JP2017089193A - コンクリート剥落防止シート及びそれを用いたコンクリート構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート構造物を確実に補修することができる、あるいはコンクリート構造物の劣化を確実に抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】コンクリート剥落防止シート(10)は、コンクリート構造物(1)の補修に使用される又はコンクリート構造物(1)からのコンクリートの剥落を防止するために使用されるシートであって、フッ素樹脂多孔質膜(12)を含む基材(13)を備えている。フッ素樹脂多孔質膜(12)によってコンクリート剥落防止シート(10)の一方の表面が形成されている。基材(13)の透湿度は、500g/m2・日以上である。
【選択図】図2
【解決手段】コンクリート剥落防止シート(10)は、コンクリート構造物(1)の補修に使用される又はコンクリート構造物(1)からのコンクリートの剥落を防止するために使用されるシートであって、フッ素樹脂多孔質膜(12)を含む基材(13)を備えている。フッ素樹脂多孔質膜(12)によってコンクリート剥落防止シート(10)の一方の表面が形成されている。基材(13)の透湿度は、500g/m2・日以上である。
【選択図】図2
Description
本発明は、コンクリート剥落防止シート及びそれを用いたコンクリート構造物に関する。
橋梁などを構成しているコンクリート構造物の劣化にともない、コンクリート構造物からコンクリート(コンクリート片)が剥落することがある。コンクリート構造物の劣化は、アルカリ骨材反応、中性化、凍害などによって化学的に進行する。アルカリ骨材反応は、雨水の浸入によってコンクリート構造物の内部の水分量が増えることで発生する。また、列車又は車両の通過による応力振幅、地震などの物理的要因もコンクリート構造物の劣化を加速させる。
コンクリート構造物の劣化によるコンクリートの剥落防止対策として、NEXCO(Nippon Expressway Company Limited)「構造物施工管理要領 3−7 はく落防止」には、剥落防止の性能照査が規格化されている。この規格を満足する工法として、エポキシ樹脂接着剤、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル樹脂接着剤などの接着剤を使用し、ビニロン、ポリプロピレンなどの樹脂で作製されたメッシュ繊維をコンクリート構造物に接着する工法が普及している。
特許文献1には、コンクリート構造物の補修又は補強用メッシュ状物であって、ポリオレフィン系樹脂からなり、片面のみを濡れ指数34mN/m以上に改質してなるポリオレフィン系樹脂製メッシュ状物が記載されている。特許文献2には、25mN/m以上45mN/m以下の表面濡れ張カを有する補強オレフィン系繊維シートを用いたコンクリート剥落防止方法が記載されている。特許文献3には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を材質とする保護シートを柱状コンクリート構造物の補強に使用することが記載されている。
先に説明したように、コンクリート構造物の劣化の1つの原因は、コンクリート構造物の内部の水分量が増えることにある。そのため、コンクリート構造物の内部から外部に水分を効果的に排出しながらも、コンクリート構造物を確実に補修することができる、あるいはコンクリート構造物の劣化を確実に抑制することができる技術が望まれている。
すなわち、本発明は、
コンクリート構造物の補修に使用される又はコンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止するために使用されるシートであって、
フッ素樹脂多孔質膜を含む基材を備え、
前記フッ素樹脂多孔質膜によって前記コンクリート剥落防止シートの一方の表面が形成されており、
前記基材の透湿度が500g/m2・日以上である、コンクリート剥落防止シートを提供する。
コンクリート構造物の補修に使用される又はコンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止するために使用されるシートであって、
フッ素樹脂多孔質膜を含む基材を備え、
前記フッ素樹脂多孔質膜によって前記コンクリート剥落防止シートの一方の表面が形成されており、
前記基材の透湿度が500g/m2・日以上である、コンクリート剥落防止シートを提供する。
別の側面において、本発明は、
コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物に貼り付けられた、上記本発明のコンクリート剥落防止シートと、
を備えた、補修されたコンクリート構造物を提供する。
コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物に貼り付けられた、上記本発明のコンクリート剥落防止シートと、
を備えた、補修されたコンクリート構造物を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
プライマー層をコンクリート構造物の表面上に形成することと、
上記本発明のコンクリート剥落防止シートを前記プライマー層の上から前記コンクリート構造物に貼り付けることと、
を含む、コンクリート剥落防止方法を提供する。
プライマー層をコンクリート構造物の表面上に形成することと、
