JP2017089407A - ベーンポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ベーン逆回転時における回転方向前側の作動室の高圧化を抑制可能であって、ハウジングを薄肉化可能なベーンポンプを提供することを課題とする。【解決手段】ベーンポンプ1は、ポンプ室Aを有するハウジング2と、ポンプ室Aに配置され、直径方向に対向する一対のロータ溝部300aを有するロータ3と、一対のロータ溝部300aに沿って直径方向に往復動可能にロータ3に配置され、ポンプ室Aを複数の作動室A1〜A3に区画するベーン4と、を備える。ロータ3の筒内空間Cには、ベーン4に仕切られる一対の分室C1、C2と、ベーン4を迂回して一対の分室C1、C2同士を連通させる連通隙間Dと、が区画される。ベーン4は、対角位置に一対のベーン凹部400を有する。ベーン4と一対のロータ溝部300aとの間には、少なくともベーン凹部400を経由して、作動室A1、A2と分室C1、C2とを連通させる一対の連通路B1、B2が区画される。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車のエンジンにより駆動されるベーンポンプに関する。
ベーンポンプは、エンジンにより回転駆動されるベーンを備えている。ベーンは、ポンプ室内を、複数の作動室に仕切っている。エンジン停止状態においては、ポンプ室内に、非圧縮性流体である潤滑油が、貯留されている。このため、エンジン始動直後にベーンが逆回転すると、ポンプ室内における吸気孔付近の圧力が、高圧になってしまう。
この点、特許文献1には、ハウジングの内面に逃がし溝が凹設されたベーンポンプが開示されている。ベーン逆回転時において、逃がし溝は、回転方向前側の作動室と、回転方向後側の作動室と、を連通する。このため、逃がし溝を介して、回転方向前側の作動室から、回転方向後側の作動室に、潤滑油を逃がすことができる。したがって、特許文献1のベーンポンプによると、エンジン始動直後にベーンが逆回転する場合であっても、ポンプ室内における吸気孔付近の圧力が高圧になるのを、抑制することができる。
特開2009−7951号公報
しかしながら、潤滑油の逃がし量を多くするためには、逃がし溝を深くする必要がある。このため、ハウジングの肉厚をある程度厚くする必要がある。したがって、ハウジング延いてはベーンポンプが大型化してしまう。そこで、本発明は、ベーン逆回転時における回転方向前側の作動室の高圧化を抑制可能であって、ハウジングを薄肉化可能なベーンポンプを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のベーンポンプは、内部にポンプ室を有するハウジングと、前記ポンプ室に配置され、自身の軸周りに回転可能であって、直径方向に対向する一対のロータ溝部を有する有底円筒状のロータと、一対の前記ロータ溝部に沿って直径方向に往復動可能に前記ロータに配置され、前記ポンプ室を複数の作動室に区画するベーンと、を備えるベーンポンプであって、前記ロータの筒内空間には、前記ベーンに仕切られて直径方向に対向する一対の分室と、前記ベーンを迂回して一対の前記分室同士を連通させる連通隙間と、が区画され、前記ベーンは、対角位置に一対のベーン凹部を有し、前記ベーンと一対の前記ロータ溝部との間には、少なくとも前記ベーン凹部を経由して、前記作動室と前記分室とを連通させる一対の連通路が区画されることを特徴とする。
本発明のベーンポンプによると、複数の作動室間に、一方の連通路、一方の分室、連通隙間、他方の分室、他方の連通路を経由する、圧力逃がし通路を形成することができる。このため、ベーン逆回転時において、回転方向前側の作動室から、回転方向後側の作動室に、潤滑油を逃がすことができる。したがって、回転方向前側の作動室の圧力が高圧になるのを抑制することができる。
また、本発明のベーンポンプによると、圧力逃がし通路により潤滑油を逃がすことができるため、ハウジングに逃がし溝を凹設する必要がない。したがって、ハウジングを薄肉化することができる。よって、ベーンポンプを小型化することができる。
本発明のベーンポンプの一実施形態となるベーンポンプの径方向断面図である。 図1のII−II方向断面図である。 同ベーンポンプの斜視分解断面図である。 その他の実施形態のベーンポンプの径方向断面図である。
以下、本発明のベーンポンプの実施の形態について説明する。図1に、本実施形態のベーンポンプの径方向断面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図3に、同ベーンポンプの斜視分解断面図を示す。なお、図1は、図2のI−I方向断面に対応する。また、図3は、図1のII−II方向断面に対応する。
