JP2017088486A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
Description
θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)・・・・・・(1)
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
SiO2成分を10.0〜70.0%、
Nb2O5成分を1.0〜50.0%、
Na2O成分を1.0〜25.0%及び
Li2O成分を0.1〜20.0%
含有し、
1.62以上1.75以下の屈折率(nd)と、
30以上40以下のアッベ数(νd)と、
0.594以下の部分分散比(θg,F)を有する光学ガラス。
ZrO2成分 0〜25.0%
B2O3成分 0〜20.0%
である(1)記載の光学ガラス。
K2O成分 0〜15.0%
TiO2成分 0〜20.0%
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
BaO成分 0〜20.0%
Ta2O5成分 0〜10.0%
La2O3成分 0〜10.0%
Gd2O3成分 0〜10.0%
Y2O3成分 0〜20.0%
Yb2O3成分 0〜10.0%
P2O5成分 0〜10.0%
GeO2成分 0〜10.0%
Al2O3成分 0〜15.0%
Ga2O3成分 0〜10.0%
WO3成分 0〜10.0%
Bi2O3成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜30.0%
TeO2成分 0〜15.0%
SnO2成分 0〜5.0%
Sb2O3成分 0〜1.0%
である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
SiO2成分及びNb2O5成分を含有するガラスにおいて、特にNa2O成分及びLi2O成分を含有する場合であっても、所望の範囲内の高い屈折率や低いアッベ数(高い分散)と、低い部分分散比を有するガラスを得られる。
そのため、所望の高い屈折率(nd)及び低いアッベ数(νd)を有しながら、部分分散比(θg,F)が小さく光学系の色収差の低減に有用な光学ガラスを得ることができる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラスの総質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
SiO2成分は、安定なガラス形成を促し、光学ガラスとして好ましくない失透(結晶物の発生)を低減する必須成分である。
特に、SiO2成分の含有量を10.0%以上にすることで、部分分散比を大幅に高めることなく、失透を低減できる。また、これにより再加熱時における失透や着色を低減できる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは20.0%超、さらに好ましくは25.0%超、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、SiO2成分の含有量を70.0%以下にすることで、屈折率が低下し難くなることで所望の高屈折率を得易くでき、且つ、部分分散比の上昇を抑えられる。また、これによりガラス原料の熔解性の低下を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは60.0%未満、さらに好ましくは50.0%未満、さらに好ましくは45.0%未満、さらに好ましくは43.0%未満とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、Nb2O5成分の含有量を50.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減できる。また、ガラス製造時における熔解温度の上昇を抑制し、且つNb2O5成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは40.0%未満、さらに好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは31.0%未満とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、Na2O成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、化学的耐久性を悪化し難くでき、且つ過剰な含有による失透を低減できる。
従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満とする。
Na2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、Li2O成分の含有量を20.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、化学的耐久性を悪化し難くでき、且つ過剰な含有による失透を低減できる。
従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Li2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、LiF等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分の含有量を25.0%以下にすることで、失透を低減でき、且つ、より均質なガラスを得易くできる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは16.0%未満とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、B2O3成分の含有量を25.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられ、且つ部分分散比の上昇を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは16.0%未満とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、K2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、部分分散比の上昇を抑えられ、失透を低減でき、且つ化学的耐久性を悪化し難くできる。また、リヒートプレス成形性の低下を抑えられる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは11.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
K2O成分は、原料としてK2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、TiO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減でき、内部透過率を高められる。また、これにより部分分散比が上昇し難くなるため、所望の低い部分分散比を得易くできる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
他方で、MgO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑制しつつ、失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
MgO成分は、原料としてMgO、MgCO3、MgF2等を用いることができる。
他方で、CaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇、部分分散比の上昇を抑えられ、且つ失透を低減できる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.9%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
CaO成分は、原料としてCaCO3、CaF2等を用いることができる。
特に、SrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑制しつつ、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
他方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑制しつつ、化学的耐久性の悪化や、失透を抑えられる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2等を用いることができる。
