JP2017088706A - インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクの分散安定性を確保し、良好な保存安定性が得られ、オフセットコート紙であっても良好な画像濃度が得られるインクを提供する。【解決手段】水、色材及び共重合体を含有するインクであって、前記共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、前記インクは、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体に対し、付着量500〜700mg/A4でベタ画像を形成したときに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする。【化1】(上記一般式(1)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)【選択図】図1

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録物に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単で、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点があることから、普及してきている。このインクジェット記録方式は、熱により発生する泡や、ピエゾや静電気力等を利用して発生させた圧力で少量のインクを飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて素早く乾燥させること(又は記録媒体に浸透させること)により、画像形成する方式であり、パーソナル及び産業用のプリンタや印刷まで用途が拡大してきている。
このようなインクジェット記録方式では、着色剤として水溶性染料を使用した水系インクや顔料インクが用いられるが、耐侯性及び耐水性の観点から、近年では通常顔料インクが用いられる。
また、近年、高速連帳機を対象とした水性顔料インクの開発が進められており、高速で印字しても高画質の画像が得られるような顔料インクが求められている。高速連帳機では、対象とする主なメディアがオフセットコート紙(コート紙とも称される)となるため、普通紙の場合と違い、高画質を得るためのメカニズムが異なる。
普通紙においては紙の表面に顔料を留めることによって、紙表面の顔料カバー率を上げることにより画像濃度が高くなる。従って、普通紙においては、紙の薬剤と反応しやすいインクに設計することで、紙の表面でインクが薬剤と反応・凝集し、画像濃度が高くなる。一方で、オフセットコート紙においては、印字物の画像表面を平滑にした方が、光沢度が向上し、画像濃度も向上する。コート紙に対しては、顔料粒子径を小さくする方が、画像部表面が平滑になり、光沢度が向上し、画像濃度も向上する。また、インクと紙の反応性は低い方が、インク膜が画像上でレベリングするため、光沢度と画像濃度が向上する。
これまでの公知例によると、特許文献1にあるように、紙中のカルシウムとインクの反応性を利用することにより顔料を紙の表面に留めて、普通紙の画像濃度を向上させる例が知られている。しかし、このようなインクをコート紙に印字した場合には、紙にインクが着弾したときに、顔料が凝集される時間が早く、インク膜がレベリングしないため、表面が平滑にならずに画像濃度が低くなるという問題があった。
また、顔料インクにおいては、光沢感を付与するなどの目的で、水分散性樹脂をインク中に添加する場合がある。樹脂としては、アクリルシリコン樹脂やポリウレタン樹脂がよく用いられている。顔料及びそれを分散させる共重合体(分散樹脂)と水分散性樹脂の相溶性を良くすれば、親和性が高く混ざりやすくなり、印字したときの画像部表面が平滑になり、光沢度が向上し、画像濃度も向上する。
これまでの公知例によると、特許文献2では、樹脂粒子とワックスを含有させたインクにすることによって、低吸収性塗工紙の細孔に顔料が浸透するのを抑制することにより、塗工紙上での画像濃度と定着性を両立する公知例が報告されている。しかし、この公知例では、自己分散顔料を用いており、コート紙上で液滴がレベリングしないため、画像部が平滑にならず、画像濃度が高くならない。また、ワックスが入っているために、保存安定性は悪い。
また、特許文献3では、メタクリレートとウレタン結合を有する共重合体を用いることで、極性成分の効果により普通紙における画像濃度が向上することが報告されている。しかし、このような共重合体の場合、顔料に対する吸着性が低くなり、保存安定性が悪化するという問題があった。
また、特許文献4では、表面に酸性基を有する顔料とアミノ基を有する塩基性樹脂を接触させることで、普通紙における画像濃度を向上させる内容が記載されているが、コート紙においては表面が充分に平滑にならず、画像濃度は低い。また、インク中で顔料の凝集が起こり、保存安定性は悪いという問題があった。
そこで、本発明は、インクの分散安定性を確保し、良好な保存安定性が得られ、オフセットコート紙であっても良好な画像濃度が得られるインクを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、水、色材及び共重合体を含有するインクであって、前記共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、前記インクは、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体に対し、付着量500〜700mg/A4でベタ画像を形成したときに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする。
(上記一般式(1)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)
本発明によれば、インクの分散安定性を確保し、良好な保存安定性が得られ、オフセットコート紙であっても良好な画像濃度が得られるインクを提供することができる。
本発明に係る記録装置の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明に係るインクカートリッジの一例を模式的に示す斜視図である。 スチレンアクリル樹脂粒子のFT−IRスペクトルの一例を示す図である。
以下、本発明に係るインク、インクカートリッジ、記録装置及び記録物について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、水、色材及び共重合体を含有するインクであって、前記共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、前記インクは、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体に対し、付着量500〜700mg/A4でベタ画像を形成したときに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする。
(上記一般式(1)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)
