JP2017087464A - 液体吐出装置用基板の製造方法 - Google Patents

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政夫 吉川
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Abstract

【課題】液体吐出装置用基板の信頼性の低下を抑制することができる液体吐出装置用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板20の表面および裏面にポリシリコンを形成する工程と、基板の表面に形成されたポリシリコンをパターニングしてトランジスタ31のゲート電極33を形成する工程と、トランジスタに接続された液体吐出部40を基板の表面の側に形成する工程と、基板の裏面に形成されたポリシリコンを覆う保護膜を形成する工程と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体吐出装置用基板の製造方法に関する。
液体吐出装置のなかには、液体(インク)に熱エネルギーを与えて該液体を紙等の媒体に吐出するサーマル方式のインクジェット記録装置(例えばプリンタやファクシミリ等)がある。液体吐出装置は、例えば、液体を吐出するためのノズルが設けられたヘッドを備えており、該ヘッドには、発熱素子を含む液体吐出部を備える基板(液体吐出装置用基板)が取り付けられている。
特開2003−332952号公報
特許文献1はインクジェットヘッドの製造方法を開示している。特許文献1によると、半導体基板の表面側にポリシリコンゲートを形成するのに伴って該半導体基板の裏面側にポリシリコンが形成され(図1(1−4))、その後、該表面側にインク流路を形成する前に該裏面側のポリシリコンは除去される(図2(1−10))。該裏面側のポリシリコンは、形成されてから除去されるまでの間、ヘッドの製造に必要な各工程においてそれに起因するダメージを受ける可能性がある。
本発明は、発明者による上記課題の認識を契機として為されたものであり、裏面側のポリシリコンを保護することを目的とする。
本発明の一つの側面は液体吐出装置用基板の製造方法にかかり、前記液体吐出装置用基板の製造方法は、基板の表面および裏面にポリシリコンを形成する工程と、前記基板の前記表面に形成された前記ポリシリコンをパターニングしてトランジスタのゲート電極を形成する工程と、前記トランジスタに接続された液体吐出部を前記基板の前記表面の側に形成する工程と、前記基板の前記裏面に形成された前記ポリシリコンを覆う保護膜を形成する工程と、を有することを特徴とすることを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出装置用基板の信頼性の低下が抑制される。このことは、以下において詳細な説明および添付図面を参照しながら本発明の例示的態様と共に詳細に説明される。
液体吐出装置の構成の例を説明するための図である。 液体吐出装置用基板の構造の例を説明するための図である。 液体吐出装置用基板の製造方法の例を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図は、構造ないし構成を説明する目的で記載されたものに過ぎず、図示された各部材の寸法は必ずしも現実のものを反映するものではない。また、各図において、同一の部材または同一の構成要素には同一の参照番号を付しており、以下、重複する内容については説明を省略する。
図1を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置の典型的な例として、サーマル方式のインクジェット記録装置PAの構成を述べる。図1の(A)は、記録装置PAの外観構成の一例を示す斜視図である。記録装置PAは、インクを吐出して記録を行う記録ヘッド3をキャリッジ2に搭載し、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させて記録を行う。記録装置PAは、プリント用紙などの記録媒体Pを、給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送する。記録装置PAは、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することにより記録を行う。
キャリッジ2には、記録ヘッド3の他、例えば、インクカートリッジ6が搭載される。インクカートリッジ6は、記録ヘッド3に供給するインクを貯留する。インクカートリッジ6は、キャリッジ2に対して着脱自在になっている。また、記録装置PAは、カラー記録が可能である。そのため、キャリッジ2には、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクをそれぞれ収容する4つのインクカートリッジが搭載されている。これら4つのインクカートリッジは、それぞれ独立して着脱可能である。
