JP6544766B2 - 締結装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被締結体を締結する締結装置に関する。
従来、様々な場面で、被締結体を締結するためにねじ締結体が用いられている。このねじ締結体は、柱状の外周に螺旋状の溝が形成される雄ねじ体(雄型締結体)と、筒部材の内周に螺旋状の溝が形成される雌ねじ体(雌型締結体)を螺合させる構造となっている。
ところで、被締結体の中には、表裏の双方向から作業できないものがある。例えば、壁面に形成される穴に対してねじ締結体を締結する際、壁面の表側から作業できるが、裏面から作業できない場合がある。また、長尺となるコラム鋼材やパイプ鋼材の周面の内外に亘る穴に対してねじ締結体を締結する際も、表面から作業できるが、内側からは作業できない場合がある。このような場合に、被締結体の一方側のみの締結動作で、他方側を含めた締結動作を実現できる所謂ワンサイドボルトが用いられる。
従来のワンサイドボルトは、被締結体の奥側に挿入される変形容易なバルブスリーブを、コアピンとグリップスリーブによって軸方向に押しつぶすことで半径方向に座屈させ、それを奥側のワッシャとして機能させる。(非特許文献1参照)。
株式会社ロブテックスファスニングシステム、企業WEBページ「Home/製品カタログ一→ワンサイドボルト→ハック高力ワンサイドボルト」、[online]、[2015年4 月29日検索]、インターネット<URL http://www.lobfs.com/pages/p47.html>
このワンサイドボルトは、バルブスリーブを偏平状態に押しつぶしてワッシャとして機能させるため、締結時の軸力の全てを、ワッシャ(バルブスリーブ)で受け止める構造となる。従って、ワッシャが変形すると締結が解除されてしまうという問題があった。一方、ワッシャの強度を高めるためにバルブスリーブを肉厚にしたり、硬い素材を選定したりすると、そもそも、軸方向に座屈させることが困難になるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、締結力を増大させることが可能な締結装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、軸方向の奥側に配置される挟持部と、軸方向の手前側に配置されて互いに相対回動可能な第一回動部及び第二回動部と、前記第一回動部及び第二回動部と前記挟持部の間に配置されて軸方向の力を伝達する伝力部と、前記第一回動部及び第二回動部の少なくとも一方に形成されて奥側に対向する奥向き座部と、前記伝力部と前記挟持部の間で軸方向に挟持され、予め手前側を向いている手前向き座部を有する奥側係合部と、前記第一回動部及び第二回動部の相対回転を、前記挟持部と前記伝力部の軸方向の相対移動に変換する螺合部と、を有し、前記挟持部と前記伝力部の軸方向の接近により、前記手前向き座部が半径方向外側に移動して、前記手前向き座部が前記挟持部及び前記伝力部よりも半径方向外側に突出し、当該手前向き座部と前記奥向き座部を利用して、被締結部材と係合し、前記奥側係合部は、前記挟持部において手前側に対向する受部と当接する奥側係合面を有し、前記奥側係合面が前記挟持部の前記受部に対して摺動することで、前記奥側係合面と前記手前向き座部の双方が半径方向外側に突出することを特徴とする、締結装置である。
上記締結装置に関連して、前記手前向き座部は、前記伝力部における軸方向奥側の端面に対して摺動しながら、半径方向外側に突出することを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記手前向き座部及び前記端面の少なくとも一方は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面であることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥側係合面及び前記受部の少なくとも一方は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面であることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥側係合部は、周方向に複数配置されて、各々が前記手前向き座部を有する奥側係合片と、前記手前向き座部が半径方向外側へ移動する際の移動限界を画定する突出規制部と、を有することを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記突出規制部は、複数の前記奥側係合片を周方向に連環させる連環部であることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記連環部は、自身が変形することにより、隣接する前記奥側係合の周方向距離を変化させることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記奥側係合片は、半径方向外側に平行移動することを特徴とする。
上記締結装置に関連して、軸方向に延びる軸部と、前記軸部形成される雄ねじ部と、前記挟持部と前記伝力部の間に構成され、前記挟持部と前記伝力部を供回りさせると共に、該挟持部と前記伝力部を軸方向に相対移動させる連動機構と、を備え、前記挟持部は、前記軸部の軸方向の奥側に配置されて前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記第一回動部は前記軸部の軸方向の手前側に配置されて該軸部と供回りし、前記第二回動部は前記伝力部と供回りすることを特徴とする。
上記締結装置に関連して、前記伝力部は、前記手前向き座部が半径方向外側に突出する際に作用する軸力を超える軸力が作用する際に、被締結部材の内部において軸方向の長さが収縮する収縮機構を有することを特徴とする。
本発明によれば、部品点数と組立工程数を削減させて低コスト化を実現しながらも、操作性を良好に保ちつつ、締結力を増大せることが可能になる。