<ベーンポンプの構成>
まず、本実施形態のベーンポンプの構成について説明する。ベーンポンプ1は、ブレーキ装置の倍力装置94に連結されている。ベーンポンプ1は、倍力装置94の負圧源である。ベーンポンプ1は、ハウジング2と、ロータ3と、ベーン4と、を備えている。
[ハウジング2]
ハウジング2は、エンジン(図略)の側面に固定されている。ハウジング2は、ハウジング本体20と、端板21と、ポンプ室Aと、を備えている。ハウジング本体20は、有底楕円筒状を呈している。ハウジング本体20は、周壁部200と、底壁部201と、フランジ部202と、を備えている。
周壁部200は、楕円筒状を呈している。底壁部201は、周壁部200の後端(軸方向一端)に配置されている。底壁部201は、貫通孔201aと、ロータ支持面201bと、ベーン支持面201cと、排気孔201dと、油溝E3と、を備えている。
貫通孔201aは、底壁部201を前後方向(軸方向)に貫通している。油溝E3は、貫通孔201aの内周面の上端に凹設されている。油溝E3は、前後方向に延在している。ロータ支持面201bは、円環状を呈している。ロータ支持面201bは、貫通孔201aの径方向外側に配置されている。
ベーン支持面201cは、円環状を呈している。ベーン支持面201cは、ロータ支持面201bの径方向外側に配置されている。ベーン支持面201cは、ロータ支持面201bの前側に配置されている。排気孔201dは、ベーン支持面201cに開設されている。排気孔201dは、底壁部201を前後方向に貫通している。排気孔201dは、リードバルブ(図略)により、開閉可能である。フランジ部202は、周壁部200の前端(軸方向他端)に形成されている。
端板21は、フランジ部202を封止している。端板21とフランジ部202との間には、Oリング92が介装されている。複数のボルト90および複数のナット91により、端板21は、フランジ部202に固定されている。
ポンプ室Aは、ハウジング2の内部に区画されている。前側または後側から見て、ポンプ室Aは、楕円形状を呈している。ポンプ室Aには、吸気通路93が連結されている。すなわち、吸気通路93の下流端の吸気孔931は、ポンプ室Aに開口している。吸気通路93の上流端は、ブレーキ装置の倍力装置94に連結されている。吸気通路93には、一方向(上流側から下流側に向かう方向)にだけ空気の流れを許容する、逆止弁930が配置されている。逆止弁930は、倍力装置94の負圧を維持している。
[ロータ3]
ロータ3は、ロータ本体30と、軸部31と、筒内空間Cと、を備えている。ロータ本体30は、有底円筒状を呈している。ロータ本体30は、周壁部300と、底壁部301と、を備えている。周壁部300は、円筒状を呈している。周壁部300は、ポンプ室Aに収容されている。周壁部300の外周面の一部は、周壁部200の内周面の一部に、当接している。周壁部300は、周壁部200に対して偏心している。周壁部200の中心F1と、周壁部300の中心F2と、を結ぶ直線Fを挟んで、吸気孔931と排気孔201dとは互いに反対側に配置されている。周壁部300の前端面は、端板21の後面(内面)に摺接している。周壁部300の後端面は、ロータ支持面201bに摺接している。
周壁部300は、一対のロータ溝部300aを備えている。一対のロータ溝部300aは、直径方向に対向して、つまり180°対向して、配置されている。一対のロータ溝部300aは、周壁部300を直径方向に貫通している。
底壁部301は、周壁部300の後端に配置されている。底壁部301は、貫通孔201aに収容されている。底壁部301の底面(前面)は、ロータ支持面201bと、面一に配置されている。底壁部301は、油孔E2を備えている。油孔E2は、底壁部301を直径方向に貫通している。油孔E2は、所定の回転角度において、油溝E3に連通している。
軸部31は、底壁部301の後側に連なっている。軸部31は、カップリング(図略)および給油ジョイント(図略)を介して、エンジンのカムシャフト(図略)に連結されている。軸部31は、自身の軸周りに回転可能である。すなわち、ロータ3は、軸部31の軸周りに回転可能である。軸部31は、油孔E1を備えている。油孔E1は、軸方向に延在している。油孔E1は、油孔E2に連通している。筒内空間Cは、ロータ本体30の内部に区画されている。前側または後側から見て、筒内空間Cは、円形状を呈している。
[ベーン4]
