JP2017082844A - 締結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワンサイドボルト等の締結装置で、作業簡素化し、負担を軽減する。【解決手段】締結装置1は、挟持部10、第一回動部15、第二回動部20、第一、第二回動部15、20と挟持部19間の伝力部25、第一、第二回動部15、20、締結時に被締結部材Hと当接する座面を有する奥向き座部21と、伝力部25と挟持部10間の奥側係合部60、第一、第二回動部15、20の回転を、挟持部10と伝力部25間の移動に変える螺合部30を有し、奥向き座部21は、被締結部材H、周囲外部部材間等に、回転軸Sの力作用時、係合状態が保持される回動係合機構Zが構成され、回動係合機構Zにて、奥向き座部21を被締結部材H等に係合させつつ、第一、第二回動部15、20を回転、挟持部10と伝力部25を接近させ、奥側係合部60が外側突出し手前向き座部64を形成し、手前向き座部64と奥向き座部21にて、被締結部材Hと係合することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、被締結体を締結する締結装置に関する。
従来、様々な場面で、被締結体を締結するためにねじ締結体が用いられている。このねじ締結体は、柱状の外周に螺旋状の溝が形成される雄ねじ体(雄型締結体)と、筒部材の内周に螺旋状の溝が形成される雌ねじ体(雌型締結体)を螺合させる構造となっている。
ところで、被締結体の中には、表裏の双方向から作業できないものがある。例えば、壁面に形成される穴に対してねじ締結体を締結する際、壁面の表側から作業できるが、裏面から作業できない場合がある。また、長尺となるコラム鋼材やパイプ鋼材の周面の内外に亘る穴に対してねじ締結体を締結する際も、表面から作業できるが、内側からは作業できない場合がある。このような場合に、被締結体の一方側のみの締結動作で、他方側を含めた締結動作を実現できる所謂ワンサイドボルトが用いられる。
従来のワンサイドボルトは、ナットとコアピンを相対回転させることで、被締結体の奥側に挿入される変形容易なバルブスリーブを、コアピンとグリップスリーブによって軸方向に押しつぶすことで座屈させて半径方向に拡径させ、それを奥側のワッシャとして機能させる(非特許文献1参照)。
株式会社ロブテックスファスニングシステム、企業WEBページ「Home/製品カタログ一→ワンサイドボルト→ハック高力ワンサイドボルト」、[online]、[2015年4 月29日検索]、インターネット<URL http://www.lobfs.com/pages/p47.html>
従来のワンワイドボルトは、被締結体の手前側(操作側)において、ナットとコアピンを相対回転させる際、例えば、ナットをトルクレンチ等によって保持しつつ、コアピンを六角レンチ等で回転させる必要があり、作業負担が大きいという問題があった。或いは、ナットを保持しつつ、コアピンをナットに対して相対回転させる専用工具が必要であった。
また、振動等が激しい環境では、ナットとコアピンが徐々に緩んでしまい、ワンサイドボルトの締結力が弱くなるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、締結作業を容易にして、作業者の負担を軽減することが可能な締結装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、軸方向の奥側に配置される挟持部と、軸方向の手前側に配置されて互いに相対回動可能な第一回動部及び第二回動部と、上記第一回動部及び第二回動部と上記挟持部の間に配置されて軸方向の力を伝達する伝力部と、上記第一回動部及び第二回動部の少なくとも一方に形成されて奥側に対向し、締結時に被締結部材と当接する座面を有する奥向き座部と、上記伝力部と上記挟持部の間で軸方向に挟持される奥側係合部と、上記第一回動部及び上記第二回動部の相対回転を、上記挟持部と上記伝力部の軸方向の相対移動に変換する螺合部と、を有し、上記奥向き座部には、上記被締結部材及び/又は該奥向き座部の周辺に在る外部部材との間において、上記第一回動部及び上記第二回動部の相対回転軸に沿った回転力が作用しても上記奥向き座部が周方向に係合する状態が保持される回動係合機構が構成され、上記回動係合機構により、上記奥向き座部を上記被締結部材及び/又は上記外部部材に対して周方向に係合させつつ、上記第一回動部及び上記第二回動部を相対回転させて、上記挟持部と上記伝力部を軸方向に接近させることにより、上記奥側係合部が、上記挟持部及び上記伝力部よりも半径方向外側に突出して手前側に対向する手前向き座部を形成し、上記手前向き座部と上記奥向き座部を利用して、被締結部材と係合することを特徴とする締結装置である。
上記締結装置に関連して、前記回動係合機構は、前記被締結部材及び/又は前記外部部材に形成される収容凹部と前記奥向き座部が嵌り合うことで、互いに周方向に係合する状態が保持されることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記回動係合機構は、前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って変動する前記収容凹部の内壁に対して、前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って変動する前記奥向き座部の周壁が周方向に係合する、ことを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記収容凹部の内壁及び前記奥向き座部の周壁が、前記相対回転軸に対して偏心した円形状であることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記回動係合機構は、前記奥向き座部に形成され、前記被締結部材及び/又は前記外部部材において軸方向に段設された部材側段部と係合する回動部側段部を有することを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥向き座部は、周囲において前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って異なる当接部を有しており、前記当接部が前記被締結部材及び/又は前記外部部材に当接して周方向に係合することで、前記回動係合機構が構成されることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥向き座部の前記当接部は、周方向の一部の範囲に形成されることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥向き座部における、相対回転軸に直角となる断面の外周又は内周形状が、周方向に沿って軸心からの距離が変位する領域を含むことを特徴とする。
本発明によれば、作業者の負担を軽減させることが可能になる。
本発明の第一実施形態に係る締結装置において、(A)被締結部材を締結した状態を示す正面断面図、(B)被締結部材の一部を示す正面断面図である。 同締結装置において、(A)締結前の状態(縮径状態)における正面断面図、(B)締結状態(拡径状態)における正面断面図、(C)第一回動部及び軸部を示す正面図、(D)第二回動部の平面図、(E)第二回動部、伝力部、奥側係合部、挟持部を示す正面部分断面図、(F)第二回動部、伝力部、奥側係合部、挟持部を示す側面部分断面図である。 (A)は同締結装置の第二回動部の正面図、(B)は正面図のB−B矢視断面図、(C)は被締結部材の正面断面図である。 同締結装置の変形例に係る第一回動部及び軸部の正面図、(B)は第二回動部の平面図、(C)は第二回動部の正面図である。 同変形例に係る逆回転防止構造の鋸刃の作用を示す概念図であり、(B)〜(D)は鋸刃の変形例を示す概念図である。 (A)〜(C)は同逆回転防止構造の鋸刃の変形例を示す概念図である。 本発明の第二実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は正面図のC−C矢視断面図、(D)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第三実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は正面図のC−C矢視断面図、(D)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第四実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は被締結部材の斜視図である。 (A)(B)は第四実施形態の締結装置をフランジ継手の締結に応用した例を示す平面図である。 (A)〜(C)は四実施形態の締結装置をの変形例を示す平面図である。 第四実施形態の変形例に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第五実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は正面図のC−C矢視断面図、(D)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第六実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第七実施形態に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は被締結部材の斜視図である。 第七実施形態の変形例に係る締結装置における、(A)は第二回動部の平面図、(B)は第二回動部の正面図、(C)は被締結部材の斜視図である。 本発明の第一構成例に係る締結装置において、(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図、(C)は正面部分断面図のC−C矢視断面図、(D)は正面部分断面図のD−D矢視断面図である。 同締結装置の締結後の拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)及び(C)は縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)及び(D)は拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例において、(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における全体の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における全体の正面部分断面図、(E)は正面部分断面図のE−E矢視断面図、(F)は正面部分断面図のF−F矢視断面図である。 同締結装置の締結後の拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)は縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)は縮径状態における奥側係合部の(C)のB−B矢視平面断面図、(C)は縮径状態における奥側係合部近傍の(A)のC−C矢視正面部分断面図、(D)は縮径状態における奥側係合部近傍の(A)のD−D矢視正面部分断面図、(E)は拡径状態における奥側係合部の平面図、(F)は拡径状態における奥側係合部の(G)のF−F矢視平面断面図、(G)は拡径状態における奥側係合部近傍の(E)のG−G矢視正面部分断面図、(H)は拡径状態における奥側係合部近傍の(E)のH−H矢視正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 (A)は本発明の第二構成例の同締結装置に係る、右半分が縮径状態で左半分が拡径状態となる全体正面部分断面図、及び底面図、(B)は、同締結装置の変形例に係る、右半分が縮径状態で左半分が拡径状態となる全体正面部分断面図、及び底面図である。 (A)は同締結装置に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面部分断面図、(B)は同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面図、及び正面図のB−B矢視断面図、(C)は同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面図、及び正面図のC−C矢視断面図である。 (A)は同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面図、及び正面図のA−A矢視断面図、(B)は同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面図、及び正面図のB−B矢視断面図である。 