他方で、Ta2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa2O5成分の使用量が減り、且つガラスがより低温で熔解し易くなるため、ガラスの材料コストや生産コストを低減できる。また、これによりTa2O5成分の過剰な含有によるガラスの失透や、アッベ数の上昇を低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。特にガラスの材料コストを低減させる観点では、Ta2O5成分の含有量を0.1%未満としてもよい。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
他方で、La2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えられ、比重を小さくでき、且つ失透を低減できる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
また、Y2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えられ、比重を小さくでき、失透を低減できる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
また、Gd2O3成分及びYb2O3成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えられ、比重を小さくでき、失透を低減でき、且つ材料コストを低減できる。従って、Gd2O3成分及びYb2O3成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)、Y2O3、YF3、Gd2O3、GdF3、Yb2O3等を用いることができる。
一方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、P2O5成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
他方で、GeO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、高価なGeO2成分の使用量が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を低減できる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
また、Ga2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を低減できる。従って、Ga2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Al2O3成分及びGa2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3、Ga2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、ZnO成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの再加熱時における失透や着色を低減しつつ、化学的耐久性を高められる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
他方で、TeO2成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。また、高価なTeO2成分の使用を低減することで、より材料コストの安いガラスを得られる。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
一方で、SnO2成分の含有量を5.0%以下にすることで、溶融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を生じ難くすることができる。また、SnO2成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
他方で、Sb2O3成分の含有量を1.0%以下にすることで、ガラス熔解時における過度の発泡を生じ難くすることができるため、Sb2O3成分を熔解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くできる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1未満%を上限とする。但し、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、Sb2O3成分を含有しなくてもよい。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
他方で、この質量比(SiO2)/(SiO2+B2O3)の下限は、ガラスのアッベ数の上昇を抑える観点から、好ましくは0.10、より好ましくは0.30、さらに好ましくは0.50を下限としてもよい。
特に、この質量和を1.0%以上にすることで、ガラス原料の熔解性を高め、且つガラス転移点を低くすることができる。そのため、Rn2O成分の合計含有量は、好ましくは1.0%以上、より好ましくは5.0%超、さらに好ましくは10.0%超としてもよい。
他方で、この質量和を30.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、ガラス形成時の失透を低減できる。従って、Rn2O成分の合計含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは21.0%未満とする。
他方で、この質量比Li2O/Rn2Oの上限は、ガラスの失透を低減させる観点から、好ましくは0.60、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40としてもよい。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1100〜1400℃の温度範囲で3〜5時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1000〜1400℃の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
本発明の光学ガラスは、高い屈折率と所定の範囲のアッベ数を有する。
本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.62、より好ましくは1.63、さらに好ましくは1.65を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは1.75、より好ましくは1.74、さらに好ましくは1.72、さらに好ましくは1.70、さらに好ましくは1.68であってもよい。
本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは40以下、より好ましくは39以下、さらに好ましくは38以下とする。他方で、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは30、より好ましくは32、さらに好ましくは33を下限とする。
このような屈折率及びアッベ数を有する本発明の光学ガラスは光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができるため、光学設計の自由度を広げることができる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≧(−0.012νd+2.04)の関係を満たすことが好ましく、nd≧(−0.012νd+2.06)の関係を満たすことがより好ましく、nd≧(−0.012νd+2.08)の関係を満たすことがさらに好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≦(−0.012νd+2.16)の関係を満たすことが好ましく、nd≦(−0.012νd+2.14)の関係を満たすことがより好ましく、nd≦(−0.012νd+2.13)の関係を満たすことがさらに好ましく、nd≦(−0.012νd+2.12)の関係を満たすことがさらに好ましい。
より具体的には、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、好ましくは0.594、より好ましくは0.592、さらに好ましくは0.590、さらに好ましくは0.588を上限とする。この部分分散比(θg,F)の下限は、好ましくは0.570、より好ましくは0.573、さらに好ましくは0.576であってもよい。