ベーン4は、ベーン本体40と、一対のキャップ41a、41bと、を備えている。なお、以下のベーン4に関する説明において、「径方向」とはロータ3の径方向をいう。また、「周方向」とはロータ3の周方向をいう。
ベーン本体40は、矩形板状を呈している。ベーン本体40は、ポンプ室Aに収容されている。ベーン本体40は、ロータ3と共に回転可能である。ベーン本体40は、一対のロータ溝部300aに沿って直径方向に往復動可能である。ベーン本体40は、回転角度に応じて、ポンプ室Aを複数の作動室A1〜A3に区画可能である。ベーン本体40は、筒内空間Cを、直径方向に対向する二つの分室C1、C2に分割している。ベーン本体40の周方向幅は、ロータ溝部300aの周方向幅と、略同一である。ベーン本体40の前端面は、端板21の後面に摺接している。ベーン本体40の後端面は、ベーン支持面201cに摺接している。
前述したように、ベーン支持面201cと、ロータ支持面201bと、は前後方向にずれている。このため、ベーン本体40の後端面と、ロータ支持面201bおよび底壁部301の底面と、の間には、連通隙間Dが区画されている。連通隙間Dは、ベーン4を後側に迂回して、分室C1、C2同士を連通させている。
ベーン本体40は、一対のベーン凹部400を備えている。一対のベーン凹部400は、対角位置に配置されている。一対のベーン凹部400は、ベーン本体40の径方向断面の重心Gに対して、対称位置に配置されている。一対のベーン凹部400は、ベーン4逆回転時における回転方向(図1に矢印Y1で示す方向)前側の面に凹設されている。一対のベーン凹部400は、ポンプ室Aに露出するベーン本体40の周方向両面に、分かれて配置されている。図1に示すように、ベーン凹部400の径方向長さL1は、ロータ溝部300aの径方向長さL2よりも、長い。
所定の回転角度領域において、一対のベーン凹部400には、連通路B1、B2が区画される。連通路B1は、作動室A1と分室C1とを連通させる。連通路B2は、作動室A2と分室C2とを連通させる。一対のキャップ41a、41bは、ベーン本体40の直径方向両端に配置されている。キャップ41a、41bは、ベーン本体40に対して、径方向外側に突出可能である。キャップ41a、41bは、周壁部200の内周面に摺接している。
[圧力逃がし通路P1、油路P2]
所定のベーン4回転角度領域において、ベーンポンプ1には、圧力逃がし通路P1が形成されている。圧力逃がし通路P1は、作動室A1と作動室A2とを連通させている。ベーンポンプ1には、油路P2が形成されている。油路P2は、給油ジョイントとポンプ室Aとを連通させている。油路P2は、油孔E1、油孔E2、油溝E3、連通隙間D、筒内空間Cを経由している。油路P2を介して、給油ジョイントからポンプ室Aに、潤滑油が供給される。筒内空間C(分室C1、C2)および連通隙間Dは、圧力逃がし通路P1および油路P2に共用されている。
<ベーンポンプのベーン逆回転時の動き>
次に、本実施形態のベーンポンプのベーン逆回転時の動きについて説明する。以下、図1における反時計回り方向をベーン4の正回転方向と、図1における時計回り方向(矢印Y1で示す方向)をベーン4の逆回転方向と、各々定義する。
マニュアルトランスミッションを有する自動車の場合、坂道発進時に、エンジン停止状態でエンジンと車輪とがクラッチを介して連結される。この状態で自動車が後退すると、エンジンが逆回転してしまう。このため、ベーン4も逆回転してしまう。逆回転時において、ベーン4は、一対のロータ溝部300aを往復動しながら、ポンプ室A内を矢印Y1の方向に回転する。
仮に、ベーン4のキャップ41aの回転方向前側の作動室A1に、潤滑油が貯留されている場合を想定する。作動室A1の容積は、ベーン4の回転に伴って、徐々に小さくなる。しかしながら、作動室A1に貯留されている潤滑油は、非圧縮性流体である。また、作動室A1に連通する吸気通路93は、逆止弁930により封止されている。このため、作動室A1の圧力は高圧になる。
ここで、図1に示すように、所定の回転角度領域においては、圧力逃がし通路P1が開状態になる。すなわち、所定の回転角度領域において、作動室A1と作動室A2とが、圧力逃がし通路P1を介して、連通する。一例として、圧力逃がし通路P1が開状態になる回転角度領域の始点は、作動室A1の容積が所定の容積になる位置に設定される。また、圧力逃がし通路P1が開状態になる回転角度領域の終点は、吸気通路93の吸気孔931を通過した位置と、作動室A1における圧縮が実質的に終了する位置と、の間の領域に設定される。