前記Lは、炭素数が2〜18のアルキレン基であり、好ましくは炭素数が2〜16のアルキレン基、より好ましくは炭素数が2〜12のアルキレン基である。上記一般式(1)において、Lを介して末端に存在するナフチル基は、水性インク(以下、インクということもある)中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより優れた顔料吸着力を有する。
また、本発明のインクは、下記一般式(2)で表される構造単位を有していることが好ましい。
(上記一般式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又は陽イオンを表す。)
上記一般式(2)において、Xは水素原子又は陽イオンであり、陽イオンの場合、陽イオンに隣接する酸素はOとして存在する。陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、プロピルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルトリメチルアンモニウムイオン、ノニルトリメチルアンモニウムイオン、デシルトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、テトラデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムイオンジドデシルジメチルアンモニウムイオン、ジテトラデシルジメチルアンモニウムイオン、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノエチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、メチルエタノールアンモニウムイオン、メチルジエタノールアンモニウムイオン、ジメチルエタノールアンモニウムイオン、モノプロパノールアンモニウムイオン、ジプロパノールアンモニウムイオン、トリプロパノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、モルホリニウムイオン、N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−2−ピロリドニウムイオン、2−ピロリドニウムイオンなどが挙げられる。
上記一般式(1)及び(2)の記載から理解されるように、上記一般式(1)及び(2)で表される構造単位は、典型的にはLを介して垂下する末端ナフチル基や側鎖カルボキシル基のようなペンダント基を有する共重合体の主鎖であってもよい。言うまでもないが、一部が側鎖に含まれる場合を除外するものではない。
前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位のモル比は、顔料を吸着する能力の点から、1:0.1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは1:0.3〜1:5であり、さらに好ましくは1:0.5〜1:3である。好ましい範囲の場合、画像濃度、保存安定性を良好にすることができる。
本発明における共重合体の数平均分子量、及び重量平均分子量は、それぞれポリスチレン換算で、500〜10000、及び1500〜30000が好ましい。
また、インク対する共重合体の含有量は、固形分比で0.9質量%以上1.8質量%以下が好ましい。
本発明の共重合体は、上記一般式(1)及び(2)で表される構造単位以外に、その他の重合性モノマーからなる繰り返し単位を有することができる。
その他の重合性モノマーとしては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられる。
前記重合性の疎水性モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマー、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性の親水性モノマーとしては、例えば、マレイン酸又はその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸、4−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、あるいはリン酸、ホスホン酸、アレンドロン酸又はエチドロン酸を含有した不飽和エチレンモノマー等のアニオン性不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の非イオン性不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。
前記重合性界面活性剤は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合性基を分子内に少なくとも1つ以上有するアニオン性又は非イオン性の界面活性剤が挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤としては、硫酸アンモニウム塩基(−SO−NH )などの硫酸塩基とアリル基(−CH−CH=CH)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(−SO−NH )などの硫酸塩基とメタクリル基〔−CO−C(CH)=CH〕とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(−SO−NH )などの硫酸塩基と1−プロペニル基(−CH=CHCH)とを有する芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、三洋化成社製のエレミノールJS−20、及びRS−300、第一工業製薬社製のアクアロンKH−10、アクアロンKH−1025、アクアロンKH−05、アクアロンHS−10、アクアロンHS−1025、アクアロンBC−0515、アクアロンBC−10、アクアロンBC−1025、アクアロンBC−20、及びアクアロンBC−2020などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、1−プロペニル基(−CH=CHCH)とポリオキシエチレン基〔−(CO)−H〕とを有する炭化水素化合物又は芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、第一工業製薬社製のアクアロンRN−20、アクアロンRN−2025、アクアロンRN−30、及びアクアロンRN−50、花王社製のラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、及びラテムルPD−450などが挙げられる。
本発明における共重合体は、下記反応式(1)〜(3)に示すように、まず、ナフタレンカルボニルクロリド(A−1)と過剰量のジオール化合物を、アミン又はピリジンなどの酸受容剤の存在下で縮合反応させて、ナフタレンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A−2)を得る。次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と前記(A−2)とを反応さて、モノマー(A−4)を得た後、ラジカル重合開始剤の存在下で(メタ)アクリル酸モノマー(A−5)と共重合させれば、本発明の共重合体(A−6)が得られる。ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、上記一般式(2)におけるLが炭素数2〜18のアルキレン基、及びR2が水素原子又はメチル基であることから、357〜596である。