また、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(νd)との間で、(−0.00162×νd+0.630)≦(θg,F)≦(−0.00162×νd+0.650)の関係を満たすことが好ましい。
これにより、低い部分分散比(θg,F)を有する光学ガラスが得られるため、この光学ガラスから形成される光学素子を、光学系の色収差の低減に役立てられる。
他方で、本発明の光学ガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、θg,F≦(−0.00162×νd+0.650)の関係を満たすことが好ましく、θg,F≦(−0.00162×νd+0.648)の関係を満たすことがより好ましく、θg,F≦(−0.00162×νd+0.646)の関係を満たすことがさらに好ましく、θg,F≦(−0.00162×νd+0.643)の関係を満たすことがさらに好ましい。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
特に、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す波長(λ5)が、好ましくは400nm以下、より好ましくは380nm以下、さらに好ましくは340nm以下である。
また、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)が、好ましくは450nm以下、より好ましくは420nm以下、さらに好ましくは400nm以下である。
これにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍に位置するようになり、可視域におけるガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の光学素子の材料として好ましく用いることができる。
なお、本発明の光学ガラスのガラス転移点の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは460℃、より好ましくは480℃、さらに好ましくは500℃を下限としてもよい。
なお、本発明の光学ガラスの屈伏点は特に限定されないが、好ましくは500℃、より好ましくは530℃、さらに好ましくは560℃を下限としてもよい。
なお、光学ガラスの耐水性及び耐酸性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法」JOGIS06−2008による化学的耐久性(耐水性・耐酸性)において、好ましくは1〜3級、より好ましくは1〜2級、さらに好ましくは1級であることを指す。
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製できる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、例えば研磨加工を行って作製したプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりできる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
そして、得られる屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の値から、関係式(nd=−a×νd+b)における、傾きaが0.012のときの切片bを求めた。
また、得られるアッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)の値から、関係式(θg,F=−a´×νd+b´)における、傾きa´が0.00162のときの切片b´を求めた。
なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
ここで、本発明の実施例の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、(−0.00162×νd+0.630)≦(θg,F)≦(−0.00162×νd+0.650)の関係を満たしていた。そして、本願の実施例のガラスについての部分分散比(θg,F)とアッベ数(νd)の関係は、図2に示されるようになった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、小さい部分分散比(θg,F)を有することが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(νd)が30以上であるとともに、このアッベ数(νd)は40以下、より詳細には39以下であり、所望の範囲内であった。
ここで、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、(−0.012νd+2.04)≦nd≦(−0.012νd+2.16)の関係を満たしており、より詳細には(−0.012νd+2.09)≦nd≦(−0.012νd+2.16)の関係を満たしていた。そして、本願の実施例のガラスについての屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の関係は、図3に示されるようになった。
また、実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも450nm以下、より詳細には420nm以下であった。
よって、実施例の光学ガラスは、可視光に対する透過率が高く着色が少ないことも明らかになった。
Claims (11)
- 質量%で、
SiO2成分を10.0〜70.0%、
Nb2O5成分を1.0〜50.0%、
Na2O成分を1.0〜25.0%及び
Li2O成分を0.1〜20.0%
含有し、
1.62以上1.75以下の屈折率(nd)と、
30以上40以下のアッベ数(νd)と、
0.594以下の部分分散比(θg,F)を有する光学ガラス。 - 質量%で、
ZrO2成分 0〜25.0%
B2O3成分 0〜20.0%
である請求項1記載の光学ガラス。 - 質量%で、
K2O成分 0〜15.0%
TiO2成分 0〜20.0%
MgO成分 0〜10.0%
CaO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
BaO成分 0〜20.0%
Ta2O5成分 0〜10.0%
La2O3成分 0〜10.0%
Gd2O3成分 0〜10.0%
Y2O3成分 0〜20.0%
Yb2O3成分 0〜10.0%
P2O5成分 0〜10.0%
GeO2成分 0〜10.0%
Al2O3成分 0〜15.0%
Ga2O3成分 0〜10.0%
WO3成分 0〜10.0%
Bi2O3成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜30.0%
TeO2成分 0〜15.0%
SnO2成分 0〜5.0%
Sb2O3成分 0〜1.0%
である請求項1又は2記載の光学ガラス。 - 質量比(SiO2)/(SiO2+B2O3)が0.95以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
- Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が1.0%以上30.0%以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
- 質量比Li2O/Rn2Oが0.01以上である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
- RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が25.0%以下である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
- Ln2O3成分(式中、LnはY、La、Gd、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が20.0%以下である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
- 1.62以上1.74以下の屈折率(nd)を有する請求項1から8いずれか記載の光学ガラス。
- 請求項1から9いずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
- 請求項1から9のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
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