上記本発明のコンクリート剥落防止シートを前記プライマー層の上から前記コンクリート構造物に貼り付けることと、
を含む、コンクリート剥落防止方法を提供する。
本発明によれば、コンクリート構造物の内部の水分を外部に効果的に排出しながらも、コンクリート構造物を確実に補修することができる、あるいはコンクリート構造物の劣化を確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、本実施形態のコンクリート剥落防止シート10は、フッ素樹脂多孔質膜12(フッ素樹脂多孔質体)、補強シート14及び粘着剤層16を備えている。フッ素樹脂多孔質膜12、補強シート14及び粘着剤層16は、この順番で積層されている。具体的には、フッ素樹脂多孔質膜12に補強シート14が積層されている。フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14によって基材13が形成されている。粘着剤層16は、基材13の表面上に配置されている。詳細には、フッ素樹脂多孔質膜12に接する側とは反対側における補強シート14の表面上に粘着剤層16が設けられている。フッ素樹脂多孔質膜12によってコンクリート剥落防止シート10の一方の表面が形成されている。コンクリート剥落防止シート10は、コンクリート構造物の補修に使用される又はコンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止するために使用される。
図1及び図2に示すように、本実施形態のコンクリート剥落防止シート10は、フッ素樹脂多孔質膜12(フッ素樹脂多孔質体)、補強シート14及び粘着剤層16を備えている。フッ素樹脂多孔質膜12、補強シート14及び粘着剤層16は、この順番で積層されている。具体的には、フッ素樹脂多孔質膜12に補強シート14が積層されている。フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14によって基材13が形成されている。粘着剤層16は、基材13の表面上に配置されている。詳細には、フッ素樹脂多孔質膜12に接する側とは反対側における補強シート14の表面上に粘着剤層16が設けられている。フッ素樹脂多孔質膜12によってコンクリート剥落防止シート10の一方の表面が形成されている。コンクリート剥落防止シート10は、コンクリート構造物の補修に使用される又はコンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止するために使用される。
本実施形態において、基材13の透湿度(透湿量)は500g/m2・日以上である。したがって、コンクリート剥落防止シート10によれば、コンクリート構造物の内部の水分を外部に効果的に排出しながら、コンクリート構造物を確実に補修することができる。あるいは、コンクリート剥落防止シート10によれば、コンクリート構造物の劣化を確実に抑制することができる。また、コンクリート剥落防止シート10の表面(コンクリート構造物に接する側とは反対側の表面)がフッ素樹脂多孔質膜12によって形成されている。そのため、コンクリート剥落防止シート10は、優れた耐候性及び優れた紫外線遮蔽機能を有する。優れた耐候性及び優れた紫外線遮蔽機能は、屋外環境の影響を減らし、長期にわたってコンクリート剥落防止シート10の効果を持続させることに寄与する。
基材13の透湿度の上限値は特に限定されない。基材13の透湿度の上限値は、30000g/m2・日であってもよく、25000g/m2・日であってもよい。
基材13の透湿度は、JIS Z0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」(1976)に基づいて測定することができる。具体的には、秤量済みの吸湿剤(塩化カルシウム)をカップに収容し、カップの開口面全体を隙間なく覆うように基材13を開口部に取り付ける。この際、吸湿剤と基材13との間隔を10mm以下とする。基材13で開口面が覆われたカップを湿度80%、温度30℃の恒温槽内に24時間配置する。その後、カップを恒温槽から取り出して、吸湿剤の質量を測定する。そして、恒温槽に入れる前の吸湿剤の質量と恒温槽から出した後の吸湿剤の質量との差(すなわち、吸湿剤に吸収された水蒸気量)Aとカップの開口面の面積Bとを用いて、下記(1)式により、透湿度を算出する。
透湿度(g/m2・日)=A/B・・・(1)
基材13の透水度(透水量)は、JIS K3831「精密ろ過膜エレメント及びモジュールの初期流量試験方法(減圧ろ過試験方法)」(1990)に基づいて測定することができる。具体的には、JIS K3831の図1に記載された減圧装置を準備する。基材13を減圧ろ過用ホルダに取り付け、真空ポンプを始動させる。減圧ろ過用ホルダの弁を閉じ、吸引瓶の内部の圧力が0.03MPaとなるように気体圧力調整器で圧力を調整する。透水する箇所の面積を「C」とする。次に、メスシリンダーを用いて純水500mlを計り取り、減圧ろ過用ホルダに入れた後、減圧ろ過用ホルダの弁を開ける。全量が基材13を通過するまでの時間t(秒)を計測し、下記(2)式により、透水度を算出する。
透水度(ml/m2・時間)=500×3600/(t×C)・・・(2)
基材13の透水度は、例えば、1リットル/m2・時間以上である。基材13の透水度の上限値も特に限定されない。基材13の透水度の上限値は、20000リットル/m2・時間であってもよい。
