本発明の実施形態は、乗りかごへの出入り口部の敷居間に生じる隙間のふさぎ構造を有するエレベータ装置に関する。
建物の昇降路内に設置された乗りかごが、各階床間を昇降して人員や荷物を運搬するエレベータ装置では、乗りかごを昇降させるために、各階床の乗り場と乗りかごとの間に一定の隙間が設けられている。このため、乗りかごが乗り場に着床停止して出入り口の扉が開いた状態では、乗り場の敷居と乗り乗りかご側の敷居との間に隙間が生じる。この敷居間の隙間は、人がつまずいたり、或いは車椅子や台車等の車輪が落ち込んで引っ掛かったりする原因となり、危険でもある。また、鍵やカード等の小物品が敷居隙間からピット内に落下するおそれもある。
そこで、従来、敷居隙間を塞ぐための塞ぎ部材を設け、扉の開放時に敷居隙間を塞ぐように動作させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の発明は、乗場扉、かご扉が開いているときには、乗場敷居とかご敷居との間の間隙全体を塞ぎ部で塞ぎ、間隙から昇降路内に物が落下するのを防ぐものである。具体的には、エレベータのかごが所定の階に着床し、乗場扉、かご扉が全開すると、センサがそのことを検知し、横方向へ進退駆動する第1の駆動部(モータなどのアクチュエータ)を作動させ、第1の可動部を前記間隔の下方へ移動させる。その後、第1の可動部に搭載された第2の駆動部の励磁用コイル部を励磁して、塞ぎ部を乗場敷居およびかご敷居の高さの位置に達するまで上昇させ、これら敷居間の隙間を塞いでいる。
このような装置では、上述した第1及び第2と2つの駆動部が必要であり、しかも、この駆動部として、モータや電磁コイルなどの、比較的高価なアクチュエータをそれぞれ設けなければならない。また、これらアクチュエータを所定のタイミングで順次連動させるためのセンサや制御回路が必要となる。このため、構成が複雑となり故障発生の要因になると共にコスト上も高価となる。
本発明は、乗場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させることにより、確実な動作を低コストで実現したエレベータ装置を提供することにある。
本発明の実施の形態に係るエレベータ装置は、乗りかごの出入り口に設けられたかご扉を、その開閉方向に沿ってガイドするかご側の敷居と、前記乗りかごが着床可能な各階床の、前記乗りかごへの出入り口に設けられた乗り場扉を、その開閉方向に沿ってガイドする乗場側の敷居と、前記かご側の敷居と乗場側の敷居との間に生じる隙間を塞ぐことができる平面形状を有し、前記隙間を塞いだ塞ぎ位置と前記かご側の敷居の下部の退避位置との間を移動可能に構成された塞ぎ部材と、この塞ぎ部材を上部に取り付けて配置されたブラケットと、前記塞ぎ部材の下方に配置され、前記ブラケットの下端部と係合し、常時はこのブラケットを下降させ、前記塞ぎ部材を前記乗りかご側の敷居の下部の退避位置に位置させる押し下げ部材と、前記かご扉の開動作に伴い、このかご扉側の作動部材と係合し、この係合により作動部材から受ける力で、前記押し下げ部材を上昇させる第1のリンク機構と、前記ブラケットとかご側の支持部材との間に構成され、前記押し下げ部材の上昇に伴い、前記ブラケットを上昇させつつ横移動させ、このブラケット上に取り付けられた塞ぎ部材を前記退避位置から塞ぎ位置へ移動させる第2のリンク機構とを備えたことを特徴とする。
上述の構成によれば、乗場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させるので、電気的なアクチュエータを要することなく、確実な動作を低コストで実現できる。
本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の全体構成を示す図である。
本発明の一実施形態における乗りかごの扉部分を乗り場側から見た斜視図である。
本発明の一実施形態における塞ぎ部材と敷居間隙間との関係を示す側面図である。
退避位置にある塞ぎ部材と第2のリンク機構との関係を示す斜視図である。
本発明の他の実施形態における作動部材と第1のリンク機構との関係を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、図1によりエレベータ装置の全体構成を説明する。図1で示すように、エレベータ装置1は、昇降路3内に配置された乗りかご4および釣合いおもり5を備える。昇降路3の上方には、メインロープ9を駆動する巻上機7及び制御装置8等が設置された機械室6が設けられている。制御装置8は、エレベータ装置1の全体を制御するもので、乗り場呼び又はかご呼びに応じて巻上機7を運転制御し、乗りかご4を呼びのあった階へ着床させる。
なお、機械室6を設けずに巻上機7や制御装置8を小形化して昇降路3内の上部に設けた、所謂機械室レスのエレベータ装置であってもよい。
このエレベータ装置1では、建屋の各階床に設けられた乗り場11に、昇降路3内の乗りかご4に通じる出入り口12が設けられ、この出入り口12には、乗り場扉2が設けられている。この乗り場扉2は、乗りかご4の着床時、乗りかご4の出入り口24に設けられたかご扉25側と、図示しないインターロック機構を介して係合し、かご扉25の開閉に連動して開閉動作する。
図2は乗りかご4の出入り口に設けられたかご扉25が戸閉端位置(全閉位置)にあることを、乗り場11側から見た斜視図である。かご扉25は2枚の扉パネル25a、25b(扉表面板の図示は省略している)を、互いに異なる図示左右方へ開動作させる所謂両開き方式である。これら2枚の扉パネル25a、25bは、扉開閉機構27により図示左右方向に駆動され、開閉動作する。
なお、扉開閉機構27は公知のものであり、本願発明とは直接的に関係しないので構造説明は省略するが、図示しないモータの動力により、2枚の扉パネル25a、25bを互いに連動させ、ガイドレールに沿って左右方向に駆動し、開閉動作させるものである。
この乗りかご4の出入り口部分には、かご側の敷居31が設けられており、上述したかご扉25を構成する2枚の扉パネル25a、25bを、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。このかご側の敷居31は、乗りかごの出入り口24の下辺部に設けられており、その上面に形成されガイド溝は、2枚の扉パネル25a、25bの下端部とそれぞれ係合し、これらを開閉方向にガイドする。
このかご側の敷居31に対し、乗り場11側にも図3で示すように敷居32が設けられている。この乗り場側の敷居32は、かご側の敷居31の一側面(図3の左側面)と所定の間隔を保って対向配置される。この乗り場側の敷居32の上面にもガイド溝が形成されており、図1で示した乗り場扉2を、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。
この乗り場側扉2も、図示しないが2枚の扉パネルを有する両開き方式のもので、前述のように、乗りかご4が乗り場11に着床すると、そのかご扉25と係合し、かご扉25と共に開閉動作する。すなわち、乗り場扉2は、乗りかご4が着床していないときは、図示しないインターロック機構により2枚の扉パネルが閉状態にロックされており、乗りかご4が着床すると、乗りかご4側の図示しない係合部材と係合して上述したロック状態が解かれ、かご扉25と共に開閉動作する。
乗りかご4が所定階へ着床したとき、前述のように、かご側の敷居31と乗場側の敷居32との間に、図3で示す隙間が生じる。本発明の実施形態では、この隙間を図示のように塞ぐために塞ぎ部材35を設ける。
この塞ぎ部材35は、図2で示すように、左右に分割されている。この分割部分は、乗りかご4の昇降時に、かご側の敷居31が、乗り場側に設けられた図示しないインターロック機構(具体的には乗りかご側と係合するローラ部分)とすれ違う部分で、インターロック機構の通過を許容するために左右に間隔を保って分割されている。すなわち、万一、塞ぎ部材が塞ぎ位置まで繰り出された状態で乗りかごが昇降しても、乗場側のインターロック機構は、繰り出された塞ぎ部材35の分割部分に形成された空間を通過するので、繰り出された塞ぎ部材とインターロック機構とが衝突することない。
乗場側の敷居32には、かご側の敷居31との対向状態にて、この分割された空間部分内に突出して遊嵌する図示しないブロックが設けられている。このブロックは、乗場側の敷居32の、かご側の敷居31と対向し、かつ、塞ぎ部材35の分割された空間部分との対向部に一体的に設けられている。したがって、乗りかご4が着床して、乗場側の敷居32とかご側の敷居31とが対向すると、乗場側の敷居32に設けられたブロックが分割された空間部分内に突出して遊嵌する状態となる。このため、分割部分に生じた空間は、その内部に遊嵌するブロックにより略塞がれた状態となり、この分割部分の空間からの小物類の落下を防止できる。
塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、隙間を塞いだ塞ぎ位置にてかご側の敷居31及び乗場側の敷居32の上面より下方に位置している。また、その平面形状は、敷居31,32の隙間を塞ぐことができる形状寸法に形成されている。すなわち、かご側の出入り口の間口よりやや大きな長さと、敷居31,32の隙間よりやや大きな幅とからなる平面形状を有する。
さらに、この塞ぎ部材35の上部角部には面取りが施されている。