記録ヘッド3は、インクを吐出するためのノズルを有し、また、ノズルに対応して設けられた発熱素子(電気熱変換素子、ヒーター等とも称されうる。)を備える基板を具備する。記録信号にしたがうパルス電圧が印加された発熱素子は熱エネルギーを発生し、それによってインク内では気泡が生じ、そして、該発熱素子に対応するノズルからインクが吐出される。
図1の(B)は、記録装置PAのシステム構成の例を示している。記録装置PAは、インターフェース1700、MPU1701、ROM1702、RAM1703及びゲートアレイ1704を有する。インターフェース1700には記録信号が入力される。ROM1702は、MPU1701が実行する制御プログラムを格納する。RAM1703は、前述の記録信号や記録ヘッド1708に供給された記録データ等、各種データを保存する。ゲートアレイ1704は、記録ヘッド1708に対する記録データの供給制御を行い、また、インターフェース1700、MPU1701、RAM1703の間のデータ転送の制御を行う。
記録装置PAは、記録ヘッドドライバ1705、並びにモータドライバ1706及び1707、搬送モータ1709、キャリアモータ1710をさらに有する。記録ヘッドドライバ1705は記録ヘッド1708を駆動する。モータドライバ1706及び1707は搬送モータ1709及びキャリアモータ1710をそれぞれ駆動する。搬送モータ1709は記録媒体を搬送する。キャリアモータ1710は記録ヘッド1708を搬送する。
インターフェース1700に記録信号が入力されると、この記録信号は、ゲートアレイ1704とMPU1701の間で所定の形式の記録データに変換されうる。この記録データにしたがって各機構が所望の動作を行い、このようにして上述の記録が為される。
図2は、液体吐出装置用基板20(記録装置においては「記録ヘッド基板」、「記録素子基板」等と称されてもよい。以下、本明細書において単に「基板」という。)の構造の一部の断面図を説明するための模式図である。基板20は、例えば、半導体基板30と、半導体基板30の上に配された液体吐出部40と、液体吐出部40に液体を導く流路51を形成する流路材50と、ノズル61を有する板材60とを備える。
半導体基板30は、シリコン等の半導体で構成され得、その表面(図中において上面)又はその上には、トランジスタ31等の各素子を構成する各部材が形成される。例えば、半導体基板30の表面には、アクティブ領域(素子領域)を区画するフィールド酸化膜70が形成される。また、該アクティブ領域における半導体基板30の表面には、トランジスタ31のドレインまたはソースとなる不純物領域32が形成され、半導体基板30の表面の上には不図示の絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)を介してゲート電極33が配される。また、半導体基板30の上には、例えば、酸化シリコン等の絶縁材料で構成された第1の層間絶縁層71および第2の層間絶縁層72が配される。例えば、層間絶縁層71には、例えばBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)が用いられ、層間絶縁層72には、例えばPSG(Phosphorus Silicon Glass)が用いられうる。
液体吐出部40は、層間絶縁層72の上に配されている。液体吐出部40は、配線パターン80を介してトランジスタ31に接続されており、トランジスタ31が導通状態になることによって液体を吐出するように構成されている。配線パターン80は、例えば、第1配線層に対応する導電部材81と、半導体基板30に形成された領域32と導電部材81とを接続するプラグ82とを含む。導電部材81には、例えばAl、Cu等が用いられうる。プラグ82には、例えばAl−Si(シリコン含有アルミニウム)等が用いられうる。
また、液体吐出部40は、例えば、発熱素子Hの抵抗成分を形成する金属膜41と、第2配線層に対応し且つ発熱素子Hの電極を形成する電極部42と、発熱素子Hを覆う複数層の膜F1〜F3とを含みうる。図中において、金属膜41のうち2つの電極部42の間の一部(上面が露出した一部)が発熱素子Hの主たる抵抗成分を形成する。金属膜41には、例えばTa、TaN、TaSiN等が用いられうる。電極部42には、例えばAl、Cu等が用いられうる。
膜F1は、例えば窒化シリコン等で構成され、半導体基板30側への液体の侵入を防止して発熱素子H、配線パターン80等を液体から保護する保護膜として作用する。膜F1は、図2に例示されるように発熱素子Hおよび層間絶縁層72を覆うように形成されてもよいが、発熱素子Hおよび付随的に層間絶縁層72のうち発熱素子Hの周辺の一部を覆うように形成されてもよい。膜F2は、例えばタンタル等で構成され、液体におけるキャビテーションから発熱素子Hを保護する耐キャビテーション膜として作用する。また、膜F3は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で構成され、その上の流路材50を固定するための密着性向上膜として作用する。
