β×tan{(180度−ドリル先端角の角度θ)÷2}
β=スルーホールの加工を行った際のスルーホール穴の半径(穴部109の半径とメッキ部110の厚さを加えたもの)
その結果、各穴部109におけるバックドリル加工の各加工深さL2cは、以下の計算式により算出されることとなる。
L2c=Lnd×(L2m1−αave−tAL)/L2d−td+tAL+角tan2
Lnd=設計上の基準余長。
L2m1=加工台26上の下板111上に載置された基板101に、更に既知の厚さを有するアルミ上板301を載置・固定した状態での、下板111の各エリア201毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ。
αave=加工台26上の下板111の、各エリア201毎の測定ポイント203の実測高さの平均値。
L2d=基板101の設計上の厚さ。
td=設計上の残し代の長さ。
tAL=アルミ上板301の厚さ。
そして、少なくとも当該実施例における下降距離情報検出機構K1は従来より使用されて来た下降距離情報検出機構K1であることから、この下降距離情報検出機構K1を使用して、それに実施例1において説明した記憶、抽出、算出機構を有するCNC制御回路Sを組み込むことで、従前の基板加工装置をバックドリル加工の加工深さを正確且つ精密に制御しうる基板加工装置とすることができるものである。
尚、感電防止のために別の機構を設け、またドリルの損傷等についても配慮する必要がない場合には、前記バイパス回路5すら省略した下降距離情報検出機構を使用することも考えられる。
本実施例における下降距離情報検出機構K2は図9に記載するように、直列に配されたコンデンサ50とディップスイッチ51を1組として、該コンデンサとスイッチを複数組並列に配してなる模擬基板回路52を有するものである。すなわち、検出対象物たる基板101を基板加工装置Cの筐体27から絶縁して、筐体27内の加工台26上に、下板上面銅箔層112を有するガラスエポキシ樹脂製の下板111により絶縁して固定した上、高周波発振器6の一方はGNDライン11から前記筐体27に接続するとともに、前記模擬基板回路52の一方端子に接続し、もう一方の出力ライン12は、同方向に同巻数として巻き終わりと巻き初めとを接続した変流器7bの2個の入力巻線13、13aの中間に接続することにより、各入力巻線13、13aは逆巻の同巻数のコイルとなって、各入力巻線13、13aに同量の電流が流れた場合、変流器7bの鉄芯15に発生する磁束の方向は打ち消し合うこととなり、出力巻線16側には電流は発生しないこととなる。また、前記変流器7bの2個の入力巻線13、13aの各他端は、一方は検出対象物たる基板101の表面導体層107と、他方は前記模擬基板回路52の他方端子に接続されている。そして、検出対象物たる基板101の表面導体層107と筐体27間に生じる静電容量と略等しくなるよう模擬基板回路52のディップスイッチ51を調整することにより、各入力巻線13、13aに同量の電流が流れた場合、前記変流器7aに発生させる磁束の方向を互いに打ち消し合うようにして、スピンドルaのドリル3先端と検出対象物たる基板101の表面導体層107との接触によって生じる電流の変化を、変流器7aから出力される電流の変化として検出器9により検出してなる下降距離情報検出機構K3である。
K、K1、K2 下降距離情報検出機構
a スピンドル
1 スピンドル本体
2 ロータ
3 ドリル
3−1 先端角頂部
3−2 傾斜部
4 検出装置
5 バイパス回路
6 高周波発振器
7、7a、7b 変流器
8 検波回路
9 検出器
10 キャンセル回路
11 GNDライン
12 出力ライン
13、13a 入力巻線
14 キャンセル巻線
15 鉄芯
16 出力巻線
17−1 模擬回路
17−2 模擬回路
17−3 模擬回路
17−4 模擬回路
18 逆バイパス回路
20 コンデンサ
21 ディップスイッチ
22 3相モータ
23 U相の巻線
24 V相の巻線
25 W相の巻線
26 加工台
27 筐体
28 インバータ
29 ビーム
30 絶縁物
31 Z軸駆動装置
32 アース
50 コンデンサ
51 ディップスイッチ
52 模擬基板回路
101 基板
102 第1の内層導体層
103 第1の絶縁層
104 第2の絶縁層
105 第3の絶縁層
106 第2の内装導体層
107 表面導体層
108 裏面導体層
109、109−1、109−2 穴部
110 メッキ部
110−1 残し代
111 下板
112 下板上面銅箔層
201 エリア
202 サブエリア
203 測定ポイント
301 アルミ上板
302 ベーク上板
V 商用電源
L リアクタ
L´ リアクタ
R 抵抗
R´ 抵抗
S CNC制御回路
S1 記憶媒体
S2 抽出機構
S3 算出機構
q メッキ部の層の所定厚さ
θ ドリルの先端角の角度
Claims (8)
- 多層プリント配線基板に対してバックドリル加工を行うことができる基板加工装置における、バックドリル加工に際しての、スピンドルのドリルの下降距離を制御するコンピュータを使用した加工深さ制御機構であって、