この塞ぎ部材35は金属製或いは樹脂製の何れでもよいが、加工性や他の部品との緩衝性などを考慮すれば樹脂材を用いるとよい。
この塞ぎ部材35は、図3で示す敷居31,32の隙間を塞いだ塞ぎ位置と、図2で示すように、かご側の敷居31の下方に退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。すなわち、後述する駆動機構により、図3の上下及び左右方向に駆動される。
塞ぎ部材35は、縦向きに配置されたブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられている。このため塞ぎ部材35は、板バネなどの弾性体38(以下、板バネ38として説明する)により、かご側の敷居31及び乗場側の敷居32の間隔方向に搖動可能に支持される。この板バネ38も、図2で示すように塞ぎ部材35と同じ部分で分割されており、ブラケット37と共に、塞ぎ部材35の分割された対応部分をそれぞれ支持している。
駆動機構は図2で示すように押し下げ部材40、第1のリンク機構50及び第2のリンク機構60を有する。
押し下げ部材40は、塞ぎ部材35の下方に配置され、ブラケット37の下端部と係合し、常時はこのブラケット37を下降させ、塞ぎ部材35を、図2で示すように、かご側の敷居31の下方の退避位置に位置させる。すなわち、押し下げ部材40は、図4で示すように、ブラケット37の下端側面と対応する部分にU字形に切り欠いた凹部41を有する。この凹部41の図示上辺部には係合体42が一体的に取り付けられている。
この凹部41内には、ブラケット37の下端部側面に一体的に取り付けられた係合ピン371が挿入されている。この押し下げ部材40は、常時は自重により下降方向への力を受けている。そして、この押し下げ部材40が下降すると、凹部41内に挿入されている係合ピン371は、係合体42と係合して押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35を押し下げる。
第1のリンク機構50は、図2で示したかご扉25の開動作に伴い、かご扉25の戸開端(かご扉25が全開となる位置)近くの予め設定した開位置にて、かご扉側の作動部材70と係合し、かご扉25の戸開方向への移動力を受けて、押し下げ部材40を上昇させる。
この、第1のリンク機構50は、図2で示すように、作動リンク51及び平行リンク52を有する。
作動リンク51は、そのく字状部511の長さ方向中間部が、支軸によりかご側支持部材53に回動可能に枢支されている。また、このく字状部511の図示上部には、かご扉25側の作動部材70との係合部512が図示左方に傾斜して一体に形成されている。さらに、このく字状部511の図示下端は、支軸を介して、押し下げ部材40の図示左端に一体に立設された支持部材401の上部に支軸を介して回動可能に連結されている。
平行リンク52は、その両端が支軸を介して上述した支持部材53,401の下部にそれぞれ回動可能に連結している。押し下げ部材40の図示右端にも、かご側の支持部材53との間に平行リンク52が設けられている。
したがって、第1のリンク機構50は、その作動リンク51の傾斜した係合部512が、かご扉25の開動作に伴い、扉パネル25a側に設けられた作動部材70と係合し、戸開方向(図示左方)の力を受けて図示反時計方向に回動する。この回動により、平行リンク52と共に押し下げ部材40を上方に平行移動させる。
第2のリンク機構60は、図3及び図4で示すように、ブラケット37とかご側の支持部材63との間に構成され、押し下げ部材40の上昇に伴い、ブラケット37を上昇させつつ横移動させる。すなわち、第2のリンク機構60は2つの平行リンク61,62を有し、それらの両端は支軸を介してブラケット37及びかご側の支持部材63にそれぞれ回動可能に連結している。また、これら平行リンク61、62の、支持部材63側の支軸には、ねじりバネ65が設けられており、平行リンク61,62に、図示時計回りの回動力を与えている。したがって、ブラケット37はこのねじりバネ65により常時上向きのばね力を受けている。
この第2のリンク機構60は、平行リンク61,62が、図4の状態から、図示時計回りに回動すると、ブラケット37を図示左方へ繰り出すと共に、図示上方へ移動させ、図3の状態へ変位させる。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
上記構成において、かご扉25が閉じた戸閉端の位置にあるとき、図2で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられている。したがって、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、扉パネル25aが戸開端(かご扉25の全開位置)近くの予め設定した開位置に達すると、扉パネル25aに設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の傾斜した係合部512と係合する。このため、作動リンク51は、扉パネル25aの戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。
押し下げ部材40の上昇により、図4で示した係合体42による押し下げ力が解消され、この係合体42に係合ピン371を介して係合しているブラケット37は、ねじりバネ65のバネ力により上昇する。ブラケット37は、平行リンク61,62によりかご側の支持部材63に取り付けられているので、この上昇時、図示左方へ移動しながら上昇する。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作は、第1のリンク機構50が反時計回りに所定の回動角、回動することで停止する。すなわち第1のリンク機構50を構成する作動リンクの51の傾斜した係合部512は、上述した所定の回動角、回動すると、水平状態となるように傾斜角度が設定されている。このため、扉パネル25aが戸開端(全開状態)になるまで戸開動作を続けても、これ以上第1のリンク機構50は回動せず、塞ぎ部材35は図3で示す塞ぎ位置を保持する。
この塞ぎ位置では、塞ぎ部材35は敷居31,32間の隙間を塞ぐので小物類がこの隙間からピット内まで落下するようなことはなく、容易に回収可能である。また、塞ぎ部材35の上面は、敷居31,32の上面より下方に位置しているので、敷居31,32上に位置する物体の荷重が塞ぎ部材35に加わることはなく、荷重が加わることによる塞ぎ部材35の支持部の損傷を防止できる。
この塞ぎ部材35による隙間の塞ぎ状態において、乗りかご4の荷重が大きく変化すると、乗りかご4が一時的に僅かに上昇することがある。このような乗りかご4の一時的上昇が生じても、塞ぎ部材35の上部角部に面とりが施され、かつ塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、損傷などの問題は生じない。
例えば、乗りかご4内に満員状態で乗っていた乗客が一度に下りた場合など、乗りかごが僅かではあるが一時的に上昇する。このとき、図3で示す塞ぎ位置にある塞ぎ部材35も上昇し、敷居31,32の側下辺部と当接することがある。しかし、乗り場側の敷居32の側下辺部と対向する塞ぎ部材35の上部角部には面とりが施されているため、この部分の当接力は弱められ、当接による損傷を防止できる。また、塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、上述した当接時、板バネ38が上下方向にも撓むことから、その緩衝作用により当接による衝撃は弱められ、このことからも当接による損傷を防止できる。
一方、かご扉25が閉動作し、所定の戸閉位置に移動すると、扉パネル25a側に設けられた作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512から離れる。このため、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40は自重により下降する。このため、第2のリンク機構60は図3の状態から反時計回りに回動し、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から図示右斜め下方に移動させて、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
ここで、敷居31,32間の隙間の間隔にばらつきがあっても、塞ぎ部材35を、板バネ38を介してブラケット37に取り付け、移動方向の前後に搖動可能に構成しているので、ずれを生じることなく隙間を確実に塞ぐことができる。
なお、板バネ52が撓んだ場合、ブラケット51との接合部に隙間が生じることがあり、この隙間に塵埃などが挟まると元の形状に復帰できなくなることが考えられる。そこで、この隙間が生じる可能性のある部分に予めコーキングや、ガバーの設置などのガードを施しておくとよい。
上述の実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25が戸開端(全開)近くに達した時点で、かご扉側の作動部材70と係合し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置へ移動させていた。この構成では、かごが戸開端近くまで開かないと塞ぎ部材が塞ぎ状態とならないが、以下の図5に示す実施の形態では、より早い段階で塞ぎ部材を塞ぎ位置まで移動させるように構成した。