同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の正面図、側面図及び正面図のA−A矢視断面図である。 同締結装置の変形例に係る、挟持部、奥側係合部及び伝力部の制作過程途中の正面図、制作完了後の正面図及び正面図のA−A矢視断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)伝力部の変形例のみを示す正面断面図、(C)伝力部の変形例のみを示す正面断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)〜(C)伝力部のみを示す正面断面図、(D)伝力部のみを示す平面図、正面断面図及びX−X矢視平面断面図、(E)伝力部のみを示す平面図、正面図、右側面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における正面図、(B)縮径状態における背面図、(C)縮径状態における側面図である。 同締結装置の変形例に係る縮径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)拡径状態における正面図、(B)拡径状態における背面図、(C)拡径状態における側面図である。 同締結装置の変形例に係る拡径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る奥側係合部の部品を示す(A)斜視図、(B)上面図又は底面図、(C)側面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における正面図、(B)縮径状態における背面図、(C)縮径状態における側面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る縮径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)拡径状態における正面図、(B)拡径状態における背面図、(C)拡径状態における側面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る拡径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る挟持部を示す(A)断面斜視図、(B)斜視図、(C)正面図、(D)正面断面図、(E)底面図である。 同締結装置の変形例に係る奥側係合部の部品を示す(A)斜視図、(B)側面図、(C)正面図又は背面図、(D)上面図又は底面図、(E)背面図又は正面図である。 同締結装置の変形例に係る伝力部を示す(A)上面図、(B)側面図、(C)正面図、(D)斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係るPCCPシェル構造を示す(A)斜視図、(B)正面図、(C)上面図であり、同締結装置の変形例に係る伸縮管構造を示す(D)斜視図、(E)正面図、(F)上面図であり、これらの収縮状態を示す(G)斜視図であり、(H)乃至(L)これらの構造を適用した伝力部等の斜視図である。 (A)乃至(C)、及び(E)は、同締結装置の変形例に係る第二回動部、伝力部、奥側係合部、挟持部を示す正面断面図であり、(D)は同部の斜視図であり、(F)は同締結装置の変形例に係る斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1に、第一実施形態に係る締結装置1を示す。ここで被締結部材Hとしては、円筒状の管状部材H1と、この管状部材H1の外周に固定されるブラケットH2とを有しており、これらを締結装置1によって締結する場合を例示する。管状部材H1には、締結用の孔hp1が形成される。ブラケットH2は、管状部材H1の外周面に沿うように湾曲する板状のベースプレートh10と、このベースプレートh10に立設される柱部材h20を備えている。ベースプレートh10には、締結用の孔hp2が形成される。管状部材H1の孔hp1と、ブラケットH2の孔hp2を一致させた貫通孔HPに対して、締結装置1を挿入し、これらを締結する。なお、ここでは管状部材H1とブラケットH2を締結する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
締結装置1は、軸方向に延びる軸部5と、軸部5の軸方向奥側に配置される挟持部10と、軸部5の軸方向手前側に配置される第一回動部15と、手前側に配置されて第一回動部15と相対回動する第二回動部20と、第二回動部20よりも挟持部10側に配置されて軸力を伝達する伝力部25と、伝力部25と挟持部10の間で軸方向に挟持される奥側係合部60と、を有する。
なお、本実施形態では、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60及び挟持部10が、軸方向に一体的に構成される。また、伝力部25、奥側係合部60及び挟持部10は、単一の筒状部材によって一体的に構成される。従って、第二回動部20に外部から付与される回動力を、挟持部10まで伝達させることができる。また、本第一実施形態では、これらの部品又は部材は金属で構成される場合を例示するが、金属以外の部材で構成しても良く、異素材を組み合わせて構成しても良い。
第一回動部15は、特に図示しない締緩工具と係合して、この締緩工具から回動力を受ける。締緩工具との係合手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、第一回動部15の外形を六角形や凸型と凹型を含めた多角形等の多面形にすれば良く、六角レンチ等の締緩工具と係合するためには、第一回動部15の端面に六角穴や六角レンチ等の締緩工具に対応した形状の穴を形成すればよい。ここでは六角レンチ用の係合穴が形成される。
第二回動部20は、被締結部材Hの部材側座部HXと係合して、その反力(回動力)を受ける。この係合構造については追って詳細に説明する。従って、第二回動部20は、締緩工具によって係合させる必要が無い。勿論、補助的に締結工具と係合可能にしてもよく、その手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、第二回動部20の外形を非正円形(例えば六角形や楕円形、長円形)にすれば良い。ここでは長円形となっている。
第一回動部15と第二回動部20は、互いに相対回転すると共に、軸方向に係合する。本実施形態では、第二回動部20の手前側端面22と、第一回動部15の奥向き座部16が軸方向に係合する。
第一回動部15は、ここでは軸部5の手前側端部に一体的に設けられる。従って、第一回動部15と軸部5は供回りする。軸部5は、円柱状の部材(必ずしも円柱状である必要はなく、中実であっても中空であっても、柱状を成す物であればよい。)であり、挟持部10や螺合部30(詳細は後述)、第一回動部15等に作用する軸力を伝達する。なお、本実施形態では、軸部5は、挟持部10と自身に形成される螺合部30間で軸力を伝達する。軸部5は、被締結部材Hの厚さより長く設定される。
挟持部10は、軸部5の外周側に例えば円筒状に配置される部材となる。軸部5と挟持部10の間に螺合部30が形成される。具体的に螺合部30は、挟持部10の内周に形成される雌ねじ部31(図2(E)参照)と、軸部5の少なくとも奥側の外周に形成されて雌ねじ部31と螺合する雄ねじ部32(図2(C)参照)と、を備えて構成される。従って、挟持部10は筒状の雌ねじ体となり、軸部5が雄ねじ体となる。
第二回動部20は、奥側(奥側係合部60側)に対向する奥向き座部21を有する。この奥向き座部21は、伝力部25と一体化されると共に、被締結部材Hの手前側面(部材側座部HX)と当接する。
第二回動部20は、伝力部25、奥側係合部60及び挟持部10と一体化されることで、一緒に回動する。従って、第二回動部20を回動させると、伝力部25及び奥側係合部60を介して、挟持部10が供回りする。第一及び第二回動部15、20が相対回転すると、螺合部30によって、その相対回転が、挟持部10と伝力部25の軸方向の相対移動に変換される。
伝力部25は、ここでは略円筒状のスリーブ部材であり、内部に軸部5が挿入される。伝力部25の長さは、被締結部材Hの厚みと同等又はそれ以上に設定され、かつ、軸部5よりも短く設定される。伝力部25は、第二回動部20と奥側係合部60の間に配置されて、所謂つっかえ棒のように軸力を伝達する。ここでは第二回動部20と伝力部25と奥側係合部60が一体の場合を例示しているが、両者が別体となっていても良い。
伝力部25の最大外径、挟持部10の最大外径、拡径前の奥側係合部60の最大外径は、一致又は近似するように設定される。これらの全てを、被締結部材Hの孔HPに、手前側から挿入する必要があるからである。
奥側係合部60は、ここでは変形スリーブとなっており、半径方向外側に向かって容易に座屈させ得、半径方向外側に拡径させることで、変形後の変形スリーブの側面を利用して、手前向き座部64を出現させる。結果、締結装置1は、奥側係合部60の手前向き座部64と、第二回動部20の奥向き座部21を利用して、被締結部材Hと締結することが可能になる。
次に、第二回動部20と被締結部材Hの座部HXとの係合状態について説明する。
第二回動部20の奥向き座部21と、被締結部材Hの部材側座部HXとの間には、第一回動部15及び第二回動部20の相対回転軸に沿った回転力が作用しても互いに周方向に係合する状態が保持される回動係合機構Zが構成される。
奥向き座部21と部材側座部HXは、略合同の面状領域となっており、互いに当接して、第二回動部20の軸力を被締結部材Hに伝達する。
図3に示すように、この回動係合機構Zは、奥向き座部21に形成される回動部側傾斜面21a、及び部材側座部HXに形成される部材側傾斜面HXaを有する。
図3(B)に示すように、回動部側傾斜面21aは、相対回転軸S又は貫通孔HPの軸線上の適宜位置の軸直角断面の輪郭の一部(断面線G)が、軸心を基準として非正円状態、即ち、軸心からの距離が変位するようになっている。勿論、この回動部側傾斜面21aに当接する部材側傾斜面HXaも同様になっている。
なお、本実施形態では、部材側傾斜面HXaと回動部側傾斜面21aの双方が、相対回転軸Sに対して傾斜した軸(本実施形態では管状部材H1の軸)を有する仮想円柱の部分周面を含む曲面で構成される。
より詳細に回動部側傾斜面21aは、相対回転軸Sの一方の回転方向Xに対向する第一回動部側傾斜領域21axと、他方の回転方向Yに対向する第二回動部側傾斜領域21ayとを備える。また、特に図示しないが、部材側傾斜面HXaも、回転方向Xに対向する第一部材側傾斜領域と、回転方向Yに対向する第二部材側傾斜領域を備える。なお、回転方向Xに対向する傾斜領域は、自らが回転方向Yに移動すると相手部材と周方向に係合し得る。同様に、回転方向Yに対向する傾斜領域は、自らが回転方向Xに移動すると相手部材と係合し得る。
例えば、第一回動部10及び軸部5が右ねじの場合に、締結する為に回転方向Xに回転させると、それに連れて、第二回動部20自身が、部材側座部HXに対して回転方向Xに回転しようとするが、その結果、第二回動部側傾斜領域21ayと、第一部材側傾斜領域が互いに周方向に係合して、その相対回転が抑制される。同様に、第一回動部10及び軸部5が右ねじの場合に回転方向Y側に緩もうとすると、それに連れて第二回動部20自身が回転方向Yに回転しようするが、第一回動部材側傾斜領域21axと第二部材側傾斜領域が周方向に係合して、その相対回転が抑制される。
なお、回動部側傾斜面21aにおける第一回動部側傾斜領域21axと第二回動部側傾斜領域21ayは連続した曲面となっているが、その境界には特異点又は特異線(本実施形態では特異線)U1、U2が存在し得る。一方の特異線U1は、半径方向に完全に平行となる。他方の特異線U2は、半径方向に延びているものの、相対回転軸S方向に変位(湾曲)している。
なお、ここでは、第一回動部15が双方向X、Yに回転する際に、第二回動部20の連れ回りが抑制される構造を例示しているが、本発明はこれに限定されない。少なくとも第一回動部15が締結方向(ここでは右回り方向)に回転しようとする際に、第二回動部20と被締結部材Hとの相対回転を防止すればよい。
以上の構成となる本実施形態では、締結装置1と被締結部材Hを締結する際、第二回動部20の奥向き座部21と、被締結部材Hの部材側座部HXが回動係合機構Zによって周方向に係合するので、第二回動部20をトルクレンチ等で固定することが不要となり、第一回動部15のみを回転させるだけで良い。結果、作業者の負担が大幅に軽減する。