流路材50は、例えばエポキシ樹脂等の有機樹脂で構成され、液体の流路51を形成する。半導体基板30の裏面(下面)側には、流路51に接続(流体連結)された開口である液体供給口90が形成されている。流路51は、液体供給口90を介して供給された液体を液体吐出部40に(具体的には発熱素子Hの上方の領域に)導く。
板材60は、ノズル61を有しており、流路51の上かつ液体吐出部40(具体的には発熱素子H)の上にノズル61が位置するように、流路材50の上に配される。板材60は、ノズルプレート、オリフィスプレート等と称されてもよい。
図3(a)〜(e)は、基板20の製造方法の例における各工程での構造を示している。基板20は、公知の半導体製造プロセスを用いて製造することが可能である。なお、以下では説明の容易化のため省略するが、各工程の間には、適宜、熱処理工程や洗浄工程等の各工程が挿入されてもよい。例えば、熱処理は、格子欠陥を回復するための熱処理、プラズマ処理によって帯電した半導体基板30を除電するための熱処理等を含みうる。
図3(a)の工程では、半導体基板30の表面に、アクティブ領域を区画するフィールド酸化膜70(膜厚900nm程度)を形成し、その後、該区画されたアクティブ領域にトランジスタ31を形成する。さらにその後、フィールド酸化膜70、トランジスタ31等を覆うように、半導体基板30の上に層間絶縁層71(厚さ500nm程度)を形成する。
トランジスタ31は、ドレインまたはソースとなる不純物領域32と、ゲート電極33とを含む。不純物領域32は、半導体基板30又は半導体基板30に形成された不図示のウエルに対して、所望の導電型の不純物を注入することにより形成されうる。ゲート電極33は、ポリシリコンで構成され、半導体基板30の表面に絶縁膜(ゲート絶縁膜)を介してポリシリコン膜をCVD(化学気相成長)法等によって形成した後、該ポリシリコン膜をパターニングすることによって得られうる。
この工程では、図中に示されるように、半導体基板30の表面側のフィールド酸化膜70の形成に伴って半導体基板30の裏面側に酸化膜70Bが形成され、また、該表面側のポリシリコン膜の形成に伴って該裏面側にポリシリコン膜33Bが形成される。即ち、本例では、酸化膜70Bおよびポリシリコン膜33Bは、半導体基板30の表面に各素子を形成するのに伴って副次的に半導体基板30の裏面側に形成される。以下、本明細書において、半導体基板30の裏面側に形成されたポリシリコン膜33Bを「裏面側ポリシリコン膜」という場合がある。
ここで、図中に拡大図で示されるように、裏面側ポリシリコン膜33Bの下面(図中において下側の面)には被膜34Bが形成されうる。被膜34Bは、例えば、半導体基板30の表面側のゲート電極33に不図示のサイドスペーサ(サイドウォールスペーサ、サイドウォール等とも称される。)を形成するのに伴って形成される酸化膜でありうる。該サイドスペーサは、ゲート電極33の側面に形成されるスペーサであり、例えばトランジスタ31をLDD(Lightly−Doped Drain)構造にするのに用いられうる。また、他の例では、被膜34Bは、例えば、半導体基板30の表面側に不図示のNSG(Non−doped Silicon Glass)膜を形成するのに伴って形成される酸化膜(膜厚100nm程度)でありうる。該NSG膜は、半導体基板30と、その上に形成されうる部材との間に形成され、それらの間での不純物の移動ないし拡散を防ぐ作用を有する。
なお、上述のサイドスペーサの形成とNSG膜の形成との双方が為されてもよく、被膜34Bは、それらに伴って形成され得、又は、ここでは説明を省略するが他の処理に伴っても形成されてもよい。また、ここでは、上述の膜70B、33B及び34Bが半導体基板30の表面側の処理に伴って半導体基板30の裏面側に副次的に形成される態様を例示したが、これらは、本例に限られるものではなく、所定の目的に応じて追加的に形成されてもよい。
図3(b)の工程では、図3(a)で得られた構造の上に配線パターン80および層間絶縁層72を形成する。具体的には、まず、層間絶縁層71の所望の位置に開口を形成し、その後、該開口を埋めるようにAl−Si、Al、Cu等の導電材料をスパッタリング等の堆積法により形成する。そして、該導電材料をパターニングすることにより、配線パターン80が得られうる。その後、配線パターン80を覆うように層間絶縁層72(厚さ1μm程度)が形成され、また、付随的に、層間絶縁層72の上面に対してCMP(化学機械研磨)等の平坦化処理が為されうる。
図3(c)の工程では、図3(b)で得られた構造の上に、発熱素子Hを形成する金属膜41及び電極部42を形成する。具体的には、まず、層間絶縁層71の所望の位置に開口を形成し、その後、該開口の底面および側面に沿ってTa、TaN、TaSiN等の薄膜を形成し、更に、該薄膜で覆われた開口を埋めるようにAl、Cu等の金属材料を形成する。そして、これら薄膜および金属材料をパターニングすることにより、金属膜41及び電極部42が得られうる。