(上記反応式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又は陽イオンを表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)
前記ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総量に対して、1〜10質量%が好ましい。
前記ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。
前記連鎖移動剤としては、例えばメルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール、などが挙げられる。
重合温度は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。重合時間も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜48時間が好ましい。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
インク中に含有する樹脂粒子の種類としては、適宜変更が可能であるが、スチレンアクリル樹脂粒子が好ましく、スチレンとアクリルの比率(モル比)において、スチレンの割合が多いものがより好ましい。スチレンアクリルの合成方法としては、乳化重合法が挙げられる。スチレンの多いスチレンアクリル樹脂が良好な理由として、メカニズムは定かではないが、スチレンが多いスチレンアクリル樹脂を用いると、本発明における共重合体及び顔料との相溶性に優れるため、印字画像表面が平滑になり、画像濃度が高くなるためと推定される。
オフセットコート紙のようなメディアに対しては、画像部をAFM(原子間力顕微鏡)で観察した場合の表面粗さRaを低減させることで、画像濃度が向上すると考えられる。相溶性の高い状態でのインクの方が、印字したときの膜が平滑になると考えられる。スチレンのようなベンゼン環を持つ構造が、本発明における共重合体と構造が似ており、親和性が高いためだと考えられる。
なお、前記オフセットコート紙は、例えば、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成された表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体が挙げられる。
本発明のインクは、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体に対し、付着量500〜700mg/A4でベタ画像を形成したときに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする。表面粗さRaが25nmよりも大きいと、インクの分散安定性と、オフセットコート紙に対する良好な画像濃度との両立ができない。
ここで、本発明では、印字画像の表面粗さ、及び記録媒体の表面粗さの測定値はAFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した値と定義する。表面粗さを定量化するときの視野の大きさは1μm四方とする。表面粗さRaの測定において、光学顕微鏡、共焦点顕微鏡、AFMのような手法/装置がよく使われるが、AFMを用いて、1μm四方の視野で表面粗さRaの測定を行った場合に、画像濃度に対して最も高い相関が得られる。このときのAFMの測定はタッピングモードで行うのが好ましい。接触モードで測定を行うと、画像表面を破壊してしまう問題がある。また空気中で測定を行うため、非接触モードでの測定でも構わないが、原子像レベルの分解能は要求されないため、特に非接触モードでの測定も必要ない。
また、表面が平滑な画像を形成した場合には、光沢度も向上する。光沢度の測定方法としては、例えば光沢度計PG−IIMを用いればよい。光沢度計では入射光と正反射光の角度を指定できる場合があり、本発明では60度光沢度の値を記録している。他にも20度光沢度や80度光沢度のような値を測定しても構わない。様々な角度の光沢度を同時に測定できる光沢度計が一般的である。
本発明では、前記ベタ画像は、60度光沢度の値が35以上であることが好ましい。
樹脂粒子のスチレンとアクリルの比率を求める際には、FT−IRを用いるのが好ましい。溶剤を蒸発させた状態の樹脂膜を作成し、ATR法で測定を行えば良い。FT−IR装置は例えばThermo Scientific社のFT−IR装置などを使用すればよい。スチレン由来のピークAは698cm−1付近に現れ、アクリル由来のピークBは1730cm−1付近に現れる。相溶性による画像濃度への効果と保存安定性という観点から、(A/B)のピーク面積比は3以上5以下が望ましく、4以上5以下であることがより望ましい。上記好適な範囲の場合、画像濃度、保存安定性を良好にすることができる。
ここで、ピーク面積Aを求める際のベースラインは、705cm−1〜715cm−1の最小点と685cm−1〜695cm−1の最小点を結ぶラインと定義し、ピーク面積Bを求める際のベースラインは、1740cm−1〜1760cm−1の最小点と1695cm−1〜1715cm−1の最小点を結ぶラインと定義する。測定時の分解能は特に限定はないが、通常4cm−1に設定して行われることが多い。分解能の値が小さいほど、ピークを分離する能力が向上する。積算回数も特に指定はないが、通常32回か64回に設定して行われることが多い。積算回数が多い方が、スペクトルのS/N比が向上するが積算回数が多すぎると、S/N比が飽和するため、効果が顕著に現れにくくなる。
スチレンアクリル樹脂粒子のFT−IRスペクトル一例を図3に示す。
AFMを用いて観察した表面粗さRaの下限値は特に設定していないが、これまでの検討結果から、AFMで1μm四方の視野で画像観察を行ったときに、表面粗さRaが9nmを下回ったケースは見られていないため、9nm程度が恐らく原理的に到達可能な下限値と考えられる。
前記スチレンアクリル樹脂粒子のインク中の含有量は、固形分比で0.5質量%以上8.0質量%以下が望ましい。樹脂粒子を添加しなくても、画像の表面粗さRaが平滑になる場合があるが、インクの保存安定性や光沢度と両立する領域が上記の領域になると考えられる。
また、インクに対するスチレンアクリル樹脂粒子の含有量Sと、インクに対する共重合体の含有量Kとの質量比率(S/K)は、固形分比で0.05以上8.00以下であることが好ましく、0.40以上7.00以下であることがより好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)−Y・・・一般式(F-2)
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<前処理液>
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
<記録物>