更に、本実施形態では、互いに対向する奥向き座部21と部材側座部HXにおける、軸線上の適宜位置の軸直角断面の形状の輪郭(断面線G)が、周方向X、Yに沿って変位する領域を含んでいる。この形状によって、奥向き座部21と部材側座部HXが一旦当接すると、それ以上の周方向の相対回転が規制されると同時に、ねじ体の軸力が、互いに対向する奥向き座部21と部材側座部HXによって伝達される。即ち、奥側係合部60を半径方向外側に向かって座屈させて、被締結部材Hを挟み込む際に生じる軸力を利用して、奥向き座部21と部材側座部HXの相対回転を規制させることができるので、強く締めるほど、相対回転を確実に防止することが可能となる。
更にまた、奥向き座部21の回動部側傾斜面21aを三次元の曲面にすることで、部材側傾斜面HXaと密着させることが可能となる。結果、締結装置1における締結時において、所謂がたつきを抑制することが可能となる。とりわけ、本実施形態のように、被締結部材Hが円筒又は円柱形状の部材の場合は、この周面の形状をそのまま有効活用することが出来る。
次に第一実施形態に係る締結装置1の変形例を説明する。図4に示す締結装置1は、螺合部30における、少なくとも緩み方向の相対回転を防止する逆回転防止機構Vを有する。この逆回転防止機構Vは、第一回動部15の奥向き座部16と、第二回動部20の手前側端面22の間に形成されるが、本発明は、他の場所に形成することもできる。
図4(A)に示すように、第一回動部15の奥向き座部16には、第一回動部側凹凸16aが形成される。第一回動部側凹凸16aは、周方向に複数設けられる鋸刃形状と成っている。第一回動部側凹凸16aの各々が延びる方向、即ち、稜線が延びる方向は、相対回転軸Sの半径方向となっている。結果、第一回動部側凹凸16aは、軸心から放射状に延びる。
更に、この奥向き座部16は、半径方向に傾斜するテーパ面となる。このテーパ面は、中心側が軸部5側に突出するように傾斜しているので、結果として、ねじ先側に凸の円錐形状となる。このテーパ面に、第一回動部側凹凸16aが形成される。
図4(B)及び(C)に示すように、逆回転防止機構Vとして、第二回動部20の手前側端面22には、第二回動部側凹凸22aが形成される。第二回動部側凹凸22aは、周方向に複数設けられる鋸刃形状となっている。第二回動部側凹凸22aの各々が延びる方向、即ち稜線が延びる方向は、相対回転軸Sの半径方向に沿っている。結果、第二回動部側凹凸22aは、相対回転軸Sから放射状に延びる。
更に、好ましくは、この手前側端面22には、半径方向に傾斜するテーパ面が形成される。このテーパ面は、中心側が伝力部25に近づくようにすり鉢状を成しているので、結果として、ねじ先側に凹の円錐形状となる。このテーパ面に、既述の第二回動部側凹凸22aが形成される。
結果、第一回動部15と第二回動部20を締め付ける際に、逆回転防止機構Vでは、第二回動部20のテーパ面の凹内に、第一回動部15のテーパ面が進入し、第一回動部側凹凸16aと第二回動部側凹凸22aが係合する。両者の鋸歯形状は、図5(A)に示すように、締結方向Yに回転しようとすると、互いの傾斜面が当接して、両者の距離を軸方向に狭めながら、相対スライドを許容する。一方、緩み方向Xに回転しようとすると、互いの垂直面(傾斜が強い側の面)が当接して、両者の相対移動を防止する。
とりわけ本逆回転防止機構Vは、螺合部30を締め付けることによって、第一回動部15と第二回動部20の距離が縮む程、第一回動部側凹凸16aと第二回動部側凹凸22aの噛み合いが強くなり、緩み方向X側の係合強度が高められる。ここで、第一回動部15の円錐状のテーパ面の傾斜角度と、第二回動部20のすり鉢状のテーパ面の傾斜角度とを互いに異ならせることにより、それぞれのテーパ面に形成される鋸歯のピッチに因らず、ガタ付き無く締め付けることも可能となる。具体的には、第二回動部20のテーパ面の軸心からの傾斜角度(すり鉢状の傾斜角)を、第一回動部15のテーパ面の軸心からの傾斜角度(円錐状の傾斜角)よりも狭め(小さめ)に設定することが好ましい。
また、第一回動部側凹凸16aと第二回動部側凹凸22aの数量は必ずしも一致している必要はなく、更に、周方向における位相や位置も、機械的強度の要請に応じて適宜設定可能である。
なお、本変形例では、逆回転防止機構Vとして、凹凸が鋸刃形状の場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図5(B)に示されるように、互いの凹凸を山形(双方とも傾斜面)にすることも可能である。このようにすると、緩み方向Xに相対回転する際、互いの傾斜面が相対移動しようとするが、この傾斜面に沿って、互いの凹凸が離れようとする。この移動距離(離れる角度α)を、螺合部30のリード角より大きく設定すれば、螺合部30が緩もうとしても、それ以上に互いの凹凸が離れようとするので、緩むことが出来なくなる。なお、この図5(B)では、断面二等辺三角形の凹凸を例示したが、図5(C)に示すように、締結回転時に当接する傾斜面の傾斜角よりも、緩み回転時に当接する傾斜面の傾斜角をなだらかにすることも好ましい。このようにすると、締結回転時に、互いに乗り越えなければならない傾斜面の周方向距離Pを短くすることが出来るので、締結後のガタ(隙間)を少なく出来る。
また、図5(A)〜(C)の応用として、図5(D)に示すように、峯と谷を湾曲させた波型の凹凸も設定可能である。締結時に滑らかな操作性を得ることが出来る。更に、本第一実施形態では、半径方向に延びる凹凸を例示したが、図6(A)に示すように、渦巻き状(スパイラル状)の溝又は山(凹凸)を形成することも出来る。また図6(B)のように、直線状に延びる溝又は山(凹凸)であっても、ねじの半径方向に対して周方向位相が変化するように傾斜配置することも出来る。また、図6(C)に示すように、微細凹凸を、ねじの周方向且つ半径方向の双方(平面状)に複数形成した、いわゆるエンボス形状を採用することも出来る。
更に本実施形態のように、互いの凹凸形状を必ずしも一致(略相似又は略合同)させる必要はない。例えば、図5及び図6の各種形状から異なるものを互いに選択して組み合わせることも出来る。
また、本変形例では、奥向き座部16のテーパ面を凸形状、手前側端面22のテーパ面を凹形状にする場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、双方のテーパ面を平面形状にしたり、奥向き座部16のテーパ面を凹形状、手前側端面22のテーパ面を凸形状にしたり出来る。勿論、一方を平面にし、他方のみをテーパ面にしても良い。更には、双方のテーパ面を凸形状にしたり、双方のテーパ面を凹形状にしたりすることで、互いの弾性変形を活用して両者を密着させることが出来る。
次に、図7を用いて、第二実施形態の締結装置1を示す。なお、回動係合機構Zを除いた他の構成については、第一実施形態の締結装置1と同一又は類似するので、ここでは主として回動係合機構Zを説明する。
図7(A)乃至(C)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21は、相対回転軸Sの軸方向に沿って中央が凸となっている。具体的には、図7(C)に示すように、相対回転軸Sに対して直角方向の断面形状が楕円に近似するような、楕円半球体(又は楕円錐)となっており、その中心に軸部5が挿入される孔が形成される。この形状を利用して、奥向き座部21の全域に、回動部側傾斜面21aが形成される。この回動部側傾斜面21aは、相対回転軸Sの軸線上の適宜位置の軸直角断面の輪郭形状(断面線G)が、相対回転軸Sの周方向X、Yに沿って軸心を基準に変位する領域(即ち非正円となる領域)を含んでいる。
また、回動部側傾斜面21aは、伝力部25の先端側に凸となるように傾斜している。なお、楕円の短軸及び長軸に沿って、特異線又は特異線Uが伸びている。
一方、図7(D)に示すように、被締結部材Hの部材側座部HXも、楕円の半球体(又は楕円錐)のような凹形状となっており、その底面の中心に孔HPが形成される。この部材側座部HXの形状を利用して部材側傾斜面HPa形成される。部材側傾斜面HPaは、相対回転軸Sの軸線上の適宜位置の軸直角断面の輪郭形状(断面線G)が、相対回転軸Sの周方向X、Yに沿って軸心を基準に変位する領域(即ち非正円となる領域)を含んでいる。従って、締結装置1の締結の際、回動部側傾斜面21aと部材側傾斜面HPaが当接し、第二回動部20と被締結部材Hの相対回転が防止される。
このように、パイプ材の一部を窪ませたような部材側座部HXの場合において、第二回動部20の奥向き座部21を、被締結部材H側に凸となる非正円形状のお椀形にすることで、両者を密着させつつ、回動方向に係合させることが出来る。特に、すり鉢形状の面接触領域によって、第二回動部20の軸力を被締結部材Hに効率的に伝達し得るようになっている。
図8に、第三実施形態の締結装置1の回動係合機構Zを示す。図8(A)乃至(C)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21は、相対回転軸Sの軸方向に対して傾斜した単一平面となっている。この形状を利用して、奥向き座部21には、回動部側傾斜面21aが形成される。この回動部側傾斜面21aは、相対回転軸Sの軸に直角となる断面の輪郭(断面線G)の一部Gaが、相対回転軸Sの周方向に沿って軸心からの距離が変位する領域を含む。
一方、図8(D)に示すように、被締結部材Hの部材側座部HXも、相対回転軸Sの軸方向に対して傾斜した単一平面となっている。結果、この部材側座部HXの部材側傾斜面HXaは、相対回転軸Sの軸に直角となる断面形状の輪郭(断面線G)が、周方向に沿って軸心からの距離が変位する領域を含む。従って、締結装置1を締め付ければ、回動部側傾斜面21aと部材側傾斜面HXaが当接し、第二回動部20と被締結部材Hの相対回転が防止される。
このように、部材側座部HXが、軸方向に対して傾斜した平面となる場合に、この部材側座部HXと平行となる奥向き座部21を形成することで、両者を密着させつつ、回動係合機構Zとして、回動方向に係合させることが出来る。
なお、本第三実施形態では、回動部側傾斜面21aと部材側傾斜面HXaが単一平面である場合を例示したが、傾斜角度の異なる複数の平面で構成されるようにしても良い。例えば、側面V字形状となるような楔状の二つの傾斜面を組み合わせてもよく、或いは、三つ以上の傾斜面からなる多角椀形とすることも可能である。また、回動部側傾斜面21aと部材側傾斜面HXaが、平面と曲面を組み合わせて構成されるようにしても良い。
図9に第四実施形態に係る締結装置1の回動係合機構Zを示す。第二回動部20の奥向き座部21の外壁(周壁)は、相対回転軸Sの軸心に対して同心の部分円弧形状となっており、残部を弦のように直線状に切り落とした形状とすることで、この弦を回動部側当接部21bにしている。即ち、回動部側当接部21bは、奥向き座部21の周囲において、半径方向に対して直角で且つ半径方向外側に向いた平面によって構成されている。
一方、部材側座部HXは、相対回転軸Sの周囲において、半径方向に対して直角で、且つ半径方向内側に向いた平面となる部材側当接部HXbを有する。従って、回動部側当接部21bと部材側当接部HXbは対向しており、互いに当接する。
より詳細に回動部側当接部21bは、相対回転軸Sの一方の回転方向Xに対向する第一回動部側当接領域21bxと、他方の回転方向Yに対向する第二回動部側当接領域21byとを備える。部材側当接部HXbは、相対回転軸Sの回転方向Yに対向する第一部材側当接領域HXbyと、回転方向Xに対向する第二部材側当接領域HXbxを備える。
例えば、第二回動部20が被締結部材Hに対してY方向に相対回転しようとすると、第一回動部側当接領域21bxと第一部材側当接領域HXbyが当接して、その相対回転が抑制される。同様に、第二回動部20が被締結部材Hに対してX方向に相対回転しようとすると、第二回動部側当接領域21byと第二部材側当接領域HXbxが当接して、その相対回転が抑制される。なお、ここでは被締結部材Hが、部材側当接部HXbを一体的に提供する場合を例示したが、被締結部材Hと部材側当接部HXbが別部材となっていても良い。即ち、部材側当接部HXbは、第二回動部20の周囲に在る外部部材であっても良い。
なお、回動部側当接部21b及び部材側当接部HXbは、周方向の一部の角度範囲に配置される。全周に形成しようとすると、構造が複雑化して製造コストが増大し、更に互いに嵌め込む動作が複雑となる。従って、当接部を構成する角度範囲としては180°未満が好ましく、より望ましくは120°未満とする。本実施形態では、約70°の角度範囲内で配置されている。結果、残りの290°の範囲は、第二回動部20の周囲を開放できる。
更に本実施形態では、第二回動部20の部材としての厚み分を有効利用して、その側面に回動部側当接部21bを形成している。従って、製造コストを低減することが可能となる。また、被締結部材Hにおける段差(例えば、ブラケットH2におけるベースプレートh10と柱部材h20の段差)を有効利用して、その段差に部材側当接部HXbを形成することができる。
