JP2017089050A - 炭素繊維の製造方法及び耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法及び耐炎化繊維の製造方法 Download PDF

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忠幸 青山
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Abstract

【課題】耐炎化工程において、繊維前駆体の状態に応じてきめ細かな熱量制御を行い、断糸が少なく、高品位、高品質の炭素繊維を得ることができる炭素繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】耐炎化炉2内を複数段で往復走行する繊維前駆体5を加熱処理する耐炎化工程を含む炭素繊維の製造方法であって、耐炎化工程では、複数段で走行する繊維前駆体5の段方向と直交する面に対して平行に供給され且つ繊維前駆体5に与える熱量の異なる加熱気体により加熱処理される。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維前駆体を加熱処理する耐炎化工程を含む炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系繊維、レーヨン系繊維、セルロース系繊維及びピッチ系繊維等から製造された繊維前駆体を焼成して製造される。例えば、ポリアクリロニトリル系繊維から製造された繊維前駆体の焼成は、酸素を含む雰囲気中(耐炎化炉内)で加熱する耐炎化工程、耐炎化工程を経た繊維(以下、「耐炎繊維」という。)を不活性雰囲気中(炭素化炉)で加熱する炭素化工程を経て行われる。なお、上記焼成は、耐炎化炉及び炭素化炉を繊維が通過(走行)することで行われる。
ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を製造する方法においては、通常まずポリアクリロニトリル系繊維からなる繊維前駆体を炉内温度300[℃]以下の耐炎化炉を通過させることにより耐炎化処理を施して耐炎繊維を得る。次いで、耐炎繊維を不活性ガスの雰囲気下で400[℃]以上の炭素化炉を通過させることにより炭素繊維を得る。品質の良好な炭素繊維を得るためには、上記耐炎化処理工程において繊維前駆体に与える熱量の制御が重要である。
耐炎化炉内では、繊維前駆体が耐炎化処理により酸化される。この反応は発熱反応であるため、耐炎化炉内の熱量制御が難しい。例えば、耐炎化炉内の熱量制御が悪いと、処理炉内で耐炎繊維の切断(断糸)が発生する。
耐炎化炉については、例えば、炉の中央に多数の水平チューブを上下方向に多段に並べ、チューブの間を繊維前駆体が走行し、チューブより繊維の走行方向と平行に一定温度の高温ガスを吹きださせ、炉両端に配置した多段の水平多孔チューブによりガスを捕集し、排出する構成が提案されている(特許文献1)。これによりガス流れ方向を繊維と平行に保ち、気流による繊維への衝撃を少なくし、繊維の破損を防いでいる。
米国特許第4515561号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の提案では、炉内の温度分布が均一であり、繊維の状態に応じてきめ細かな熱量制御ができず、断糸が多く、高品位、高品質の炭素繊維が得られないという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、耐炎化工程において、繊維前駆体の状態に応じてきめ細かな熱量制御を行い、断糸が少なく、高品位、高品質の炭素繊維を得ることができる炭素繊維の製造方法、及び耐炎化繊維の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法は、耐炎化炉内を複数段で往復走行する繊維前駆体を加熱処理する耐炎化工程を含む炭素繊維の製造方法であって、前記耐炎化工程では、前記複数段で走行する前記繊維前駆体の段方向と直交する面に対して平行に供給され且つ繊維前駆体に与える熱量の異なる加熱気体により加熱処理される前記炭素繊維の製造方法を特徴としている。
本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法によれば、段方向と直交する面に対して平行に熱量の異なる加熱気体を供給するため、繊維前駆体の状態に応じてきめ細かな熱量制御ができる。本発明の炭素繊維の製造方法によれば、断糸が少なく、高品位、高品質の炭素繊維を得ることができる。