本発明の記録物は、記録媒体上に形成された画像を有する記録物であって、前記記録媒体は、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下であり、前記画像は、色材及び前記一般式(1)で表される構造単位を有する共重合体を有するとともに、表面粗さRaが25nm以下である。本発明の記録物は、例えばインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<記録装置、記録方法>
本発明の記録装置は、本発明のインクを記録ヘッド(吐出ヘッド)から飛翔(吐出)させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有する。また、本発明の記録方法は、本発明のインクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を有する。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」は、特に明示しない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
<共重合体の分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して共重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。
(実施例1)
<共重合体(1)の合成>
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステルを得た。
次に、42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを80mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、24.0g(155mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を20mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下記構造式で表される構造を有する下記モノマー(1)を得た。
次いで、1.20g(16.7mmol)のアクリル酸(アルドリッチ社製)、及び4.45g(10.4mmol)の上記モノマー(1)を40mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した(上記モノマー(1)とアクリル酸のモル比は1:1.6)。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.273g(1.67mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、8.13gの共重合体(1)(重量平均分子量(Mw):19400、数平均分子量(Mn):8200)を得た。
次いで、得られた2.00gの共重合体を、共重合体の濃度が2.38%、且つpHが8.0となるように、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に溶解して、共重合体(1)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(1)の調製>
調製した84.0gの共重合体(1)の水溶液に、16.0gのカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調製量のイオン交換水を加えて、95.0gの顔料分散体(1)(顔料固形分濃度:16%)を得た。
<水分散性スチレンアクリル樹脂(1)の調製>
攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水250g、リビングラジカル重合性を有する化合物として付加−解裂型連鎖移動剤(RAFT剤)である[1−(O−エチルザンチル)エチル]ベンゼン1.04gとエチルアクリレート1.69gを仕込み、液中の溶存酸素を除去するため、1時間30分、窒素バブリングを実施した。バブリング終了後、攪拌機にて攪拌しながら70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として10%過硫酸ナトリウム水溶液を5g添加した。20分後、エチルアクリレート32.06gとメタクリル酸11.25gの混合液を3時間で滴下し終えるように滴下した。滴下終了後、4時間70℃で熟成し、水性重合体(1)の重合を完了した。
攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水203.4gと水性重合体(1)14.8gを仕込み、全体が均一になるまで攪拌した。攪拌下、25%アンモニア水0.65gを添加し、無色透明の水性樹脂水溶液を得た。ここに、ケミパールW400(低分子量ポリオレフィン系エマルション、固形分40%、三井化学株式会社製)を25g添加し、全体が均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌下、スチレンを22.5g加え、攪拌しながら、系内の溶存酸素を除去するために、1時間30分窒素バブリングした。バブリング終了後、70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)10%水溶液0.32gを添加し、6時間後、重合を完了した。得られた水分散性スチレンアクリル樹脂(1)のTgは45℃で、平均粒子径(体積平均粒径、以下同様)は82nmであった。
<インク(1)の調製>
調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、以下のような処方で、インク(1)を調製した。
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0%
・2−エチルヘキシルオキセタン:41.0%
・TEGO WET−270:1.0%
・N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸:0.1%
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール:0.1%
・1,2,3−ベンゾトリアゾール:0.1%
・高純水:残量
(実施例2)
<共重合体(2)の合成>
共重合体(1)の合成において、上記モノマー(1)とアクリル酸のモル比をモノマー(1):アクリル酸=1:0.5に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(2)(重量平均分子量(Mw):19100、数平均分子量(Mn):7100)を得て、実施例1と同様にして、共重合体(2)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(2)の調製>
共重合体(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(2)を調製した。
<インク(2)の調製>
調製した顔料分散体(2)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(2)を調製した。
(実施例3)
<共重合体(3)の合成>