本発明の第一実施形態に係る締結装置において、(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における全体の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(C)拡径状態における奥側係合部の平面図、(D)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部の平面図、(B)縮径状態における奥側係合部の(C)のB−B矢視平面断面図、(C)縮径状態における奥側係合部近傍の(A)のC−C矢視正面部分断面図、(D)縮径状態における奥側係合部近傍の(A)のD−D矢視正面部分断面図、(E)拡径状態における奥側係合部の平面図、(F)拡径状態における奥側係合部の(G)のF−F矢視平面断面図、(G)拡径状態における奥側係合部近傍の(E)のG−G矢視正面部分断面図、(H)拡径状態における奥側係合部近傍の(E)のH−H矢視正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)伝力部の変形例のみを示す正面断面図、(C)伝力部の変形例のみを示す正面断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)〜(C)伝力部のみを示す正面断面図、(D)伝力部のみを示す平面図、正面断面図及びX−X矢視平面断面図、(E)伝力部のみを示す平面図、正面図、右側面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 本発明の第二実施形態の同締結装置に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)縮径状態における連動機構の(B)のA−A矢視断面平面図、(B)縮径状態における全体の正面部分断面図、(C)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る、(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)締結前の拡径状態における全体の正面部分断面図、(C)収縮機構の(A)のC−C矢視断面平面図、である。 同締結装置の変形例に係る、締結後の拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における全体の正面部分断面図、(B)拡径状態における全体の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における正面図、(B)縮径状態における背面図、(C)縮径状態における側面図である。 同締結装置の変形例に係る縮径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)拡径状態における正面図、(B)拡径状態における背面図、(C)拡径状態における側面図である。 同締結装置の変形例に係る拡径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る奥側係合部の部品を示す(A)斜視図、(B)上面図又は底面図、(C)側面図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における正面図、(B)縮径状態における背面図、(C)縮径状態における側面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る縮径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)拡径状態における正面図、(B)拡径状態における背面図、(C)拡径状態における側面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係る拡径状態における斜視図である。 同締結装置の変形例に係る挟持部を示す(A)断面斜視図、(B)斜視図、(C)正面図、(D)正面断面図、(E)底面図である。 同締結装置の変形例に係る奥側係合部の部品を示す(A)斜視図、(B)側面図、(C)正面図又は背面図、(D)上面図又は底面図、(E)背面図又は正面図である。 同締結装置の変形例に係る伝力部を示す(A)上面図、(B)側面図、(C)正面図、(D)斜視図である。 同締結装置の変形例に係る(A)縮径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図、(B)拡径状態における奥側係合部近傍の正面部分断面図である。 同締結装置の変形例に係るPCCPシェル構造を示す(A)斜視図、(B)正面図、(C)上面図であり、同締結装置の変形例に係る伸縮管構造を示す(D)斜視図、(E)正面図、(F)上面図であり、これらの収縮状態を示す(G)斜視図であり、(H)及び(I)はこれらの構造を適用した伝力部の正面図であり、(F)は同締結装置の変形例に係る斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1に、第一実施形態に係る締結装置1を示す。締結装置1は、軸方向に延びる軸部5と、軸部5の軸方向奥側に配置される挟持部10と、軸部5の軸方向手前側に配置される第一回動部15と、手前側に配置されて第一回動部15と相対回動する第二回動部20と、第二回動部20よりも挟持部10側に配置されて軸力を伝達する伝力部25と、伝力部25と挟持部10の間で軸方向に挟持される奥側係合部60と、を有する。なお、本第一実施形態では、これらの部品又は部材は金属で構成される場合を例示するが、金属以外の部材で構成しても良く、異素材を組み合わせて構成しても良い。
第一回動部15は、特に図示しない締緩工具と係合して、回動力を受ける。締緩工具との係合手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、第一回動部15の外形を六角形や凸型と凹型を含めた多角形等の多面形にすれば良く、六角レンチ等の締緩工具と係合するためには、第一回動部15の端面に六角穴や六角レンチ等の締緩工具に対応した形状の穴を形成すればよい。
第二回動部20は、特に図示しない締緩工具と係合して、回動力を受ける。締緩工具との係合手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、第二回動部20の外形を六角形にすれば良い。
第一回動部15は、ここでは軸部5の手前側端部に一体的に設けられる。従って、第一回動部15と軸部5は供回りする。
軸部5は、円柱状の部材(必ずしも円柱状である必要はなく、柱状を成す物であればよい。)であり、挟持部10や螺合部30、第一回動部15等に作用する軸力を伝達する。なお、本実施形態では、軸部5は、挟持部10と自身に形成される螺合部30(詳細は後述)間で軸力を伝達する。軸部5は、被締結部材Hの厚さより長く設定される。
挟持部10は、軸部5の奥側端部に一体的かつ同軸状に設けられる。従って、第一回動部15の回動力は、軸部5を介して挟持部10に伝達され、これらが一体となって回動する。