スピンドルのドリルが検出対象物に接触することによって下降距離情報を検出してなる下降距離情報検出機構を有するとともに、
下記1乃至5各記載の位置情報等がそれぞれ記録される記憶媒体を有し、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにスルーホールの穴部に施されたメッキ部の層の所定厚さ及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体層となる下板 において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板の各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出する抽出機構と、
下記式に基づき個別バックドリル加工深さL2cを算出する算出機構を有して、
その算出された個別バックドリル加工深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなる加工深さ制御機構。
L2c=Lnd×(L2m−αave)/L2d−td+角tan1
Lnd=設計上の基準余長
L2m=加工台上の下板上に載置された多層プリント配線基板あるいはその母板の、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値。
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
角tan1=スルーホールのメッキ部の層の所定の厚さ×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2} - 下降距離情報検出機構を、少なくとも高周波交流電源と、リアクタを含むバイパス回路と、高周波用の変流器を有し、高周波交流電源の出力の一方は筐体に接続し、他方は前記変流器を介して、筐体からは絶縁されたスピンドルに接続されるとともに、当該スピンドルとの接続の間に、リアクタを有するバイパス回路が筐体とを結んで設けられ、該スピンドルのロータのドリルが、導体である検出対象物と接触することによって、高周波交流電源からの高周波電流が変流器を介してスピンドルに、更に導体物及び導体層間の静電容量を介して前記高周波交流電源へ流入することで、変流器の出力側に電流が生じ、その電流の変化を検出器によって検出することにより、ドリルの下降距離情報を認識する下降距離情報検出機構としてなるものとした、請求項1記載の加工深さ制御機構。
- 下降距離情報検出機構を、高周波交流電源と、リアクタを含むバイパス回路と、キャンセル回路と、巻数が同じで逆巻となって接続する入力巻線とキャンセル巻線と1個以上の出力巻線を持つ高周波用の変流器を有し、キャンセル回路は、バイパス回路と同一の静電容量を有するリアクタを有する逆バイパス回路と、直列に配されたコンデンサとスイッチを1組とした上、該コンデンサとスイッチを複数組並列に配して1個の模擬回路として、筐体からは絶縁されたスピンドルに通電された場合に、スピンドルのモータの各相の巻線とスピンドル本体間、並びにスピンドル本体と筐体間にそれぞれ生じる静電容量に対応して模擬回路を複数セット有して、前記逆バイパス回路と該複数の模擬回路を並列に配してなり、検出対象物を基板加工装置の筐体内の加工台上に固定した上、前記高周波交流電源の出力の一方は前記筐体に接続するとともに、他方は前記変流器の入力巻線とキャンセル巻線の中間に接続し、該入力巻線の他端はスピンドル本体に接続するとともに、バイパス回路を介して筐体に接続し、キャンセル巻線の他端は、逆バイパス回路の一端及び各模擬回路の一端と並列に接続し、逆バイパス回路の他端は筐体に接続し、スピンドル本体から絶縁された筐体とスピンドルとの間に生じる静電容量に対応する模擬回路の他端は筐体に、スピンドル本体とモータ巻線との間に生じる静電容量に対応する模擬回路の他端はスピンドルのモータの各相の巻線と接続し、各対応する静電容量と略等しくなるよう模擬回路のスイッチを調整することにより、入力巻線とキャンセル巻線に流れる電流によって前記変流器に発生する磁束の方向を互いに打ち消し合わせることで、スピンドルのドリル先端と検出対象物との接触によって生じる電流の変化を、変流器から出力される電流の変化として検出器により検出することにより、ドリルの下降距離情報を認識する下降距離情報検出機構としてなるものとした、請求項1記載の加工深さ制御機構。
- 下降距離情報検出機構を、高周波交流電源と、巻数の同じ2個の入力巻線と1個以上の出力巻線を持つ高周波用の変流器並びに、直列に配されたコンデンサとスイッチを1組として、該コンデンサとスイッチを複数組並列に配してなる模擬基板回路を有し、前記高周波交流電源出力の一方は前記筐体に接続するとともに、前記模擬基板回路の一方端子に接続し、他方は前記変流器の2個の入力巻線を介してそれぞれ、検出対象物と前記模擬基板回路の他方端子に接続し、基板加工装置の筐体から絶縁して、筐体内の加工台上に固定した検出対象物と筐体間に生じる静電容量と略等しくなるよう模擬基板回路のスイッチを調整することにより、各入力巻線電流が前記変流器に発生させる磁束が互いに打ち消し合うようにして、スピンドルのドリル先端と検出対象物との接触によって生じる電流の変化を、変流器から出力される電流の変化として検出器により検出することにより、ドリルの下降距離情報を認識する下降距離情報検出機構としてなるものとした、請求項1記載の加工深さ制御機構。