共重合体(1)の合成において、上記モノマー(1)とアクリル酸のモル比をモノマー(1):アクリル酸=1:3に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(3)(重量平均分子量(Mw):18700、数平均分子量(Mn):7900)を得て、実施例1と同様にして、共重合体(3)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(3)の調製>
共重合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(3)を調製した。
<インク(3)の調製>
調製した顔料分散体(3)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(3)を調製した。
(実施例4)
<共重合体(4)の合成>
共重合体(1)の合成において、上記モノマー(1)とアクリル酸のモル比をモノマー(1):アクリル酸=1:4に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(4)(重量平均分子量(Mw):19300、数平均分子量(Mn):8200)を得て、実施例1と同様にして、共重合体(4)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(4)の調製>
共重合体(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(4)を調製した。
<インク(4)の調製>
調製した顔料分散体(4)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(4)を調製した。
(実施例5)
<共重合体(5)の合成>
共重合体(1)の合成において、上記モノマー(1)とアクリル酸のモル比をモノマー(1):アクリル酸=1:0.4に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(5)(重量平均分子量(Mw):18500、数平均分子量(Mn):6800)を得て、実施例1と同様にして、共重合体(5)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(5)の調製>
共重合体(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(5)を調製した。
<インク(5)の調製>
調製した顔料分散体(5)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(5)を調製した。
(実施例6)
<ビスホスホン酸を用いた共重合体(6)の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、30gのモノマー(1)、6gのN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成工業社製、DMAPAA)を入れ、500gのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。そこへ、24gのメタクリルアミドメチレンジホスホン酸二テトラエチルアンモニウム塩モノマーを100gのイオン交換水に溶解させた水溶液を加え、アルゴン雰囲気下にて、75℃に加熱した。そこへ、1.7gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成社製)を30gのDMFに溶解させたDMF溶液を滴下ろうとで滴下した。75℃で6時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
反応液中の不溶物を除去し、反応液をテトラヒドロフランとヘキサンの混合液(体積比40:100)で三回洗浄した。次いで、エバポレーターにより溶媒を除去したのち、60℃で真空乾燥し53gの樹脂を得た。
この樹脂1gをイオン交換水100gに溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、43mgKOHであった。
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度を25℃で測定したところ2.4mPa・sであった。こうして得られた10質量%の樹脂水溶液を顔料分散体作製に使用した。実施例1と同様にして、共重合体(6)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(6)の調製>
共重合体(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(6)を調製した。
<インク(6)の調製>
調製した顔料分散体(6)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(6)を調製した。
(実施例7)
<共重合体(7)の合成>
実施例1において、6−ヘキサンジオールに代えて、エチレングリコール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下記構造式で表される構造を有するモノマー(2)を得た。
次に、アクリル酸、及び上記得られたモノマー(2)を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):18700、数平均分子量(Mn):6100)を得て、実施例1と同様にして共重合体(7)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(7)の調製>
共重合体(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(7)を調製した。
<インク(7)の調製>
調製した顔料分散体(7)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(7)を調製した。
(実施例8)
<共重合体(8)の合成>
共重合体(1)の合成において、6−ヘキサンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下記構造式で表される構造を有するモノマー(3)を得た。
次に、アクリル酸、及び得られたモノマー(3)を用いて、実施例1と同様にして共重合体(8)(重量平均分子量(Mw):18700、数平均分子量(Mn):6700)を得て、実施例1と同様にして共重合体(8)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(8)の調製>
共重合体(8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(8)を調製した。
<インク(8)の調製>
調製した顔料分散体(8)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(8)を調製した。
(実施例9)
<水分散性スチレンアクリル樹脂(2)の合成>