図10(A)には、所謂フランジ継手の締結に、第四実施形態の回動係合構造Zを複数適用した状態を例示している。ここでは、フランジ継手の管状部材H1の外周面の一部を、部材側当接部HXbとして用いる。一方、第二回動部20には、管状部材H1の外周面に当接する回動部側当接部21bが形成されている。この回動部側当接部21bを、管状部材H1の半径方向に対して直角となる平面形状とし、これを管状部材H1の外周面に当接させることで、第二回動部20の双方向の回転を規制する。
なお、第二回動部20に形成される回動部側当接部21bの形状を、図10(B)に示されるようにしてもよい。具体的には、第一回動部15が締まる方向Xに回転する際に、第二回動部20の第二回動部側当接部21byが、管状部材H1の外周面(第二部材側当接領域HXbx)が当接する。また、第一回動部15が緩む方向Yに回転する際に、第二回動部20の第一回動部側当接部21bxが、隣接する第二回動部20の外周(第一部材側当接領域HXby)に当接するようにしてもよい。即ち、隣り合う第二回動部20が、相対回転を抑止する外部部材として機能する。このようにすると、複数の締結装置1を利用してフランジ継手を締結していけば、結果として、回転係合構造Zが順次完成していくことになる。
この考え方は、フランジ継手の締結に限られない。例えば図11(A)に示すように、複数の締結装置1を並列配置する際にも適用できる。回動係合機構Zとして、一方の締結装置1の第二回動部20の回動部側当接部21bと、他方の締結装置1の第二回動部20の回動部側当接部21bを当接させることで、双方の第二回動部20が互いに緩む方向に回転しても、両者を周方向に係合させることができる。更にその応用として、図11(B)に示すように、一方の第二回動部20は、部分的に半径方向に突出した第一介在体20Aを有するようにし、他方の第二回動部20は、部分的に半径方向に凹んだ第二介在体20Bを有するようにする。第一介在体20Aと第二介在体20Bが互いに嵌り合うように配置すれば、双方向の相対回転に対して互いに係合させることができる。このようにすると、第一介在体20Aと、第二介在体20Bが、互いに半径方向にスライド自在に嵌り合っているので、一対の締結装置1の相対距離を可変にできる。
一方、図11(C)に示すように、複数の締結装置1の第二回動部20を共通部材化しても良い。このようにすると、一方の締結装置1の第二回動部20の回転は、他方の締結装置1の第一回動部15によって規制される。
なお、上記第四実施形態において、回動部側当接部21bと部材側当接部HXbの形状は様々に応用することができ、相対回転軸Sと中心とした非正円形状であれば、回動部側当接部21bと部材側当接部HXbを周方向に係合させることが可能となる。例えば、奥向き座部21の周囲の複数個所に、回動部側当接部21bを形成することもできる。この際、部材側座部HXの周囲に形成される部材側当接部HXbも複数個所に形成すればよい。
更に例えば図12(A)及び(B)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21の周囲の外壁が、相対回転軸Sの軸心に対して同心の部分円弧形状となっており、その一部の領域に限って、半径方向に延びる突起Tを形成することが出来る。突起Tが回動部側当接部21bとなり、突起Tにおいて、一方の回転方向Xに対向する一方の側面が第一回動部側当接領域21bxとなり、回転方向Yに対向する他方の側面が第二回動部側当接領域21byとなる。この際、部材側座部HXの周囲には、突起Tを挟み込むように、一対の柱状(ここでは円柱状)の突出部K1、K2が形成される。この突出部K1、K2が部材側当接部HXbとなる。なお特に図示しないが、突出部K1、K2等は、被締結部材Hに対してネジ構造等によって着脱自在となっていてもよい。勿論、被締結部材Hが予め有している段部を部材側当接部HXbとしても良い。
また、ここでは特に図示しないが、第二回動部20側に一対の突出部K1、K2を形成し、被締結部材H側に半径方向に延びる突起Tを形成しても良い。第二回動部20の突出部K1、K2によって、被締結部材H側の突起Tを挟み込めば、両者の相対回転を抑止できる。
図13に、第五実施形態の締結装置1の回動係合機構Zを示す。図13(B)及び(C)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21の周囲には、回動部側段部21cが形成される。この回動部側段部21cは、奥向き座部21を基準にして、被締結部材H側に屈曲(突出)する突起の内壁によって構成される。
一方、被締結部材Hの部材側座部HXは、相対回転軸Sの軸線方向に伸びる部材側段部HXcを有する。この部材側段部HXcは、ねじ先側に落ち込むような段差となる。回動部側段部21cと部材側段部HXcの相対回転軸Sの軸心からの距離は、互いに一致している。従って、回動部側段部21cと部材側段部HXcを当接させることで互いに周方向に係合して相対回転が防止される。
このように、回動係合機構Zを、相対回転軸Sの周方向の一部の範囲であって、更に回動部側段部21cを、ねじ先側に突出形成することで、第二回動部20の全周囲を開放することが可能となる。
図14に、第六実施形態の締結装置1の回動係合機構Zを示す。図14(A)及び(B)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21の外縁よりも内側に、回動部側段部(突起)21cが形成される。この回動部側段部21cは、奥向き座部21を基準にして、被締結部材H側に屈曲(突出)する。
一方、図14(C)に示すように、被締結部材Hの部材側座部HXの外縁よりも内側に、回動部側段部21cを収容する部材側段部(窪み)HXcが形成される。結果、回動部側段部(突起)21cと部材側段部(窪み)HXcが係合して、相対回転が防止される。
図15に、第七実施形態の締結装置1の回動係合機構Zを示す。図15(A)及び(B)に示すように、第二回動部20の奥向き座部21の周壁は、相対回転軸Sの軸心(孔の中心)に対して偏心した正円形状となっている。この周壁が、回動部側当接部21bとなる。
一方、被締結部材Hの部材側座部HXは、第二回動部20の奥向き座部21を収容するための収容凹部となっており、且つ、この収容凹部の内壁も、相対回転軸Sの軸心に対して偏心した正円形状となっている。この内壁が、部材側当接部HXbとなる。なお、回動部側当接部21bと部材側当接部HXbの偏心量は同じである。
従って、伝力部25を被締結部材Hの孔HPに挿入するようにして、第二回動部20の奥向き座部21を、被締結部材Hの収容凹部(部材側座部HX)に収容すると、相対回転軸Sを中心として回動部側当接部21bと部材側当接部HXbが周方向に係合する結果となり、両者の周方向の相対回転が規制される。即ち、この回動部側当接部21bと部材側当接部HXbが回動係合機構Zとして作用する。特にここでは、回動部側当接部21bと部材側当接部HXbを正円形状としているので、第二回動部20や収容凹部の形状加工を極めて簡単としつつも、両者の相対回転を防止出来る。
なお、図16(A)乃至(C)に示されるように、第二回動部20の奥向き座部21の周壁、及び、部材側座部HXを構成する収容凹部の内壁を、相対回転軸Sの軸心に対して同心となる部分円弧形状とし、残部を弦のように直線状に切り落とした形状とすることで、これらの弦を回動部側当接部21b及び部材側当接部HXbにすることも出来る。回動部側当接部21b及び部材側当接部HXbは、相対回転軸Sの軸心からの距離が周方向に沿って変動するので、両者が周方向に係合して相対回転が規制される。
次に、上記第一乃至第七実施形態の回動係合機構Zが適用され得る、所謂ワンサイドボルトの他の構成例について説明する。なお、図中において回動係合機構Zが適用され得る部位に符号Zを付することで、回動係合機構Zの説明を省略する。
図17に、第一構成例に係る締結装置1を示す。締結装置1は、軸方向に延びる軸部5と、軸部5の軸方向奥側に配置される挟持部10と、軸部5の軸方向手前側に配置される第一回動部15と、手前側に配置されて第一回動部15と相対回動する第二回動部20と、第二回動部20よりも挟持部10側に配置されて軸力を伝達する伝力部25と、伝力部25と挟持部10の間で軸方向に挟持される奥側係合部60と、を有する。なお、本第一実施形態では、これらの部品又は部材は金属で構成される場合を例示するが、金属以外の部材で構成しても良く、異素材を組み合わせて構成しても良い。
第一回動部15は、特に図示しない締緩工具と係合して、回動力を受ける。締緩工具との係合手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、第一回動部15の外形を六角形や凸型と凹型を含めた多角形等の多面形にすれば良く、六角レンチ等の締緩工具と係合するためには、第一回動部15の端面に六角穴や六角レンチ等の締緩工具に対応した形状の穴を形成すればよい。
第二回動部20は、奥向き座部21に回動係合機構Zを有しており、特に図示しない被締結部材と周方向に係合する。
第一回動部15と第二回動部20は、互いに相対回転すると共に、軸方向に係合する。本実施形態では、第二回動部20の手前側端面22と、第一回動部15の奥向き座部16が軸方向に係合する。
第一回動部15は、ここでは軸部5の手前側端部に一体的に設けられる。従って、第一回動部15と軸部5は供回りする。
軸部5は、円柱状の部材(必ずしも円柱状である必要はなく、柱状を成す物であればよい。)であり、挟持部10や螺合部30、第一回動部15等に作用する軸力を伝達する。なお、本実施形態では、軸部5は、挟持部10と自身に形成される螺合部30(詳細は後述)間で軸力を伝達する。軸部5は、被締結部材Hの厚さより長く設定される。
挟持部10は、軸部5の奥側端部に一体的かつ同軸状に設けられる。
挟持部10は、軸部5の直径よりも大きな外形を有する部材、即ち、軸部5に対して半径方向外側に突出する部材となる。具体的に本実施形態では、挟持部10の外形は、円柱や円筒形又は円錐形となっている。
挟持部10は、軸部5に対して半径方向外側に突出することで、手前側に対向する受部11が形成される。ここでは、受部11が軸方向に直角となる平面で構成されるが、円錐状のテーパ面であっても良い。
軸部5と挟持部10の間に螺合部30が形成される。具体的に螺合部30は、挟持部10の内周に形成される雌ねじ部31と、軸部5の少なくとも奥側の外周に形成されて雌ねじ部31と螺合する雄ねじ部32と、を備えて構成される。従って、挟持部10は筒状の雌ねじ体となり、軸部5が雄ねじ体となる。
第二回動部20は、奥側(奥側係合部60側)に対向する奥向き座部21を有する。この奥向き座部21は、伝力部25の手前側端面27と軸方向に係合すると共に、被締結部材Hの手前側面と当接する。なお、奥向き座部21は、特に図示しないワッシャと当接し、このワッシャを介して伝力部25や被締結部材Hと軸方向に係合するようにしても良い。
挟持部10と伝力部25の間には、挟持部10と伝力部25を供回りさせると共に、この挟持部10と伝力部25を軸方向に相対移動させる連動機構90が構成される。連動機構90は、挟持部10に設けられて、奥側係合部60の内側に軸方向に延びる連動スリーブ92と、伝力部25に設けられて連動スリーブ92を収容するスリーブ収容孔94を有する。図17(C)に示すように、連動スリーブ92の外周面及びスリーブ収容孔94の内周面には、軸方向に延びて互いに周方向に係合する溝又は列状突起が、周方向に一系列以上好ましくは複数形成される。従って、連動スリーブ92とスリーブ収容孔94は、軸方向に摺動自在であると共に、周方向に係合する。なお、ここでは特に図示しないが、奥側係合部60にスリーブ収容孔94を形成し、伝力部25に連動スリーブ92を形成することも可能である。
第二回動部20は、伝力部25と一体化されることで、一緒に回動する。従って、第二回動部20を回動させると、伝力部25及び連動機構90を介して、挟持部10が供回りする。
第一及び第二回動部15、20が相対回転すると、螺合部30によって、その相対回転が、挟持部10と伝力部25の軸方向の相対移動に変換される。
伝力部25は、ここでは略円筒状のスリーブ部材であり、内部に軸部5が挿入される。伝力部25の長さは、被締結部材Hの厚みと同等又はそれ以上に設定され、かつ、軸部5よりも短く設定される。伝力部25は、第二回動部20と奥側係合部60の間に配置されて、所謂つっかえ棒のように軸力を伝達する。ここでは第二回動部20と伝力部25が一体の場合を例示しているが、両者が別体となっていても良い。
伝力部25の最大外径、挟持部10の最大外径、拡径前の奥側係合部60の最大外径は、一致又は近似するように設定される。これらの全てを、被締結部材Hの孔HPに、手前側から挿入する必要があるからである。