本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法に使用する耐炎化装置を示す概略図である。 本発明の別の態様に係る耐炎化装置を示す概略図である。 本発明のさらに別の態様に係る耐炎化装置を示す概略図である。
<<概要>>
本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法は、耐炎化炉内を複数段で往復走行する繊維前駆体を加熱処理する耐炎化工程を含む炭素繊維の製造方法であって、前記耐炎化工程では、前記複数段で走行する前記繊維前駆体の段方向と直交する面に対して平行に供給され且つ前記繊維前駆体に与える熱量の異なる加熱気体により加熱処理される。そのため、耐炎化工程において繊維前駆体の状態に応じてきめ細かな熱量制御ができ、断糸が少なく、高品位、高品質の炭素繊維を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の一態様に係る炭素繊維の製造方法に使用する耐炎化装置を示す概略図である。
図1に示すように、耐炎化装置1は、耐炎化炉2と、耐炎化炉2に連接されたシール室3,4とを有する。シール室3、耐炎化炉2、シール室4の中を繊維前駆体5が水平方向に複数段で往復走行できるよう構成されている。加熱気体供給ノズル7は段方向と直交する面に対して平行に繊維前駆体5に沿って加熱気体を供給する。
繊維前駆体5は耐炎化炉2内を第1の方向(水平方向)と直交する第2の方向(段方向)に間隔をおきながら、耐炎化炉2内を第1方向に往復走行する。すなわち、繊維前駆体5は水平方向に走行した後、シール室3、4の外側にて上下方向(ここでは下方)に間隔をあけて反転し、再び耐炎化炉2内を水平方向に走行して耐炎化炉2内に入っていく。これを繰り返すことで、耐炎化炉2内を水平方向の繊維前駆体5が上下方向に複数段で走行することになる。
〔耐炎化炉〕
本実施形態の耐炎化炉2は、水平方向に走行する繊維前駆体5間に配される仕切板6により、上下2つの耐炎化室21、22に仕切られている。なお、後述の実施例では、上側(前半)の耐炎化室21を第一エリア、下側(後半)の耐炎化室22を第二エリアとしている。耐炎化炉2の走行方向の出入口にはシール室3、4が設けられている。例えば、上から1段目(最上段)を走行する繊維前駆体5は、シール室3が入口、シール室4が出口となる。上から2段目を走行する繊維前駆体5は、シール室4が入口、シール室3が出口となる。
また、仕切板6は、繊維前駆体5と平行にシール室3、4の壁側まで延伸され、シール室3、4内を上下に仕切っている。なお、耐炎化炉2とシール室3、4との壁であって、繊維前駆体5が通過する部分にはスリット(開口)が形成されている。
〔加熱気体供給ノズル〕
耐炎化炉2の走行方向における中央部には、繊維前駆体5に加熱気体を供給する加熱気体供給ノズル7が上下方向に多段に設けられている。例えば、耐炎化室21には5段の加熱気体供給ノズル7が設けられ、耐炎化室22には4段の加熱気体供給ノズル7が設けられている。
また、加熱気体供給ノズル7は、段方向(図面上下方向)に隣接する繊維前駆体5間に配置されている。なお、耐炎化室21の最下段(5段目)の繊維前駆体5は上側のみに加熱気体供給ノズル7が配置され、耐炎化室21の最上段(1段目)の繊維前駆体5は下側のみに加熱気体供給ノズル7が配置されている。
シール室3、4内の気体を吸引してファン8からヒーター9に供給し2以上の温度に加熱した後、各加熱気体供給ノズル7から繊維前駆体5の走行方向と平行(矢印Y方向)に加熱気体を供給(吹付け)する。なお、各加熱気体供給ノズル7は吹き出し口を2個以上有し、左方向もしくは右方向に加熱気体を供給する。このようにして繊維前駆体5の上下側から2以上の熱量の異なる加熱気体を供給して耐炎化することができる。本発明において加熱気体供給ノズル7から供給される加熱気体の風速は1〜10[m/s]であることが好ましく、2〜5[m/s]であることがより好ましい。風速がこの範囲であると、熱量の異なる加熱気体がより混合しにくくなるため、よりきめ細かな熱量制御を行うことができる。
尚、繊維前駆体の段方向と直交する面に対して平行とは、繊維前駆体の段方向と直交する面に対して略平行であればよく、直交する面に対して通常±30度以内、好ましくは±15度以内である。
つぎに、耐炎化処理工程について説明する。
繊維前駆体がアクリロニトリル(PAN)系繊維である場合を例にとって以下説明する。なお、加熱気体は酸化性気体(酸素、二酸化窒素等を含む気体)を用いることが好ましい。