この実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りに予め設定した開位置にて、作動リンク51をかご扉25側の作動部材70と係合させ、かご扉25の開方向への移動力により、押し下げ部材40を上昇させるように構成した。また、かご扉25側の作動部材70は、かご扉25に対して、その開閉方向(図示左右方向)に沿って相対的にスライド可能に支持した。そして、常時は作動リンク51との係合方向へのバネ力を与え、作動リンク51との係合により係合反力を受けると上述したバネ力に抗して、かご扉25側と相対的にスライドさせるように構成した。
具体的には、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aを、図示のようにく字状部511の上端から、前述の実施形態とは反対に、図示右側に傾斜させて形成した。かご扉25側の作動部材70は、横長の移動ブラケット71の図示左端部に取り付け、この移動ブラケット71に形成した長孔711と、かご扉25側の支持ピン251との係合により、かご扉25の開閉方向に沿ってスライド可能に支持した。また、この移動ブラケット71とかご扉25との間にはバネ72を設け、常時は作動部材70に対し、作動リンク51との係合方向(図示左方)へのバネ力を与えている。作動部材70は、作動リンク51と係合し、これを所定の回動角、回動させた後に係合反力を受けると、バネ72のバネ力に抗して扉25側と相対的にスライドするように構成した。
上記構成において、かご扉25が戸閉端(全閉位置)にあるとき、図5で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りの予め設定した開位置達すると、図5で示すように、扉パネル25a側に設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aと当接係合する。この当接係合位置は、前述の実施形態における戸開端(全開位置)近くに予め設定した開位置より、戸開開始から早い段階の開位置である。
この当接係合により、前述の実施形態と同様に、作動リンク51は、かご扉25の戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、そのく字状部511の中間部に設けられた支軸を中心に図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。この押し下げ部材40の上昇により、塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作により作動リンク51は反時計回りの回動を停止し、かご扉25側の作動部材70は係合反力を受け停止する。このときかご扉25は戸開端への移動途中であり、図示左方への移動を継続する。このため移動ブラケット71に支持された作動部材70は、ばね72のバネ力に抗して、かご扉25と相対的にスライドし、かご扉25の図示左方への移動を許容する。
すなわち、かご扉25の戸開開始から早い時点で第1のリンク機構50が作動し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置に移動させるので、かご扉25の開途中で、乗客が出入りして小物類を落としても、小物類が隙間部分からピットまで落下するようなことはなく容易に回収可能となる。
一方、かご扉25が閉動作する場合、戸閉開始後しばらくは、ばね72が蓄勢されていることから、かご扉25のみ移動し、移動ブラケット71上の作動部材は停止したままである。かご扉25が所定の戸閉位置に移動すると、かご扉25側の支持ピン251が、長孔711の図示右端に移動し、長孔711を介して移動ブラケット71及び作動部材70を図示右方へ移動させる。このため作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aから離れる。このように、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40が自重で降下するため、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から右斜め下方に移動させ、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
すなわち、かご扉25の開閉動作と塞ぎ部材35の塞ぎ動作との間にヒステリシス特性を持たせたので、塞ぎ部材35を、かご扉25の最適な開位置にて塞ぎ動作させることができる。
なお、上述の実施形態では、塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、塞ぎ位置において乗りかご側及び乗場側の敷居31,32の上面より下方に位置させていたが、本願発明はこれに限定されず、塞ぎ部材35の上面を、塞ぎ位置においてかご側及び乗場側の敷居31,32の上面とほぼ同一高さに位置させてもよい。すなわち、塞ぎ部材35の幅を、敷居31,32間の隙間に入るように寸法設定し、この塞ぎ部材35の上昇ストロークを、塞ぎ部材35の上面が敷居31,32の上面とほぼ同一高さとなるように設定すればよい。この場合、塞ぎ部材35を支える板バネ38は、上下方向に剛性の強いものを採用する。
このように構成すると、敷居31,32間に隙間の無いフラットな出入り口を形成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…エレベータ装置
2…乗り場扉
3…昇降路
4…乗りかご
25…かご扉
27…扉開閉機構
31…かご側の敷居
32…乗り場側の敷居
35…塞ぎ板
37…ブラケット
38…弾性体
40…押し下げ部材
50…第1のリンク機構
51…作動リンク
512…係合部
60…第2のリンク機構
65…ねじりバネ
70…作動部材
71…移動ブラケット
72…ばね
本発明の実施形態は、乗りかごへの出入り口部の敷居間に生じる隙間のふさぎ構造を有するエレベータ装置に関する。
建物の昇降路内に設置された乗りかごが、各階床間を昇降して人員や荷物を運搬するエレベータ装置では、乗りかごを昇降させるために、各階床の乗り場と乗りかごとの間に一定の隙間が設けられている。このため、乗りかごが乗り場に着床停止して出入り口の扉が開いた状態では、乗り場の敷居と乗りかご側の敷居との間に隙間が生じる。この敷居間の隙間は、人がつまずいたり、或いは車椅子や台車等の車輪が落ち込んで引っ掛かったりする原因となり、危険でもある。また、鍵やカード等の小物品が敷居隙間からピット内に落下するおそれもある。
そこで、従来、敷居隙間を塞ぐための塞ぎ部材を設け、扉の開放時に敷居隙間を塞ぐように動作させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の発明は、乗り場扉、かご扉が開いているときには、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間全体を塞ぎ部で塞ぎ、隙間から昇降路内に物が落下するのを防ぐものである。具体的には、エレベータのかごが所定の階に着床し、乗り場扉、かご扉が全開すると、センサがそのことを検知し、横方向へ進退駆動する第1の駆動部(モータなどのアクチュエータ)を作動させ、第1の可動部を前記隙間の下方へ移動させる。その後、第1の可動部に搭載された第2の駆動部の励磁用コイル部を励磁して、塞ぎ部を乗り場敷居およびかご敷居の高さの位置に達するまで上昇させ、これら敷居間の隙間を塞いでいる。
このような装置では、上述した第1及び第2と2つの駆動部が必要であり、しかも、この駆動部として、モータや電磁コイルなどの、比較的高価なアクチュエータをそれぞれ設けなければならない。また、これらアクチュエータを所定のタイミングで順次連動させるためのセンサや制御回路が必要となる。このため、構成が複雑となり故障発生の要因になると共にコスト上も高価となる。
本発明は、乗り場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させることにより、確実な動作を低コストで実現したエレベータ装置を提供することにある。
本発明の実施の形態に係るエレベータ装置は、乗りかごの出入り口に設けられたかご扉を、その開閉方向に沿ってガイドするかご側の敷居と、前記乗りかごが着床可能な各階床の、前記乗りかごへの出入り口に設けられた乗り場扉を、その開閉方向に沿ってガイドする乗り場側の敷居と、前記かご側の敷居と乗り場側の敷居との間に生じる隙間を塞ぐことができる平面形状を有し、前記隙間を塞いだ塞ぎ位置と前記かご側の敷居の下部の退避位置との間を移動可能に構成された塞ぎ部材と、この塞ぎ部材を上部に取り付けて配置されたブラケットと、前記塞ぎ部材の下方に配置され、前記ブラケットの下端部と係合し、常時はこのブラケットを下降させ、前記塞ぎ部材を前記乗りかご側の敷居の下部の退避位置に位置させる押し下げ部材と、前記かご扉の開動作に伴い、このかご扉側の作動部材と係合し、この係合により作動部材から受ける力で、前記押し下げ部材を上昇させる第1のリンク機構と、前記ブラケットとかご側の支持部材との間に構成され、前記押し下げ部材の上昇に伴い、前記ブラケットを上昇させつつ横移動させ、このブラケット上に取り付けられた塞ぎ部材を前記退避位置から塞ぎ位置へ移動させる第2のリンク機構とを備えたことを特徴とする。