フッ素樹脂多孔質膜12を構成するフッ素樹脂の種類は特に限定されない。フッ素樹脂多孔質膜12は、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、及び、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つのフッ素樹脂で作られていてもよい。これらの中でも、優れた耐候性を示す点において、PTFEを望ましく使用できる。つまり、フッ素樹脂多孔質膜12は、PTFE多孔質膜でありうる。
フッ素樹脂多孔質膜12の製造方法も特に限定されない。フッ素樹脂多孔質膜12は、相転換法(ミクロ相分離法)、抽出法、延伸法、湿式ゲル延伸法、焼結法などの方法によって製造されうる。これらの中でも、延伸法で製造されたフッ素樹脂多孔質膜12を本実施形態に望ましく使用できる。延伸法によれば、高い気孔率を有するフッ素樹脂多孔質膜が得られるので、所望の透湿性を達成しやすい。延伸法は、所定の結晶構造を有する高分子材料によってフィルムを形成した後、所定の条件でフィルムを延伸する方法である。
補強シート14は、コンクリート剥落防止シート10の強度を補う役割を担っている。補強シート14は、メッシュ、ネット、不織布、織布及び焼結多孔質体からなる群より選ばれる少なくとも1つの部材で形成されうる。フッ素樹脂多孔質膜12によって紫外線遮蔽効果が担保されているため、これらの部材の材料は特に限定されない。これらの部材の材料として、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、これらの化合物を構成する繰り返し単位を有する共重合体などが挙げられる。その他にも、これらの部材の材料として、芳香族炭化水素系樹脂を使用できる。芳香族炭化水素系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリーレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、これらの化合物を構成する繰り返し単位を有する共重合体、これらの化合物を構成する繰り返し単位を有するエラストマーなどが挙げられる。
本実施形態において、補強シート14も透湿性を有する部材で構成されている。メッシュ、ネット、不織布、織布及び焼結多孔質体には透湿性が備わっているので、これらの部材を補強シート14として使用できる。
フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14との接合方法は、基材13の透湿性を大幅に低下させない方法であれば特に限定されない。補強シート14は、例えば、熱ラミネーションによってフッ素樹脂多孔質膜12に積層されうる。言い換えれば、補強シート14は、フッ素樹脂多孔質膜12に溶着されていてもよい。また、接着剤を用いて補強シート14がフッ素樹脂多孔質膜12に積層されていてもよい。溶着は、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14の両者の透湿性が大幅に損なわれないように実施されうる。例えば、フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14とが両者の接合面において部分的に溶着され、補強シート14がフッ素樹脂多孔質膜12に積層されている場合、透湿性は殆ど低下しない。フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14とが両者の接合面において部分的に接着され、補強シート14がフッ素樹脂多孔質膜12に積層されている場合も同様である。
フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14から選ばれる少なくとも1つには、親水処理が施されていてもよい。言い換えれば、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14からなる群より選ばれる少なくとも1つが親水性を有していてもよい。フッ素樹脂多孔質膜12及び/又は補強シート14に親水性が付与されていると、基材13の透水性が向上する。透水性が向上することによって透湿性も向上する。
典型的には、フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14との積層体に親水処理を施すことができる。親水処理としては、例えば、気相処理、化学的処理などが挙げられる。気相処理としては、UVオゾン処理、コロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などが挙げられる。化学的処理としては、重クロム酸カリウム/濃硫酸処理、金属ナトリウム/ナフタリン/テトラヒドロフラン処理、親水性モノマーのグラフト重合処理、親水性ポリマーの架橋又はコーティング処理などが挙げられる。これらの中でも、重クロム酸カリウム/濃硫酸処理、金属ナトリウム/ナフタリン/テトラヒドロフラン処理、親水性モノマーのグラフト重合処理、親水性ポリマーの架橋又はコーティング処理などの化学的処理を採用できる。これらの化学的処理によれば、細孔の内部の表面も親水化できる。また、このような処理を行えば、太陽光照射、紫外線照射、塩害、糞害、温度ストレスなどに対する耐久性に優れたコンクリート剥落防止シート10を得ることができる。