炭素繊維は、繊維前駆体であるプリカーサを用いて製造される。1本のプリカーサは、複数本、例えば、6,000本、12,000本、24,000本のフィラメントが束になったものである。場合によっては、繊維前駆体束(ストランド)や炭素繊維束ということもある。
プリカーサは、アクリロニトリルを90質量%以上含有する単量体を重合した紡糸溶液を湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法において紡糸した後、水洗・乾燥・延伸して得られる。なお、共重合する単量体としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリルアミド、イタコン酸、マレイン酸等が利用される。
耐炎化工程は、炉内が200〜350[℃]の酸化性気体雰囲気に設定された耐炎化炉2を利用して行う。具体的には、耐炎化は、酸化性気体雰囲気中の耐炎化炉2内を繊維前駆体(プリカーサ)5が複数回通過することで行われる。耐炎化炉2は、ひとつでも良いし、2つ又は3つ以上の耐炎化炉2を利用しても良い。
耐炎化工程中の繊維前駆体5は、製造する炭素繊維に合わせて所定の張力で延伸される。耐炎化工程での延伸倍率は、例えば、0.7〜1.3の範囲内である。繊維前駆体5の延伸は複数のローラ10、11により行われる。
〔耐炎化処理〕
繊維前駆体5は、ローラ10、11により向きを変えられながら水平方向に往復走行し、シール室3(シール室4)、耐炎化炉2(耐炎化室21、22)、シール室4(シール室3)を通過する。この間に繊維前駆体5は、加熱気体供給ノズル7により異なる熱量の加熱気体(酸化性気体)が供給されて熱処理され、繊維前駆体5の耐炎化処理が行われる。その後、ロール11aでシール室4外に排出され、耐炎繊維15が得られる。なお、耐炎化反応の進行が不十分な場合には、複数の耐炎化炉(例えば、実施例に示す第一耐炎化炉、第二耐炎化炉、第三耐炎化炉、第四耐炎化炉等)で続けて処理を行ってもよい。
〔加熱気体が繊維前駆体に与える熱量〕
各加熱気体供給ノズル7から供給される加熱気体が繊維前駆体に与える熱量は、1つの耐炎化炉2内で同一(均一)とならないように設定されている。具体的には、耐炎化炉2内の複数の加熱気体供給ノズル7のうち少なくとも2つは、異なる熱量の加熱気体を供給するように設定されている。このように本実施形態においては、繊維前駆体5の状態に応じてきめ細かな熱量制御ができる。
加熱気体が繊維前駆体に与える熱量は、例えば、加熱気体供給ノズル7から供給される加熱気体の温度、風速、風量(ノズル口の面積)、ノズル位置等を変更することや、比熱容量の異なる加熱気体を用いることで変更することができる。加熱気体の温度を変更することが、工程をより簡便に制御できるため好ましい。また、加熱気体が繊維前駆体に与える熱量は、耐炎化工程を通して繊維前駆体の耐炎化反応に必要な積算熱量を繊維前駆体に与えられるよう適宜調整される。
繊維前駆体に与えた積算熱量は、熱処理される繊維前駆体の温度を実測することでより正確に求めることができるが、走行する繊維前駆体の温度の測定は技術的に難しい。また、加熱気体と同等の温度に設定した熱風乾燥機に繊維前駆体を導入し、繊維前駆体の温度を実測すると、通常の耐炎化処理時間に対して十分短い時間で熱風乾燥機温度と繊維前駆体の温度が一致する。従って、本発明において加熱気体が繊維前駆体に与える熱量および、繊維前駆体に与えた積算熱量は、耐炎化炉内における繊維前駆体の温度を、加熱気体の温度と同じとみなし、加熱気体の温度T[K]と耐炎化炉の滞留時間t[h]、およびポリアクリルニトリル繊維の比熱容量1.507[J/g・K]を用いて、下式により求めた値である。
・加熱気体が繊維前駆体に与える熱量[J/g]=T×1.507
・繊維前駆体に与えた積算熱量[J・h/g]=T×t×1.507
T:加熱気体の温度[K]
t:炉滞留時間[h]
なお、段方向(図面上下方向)に隣接する加熱気体供給ノズル7から供給される加熱気体が繊維前駆体に与える熱量の差(上下方向に隣接する段の繊維前駆体に与える加熱気体との熱量の差)は、13[J/g]以内が好ましく、より好ましくは1〜13[J/g]であり、さらに好ましくは1〜7[J/g]であり、特に好ましくは1〜4[J/g]である。耐炎化工程において加熱気体が繊維前駆体に与えた積算熱量は、100〜1000[J・h/g]であることが好ましく、400〜900[J・h/g]であることがより好ましい。
また、加熱気体が繊維前駆体に与える熱量は、繊維前駆体5の走行方向の上流側(ここでは図面上側)よりも下流側(ここでは図面下側)の方が高くなるように設定することが好ましい。