上述の構成によれば、乗り場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させるので、電気的なアクチュエータを要することなく、確実な動作を低コストで実現できる。
本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の全体構成を示す図である。
本発明の一実施形態における乗りかごの扉部分を乗り場側から見た斜視図である。
本発明の一実施形態における塞ぎ部材と敷居隙間との関係を示す側面図である。
退避位置にある塞ぎ部材と第2のリンク機構との関係を示す斜視図である。
本発明の他の実施形態における作動部材と第1のリンク機構との関係を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、図1によりエレベータ装置の全体構成を説明する。図1で示すように、エレベータ装置1は、昇降路3内に配置された乗りかご4および釣合いおもり5を備える。昇降路3の上方には、メインロープ9を駆動する巻上機7及び制御装置8等が設置された機械室6が設けられている。制御装置8は、エレベータ装置1の全体を制御するもので、乗り場呼び又はかご呼びに応じて巻上機7を運転制御し、乗りかご4を呼びのあった階へ着床させる。
なお、機械室6を設けずに巻上機7や制御装置8を小形化して昇降路3内の上部に設けた、所謂機械室レスのエレベータ装置であってもよい。
このエレベータ装置1では、建屋の各階床に設けられた乗り場11に、昇降路3内の乗りかご4に通じる出入り口12が設けられ、この出入り口12には、乗り場扉2が設けられている。この乗り場扉2は、乗りかご4の着床時、乗りかご4の出入り口24に設けられたかご扉25側と、図示しないインターロック機構を介して係合し、かご扉25の開閉に連動して開閉動作する。
図2は乗りかご4の出入り口に設けられたかご扉25が戸閉端位置(全閉位置)にあることを、乗り場11側から見た斜視図である。かご扉25は2枚の扉パネル25a、25b(扉表面板の図示は省略している)を、互いに異なる図示左右方へ開動作させる所謂両開き方式である。これら2枚の扉パネル25a、25bは、扉開閉機構により図示左右方向に駆動され、開閉動作する。
なお、扉開閉機構は公知のものであり、本願発明とは直接的に関係しないので構造説明は省略するが、図示しないモータの動力により、2枚の扉パネル25a、25bを互いに連動させ、ガイドレールに沿って左右方向に駆動し、開閉動作させるものである。
この乗りかご4の出入り口部分には、かご側の敷居31が設けられており、上述したかご扉25を構成する2枚の扉パネル25a、25bを、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。このかご側の敷居31は、乗りかごの出入り口24の下辺部に設けられており、その上面に形成されガイド溝は、2枚の扉パネル25a、25bの下端部とそれぞれ係合し、これらを開閉方向にガイドする。
このかご側の敷居31に対し、乗り場11側にも図3で示すように敷居32が設けられている。この乗り場側の敷居32は、かご側の敷居31の一側面(図3の左側面)と所定の間隔を保って対向配置される。この乗り場側の敷居32の上面にもガイド溝が形成されており、図1で示した乗り場扉2を、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。
この乗り場側扉2も、図示しないが2枚の扉パネルを有する両開き方式のもので、前述のように、乗りかご4が乗り場11に着床すると、そのかご扉25と係合し、かご扉25と共に開閉動作する。すなわち、乗り場扉2は、乗りかご4が着床していないときは、図示しないインターロック機構により2枚の扉パネルが閉状態にロックされており、乗りかご4が着床すると、乗りかご4側の図示しない係合部材と係合して上述したロック状態が解かれ、かご扉25と共に開閉動作する。
乗りかご4が所定階へ着床したとき、前述のように、かご側の敷居31と乗り場側の敷居32との間に、図3で示す隙間が生じる。本発明の実施形態では、この隙間を図示のように塞ぐために塞ぎ部材35を設ける。
この塞ぎ部材35は、図2で示すように、左右に分割されている。この分割部分は、乗りかご4の昇降時に、かご側の敷居31が、乗り場側に設けられた図示しないインターロック機構(具体的には乗りかご側と係合するローラ部分)とすれ違う部分で、インターロック機構の通過を許容するために左右に間隔を保って分割されている。すなわち、万一、塞ぎ部材が塞ぎ位置まで繰り出された状態で乗りかごが昇降しても、乗り場側のインターロック機構は、繰り出された塞ぎ部材35の分割部分に形成された空間を通過するので、繰り出された塞ぎ部材とインターロック機構とが衝突することない。
乗り場側の敷居32には、かご側の敷居31との対向状態にて、この分割された空間部分内に突出して遊嵌する図示しないブロックが設けられている。このブロックは、乗り場側の敷居32の、かご側の敷居31と対向し、かつ、塞ぎ部材35の分割された空間部分との対向部に一体的に設けられている。したがって、乗りかご4が着床して、乗り場側の敷居32とかご側の敷居31とが対向すると、乗り場側の敷居32に設けられたブロックが分割された空間部分内に突出して遊嵌する状態となる。このため、分割部分に生じた空間は、その内部に遊嵌するブロックにより略塞がれた状態となり、この分割部分の空間からの小物類の落下を防止できる。
塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、隙間を塞いだ塞ぎ位置にてかご側の敷居31及び乗り場側の敷居32の上面より下方に位置している。また、その平面形状は、敷居31,32の隙間を塞ぐことができる形状寸法に形成されている。すなわち、かご側の出入り口の間口よりやや大きな長さと、敷居31,32の隙間よりやや大きな幅とからなる平面形状を有する。
さらに、この塞ぎ部材35の上部角部には面取りが施されている。
この塞ぎ部材35は金属製或いは樹脂製の何れでもよいが、加工性や他の部品との緩衝性などを考慮すれば樹脂材を用いるとよい。
この塞ぎ部材35は、図3で示す敷居31,32の隙間を塞いだ塞ぎ位置と、図2で示すように、かご側の敷居31の下方に退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。すなわち、後述する駆動機構により、図3の上下及び左右方向に駆動される。
塞ぎ部材35は、縦向きに配置されたブラケット37上に板バネなどの弾性体38(以下、板バネ38として説明する)を介して取り付けられている。このため塞ぎ部材35は、板バネにより、かご側の敷居31及び乗り場側の敷居32の間隔方向に搖動可能に支持される。この板バネ38も、図2で示すように塞ぎ部材35と同じ部分で分割されており、ブラケット37と共に、塞ぎ部材35の分割された対応部分をそれぞれ支持している。
駆動機構は図2で示すように押し下げ部材40、第1のリンク機構50及び第2のリンク機構60を有する。
押し下げ部材40は、塞ぎ部材35の下方に配置され、ブラケット37の下端部と係合し、常時このブラケット37を下降させ、塞ぎ部材35を、図2で示すように、かご側の敷居31の下方の退避位置に位置させる。すなわち、押し下げ部材40は、図4で示すように、ブラケット37の下端側面と対応する部分にU字形に切り欠いた凹部41を有する。この凹部41の図示上辺部には係合体42が一体的に取り付けられている。
この凹部41内には、ブラケット37の下端部側面に一体的に取り付けられた係合ピン371が挿入されている。この押し下げ部材40は、常時は自重により下降方向への力を受けている。そして、この押し下げ部材40が下降すると、凹部41内に挿入されている係合ピン371は、係合体42と係合して押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35を押し下げる。
第1のリンク機構50は、図2で示したかご扉25の開動作に伴い、かご扉25の戸開端(かご扉25が全開となる位置)近くの予め設定した開位置にて、かご扉側の作動部材70と係合し、かご扉25の戸開方向への移動力を受けて、押し下げ部材40を上昇させる。
この、第1のリンク機構50は、図2で示すように、作動リンク51及び平行リンク52を有する。
作動リンク51は、そのく字状部511の長さ方向中間部が、支軸によりかご側支持部材53に回動可能に枢支されている。また、このく字状部511の図示上部には、かご扉25側の作動部材70との係合部512が図示左方に傾斜して一体に形成されている。さらに、このく字状部511の図示下端は、支軸を介して、押し下げ部材40の図示左端に一体に立設された支持部材401の上部に支軸を介して回動可能に連結されている。
平行リンク52は、その両端が支軸を介して上述した支持部材53,401の下部にそれぞれ回動可能に連結している。押し下げ部材40の図示右端にも、かご側の支持部材53との間に平行リンク52が設けられている。