オレフィン系重合体(1)として、プロピレン―ブテン―エチレン三元共重合体(ベストプラスト750、デグサジャパン製)1000g、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP0555A、三井化学株式会社製)100g及びオレイン酸カリウム40g(KSソープ、花王株式会社製)とを混合し、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工製、PCM−300、L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの17%水溶液を120g/時間の割合(全体当たり4%)で連続的に供給し、過熱温度200℃で連続的に押し出した。押し出された樹脂混合物は、同押出機に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却され、さらに80℃の温水中に投入され、収率99%、固形分濃度40%、pH12のオレフィン系重合体の水性分散体(1)を得た。
攪拌機、還流冷却機および温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水203.4gと実施例1で得られた水性重合体(1)14.8gを仕込み、全体が均一になるまで攪拌した、攪拌下、25%アンモニア水0.65g添加し、無色透明の水性樹脂水溶液を得た。ここに、オレフィン系重合体の水性分散体(1)を25g添加し、全体が均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌下、スチレン28.1gとブチルアクリレート12.4gの混合溶液を加え、攪拌しながら、系内の溶存酸素を除去するために、1時間30分窒素バブリングした。バブリング終了後、70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)10%水溶液0.32gを添加し、6時間後、重合を完了させ、水分散性スチレンアクリル樹脂(2)を得た。得られた水分散性スチレンアクリル樹脂(2)のTgは25℃で、平均粒子径は72nmであった。
<インク(9)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(2)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(9)を調製した。
(実施例10)
<水分散性スチレンアクリル樹脂(3)の合成>
攪拌機、環流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水250gを仕込み、液中の溶存酸素を除去するため、1時間30分窒素バブリングを実施した。バブリング終了後、攪拌機にて攪拌しながら70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、10%過硫酸ナトリウム水溶液を5g添加した。20分後、エチルアクリレート33.75gとメタクリル酸11.25gの混合液を3時間で滴下しおわるように滴下した。滴下終了後、4時間70℃で熟成し、水性重合体(2)の重合を完了した。得られた水分散体の固形分は14.3%であった。
攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水207.8gと水性重合体(2)15.7gを仕込み、全体が均一になるまで攪拌した、攪拌下、25%アンモニア水0.65g添加し、無色透明の水性樹脂水溶液を得た。ここに、実施例9で得られたオレフィン系重合体の水性分散体(1)を25g添加し、全体が均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌下、スチレン14.1gとブチルアクリレート12.4gの混合溶液を加え、攪拌しながら、系内の溶存酸素を除去するために、1時間30分窒素バブリングした。バブリング終了後、70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)10%水溶液0.32gを添加し、6時間後、重合を完了させ、水分散性スチレンアクリル樹脂(3)を得た。得られた水分散性スチレンアクリル樹脂(3)のTgは25℃で、平均粒子径は77nmであった。
<インク(10)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(3)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(10)を調製した。
(実施例11)
<水分散性スチレンアクリル樹脂(4)の合成>
攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水207.8gと実施例10で得られた水性重合体(2)15.7gを仕込み、全体が均一になるまで攪拌した。攪拌下、25%アンモニア水0.65gを添加し、無色透明の水性樹脂水溶液を得た。ここに、ケミパールW400(低分子量ポリオレフィン系エマルション、固形分40%、三井化学株式会社製)を25g添加し、全体が均一になるまで攪拌した。さらに、攪拌下、スチレンを31.5g加え、攪拌しながら、系内の溶存酸素を除去するために、1時間30分窒素バブリングした。バブリング終了後、70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、4,4’-アゾビス(4−シアノペンタン酸)10%水溶液0.32gを添加し、6時間後、重合を完了させ、水分散性スチレンアクリル樹脂(4)を得た。得られた水分散性スチレンアクリル樹脂(4)のTgは55℃で、平均粒子径は80nmであった。
<インク(11)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(4)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(11)を調製した。
(実施例12)
<水分散性スチレンアクリル樹脂(5)の合成>
攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに脱イオン水217.3gとアニオン性分散剤であるドデシルスルホン酸ナトリウム2.3gを仕込み、全体が均一になるまで攪拌した。攪拌下、25%アンモニア水0.65g添加し、実施例9で得られたオレフィン系重合体の水性分散体(1)を25g添加し、全体が均一になるまで攪拌した。更に、攪拌下、スチレン8.1gとブチルアクリレート12.4gの混合溶液を加え、攪拌しながら、系内の溶存酸素を除去するために、1時間30分窒素バブリングした。バブリング終了後、70℃に昇温した。内温が70℃に達したところで、水溶性ラジカル開始剤として、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)10%水溶液0.32gを添加し、6時間後、重合を完了させ、水分散性スチレンアクリル樹脂(5)を得た。得られた水分散性スチレンアクリル樹脂(5)のTgは4℃で、平均粒子径は92nmであった。
<インク(12)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(5)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(12)を調製した。
(実施例13)