そして、耐炎化された耐炎繊維15は更に公知の方法、例えば、炭素化炉で炭素化し、必要に応じて後処理炉で後処理することにより炭素化して炭素繊維とすることができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
繊維前駆体であるPAN繊維ストランド(単繊維繊度:1.2dtex、フィラメント数:24000本)を、耐炎化処理を行い、次いで窒素ガス雰囲気下、最高温度650[℃]で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1500[℃]で高温炭素化させて炭素繊維を得た。
第一耐炎化炉、第二耐炎化炉及び第三耐炎化炉を有する耐炎化炉を使用した。第一耐炎化炉及び第二耐炎化炉の前半、後半をそれぞれ第一エリア、第二エリアとした。なお、実施形態では仕切板6により第一エリアと第二エリアとを仕切ったが、実施例では仕切板を設けていない(以下、各実施例において同様)。第三耐炎化炉は前半後半を区別せず1つのエリアとした。通過するエリアの順に加熱気体の温度を上げ、供給熱量を高くした。各エリアの積算熱量を表1に示した。また、当該エリアの加熱気体が繊維前駆体に与える熱量と、直前のエリアの加熱気体が繊維前駆体に与える熱量との差(熱量差)を表1に併せて示した。
〔実施例2〕
各耐炎化炉の各エリアにおける積算熱量を、下記の表1に示すように変更した以外は、実施例1に準じて炭素繊維を得た。
〔比較例1〕
下記の表1に示す耐炎化炉を用い、各耐炎化炉の各エリアにおける積算熱量を変更した以外は、実施例1に準じて炭素繊維を得た。ここでは、第一耐炎化炉、第二耐炎化炉及び第三耐炎化炉の前半後半を区別せず1つのエリアとした。
≪評価方法≫
実施例1、実施例2及び比較例1で得た炭素繊維について、下記の評価を行った。その結果を、下記の表1に併せて示した。
<炭素繊維強度(ストランド引張強度)>
JIS R−7608に準じて炭素繊維(エポキシ樹脂含浸ストランド)の引張強度を測定した。
Figure 2017089050
≪評価≫
<実施例1>
2週間にわたり耐炎化処理を継続したが、糸切れはほとんど発生せず工程は安定していた。得られた炭素繊維のストランド引張強度は4.9[GPa]と高く、また、毛羽や糸切れの少ない品質の良い炭素繊維であった。
<実施例2>
2週間にわたり耐炎化処理を継続したが、糸切れがわずかに発生したものの工程は安定していた。得られた炭素繊維のストランド引張強度は4.4[GPa]とやや低かったが、毛羽や糸切れの少ない品質の良い炭素繊維であった。
<比較例1>
運転開始5日目になって糸切れが多発し、2週間にわたり耐炎化処理を継続したが工程は不安定だった。得られた炭素繊維のストランド引張強度は4.2[GPa]と実施例1,2に比べ低く、毛羽や糸切れの多い低品質の炭素繊維であった。
〔実施例3〕
下記の表2に示す耐炎化炉を用い、各耐炎化炉の各エリアにおける積算熱量を変更した以外は、実施例1に準じて炭素繊維を得た。ここでは、第一耐炎化炉、第二耐炎化炉、第三耐炎化炉及び第四耐炎化炉を有する耐炎化炉を使用した。第一耐炎化炉〜第四耐炎化炉の前半、後半をそれぞれ第一エリア、第二エリアとした。
〔比較例2〕
下記の表2に示す耐炎化炉を用い、各耐炎化炉の各エリアにおける積算熱量を変更した以外は、実施例1に準じて炭素繊維を得た。ここでは、第一耐炎化炉、第二耐炎化炉、第三耐炎化炉及び第四耐炎化炉を有する耐炎化炉を使用した。第一耐炎化炉〜第四耐炎化炉の前半後半を区別せず1つのエリアとした。
≪評価方法≫
実施例3及び比較例2で得た炭素繊維について、前記と同様にして、炭素繊維強度(ストランド引張強度)の評価を行った。その結果を、下記の表2に併せて示した。
Figure 2017089050
≪評価≫
<実施例3>
2週間にわたり耐炎化処理を継続したが、糸切れは発生せず工程は安定していた。得られた炭素繊維のストランド引張強度は5.5[GPa]と高く、また、毛羽や糸切れのない高品質の炭素繊維であった。
<比較例2>
運転開始8日目から糸切れが発生した。得られた炭素繊維のストランド引張強度は5.1[GPa]と低く、また、多少の毛羽が見られ、実施例3に比べて品質の低い炭素繊維であった。
<<変形例>>
以上、実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限られない。例えば、以下で説明する変形例と実施形態のいずれかを適宜組み合わせてもよいし、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
1.加熱気体供給ノズル
実施形態では、繊維前駆体5間は上下方向に複数段あり、その各段に加熱気体供給ノズル7が仕切板6のあることころを除いて配したが、数段毎に配置してもよい。例えば、1段飛びで加熱気体供給ノズル7を配してもよく、耐炎化室内において上段側、下段側のみに加熱気体供給ノズル7を配置してもよい。
