JP2017089827A - コイルばねを利用したロックタイプ双方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
Description
コイルばねSの軸方向の両端には、外方に曲げられたフック部Fが周方向の異なる位置に形成され、このフック部Fが上記2個の間隙に夫々挿入されている。本クラッチ装置においては、第一ハウジング1Hが入力軸、内輪Nが出力軸として夫々機能する。
一方、第二ハウジング2Hを固定した状態で、内輪N(出力軸)が回転すると、その回転方向に応じ、コイルばねSのフック部Fのいずれかによってその周方向への移動が第二係止片2HSによって規制される。フック部Fは第二係止片2HSによってばねの緩み方向に押されたことと同等となり、コイルばねSの内輪Nに対する締め付け力は弱められ、内輪NはコイルばねSに対して空転する。即ち、出力軸である内輪Nの回転は、入力軸である第一ハウジング1Hには伝達されず遮断される。
また、図5のクラッチ装置では、内輪とコイルばねの外方に第一ハウジング及び第二ハウジングが存在するものの、周方向に設けられた間隙から塵や埃等の異物が第一のハウジング及び第二のハウジングの内側に侵入し、各部材間に付着することで、装置全体の故障頻度が上昇し、使用寿命が短くなるおそれがある。
本発明の課題は、入力軸からの回転は出力軸に伝達され、出力軸から入力軸への回転の伝達は出力軸を回転不能として遮断される、コイルばねを利用した新規のロックタイプ双方向クラッチを提供し、上述の問題点を解決することにある。
「共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されると共に、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸を回転不能として遮断されるロックタイプ双方向クラッチであって、
固定された軸状の内輪と、前記内輪の外周面に接触して装着され、線材を巻回して形成されるコイルばねとを備え、前記コイルばねの軸方向の両端には、外方に曲げられたフック部が周方向の異なる位置に形成され、
前記入力軸及び出力軸には、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成され、前記入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、
前記2個の間隙の夫々には、前記コイルばねの両端のフック部が挿入され、前記出力係止片とフック部との周方向の距離が、前記入力係止片とフック部との周方向の距離よりも大きく設定されており、
前記入力軸が回転したときは、前記入力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの緩み方向に押して、前記コイルばねと共に前記出力軸を回転させるが、前記出力軸を回転させようとしても、前記出力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの締め方向に押して、前記出力軸が回転不能となる」
ことを特徴とするロックタイプ双方向クラッチとなっている。
また、前記入力軸が前記入力係止片を固着した入力板部材を有すると共に、前記出力軸が前記出力係止片を固着した出力板部材を有し、前記入力板部材と前記出力板部材とが面接触するよう構成するのが好ましい。
こうした点は図5のクラッチ装置と同様であるが、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、軸状の内輪が回転不能に固定されると共に、出力軸の出力係止片とフック部との周方向の距離が、入力軸の入力係止片とフック部との周方向の距離よりも大きくなるように設定してある。
一方、出力軸が回転しようとしたときは、出力係止片が回転方向の前方側にあるコイルばねのフック部と当接してこれを押すが、その方向はばねの締め方向となる。従って、内輪に対するコイルばねの締め付け力が強まって出力係止片の回転が阻止され、出力軸から入力軸への回転の伝達は、出力軸が回転不能となり(即ちロック)遮断される。
そして、ハウジングに断面円形の内部空間を設け、その内部空間の内周面を、断面円弧状の入力係止片及び出力係止片の外周面が摺動するように構成することができる。こうすると、入力係止片及び出力係止片がハウジングの内部空間の内周面に支持されながら回転する。つまり、入力係止片及び出力係止片の変形が防止されて実質上剛性が増加することとなり、入力軸から出力軸への伝達トルクを増大することが可能となる。
内輪4は円筒形状であって(図4(a)参照)、その一方の端部には凹状の一対の切欠き41が形成されている。そして、この切欠き41が固定されたハウジング1の係合突起14sと係合することで、内輪4はハウジング1に固定される。
コイルばね5の軸方向の両端には、外方に曲げられたフック部51が周方向の異なる位置に形成されている(図4(b)参照)。図示の実施例においては、フック部51は、夫々ばねの巻き方向(即ち周方向)に対して法線方向に延びており、相互に90度の角度間隔を有している。
まず、コイルばね5を、その内径を一時的に拡大した状態で内輪4の他端部(即ち切欠き41が形成されていない側の端部)の外周面に装着し、さらに、この内輪4を、切欠き41がハウジング1内の第二の空間14にて係合突起14sと係合するように、ハウジング1の周壁部12の開口端から挿入する。これにより、内輪4はハウジング1に固定されると共に、コイルばね5がハウジング1の第一の空間13に位置する。
次いで、入力軸2を、入力軸部23が内輪4の内側及びハウジング1の端板部11の貫通開口11Hを通過するように、出力軸3を、出力軸部33が入力軸部23とは軸方向反対側に位置するように、順次ハウジング1の開口端から挿入する。このとき、入力軸2及び出力軸3とは、図1の断面矢視A―Aに示すとおり、軸方向に延びる出力係止片32が入力係止片22の扇形の切欠き部に位置するよう組み合わされる。これにより、入力係止片22と出力係止片32との間には周方向に2個の間隙6が存在することとなり、これらの間隙6に、コイルばね5の両端のフック部51が夫々挿入される。