伝力部25は、その長さが、被締結部材Hの孔HPの内部で縮むことができる収縮構造を採用している。収収縮構造として、例えば、奥側に位置する筒状の第一伝力片28Aと、手前側に位置する筒状の第二伝力片28Bを備えるようにし、この第一伝力片28Aと第二伝力片28Bを、軸方向に摺動させつつ、周方向に係合させる。この際、第一伝力片28Aの外径に対して、第二伝力片28Bの内径を大きく設定し、第一伝力片28Aの外側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長を収縮させる。図17(D)に示すように、第一伝力片28Aの外周と第二伝力片28Bの内周の間に、軸方向に延びて互いに周方向に係合する溝又は列状突起を、周方向に複数形成することで、第二回動部20の回動を、挟持部10まで伝達できるようにする。
せん断部(シャーワッシャ)29は、第一伝力片28Aの外周に固定されており、伝力部25が最も長い状態において、第二伝力片28Bの奥側端部がせん断部29に当接する。図17(B)に示すように、挟持部10を手前側に移動させて奥側係合部60を拡径させた後、更に、伝力部25を軸方向に縮めるように外力が付与されると、図18に示すように、せん断部29がせん断されて、第一伝力片28Aの外側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長が短くなる。特に本事例では、第一伝力片28Aと第二伝力片28Bが、共に、被締結部材Hの孔HPよりも小さい外径に設定され、双方共に孔HP内に挿入される。また、せん断部29の外径も、孔HPより小さく設定され(又は伝力部25の最大外径以下に設定され)、伝力部25の軸方向の中央近傍に配置されることで、締結時に孔HP内に位置するようになっている。
せん断部29がせん断する際の軸力は、奥側係合部60が拡径する際に必要とする軸力よりも大きく設定される。即ち、奥側係合部60を拡径させるまでは、伝力部25が軸方向に縮まないようにして、挟持部10のみが軸方向に摺動するようにし、それより大きい軸力(即ち、締結時の軸力)が作用すると、せん断部29が積極的に破断して、伝力部25が縮む。
奥側係合部60は、ここでは変形スリーブとなっており、半径方向外側に向かって容易に座屈させることで、変形後の変形スリーブの側面を利用して、手前向き座部64を発現させる。
結果、締結装置1は、挟持部10の手前向き座部64と、第二回動部20の奥向き座部21を利用して、被締結部材Hと締結することが可能になる。なお、手前向き座部64と奥向き座部21が被締結部材Hに直接的に接触して締結する場合を例示しているが、本発明は、ワッシャ等が介在して間接的に締結する場合も含む。
奥側係合部60について更に詳細に説明する。
図17(A)に示すように、奥側係合部60は、環状の部材であって、軸方向手前側に対向する当接面63と、軸方向奥側に対向して挟持部10の受部11と当接する奥側係合面66を有する。
奥側係合部60は、外力に対して変形が容易となる易変形領域620と、外力に対して易変形領域640よりも変形しにくい難変形領域640を有する。易変形領域620と難変形領域640は、互いに物性の異なる材料で構成される。例えば本実施形態では、易変形領域620を金属生材とし、難変形領域640の少なくとも一部(場合によっては全部)を焼き入れ鋼としている。なお、ここでは、金属材料の焼き入れ状態によって、互いに物性を異ならせる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、易変形領域620を機械構造用炭素鋼(例えばS45C)とし、難変形領域640をクロムモリブデン鋼として、両者を接合することで一体化しても良い。また、易変形領域620を樹脂材料又はゴム材料とし、難変形領域640を金属材料とし、両者を一体成型しても良い。
易変形領域620、難変形領域640共に、リング状の領域となっており、これらが軸方向に連続している。具体的には、易変形領域620の軸方向両外側に、それぞれ、難変形領域640、640が配置される構造となっている。
結果、図17(B)に示すように、挟持部10と伝力部25が接近すると、軸方向中央側の易変形領域620が優先的に座屈して半径方向外側に拡張し、それに伴って、難変形領域640が半径方向外側に傾倒する。結果、難変変形領域640の側面が、手前向き座部64となって、伝力部25における軸方向奥側の奥側端面26及び被締結部材Hに当接する。
第一構成例の締結装置1によれば、奥側係合部60が易変形領域620有しているので、容易に、奥側係合部60を変形(又は座屈)させることが可能となる。一方、奥側係合部60が難変形領域640を有しているので、変形後の奥側係合部60の強度又は剛性を高めることが可能となる。結果、締結時の作業者の負担軽減と、締結力の増大を両立させることができる。
また、第一構成例の締結装置1によれば、第一伝力片28Aと第二伝力片28Bが摺動する距離(収縮距離)Mを、伝力部25の全長の四分の一以上、好ましくは三分の一以上にすることが可能となる。結果、単一の締結装置1において、被締結部材Hの厚さ変動に柔軟に対応することができる。具体的には、締結装置1の軸方向の全長Lに対して、被締結部材の厚みEの変動許容量Exを、0.2L以上にすることができ、好ましくは0.3L以上、より望ましくは0.4L以上とすることができる。また、この際の厚みEが選択し得る最大値は、0.7L以上、より望ましくは0.8L以上とすることができる。言い換えると、締結装置1の全長をコンパクトに構成しつつも、被締結部材Hの厚さ変動に柔軟に対応できることになる。
更に第一構成例の締結装置1によれば、図17(A)及び(B)の縮径状態において、第一回動部15と第二回動部20を相対回転させると、第一回動部15と共に軸部5が回動し、第二回動部20と共に挟持部10が回動する。結果、図17(C)及び(D)に示すように、軸部5と挟持部10の間の螺合部30によって、挟持部10が手前側に移動して、奥側係合部60を拡径させることができる。従って、締結後においても、軸部5が手前側に突出することが無いので、邪魔にならない。
なお、上記第一構成例では、奥側係合部60の中央のみに易変形領域620が配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図19(A)に示すように、奥側係合部60において、複数の易変形領域620と、複数の難変形領域640が、軸方向に沿って交互に配置されることも好ましい。このようにすると、図19(B)に示すように、奥側係合部60の特定の場所のみを座屈させて、簡単に、半径方向外側に拡張させることが可能となる。
更に上記実施形態では、易変形領域620と難変形領域640の形状が同じ(特に軸直角方向の断面形状が同じ)場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図19(C)に示すように、軸方向に連続する易変形領域620と難変形領域640を、互いの形状が異なるようにすることができる。これにより、仮に同じ物性の材料でも、易変形領域620と難変形領域640の機械的特性を異ならせる。
図19(A)では、円筒形状の部材の内周面又は外周面に、半径方向を深さとする環状のスリットを有しており、このスリットによって、外力に対して脆弱な易変形領域620A、620B、620Cが形成される。
ここでは半径方向外側に突出するように座屈させる中央部分において、外周面側にスリットを形成して内周面側に易変形領域620Aを形成し、この易変形領域620Aから難変形領域640を介して軸方向に離反した両外側において、内周面側にスリットを形成して外周面側に易変形領域620B、620Cを形成する。結果、挟持部10と伝力部25によって奥側係合部60を軸方向に挟圧すると、図19(B)に示すように、各スリットが開くようにして、易変形領域620A、620B、620Cが折れ曲がり、難変形領域640を傾倒させることができる。
一方、図20(A)に示すように、半径方向外側に突出するように座屈させる中央部分において、内周面側に幅広のスリットを形成して外周面側に易変形領域620Aを形成し、この易変形領域620Aから難変形領域640を介して軸方向に離反した両外側において、外周面側に幅広のスリットを形成して内周面側に易変形領域620B、620Cを形成しても良い。結果、挟持部10と伝力部25によって奥側係合部60を軸方向に挟圧すると、図20(B)に示すように、幅広のスリットが閉じるようにして、易変形領域620A、620B、620Cが折れ曲がり、難変形領域640を傾倒させることができる。即ち、これらの事例では、易変形領域620を薄肉とし、難変形領域640を厚肉とすることで、機械的強度を異ならせることを実現している。
なお、上記実施形態では、易変形領域620と難変形領域640が軸方向に連続する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、周方向に連続させることもできる。その事例について以下詳述する。
図21に示す奥側係合部60では、奥側係合面66は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面となる。従って、同じくテーパ面となる受部11と奥側係合面66が軸方向に押圧されることで、この軸力が半径方向外側に向かう拡張力に変換される。
手前向き座部64は、伝力部25における軸方向奥側の奥側端面26に予め当接する。手前向き座部64は、奥側端面26に対して摺動しながら、半径方向外側に移動する。
以上の結果、受部11に対して奥側係合面66が半径方向外側に摺動すると、それに連動して手前向き座部64が奥側端面26に対して半径方向外側に摺動する。奥側係合面66と手前向き座部64の双方が半径方向外側に移動すると、挟持部10及び伝力部25よりも半径方向外側に突出する。奥側係合部60は、拡径時に傾斜することがないので、軸方向寸法を変化させずに半径方向外側に平行移動できることになる。
図21(A)に示すように、奥側係合部60は、周方向に複数(ここでは三個)配置されて、各々が手前向き座部64と奥側係合面66を有する奥側係合片62と、手前向き座部64が半径方向外側へ移動する際の移動限界を画定する突出規制部70を有する。
奥側係合片62は、肉厚で高い剛性となっており、難変形領域640に相当する。一方、突出規制部70は、薄肉で変形容易となっており、易変形領域620に相当する。
奥側係合片62は、平面視すると、部分円弧形状となる部材であり、周方向に複数配置されることで、連環部72の場所を除き、概ね円筒形状となる。
突出規制部70は、複数の奥側係合片62を周方向に連環させる連環部72となる。連環部72は、変形容易な部材となっており、連環方向の寸法、即ち周方向の寸法(距離)が可変となる。また、連環部72は、その周方向寸法に上限が設定されており、上限に達すると、それ以上に距離が広がらない構造となっている。
具体的に連環部72は、図21(A)の奥側係合部60が縮径状態では、半径方向に往復するように屈曲することで、周方向に折り畳まれた薄肉部材となっている。また、連環部72は、奥側係合部60の外周側近傍を互いに接続し、半径方向内側に向かって屈曲している。従って、この連環部72を、図21(C)に示すように、その上限に達するまで周方向に弾性又は塑性変形させると、周方向に隣接する奥側係合片62の距離が広がり、奥側係合片62が、軸方向を維持しながら半径方向外側に平行移動する。連環部72が伸びきると、奥側係合片62の移動が停止する。
図21(D)に示すように、第一及び第二回動部15、20を相対回転させて、被締結部材Hを締結すると、その反力が、奥側係合片62の手前向き座部64を経由して、挟持部10の受部11に伝わる。結果、奥側係合片62のそれぞれが、更に、半径方向外側に移動しようとするが、連環部72の張力によってそれ以上の移動が規制され、反力を受け止めることが可能となっている。
その後、図22に示すように、せん断部29がせん断されて、第一伝力片28Aの外側に第二伝力片28Bが進入して伝力部25の全長が短くなり、奥側係合部60と第二回動部によって、被締結部材Hが締結される。
本事例では、易変形領域620となる連環部72と、難変形領域640となる奥側係合片62が、周方向に交互に連続する。従って、拡径後のワッシャとなる奥側係合片62側を肉厚設計としても、連環部72は容易に変形できるので、作業者の締結時の負担が軽減される。
また、連環部72を、変形後に復帰可能な弾性部材とすれば、締結後において、挟持部10と伝力部55を離反させると、縮径状態に復帰することが可能となり、締結装置1を被締結体Hから容易に取り出すことができる。
なお、本構成例では、平面視で薄肉となる連環部72を半径方向に屈曲させる場合を例示したが、半径方向視で薄肉となる連環部を軸方向に屈曲させて、周方向に折り畳むこともできる。