グラフト重合処理の方法としては、任意の適切な方法が採用されうる。グラフト重合処理に用いられる親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、酢酸ビニル、アリルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートアクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、メチルビニルピリジン、エチルビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、アミノスチレン、アルキルアミノスチレン、ジアルキルアミノスチレン、トリアルキルアミノスチレン、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミドを望ましく使用できる。これらのモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
親水性ポリマーの架橋又はコーティング処理に用いられる親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。親水性ポリマーのコーティングは、例えば、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14から選ばれる少なくとも1つをアルコールに濡らし、親水性ポリマー水溶液に浸漬させることにより行うことができる。さらに、コーティングした親水性ポリマーを、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテルのようなジアルデヒド化合物又はジエポキシ化合物と反応させる。これにより、コンクリート剥落防止シート10の耐薬品性を向上させることができる。
言い換えれば、フッ素樹脂多孔質膜12を構成する樹脂及び補強シート14を構成する樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂が親水基を有していてもよい。親水基としては、ヒドロキシル基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基、カルボキシメチル基、ホスホメチル基、第4級アンモニウム塩基、スルホニウム塩基、ホスホニウム塩基、ピリジニウム塩基、エピクロロヒドリントリエタノールアミン基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、イミダゾール基、アミド基、シアノ基、ピリジル基などが挙げられる。あるいは、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14から選ばれる少なくとも1つが親水性の被膜で被覆されていてもよい。親水性の被膜としては、上記の親水基を有するポリマーで形成された被膜が挙げられる。
また、塩害などが懸念される海洋の周辺でコンクリート剥落防止シート10を使用する場合、海洋からの塩分を含有した蒸気を阻止するために、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14から選ばれる少なくとも1つに撥液処理(典型的には撥水処理)が施されていてもよい。撥液処理としては、フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14から選ばれる少なくとも1つに撥液剤(撥油剤)を塗布する方法が挙げられる。例えば、フッ素樹脂多孔質膜12よりも表面張力の低い被膜を形成することができる撥液剤(撥油剤)をフッ素樹脂多孔質膜12に塗布する。これにより、表面張力の低い被膜が形成される。撥液剤としては、パーフルオロアルキル基を有する高分子を含む撥液剤が好適である。言い換えれば、被膜には、パーフルオロアルキル基を有する高分子が含まれる。
フッ素樹脂多孔質膜12及び補強シート14のそれぞれに親水処理又は撥液処理を施し、その後、フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14との積層体を形成することができる。あるいは、フッ素樹脂多孔質膜12と補強シート14との積層体に対して親水処理又は撥液処理を施してもよい。
粘着剤層16は、基材13に粘着剤を塗布することによって形成されうる。詳細には、補強シート14の表面上に粘着剤層16が設けられている。コンクリート剥落防止シート10が粘着剤層16を有している場合、コンクリート構造物に粘着剤を塗布する工程を省略できるので、コンクリート構造物を補修するための作業の作業性が向上する。粘着剤の種類は、後述するプライマーとの親和性が良好なものであれば特に限定されない。粘着剤層16には、アクリレート系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、不飽和ポリエステル系粘着剤、ウレタンアクリレート系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びゴム系粘着剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの粘着剤が使用されうる。
コンクリート剥落防止シート10の全体の透湿性を確保するために、粘着剤層16は、基材13の表面を部分的に被覆するものであることが望ましい。粘着剤層16は、典型的には、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様(pattern)を有する。これにより、コンクリート構造物から染み出した水分がコンクリート剥落防止シート10を確実に透過しうる。図1に示すコンクリート剥落防止シート10は、平面視でドット模様の粘着剤層16を有する。図3は、ストライプ模様の粘着剤層16を有するコンクリート剥落防止シート10Bを示している。図4は、メッシュ模様の粘着剤層16を有するコンクリート剥落防止シート10Cを示している。