挟持部10は、軸部5の直径よりも大きな外形を有する部材、即ち、軸部5に対して半径方向外側に突出する部材となる。具体的に本実施形態では、挟持部10の外形は、円柱や円筒形又は円錐形となっている。
挟持部10は、軸部5に対して半径方向外側に突出することで、手前側に対向する受部11が形成される。ここでは、受部11が円錐状のテーパ面となっているが、軸方向に直角となる平面であっても良い。
第二回動部20と軸部5の間には螺合部30が設けられる。具体的に螺合部30は、第二回動部20の内周に形成される雌ねじ部31と、軸部5の少なくとも手前側の外周に形成されて、雌ねじ部31と螺合する雄ねじ部32と、を備えて構成される。従って、第二回動部20は筒状の雌ねじ体となり、軸部5は雄ねじ体となる。
また、第二回動部20は、奥側(奥側係合部60側)に対向する奥向き座部21を有する。この奥向き座部21は、伝力部25の手前側端面27と軸方向に係合すると共に、被締結部材Hの手前側面と当接する。なお、奥向き座部21は、特に図示しないワッシャと当接し、このワッシャを介して伝力部25や被締結部材Hと軸方向に係合するようにしても良い。
第一及び第二回動部15、20が相対回転すると、螺合部30によって、その相対回転が、軸部5と第二回動部20の軸方向の相対移動に変換される。軸部5と第二回動部20の相対移動は、挟持部10と伝力部25の相対移動となる。
伝力部25は、ここでは略円筒状のスリーブ部材であり、内部に軸部5が挿入される。伝力部25の長さは、被締結部材Hの厚みと同等又はそれ以上に設定され、かつ、軸部5よりも短く設定される。伝力部25は、第二回動部20と奥側係合部60の間に配置されて、所謂つっかえ棒のように軸力を伝達する。ここでは第二回動部20と伝力部25が別体の場合を例示しているが、両者が一体となっていても良い。
伝力部25の最大外径、挟持部10の最大外径、拡径前の奥側係合部60の最大外径は、一致又は近似するように設定される。これらの全てを、被締結部材Hの孔HPに、手前側から挿入する必要があるからである。
奥側係合部60は、環状の部材であって、軸方向手前側に対向する手前向き座部64と、軸方向奥側に対向して挟持部10の受部11と当接する奥側係合面66を有する。
奥側係合部60は、挟持部10と伝力部25の軸方向の接近により、手前向き座部64が半径方向外側に移動し、この手前向き座部64が挟持部10及び伝力部25よりも半径方向外側に突出する。従って、図1(C)に示すように、奥側係合部60を平面から全体視すると、拡径することになる。
結果、締結装置1は、挟持部10の手前向き座部64と、第二回動部20の奥向き座部21を利用して、被締結部材Hと締結することが可能になる。なお、手前向き座部64と奥向き座部21が被締結部材Hに直接的に接触して締結する場合を例示しているが、本発明は、ワッシャ等が介在して間接的に締結する場合も含む。
奥側係合部60について更に詳細に説明する。
奥側係合面66は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面となる。従って、同じくテーパ面となる受部11と奥側係合面66が軸方向に押圧されることで、この軸力が半径方向外側に向かう拡張力に変換される。
手前向き座部64は、伝力部25における軸方向奥側の奥側端面26に当接する。手前向き座部64は、奥側端面26に対して摺動しながら、半径方向外側に移動する。
以上の結果、受部11に対して奥側係合面66が半径方向外側に摺動すると、それに連動して手前向き座部64が奥側端面26に対して半径方向外側に摺動する。奥側係合面66と手前向き座部64の双方が半径方向外側に移動すると、挟持部10及び伝力部25よりも半径方向外側に突出する。奥側係合部60は、拡径時に傾斜することがないので、軸方向寸法を変化させずに半径方向外側に平行移動できることになる。
図1(A)に示すように、奥側係合部60は、周方向に複数(ここでは三個)配置されて、各々が手前向き座部64と奥側係合面66を有する奥側係合片62と、手前向き座部64が半径方向外側へ移動する際の移動限界を画定する突出規制部70を有する。
奥側係合片62は、平面視すると、部分円弧形状となる部材であり、周方向に複数配置されることで、連環部72の場所を除き、概ね円筒形状となる。
突出規制部70は、複数の奥側係合片62を周方向に連環させる連環部72となる。連環部72は、変形容易な部材となっており、連環方向の寸法、即ち周方向の寸法(距離)が可変となる。また、連環部72は、その周方向寸法に上限が設定されており、上限に達すると、それ以上に距離が広がらない構造となっている。
具体的に連環部72は、図1(A)の奥側係合部60が縮径状態では、半径方向に往復するように屈曲することで、周方向に折り畳まれた薄肉部材となっている。また、連環部72は、奥側係合部60の外周側近傍を互いに接続し、半径方向内側に向かって屈曲している。従って、この連環部72を、図1(C)に示すように、その上限に達するまで周方向に弾性又は塑性変形させると、周方向に隣接する奥側係合片62の距離が広がり、奥側係合片62が、軸方向を維持しながら半径方向外側に平行移動する。連環部72が伸びきると、奥側係合片62の移動が停止する。
図1(D)に示すように、第一及び第二回動部15、20を相対回転させて、被締結部材Hを締結すると、その反力が、奥側係合片62の手前向き座部64を経由して、挟持部10の受部11に伝わる。結果、奥側係合片62のそれぞれが、更に、半径方向外側に移動しようとするが、連環部72の張力によってそれ以上の移動が規制され、反力を受け止めることが可能となっている。
なお、本実施形態では、平面視で薄肉となる連環部72を半径方向に屈曲させる場合を例示したが、半径方向視で薄肉となる連環部を軸方向に屈曲させて、周方向に折り畳むこともできる。
本実施形態の締結装置1によれば、従来の(奥側係合部に相当する)バルブスリーブのように軸方向に座屈させる必要がないため、奥側係合片62を半径方向且つ軸方向に肉厚にすることができる。また、奥側係合片62の手前向き座部64を、そのまま半径方向外側に移動させて、手前向き座部64で被締結部材Hの反力を受けることができるので、剛性が高められて締結力を増大させることが可能となる。
特に本実施形態の奥側係合部60では、拡径時に変形する連環部72を専用配置することで、奥側係合片62側を弾性又は塑性変形させることないので、より一層、肉厚設計が可能となる。連環部72は容易に変形できるので、作業者の締結時の負担が軽減される。
また、連環部72を、変形後に復帰可能な弾性部材とすれば、締結後において、挟持部10と伝力部55を離反させることにより縮径状態に復帰することが可能となり、締結装置1を被締結体Hから容易に取り出すことができる。