したがって、第1のリンク機構50は、その作動リンク51の傾斜した係合部512が、かご扉25の開動作に伴い、扉パネル25a側に設けられた作動部材70と係合し、戸開方向(図示左方)の力を受けて図示反時計方向に回動する。この回動により、平行リンク52と共に押し下げ部材40を上方に平行移動させる。
第2のリンク機構60は、図3及び図4で示すように、ブラケット37とかご側の支持部材63との間に構成され、押し下げ部材40の上昇に伴い、ブラケット37を上昇させつつ横移動させる。すなわち、第2のリンク機構60は2つの平行リンク61,62を有し、それらの両端は支軸を介してブラケット37及びかご側の支持部材63にそれぞれ回動可能に連結している。また、これら平行リンク61、62の、支持部材63側の支軸には、ねじりバネ65が設けられており、平行リンク61,62に、図示時計回りの回動力を与えている。したがって、ブラケット37はこのねじりバネ65により常時上向きのばね力を受けている。
この第2のリンク機構60は、平行リンク61,62が、図4の状態から、図示時計回りに回動すると、ブラケット37を図示左方へ繰り出すと共に、図示上方へ移動させ、図3の状態へ変位させる。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
上記構成において、かご扉25が閉じた戸閉端の位置にあるとき、図2で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられている。したがって、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、扉パネル25aが戸開端(かご扉25の全開位置)近くの予め設定した開位置に達すると、扉パネル25aに設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の傾斜した係合部512と係合する。このため、作動リンク51は、扉パネル25aの戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。
押し下げ部材40の上昇により、図4で示した係合体42による押し下げ力が解消され、この係合体42に係合ピン371を介して係合しているブラケット37は、ねじりバネ65のバネ力により上昇する。ブラケット37は、平行リンク61,62によりかご側の支持部材63に取り付けられているので、この上昇時、図示左方へ移動しながら上昇する。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作は、第1のリンク機構50が反時計回りに所定の回動角、回動することで停止する。すなわち第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の傾斜した係合部512は、上述した所定の回動角、回動すると、水平状態となるように傾斜角度が設定されている。このため、扉パネル25aが戸開端(全開状態)になるまで戸開動作を続けても、これ以上第1のリンク機構50は回動せず、塞ぎ部材35は図3で示す塞ぎ位置を保持する。
この塞ぎ位置では、塞ぎ部材35は敷居31,32間の隙間を塞ぐので小物類がこの隙間からピット内まで落下するようなことはなく、容易に回収可能である。また、塞ぎ部材35の上面は、敷居31,32の上面より下方に位置しているので、敷居31,32上に位置する物体の荷重が塞ぎ部材35に加わることはなく、荷重が加わることによる塞ぎ部材35の支持部の損傷を防止できる。
この塞ぎ部材35による隙間の塞ぎ状態において、乗りかご4の荷重が大きく変化すると、乗りかご4が一時的に僅かに上昇することがある。このような乗りかご4の一時的上昇が生じても、塞ぎ部材35の上部角部に面とりが施され、かつ塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、損傷などの問題は生じない。
例えば、乗りかご4内に満員状態で乗っていた乗客が一度に下りた場合など、乗りかごが僅かではあるが一時的に上昇する。このとき、図3で示す塞ぎ位置にある塞ぎ部材35も上昇し、敷居31,32の側下辺部と当接することがある。しかし、乗り場側の敷居32の側下辺部と対向する塞ぎ部材35の上部角部には面とりが施されているため、この部分の当接力は弱められ、当接による損傷を防止できる。また、塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、上述した当接時、板バネ38が上下方向にも撓むことから、その緩衝作用により当接による衝撃は弱められ、このことからも当接による損傷を防止できる。
一方、かご扉25が閉動作し、所定の戸閉位置に移動すると、扉パネル25a側に設けられた作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512から離れる。このため、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40は自重により下降する。このため、第2のリンク機構60は図3の状態から反時計回りに回動し、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から図示右斜め下方に移動させて、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
ここで、敷居31,32間の隙間の間隔にばらつきがあっても、塞ぎ部材35を、板バネ38を介してブラケット37に取り付け、移動方向の前後に搖動可能に構成しているので、ずれを生じることなく隙間を確実に塞ぐことができる。
なお、板バネ52が撓んだ場合、ブラケット51との接合部に隙間が生じることがあり、この隙間に塵埃などが挟まると元の形状に復帰できなくなることが考えられる。そこで、この隙間が生じる可能性のある部分に予めコーキングや、ガバーの設置などのガードを施しておくとよい。
上述の実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25が戸開端(全開)近くに達した時点で、かご扉側の作動部材70と係合し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置へ移動させていた。この構成では、かごが戸開端近くまで開かないと塞ぎ部材が塞ぎ状態とならないが、以下の図5に示す実施の形態では、より早い段階で塞ぎ部材を塞ぎ位置まで移動させるように構成した。
この実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りに予め設定した開位置にて、作動リンク51をかご扉25側の作動部材70と係合させ、かご扉25の開方向への移動力により、押し下げ部材40を上昇させるように構成した。また、かご扉25側の作動部材70は、かご扉25に対して、その開閉方向(図示左右方向)に沿って相対的にスライド可能に支持した。そして、常時は作動リンク51との係合方向へのバネ力を与え、作動リンク51との係合により係合反力を受けると上述したバネ力に抗して、かご扉25側と相対的にスライドさせるように構成した。
具体的には、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aを、図示のようにく字状部511の上端から、前述の実施形態とは反対に、図示右側に傾斜させて形成した。かご扉25側の作動部材70は、横長の移動ブラケット71の図示左端部に取り付け、この移動ブラケット71に形成した長孔711と、かご扉25側の支持ピン251との係合により、かご扉25の開閉方向に沿ってスライド可能に支持した。また、この移動ブラケット71とかご扉25との間にはバネ72を設け、常時は作動部材70に対し、作動リンク51との係合方向(図示左方)へのバネ力を与えている。作動部材70は、作動リンク51と係合し、これを所定の回動角、回動させた後に係合反力を受けると、バネ72のバネ力に抗して扉25側と相対的にスライドするように構成した。
上記構成において、かご扉25が戸閉端(全閉位置)にあるとき、図5で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りの予め設定した開位置に達すると、図5で示すように、扉パネル25a側に設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aと当接係合する。この当接係合位置は、前述の実施形態における戸開端(全開位置)近くに予め設定した開位置より、戸開開始から早い段階の開位置である。
この当接係合により、前述の実施形態と同様に、作動リンク51は、かご扉25の戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、そのく字状部511の中間部に設けられた支軸を中心に図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。この押し下げ部材40の上昇により、塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作により作動リンク51は反時計回りの回動を停止し、かご扉25側の作動部材70は係合反力を受け停止する。このときかご扉25は戸開端への移動途中であり、図示左方への移動を継続する。このため移動ブラケット71に支持された作動部材70は、ばね72のバネ力に抗して、かご扉25と相対的にスライドし、かご扉25の図示左方への移動を許容する。