コンクリート剥落防止シート10において、フッ素樹脂多孔質膜12の厚さ、補強シート14の厚さ、及び粘着剤層16の厚さは、十分な透湿度が確保されている限り特に限定されない。フッ素樹脂多孔質膜12の厚さは、例えば、20〜350μmの範囲にある。補強シート14の厚さは、例えば、50〜1000μmの範囲にある。粘着剤層16の厚さは、例えば、10〜500μmの範囲にある。
コンクリート剥落防止シート10において、基材13は、耐候性、透湿性(及び/又は透水性)の他にも、強度、伸縮性、靱性などの特性に優れていることが望ましい。具体的には、基材13は、25℃、湿度60%の条件下で測定された引張強度(引張破断強度)が20MPa以上、かつ引張伸び率が50%以上であることが望ましい。基材13の引張強度が20MPa以上である場合、コンクリート片が剥落したときにコンクリート剥落防止シート10が破断することを防止できる。基材13の引張伸び率が50%以上である場合、コンクリート構造物にひび割れが生じたとしても、コンクリート剥落防止シート10がひび割れに追従することでコンクリートの剥落が防止されうる。引張強度の上限値は特に限定されず、例えば1000MPaである。引張伸び率の上限値は特に限定されず、例えば500%である。
基材13の引張強度は、JIS K7127(1999)に基づき、以下の方法によって測定することができる。具体的には、基材13を所定の大きさに打ち抜き、試験片を得る。引張試験機(例えば、エー・アンド・ディー社製、テンシロン万能試験機MODEL:RTC-1310A-PL)により、下記の条件で試験片の引張強度を測定する。引張強度は、試験片(シート10)の長手方向(MD)及び幅方向(TD)のそれぞれに対して測定することができる。
チャック間距離:10mm
引張速度:100mm/分
測定温度:25℃
引張速度:100mm/分
測定温度:25℃
引張強度は、引張試験によって試験片が破断したときの最大負荷加重(N)を試験片の引張試験前の断面積(mm2)で除することによって算出されうる。なお、試験片の幅は10mmであり、試験片の厚さは、試験片ごとにダイヤルゲージによって測定する。引張伸び率は、最大負荷加重が試験片に加わったときの引張距離をチャック間距離で除することによって百分率の形で算出されうる。つまり、最大負荷加重が試験片に加わったときのチャック間距離をL、初期のチャック間距離をL0としたとき、引張伸び率は、100×(L−L0)/L0(%)によって定義される値である。
なお、粘着剤層16が引張強度及び引張伸び率の値に与える影響は小さい。そのため、粘着剤層16を除いた部分(つまり、基材13)の引張強度及び引張伸び率の値をコンクリート剥落防止シート10の引張強度及び引張伸び率の値とみなすことができる。
次に、コンクリート剥落防止シート10を用いたコンクリート剥落防止方法を説明する。
図5に示すように、コンクリート構造物1におけるコンクリートの剥落防止対象部分にモルタルを塗布してモルタル層3を形成する。モルタル層3は、コンクリート構造物1の表面を平滑化する役割を担う。コンクリート構造物1の表面が平滑であると、プライマーを均一な厚さで塗布できる。また、コンクリート構造物1に対するコンクリート剥落防止シート10の接着性も向上する。ただし、モルタル層3は任意の層であり、省略されてもよい。モルタル層3は、例えば、コンクリート剥落防止シート10を貼り付けるべき部分(剥落防止対象部分)の全面を被覆するように設けられる。あるいは、モルタル層3は、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様を有していてもよい。
モルタル層3を十分に乾燥させた後、モルタル層3又は剥落防止対象部分にプライマーを塗布してプライマー層5をコンクリート構造物1の表面上に形成する。プライマー層5もコンクリート構造物1に対するコンクリート剥落防止シート10の接着性を向上させる。具体的には、粘着剤に対する親和性が良好であるプライマーがモルタル層3又はコンクリート構造物1に浸透することによって、粘着剤とモルタル層3との間の接着性又は粘着剤とコンクリート構造物1との間の接着性の向上が期待できる。モルタル層3を省略する場合には、プライマー層5はコンクリート構造物1に接する。モルタル層3が設けられている場合には、プライマー層5はモルタル層3に接する。プライマーの塗布方法として、スプレー塗布、ローラー塗布、刷毛塗りなどの公知の方法が採用されうる。本実施形態において、プライマー層5は、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様を有する。このようにすれば、コンクリート構造物1からの蒸気がプライマー層5によって遮断されにくいので、蒸気(又は液相の水)が外部へと排出されやすい。なお、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様に関して言えば、粘着剤層16に関する説明が援用されうる。
プライマーとしては、常温硬化性樹脂を使用できる。具体的には、アクリレート系樹脂、ビニルエステル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタンアクリレートなどのラジカル硬化反応を常温で進行させうる樹脂が挙げられる。また、常温硬化型のエポキシプライマー、湿気硬化型のウレタンプライマーなどのゴム系のものが挙げられる。