図3(d)の工程では、図3(c)で得られた構造の上に膜F1〜F3を順に形成する。まず、発熱素子Hを形成する金属膜41及び電極部42並びに層間絶縁層72の上に、窒化シリコン等で構成された保護膜F1(膜厚300〜400nm程度)を形成する。この工程は、例えばプラズマCVD等によって為されればよい。その後、膜F1の上に発熱素子H(少なくとも2つの電極部42の間の部分)を覆うように、タンタル等で構成された耐キャビテーション膜F2を形成する。
さらに、膜F2の上に、後に形成される流路材50を固定する(流路材50の剥離を防止する)ための密着性向上膜F3を形成する。ここでは、膜F3には酸化シリコンを用いるが、本明細書で援用される特開2007−261170号公報に記載されているように、窒化シリコンや炭化シリコン等のシリコン化合物が用いられてもよい。なお、ここでは膜F2の一部の上に膜F3が配された構成を例示したが、膜F3は、他の領域では(他の断面では)広域にわたって形成され得、流路材50を適切に固定しうる。
ここで、この工程では、裏面側ポリシリコン膜33Bの下面を覆う前述の被膜34Bが除去され、裏面側ポリシリコン膜33Bが露出される可能性がある。例えば、膜F3の形成(具体的には、酸化シリコンで構成された膜を堆積し、該堆積された膜をパターニングして膜F3にする工程)は、レジストパターンを用いたウェットエッチングにより為されうる。この場合、フッ酸を含む薬液がエッチャントとして用いられ得、それにより、被膜34Bは除去され、裏面側ポリシリコン膜33Bが露出されうる。しかし、膜F3をパターニングした後、裏面側ポリシリコン膜33Bが露出された状態で上記レジストパターンを剥離する工程を行うと、該裏面側ポリシリコン膜33Bがダメージを受ける可能性がある。例えば、上記レジストパターンの剥離にはアルカリ性の薬液(以下、「剥離液」という。)が用いられ得、この剥離液は、上記露出された裏面側ポリシリコン膜33Bと接触することにより該裏面側ポリシリコン膜33Bを腐食させうる。
そこで、本例では、ウェットエッチングにより膜F3をパターニングする工程の後に行われるレジストパターンを剥離する工程において、上記露出された裏面側ポリシリコン膜33Bの露出面に保護膜FPを形成する。保護膜FPは、例えば酸化膜である。本実施例では、酸素を含む雰囲気においてレジストパターンに対してプラズマアッシングを行う。この時、露出している裏面側ポリシリコン膜33Bが酸化されるため、当該露出面に保護膜FPを形成することができる。なお、プラズマアッシングの他にも、酸素雰囲気の下での熱処理等、公知の成膜処理によって裏面側ポリシリコン膜33Bの露出面を覆うように保護膜FPを形成することができる。本例では、保護膜FPとして酸化膜を形成する態様を例示するが、保護膜FPの材料はその後の工程を考慮して選択されてもよい。
さらにその後、裏面側ポリシリコン膜33Bにアライメントマーク(不図示)を形成する。該アライメントマークは、半導体基板30の表面側に既に形成されているアライメントマークを参照することによって、例えばレーザーマーカー等により形成されればよい。これにより、裏面側に所望の処理を行う際には、裏面側ポリシリコン膜33Bに形成されたアライメントマークを参照することが可能になる。前述のとおり、裏面側ポリシリコン膜33Bが受け得たダメージを保護膜FPによって防いだことにより、本例によると、裏面側ポリシリコン膜33Bにアライメントマークを形成するのに有利になる。このアライメントマークは、後述の工程において液体供給口90を形成する位置を決定するのに用いられる。
図3(e)の工程では、図3(d)で得られた構造の上に流路材50を形成し、さらに、流路材50の上に板材60を配置する。流路材50は、例えば、まず、流路51が形成されるべき領域に可溶性の固体(不図示)を配置し、その後、該可溶性の固体を覆うエポキシ樹脂を形成することにより得られうる。この工程は、スピンコート法等の公知の手段でコーティングすることによって為され得、また、これと共にパターニング処理が為されうる。また、付随的にシランカップリング処理が為されてもよい。なお、該可溶性の固体は、後述の工程において除去される。
このようにして形成された流路材50の上には、その後、板材60が、流路51の上かつ液体吐出部40の上にノズル61が位置するように配される。
さらにその後、前述の裏面側ポリシリコン膜33Bのアライメントマークを参照しながら、半導体基板30の裏面側の所望の位置に液体供給口90を形成する。液体供給口90は、例えば、裏面側ポリシリコン膜33Bおよび酸化膜70B、又は、酸化膜70Bをハードマスクとして用いたエッチングによって形成されうる。該エッチングは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等を用いた異方性ウェットエッチングを含みうる。他の例では、該エッチングは、異方性プラズマエッチング、サンドブラストを含みうる。