すなわち、かご扉25の戸開開始から早い時点で第1のリンク機構50が作動し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置に移動させるので、かご扉25の開途中で、乗客が出入りして小物類を落としても、小物類が隙間部分からピットまで落下するようなことはなく容易に回収可能となる。
一方、かご扉25が閉動作する場合、戸閉開始後しばらくは、ばね72が蓄勢されていることから、かご扉25のみ移動し、移動ブラケット71上の作動部材は停止したままである。かご扉25が所定の戸閉位置に移動すると、かご扉25側の支持ピン251が、長孔711の図示右端に移動し、長孔711を介して移動ブラケット71及び作動部材70を図示右方へ移動させる。このため作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aから離れる。このように、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40が自重で降下するため、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から右斜め下方に移動させ、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
すなわち、かご扉25の開閉動作と塞ぎ部材35の塞ぎ動作との間にヒステリシス特性を持たせたので、塞ぎ部材35を、かご扉25の最適な開位置にて塞ぎ動作させることができる。
なお、上述の実施形態では、塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、塞ぎ位置において乗りかご側及び乗り場側の敷居31,32の上面より下方に位置させていたが、本願発明はこれに限定されず、塞ぎ部材35の上面を、塞ぎ位置においてかご側及び乗り場側の敷居31,32の上面とほぼ同一高さに位置させてもよい。すなわち、塞ぎ部材35の幅を、敷居31,32間の隙間に入るように寸法設定し、この塞ぎ部材35の上昇ストロークを、塞ぎ部材35の上面が敷居31,32の上面とほぼ同一高さとなるように設定すればよい。この場合、塞ぎ部材35を支える板バネ38は、上下方向に剛性の強いものを採用する。
このように構成すると、敷居31,32間に隙間の無いフラットな出入り口を形成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…エレベータ装置
2…乗り場扉
3…昇降路
4…乗りかご
25…かご扉
27…扉開閉機構
31…かご側の敷居
32…乗り場側の敷居
35…塞ぎ板
37…ブラケット
38…弾性体
40…押し下げ部材
50…第1のリンク機構
51…作動リンク
512…係合部
60…第2のリンク機構
65…ねじりバネ
70…作動部材
71…移動ブラケット
72…ばね
本発明の実施形態は、乗りかごへの出入り口部の敷居間に生じる隙間のふさぎ構造を有するエレベータ装置に関する。
建物の昇降路内に設置された乗りかごが、各階床間を昇降して人員や荷物を運搬するエレベータ装置では、乗りかごを昇降させるために、各階床の乗り場と乗りかごとの間に一定の隙間が設けられている。このため、乗りかごが乗り場に着床停止して出入り口の扉が開いた状態では、乗り場の敷居と乗りかご側の敷居との間に隙間が生じる。この敷居間の隙間は、人がつまずいたり、或いは車椅子や台車等の車輪が落ち込んで引っ掛かったりする原因となり、危険でもある。また、鍵やカード等の小物品が敷居隙間からピット内に落下するおそれもある。
そこで、従来、敷居隙間を塞ぐための塞ぎ部材を設け、扉の開放時に敷居隙間を塞ぐように動作させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の発明は、乗り場扉、かご扉が開いているときには、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間全体を塞ぎ部で塞ぎ、隙間から昇降路内に物が落下するのを防ぐものである。具体的には、エレベータのかごが所定の階に着床し、乗り場扉、かご扉が全開すると、センサがそのことを検知し、横方向へ進退駆動する第1の駆動部(モータなどのアクチュエータ)を作動させ、第1の可動部を前記隙間の下方へ移動させる。その後、第1の可動部に搭載された第2の駆動部の励磁用コイル部を励磁して、塞ぎ部を乗り場敷居およびかご敷居の高さの位置に達するまで上昇させ、これら敷居間の隙間を塞いでいる。
このような装置では、上述した第1及び第2と2つの駆動部が必要であり、しかも、この駆動部として、モータや電磁コイルなどの、比較的高価なアクチュエータをそれぞれ設けなければならない。また、これらアクチュエータを所定のタイミングで順次連動させるためのセンサや制御回路が必要となる。このため、構成が複雑となり故障発生の要因になると共にコスト上も高価となる。
本発明は、乗り場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させることにより、確実な動作を低コストで実現したエレベータ装置を提供することにある。
本発明の実施の形態に係るエレベータ装置は、乗りかごの出入り口に設けられたかご扉を、その開閉方向に沿ってガイドするかご側の敷居と、前記乗りかごが着床可能な各階床の、前記乗りかごへの出入り口に設けられた乗り場扉を、その開閉方向に沿ってガイドする乗り場側の敷居と、前記かご側の敷居と乗り場側の敷居との間に生じる隙間を塞ぐことができる平面形状を有し、前記隙間を塞いだ塞ぎ位置と前記かご側の敷居の下部の退避位置との間を移動可能に構成された塞ぎ部材と、この塞ぎ部材を上部に取り付けて配置されたブラケットと、前記塞ぎ部材の下方に配置され、前記ブラケットの下端部と係合し、常時はこのブラケットを下降させ、前記塞ぎ部材を前記乗りかご側の敷居の下部の退避位置に位置させる押し下げ部材と、前記かご扉の開動作に伴い、このかご扉側の作動部材と係合し、この係合により作動部材から受ける力で、前記押し下げ部材を上昇させる第1のリンク機構と、前記ブラケットとかご側の支持部材との間に構成され、前記押し下げ部材の上昇に伴い、前記ブラケットを上昇させつつ横移動させ、このブラケット上に取り付けられた塞ぎ部材を前記退避位置から塞ぎ位置へ移動させる第2のリンク機構とを備えたことを特徴とする。
上述の構成によれば、乗り場側の敷居とかご側の敷居間の隙間を、乗り場扉の開閉動作に機械的に連動するリンク機構により塞ぎ動作させるので、電気的なアクチュエータを要することなく、確実な動作を低コストで実現できる。
本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の全体構成を示す図である。
本発明の一実施形態における乗りかごの扉部分を乗り場側から見た斜視図である。
本発明の一実施形態における塞ぎ部材と敷居隙間との関係を示す側面図である。
退避位置にある塞ぎ部材と第2のリンク機構との関係を示す斜視図である。
本発明の他の実施形態における作動部材と第1のリンク機構との関係を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、図1によりエレベータ装置の全体構成を説明する。図1で示すように、エレベータ装置1は、昇降路3内に配置された乗りかご4および釣合いおもり5を備える。昇降路3の上方には、メインロープ9を駆動する巻上機7及び制御装置8等が設置された機械室6が設けられている。制御装置8は、エレベータ装置1の全体を制御するもので、乗り場呼び又はかご呼びに応じて巻上機7を運転制御し、乗りかご4を呼びのあった階へ着床させる。
なお、機械室6を設けずに巻上機7や制御装置8を小形化して昇降路3内の上部に設けた、所謂機械室レスのエレベータ装置であってもよい。
このエレベータ装置1では、建屋の各階床に設けられた乗り場11に、昇降路3内の乗りかご4に通じる出入り口12が設けられ、この出入り口12には、乗り場扉2が設けられている。この乗り場扉2は、乗りかご4の着床時、乗りかご4の出入り口24に設けられたかご扉25側と、図示しないインターロック機構を介して係合し、かご扉25の開閉に連動して開閉動作する。
図2は乗りかご4の出入り口に設けられたかご扉25が戸閉端位置(全閉位置)にあることを、乗り場11側から見た斜視図である。かご扉25は2枚の扉パネル25a、25b(扉表面板の図示は省略している)を、互いに異なる図示左右方へ開動作させる所謂両開き方式である。これら2枚の扉パネル25a、25bは、扉開閉機構により図示左右方向に駆動され、開閉動作する。
なお、扉開閉機構は公知のものであり、本願発明とは直接的に関係しないので構造説明は省略するが、図示しないモータの動力により、2枚の扉パネル25a、25bを互いに連動させ、ガイドレールに沿って左右方向に駆動し、開閉動作させるものである。
この乗りかご4の出入り口部分には、かご側の敷居31が設けられており、上述したかご扉25を構成する2枚の扉パネル25a、25bを、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。このかご側の敷居31は、乗りかごの出入り口24の下辺部に設けられており、その上面に形成されたガイド溝は、2枚の扉パネル25a、25bの下端部とそれぞれ係合し、これらを開閉方向にガイドする。