常温でラジカル硬化反応を進行させるための開始剤としては、常温ラジカル重合開始剤が用いられる。常温硬化型エポキシプライマーに使用されるエポキシ化合物としては、1成分中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂と、エポキシ用硬化剤との組み合わせが挙げられる。エポキシ樹脂としては、エーテル型ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂硬化剤として、一般的にアミン系硬化剤が用いられる。アミン系硬化剤として、脂肪族アミン、芳香族アミン、ポリアミド、複素環状アミンなどが挙げられる。また、これらの変性アミンなども使用できるし、複数のアミン系硬化剤の組み合わせも使用できる。
湿気硬化型ウレタンプライマーに使用するウレタン樹脂は、ジイソシアネートと2個以上の活性水素原子を有する有機化合物とを反応させて得られる、ウレタン結合を主体とする重合体でありうる。この重合体は、遊離イソシアネート基を含んでいるので、熱又は触媒の作用を受けてイソシアネート基同士が反応することによって熱硬化樹脂となる樹脂である。あるいは、この重合体は、イソシアネート基と水、グリコールなどとが反応して熱硬化樹脂となる樹脂である。このような樹脂は、例えば「プラスチック工業辞典」(工業調査会、1985年発行)に記載されている。例えば、末端に2個以上の水酸基を有する化合物と水酸基のモル数よりも多いイソシアネート基を有する化合物とを反応させることによって得られた物質をプライマーとして使用してもよい。プライマーには溶剤が含まれていてもよい。光硬化性樹脂プライマー及び常温硬化性樹脂プライマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、光硬化の機能と常温硬化の機能との両方を持たせるために、これらを組み合わせて使用してもよい。
プライマー層5を形成した後、コンクリート剥落防止シート10でコンクリート構造物1を被覆する。詳細には、粘着剤層16がプライマー層5に接し、フッ素樹脂多孔質膜12が外部環境に面するように、コンクリート剥落防止シート10をプライマー層5の上からコンクリート構造物1に貼り付ける。これにより、補修されたコンクリート構造物1Aが得られる。
補修されたコンクリート構造物1Aは、コンクリート構造物1、モルタル層3、プライマー層5及びコンクリート剥落防止シート10を備えている。プライマー層5は、コンクリート構造物1とコンクリート剥落防止シート10との間に配置されている。モルタル層3は、コンクリート構造物1とプライマー層5との間に配置されている。なお、図5では、コンクリート剥落防止シート10とコンクリート構造物1との間にスペースが形成されている。ただし、プライマー層5は非常に薄いので、コンクリート剥落防止シート10をプライマー層5に貼り付けたとき、コンクリート剥落防止シート10が凹凸に追従してスペースが埋められる。そのため、実際には、スペースは殆ど生じないと考えられる。
フッ素樹脂多孔質膜12が疎水性のフッ素樹脂で構成されている場合、基材13の透湿度は、例えば、500g/m2・日以上である。フッ素樹脂多孔質膜12が親水性のフッ素樹脂で構成されている場合、基材13の透水度は、例えば、1リットル/m2・時間以上である。いずれの場合においても、最表面がフッ素樹脂多孔質膜12によって形成されているので、コンクリート剥落防止シート10は、優れた耐候性及び優れた紫外線遮蔽機能を有する。
疎水性のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂多孔質膜12には、PTFE、PVDFなどの親水基を有さないフッ素樹脂からなる多孔質膜、及び、そのような多孔質膜に撥油剤(撥水剤)の被膜を形成したものが含まれる。具体例として、PTFEの延伸膜、及び、その延伸膜に撥油剤の被膜を形成したものが挙げられる。
親水性のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂多孔質膜12には、親水性ポリマーで被覆されたフッ素樹脂多孔質膜、グラフト重合によって親水基が導入されたフッ素樹脂多孔質膜などが含まれる。具体例として、親水性ポリマーで被覆されたPTFE多孔質膜が挙げられる。
本実施形態のコンクリート剥落防止シート10及びそれを用いたコンクリートの剥落防止方法を適用できるコンクリート構造物の種類は特に限定されない。例えば、トンネルの内壁、橋桁の下部、橋台、橋脚などの支承に本明細書に開示された技術を適用できる。
(実施形態2)
図6に示すように、コンクリート剥落防止シート20は、フッ素樹脂多孔質膜12及び粘着剤層16を備えている。つまり、本実施形態では、フッ素樹脂多孔質膜12のみによって基材が形成されている。粘着剤層16は、フッ素樹脂多孔質膜12の表面上に配置されている。つまり、コンクリート剥落防止シート20は、補強シート14を備えていない点で実施形態1のコンクリート剥落防止シート10と相違する。このような構成によっても実施形態1と同じ効果が得られる。補強シート14が設けられていない点を除き、コンクリート剥落防止シート20の構成は、実施形態1のコンクリート剥落防止シート10の構成と同じである。