- 請求項1乃至4記載のいずれかの加工深さ制御機構を具備してなる基板加工装置。
- 請求項5記載のいずれかの基板加工装置を使用して行うバックドリル加工方法であって、
下記1乃至5各記載の位置情報等を記憶媒体に記録するとともに、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにスルーホールの穴部に施されたメッキ部の層の所定厚さ及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体層となる下板において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板の各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出した上で、
下記式に基づき自動計算された個別バックドリル深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなるバックドリル加工方法。
L2c=Lnd×(L2m−αave)/L2d−td+角tan1
Lnd=設計上の基準余長
L2m=加工台上の下板上に載置された多層ブリント配線基板あるいはその母板の、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
角tan1=スルーホールのメッキ部の層の所定の厚さ×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2} - 請求項5記載のいずれかの基板加工装置を使用して行うバックドリル加工方法であって、
下記1乃至5記載の位置情報等を記憶媒体に記録するとともに、
1.設計上の基板厚さ、基準余長及び設計上の残し代の長さ並びにメッキ部を設ける前のバックドリル加工を行うスルーホールの穴部の半径及びドリルの先端角の角度についての数値情報、
2.基板加工装置の加工台上に載置された、少なくとも上面が導体層となる下板において、下記設定により定められた測定ポイント及び各エリア域の平面上の座標位置情報、
記
格子状に複数のエリアを区画し、その各エリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント、あるいはその各エリア毎に更に同一の規格によって格子状に区切られたサブエリア毎に同一の基準によって定められた1個の測定ポイント。
3.前記各測定ポイントに対して、バックドリル加工を行うドリルの設置されたスピンドルを下降させることにより、下降距離情報検出機構によって測定されるその各測定ポイント毎の高さ位置情報、
4.基板加工装置の加工台上の前記下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは複数の多層プリント配線基板を切り出す前の母板(以下、単に「母板」と言う。)に存する各バックドリル加工位置の、平面上の座標位置情報、
5.前記基板もしくは母板上に厚さの既知であるアルミ上板を載置した状態で、その各バックドリル加工位置に前記スピンドルを下降させることにより、前記下降距離情報検出機構によって測定されるその各バックドリル加工位置毎の高さ位置情報、
前記各エリア毎の座標位置情報と、多層プリント配線基板もしくはその母板に存するバックドリル加工位置の座標位置情報とから、バックドリル加工に際して下板上に多層プリント配線基板もしくはその母板を載置した状態で、前記下板の各エリアのそれぞれの座標値域内に存在するバックドリル加工位置を抽出した上で、
下記式に基づき自動計算された個別バックドリル深さL2cに基づき、基板加工装置におけるバックドリル加工の加工深さを自動制御してなるバックドリル加工方法。
L2c=Lnd×(L2m1−αave−tAL)/L2d−td+tAL+角tan2
Lnd=設計上の基準余長
L2m1=加工台上の下板上に載置された多層ブリント配線基板あるいはその母板に、更に既知の厚さを有するアルミ上板を載置・固定した状態での、下板の各エリア毎の座標値域内に存在するものとして抽出された各バックドリル加工位置における実測高さ
αave=加工台上の下板の、各エリア毎の測定ポイントの実測高さの平均値
L2d=設計上の多層プリント配線基板厚さ
td=設計上の残し代の長さ
tAL=アルミ上板の規定厚さ
角tan2=メッキ部を設ける前のスルーホールの半径×tan{(180度−ドリルの先端角の角度)÷2} - バックドリル加工に際して、基板加工装置の加工台上の下板の上に載置された多層プリント配線基板もしくは母板上に厚さの既知であるアルミ上板を載置した上、更にその上にスピンドルにより切削可能な絶縁性の上板を載置して行う、請求項7記載のバックドリル加工方法。
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