上記実施形態の奥側係合部60は、奥側係合片62と突出規制部70(連環部72)を一体的に形成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図2に示すように、別部材を組み合わせることも可能である。この場合、奥側係合片62は、焼き入れ等によって表面硬度の高められた金属材を用い、連環部72は、通常の金属材あるいは弾性変形容易な金属材を用いても良い。勿論、金属以外の樹脂材を組み合わせても良い。
上記実施形態の奥側係合部60は、奥側係合片62が三個配置される場合を例示したが、その数は特に限定されず、例えば図3に示すように、四個又はそれ以上に配置しても良い。二個であっても良い。また、上記実施形態の奥側係合部60の連環部72は、奥側係合部60の外周側近傍を互いに接続する場合を例示したが、図3に示すように、連環部72が奥側係合部60の内周側近傍を互いに接続し、半径方向外側に向かって屈曲させておくことも好ましい。このようにすると、連環部72の伸長による奥側係合片62の半径方向外側への移動距離を大きくすることができる。
上記実施形態の奥側係合部60は、連環部72が存在する場所に、奥側係合片62の手前向き座部64及び奥側係合面66が存在しないように構成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、奥側係合片62において、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66の近傍を、周方向に拡張させることもできる。即ち、連環部72と、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66とが、軸方向に重なり合うように配置しても良い。このようにすると、手前向き座部64及び/又は奥側係合面66の面積を大きくすることが可能となる。
上記実施形態の締結装置1は、図1(C)及び(D)の拡径状態において、受部11及び奥側係合面66のテーパ面によって、被締結部材Hの反力を受け止める構造を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図5に示すように、受部11を、内周側のテーパ面となる第一受部11aと、第一受部11aの外周側に配置されて軸直角方向に広がる平面となる第二受部11bとを備える二段構造にする。また、奥側係合面66を、外周側のテーパ面となる第一奥側係合面66aと、第一奥側係合面66aの内周側に配置されて軸直角方向に広がる平面となる第二奥側係合面66bとを備える二段構造にする。このようにすると、図5(A)の縮径時には、第一受部11aと、第一奥側係合面66aが当接し、テーパ構造によって軸力を拡張力に変換して奥側係合部60を拡径させる。拡径終了時は、図5(B)に示すように、第一受部11aと、第一奥側係合面66aの当接が解除され、第二受部11bと第二奥側係合面66bが当接して、奥側係合片62の半径方向外側への移動を完了させる。従って、第二受部11bと第二奥側係合面66bは、本発明でいう突出規制部70の一部と定義することも可能となる。
また、第二受部11bと第二奥側係合面66bは、被締結部材Hからの軸方向反力を、垂直となる平面で受けとめることができる。同時に、拡径状態において、連環部72に作用する張力を低減又は開放することができるので、連環部72の疲労を抑制できる。なお、ここでは受部11及び奥側係合面66を二段構造にする場合を例示したが、例えば、奥側端面26と手前向き座部64をテーパ構造にする場合は、これを二段構造にすることも可能である。
更に図6に示すように、受部11及び奥側係合面66において、拡径動作完了時(拡径状態時)に互いに半径方向に係合する段部11c、66cを形成することができる。同様に、奥側端面26と手前向き座部64において、拡径動作完了時に互いに半径方向に係合する段部26c、64cを形成することができる。これらの段部により、奥側係合片62の半径方向外側への移動を規制することができるので、これらの段部も、本発明でいう突出規制部70の一部と定義することができる。
本実施形態では、手前向き座部64と奥側端面26を、軸直角方向と平行となる平面で構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば図7に示すように、手前向き座部64と奥側端面26をテーパ面として、軸方向の押圧力を、手前向き座部64を半径方向外側へ移動させる拡張力に変換させることも好ましい。
本実施形態では、図1(C)及び(D)の拡径状態において、手前向き座部64と奥側端面26の一部が互いに当接する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図8(B)に示すように、拡径状態において、手前向き座部64と奥側端面26の当接が解除されるようにし、伝力部25の奥側端面26を、奥側係合部60の内周側に進入させることも好ましい。このようにすると、伝力部25が奥側係合部60内に進入可能な距離Tだけ、奥側係合部60と第二回動部20による締結量(締付量)を確保できるので、被締結部材Hの厚み変化に柔軟に対応することが可能となる。
本実施形態では、伝力部25の軸方向長さが一定の場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、伝力部25の長さが、被締結部材Hの孔HPの内部で縮むことができる収縮構造を採用することが好ましい。例えば図9(A)に示すように、伝力部25を、軸部5の外周面に接近する円筒状の薄肉部25Aと、その両端にフランジ状に形成される奥側端面26及び手前側端面27を備えるようにしても良い。これにより、伝力部25と、被締結部材Hの孔HPの間に余裕隙間Sを確保することができるので、余裕隙間S内で薄肉部25Aが径方向に変形して、軸方向寸法を縮めることが可能となる。結果、奥側係合部60と第二回動部20による締結量を確保できるので、被締結部材Hの厚み変化に柔軟に対応することが可能となる。ここでは、薄肉部25Aを円筒形状としたが、軸方向に延びる複数の棒状部材を周方向に配置した籠状としても良い。
なお、図9(B)のように、薄肉部25Aを、被締結部材Hの孔HP側に接近させても良く、また、図9(C)のように、薄肉部25Aの一方の端部は被締結部材Hの孔HPに接近し、他方の端部は軸部5の外周面に接近するようにして、傾斜筒形状とすることもできる。図10(A)に示すように、薄肉部25Aの両端部は被締結部材Hの孔HPに接近し、中央側は軸部5の外周面に接近する湾曲した筒形状とすることもできる。図10(B)に示すように、また、薄肉部25Aの両端部は軸部5の外周面に接近し、中央側は被締結部材Hの孔HPに接近する湾曲した筒形状とすることもできる。図10(C)に示すように、薄肉部25Aの両端部から中央に向かって一定の範囲は被締結部材Hの孔HPに接近し、これらの除く中央側を軸部5の外周面に接近する湾曲形状とすることもできる。