このかご側の敷居31に対し、乗り場11側にも図3で示すように敷居32が設けられている。この乗り場側の敷居32は、かご側の敷居31の一側面(図3の左側面)と所定の間隔を保って対向配置される。この乗り場側の敷居32の上面にもガイド溝が形成されており、図1で示した乗り場扉2を、その開閉方向に沿ってスライド可能にガイドする。
この乗り場側扉2も、図示しないが2枚の扉パネルを有する両開き方式のもので、前述のように、乗りかご4が乗り場11に着床すると、そのかご扉25と係合し、かご扉25と共に開閉動作する。すなわち、乗り場扉2は、乗りかご4が着床していないときは、図示しないインターロック機構により2枚の扉パネルが閉状態にロックされており、乗りかご4が着床すると、乗りかご4側の図示しない係合部材と係合して上述したロック状態が解かれ、かご扉25と共に開閉動作する。
乗りかご4が所定階へ着床したとき、前述のように、かご側の敷居31と乗り場側の敷居32との間に、図3で示す隙間が生じる。本発明の実施形態では、この隙間を図示のように塞ぐために塞ぎ部材35を設ける。
この塞ぎ部材35は、図2で示すように、左右に分割されている。この分割部分は、乗りかご4の昇降時に、かご側の敷居31が、乗り場側に設けられた図示しないインターロック機構(具体的には乗りかご側と係合するローラ部分)とすれ違う部分で、インターロック機構の通過を許容するために左右に間隔を保って分割されている。すなわち、万一、塞ぎ部材が塞ぎ位置まで繰り出された状態で乗りかごが昇降しても、乗り場側のインターロック機構は、繰り出された塞ぎ部材35の分割部分に形成された空間を通過するので、繰り出された塞ぎ部材とインターロック機構とが衝突することがない。
乗り場側の敷居32には、かご側の敷居31との対向状態にて、この分割された空間部分内に突出して遊嵌する図示しないブロックが設けられている。このブロックは、乗り場側の敷居32の、かご側の敷居31と対向し、かつ、塞ぎ部材35の分割された空間部分との対向部に一体的に設けられている。したがって、乗りかご4が着床して、乗り場側の敷居32とかご側の敷居31とが対向すると、乗り場側の敷居32に設けられたブロックが分割された空間部分内に突出して遊嵌する状態となる。このため、分割部分に生じた空間は、その内部に遊嵌するブロックにより略塞がれた状態となり、この分割部分の空間からの小物類の落下を防止できる。
塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、隙間を塞いだ塞ぎ位置にてかご側の敷居31及び乗り場側の敷居32の上面より下方に位置している。また、その平面形状は、敷居31,32の隙間を塞ぐことができる形状寸法に形成されている。すなわち、かご側の出入り口の間口よりやや大きな長さと、敷居31,32の隙間よりやや大きな幅とからなる平面形状を有する。
さらに、この塞ぎ部材35の上部角部には面取りが施されている。
この塞ぎ部材35は金属製或いは樹脂製の何れでもよいが、加工性や他の部品との緩衝性などを考慮すれば樹脂材を用いるとよい。
この塞ぎ部材35は、図3で示す敷居31,32の隙間を塞いだ塞ぎ位置と、図2で示すように、かご側の敷居31の下方に退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。すなわち、後述する駆動機構により、図3の上下及び左右方向に駆動される。
塞ぎ部材35は、縦向きに配置されたブラケット37上に板バネなどの弾性体38(以下、板バネ38として説明する)を介して取り付けられている。このため塞ぎ部材35は、板バネにより、かご側の敷居31及び乗り場側の敷居32の間隔方向に搖動可能に支持される。この板バネ38も、図2で示すように塞ぎ部材35と同じ部分で分割されており、ブラケット37と共に、塞ぎ部材35の分割された対応部分をそれぞれ支持している。
駆動機構は図2で示すように押し下げ部材40、第1のリンク機構50及び第2のリンク機構60を有する。
押し下げ部材40は、塞ぎ部材35の下方に配置され、ブラケット37の下端部と係合し、常時このブラケット37を下降させ、塞ぎ部材35を、図2で示すように、かご側の敷居31の下方の退避位置に位置させる。すなわち、押し下げ部材40は、図4で示すように、ブラケット37の下端側面と対応する部分にU字形に切り欠いた凹部41を有する。この凹部41の図示上辺部には係合体42が一体的に取り付けられている。
この凹部41内には、ブラケット37の下端部側面に一体的に取り付けられた係合ピン371が挿入されている。この押し下げ部材40は、常時は自重により下降方向への力を受けている。そして、この押し下げ部材40が下降すると、凹部41内に挿入されている係合ピン371は、係合体42と係合して押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35を押し下げる。
第1のリンク機構50は、図2で示したかご扉25の開動作に伴い、かご扉25の戸開端(かご扉25が全開となる位置)近くの予め設定した開位置にて、かご扉側の作動部材70と係合し、かご扉25の戸開方向への移動力を受けて、押し下げ部材40を上昇させる。
この、第1のリンク機構50は、図2で示すように、作動リンク51及び平行リンク52を有する。
作動リンク51は、そのく字状部511の長さ方向中間部が、支軸によりかご側支持部材53に回動可能に枢支されている。また、このく字状部511の図示上部には、かご扉25側の作動部材70との係合部512が図示左方に傾斜して一体に形成されている。さらに、このく字状部511の図示下端は、支軸を介して、押し下げ部材40の図示左端に一体に立設された支持部材401の上部に支軸を介して回動可能に連結されている。
平行リンク52は、その両端が支軸を介して上述した支持部材53,401の下部にそれぞれ回動可能に連結している。押し下げ部材40の図示右端にも、かご側の支持部材53との間に平行リンク52が設けられている。
したがって、第1のリンク機構50は、その作動リンク51の傾斜した係合部512が、かご扉25の開動作に伴い、扉パネル25a側に設けられた作動部材70と係合し、戸開方向(図示左方)の力を受けて図示反時計方向に回動する。この回動により、平行リンク52と共に押し下げ部材40を上方に平行移動させる。
第2のリンク機構60は、図3及び図4で示すように、ブラケット37とかご側の支持部材63との間に構成され、押し下げ部材40の上昇に伴い、ブラケット37を上昇させつつ横移動させる。すなわち、第2のリンク機構60は2つの平行リンク61,62を有し、それらの両端は支軸を介してブラケット37及びかご側の支持部材63にそれぞれ回動可能に連結している。また、これら平行リンク61、62の、支持部材63側の支軸には、ねじりバネ65が設けられており、平行リンク61,62に、図示時計回りの回動力を与えている。したがって、ブラケット37はこのねじりバネ65により常時上向きのばね力を受けている。
この第2のリンク機構60は、平行リンク61,62が、図4の状態から、図示時計回りに回動すると、ブラケット37を図示左方へ繰り出すと共に、図示上方へ移動させ、図3の状態へ変位させる。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
上記構成において、かご扉25が閉じた戸閉端の位置にあるとき、図2で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられている。したがって、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、扉パネル25aが戸開端(かご扉25の全開位置)近くの予め設定した開位置に達すると、扉パネル25aに設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の傾斜した係合部512と係合する。このため、作動リンク51は、扉パネル25aの戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。
押し下げ部材40の上昇により、図4で示した係合体42による押し下げ力が解消され、この係合体42に係合ピン371を介して係合しているブラケット37は、ねじりバネ65のバネ力により上昇する。ブラケット37は、平行リンク61,62によりかご側の支持部材63に取り付けられているので、この上昇時、図示左方へ移動しながら上昇する。このため、ブラケット37上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35は、図2で示すかご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作は、第1のリンク機構50が反時計回りに所定の回動角、回動することで停止する。すなわち第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の傾斜した係合部512は、上述した所定の回動角、回動すると、水平状態となるように傾斜角度が設定されている。このため、扉パネル25aが戸開端(全開状態)になるまで戸開動作を続けても、これ以上第1のリンク機構50は回動せず、塞ぎ部材35は図3で示す塞ぎ位置を保持する。