裏面側ポリシリコン膜33Bおよび酸化膜70B、又は、酸化膜70Bを上記エッチングにおいてハードマスクとして使用するのに際して、これらは、例えば前述の保護膜FPが除去された後、裏面側ポリシリコン膜33Bのアライメントマークを参照することによって所望の位置に開口を有するように加工されればよい。そして、該開口が形成された裏面側ポリシリコン膜33Bおよび酸化膜70B、又は、該開口が形成された酸化膜70Bを、該エッチング工程において、液体供給口90を形成するためのハードマスクとして用いる。前述のとおり、裏面側ポリシリコン膜33Bが受け得たダメージを保護膜FPによって防いだことにより、本例によると、上記エッチングでの加工不良の発生を防ぐのに有利になる。なお、上記開口が形成された酸化膜70Bのみをハードマスクとして用いる場合には、裏面側ポリシリコン膜33Bおよび酸化膜70Bに開口を形成した後、該開口が形成された裏面側ポリシリコン膜33Bを除去すればよい。
その後、上述の可溶性の固体(流路51が形成されるべき領域に配置された可溶性の固体)を除去する。該可溶性の固体は、例えば、Deep−UV光による露光処理の後、現像処理によって除去され、さらにその後、付随的に乾燥処理が為されてもよい。以上により、図2に例示された基板20の構造が得られる。
以上、本製造方法によると、裏面側ポリシリコン膜33Bが形成されてから除去されるまでの間の各工程において該裏面側ポリシリコン膜33Bが受けうるダメージを防ぐことができる。上述の例(図3(d)の工程)では、ウェットエッチングによる膜F3のパターニングの際に被膜34Bが除去されることによって露出された裏面側ポリシリコン膜33Bに、保護膜FPを形成する。この保護膜FPにより、その後、剥離液を用いてレジストパターンを剥離する際に、該剥離液に接触することによる裏面側ポリシリコン膜33Bの腐食を防ぐことができる。よって、本製造方法によると、基板20の信頼性の低下を抑制することができる。特に、上述の例によると、裏面側ポリシリコン膜33Bを、液体供給口90を形成する際にアライメントマークとして用いることができると共に、その際にハードマスクとしても用いることもできる。そのため、上述の例によると、基板20の製造面においても有利である。
上述の例では、裏面側ポリシリコン膜33Bがエッチング工程でエッチャントにより露出され若しくはダメージを受け、又は、該エッチング工程で用いられたレジストパターンを剥離する際に剥離液によって腐食する場合に着目した。しかし、裏面側ポリシリコン膜33Bがダメージを受けうる場合はこれに限られず、裏面側ポリシリコン膜33Bが形成されてから除去されるまでの間の如何なる工程によってもその可能性がある。特に、半導体基板30の裏面側に形成された裏面側ポリシリコン膜33Bを、その後、それが除去される前までの工程で所定の目的で使用する場合には、それまでの各処理に伴う外的環境から該裏面側ポリシリコン膜33Bを保護する必要がある。上述の例では、裏面側ポリシリコン膜33Bをアライメントマークやハードマスクとして使用する場合を例示したが、裏面側ポリシリコン膜33Bの用途はこれに限られるものではない。
その他、本発明は、以上に例示された態様に限られるものではないことは言うまでもなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その一部が変更されてもよい。例えば、上述の製造方法において、一部の工程の順番は必要に応じて変更されてもよいし、又は、他の工程が追加され若しくは該一部の工程は該他の工程に置換されもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。
20:液体吐出装置用基板、33:ゲート電極、33B:裏面側ポリシリコン膜、40:液体吐出部、FP:保護膜。

Claims (13)

  1. 液体吐出装置用基板の製造方法であって、
    基板の表面および裏面にポリシリコンを形成する工程と、
    前記基板の前記表面に形成された前記ポリシリコンをパターニングしてトランジスタのゲート電極を形成する工程と、
    前記トランジスタに接続された液体吐出部を前記基板の前記表面の側に形成する工程と、
    前記基板の前記裏面に形成された前記ポリシリコンを覆う保護膜を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする液体吐出装置用基板の製造方法。
  2. 前記液体吐出部を形成する工程の後、前記液体吐出部の上に、前記液体吐出部に液体を導くための流路を形成する流路材を、密着性向上膜を介して形成する工程と、をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  3. 前記密着性向上膜には酸化シリコンを含む材料を用いる
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  4. 前記液体吐出部を形成する工程の後かつ前記流路材を形成する工程の前に、前記密着性向上膜を形成する工程をさらに有し、
    前記密着性向上膜は第1材料で構成され、
    前記密着性向上膜を形成する工程は、
    前記第1材料の膜を形成する工程と、