更に図10(D)に示すように、薄肉部25Aを、断面が非正円となる筒状構造としても良い。例えば、断面形状を、星型形状、多角形状、周方向に連続する鋸刃状、ギザギザ状、ジグザグ状、波状とすることができる。このようにすると、薄肉部25Aの端面自体を、奥側端面26及び手前側端面27として用いることができる。この際、薄肉部25Aの途中に開口25Dを形成することで、軸方向に座屈又は変形容易な脆弱領域25Eを形成することができる。
また図10(E)に示すように、伝力部25を、リング状の部材を波形状に構成したウェーブリング片を軸方向に多段に積層するか、あるいは、線材をスパイラル状に巻きながら波形状に積層することによって構成される、所謂ウェーブばねとすることもできる。このようにすると、軸方向に弾性変形することで、伸縮することが可能である。なお、ウェーブばねではなく、所謂コイルスプリングを用いてもよい。
なお、上記図9及び図10のいずれにおいても、奥側係合部60が拡径する際に必要とする軸力では、伝力部25が軸方向に縮まないようにし、それより大きい軸力(即ち、締結時の軸力)が作用すると、積極的に縮むようにする。
更に、図11に示すように、伝力部25の収縮構造として、奥側に位置する筒状の第一伝力片28Aと、手前側に位置する筒状の第二伝力片28Bを備えるようにし、この第一伝力片28Aと第二伝力片28Bを、軸方向に摺動させる構造も好ましい。ここでは、第一伝力片28Aの内径に対して、第二伝力片28Bの外径が小さく設定されており、第一伝力片28Aの内側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長を収縮させる。
図11(A)に示すように、せん断部(シャーワッシャ)29が第二伝力片28Bの外周に固定されており、伝力部25が最も長い状態において、第一伝力片28Aの手前側端部がせん断部29に当接する。伝力部25を軸方向に縮める方向に外力が付与されると、図11(B)に示すように、せん断部28がせん断されて、第一伝力片28Aの内側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長が短くなる。特に本事例では、第一伝力片28Aと第二伝力片28Bが、共に、被締結部材Hの孔HPよりも小さい外径に設定され、双方共に孔HP内に挿入される。また、せん断部29の外径も、孔HPより小さく設定され(又は伝力部25の最大外径以下に設定され)、伝力部25の軸方向の中央近傍に配置されることで、締結時に孔HP内に位置するようになっている。
このようにすると、第一伝力片28Aと第二伝力片28Bが摺動する距離(収縮距離)Mを、伝力部25の全長の四分の一以上、好ましくは三分の一以上にすることが可能となる。結果、単一の締結装置1において、被締結部材Hの厚さ変動に柔軟に対応することができる。具体的には、締結装置1の軸方向の全長Lに対して、被締結部材の厚みEの変動許容量Exを、0.2L以上にすることができ、好ましくは0.3L以上、より望ましくは0.4L以上とすることができる。また、この際の厚みEが選択し得る最大値は、0.7L以上、より望ましくは0.8L以上とすることができる。言い換えると、締結装置1の全長をコンパクトに構成しつつも、被締結部材Hの厚さ変動に柔軟に対応できることになる。
また図12に示すように、手前側に配置される第二伝力片28Bの直径を、孔HPよりも大きく設定し、この第二伝力片28Bを被締結部材Hの手前側に配置して、第二回動部20の座部(座金)としても機能させても良い。この場合は、第二伝力片28Bの内周側に、第一伝力片28Aの手前側端部を進入させることで、伝力部25の全長を縮めるようにする(図12(B)参照)。
なお図11及び図12共に、せん断部29がせん断する際の軸力は、奥側係合部60が拡径する際に必要とする軸力よりも大きく設定される。即ち、奥側係合部60を拡径させるまでは、伝力部25が軸方向に縮まないようにし、それより大きい軸力(即ち、締結時の軸力)が作用すると、せん断部29が積極的に破断して、伝力部25が縮む。
次に、図13を参照して、第二実施形態に係る締結装置1について説明する。なお、第一実施形態で示した締結装置の部品、部材等と機能が共通するものについては、第二実施形態において名称及び/又は符号等を一致させることで、説明や図示を適宜省略し、異なる点を主に説明する。
締結装置1では、軸部5と挟持部10の間に螺合部30が形成される。具体的に螺合部30は、挟持部10の内周に形成される雌ねじ部31と、軸部5の少なくとも奥側の外周に形成されて雌ねじ部31と螺合する雄ねじ部32と、を備えて構成される。従って、挟持部10は筒状の雌ねじ体となり、軸部5が雄ねじ体となる。
挟持部10と伝力部25の間には、挟持部10と伝力部25を供回りさせると共に、この挟持部10と伝力部25を軸方向に相対移動させる連動機構90が構成される。連動機構90は、挟持部10に設けられて、奥側係合部60の内側に軸方向に延びる連動スリーブ92と、伝力部25に設けられて連動スリーブ92を収容するスリーブ収容孔94を有する。図13(A)に示すように、連動スリーブ92の外周面及びスリーブ収容孔94の内周面には、軸方向に延びて互いに周方向に係合する溝又は列状突起が、周方向に一系列以上好ましくは複数形成される。従って、連動スリーブ92とスリーブ収容孔94は、軸方向に摺動自在であると共に、周方向に係合する。なお、ここでは特に図示しないが、奥側係合部60にスリーブ収容孔94を形成し、伝力部25に連動スリーブ92を形成することも可能である。
第二回動部20は、伝力部25と一体化されることで、一緒に回動する。従って、第二回動部20を回動させると、伝力部25及び連動機構90を介して、挟持部10が供回りする。
第一回動部15と第二回動部20は、互いに相対回転すると共に、軸方向に係合する。本実施形態では、第二回動部20の手前側端面22と、第一回動部15の奥向き座部16が軸方向に係合する。
本締結装置1は、図13(A)及び(B)の縮径状態において、第一回動部15と第二回動部20を相対回転させると、第一回動部15と共に軸部5が回動し、第二回動部20と共に挟持部10が回動する。結果、図13(C)に示すように、軸部5と挟持部10の間の螺合部30によって、挟持部10が手前側に移動して、奥側係合部60を拡径させることができる。従って、締結後においても、軸部5が手前側に突出することが無いので、邪魔にならない。