<インク(13)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が0.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(13)を調製した。
(実施例14)
<インク(14)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が8.0%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(14)を調製した。
(実施例15)
<インク(15)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が0.1%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(15)を調製した。
(実施例16)
<インク(16)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が9.0%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(16)を調製した。
(比較例1)
<ベンジルメタクリレートを用いた共重合体(9)の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、182gのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、関東化学社製)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、30gのアクリル酸(アルドリッチ社製)を193gの水に溶解させた水溶液223gとベンジルアクリレート(東京化成工業社製)24gとN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成工業社製/以降DMAPAAと略記)6gを182gのDMFに溶解させたDMF溶液212gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業社製/以降AIBNと略記)5.4gを182gのDMFに溶解させたDMF溶液187.4gをそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに75℃で4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。実施例1と同様にして、共重合体(9)の顔料分散用水溶液を調製した。
<顔料分散体(9)の調製>
ベンジルメタクリレートを用いた共重合体(9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、顔料固形分濃度16%の顔料分散体(9)を調製した。
<インク(17)の調製>
調製した顔料分散体(9)と水分散性スチレンアクリル樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(17)を調製した。
(比較例2)
<水分散性アクリルシリコン樹脂(1)の合成>
モノマー(A)としてアクリル酸1.2部、モノマー(B)としてサイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製)6g、モノマー(3)としてメタクリル酸メチル40.5g、アクリル酸2−エチルヘキシル51.3g、アクリルアミド1.0g、乳化剤としてアクアロンKH−20(第一工業製薬株式会社製の反応性乳化剤)1.5g、イオン交換水53.1gの混合物をバッチ式ホモミキサーで乳化し、モノマープレエマルションを作成し、滴下槽に入れた。
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコを反応容器とし、該反応容器にイオン交換水89.4gを入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、液温を60℃に温めた。次いで、反応容器中に、アルキルフェノールエーテル系の反応性乳化剤としてアクアロンKH−20を0.5g添加し、同時に5%過硫酸アンモニウム(以後、「APS」と略す)水溶液6g(過硫酸アンモニウムとしては、0.3g)を添加した。
反応容器に5%APS水溶液を添加してから10分後に、滴下槽から上記モノマープレエマルションは5時間かけて連続的に滴下し、別の滴下槽から5%APS水溶液6g(過硫酸アンモニウムとしては、0.3g)を5時間かけて断続的に滴下した。この間反応容器内は70℃に保った。
滴下終了後、3時間、70℃に保ち、熟成を行った。その後冷却を開始し、50℃まで冷却し、アンモニア水を添加し、180メッシュのポリエステル製の濾布で濾過した。水分散性アクリルシリコン樹脂(1)のTgは0℃で、平均粒子径は150nmであった。
<インク(18)の調製>
実施例1で調製した顔料分散体(1)と水分散性アクリルシリコン樹脂(1)を用いて、顔料固形分濃度がインク中で6%になるように、また、水分散性樹脂の固形分濃度が3.5%となるように、実施例1と同様の処方で、インク(18)を調製した。
(評価)
上記得られたインクに対し、下記の評価を行った。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字JIS X 0208(1997),2223の一般記号の記載のあるチャートを、オフセットコート紙(Lumi Art Gloss)に打ち出し、印字面のJIS X 0208(1997),2223の一般記号部をX−Rite938(エックスライト社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「光沢紙−標準きれい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。印字の際の付着量は500〜700mg/A4になるように調整した。画像濃度の良し悪しの判断基準としては、1.93以上のものを良品、1.93未満のものを不良品として位置づけた。
<光沢度>
光沢度の測定は上記チャートでオフセットコート紙(Lumi Art Gloss)に打ち出した画像を光沢度計PG−IIMを用いて測定し、60度光沢度の値を記録した。
<AFM測定>
コート紙(Lumi Art Gloss、Stora Enso社製)上に打ち出した画像をAFMで測定し、1μm四方の視野で観察した時のRaを算出した。AFMの測定条件は以下のような条件で行った。この条件でコート紙(Lumi Art Gloss)単体の表面粗さRaを測定したところ、30nm〜35nmの範囲内に収まった。
・タッピングモード
・カンチレバー:オリンパス製AC240TS(共振周波数70kHz、ばね定数2N/m)
・Scan Rate:1Hz
・Samples/Line:256
・Lines:256
・Amplitude Setpoint:250mV
・傾き補正:一次
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して70℃で1週間保存し、保存前の粘度に対す
る保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度−保存前のインクの粘度)/保存前のインクの粘度×100
粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度