図6に示すように、コンクリート剥落防止シート20は、フッ素樹脂多孔質膜12及び粘着剤層16を備えている。つまり、本実施形態では、フッ素樹脂多孔質膜12のみによって基材が形成されている。粘着剤層16は、フッ素樹脂多孔質膜12の表面上に配置されている。つまり、コンクリート剥落防止シート20は、補強シート14を備えていない点で実施形態1のコンクリート剥落防止シート10と相違する。このような構成によっても実施形態1と同じ効果が得られる。補強シート14が設けられていない点を除き、コンクリート剥落防止シート20の構成は、実施形態1のコンクリート剥落防止シート10の構成と同じである。
(サンプル1)
PTFEファインパウダー(ダイキン工業社製)100重量部と、成形助剤としてのn−ドデカン(ジャパンエナジー社製)20重量部とを均一に混合した。得られた混合物をシリンダーを用いて圧縮した後、ラム押出機でシート状に成形した。次に、シート状の混合物を一対の金属ロールに通して厚さ0.2mmに圧延し、150℃の加熱によって成形助剤を除去した。これにより、PTFEのシート状成形体を得た。次に、シート状成形体を、その長手方向(圧延方向)に延伸温度260℃、延伸倍率2倍の条件で延伸した。さらに、シート状成形体を、その幅方向に延伸温度150℃、延伸倍率7倍の条件で延伸した。延伸されたシート状成形体をPTFEの融点を超える温度である360℃で焼成して、PTFE多孔質膜を得た。PTFE多孔質膜の厚さは85μm、気孔率は70%、平均孔径は0.2μmであった。
PTFEファインパウダー(ダイキン工業社製)100重量部と、成形助剤としてのn−ドデカン(ジャパンエナジー社製)20重量部とを均一に混合した。得られた混合物をシリンダーを用いて圧縮した後、ラム押出機でシート状に成形した。次に、シート状の混合物を一対の金属ロールに通して厚さ0.2mmに圧延し、150℃の加熱によって成形助剤を除去した。これにより、PTFEのシート状成形体を得た。次に、シート状成形体を、その長手方向(圧延方向)に延伸温度260℃、延伸倍率2倍の条件で延伸した。さらに、シート状成形体を、その幅方向に延伸温度150℃、延伸倍率7倍の条件で延伸した。延伸されたシート状成形体をPTFEの融点を超える温度である360℃で焼成して、PTFE多孔質膜を得た。PTFE多孔質膜の厚さは85μm、気孔率は70%、平均孔径は0.2μmであった。
なお、平均孔径は、ASTM(米国試験材料協会)F316−86の規定に準拠して測定した。具体的には、この規定に準拠した自動測定が可能な市販の測定装置(Porous Materials社製、Perm-Porometer)を用いて測定した。気孔率は、多孔質膜の質量、厚さ、面積及び構成材料の真密度を下記式に代入することによって算出した。多孔質膜の構成材料がPTFEであるとき、真密度は2.18g/cm3である。
気孔率(%)={1−(質量[g]/(厚さ[cm]×面積[cm2]×真密度[2.18g/cm3]))}×100
なお、気孔率が増加するにつれて多孔質膜の透湿性が向上するが、多孔質膜の強度及び紫外線遮蔽機能が低下する。透湿性と強度とのバランスを考慮すると、多孔質膜の気孔率は、例えば、30〜90%の範囲にあり、望ましくは40〜80%の範囲にある。多孔質膜の平均孔径は、例えば、0.01〜10μmの範囲にあり、望ましくは0.05〜5μmの範囲にある。
次に、PTFE多孔質膜にポリエステル不織布(東レ社製、アクスター)を熱ラミネーションによって積層させた。これにより、サンプル1のコンクリート剥落防止シート用基材を得た。
(サンプル2)
サンプル1と同じ方法でPTFE多孔質膜とポリエステル不織布との積層体を得た。この積層体をIPA(イソプロピルアルコール)に浸漬した後、1重量%ポリビニルアルコール水溶液に10分間浸漬し、PTFE多孔質膜の表面をポリビニルアルコールによってコーティングした。その後、0.1規定(0.05mol/リットル)の硫酸を含む2.5重量%グルタルアルデヒド水溶液に積層体を浸漬させ、常温で24時間反応させた後、水洗し、乾燥させた。これにより、サンプル2のコンクリート剥落防止シート用基材を得た。
サンプル1と同じ方法でPTFE多孔質膜とポリエステル不織布との積層体を得た。この積層体をIPA(イソプロピルアルコール)に浸漬した後、1重量%ポリビニルアルコール水溶液に10分間浸漬し、PTFE多孔質膜の表面をポリビニルアルコールによってコーティングした。その後、0.1規定(0.05mol/リットル)の硫酸を含む2.5重量%グルタルアルデヒド水溶液に積層体を浸漬させ、常温で24時間反応させた後、水洗し、乾燥させた。これにより、サンプル2のコンクリート剥落防止シート用基材を得た。
(サンプル3)
サンプル3のコンクリート剥落防止シート用基材として、ポリエステル不織布(東レ社製、アクスター)を準備した。
サンプル3のコンクリート剥落防止シート用基材として、ポリエステル不織布(東レ社製、アクスター)を準備した。
サンプル1〜3のコンクリート剥落防止シート用基材について、先に説明した方法に従って、透湿度及び透水度を測定した。また、耐候性を確認するために、サンシャインウェザーメーター(岩崎電気社製、アイスーパーUVテスター)による劣化加速試験(50時間及び100時間)を行った。具体的には、JIS D0205(1987)に規定された方法に準拠して試験を行った。コンクリート剥落防止シート用基材を100mm×50mmの大きさに切断し、ステンレス板に貼り付け、上記のサンシャインウェザーメーターにセットした。温度63℃、湿度50%の条件の下、コンクリート剥落防止シート用基材に白色光を50時間又は100時間照射した。コンクリート剥落防止シート用基材に水を1時間あたり12分間噴霧した。また、劣化加速試験前後の引張強度及び引張伸び率を測定した。測定結果に基づき、引張強度の維持率及び引張伸び率の維持率を算出した。結果を表1に示す。