この第二実施形態の締結装置1においても、図14及び図15に示すように、伝力部25の長さが、被締結部材Hの孔HPの内部で縮むことができる収縮構造を採用することが好ましい。収縮構造として、例えば、奥側に位置する筒状の第一伝力片28Aと、手前側に位置する筒状の第二伝力片28Bを備えるようにし、この第一伝力片28Aと第二伝力片28Bを、軸方向に摺動させつつ、周方向に係合させる。この際、第一伝力片28Aの外径に対して、第二伝力片28Bの内径を大きく設定し、第一伝力片28Aの外側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長を収縮させる。図14(C)に示すように、第一伝力片28Aの外周と第二伝力片28Bの内周の間に、軸方向に延びて互いに周方向に係合する溝又は列状突起を、周方向に複数形成することで、第二回動部20の回動を、挟持部10まで伝達できるようにする。
せん断部(シャーワッシャ)29は、第一伝力片28Aの外周に固定されており、伝力部25が最も長い状態において、第二伝力片28Bの奥側端部がせん断部29に当接する。図14(B)に示すように、挟持部10を手前側に移動させて奥側係合部60を拡径させた後、更に、伝力部25を軸方向に縮めるように外力が付与されると、図15に示すように、せん断部29がせん断されて、第一伝力片28Aの外側に第二伝力片28Bが進入して、伝力部25の全長が短くなる。特に本事例では、第一伝力片28Aと第二伝力片28Bが、共に、被締結部材Hの孔HPよりも小さい外径に設定され、双方共に孔HP内に挿入される。また、せん断部29の外径も、孔HPより小さく設定され(又は伝力部25の最大外径以下に設定され)、伝力部25の軸方向の中央近傍に配置されることで、締結時に孔HP内に位置するようになっている。
なお、第一及び第二実施形態の締結装置1では、奥側係合部60の手前向き座部64が、半径方向外側に移動して、被締結部材Hの奥側面と直接接触する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図16(A)に示すように、奥側係合部60と伝力部25の間に、半径方向外側に向かって容易に座屈可能な変形スリーブ80を配置することも可能である。なお、変形スリーブ80の軸方向の座屈荷重は、奥側係合部60の拡径荷重よりも小さく設定することが好ましい。
図16(B)に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させると、先に変形スリーブ80が座屈して所謂ワッシャとなる。座屈完了後、更に強い力で挟持部10と伝力部25を接近させると、奥側係合部60が拡径して、手前向き座部64が、被締結部材Hと軸方向に係合する位置まで移動する。このようにすると、手前向き座部64と被締結部材Hの間に、ワッシャ(変形スリーブ80)を配置することが可能となり、締結力を一層高めることが可能となる。
この際、変形スリーブ80において、軸方向中央に位置する座屈領域82をやわらかい材料(例えば、金属生材)とし、座屈完了後に手前向き座部64を受け止める部位、即ち、座屈領域82の軸方向両外側の非座屈領域84を硬い材料(例えば、焼き入れ鋼)とすることが好ましい。変形を容易にしつつも、変形後の強度又は剛性を高めることができる。
更に、第一実施形態では、挟持部10の受部11、及び、奥側係合部60の奥側係合面66をテーパ面として、このテーパ面を利用して奥側係合部60を半径方向外側に移動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば図17及び図18に示すように、奥側係合部60が、手前側に配置される第一奥側係合片660、及び、奥側に配置される第二奥側係合片680を備えるようにしても良い。
図21に示すように、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、共通形状となっており、それぞれ、軸方向に延びる貫通孔661、681を有し、この貫通孔661、681は、軸方向から視ると、半径方向に広がる長穴形状となっている。なお、図21においては、第一奥側係合片660は軸方向及び直径方向に反転した姿勢となっている。
第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、貫通孔661、681に軸部(図示省略)が貫通された状態で、長円穴の分だけ半径方向にスライド自在となっている。また、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、互いに当接(対向)する当接面663、683を有しており、この当接面663、683が、貫通孔661、681の長穴方向に傾斜している。
図17に戻って、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680は、共通形状であるものの、互いに軸方向に反転状態かつ直径方向に反転する状態、即ち、当接面663、683が対向するような点対称状態で配置される。結果、奥側係合部60の奥側係合面66と手前向き座部64が軸直角方向に平行となり、当接面663、683が傾斜する。
従って、図19及び図20に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させることにより、その挟持力を当接面663、683に作用させると、第一奥側係合片660が直径方向の一方へ移動し、第二奥側係合片680が直径方向の他方へ移動する。即ち、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が、互いに直径方向に離反する。結果、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680にそれぞれ形成される手前向き座部64が、半径方向外側へ移動して、伝力部25よりも突出する。このように、奥側係合部60を複数部材で構成し、内部にテーパ面を配置することで、これらの複数部材を半径方向外側に離反させることも好ましい。