所定の回転角度領域において、圧力逃がし通路P1は、上流側から下流側に向かって、連通路B1、分室C1、連通隙間D(図2参照)、分室C2、連通路B2を経由して、高圧の作動室A1と、作動室A1よりも低圧の作動室A2と、を連通させる。このため、圧力逃がし通路P1を介して、作動室A1から作動室A2に、潤滑油を逃がすことができる。また、圧力逃がし通路P1を介して、作動室A1から作動室A2に、圧力を逃がすことができる。したがって、作動室A1の圧力が高圧になるのを抑制することができる。
<ベーンポンプのベーン正回転時の動き>
次に、本実施形態のベーンポンプのベーン正回転時の動きについて説明する。ベーン4のキャップ41aが吸気孔931を通過すると、吸気孔931と作動室A1とが連通する。また、キャップ41aの回転方向後側の作動室A1の容積が、ベーン4の回転に伴って、徐々に大きくなる。このため、吸気孔931を介して、倍力装置94内の空気が作動室A1に吸い込まれる。ベーン4のキャップ41bが吸気孔931を通過すると、吸気孔931と作動室A1との連通が遮断される(図1の作動室A2の状態)。作動室A1の容積は、ベーン4の回転に伴って、徐々に小さくなる。このため、作動室A1内の空気は、徐々に圧縮される。ベーン4のキャップ41aが排気孔201dを通過すると、排気孔201dと作動室A1とが連通する(図1の作動室A3の状態)。このため、排気孔201dを介して、圧縮された空気が、作動室A1から排気される。なお、潤滑油も、排気孔201dを介して、作動室A1から排出される。
逆回転時と同様に、正回転時においても、所定の回転角度領域において、圧力逃がし通路P1を介して、作動室A1と作動室A2とが連通する。しかしながら、当該回転角度領域における、作動室A1と作動室A2との圧力差は小さい。このため、圧力逃がし通路P1を介して、作動室A2から作動室A1に、圧力や潤滑油が流動しにくい。
<作用効果>
次に、本実施形態のベーンポンプの作用効果について説明する。図1に示すように、本実施形態のベーンポンプ1によると、複数の作動室A1、A2間に、一方の連通路B1、一方の分室C1、連通隙間D(図2参照)、他方の分室C2、他方の連通路B2を経由する、圧力逃がし通路P1を形成することができる。このため、ベーン4逆回転時において、回転方向前側の作動室A1から、回転方向後側の作動室A2に、潤滑油を逃がすことができる。したがって、回転方向前側の作動室A1の圧力が高圧になるのを抑制することができる。
また、本実施形態のベーンポンプ1によると、圧力逃がし通路P1により潤滑油を逃がすことができるため、端板21に圧力逃がし溝を凹設する必要がない。したがって、端板21を薄肉化することができる。よって、ベーンポンプ1を小型化することができる。
また、図1に示すように、ベーン凹部400の径方向長さL1は、ロータ溝部300aの径方向長さL2よりも、長い。このため、所定の回転角度領域において、ベーン凹部400だけを介して、周壁部300の径方向内外の空間(分室C1、C2と作動室A1、A2)を連通させることができる。すなわち、連通路B1、B2を、ベーン凹部400だけで形成することができる。
また、図2に示すように、筒内空間C(分室C1、C2)および連通隙間Dは、圧力逃がし通路P1および油路P2に共用されている。筒内空間Cおよび連通隙間Dは、既設のベーンポンプにも設定されている。このため、既設のベーンポンプのベーンを本実施形態のベーン凹部400付きベーン4に交換するだけで、本実施形態のベーンポンプ1を実現することができる。よって、ハウジング2やロータ3に、圧力逃がし用の特別な加工を施す必要がない。このように、本実施形態のベーンポンプ1は汎用性が高い。
また、図2、図3に示すように、ベーン凹部400は矩形状を呈している。すなわち、ベーン凹部400は、ベーン本体40を前後方向に貫通していない。このため、ベーン4がロータ溝部300aを往復動する際に、ベーン本体40ががたつきにくい。
<その他>
以上、本発明のベーンポンプの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
図4に、その他の実施形態のベーンポンプの径方向断面図を示す。なお、図1と対応する部位については同じ符号で示す。図4に示すように、一対のロータ溝部300aの径方向一部には、各々、ロータ凹部300bが凹設されている。一対のロータ凹部300bは、ベーン4逆回転時における回転方向前側の面(溝側面)に凹設されている。所定の回転角度領域において、一対のロータ凹部300bおよび一対のベーン凹部400には、連通路B1、B2が区画される。連通路B1は、作動室A1と分室C1とを連通させる。連通路B2は、作動室A2と分室C2とを連通させる。