また、奥側係合片62を半径方向且つ軸方向に肉厚にすることができる。また、奥側係合片62の手前向き座部64を、そのまま半径方向外側に移動させて、手前向き座部64で被締結部材Hの反力を受けることができるので、剛性が高められて締結力を増大させることが可能となる。
特に本実施形態の奥側係合部60では、拡径時に変形する連環部72を専用配置することで、奥側係合片62側を弾性又は塑性変形させることがないので、より一層、肉厚設計が可能となる。連環部72は容易に変形できるので、作業者の締結時の負担が軽減される。
上記構成例の奥側係合部60は、奥側係合片62と突出規制部70(連環部72)を一体的に形成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図23に示すように、別部材を組み合わせることも可能である。この場合、奥側係合片62は、焼き入れ等によって表面硬度の高められた金属材を用い、連環部72は、通常の金属材あるいは弾性変形容易な金属材を用いても良い。勿論、金属以外の樹脂材を組み合わせても良い。
上記構成例の奥側係合部60は、奥側係合片62が三個配置される場合を例示したが、その数は特に限定されず、例えば図24に示すように、四個又はそれ以上に配置しても良い。二個であっても良い。また、上記構成例の奥側係合部60の連環部72は、奥側係合部60の外周側近傍を互いに接続する場合を例示したが、図24に示すように、連環部72が奥側係合部60の内周側近傍を互いに接続し、半径方向外側に向かって屈曲させておくことも好ましい。このようにすると、連環部72の伸長による奥側係合片62の半径方向外側への移動距離を大きくすることができる。
上記構成例の奥側係合部60は、連環部72が存在する場所に、奥側係合片62の手前向き座部64及び奥側係合面66が存在しないように構成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図25に示すように、奥側係合片62において、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66の近傍を、周方向に拡張させることもできる。即ち、連環部72と、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66とが、軸方向に重なり合うように配置しても良い。このようにすると、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66の面積を大きくすることが可能となる。
上記構成例の締結装置1は、図21(C)及び(D)の拡径状態において、受部11及び奥側係合面66のテーパ面によって、被締結部材Hの反力を受け止める構造を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図26に示すように、受部11を、内周側のテーパ面となる第一受部11aと、第一受部11aの外周側に配置されて軸直角方向に広がる平面となる第二受部11bとを備える二段構造にする。また、奥側係合面66を、外周側のテーパ面となる第一奥側係合面66aと、第一奥側係合面66aの内周側に配置されて軸直角方向に広がる平面となる第二奥側係合面66bとを備える二段構造にする。このようにすると、図26(A)の縮径時には、第一受部11aと、第一奥側係合面66aが当接し、テーパ構造によって軸力を拡張力に変換して奥側係合部60を拡径させる。拡径終了時は、図26(B)に示すように、第一受部11aと、第一奥側係合面66aの当接が解除され、第二受部11bと第二奥側係合面66bが当接して、奥側係合片62の半径方向外側への移動を完了させる。従って、第二受部11bと第二奥側係合面66bは、本発明でいう突出規制部70の一部と定義することも可能となる。
また、第二受部11bと第二奥側係合面66bは、被締結部材Hからの軸方向反力を、垂直となる平面で受けとめることができる。同時に、拡径状態において、連環部72に作用する張力を低減又は開放することができるので、連環部72の疲労を抑制できる。なお、ここでは受部11及び奥側係合面66を二段構造にする場合を例示したが、例えば、奥側端面26と手前向き座部64をテーパ構造にする場合は、これを二段構造にすることも可能である。
更に図27に示すように、受部11及び奥側係合面66において、拡径動作完了時(拡径状態時)に互いに半径方向に係合する段部11c、66cを形成することができる。同様に、奥側端面26と手前向き座部64において、拡径動作完了時に互いに半径方向に係合する段部26c、64cを形成することができる。これらの段部により、奥側係合片62の半径方向外側への移動を規制することができるので、これらの段部も、本発明でいう突出規制部70の一部と定義することができる。
上記構成例では、手前向き座部64と奥側端面26を、軸直角方向と平行となる平面で構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば図28に示すように、手前向き座部64と奥側端面26をテーパ面として、軸方向の押圧力を、手前向き座部64を半径方向外側へ移動させる拡張力に変換させることも好ましい。
上記構成例では、図21(C)及び(D)の拡径状態において、手前向き座部64と奥側端面26の一部が互いに当接する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図29(B)に示すように、拡径状態において、手前向き座部64と奥側端面26の当接が解除されるようにし、伝力部25の奥側端面26を、奥側係合部60の内周側に進入させることも好ましい。このようにすると、伝力部25が奥側係合部60内に進入可能な距離Tだけ、奥側係合部60と第二回動部20による締結量(締付量)を増大できるので、被締結部材Hの厚み変化に柔軟に対応することが可能となる。
なお、上記構成例では、軸部5と挟持部10の間に螺合部30を配置して、挟持部10が手前側に移動して、奥側係合部60を拡径させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば図30(A)に示すように、軸部5の手前側に雄ねじ部32を配置して雌ねじ体とし、第二回動部20をナットとして内周面に雌ねじ部31を配置し、この雄ねじ部32と雌ねじ部31を螺合させることによって螺合部30を構成することができる。
この場合は、第一回動部15、軸部5及び挟持部30を一体的に構成することで、第二回動部20と第一回動部15を相対回転させることで、挟持部30と伝力部25を軸方向に接近させて、奥側係合部60を拡径させることができる(図30(B)参照)。なお、ここでは第二回動部20と伝力部25を別体に構成しているが、一体化してもかまわない。
伝力部25は、必ずしも軸方向に収縮させる必要はないが(その事例については図32参照)、図31に示すように、奥側係合部60が拡径した後、更に第二回動部20と第一回動部15を相対回転させて、挟持部30を手前側に移動させると、伝力部25のせん断部29がせん断されて、第一伝力片28Aの内側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長が短くなるようにできる。このようにすると、被締結部材Hの厚さ変動に柔軟に対応できる。
また図31に示すように、手前側に配置される第二伝力片28Bの直径を、孔HPよりも大きく設定し、この第二伝力片28Bを被締結部材Hの手前側に配置して、第二回動部20の座部(座金)としても機能させても良い。この場合は、第二伝力片28Bの内周側に、第一伝力片28Aの手前側端部を進入させることで、伝力部25の全長を縮めるようにする(図31(B)参照)。
なお図30及び図31共に、せん断部29がせん断する際の軸力は、奥側係合部60が拡径する際に必要とする軸力よりも大きく設定される。即ち、奥側係合部60を拡径させるまでは、伝力部25が軸方向に縮まないようにし、それより大きい軸力(即ち、締結時の軸力)が作用すると、せん断部29が積極的に破断して、伝力部25が縮む。
また例えば図32(A)に示すように、奥側係合部60として、図21乃至図31で示した奥側係合片62(難変形領域640)及び連環部70(易変形領域620)と、その手前側に図17乃至図20で示した変形スリーブ80を組み合わせるように配置することも可能である。この際は、変形スリーブ80の軸方向の座屈荷重は、奥側係合部60の拡径荷重よりも小さく設定することが好ましい。
即ち、図32(B)に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させると、先に変形スリーブ80が座屈して、手前側座部64を備えた所謂ワッシャとなる。座屈完了後、更に強い力で挟持部10と伝力部25を接近させると、奥側係合片62が拡径して、その手前向き座部64が、被締結部材Hと軸方向に係合する位置まで移動する。このようにすると、締結力を一層高めることが可能となる。
この際、変形スリーブ80において、軸方向中央に位置する易変領域620をやわらかい材料(例えば、金属生材)とし、座屈完了後に手前向き座部64を発現する難変形領域640を硬い材料(例えば、焼き入れ鋼)とすることが好ましい。変形を容易にしつつも、変形後の強度又は剛性を高めることができる。
次に、図33を参照して、第二構成例に係る締結装置1について説明する。なお、第一構成例で示した締結装置の部品、部材等と機能が共通するものについては、第二構成例において名称及び/又は符号等を一致させることで、説明や図示を適宜省略し、異なる点を主に説明する。
図33(A)に示すように、本締結装置1は、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60及び挟持部10が、軸方向に一体的に構成される。従って、第二回動部20に外部から付与される回動力を、挟持部10まで伝達させることができる。なお、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60及び挟持部10は、例えば、樹脂素材を射出成型することによって構成することも可能であり、また、金属材料を切削したり、プレス成型したりすることで構成することも可能であり、金属やその他の粉末材料を成型することで構成することも可能である。
奥側係合部60は、軸部5の外周面に接近し、半径方向外側に向かって容易に座屈可能な変形スリーブである。この変形スリーブの半径方向の肉厚は、挟持部10及び/又は伝力部25の肉厚よりも薄い。従って、図33(A)の左半分に示すように、第一回動部15と第二回動部20を相対回転させて、挟持部10と伝力部25を接近させると、奥側係合部60が座屈して半径方向外側に向かって変形し、手前向き座部64を有する所謂ワッシャとなる。
伝力部25は、図29では図示を省略するが、軸方向に収縮可能な収縮構造が採用されている。これについては後述する。
なお、本実施形態の奥側係合部60は、挟持部10と伝力部25の間に一体的に構成されることで、挟持部10と伝力部25を供回りさせると共に、挟持部25と伝力部25を軸方向に相対移動させる連動機構を兼ねることになる。
奥側係合部60は、軸方向中央に位置する中央易変形領域620Aと、伝力部25との境界に位置する手前側易変形領域620Bと、挟持部30との境界に位置する奥側易変形領域620Cを有しており、これらをやわらかい材料、薄肉の材料、又は脆弱な材料とする。一方、座屈完了後に手前向き座部64を形成(発現)する部位、即ち、中央易変形領域620Aの軸方向両外側の難変形領域640、640を硬い材料、厚肉の材料又は高剛性の材料とする。変形を容易にしつつも、変形後の強度又は剛性を高めることができるからである。
これらを金属材料で構成する場合は、例えば、中央易変形領域620A、手前側易変形領域620B、奥側易変形領域620Cを有しており、これらをやわらかい材料、薄肉の材料、又は脆弱な材料とする。一方、座屈の少なくとも一部(場合によっては全部)を金属生材とし、難変形領域640、640の少なくとも一部(場合によっては全部)を焼き入れ鋼とすることもできる。
なお、図33(A)では、奥側係合部60が軸部5の外周面に接近する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図33(B)に示すように、挟持部10と伝力部25によって座屈可能な範囲内で、軸部5から半径方向に隙間を空けた位置に奥側係合部60を配置しても良い。
次に、伝力部25の軸方向収縮構造について説明する。例えば図34(A)に示すように、伝力部25を所謂ジャバラ状に構成し、軸方向に伸縮させることが好ましい。この伝力部25の伸縮時荷重は、奥側係合部60の軸方向の座屈荷重よりも大きく設定される。このようにすると、奥側係合部60の座屈完了後において、更に強い力で挟持部10と伝力部25側に接近させると、伝力部25が収縮して、被締結部材Hと軸方向に係合することが可能となる。