なお、当接面(テーパ面)663、683に外力が作用しない状態において、振動や自重で第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が半径方向に移動することを防止する為に、これらの周囲にゴムリング等の巻回部材を配置したり、当接面(テーパ面)663、683を接着剤で仮固定したり、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680を磁力で吸引させたりすることも好ましい。ゴムリング等の規制部材を配置すると、第一回動部材15と第二回動部材20との相対回転の回転方向を、締め付けと逆方向とすることにより、第一奥側係合片660と第二奥側係合片680とを元の同軸位置に復帰させることが出来、従って、被締結部材Hに対して締結状体にあった締結装置1を被締結部材Hから取り外すことも可能となる。
また、図17乃至図21で示した上記変形例では、奥側係合部60が、挟持部10及び伝力部25に対して周方向に相対回転可能な状態で配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第一実施形態の図13の変形例として、図22及び図28に示すように、挟持部10における受部11に対して、貫通孔661、681の長円方向(軸部5の直径方向)に延びる受部用案内凹凸11xを形成し、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の各奥側係合面66に対して、軸部5の直径方向に延びる係合片用案内凹凸664、684を形成し、受部用案内凹凸11xと係合片用案内凹凸664、684を直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、受部11に対して、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が周方向に係合するので、この奥側係合部60が、挟持部10に対して回動力を伝達できる。
また、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の当接面663、683に対して、係合片用案内凹凸664、685と同方向に延びる内部案内凹凸663a、683aを形成し、互いの内部案内凹凸663a、683aを、直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、第一奥側係合片660と第二奥側係合片680が、直径方向に摺動自在且つ周方向に係合するので、第一奥側係合片660と第二奥側係合片680の間で回動力を伝達できる。
更に第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680の手前向き座部64に対して、座部用案内凹凸64xを形成し、また、伝力部25の奥側端面26に対して、直径方向に延びる伝力部用案内凹凸26xを形成し、座部用案内凹凸64xと伝力部用案内凹凸26xを直径方向に摺動自在、かつ、周方向に係合させることができる。このようにすると、伝力部25に対して、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が周方向に係合するので、伝力部25が、奥側係合部60に対して回動力を伝達できる。上記構成により、図23に示すように、伝力部25の回動力を、奥側係合部60を介して挟持部10に伝達できるので、第一実施形態で示した連動機構90を兼ねる(省略する)ことができる。
図24及び図25に示すように、挟持部10と伝力部25を接近させてその挟持力を当接面663、683に作用させると、伝力部用案内凹凸26x、座部用案内凹凸64x、内部案内凹凸663a、683a、係合片用案内凹凸664、684、受部用案内凹凸11xによって直径方向に案内されながら、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680が、互いに直径方向に離反する。結果、第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680にそれぞれ形成される手前向き座部64が、半径方向外側へ移動して、伝力部25よりも突出する。
なお、上記変形例では、二つの第一奥側係合片660及び第二奥側係合片680を、伝力部25と挟持部10に対して周方向に係合させながら、直径方向に離反させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一実施形態の図13で示した奥側係合部60の各奥側係合片62の手前向き座部64と奥側係合面66に対して、半径方向に延びる案内用凹凸を形成し、この案内用凹凸を、伝力部25と受部11に対して同方向に形成される案内用凹凸と係合させるようにしても良い。即ち、互いの当接面において案内凹凸を放射状に形成することで、奥側係合部60が、伝力部25の回動力を挟持部10に伝達できるようにしても良い。
また、この半径方向に摺動自在且つ周方向に係合する案内用凹凸の形状は、例えば断面鋸刃状、断面矩形状、互いに離反不能なアリ溝等、様々な態様を選択できる。
更に上記第一乃至第二実施形態では、主として、奥側係合部60が軸方向に一段の場合を例示したが、例えば図29に示すように、奥側係合部60が、軸方向に多段化された複数の奥側係合片690A、690B、690Cを備えるようにし、入れ子構造又はテレスコピック構造で軸方向に収縮しながら、各奥側係合片690A、690B、690Cを半径方向外側に拡張させることも好ましい。拡張完了状態において奥側係合片690A、690B、690Cを軸方向に係合させれば、最内周の奥側係合片690Cのみを、挟持部10及び伝力部25で挟み込むだけで、最外側に配置される奥側係合片690Aを軸方向に保持することができる。結果、最も外側に配置される奥側係合片690Aの半径方向の移動量を大きく設定することができる。
次に、第一又は第二実施形態の締結装置の他の変形例について説明する。
図30(A)乃至(C)は、伝力部25(又は奥側係合部60)に適用可能な軸方向の収縮構造又は半径方向の拡張構造を示す。この収縮又は拡張構造は、トラス(三角形の骨格構造)を立体的に組み合わせた所謂PCCPシェル(Pseudo-Cylindrical Concave Polyhedral Shell)構造Pとなっており、三角形の頂点同士が交わる個所(頂点部)が半径方向外側に突出し、軸直角方向に延びる底辺同士が接する個所(底辺部)が、半径方向内側に凹む。三角形の斜辺同士が接する箇所(移行部)は、頂点部と底辺部を繋ぐ。この多面体により、疑似円筒を構成することができる。本PCCPシェル構造Pは、軸方向に収縮(変形)させることが可能であり、その際に、頂点部が半径方向外側に突出する。このPCCPシェル構造Pを、伝力部25(又は奥側係合部60)に適用しても良い。従って、三角形の面内は、強度が高く変形が困難な領域となり、三角形の各辺又は各頂点は、折り目によって容易に変形可能な領域を構成することが可能である。