このように、連通路B1、B2が、ベーン凹部400およびロータ凹部300bを経由してもよい。すなわち、連通路B1、B2は、少なくともベーン凹部400を経由していればよい。
仮に、ベーン本体40にベーン凹部400が配置されておらず、ロータ溝部300aの径方向全長に亘ってロータ凹部300bが配置されている場合を想定する。この場合、連通路B1、B2は、ロータ凹部300bだけを経由することになる。しかしながら、全ての回転角度領域において、圧力逃がし通路P1が開状態になってしまう。
これに対して、本発明のベーンポンプの場合、連通路B1、B2は、少なくともベーン凹部400を経由している。ベーン本体40は、一対のロータ溝部300aに沿って直径方向に往復動する。このため、ロータ溝部300a(あるいはロータ凹部300b)に対するベーン凹部400の径方向位置は、ベーン4の回転に伴って変化する。したがって、図1、図4に示すように、左側または右側(ロータ3の接線方向)から見て、ロータ溝部300a(あるいはロータ凹部300b)とベーン凹部400とが重複する回転角度領域に限って、圧力逃がし通路P1を開状態にすることができる。
ベーン凹部400、ロータ凹部300bの位置、径方向長さは、特に限定しない。所望の回転角度領域において圧力逃がし通路P1が開状態となるように、ベーン凹部400、ロータ凹部300bの位置、径方向長さを調整すればよい。ベーンポンプ1の配置方向は特に限定しない。ロータ3の軸方向が左右方向や上下方向であってもよい。ベーン凹部400、ロータ凹部300bの通路断面積は特に限定しない。所望の潤滑油流量を確保できればよい。ベーン凹部400、ロータ凹部300bの断面形状は特に限定しない。平面状、V字状、C字状などであってもよい。ベーン凹部400、ロータ凹部300bの配置数は特に限定しない。
1:ベーンポンプ、2:ハウジング、20:ハウジング本体、200:周壁部、201:底壁部、201a:貫通孔、201b:ロータ支持面、201c:ベーン支持面、201d:排気孔、202:フランジ部、21:端板、3:ロータ、30:ロータ本体、300:周壁部、300a:ロータ溝部、300b:ロータ凹部、301:底壁部、31:軸部、4:ベーン、40:ベーン本体、400:ベーン凹部、41a:キャップ、41b:キャップ、90:ボルト、91:ナット、92:Oリング、93:吸気通路、930:逆止弁、931:吸気孔、94:倍力装置
A:ポンプ室、A1〜A3:作動室、B1:連通路、B2:連通路、C:筒内空間、C1:分室、C2:分室、D:連通隙間、E1:油孔、E2:油孔、E3:油溝、F:直線、F1:中心、F2:中心、G:重心、L1:径方向長さ、L2:径方向長さ、P1:圧力逃がし通路、P2:油路

Claims (4)

  1. 内部にポンプ室を有するハウジングと、
    前記ポンプ室に配置され、自身の軸周りに回転可能であって、直径方向に対向する一対のロータ溝部を有する有底円筒状のロータと、
    一対の前記ロータ溝部に沿って直径方向に往復動可能に前記ロータに配置され、前記ポンプ室を複数の作動室に区画するベーンと、
    を備えるベーンポンプであって、
    前記ロータの筒内空間には、前記ベーンに仕切られて直径方向に対向する一対の分室と、前記ベーンを迂回して一対の前記分室同士を連通させる連通隙間と、が区画され、
    前記ベーンは、対角位置に一対のベーン凹部を有し、
    前記ベーンと一対の前記ロータ溝部との間には、少なくとも前記ベーン凹部を経由して、前記作動室と前記分室とを連通させる一対の連通路が区画されることを特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記ベーン凹部の径方向長さは、前記ロータ溝部の径方向長さよりも長く、
    前記連通路は、前記ベーン凹部を経由する請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記ロータ溝部は、径方向一部にロータ凹部を有し、
    前記連通路は、前記ベーン凹部および前記ロータ凹部を経由する請求項1に記載のベーンポンプ。
  4. 前記連通隙間は、前記ポンプ室に潤滑油を供給する油路の一部である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のベーンポンプ。
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