サンプル1及びサンプル2においては、フッ素樹脂多孔質膜の表面に対して劣化加速試験を実施した。そのため、サンプル1及びサンプル2のコンクリート剥落防止シート用基材は、劣化加速試験の後も高い引張強度を有していた。これに対し、サンプル3においては、ポリエステル不織布の表面に対して劣化加速試験を実施した。そのため、サンプル3のコンクリート剥落防止シート用基材の引張強度は、劣化加速試験によって大幅に低下した。
サンプル2のコンクリート剥落防止シート用基材において、PTFE多孔質膜は、親水性の被膜(架橋PVAの被膜)によって被覆されている。そのため、サンプル2のコンクリート剥落防止シート用基材は、十分な透水性を示した。このことは、架橋PVAがPTFE多孔質膜の細孔内にも存在していることを意味する。一方、サンプル1のコンクリート剥落防止シート用基材は透水性を示さなかった。
本明細書に開示された技術は、コンクリート構造物の補修及びコンクリート構造物からのコンクリートの剥落の防止に有用である。
10,10B,10C,20 コンクリート剥落防止シート
12 フッ素樹脂多孔質膜
14 補強シート
16 粘着剤層
12 フッ素樹脂多孔質膜
14 補強シート
16 粘着剤層
Claims (14)
- コンクリート構造物の補修に使用される又はコンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止するために使用されるシートであって、
フッ素樹脂多孔質膜を含む基材を備え、
前記フッ素樹脂多孔質膜によって前記コンクリート剥落防止シートの一方の表面が形成されており、
前記基材の透湿度が500g/m2・日以上である、コンクリート剥落防止シート。 - 前記基材は、20MPa以上の引張強度及び50%以上の引張伸び率を有する、請求項1に記載のコンクリート剥落防止シート。
- 前記フッ素樹脂多孔質膜がポリテトラフルオロエチレン多孔質膜である、請求項1又は2に記載のコンクリート剥落防止シート。
- 前記フッ素樹脂多孔質膜が親水性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート剥落防止シート。
- 前記基材は、前記フッ素樹脂多孔質膜に積層された補強シートをさらに備え、
前記補強シートは、メッシュ、ネット、不織布、織布及び焼結多孔質体からなる群より選ばれる少なくとも1つの部材で形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート剥落防止シート。 - 前記フッ素樹脂多孔質膜及び前記補強シートからなる群より選ばれる少なくとも1つが親水性を有する、請求項5に記載のコンクリート剥落防止シート。
- 前記コンクリート剥落防止シートは、前記基材の表面上に配置された粘着剤層をさらに備え、
前記粘着剤層は、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンクリート剥落防止シート。 - 前記粘着剤層は、アクリレート系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、不飽和ポリエステル系粘着剤、ウレタンアクリレート系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びゴム系粘着剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの粘着剤を含む、請求項7に記載のコンクリート剥落防止シート。
- コンクリート構造物と、
前記コンクリート構造物に貼り付けられた、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンクリート剥落防止シートと、
を備えた、補修されたコンクリート構造物。 - 前記コンクリート構造物と前記コンクリート剥落防止シートとの間に配置されたプライマー層をさらに備え、
前記プライマー層は、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様を有する、請求項9に記載の補修されたコンクリート構造物。 - 前記コンクリート構造物と前記プライマー層との間に配置されたモルタル層をさらに備えた、請求項10に記載の補修されたコンクリート構造物。
- プライマー層をコンクリート構造物の表面上に形成することと、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンクリート剥落防止シートを前記プライマー層の上から前記コンクリート構造物に貼り付けることと、
を含む、コンクリート剥落防止方法。 - 前記プライマー層は、メッシュ模様、ストライプ模様及びドット模様からなる群より選ばれる少なくとも1つの模様を有する、請求項12に記載のコンクリート剥落防止方法。
- 前記コンクリート構造物と前記プライマー層との間にモルタル層を形成することをさらに含む、請求項13に記載のコンクリート剥落防止方法。
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-
2015
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