本実施例においては、入力係止片22と出力係止片32と内輪4とコイルばね5とがハウジング1内に完全に収納されていることに起因して、塵や埃等の異物がこれらの部材間に侵入して摺動面を損傷させることなどが確実に防止され、双方向クラッチの故障頻度が低下し、使用寿命を長くすることができる。
図2(a)の左側の縦断面図の矢印に示すように、入力軸2が、例えば、駆動源のモーターにより回転軸oの周りを時計方向(軸方向の右方から見て)に回転すると、入力軸2に形成された入力係止片22も回転軸oの周りを同方向に回転する。回転軸o周りに回転した入力係止片22は、コイルばね5の片方側の軸方向端部、即ち回転方向前方にあるコイルばね5のフック部51(図の横側に示されるフック部51)に当接し、フック部51をばねの緩み方向に押して内輪4に対するコイルばね5の締付力を弱める。さらに、入力係止片22は、フック部51を介して出力係止片32を押し、コイルばね5の締付力を弱めながら出力係止片32をコイルばね5と共に回転させる。出力係止片32が回転して他方のフック部51(図の上側に示されるフック部51)に当接したときは、出力係止片32によって他方のフック部51も押されて、内輪4に対するコイルばね5の締付力を増大させることとなるが、出力係止片32とフック部51との周方向の距離が大きく設定してあるため、このようなことが生じることはない。
従って、出力軸3からの入力軸2への回転の伝達は、出力軸3が回転不能となり遮断される。この際には、出力係止片32の外周面がハウジング1の第一の空間13の内周面と当接するため、出力軸3を回転させようとしてかかる回転トルクによって、出力係止片32がフック部51に当接した状態で径方向外方に撓むことが回避される。
2 入力軸
22 入力係止片
3 出力軸
32 出力係止片
4 内輪
5 コイルばね
51 フック部
6 間隙
「共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されると共に、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸を回転不能として遮断されるロックタイプ双方向クラッチであって、
断面円形の内部空間が設けられた固定のハウジングと、前記ハウジングに固着された軸状の内輪とを備え、
前記内輪の外周面には、線材を巻回して形成されるコイルばねがその内周面を接触させて装着され、前記コイルばねの軸方向の両端には、外方に曲げられたフック部が周方向の異なる位置に形成され、
前記入力軸及び出力軸には、軸方向に延び、且つ、前記ハウジングの内部空間の内周面を摺動する断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成され、前記入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、
前記2個の間隙の夫々には、前記コイルばねの両端のフック部が挿入され、前記出力係止片とフック部との周方向の距離が、前記入力係止片とフック部との周方向の距離よりも大きく設定されており、
前記入力軸が回転したときは、前記入力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの緩み方向に押して、前記コイルばねと共に前記出力軸を回転させ、前記出力軸に回転力を加えたときは、前記出力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの締め方向に押して、前記出力軸が回転不能となる」
ことを特徴とするロックタイプ双方向クラッチとなっている。
また、前記内輪を円筒形状とし、前記内輪には、前記入力軸の入力軸部を挿通するのが好ましい。
Claims (4)
- 共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されると共に、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸を回転不能として遮断されるロックタイプ双方向クラッチであって、
固定された軸状の内輪と、前記内輪の外周面に接触して装着され、線材を巻回して形成されるコイルばねとを備え、前記コイルばねの軸方向の両端には、外方に曲げられたフック部が周方向の異なる位置に形成され、
前記入力軸及び出力軸には、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成され、前記入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、
前記2個の間隙の夫々には、前記コイルばねの両端のフック部が挿入され、前記出力係止片とフック部との周方向の距離が、前記入力係止片とフック部との周方向の距離よりも大きく設定されており、
前記入力軸が回転したときは、前記入力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの緩み方向に押して、前記コイルばねと共に前記出力軸を回転させるが、前記出力軸を回転させようとしても、前記出力係止片が前記コイルばねのフック部をばねの締め方向に押して、前記出力軸が回転不能となることを特徴とするロックタイプ双方向クラッチ。 - 前記ロックタイプ双方向クラッチは、固定のハウジングを備えており、前記内輪が前記ハウジングに固着され、かつ、前記入力係止片と前記出力係止片と前記内輪と前記コイルばねとが前記ハウジング内に収容される、請求項1に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
- 前記ハウジングには、断面円形の内部空間が設けられ、前記入力係止片及び前記出力係止片の外周面が前記内部空間の内周面を摺動する、請求項2に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
- 前記入力軸が前記入力係止片を固着した入力板部材を有すると共に、前記出力軸が前記出力係止片を固着した出力板部材を有し、前記入力板部材と前記出力板部材とが面接触する、請求項1乃至3のいずれかに記載のロックタイプ双方向クラッチ。
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