この塞ぎ位置では、塞ぎ部材35は敷居31,32間の隙間を塞ぐので小物類がこの隙間からピット内まで落下するようなことはなく、容易に回収可能である。また、塞ぎ部材35の上面は、敷居31,32の上面より下方に位置しているので、敷居31,32上に位置する物体の荷重が塞ぎ部材35に加わることはなく、荷重が加わることによる塞ぎ部材35の支持部の損傷を防止できる。
この塞ぎ部材35による隙間の塞ぎ状態において、乗りかご4の荷重が大きく変化すると、乗りかご4が一時的に僅かに上昇することがある。このような乗りかご4の一時的上昇が生じても、塞ぎ部材35の上部角部に面とりが施され、かつ塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、損傷などの問題は生じない。
例えば、乗りかご4内に満員状態で乗っていた乗客が一度に下りた場合など、乗りかごが僅かではあるが一時的に上昇する。このとき、図3で示す塞ぎ位置にある塞ぎ部材35も上昇し、敷居31,32の側下辺部と当接することがある。しかし、乗り場側の敷居32の側下辺部と対向する塞ぎ部材35の上部角部には面とりが施されているため、この部分の当接力は弱められ、当接による損傷を防止できる。また、塞ぎ部材35が板バネ38で支持されていることから、上述した当接時、板バネ38が上下方向にも撓むことから、その緩衝作用により当接による衝撃は弱められ、このことからも当接による損傷を防止できる。
一方、かご扉25が閉動作し、所定の戸閉位置に移動すると、扉パネル25a側に設けられた作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512から離れる。このため、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40は自重により下降する。このため、第2のリンク機構60は図3の状態から反時計回りに回動し、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から図示右斜め下方に移動させて、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
ここで、敷居31,32間の隙間の間隔にばらつきがあっても、塞ぎ部材35を、板バネ38を介してブラケット37に取り付け、移動方向の前後に搖動可能に構成しているので、ずれを生じることなく隙間を確実に塞ぐことができる。
なお、板バネ38が撓んだ場合、ブラケット37との接合部に隙間が生じることがあり、この隙間に塵埃などが挟まると元の形状に復帰できなくなることが考えられる。そこで、この隙間が生じる可能性のある部分に予めコーキングや、ガバーの設置などのガードを施しておくとよい。
上述の実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25が戸開端(全開)近くに達した時点で、かご扉側の作動部材70と係合し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置へ移動させていた。この構成では、かごが戸開端近くまで開かないと塞ぎ部材が塞ぎ状態とならないが、以下の図5に示す実施の形態では、より早い段階で塞ぎ部材を塞ぎ位置まで移動させるように構成した。
この実施の形態では、第1のリンク機構50は、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りに予め設定した開位置にて、作動リンク51をかご扉25側の作動部材70と係合させ、かご扉25の開方向への移動力により、押し下げ部材40を上昇させるように構成した。また、かご扉25側の作動部材70は、かご扉25に対して、その開閉方向(図示左右方向)に沿って相対的にスライド可能に支持した。そして、常時は作動リンク51との係合方向へのバネ力を与え、作動リンク51との係合により係合反力を受けると上述したバネ力に抗して、かご扉25側と相対的にスライドさせるように構成した。
具体的には、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aを、図示のようにく字状部511の上端から、前述の実施形態とは反対に、図示右側に傾斜させて形成した。かご扉25側の作動部材70は、横長の移動ブラケット71の図示左端部に取り付け、この移動ブラケット71に形成した長孔711と、かご扉25側の支持ピン251との係合により、かご扉25の開閉方向に沿ってスライド可能に支持した。また、この移動ブラケット71とかご扉25との間にはバネ72を設け、常時作動部材70に対し、作動リンク51との係合方向(図示左方)へのバネ力を与えている。作動部材70は、作動リンク51と係合し、これを所定の回動角、回動させた後に係合反力を受けると、バネ72のバネ力に抗して扉25側と相対的にスライドするように構成した。
上記構成において、かご扉25が戸閉端(全閉位置)にあるとき、図5で示すように、かご扉25側の作動部材70は、第1のリンク機構50の作動リンク51とは係合しておらず、第1のリンク機構50は、かご扉25側からの作用力を受けていない。このため、押し下げ部材40は、自重により下降しており、図4で示すように、その凹部41内に挿入されているブラケット37側の係合ピン371は、係合体42との係合により押し下げられ、ブラケット37及びその上部に板バネ38を介して設けられた塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置にある。
乗りかご4が乗り場に着床して、かご扉25が開動作し、かご扉25の戸閉端(全閉位置)寄りの予め設定した開位置に達すると、図5で示すように、扉パネル25a側に設けた作動部材70が、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aと当接係合する。この当接係合位置は、前述の実施形態における戸開端(全開位置)近くに予め設定した開位置より、戸開開始から早い段階の開位置である。
この当接係合により、前述の実施形態と同様に、作動リンク51は、かご扉25の戸開方向(図示左方)への移動力を受けて、そのく字状部511の中間部に設けられた支軸を中心に図示反時計回りに回動する。この図示反時計回りの回動により、作動リンク51及び平行リンク52は押し下げ部材40を上昇させる。この押し下げ部材40の上昇により、塞ぎ部材35は、かご側敷居31の下方の退避位置から、斜め上方の図3で示す塞ぎ位置へ移動する。
この塞ぎ位置への動作により作動リンク51は反時計回りの回動を停止し、かご扉25側の作動部材70は係合反力を受け停止する。このときかご扉25は戸開端への移動途中であり、図示左方への移動を継続する。このため移動ブラケット71に支持された作動部材70は、ばね72のバネ力に抗して、かご扉25と相対的にスライドし、かご扉25の図示左方への移動を許容する。
すなわち、かご扉25の戸開開始から早い時点で第1のリンク機構50が作動し、塞ぎ部材35を塞ぎ位置に移動させるので、かご扉25の開途中で、乗客が出入りして小物類を落としても、小物類が隙間部分からピットまで落下するようなことはなく容易に回収可能となる。
一方、かご扉25が閉動作する場合、戸閉開始後しばらくは、ばね72が蓄勢されていることから、かご扉25のみ移動し、移動ブラケット71上の作動部材は停止したままである。かご扉25が所定の戸閉位置に移動すると、かご扉25側の支持ピン251が、長孔711の図示右端側に移動し、長孔711を介して移動ブラケット71及び作動部材70を図示右方へ移動させる。このため作動部材70は、第1のリンク機構50を構成する作動リンク51の係合部512Aから離れる。このように、作動部材70から第1のリンク機構50に加わっていた力が解除され、押し下げ部材40が自重で降下するため、ブラケット37及びその上に板バネ38を介して取り付けられた塞ぎ部材35を図3で示す塞ぎ位置から右斜め下方に移動させ、かご側敷居31の下方の退避位置に戻す。
すなわち、かご扉25の開閉動作と塞ぎ部材35の塞ぎ動作との間にヒステリシス特性を持たせたので、塞ぎ部材35を、かご扉25の最適な開位置にて塞ぎ動作させることができる。
なお、上述の実施形態では、塞ぎ部材35の上面は、図3で示すように、塞ぎ位置において乗りかご側及び乗り場側の敷居31,32の上面より下方に位置させていたが、本願発明はこれに限定されず、塞ぎ部材35の上面を、塞ぎ位置においてかご側及び乗り場側の敷居31,32の上面とほぼ同一高さに位置させてもよい。すなわち、塞ぎ部材35の幅を、敷居31,32間の隙間に入るように寸法設定し、この塞ぎ部材35の上昇ストロークを、塞ぎ部材35の上面が敷居31,32の上面とほぼ同一高さとなるように設定すればよい。この場合、塞ぎ部材35を支える板バネ38は、上下方向に剛性の強いものを採用する。
このように構成すると、敷居31,32間に隙間の無いフラットな出入り口を形成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…エレベータ装置
2…乗り場扉
3…昇降路
4…乗りかご
25…かご扉
31…かご側の敷居
32…乗り場側の敷居
35…塞ぎ板
37…ブラケット
38…弾性体
40…押し下げ部材
50…第1のリンク機構
51…作動リンク
512…係合部
60…第2のリンク機構
65…ねじりバネ
70…作動部材
71…移動ブラケット
72…ばね