また、加熱気体供給ノズル7は繊維前駆体5間であって、走行方向の中央部(図面中央)に1ヶ所のみ配したが、例えば、図2に示すように、中央部よりも端側に加熱気体供給ノズル7aを配してもよい。すなわち、加熱気体供給ノズル7は段方向と直交する面に対して1ヶ所のみではなく、複数個(図では2ヶ所)配してもよい。加熱気体供給ノズル7aから中央部に向かって供給された加熱空気は、吸引手段12によって吸引される。
2.加熱気体の温度
実施形態では、段差方向で加熱気体の温度を異なるようにしたが、繊維前駆体5間の同一平面において加熱気体の温度を異なるようにすることもできる。例えば、図2に示すように、加熱気体供給ノズル7aから供給される加熱気体の温度を異なるようにしてもよい。
3.加熱気体の供給方向
加熱気体の供給方向は、段方向と直交する面に対して平行であれば特に限定はない。実施形態では、耐炎化炉2の中央から両端部に向かって供給したが(Center To End:CTE)、両端部から中央に向かって供給してもよく(End To Center:ETC)、もしくは、繊維前駆体5の走行方向と直交する方向(図面手前から奥方向)に加熱気体を供給してもよい(いわゆるクロスフロー)。
また、実施形態では、加熱気体の供給方向は、段方向と直交する面に対して逆方向(図面両端側)としたが、同一方向とすることもできる。
4.耐炎化炉
実施形態では、耐炎化炉2内は、2室(耐炎化室21、22)としたが、必要に応じて1室のみ、もしくは3室以上であっても良い。
5.仕切り手段
実施形態では、耐炎化炉2内を仕切板6により、2つの耐炎化室21、22に仕切ったが、仕切り手段は、仕切板6に限定されるものではない。例えば、実施例のように仕切板を設けることなく、2つの耐炎化室21(第一エリア)、耐炎化室22(第二エリア)に仕切ってもよい。また、段方向に隣接する繊維前駆体5間に上下2列に加熱気体供給ノズルを配し、各ノズルから熱量の異なる加熱気体を繊維前駆体5に供給し、隣接する2つの繊維前駆体5に与える熱量を異なるようにすることにより、耐炎化炉2内を仕切る仮想の仕切板とすることもできる。なお、仕切板6の両端は、繊維前駆体5と平行にシール室3,4の壁側まで延伸したが、シール室3,4内に延伸せずに耐炎化炉2内のみを仕切ってもよい。
なお、段の数や仕切板の有無は特に限定はなく、例えば、図3に示すように段の数を少なくし、仕切板をなくした耐炎化炉2とすることもできる。
6.繊維前駆体
本実施形態に用いる繊維前駆体(ストランド)5は、アクリロニトリル(PAN)系繊維が好ましく、収束剤で処理したものが特に好ましい。
7.繊維前駆体の走行方向
実施形態では、繊維前駆体5は耐炎化炉2内を水平方向(図面左右方向)に往復走行させたが、垂直方向(図面上下方向)に往復走行させるようにしてもよい。この場合も、垂直に走行する繊維前駆体5間に加熱気体供給ノズルを配すればよい。
1 耐炎化処理装置
2 耐炎化炉
5 繊維前駆体
7 加熱気体供給手段

Claims (5)

  1. 耐炎化炉内を複数段で往復走行する繊維前駆体を加熱処理する耐炎化工程を含む炭素繊維の製造方法であって、
    前記耐炎化工程では、前記複数段で走行する前記繊維前駆体の段方向と直交する面に対して平行に供給され且つ前記繊維前駆体に与える熱量の異なる加熱気体により加熱処理される
    炭素繊維の製造方法。
  2. 前記繊維前駆体は炭素繊維前駆体であり、
    前記加熱気体は酸化性気体である
    請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
  3. 前記熱量の異なる加熱気体は、隣接する段の繊維前駆体に与える加熱気体との熱量の差が13[J/g]以内となるように設定されている
    請求項2に記載の炭素繊維の製造方法。
  4. 前記加熱気体が前記繊維前駆体に与える熱量は、前記繊維前駆体走行方向の上流側よりも下流側の方が高くなるように設定されている
    請求項3に記載の炭素繊維の製造方法。
  5. 耐炎化炉内を複数段で往復走行する繊維前駆体を加熱処理する耐炎化工程を含む耐炎化繊維の製造方法であって、
    前記耐炎化工程では、前記複数段で走行する前記繊維前駆体の段方向と直交する面に対して平行に供給され且つ前記繊維前駆体に与える熱量の異なる加熱気体により加熱処理される
    耐炎化繊維の製造方法。
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