    ウェットエッチングにより前記膜をパターニングする工程と、を含む
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  5. 前記液体吐出部を形成する工程の後かつ前記流路材を形成する工程の前に、前記密着性向上膜を形成する工程をさらに有しており、
    前記密着性向上膜は第1材料で構成され、
    前記密着性向上膜を形成する工程は、
    前記第1材料の膜を形成する工程と、
    前記膜の上にレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンを用いたウェットエッチングにより前記膜をパターニングする工程と、
    前記膜をパターニングする工程の後に前記レジストパターンを除去する工程と、
    を含み、
    前記レジストパターンを除去する工程が、前記保護膜を形成する工程を含む
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  6. 前記レジストパターンを除去する工程は、酸素を含む雰囲気において前記レジストパターンをアッシングする工程を含み、
    前記アッシングする工程において前記保護膜を形成する
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  7. 前記レジストパターンを除去する工程は、前記アッシングする工程の後に、アルカリ性の薬液を用いて前記レジストパターンを前記密着性向上膜から剥離する工程を含む
    ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  8. 前記基板の前記裏面の側から、前記基板を貫通する液体供給口を形成する工程をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  9. 前記基板の前記裏面に形成された前記ポリシリコンにアライメントマークを形成する工程をさらに有し、
    前記液体供給口を形成する工程では、前記アライメントマークを用いて前記液体供給口を形成する位置を決定する
    ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  10. 前記密着性向上膜を形成する工程の後に、前記基板の前記裏面側の前記ポリシリコンにアライメントマークを形成する工程と、
    前記アライメントマークを用いて、前記基板の前記裏面の側から、前記基板を貫通する液体供給口を形成する工程と、をさらに有する
    ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  11. 前記アライメントマークを形成する工程の後かつ前記液体供給口を形成する工程の前に、前記基板の前記裏面に形成された前記ポリシリコンおよび前記保護膜を除去する工程をさらに有する
    ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  12. 前記ポリシリコンを形成する工程の前において、前記基板の前記表面および前記裏面は絶縁膜で覆われており、
    前記液体供給口を形成する工程では、
    前記アライメントマークを用いて、前記基板の前記裏面側の前記ポリシリコンの一部と、該裏面側の前記絶縁膜の一部とを除去し、前記一部が除去されたポリシリコンと前記一部が除去された絶縁膜とをマスクとして用いたエッチングにより前記液体供給口を形成し、又は、
    前記アライメントマークを用いて、前記基板の前記裏面側の前記ポリシリコンの一部と、該裏面側の前記絶縁膜の一部とを除去した後、前記一部が除去されたポリシリコンを除去し、前記一部が除去された絶縁膜をマスクとして用いたエッチングにより前記液体供給口を形成する
    ことを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置用基板の製造方法。
  13. 液体吐出装置用基板の製造方法であって、
    基板の表面および裏面にポリシリコンを形成する工程と、
    前記基板の前記表面に形成された前記ポリシリコンをパターニングしてトランジスタのゲート電極を形成する工程と、
    前記基板の前記表面の側に、前記トランジスタに接続された液体吐出部を形成する工程と、
    前記液体吐出部を形成する工程の後に、シリコン酸化膜を形成する工程と、
    レジストパターンを用いたウェットエッチングにより前記シリコン酸化膜をパターニングする工程と、
    前記シリコン酸化膜をパターニングする工程の後に、酸素を含む雰囲気において前記レジストパターンをアッシングする工程と、
    前記アッシングする工程の後に、アルカリ性の薬液を用いて前記レジストパターンを剥離する工程と、を含む
    ことを特徴とする液体吐出装置用基板の製造方法。
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