を、50回転で測定した。なお、D以上を合格とした。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
<FT−IR測定>
樹脂粒子単体の樹脂膜を作成して、ATR測定によりスチレンアクリル樹脂粒子のスチレンとアクリルの比率を算出した。スチレン由来のピークAは698cm−1のピークを使い、アクリル由来のピークBは1730cm−1のピークを使用した。このときのピーク面積Aを求める際のベースラインは、705cm−1〜715cm−1の最小点と685cm−1〜695cm−1の最小点を結ぶラインと定義し、ピーク面積Bを求める際のベースラインは、1740cm−1〜1760cm−1の最小点と1695cm−1〜1715cm−1の最小点を結ぶラインと定義する。FT−IRの測定条件は以下のような条件で測定を行った。
・装置メーカー:Thermo Scientific社
・装置名:Nicolet IS50 FT−IR Spectrometer
・測定モード:ATR法
・クリスタル:シリコン
・分解能:4cm−1
・積算回数:64回
<評価結果>
実施例1〜16、比較例1〜2で記載のインクにおいて、画像濃度、60度光沢度、AFMのRa、保存安定性を評価した結果をFT−IRのスチレン由来のピークA:698cm−1とアクリル由来のピークB:1730cm−1におけるピーク面積比率A/Bとともに、表1に示す。
なお、表中、「St/Ac」はスチレンアクリル樹脂を表し、「Ac/Si」はアクリルシリコン樹脂を表す。また、比較例1の「BzMA」はベンジルメタクリレートを表す。
FT−IRのスペクトルにおける698cm−1/1730cm−1のピーク面積比率が大きいほど画像濃度が高くなる傾向を示しているが、実施例1〜5の比較では、同じFT−IRピーク面積が同じでも、共重合体の親水基を少なくして、疎水基の量を増やすことで、画像濃度は高くなる。
しかし、疎水基の量が1に対して、親水基の量が0.5より下回った場合(実施例5)、及び親水基の量が3.5を上回った場合(実施例4)には親水基が増えるほど画像濃度は低下し、疎水基及び親水基が多すぎると保存安定性が顕著に悪化する傾向にある。従って、疎水基:親水基の割合は1:0.5〜3程度が好ましい。
また、比較例1において、分散樹脂の疎水基をベンジルメタクリレートに置き換えた場合は、画像濃度が下がる上に、保存安定性も悪い。実施例6において、分散樹脂の親水基をビスホスホン酸に置き換えた場合においても、保存安定性は悪化する。
実施例7、8において、分散樹脂の一般式(1)で示される構造のLの長さが変わっても、画像濃度や保存安定性に大きな悪影響は見られないため、Lの長さは2〜12で特に問題はない。
また、共重合体は実施例1で記載したものに固定した場合において、樹脂エマルションの種類を変えているものが、実施例1、9〜12、比較例2となっている。FT−IRのピーク面積比率を見ると、スチレン由来の698cm−1のピーク比率が大きいほど、画像濃度が高くなっており、画像濃度のためには、面積比率は3以上が必要である。
しかし、面積比率を6程度まで増やしてしまうと、保存安定性は悪化することから、面積比率の上限は5程度であると考えられる。また、水分散性樹脂の添加量の依存性を調べたものが、実施例13〜16に記載されているが、水分散性樹脂の添加量が多すぎると保存安定性が悪化し、添加量が少なすぎると、光沢度が充分に上がらないという問題があるため、樹脂添加量の最適な範囲は0.5〜8%と考えられる。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2015−108114号公報 特開2014−172987号公報 特開2012−46595号公報 特開2011−202004号公報

Claims (11)

  1. 水、色材及び共重合体を含有するインクであって、前記共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位を有し、前記インクは、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下である記録媒体に対し、付着量500〜700mg/A4でベタ画像を形成したときに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とするインク。
    (上記一般式(1)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)
  2. 前記ベタ画像は、60度光沢度の値が35以上であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記共重合体は、下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
    (上記一般式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又は陽イオンを表す。)
  4. 前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位のモル比が、1:0.5〜1:3であることを特徴とする請求項3に記載のインク。
  5. 前記インクは、さらにスチレンアクリル樹脂粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記スチレンアクリル樹脂粒子は、FT−IRスペクトルを取得したときに、698cm−1のピーク面積Aと、1730cm−1のピーク面積Bとの比率(A/B)が3以上5以下であることを特徴とする請求項5に記載のインク。
  7. 前記インクに対する前記スチレンアクリル樹脂粒子の含有量が、固形分比で0.5質量%以上8.0質量%以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のインク。
  8. 前記インクに対する前記スチレンアクリル樹脂粒子の含有量Sと、前記インクに対する前記共重合体の含有量Kとの質量比率(S/K)が、固形分比で0.40以上7.00以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のインク。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のインクを容器に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のインクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とする記録装置。
  11. 記録媒体上に形成された画像を有する記録物であって、
    前記記録媒体は、セルロースパルプを主成分とする支持体上に塗工層が形成され、表面粗さが30nm以上35nm以下であり、
    前記画像は、色材及び下記一般式(1)で表される構造単位を有する共重合体を有するとともに、表面粗さRaが25nm以下であることを特徴とする記録物。
    (上記一般式(1)中、R2は水素原子又はメチル基を表し、Lは炭素数が2〜12のアルキレン基を表す。)
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