他の例として図34(B)に示すように、伝力部25を、筒部材に対して半径方向外側から内側に向かう側面視V字形状の第一スリット226Aと、第一スリット226Aと180°の位相差となる第二スリット226Bを、軸方向に交互に形成することも好ましい。このようにすると、伝力部25を側面視した場合に、第一及び第二スリット226A、226Bによって軸方向に隙間を有する所謂ギザギザ状(ジグザグ状)となるので、この隙間の分だけ、軸方向に収縮することが可能となる。
このスリットの位相や数は特に限定されるものではなく、図34(C)に示すように、筒部材に対して半径方向外側から内側に向かう側面視V字形状の第一スリット226Aと、第一スリット226Aと180°の位相差となる第二スリット226Bと、第一及び第二スリット226A、226Bと、90°の位相差となる第三スリット226Cと、第三スリット226Cと180°の位相差となる第四スリット226Dを形成しても良い。第一及び第二スリット226A、226Bは互いに軸方向に同じ位置とし、第三及び第四スリット226C、226Dは、互いに軸方向に同じ位置であるが、第一及び第二スリット226A、226Bに対して軸方向にずれた位置に配置する。このようにしても、軸方向に形成される隙間の分だけ、軸方向に収縮することが可能となる。
更に、スリットの形状は特に限定されるものではない。図34(B)の応用となる図35(A)に示す伝力部25は、軸直角方向に平行となって軸方向の隙間を形成する平行形状の第一及び第二スリット226A、226Bを有する。図34(C)の応用となる図35(B)に示す伝力部25と、平行形状の第一乃至第四スリット226A、226B、226C、226Dを有する。これらにおいても、伝力部25内において軸方向に形成される隙間の分だけ、軸方向に収縮することが可能となる。
また更に、スリットの奥行(深さ)は特に限定されない。例えば、図35(A)の応用となる図36に示す伝力部25のように、第一及び第二スリット226A、226Bの最奥部(再奥面)が、スリットの開口側と反対位相(180°の位相差)側に回り込むようにして、最奥部が半径方向に延びる形状としても良い。このようにすると、伝力部25の剛性が低下し、軸方向に柔軟に収縮できる。ただし、奥側係合部60の軸方向の剛性よりも、伝力部25の剛性を高めに設定する必要がある。
更に図35(B)の応用となる図37に示す伝力部25のように、筒状部材に対して微細な軸方向隙間となる平行形状の第一乃至第四スリット226A、226B、226C、226Dを形成してから(図37(A)参照)、これを軸方向に塑性変形するように伸長させて(図37(B)参照)、第一乃至第四スリット226A、226B、226C、226Dを軸方向に拡張し、結果として側面視V字形状のスリットとすることも可能である。
なお、図34乃至図37で説明した伝力部25の軸方向の収縮構造は、第一構成例で説明した締結装置1の伝力部25に適用することができる。
第一構成例では、伝力部25の素材自体は軸方向に伸縮しない場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図38に示すように、伝力部25が、軸部5の外周面に接近する円筒状の薄肉部25Aを備えるようにしても良い。これにより、伝力部25と、被締結部材Hの孔HPの間に余裕隙間Mを確保することができるので、余裕隙間M内で薄肉部25Aが径方向に変形して、軸方向寸法を縮めることが可能となる。結果、奥側係合部60と第二回動部20による締結量を確保できるので、被締結部材Hの厚み変化に柔軟に対応することが可能となる。ここでは、薄肉部25Aを円筒形状としたが、軸方向に延びる複数の棒状部材を周方向に配置した籠状としても良い。
なお、図38(B)のように、薄肉部25Aを、被締結部材Hの孔HP側に接近させても良く、また、図38(C)のように、薄肉部25Aの一方の端部は被締結部材Hの孔HPに接近し、他方の端部は軸部5の外周面に接近するようにして、傾斜筒形状とすることもできる。第二回動部の図示を省略するが、図39(A)に示すように、薄肉部25Aの両端部は被締結部材Hの孔HPに接近し、中央側は軸部5の外周面に接近する湾曲した筒形状とすることもできる。図39(B)に示すように、また、薄肉部25Aの両端部は軸部5の外周面に接近し、中央側は被締結部材Hの孔HPに接近する湾曲した筒形状とすることもできる。図39(C)に示すように、薄肉部25Aの両端部から中央に向かって一定の範囲は被締結部材Hの孔HPに接近し、これらの除く中央側を軸部5の外周面に接近する湾曲形状とすることもできる。
更に図39(D)に示すように、薄肉部25Aを、断面が非正円となる筒状構造としても良い。例えば、断面形状を、星型形状、多角形状、周方向に連続する鋸刃状、ギザギザ状、ジグザグ状、波状とすることができる。この際、薄肉部25Aの途中に開口25Dを形成することで、軸方向に座屈又は変形容易な脆弱領域25Eを形成することができる。
また図39(E)に示すように、伝力部25を、リング状の部材を波形状に構成したウェーブリング片を軸方向に多段に積層するか、あるいは、線材をスパイラル状に巻きながら波形状に積層することによって構成される、所謂ウェーブばねとすることもできる。このようにすると、軸方向に弾性変形することで、伸縮することが可能である。なお、ウェーブばねではなく、所謂コイルスプリングを用いてもよい。
なお、上記図38及び図39のいずれにおいても、奥側係合部60が変形又は変位する際に必要とする軸力では、伝力部25が軸方向に縮まないようにし、それより大きい軸力(即ち、締結時の軸力)が作用すると、積極的に縮むようにする。
なお、ここでは奥側係合部60の変形スリーブが一つの場合を例示したが、別体又は一体状で軸方向に複数の変形スリーブを配置して、各変形スリーブを座屈させて多段ワッシャにすることも可能である。
更に、第一構成例では、挟持部10の受部11、及び、奥側係合部60の奥側係合面66をテーパ面として、このテーパ面を利用して奥側係合部60の奥側係合片62を半径方向外側に移動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば図40及び図41に示すように、奥側係合部60が、手前側に配置される第一奥側係合片660、及び、奥側に配置される第二奥側係合片680、これらの奥側係合片660、680の周囲を環状に取り囲む弾性変自在の規制部610を備えるようにしても良い。規制部610は、例えばゴム等の材料で構成されており、奥側係合片660、680を半径方向内側に付勢する。なお、奥側係合片660、680が難変形領域に想到し、規制部610が易変形領域に相当することになる。
なお、ここでは、図30乃至図32で示す変形例と同様に、軸部5の手前側に雄ねじ部32を配置して雌ねじ体とし、第二回動部20をナットとして内周面に雌ねじ部を配置し、この雄ねじ部32と雌ねじ部を螺合させることによって螺合部を構成する場合を示している。
図44に示すように、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、共通形状となっており、それぞれ、軸方向に延びる貫通孔661、681を有し、この貫通孔661、681は、軸方向から視ると、半径方向に広がる長穴形状となっている。なお、図44においては、第一奥側係合片660は軸方向及び直径方向に反転した姿勢となっている。
第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、貫通孔661、681に軸部5が貫通された状態で、長円穴の分だけ半径方向にスライド自在となっている。また、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、互いに当接(対向)する当接面663、683を有しており、この当接面663、683が、貫通孔661、681の長穴方向に傾斜している。
図40に戻って、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、共通形状であるものの、互いに軸方向に反転状態かつ直径方向に反転する状態、即ち、当接面663、683が対向するような点対称状態で配置される。結果、奥側係合部60の奥側係合面66と手前向き座部64が軸直角方向に平行となり、当接面663、683が傾斜する。
従って、図42及び図43に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させることにより、その挟持力を当接面663、683に作用させると、規制部610の付勢力に抵抗しながら、第一奥側係合片660が直径方向の一方へ移動し、第二奥側係合片680が直径方向の他方へ移動する。即ち、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が、互いに直径方向に離反する。結果、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680にそれぞれ形成される手前向き座部64が、半径方向外側へ移動して、伝力部25よりも突出する。このように、奥側係合部60を複数部材で構成し、内部にテーパ面を配置することで、これらの複数部材を半径方向外側に離反させることも好ましい。
なお、本第二構成例の締結装置によれば、第一回動部15と第二回動部20との相対回転の回転方向を、締め付けと逆方向とすることが可能であり、この逆回転をさせると、収縮方向に対する付勢状態にあった規制部610の収縮力により第一奥側係合片660と第二奥側係合片680とを元の同軸位置に復帰させることが出来、従って、被締結部材Hに対して締結状体にあった締結装置1を被締結部材Hから取り外すことも可能となる。
また、図40乃至図44で示した上記変形例では、奥側係合部60が、挟持部10及び伝力部25に対して周方向に相対回転可能な状態で配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図45及び図51に示すように、挟持部10における受部11に対して、貫通孔661、681の長円方向(軸部5の直径方向)に延びる受部用案内凹凸11xを形成し、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の各奥側係合面66に対して、軸部5の直径方向に延びる係合片用案内凹凸664、684を形成し、受部用案内凹凸11xと係合片用案内凹凸664、684を直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、受部11に対して、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が周方向に係合するので、この奥側係合部60が、挟持部10に対して回動力を伝達できる。
即ち、図17等で示した事例と同様に、軸部5と挟持部10の間に螺合部30を形成して、挟持部10と軸部5を相対回転させる場合において、奥側係合部60は、挟持部10と伝力部25の間に存在して全体を供回りさせるとことができるので、本発明における連動機構を兼ねることができる。
また、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の当接面663、683に対して、係合片用案内凹凸664、685と同方向に延びる内部案内凹凸663a、683aを形成し、互いの内部案内凹凸663a、683aを、直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、第一奥側係合片660と第二奥側係合片680が、直径方向に摺動自在且つ周方向に係合するので、第一奥側係合片660と第二奥側係合片680の間で回動力を伝達できる。
更に第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の手前向き座部64に対して、座部用案内凹凸64xを形成し、また、伝力部25の奥側端面26に対して、直径方向に延びる伝力部用案内凹凸26xを形成し、座部用案内凹凸64xと伝力部用案内凹凸26xを直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、伝力部25に対して、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が周方向に係合するので、伝力部25が、奥側係合部60に対して回動力を伝達できる。上記構成により、図46に示すように、伝力部25の回動力を、奥側係合部60を介して挟持部10に伝達できるので、第一構成例で示した連動機構90を兼ねる(省略する)ことができる。