図30(D)乃至(F)は、伝力部25(又は奥側係合部60)に適用可能な軸方向の収縮構造又は半径方向の拡張構造を示す。この収縮又は拡張構造は、台形を利用したトラス(骨格構造)を立体的に組み合わせた伸縮管構造Dとなっており、軸直角方向に延びる台形の短辺同士が交わる個所(短辺部)が半径方向外側に突出し、軸直角方向に延びる長辺同士が接する個所(長辺部)が、半径方向内側に凹む。斜辺同士が接する箇所(移行部)は、短辺部と長辺部を繋ぐ。この多面体により、疑似円筒を構成することができる。本伸縮管構造Dは、軸方向に収縮(変形)させることが可能であり、その際に、短辺部が半径方向外側に突出する。この伸縮管構造Dを、伝力部25(又は奥側係合部60)に適用しても良い。従って、台形の面内は、強度が高く変形が困難な領域(難変形領域)となり、台形の各辺又は各頂点は、折り目によって容易に変形可能な領域(易変形領域)を構成することが可能である。なお、台形の代わりに平行四辺形を用いることも可能である。参考として、図30(G)に、この種のPCCPシェル構造又は伸縮管構造を、軸方向に収縮させた状態を示す。なお、一般的に、伸縮管構造Dの方が、PCCPシェル構造Pよりも、軸方向に容易に変形可能である。
図30(H)は、伝力部15に、PCCSシェル構造Pと伸縮管構造Dの双方を適用した例である。この場合は、伸縮管構造Dの方が優先的に縮む。図30(I)は、伝力部25の一部に伸縮管構造Dを適用し、残部はストレートとなる断面多角形の筒とした例である。なお、伝力部25と奥側係合部60の境界に括れを形成している。
図30(J)は、奥側係合部60において、五個以上の奥側係合片62を周方向に配置し、その間に連環部72を配置した例である。
以上説明したように、本発明は多様な構成を採り得、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 締結装置
5 軸部
10 挟持部
11 受部
11a 第一受部
11b 第二受部
11c 段部
15 第一回動部
16 奥向き座部
20 第二回動部
21 奥向き座部
22 手前側端面
25 伝力部
25A 薄肉部
25D 開口
25E 脆弱領域
26 奥側端面
26c 段部
27 手前側端面
28A 第一伝力片
28B 第二伝力片
29 せん断部
30 螺合部
60 奥側係合部
62 奥側係合片
64 座部
66 奥側係合面
66a 第一奥側係合面
66b 第二奥側係合面
70 突出規制部
72 連環部
80 変形スリーブ
82 座屈領域
84 非座屈領域
90 連動機構
92 連動スリーブ
94 スリーブ収容孔
H 被締結部材
HP 孔

Claims (10)

  1. 軸方向の奥側に配置される挟持部と、
    軸方向の手前側に配置されて互いに相対回動可能な第一回動部及び第二回動部と、
    前記第一回動部及び第二回動部と前記挟持部の間に配置されて軸方向の力を伝達する伝力部と、
    前記第一回動部及び第二回動部の少なくとも一方に形成されて奥側に対向する奥向き座部と、
    前記伝力部と前記挟持部の間で軸方向に挟持され、予め手前側を向いている手前向き座部を有する奥側係合部と、
    前記第一回動部及び第二回動部の相対回転を、前記挟持部と前記伝力部の軸方向の相対移動に変換する螺合部と、を有し、
    前記挟持部と前記伝力部の軸方向の接近により、前記手前向き座部が半径方向外側に移動して、前記手前向き座部が前記挟持部及び前記伝力部よりも半径方向外側に突出し、
    当該手前向き座部と前記奥向き座部を利用して、被締結部材と係合し、
    前記奥側係合部は、前記挟持部において手前側に対向する受部と当接する奥側係合面を有し、
    前記奥側係合面が前記挟持部の前記受部に対して摺動することで、前記奥側係合面と前記手前向き座部の双方が半径方向外側に突出することを特徴とする、
    締結装置。
  2. 前記手前向き座部は、前記伝力部における軸方向奥側の端面に対して摺動しながら、半径方向外側に突出することを特徴とする、
    請求項1に記載の締結装置。
  3. 前記手前向き座部及び前記端面の少なくとも一方は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面であることを特徴とする、
    請求項2に記載の締結装置。
  4. 前記奥側係合面及び前記受部の少なくとも一方は、軸直角方向に対して傾斜するテーパ面であることを特徴とする、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の締結装置。
  5. 前記奥側係合部は、
    周方向に複数配置されて、各々が前記手前向き座部を有する奥側係合片と、
    前記手前向き座部が半径方向外側へ移動する際の移動限界を画定する突出規制部と、
    を有することを特徴とする、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の締結装置。
  6. 前記突出規制部は、複数の前記奥側係合片を周方向に連環させる連環部であることを特徴とする、
    請求項5に記載の締結装置。
  7. 前記連環部は、自身が変形することにより、隣接する前記奥側係合の周方向距離を変化させることを特徴とする、
    請求項6に記載の締結装置。
  8. 前記奥側係合片は、半径方向外側に平行移動することを特徴とする、
    請求項5乃至7のいずれかに記載の締結装置。
  9. 軸方向に延びる軸部と、
    前記軸部形成される雄ねじ部と、
    前記挟持部と前記伝力部の間に構成され、前記挟持部と前記伝力部を供回りさせると共に、該挟持部と前記伝力部を軸方向に相対移動させる連動機構と、を備え、
    前記挟持部は、前記軸部の軸方向の奥側に配置されて前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、
    前記第一回動部は前記軸部の軸方向の手前側に配置されて該軸部と供回りし、
    前記第二回動部は前記伝力部と供回りすることを特徴とする、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の締結装置。
  10. 前記伝力部は、前記手前向き座部が半径方向外側に突出する際に作用する軸力を超える軸力が作用する際に、被締結部材の内部において軸方向の長さが収縮する収縮機構を有することを特徴とする、
    請求項1乃至9のいずれかに記載の締結装置。
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