図47及び図48に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させてその挟持力を当接面663、683に作用させると、伝力部用案内凹凸26x、座部用案内凹凸64x、内部案内凹凸663a、683a、係合片用案内凹凸664、684、受部用案内凹凸11xによって直径方向に案内されながら、規制部610の付勢力に抗して、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が、互いに直径方向に離反する。結果、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680にそれぞれ形成される手前向き座部64が、半径方向外側へ移動して、伝力部25よりも突出する。
なお、上記変形例では、二つの第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680を、伝力部25と挟持部10に対して周方向に係合させながら、直径方向に離反させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図17の第一構成例で示した奥側係合部60の各奥側係合片62の手前向き座部64と奥側係合面66に対して、半径方向に延びる案内用凹凸を形成し、この案内用凹凸を、伝力部25と受部11に対して同方向に形成される案内用凹凸と係合させるようにしても良い。即ち、互いの当接面において案内凹凸を放射状に形成することで、奥側係合部60が、伝力部25の回動力を挟持部10に伝達できるようにしても良い。
また、この半径方向に摺動自在且つ周方向に係合する案内用凹凸の形状は、例えば断面鋸刃状、断面矩形状、互いに離反不能なアリ溝等、様々な態様を選択できる。
更に上記第一乃至第二構成例では、主として、奥側係合部60が軸方向に一段の場合を例示したが、例えば図52に示すように、奥側係合部60が、軸方向に多段化された複数の奥側係合片690A、690B、690Cを備えるようにし、入れ子構造又はテレスコピック構造で軸方向に収縮しながら、各奥側係合片690A、690B、690Cを半径方向外側に拡張させることも好ましい。拡張完了状態において奥側係合片690A、690B、690Cを軸方向に係合させれば、最内周の奥側係合片690Cのみを、挟持部10及び伝力部25で挟み込むだけで、最外側に配置される奥側係合片690Aを軸方向に保持することができる。結果、最も外側に配置される奥側係合片690Aの半径方向の移動量を大きく設定することができる。これらの奥側係合片690A、690B、690Cが難変形領域となり、特に図示しない連環部が易変形領域となる。
次に、第一又は第二構成例の他の変形例について説明する。
図53(A)乃至(C)は、伝力部25又は奥側係合部60に適用可能な軸方向の収縮構造又は半径方向の拡張構造を示す。この収縮又は拡張構造は、トラス(三角形の骨格構造)を立体的に組み合わせた所謂PCCPシェル(Pseudo-Cylindrical Concave Polyhedral Shell)構造Pとなっており、三角形の頂点同士が交わる個所(頂点部)が半径方向外側に突出し、軸直角方向に延びる底辺同士が接する個所(底辺部)が、半径方向内側に凹む。三角形の斜辺同士が接する箇所(移行部)は、頂点部と底辺部を繋ぐ。この多面体により、疑似円筒を構成することができる。本PCCPシェル構造Pは、軸方向に収縮(変形)させることが可能であり、その際に、頂点部が半径方向外側に突出する。このPCCPシェル構造Pを、伝力部25又は奥側係合部60に適用しても良い。従って、三角形の面内は、難変形領域となり、三角形の各辺又は各頂点は、折り目によって容易に変形可能な易変形領域を構成することが可能である。
図53(D)乃至(F)は、伝力部25又は奥側係合部60に適用可能な軸方向の収縮構造又は半径方向の拡張構造を示す。この収縮又は拡張構造は、台形を利用したトラス(骨格構造)を立体的に組み合わせた伸縮管構造Dとなっており、軸直角方向に延びる台形の短辺同士が交わる個所(短辺部)が半径方向外側に突出し、軸直角方向に延びる長辺同士が接する個所(長辺部)が、半径方向内側に凹む。斜辺同士が接する箇所(移行部)は、短辺部と長辺部を繋ぐ。この多面体により、疑似円筒を構成することができる。本伸縮管構造Dは、軸方向に収縮(変形)させることが可能であり、その際に、短辺部が半径方向外側に突出する。この伸縮管構造Dを、伝力部25又は奥側係合部60に適用しても良い。従って、台形の面内は、難変形領域となり、台形の各辺又は各頂点は、折り目によって容易に変形可能な易変形領域を構成することが可能である。なお、台形の代わりに平行四辺形を用いることも可能である。参考として、図53(G)に、この種のPCCPシェル構造又は伸縮管構造を、軸方向に収縮させた状態を示す。なお、一般的に、伸縮管構造Dの方が、PCCPシェル構造Pよりも、軸方向に容易に変形可能である。
図53(H)は、伝力部15に、PCCSシェル構造Pと伸縮管構造Dの双方を適用した例である。この場合は、伸縮管構造Dの方が優先的に縮む。図53(I)は、伝力部25の一部に伸縮管構造Dを適用し、残部はストレートとなる断面多角形の筒とし、奥側係合部60に伸縮管構造Dを適用した例である。なお、伝力部25と奥側係合部60の境界に括れを形成している。図53(J)(K)は、共に、伝力部25に伸縮管構造Dを適用し、奥側係合部60にも伸縮管構造Dを適用した例であるが、図53(K)については、その境界に括れを形成している。
図53(L)は、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60、挟持部10を一体形成した例であり、伝力部25にPCCPシェル構造Pを適用し、奥側係合部60に伸縮管構造Dを適用している。
図54(A)は、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60、挟持部10を一体形成した例である。ここでは更に、奥側係合部60の軸方向中央部分の外周面に、周方向のスリットを形成して易変形領域620Aとし、更に、易変形領域620Aの軸方向両外側に、難変形領域を介して、括れ構造によって易変形領域620B、620Cを形成したものである。
図54(B)は、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60、挟持部10を一体形成した例である。ここでは更に、奥側係合部60において、軸方向中央側を半径方向外側湾曲させており、その軸方向中央部分の外周面に、周方向のスリットを形成して易変形領域620としている。
図54(C)及び(D)は、第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60、挟持部10を一体形成した例である。ここでは更に、奥側係合部60において、軸方向中央側を半径方向外側に反るように湾曲させており、その突端に向かって肉厚が薄くなるようにしている。また、軸方向中央部分には、軸方向に延びる切欠きを周方向に複数形成することで、軸方向中央部分を易変形領域620としている。なお、伝力部25は、軸方向の途中に複数の開口25Dをマトリクス状に形成することで、軸方向に座屈又は変形容易な脆弱領域を形成している。
図54(E)は、 第二回動部20、伝力部25、奥側係合部60、挟持部10を一体形成した例である。ここでは更に、奥側係合部60において、軸方向中央側を半径方向外側に湾曲させており、その突端に向かって肉厚が薄くなるようにしている。この薄肉構造によって、軸方向中央部分を易変形領域620としている。
図54(F)は、奥側係合部60において、五個以上の奥側係合片62を周方向に配置し、その間に連環部72を配置した例である。
なお、上記第一及び第二変形例では、奥側係合部が、外力に対して変形が容易となる易変形領域と、外力に対して易変形領域よりも変形しにくい難変形領域を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、奥側係合部全体が共通の強度又は剛性で構成される場合を含むものである。
以上説明したように、本発明は多様な構成を採り得、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 締結装置
5 軸部
10 挟持部
11 受部
11a 第一受部
11b 第二受部
11c 段部
15 第一回動部
16 奥向き座部
16a 第一回動部側凹凸
20 第二回動部
21 奥向き座部
21a 回動部側傾斜面
21ax 第一回動部側傾斜領域
21ax 第一回動部材側傾斜領域
21ax 第一回動部側傾斜領域
21ay 第二回動部側傾斜領域
21b 回動部側当接部
21bx 第一回動部側当接領域
21by 第二回動部側当接領域
21c 回動部側段部
22 手前側端面
22a 第二回動部側凹凸
22 手前側端面
25 伝力部
25A 薄肉部
25D 開口
25E 脆弱領域
26 奥側端面
26c 段部
27 手前側端面
28A 第一伝力片
28B 第二伝力片
29 せん断部
30 螺合部
60 奥側係合部
62 奥側係合片
64 座部
66 奥側係合面
66a 第一奥側係合面
66b 第二奥側係合面
70 突出規制部
72 連環部
80 変形スリーブ
82 座屈領域
84 非座屈領域
90 連動機構
92 連動スリーブ
94 スリーブ収容孔
H 被締結部材
HP 孔
hp1 孔
hp2 孔
HPa 部材側傾斜面
HX 部材側座部
HXa 部材側傾斜面
HXb 部材側当接部
HXbx 第二部材側当接領域
HXby 第一部材側当接領域
HXc 部材側段部
Z 回動係合機構

Claims (8)

  1. 軸方向の奥側に配置される挟持部と、
    軸方向の手前側に配置されて互いに相対回動可能な第一回動部及び第二回動部と、
    上記第一回動部及び第二回動部と上記挟持部の間に配置されて軸方向の力を伝達する伝力部と、
    上記第一回動部及び第二回動部の少なくとも一方に形成されて奥側に対向し、締結時に被締結部材と当接する座面を有する奥向き座部と、
    上記伝力部と上記挟持部の間で軸方向に挟持される奥側係合部と、
    上記第一回動部及び上記第二回動部の相対回転を、上記挟持部と上記伝力部の軸方向の相対移動に変換する螺合部と、を有し、
    上記奥向き座部には、上記被締結部材及び/又は該奥向き座部の周辺に在る外部部材との間において、上記第一回動部及び上記第二回動部の相対回転軸に沿った回転力が作用しても上記奥向き座部が周方向に係合する状態が保持される回動係合機構が構成され、
    上記回動係合機構により、上記奥向き座部を上記被締結部材及び/又は上記外部部材に対して周方向に係合させつつ、上記第一回動部及び上記第二回動部を相対回転させて、上記挟持部と上記伝力部を軸方向に接近させることにより、上記奥側係合部が、上記挟持部及び上記伝力部よりも半径方向外側に突出して手前側に対向する手前向き座部を形成し、
    上記手前向き座部と上記奥向き座部を利用して、被締結部材と係合することを特徴とする、
    締結装置。
  2. 前記回動係合機構は、前記被締結部材及び/又は前記外部部材に形成される収容凹部と前記奥向き座部が嵌り合うことで、互いに周方向に係合する状態が保持されることを特徴とする、
    請求項1に記載の締結装置。
  3. 前記回動係合機構は、前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って変動する前記収容凹部の内壁に対して、前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って変動する前記奥向き座部の周壁が周方向に係合する、ことを特徴とする、
    請求項2に記載の締結装置。
  4. 前記収容凹部の内壁及び前記奥向き座部の周壁が、前記相対回転軸に対して偏心した円形状であることを特徴とする、
    請求項2又は3に記載の締結装置。
  5. 前記回動係合機構は、前記奥向き座部に形成され、前記被締結部材及び/又は前記外部部材において軸方向に段設された部材側段部と係合する回動部側段部を有することを特徴とする、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の締結装置。
  6. 前記奥向き座部は、周囲において前記相対回転軸からの距離が周方向に沿って異なる当接部を有しており、
    前記当接部が前記被締結部材及び/又は前記外部部材に当接して周方向に係合することで、前記回動係合機構が構成されることを特徴とする、
    請求項1に記載の締結装置。
  7. 前記奥向き座部の前記当接部は、周方向の一部の範囲に形成されることを特徴とする、
    請求項6に記載の締結装置。
  8. 前記奥向き座部における、相対回転軸に直角となる断面の外周又は内周形状が、周方向に沿って軸心からの距離が変位する領域を含むことを特徴とする、
    請求項1に記載の締結装置。
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